説明

電子画像をプリントするように写真焼付け機を改作するための空間光変調器装置

【課題】 従来のフィルム写真焼付け機で電子的に記録された画像を印画紙上にプリントできるようにする、安価で着脱可能な空間光変調器装置を提供する。
【解決手段】 電子画像をプリントする場合は、従来の写真焼付け機10のネガホルダ18に写真ネガの代りに空間光変調器装置20を挿入する。この装置には空間光変調器があって、コンピュータ24から受けた電子画像信号によってランプハウス12からの光を変調して画像坦持光を作り、レンズ26、シャッタ28を通して印画紙を露出する。このようにして、電子カメラ等で作った電子画像を写真フィルムと同様にハードコピーにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、一般的には、写真焼付け機と組合せて使う空間光変調器装置に関し、更に詳しくは、写真ネガに代って写真焼付け機のネガホルダにはまるようにされ、それによってこの写真焼付け機がその中の印画紙に電子画像をプリントできるようにする空間光変調器装置に関する。
【0002】
【従来の技術】写真焼付け機は、写真仕上げセンターでフィルム現像機と組合せて使う。このフィルム現像機は、従来のフィルム上の潜像を現像して写真ネガにするために使う。次に、この写真ネガを写真焼付け機に掛け、このネガをバックライトで照らし、印画紙上に画像坦持光を投射してこの印画紙を露出する。印画紙上に投射した画像は、この写真ネガと印画紙の間にあるレンズ系の選択によって、このネガ画像を選択的に縮小または拡大する。
【0003】そのような写真焼付け機では、毎回新しいネガ画像を印画紙上に結像することになっており、このネガを機械的または物理的に適正位置に操作して投射画像が印画紙の露出面と整列するようにしなければならない。そのような物理的操作は、生産時間の点で高価になることがある。マクロラボとして知られる大きな写真仕上げラボは、ネガを自動的に操作するが、システムそれ自身は、数十万ドルの範囲の費用がかかり、従って、多く使うには高過ぎて手がでない。
【0004】電子画像カメラの出現で、電子スチールカメラのユーザが電子的に記録された画像を印画紙上にプリントできるようにする必要が生じた。これは、現在この電子的に記録された画像をコンピュータを介してそれに接続されたフィルム記録装置にプリントすることによって達成されている。問題は、電子スチールカメラからの電子的に記録された画像を簡単にプリントするコンピュータおよびフィルム記録装置を買う費用が高過ぎることである。
【0005】全世界に広がる多くの従来のフィルム写真仕上げセンター、ミニラボおよびマクロラボにとっては、電子スチールカメラのユーザが写真仕上げセンターに電子画像記憶媒体を持ってくるか電子画像信号を送って、この電子的に記録された画像を印画紙上にプリントできるようにすることが望ましい。こうすれば、電子スチールカメラが作った画像が印画紙にプリントされ、従来のフィルムと同様な方法で従来のハードコピー写真画像ができるだろう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、この発明の目的は、従来のフィルム写真焼付け機が電子的に記録された画像をプリントできるようにするアダプタを提供することである。
【0007】この発明の他の目的は、ミニラボ等の写真焼付け機にアダプタを容易に挿入してこのミニラボを電子画像プリントシステムに変え、その後このアダプタを容易に取外してこのミニラボを従来のフィルム写真仕上げセンターに戻すことができるようなアダプタを提供することである。
【0008】この発明の更に他の目的は、印画紙上に写真画像を置くために要する物理的操作の量を減らすことである。
【0009】この発明の更に他の目的は、電子スチールカメラの個々のユーザがハードコピー写真画像を作るコストを減らすことである。
【0010】この発明の更なる目的は、従来のフィルム写真仕上げシステムを、印画紙上に電子画像信号を記録するように安価に改作することである。
