説明

電子機器

【課題】ケーシング内で発生する結露水が制御基板上に滴下しないようにカバー部材が必要であり、そのカバー部材が必要な分だけ部品点数が増大し、組立工数も増大するという問題がある。また、上記のカバー部材は、通常、桶状の収容ケースの開口部を塞ぐ形で取り付けられるため、カバー部材と収容ケースとの間の隙間から水滴が侵入し、基板が被水してしまう恐れがあった。
【解決手段】本発明は、内部に機能部を収容するケーシングと、ケーシング内に設けられ機能部を制御するための制御部と、を備え、制御部は、電子部品を実装した制御基板と、制御基板を収容する桶状の収容ケースと、から構成され、収容ケースは、その開口部を下に向けた状態でケーシング底面に取り付けられ、収容ケースとケーシングの底面とにより筺体を構成することを特徴とする電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に係り、特に、電子機器のケーシング内の制御基板を保護するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば衛生洗浄装置のケーシングには、人体洗浄ユニット等の各種ユニットが組み込まれており、これらの各種ユニットを制御するために制御部が設けられている。そして、この制御部は、多数の電子部品が実装された制御基板と、制御基板を収容する桶状の収容ケースとから構成されている。このとき、桶状の収容ケースは、その開口部を上方に向けた状態でケーシングの底面に固定されている。
しかし、上記のような衛生洗浄装置のケーシングでは、ケーシング内壁の天井面に結露により水滴が付着し、それが成長して、最終的に制御基板に滴下することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−229678
【0004】
このような問題を解決するために、近年では、制御基板を水滴等から確実に保護するために、制御基板が取り付けられた収容ケースの上方を覆うカバー部材が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のカバー部材が必要な分だけ部品点数が増大し、組立工数も増大するという問題がある。また、上記のカバー部材は、通常、桶状の収容ケースの開口部を塞ぐ形で取り付けられるため、カバー部材と収容ケースとの間の隙間から水滴が侵入し、基板が被水してしまう恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、制御基板を結露による水滴から確実に保護することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を採用している。すなわち、本発明は、内部に機能部を収容するケーシングと、前記ケーシング内に設けられ前記機能部を制御するための制御部と、を備え、前記制御部は、電子部品を実装した制御基板と、前記制御基板を収容する桶状の収容ケースと、から構成され、前記収容ケースは、その開口部を下に向けた状態で前記ケーシング内に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
このように構成された本発明においては、制御基板を収容する収容ケースが、制御基板の上方及び側方を覆うため、ケーシング内壁の天井面等から結露により水滴が落下したとしても、収容ケースがカバー部材の機能も果たし、部品点数・組立工数を減らしながら、制御基板の被水を防止できる。
【0009】
本発明は、好ましくは、収容ケースは、その開口部を下に向けた状態でケーシングの底面に取り付けられ、収容ケースとケーシングの底面とにより筐体を構成することを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明においては、収容ケースとケーシングの底面とにより筐体を構成するため、制御基板の被水を確実に防止できると共に、万が一、制御基板より発火が生じたとしても、筺体内で酸欠鎮火されるため、周囲へ燃え広がることがない。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子機器によれば、制御基板を結露による水滴から確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用する衛生洗浄装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の衛生洗浄装置のケーシングの分解斜視図である。
【図3】図2のケースプレートの平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3のD−D断面図である。
