説明

電子線殺菌装置における殺菌不良容器の排斥方法および装置

【課題】殺菌不良の容器により、殺菌正常の容器が再汚染されるのを回避する。
【解決手段】容器把持装置で容器を把持して搬送する閉ループ周回式の容器搬送装置4と、上流から搬送されてくる容器Pを受渡して容器搬送装置4の容器把持装置に供給する容器受渡し供給装置5と、容器搬送装置4によって搬送される容器に電子線を照射して殺菌する電子線照射装置3と、殺菌済容器を容器把持装置から受渡されて下流に排出する容器受渡し排出装置6と、電子線を照射された容器の殺菌良否を検出する殺菌良否検出器3sと、殺菌良否検出器3sによって殺菌不良と判定された容器を容器搬送装置4から外部へ排斥する排斥装置2とを備える。排斥装置2による排斥は、容器の周回ルート上の電子線照射装置3による殺菌位置Eと排出装置6による排出受渡し位置Dとの間で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌室内で電子線照射により容器等を殺菌する電子線殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
殺菌室内に供給され、搬送されるPETボトル等の容器に電子線を照射して容器を殺菌する電子線殺菌装置において、電子線を照射された容器の殺菌良否を検出する殺菌良否検出器を備え、該殺菌良否検出器によって殺菌不良と判定された容器を前記電子線殺菌装置の外部へ排斥することは従来から行われている。(特許文献1、特許文献2)
近年、殺菌正常の容器が殺菌不良と判定された容器と混在しないようにすること、即ち、殺菌正常の容器が殺菌不良と判定された容器により再汚染されないようにすることが、衛生管理上強く求められるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−213845号公報(図1)
【特許文献2】特開2007−126168号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1によれば、電子線殺菌システムは、外部から殺菌ボックス内に搬入された容器が、容器搬送装置により搬送され、電子線照射装置からの電子線照射を受けて、温度計により測定された電子線照射後の容器温度が設定温度範囲から外れていると判定された場合、即ち、殺菌不良と判定された場合には、前記殺菌ボックスに隣接して配置されているリジェクトボックスに排出されるとしている。
しかしながら、前記特許文献1の技術では、リジェクトボックス内の中間リジェクトホイールが、電子線照射により殺菌された殺菌正常の容器を後工程のフィラへ搬送するための受渡しホイールを兼ねたホイールとなっているため、前記ホイールが殺菌不良容器の搬送によって汚染された後に殺菌正常の容器を搬送することになり、殺菌正常の容器が再汚染されるという恐れがある。
【0005】
また、前記特許文献2によれば、電子線殺菌システムは、外部から殺菌室内に搬入された容器が、搬送装置により搬送されながら電子線照射装置からの電子線照射を受ける殺菌部を経て、順次後工程のすすぎリンサ、充填装置、キャッパへと搬送されるようになっていて、電子線照射装置の電子線照射口に設けられたビームセンサでの検出により殺菌に有効な電子線の有無検出が行われ、前記容器に対して適正な電子線照射がなされていない場合、即ち、殺菌不良となっている場合には、充填装置で殺菌不良の容器に充填しないようにし、充填装置とキャッパの間に設けた不良品除去装置により殺菌不良の容器を除去するようにするとしている。
しかしながら、前記特許文献2の技術では、前記不良品除去装置は、充填装置とキャッパの間に限定せず、殺菌部の後であれば他の位置に設定してもよいとしてはいるものの、電子線照射により殺菌された殺菌正常の容器が、殺菌不良の容器で汚染された搬送装置を経ていくことになり、再汚染されるという恐れがある。
【0006】