【0011】この発明のこれらおよびその他の目的は、明白であろうし、以下に現れるだろう。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記およびその他の目的は、従来の写真焼付け機を、印画紙上に電子画像信号を記録するように改作するための、非常に融通の利く装置を提供するこの発明によって達成される。この装置には、コンピュータ手段、および空間光変調器装置があり、その変調器装置は、電子的に記録された画像をプリントするために従来の写真仕上げシステムを使うとき、この写真仕上げシステムの写真ネガに取外し可能に置き換わる。
【0013】非電子画像プリント作業では、この従来の写真仕上げシステムは、画像が記録されている写真ネガを保持するネガホルダの開口部を通して光ビームを出すように作動する。次に、この光ビームを記録画像によって画像坦持光を作るように変える。画像坦持光は、光学系を通過し、その光学系は、画像坦持光を結像するためのレンズ系と、画像坦持光を印画紙上に投射する時間の量を管理して写真画像を作るシャッタがある。
【0014】電子画像プリント作業では、写真ネガを取除いて、コンピュータ手段から電子画像信号を受ける空間光変調器装置で置換える。
【0015】コンピュータ手段は、電子画像記憶媒体からの電子画像データを読み、または、例えば、遠隔コンピュータネットワークのような外部情報源から電子画像データを受ける。次に、このコンピュータ手段は、電子画像信号を処理して、それをアダプタと空間光変調手段を含む空間光変調器装置に伝達する。
【0016】このアダプタは、従来の写真焼付け機のネガホルダに写真ネガの代りに取外し可能且つ交換可能に挿入できるように構成され、それによって電子画像プリント作業と非電子画像プリント作業の間の変換をできるようにする。
【0017】この空間光変調手段は、アダプタによって囲まれ且つ上記コンピュータ手段に電気的に接続されている。コンピュータ手段から伝達された電子画像信号に応じて、画像がこの空間光変調手段に印加され、その上に透明画を作る。この空間光変調手段は、高強度の光ビームを選択的に透過できるようにしてそのビームを変え、画像坦持光を作る。この画像坦持光は、レンズ系を通過してから、印画紙上に画像を再現する。
【0018】更なる局面で、この発明は、上に説明した装置による方法を提供する。この発明の上記およびその他の局面は、図面および以下の説明で明白である。
【0019】この発明それ自身は勿論、この発明の上記およびその他の目的、その種々の特徴は、添付の図面と共に以下の説明を読めば、より完全に理解されよう。
【0020】
【発明の実施の形態】この発明は、広範囲の写真プリントシステムで有用であり、且つ異なるいくつかの形で実施可能であるが、ミニラボの写真焼付け機に関連して使うのが有利である。これは、推奨する実施例であり、それで説明するが、この実施例は例示であって限定ではないと考えるべきである。
【0021】図1は、この発明と共に使用するミニラボ写真焼付け機を示す。ミニラボ10とは、この業界で写真現像機と写真焼付け機を有する小さい半自動写真仕上げセンターを指すために普通使う用語である。この発明は、写真焼付け機が自動化されていないアマチュアにも、高度に自動化されたマクロラボにも、この発明を損わず使うことができる。
【0022】図示のミニラボ10には、光発生装置を収容するためのランプハウス12がある。ランプハウスの上に、印画紙上に結像すべき色を決めるカットフィルタ14がある。ランプハウス12からの光は、カットフィルタ14を通過して、次に光トンネル16の中をネガキャリヤ18まで通され、その中は光の伝達を最適化するために側面が鏡面になっている。
【0023】ネガキャリヤ18は、従来の写真ネガに使うように設計されていて、写真ネガをこのネガキャリヤに挿入し、種々の色の光が通る間、しかるべき場所にしっかりと保持する。
【0024】電子画像処理では、ネガは作らない。その代りに、画像を電子画像信号としてとらえ、記憶する。そこでこの電子画像信号を空間光変調器(以下“SLM”と称する)装置20に伝達し、それを写真ネガの代りにネガキャリヤ18に挿入する。