【図6】右側当接部の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る電子機器を具現化するための具体例について説明する。本具体例に係る電子機器は、衛生洗浄装置であり、便器の上面後方に取り付けられ、人体の局部を洗浄水で洗浄するものである。
【0014】
図1は、本具体例に係る衛生洗浄装置の一例を示す斜視図である。図1に示すように、本具体例による衛生洗浄装置100は、人体に向かって洗浄水を噴射するノズル700と、このノズル700を内部に収容するケーシング400と、ケーシング400に回動自在に軸支される便座200と、便座200の上部を覆う便蓋300とから構成されている。また、ケーシング400にはノズル700を進退させるための開口部(図示しない)が形成され、その開口部を開閉するノズルシャッター600が設けられている。
さらにケーシング400の上面には、接近する人を検知する接近検知センサ500が設けられている。また、図示はしていないもののケーシング400の内部には、衛生洗浄装置100の前方の人を検知する人体検知センサと、人が便座200に着座したことを検知する着座検知センサが設けられている。
【0015】
次に、図2により、本具体例によるケーシング400の内部構造について説明する。図2は、図1のケーシング400の分解斜視図であり、ケーシング400を構成するケースプレートとケースカバーにおいて、ケースカバーのみを取り外したものである。なお、図2の点線部分は、便器800の外郭線を示すものであり、衛生洗浄装置100を便器800上に載置した際に、ケースプレート410と便器800との位置関係を分かりやすくしたものである。
【0016】
ケースプレート410には、ノズル700を有する人体洗浄ユニット710と、温風ユニット120と、脱臭ユニット160と、加圧ユニット110と、熱交ユニット150と、バルブユニット140と、それら各種ユニットを制御するための制御部10が設けられている。ここで、温風ユニット120は使用者の「おしり」に温風を送風するものであり、脱臭ユニット160は便器800のボウル部の脱臭を行うものである。また、バルブユニット140は水道などの給水源から供給される洗浄水の供給・停止を切り替えるものであり、熱交ユニット150はバルブユニット140を介して供給される洗浄水を所定温度まで温めるものである。
【0017】
次に、図3〜図5により本具体例の制御部の詳細構造について説明する。図3は、ケースプレートを上から見た平面図であり、図4は、図3のA−A断面図、図5は、図3のD−D断面図である。なお、図3は、制御部10以外の各種ユニットをケースプレート410より取り外したものを示している。
【0018】
図3に示すように、制御部10はケースプレート410の右側後方に位置している。そして、図示はしないものの、ケースプレート410上には、ケーシング400内で発生した水(結露水を含む)を便器まで誘導する排水経路も設けられている。
そして、制御部10は、図4、図5に示すように、多数の電子部品21を実装した制御基板20と、それを覆う収容ケース11とから構成されている。なお、本具体例では、制御部10はケースプレート410の右側後方に位置しているが、本発明はこれに限られるものではなく、制御部10の位置は各ユニットの配置に応じて適宜選択されればよい。
【0019】
収容ケース11は、図4、図5に示すように、水平よりわずかに傾斜した(例えば5°)天井面12と、その天井面12の周縁から下方に延びる側面(前側面14a、後側面14b、右側面14c、左側面14d)とを備え、全体として桶状に形成されている。そして、制御基板20は電子部品21を下にして、収容ケース11の天井面12の内側に取り付けられている。なお、図4、図5には、天井面12の内側にポッティング剤が詰められていないが、必要に応じてポッティング剤を詰めるものであってもよい。この場合、収容ケース11をポッティングケースとしても使用することが出来る。
【0020】
さらに、図4に示すように、収容ケース11は、その前側面14aの下端部に前方係止爪16aが設けられ、ケースプレート410に形成された前方係止部18aに係止するよう構成されている。
また、後側面14bの下端部にも後方係止爪16bが設けられ、同じくケースプレート410に設けられた後方係止部18bに係止するよう構成されている。これにより、収容ケース11がケースプレート410に固定され、振動等で容易に外れることがない。
【0021】
図5に示すように、収容ケース11の右側面14c及び左側面14dの下端部の内側は、ケースプレート410の底面から上方に向かって延びる右立壁部416c及び左立壁部416dの上端部の外側と当接しており、それぞれ右側当接部22cと左側当接部22dとを構成している。これにより、収容ケースケース11をケースプレート410に取付けた際に、収容ケース11が左右方向にずれることを防止できる。
【0022】