本発明は、電子線殺菌装置において、電子線照射を受けて殺菌不良と判定された容器の搬送の後に、殺菌正常の容器が搬送されて再汚染されるという恐れのないように、殺菌不良と判定された容器の排斥を適正に行える殺菌不良容器の排斥方法および装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題に対し、本発明は以下の手段により解決を図る。
(1)第1の手段の殺菌不良容器の排斥方法は、容器把持装置で容器を把持して搬送する閉ループ周回式の容器搬送装置と、上流から搬送されてくる容器を受渡して前記容器把持装置に供給する容器受渡し供給装置と、前記容器搬送装置によって搬送される前記容器に電子線を照射して殺菌する電子線照射装置と、殺菌済容器を前記容器把持装置から受渡されて下流に排出する容器受渡し排出装置と、前記電子線照射装置により電子線を照射された容器の殺菌良否を検出する殺菌良否検出器を備えた電子線殺菌装置の使用方法において、前記電子線殺菌装置内に前記殺菌良否検出器によって殺菌不良と判定された容器を排斥する排斥装置を設けて、前記殺菌不良容器の排斥を前記電子線照射装置と前記容器受渡し排出装置との間で行うようにしたことを特徴とする。
【0008】
(2)第2の手段の殺菌不良容器の排斥方法は、前記第1の手段の殺菌不良容器の排斥方法において、前記排斥装置によって排斥された容器を、その出口開口部にシャッターを有する排斥容器受け箱に受けて、前記シャッターを介して陽圧の前記排斥容器受け箱内から外部へ排出するようにして、前記排斥容器受け箱内の陽圧を保持するようにしたことを特徴とする。
【0009】
(3)第3の手段の殺菌不良容器の排斥装置は、容器把持装置で容器を把持して搬送する閉ループ周回式の容器搬送装置と、上流から搬送されてくる容器を受渡して前記容器把持装置に供給する容器受渡し供給装置と、前記容器搬送装置によって搬送される前記容器に電子線を照射して殺菌する電子線照射装置と、殺菌済容器を前記容器把持装置から受渡されて下流に排出する容器受渡し排出装置と、前記電子線照射装置により電子線を照射された容器の殺菌良否を検出する殺菌良否検出器を備えた電子線殺菌装置において、前記電子線照射装置と前記容器受渡し排出装置との間に殺菌不良容器を排斥する排斥装置を設け、前記殺菌良否検出器からの殺菌不良検出信号を受けて、前記排斥装置に殺菌不良容器を排斥する指令を出す制御装置を設けるように構成したことを特徴とする。
【0010】
(4)第4の手段の殺菌不良容器の排斥装置は、前記第3の手段の殺菌不良容器の排斥装置において、前記排斥装置によって排斥された容器を受ける排斥容器受け箱と、該排斥容器受け箱の排斥容器排出用出口開口部にシャッターを設けて構成したことを特徴とする。
【0011】
(5)第5の手段の殺菌不良容器の排斥装置は、前記第3および第4の手段の殺菌不良容器の排斥装置において、前記電子線照射装置を通過する容器を検出してカウントする容器カウント装置を設けて、該容器カウント装置でカウントした容器信号を受けて前記制御装置から該排斥装置に指令を出し、前記殺菌不良容器を排斥するように構成したことを特徴とする。
【0012】
(6)第6の手段の殺菌不良容器の排斥装置は、前記第3から第5の手段の殺菌不良容器の排斥装置において、前記容器把持装置に前記容器を把持する一対のグリッパの開閉と一体に作動するカムフォロアを備えて、カムフォロアを前記制御装置からの指令で作動するカムと係合させて前記一対のグリッパを開くように構成したことを特徴とする。
【0013】