【0025】SLM装置20は、ドライバカード(図示せず)が挿入されているコンピュータ24からの情報を持っている。典型的には、このSLM装置20が標準テレビ信号の一つまたはVGA信号を受付ける。この好適実施例に於いて、ドライバカードは、VGA信号伝送技術で良く知られるVGA表示カードである。
【0026】コンピュータ24は、電子スチールカメラ、磁気的または光学記憶装置、または電子的に伝達された信号源からの直接伝達を含むがそれらには限定されない種々の情報源からのどれからも、前述の電子画像信号を受けることができる。コンピュータ24は、この情報を処理し、処理した画像信号をケーブル22を介してSLM装置20に伝達する。処理した画像信号の内容によって、SLM装置20は、ピクセルマトリックスの各ピクセルの透過率を選択的に変え、それによってその上に画像を形成し、画像坦持光が、SLM装置20に記録した画像を与えるSLM装置20の部分を選択的に通過できるようにする。
【0027】SLM装置20を通過した画像坦持光は、次にレンズ系26に入り、それがこのレンズ系26に含まれるレンズに基づいてこの画像の拡大または縮小の程度を決める。このレンズ系は、写真焼付け機の実施方式によってレンズが1本のときも複数本のときもある。
【0028】レンズ系26の上のシャッタユニット28が露出時間を制御する。シャッタユニット28は、選択的に開いて画像坦持光がその中のシャッタを通って印画紙を露出できるようにする。シャッタユニットの上に示す印画紙マスク30が印画紙の個々のフレームを隔離して、露出が印画紙の所定の領域に限定されるようにする。
【0029】ミニラボ10の個々の構成要素を図2に更に詳しく示し、図1を続けて参照して詳しく説明する。
【0030】ランプハウス12の中の光発生装置は、ランプ32で、それは多くの場合ハロゲン型高輝度ランプである。ランプ32から発生した熱がこのシステムの次の部分に達するのを減らすために、1枚の熱反射ガラス34がランプ32の上にある。
【0031】ランプ32からの光は、次に直列に並べた3枚の二色性フィルタ36を透過する。イエロー、マジェンタ、およびシアンを与えるこれら3枚の二色性フィルタは、調整ノブ38によって個々に調整することが可能であり、ランプ32を変える毎に一度調整する。そのような調整は、ランプ32の個々のカラー特性を補償するために必要である。
【0032】もう一組のカラーフィルタである、カットフィルタ14は、これらの二色性フィルタ36の上にある。イエローフィルタ40が二色性フィルタ36の上の光路の中へ選択的に動き得る。マジェンタフィルタ42およびシアンフィルタ44もこの光路の中へ選択的に動き得て、個々の色または2ないし3色の光を印画紙上に投射することができる。
【0033】これらのフィルタを透過した着色光は、今度は鏡面トンネル16が導く。この鏡面トンネル16は、本質的には、光反射鏡で内張りした長い矩形の箱であって、この鏡面トンネル16に入ったほぼ全ての光がこの鏡面トンネル16の上部から出る。
【0034】この鏡面トンネル16から出た着色光は、次に拡散板46を透過し、その拡散板は、光を再分配して空間光変調器またはネガの領域の上一面に均一な光分布を形成する。
【0035】拡散板46の上から出た着色光は、次にネガキャリヤ18を通過し、そのキャリヤには中央に光を通過させる開口部があり、写真ネガを開口部の上の位置に保持するための対向するクランプ部がある。今は、写真ネガがこの発明のSLM装置20で置換えられているので、着色光は、開口部を通過してSLM装置20の画像形成領域を照明し、その装置が着色光の部分を選択的に透過して画像坦持光を作る。
【0036】この発明の代替実施例に於いては、ネガキャリヤ18がSLMキャリヤで置換えられ、そのSLMキャリヤは、ネガキャリヤ18の機能と類似の機能を果し、その開口部のサイズは、標準ネガキャリヤ18よりは大きいが拡散板46の面積よりは小さい。これは、より多くの光がSLM装置20に入れるようにし、それでこの装置の寸法を標準フィルムフォーマット、例えば35mmネガの寸法より大きくすることができる。