次に、図6により、右側当接部の構造について説明する。なお、図6は、図5の右側当接部22cの部分拡大図を示したものである。
図6に示すように、本具体例の右側当接部22cは、右側面14cの下端部の内側と、右立壁部416cの上端部の外側とが当接することで構成されている。そして、その右側当接部22cの上方には、右側面14cの内側と右立壁部416cの外側との間に空間D(隙間)を設けている。これにより、右側当接部22cから水滴が侵入しようとしても、この空間Dにより遮断できる。
【0023】
次に、空間Dの作用について説明する。ここでは、結露により発生した水滴が、右側面14cの外側を伝って流下する場合を想定して説明する。
まず、右側面14cに付着した水滴は、自身の重力により右側面14cの外側に沿って流れ(矢印A)、その水滴が右側面14cの下端に到達すると、その表面張力により右側当接部22cの方へ流れる(矢印B)。そして、右側当接部22cに侵入した水滴は毛細管現象により重力に逆らって、収容ケース11とケースプレート410とから構成される筺体の内部へ侵入しようとする(矢印C)。そこで、右側当接部22cの上方に設けられた空間Dにより、水の毛細管現象を阻止し、水の流れを遮断する。よって、水滴が、収容ケース11とケースプレート410とから構成される筺体の内部に侵入することがない。
【0024】
このように構成された衛生洗浄装置においては、桶状の収容ケース11とケースプレート410により筺体が形成され、制御基板20がその筺体の天井面12の内側に取り付けられているため、例えばケースプレート410の上方を覆うケースカバーの内側に結露により水滴が付着し、その水滴が収容ケース11上に落下したとしても、収容ケース11がカバー部材の役割を果たすため、制御基板の被水を確実に防止することができる。
さらに、収容ケース11とケースプレート410により筺体が形成されているため、万が一、制御基板より発火が生じたとしても、筺体内で酸欠鎮火されるため、周囲へ燃え広がることがない。
また、さらに、このように構成された衛生洗浄装置においては、収容ケース11の天井面12上に水滴が付着したとしても、天井面12が傾斜しているため、そこで滞留することなく傾斜に沿って流れ、最終的には収容ケース11の側面を介してケースプレート410まで到達する。その後、ケースプレート410に到達した水滴は、そこでそのまま蒸発するか、またはケースプレート410に設けられた排水経路(図示しない)から便器に排水される。したがって、結露により発生した水滴を適切に処理できる。
【0025】
以上、本発明の実施形態の具体例について説明した。しかし、本発明は、この具体例に限定されるものではない。前述の具体例においては、電子機器が衛生洗浄装置である例を示したが、本発明はこれに限定されず、あらゆる電子機器に適用することができ、本発明に係る電子機器は、例えば、テレビや、電子ゲーム、車両用制御装置、ATM(Automated Teller Machine:自動窓口機)及び自動販売機などにも好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 制御部
11 収容ケース
12 天井面
14a 前側面
14b 後側面
14c 右側面
14d 左側面
16a 前係止爪
16b 後係止爪
18a 前係止部
18b 後係止部
20 制御基板
21 電子部品
22c 右側当接部
22d 左側当接部
100 衛生洗浄装置
110 加圧ユニット
120 温風ユニット
140 バルブユニット
150 熱交ユニット
160 脱臭ユニット
200 便座
300 便蓋
400 ケーシング
410 ケースプレート
500 接近検知センサ
600 ノズルシャッター
700 ノズル
710 人体洗浄ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に機能部を収容するケーシングと、
前記ケーシング内に設けられ前記機能部を制御するための制御部と、を備え、
前記制御部は、電子部品を実装した制御基板と、前記制御基板を収容する桶状の収容ケースと、から構成され、
前記収容ケースは、その開口部を下に向けた状態で前記ケーシング内に取り付けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記収容ケースは、その開口部を下に向けた状態で前記ケーシングの底面に取り付けられ、
前記収容ケースとケーシングの底面とにより筐体を構成することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−98231(P2013−98231A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237366(P2011−237366)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】