【0037】SLM装置20を透過した光は画像坦持光を作り、それは次に拡大レンズ48を含むレンズ系26に入る。当業者は、拡大レンズ48をこのレンズ系26の倍率レンズで置換えることができ、画像を縮小、透過または拡大するために使うことができることが分るだろう。
【0038】拡大レンズ48は、印画紙上へ投射する画像の拡大の程度を決定する。従来の写真焼付け機用の標準セットのレンズには、写真ネガを8.9mm×12.7mm、10.2mm×15.2mm、12.7mm×17.8mmの標準写真サイズへ拡大するためのレンズがある。拡大の程度と共に、レンズそれ自身を、ネガ、この場合は、SLM装置20の厚さおよび大きさに依って選択する。SLM装置20が厚いか従来の写真ネガと異なる寸法であるなら、拡大レンズ48を換えるか、または付加レンズを付けて寸法差を調節しなければならない。厚さの変化に対しては、レンズを換えて、ネガとSLM装置20の間の焦点面の変位を調節する。
【0039】この発明の一実施例に於いては、SLM装置20の厚さおよび寸法を標準レンズサイズで良いように選び、即ち厚さおよび寸法が写真ネガのそれとほぼ同じである。
【0040】他の実施例では、大抵の標準レンズを利用することを保証するように厚さと寸法を選ぶ。例えば、標準10.2mm×15.2mmレンズを使って8.9mm×12.7mmのプリントサイズができ、12.7mm×17.8mmのレンズで10.2mm×15.2mmのプリントサイズになるように厚いまたは寸法の大きいSLM装置を選ぶ。
【0041】この発明の第2実施例に於いては、拡大レンズ48とSLM装置20を一つの光学系に作る。この光学系26を挿入することが、追加の変更を要せずにミニラボを電子画像処理ラボに自動的に変換する。この発明の第3実施例に於いては、カラーフィルタ40、42、44も上述のように一つの光学系に含める。
【0042】どちらの場合も、拡大レンズ48を通過した画像坦持光が、次にシャッタ52上に提示される。シャッタ52は、シャッタユニット28内に収容され、ソレノイド50に接続されている。ソレノイド50は、本質的にコイルおよび磁界の影響を受けてコイル軸に沿って自由にスライドする金属コアから成り、シャッタ52を選択的に開閉するように駆動するスイッチとして使う装置である。それで、このシャッタ52は、通過する画像坦持光の量を制御する。シャッタ52が開いたままにされる時間が、印画紙54上への画像坦持光の露出時間を決める。
【0043】印画紙54は、印画紙マスク30内に保持され、画像坦持光を制限して印画紙上の選択された領域にポジの画像を作る。
【0044】この発明の第4実施例は、SLM装置20、拡大レンズ48、およびシャッタユニット28を一つの光学系に作った。これは、今度はコンピュータ24が露出時間を制御することができるので、画像処理工程を大幅に制御できるようにする。
【0045】実際に、コンピュータ24は、三つの異なる段階で電子画像信号を写真焼付け機10に供給する。原電子画像信号を赤、緑および青に対応する3色面に分割する。赤色面をSLM装置20にかけて、印画紙54をこのSLM装置20、マジェンタフィルタ42、およびイエローフィルタ40を通して所望時間露出する。すると、印画紙54の赤感層だけが露出される。
【0046】次に、緑色面をSLM装置20にかけて、印画紙54をこのSLM装置20、イエローフィルタ40およびシアンフィルタ44を通して露出する。このようにして、印画紙54の赤感層と緑感層の両方を露出する。
【0047】最後に、青色面をSLM装置20にかける。印画紙54をこのSLM装置20およびシアンフィルタ44およびマジェンタフィルタ42を通して露出する。
【0048】もう、印画紙の3層全てを赤、緑および青で露出したので、この印画紙は化学処理の準備ができた。
【0049】さて、図3を参照すると、ネガキャリヤ18およびSLM装置20が詳細に示されている。SLM装置20には、主要部品としてアダプタ58およびSLM60がある。アダプタ58は、ネガキャリヤ18と機械的に相互連結するように設計され、写真画像形成中然るべき位置にしっかりと保持される。アダプタ58には、SLM装置20の厚さから写真ネガの大体の厚さにまで適合する、対向する溝64がある。これは、SLM装置20を写真焼付け機10に取出し可能且つ交換可能に挿入できるように、アダプタ58がネガキャリヤ18を自由に通過できるようにする。当業者は、異なる形式の写真焼付け機に対して、種々のその他の機械的相互連結装置を利用できることが分るだろう。
【0050】この好適実施例に於いて、SLM60は、アクティブマトリックス空間光変調器であり、それは各々光透過状態と光阻止状態の間をグレーレベルと呼ばれる漸進段階に変化し得る個々のピクセルの液晶マトリックスである。SLM60は、各々256のグレーレベルを備えた1024×1440ピクセルのマトリックスを有し、高解像度テレビと同じ解像力をもたらす。当業者は、上記より多いピクセルまたは少ないピクセルのSLMマトリックスで、および多いグレーレベルまたは少ないグレーレベルでも、最終的焼付け画像の見栄えに影響するだけでこの発明それ自身には影響せずに露出を行うことができることが分るだろう。
【0051】マトリックスのピクセル数は、利用できるSLMの特性によって決るが、グレーレベルもコンピュータ24からのドライバに依る。この好適実施例に於いては、市販の8ビットVGAドライバボードを使用し、SLM60の出力に256のグレー色調を出す。これらのグレー色調は、VGAドライバボードへのディジタル入力の数値表現に関して非線形に離れている。この非線形の関係は、人間の目に直接表示するために設計されていて、目の特性は印画紙の特性とは違うので、見るには適当であるが、プリントには適当でない。特に、SLMを駆動するためにVGAドライバボードが発生する256の均一間隔のレベルを印画紙上で256の不均一間隔の光学濃度に変換すると、結果としてプリント品質が悪くなる。
【0052】このシステムを高品質プリントに変えるためには、少なくとも8ビット、即ち28 =256の均一に離間した光学濃度を印画紙上に作らなければならない。非線形関数によって8ビット出力をマッピングすることは、整数入力値の間の入力点に複数のマップを提示する。入力値を丸めることは、プリント品質を低下するので、従って避ける必要がある。その代りに、10ないし12ビットの線形に離間した露出値を使って印画紙の非線形特性を補償する。8ビットVGAボードでSLM60を駆動して10ないし12ビットの線形に離間した露出値を得るためには、多重露出を使用する。
【0053】多重露出の最も簡単な形は、2値露出である。例えば、1色当り10ビットは、1色面当り10回のフィルム露出を要する。連続する各露出は、先の露出より2倍長くなければならないだろう。1ビット(即ち、2グレーレベル)のSLMシステムしか要らないが、シャッタ速度を速めて最短露出時間としなければ、プリント速度が遅くなる。これは、写真焼付け機のシャッタを変えることを要することがある。
【0054】シャッタを変えずにプリント速度を増すためには、与えられた時間に露出するビット数を増しても良い。しかし、2値以外の多重露出は、線形露出システムを要する。ディジタル画像信号にルックアップテーブル(以下“LUT”と称する)を適用して線形露出システムを得ることにより、SLM60の非線形特性を線形化することができる。
【0055】この好適実施例に於いては、プリント速度が重要で、シャッタ速度は、シャッタを換えなければ一定の最大速度以上に増すことができないが、1色当り2回だけの露出、即ち各5ビットを使って10の等間隔の露出レベルを得る。8ビットVGAボードの前の線形化LUTは、複合露出システムの入力での5ビット(等間隔の数25 =32)がSLMの32の線形に離間した透過率に対応するようにプログラムされている。これが、線形露出システムを作っている。
【0056】プリントするとき、最初に5つの最下位ビットを使って最初の露出をする。続いて、次の5ビット、または最上位ビットを露出システムに加える。この2番目の露出は25 =32倍長く続く。そのようにして、8ビットの非線形SLMシステムと1色当り2回露出で、10ビット解像度の線形露出システムが得られる。
【0057】当業者は、上記の説明から、露出回数と露出のビットの和が10になる限り、他の組合せも使うことができることが分るだろう。例えば、5ビットの露出に続けた5回の2値露出を使うことができる。
【0058】SLMのアクティブ領域を囲むのは、このマトリックス内のピクセルの個々のアドレッシングを管理するマトリックス電子装置のリム62である。このマトリックス電子装置は、次にコンピュータ24によって制御される。ケーブル22は、ダクト66によってアダプタの適所に保持されている。
【0059】SLM装置20は、ネガキャリヤ18の中に滑り込み、溝64がネガキャリヤ18のクランプ部70の下を通って開口部68と整列し、開口部68を通過する光が空間光変調器60のアクティブ領域を通って画像坦持光を作るようにされる。
【0060】この発明は、その精神または本質的特性から逸脱することなく、他の特定の形で実施することも可能である。従って、上記の実施例は、全ての点で例示であって限定ではないと考えるべきで、この発明の範囲は、上記の説明によってではなく、前記の請求項によって示し、従って、請求項の均等物の意味および範囲内に入る全ての変更は請求項に含める意図である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例による写真焼付け機システムの透視図である。
【図2】図1の写真焼付け機システムの個々の部品の分解図である。
【図3】ネガキャリヤおよび図1に示すこの発明による空間光変調器装置の分解図である。
【符号の説明】
10 写真焼付け機
14 カラーフィルタ
18 ネガホルダ、ネガキャリヤ
20 アダプタ、SLM装置手段
24 コンピュータ手段
26 レンズ
28 シャッタ
32 光源
40 カラーフィルタ
42 カラーフィルタ
44 カラーフィルタ
54 感光媒体
58 ハウジング
60 空間光変調手段
68 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子的に作った画像を感光媒体(54)上にプリントするように写真焼付け機(10)を改作するための装置であって、上記写真焼付け機(10)は、写真画像モードで、画像が記録されている写真ネガを保持するネガホルダ(18)の開口部(68)を通る光ビームを出し、次にこの光ビームをこの記録画像で変換して画像坦持光を作り、その坦持光を光学装置(26)に通して感光媒体(54)上にその画像を露出する装置に於いて、上記電子画像信号を伝達するためのコンピュータ手段(24);従来の写真焼付け機(10)のネガホルダ(18)に写真ネガの代りに取外し可能且つ交換可能に挿入してこの写真焼付け機(10)を電子画像モードに切換えるアダプタ(20);およびこのアダプタ(20)内に配置され且つ上記コンピュータ手段(24)に電気的に接続され、光ビームを選択的に透過し、変換して上記画像坦持光を作り、印加された電子的に作った画像を感光媒体(54)上に露出するようにする空間光変調手段(60);を含む装置。
【請求項2】 請求項1によるシステムに於いて、上記空間光変調手段(60)が、個々にアドレス指定可能なピクセルのマトリックスを有する液晶空間光変調器であるシステム。
【請求項3】 請求項2によるシステムに於いて、上記個々にアドレス指定可能なピクセルが、少なくとも2グレーレベルずつに結像するように選択可能であるシステム。
【請求項4】 請求項1によるシステムに於いて、上記コンピュータ手段(24)が、更に、上記電子的に作った画像を表すデータの多くのサブセットを伝達するための時間変調手段を含み、上記多くのサブセットがグレーレベルによって分割され、各連続するサブセットに対する露出時間が各連続するサブセットに対して可変であるシステム。
【請求項5】 請求項1によるアダプタ(20)に於いて、上記コンピュータ手段(24)が、更に、電子画像信号に変換関数を適用して上記空間光変調手段(60)または感光媒体(54)の非線形性を補償するための線形化手段を含むアダプタ。
【請求項6】 感光媒体(54)上に画像をプリントするためのシステムであって、光ビームを投射する光源(32);この光ビームを通過させる開口部(68)を有するネガキャリヤ(18);上記画像を表す電子画像信号を伝達するためのコンピュータ手段(24);このビームを選択的に伝達するために上記コンピュータ手段(24)に電気的に接続された空間光変調器(SLM)手段(20)であって、この電子画像信号によって指示された通りにこのSLM装置手段(20)に印加された画像を画像坦持光として投射するようにされた手段;並びにこの画像坦持光を感光媒体(54)上に向けるためのおよびこの画像坦持光が提示される時間の量を管理して写真画像を形成するための光学手段(26,28);を含むシステム。
【請求項7】 請求項6によるシステムに於いて、上記ネガキャリヤ(18)がこのネガキャリヤ(18)に挿入されるべきネガのフィルムフォーマットによって変更可能であり、この開口部(68)は上記フィルムフォーマットによってサイズが変るシステム。
【請求項8】 請求項6によるシステムに於いて、上記SLM装置手段(20)が、このネガキャリヤ(18)内に締りばめで固着されるように作られたハウジング(58);および上記ハウジング(58)によって囲われ、ネガキャリヤ(18)の上記開口部(68)と光学的に整列し、上記コンピュータと電気的に通じている空間光変調手段(60)であって、この電子画像信号によってピクセルのマトリックスを選択的に変えてその上にこの画像のネガを作り、それによってそこを通過する高強度の光ビームを選択的に変えて上記感光媒体(54)上に上記画像を形成する手段;を含むシステム。
【請求項9】 請求項8によるシステムに於いて、上記空間光変調手段(60)が、個々にアドレス指定可能なピクセルのアクティブマトリックスを有する液晶空間光変調器であるシステム。
【請求項10】 請求項9によるシステムに於いて、上記個々にアドレス指定可能なピクセルが、各々少なくとも2グレーレベルずつの一つを形成できるシステム。
【請求項11】 請求項8によるアダプタに於いて、上記コンピュータ手段(24)が、更に、電子画像信号に変換関数を適用して上記空間光変調手段(60)および感光媒体(54)の非線形性を補償するための線形化手段を含むアダプタ。
【請求項12】 請求項6によるシステムに於いて、上記アダプタが上記光学手段(26,28)と組合されて、上記コンピュータ手段(24)と電気的に接続した単一の光学系を作り、上記電子画像信号をこの感光媒体(54)上に結像するシステム。
【請求項13】 請求項12によるシステムに於いて、上記光学系が更に、上記光ビームの色を選択的に変えるために上記コンピュータ手段(24)に電気的に接続されたカラーフィルタ手段(14;40,42,44)を含み、この感光媒体(54)上にカラー画像が投射されるようにするシステム。
【請求項14】 請求項6によるシステムであって、更に上記光ビームの色を選択的に変えるために上記光源(32)と上記感光媒体(54)の間に配置されたカラーフィルタ手段(14;40,42,44)を含むシステム。
【請求項15】 請求項14によるシステムに於いて、上記コンピュータ手段(24)がアダプタに光ビームの各色に対し異なる電子画像を伝達するシステム。
【請求項16】 光源がネガキャリヤ(18)の開口部(68)を通して画像坦持光を第1レンズ系(26)に投射し、そのレンズ系がこの画像坦持光を第1シャッタシステムによって制御される時間の間感光媒体(54)上に提示することによって、従来のフィルム焼付け機(10)にコンピュータからの電子画像信号をプリントできるようにするアダプタ(20)であって、上記アダプタ(20)と光学的に整列したネガキャリヤ(18)内に固着するように作られた空間光変調手段(60)を含み、この空間光変調手段(60)が上記コンピュータと電気的に通じていて、画像を作るこの空間光変調手段(60)上に電子画像信号を印加し、それによってこの画像坦持光を選択的に通過させて上記感光媒体(54)上に上記画像を再現するアダプタ。
【請求項17】 請求項16によるアダプタ(20)に於いて、上記空間光変調手段(60)が、更に、この空間光変調手段(60)と従来の写真ネガとの間の光学的変動を補償する第2レンズを含むアダプタ。
【請求項18】 請求項17によるアダプタ(20)に於いて、上記第2レンズが上記第1レンズ(26)と共同して画像坦持光を感光媒体(54)上に合焦するように作用するアダプタ。
【請求項19】 請求項16によるアダプタ(20)に於いて、上記第2レンズが、上記第1レンズ(26)を除去した後に、画像坦持光を感光媒体(54)上に合焦するように機能するアダプタ。
【請求項20】 請求項16によるアダプタ(20)に於いて、上記空間光変調手段(60)が、更に、第1位置と第2位置を有する第2シャッタを含み、この第1位置は本質的に全ての画像坦持光が上記感光媒体(54)に入射するのを阻止し、この第2シャッタは、上記第2位置へ動いて上記画像坦持光に上記感光媒体(54)を露出させ、それから上記第1位置へ戻るように機能し、且つこの第1シャッタが完全に開いているとき、この第1位置と第2位置の間で機能するように作用するアダプタ。
【請求項21】 請求項16によるアダプタ(20)に於いて、上記空間光変調手段(60)が、更に、電子画像信号を細分し、この電子画像信号の最下位6ビットの第1グループを伝達して感光媒体(54)を露出し、次にこの電子画像信号のより上位ビットの第2グループを伝達して感光媒体(54)を露出し、そこでこの第1グループからと第2グループからの露出を感光媒体(54)上で合せて統合した画像を作ることによって、感光媒体(54)上にプリントした画像のグレースケールの数を増すための時間変調手段を含むアダプタ。
【請求項22】 請求項21によるアダプタ(20)に於いて、上記時間変調手段が、更に、少なくとも電子画像信号のより上位ビットの第3グループを含み、少なくともこの第3グループとその後のグループの露出を感光媒体(54)上で合せてグレースケールの数を増すアダプタ。
【請求項23】 電子的に作った画像を感光媒体(54)上にプリントするように従来の写真焼付け機(10)を改作するための装置であって、上記従来の写真焼付け機(10)は、画像が記録されている写真ネガを保持するように形作られたネガホルダ(18)の開口部(68)を通る光ビームを出し、次にこの光ビームをこの記録画像で変換して画像坦持光を作り、その坦持光が、それぞれ、この感光媒体(54)上に第1および第2の写真プリントサイズを露出するように倍率を変えるための、少なくとも第1および第2の取外し可能且つ交換可能なレンズを有する光学装置(26)を通って感光媒体(54)上にその画像を露出するように作動する装置に於いて、上記電子画像信号を処理し且つ伝達するためのコンピュータ手段(24);従来の写真焼付け機(10)のネガホルダ(18)に写真ネガの代りに取外し可能且つ交換可能に挿入するアダプタ(20);およびこのアダプタ(20)内に固着され且つ上記コンピュータ手段(24)に電気的に接続され、光ビームを選択的に透過し、変換して上記画像坦持光を作り、印加された電子的に作った画像をこの画像坦持光として投射する空間光変調手段(60);を含む装置。
【請求項24】 請求項23によるアダプタ(20)に於いて、第1レンズが感光媒体(54)上に第1サイズの大きさとほぼ等しいサイズの写真プリントを結像し、第2レンズが感光媒体(54)上に第2サイズの大きさとほぼ等しいサイズの写真プリントズを結像するような寸法に作られたアダプタ。
【請求項25】 請求項23によるアダプタ(20)に於いて、第2レンズが感光媒体(54)上に第1サイズの大きさとほぼ等しいサイズの写真プリントを結像するような寸法に作られたアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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