(7)第7の手段の殺菌不良容器の排斥装置は、前記第3から第6の手段の殺菌不良容器の排斥装置において、前記排斥容器受け箱に排斥容器の溜まり具合を検出する容器センサを設けて、該容器センサからの検出信号を受けて前記シャッターの開閉を制御するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び3に係わる本発明は、容器把持装置で容器を把持して搬送する閉ループ周回式の容器搬送装置と、上流から搬送されてくる容器を受渡して前記容器把持装置に供給する容器受渡し供給装置と、前記容器搬送装置によって搬送される前記容器に電子線を照射して殺菌する電子線照射装置と、殺菌済容器を前記容器把持装置から受渡されて下流に排出する容器受渡し排出装置と、前記電子線照射装置により電子線を照射された容器の殺菌良否を検出する殺菌良否検出器を備えた電子線殺菌装置の使用方法および装置において、前記電子線殺菌装置内に前記殺菌良否検出器によって殺菌不良と判定された容器を排斥する排斥装置を設けて、前記殺菌不良容器の排斥を前記電子線照射装置と前記容器受渡し排出装置との間で行うようにしたことにより、殺菌不良の容器を把持していた前記容器把持装置が殺菌正常の容器を把持して再汚染させるということがないという効果を有する。
【0015】
請求項2及び4に係わる本発明は、請求項1又は3に記載する殺菌不良容器の排斥方法、又は装置において、前記排斥装置によって排斥された容器を、その出口開口部にシャッターを有する排斥容器受け箱に受けて、前記シャッターを介して陽圧の前記排斥容器受け箱内から外部へ排出するようにしたことにより、前記排斥容器受け箱内の陽圧を保持できるという効果を有するとともに、前記殺菌室内の空気中の酸素が電子線照射によって活性化して発生する有害なオゾンを含む雰囲気が外部へ出にくくなるという効果を有する。
【0016】
請求項5に係わる本発明は、前記請求項3又は4に記載する殺菌不良容器の排斥装置において、前記電子線照射装置を通過する容器を検出してカウントする容器カウント装置を設けて、該容器カウント装置でカウントした容器信号を受けて前記制御装置から該排斥装置に指令を出し、前記殺菌不良容器を排斥するように構成したことにより、殺菌不良容器の排斥が確実に行われたことの確認ができるという効果を有する。
【0017】
請求項6に係わる本発明は、前記請求項3から5のいずれか一項に記載する殺菌不良容器の排斥装置において、前記容器把持装置に前記容器を把持する一対のグリッパの開閉と一体に作動するカムフォロアを備えて、カムフォロアを前記制御装置からの指令で作動するカムと係合させて前記一対のグリッパを開くように構成したことにより、前記容器把持装置が前記容器受渡し供給装置から又は前記容器受渡し排出装置へ容器の受渡しをする機構と共通の機構を流用できるという効果を有する。
【0018】
請求項7に係わる本発明は、前請求項3から6のいずれか一項に記載する殺菌不良容器の排斥装置において、前記排斥容器受け箱に排斥容器の溜まり具合を検出する容器センサを設けて、該容器センサからの検出信号を受けて前記シャッターの開閉を制御するように構成したことにより、前記排斥容器受け箱に排斥された容器の重量が軽い場合でも、排斥された容器が前記排斥容器受け箱出口開口部と前記シャッターに挟まれることなく、確実に外部へ排出され、また、前記シャッターが強制的に閉となることにより、前記排斥容器受け箱内がクリーンな雰囲気の陽圧に維持されるという効果を有するとともに、前記殺菌室内の空気中の酸素が電子線照射によって活性化して発生する有害なオゾンを含む雰囲気が外部へ出にくくなるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる殺菌不良容器の排斥装置を備えた電子線殺菌装置を摸式的に示した平面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係わる電子線殺菌装置の殺菌不良容器の排斥装置で、図3に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
(発明の第1の実施の形態)
【0021】
本発明の第1の実施の形態を図1から図3に基づいて説明する。
図1は、本発明に係わる第1の実施の形態の殺菌不良容器の排斥装置を備えた電子線殺菌装置を摸式的に示した平面図である。
図2は、図1の要部拡大図である。
図3は、図2のA−A断面図である。
図において、電子線殺菌装置1は、図示4aの方向に回転するロータリー式(閉ループ周回式)の容器搬送装置4と、前記容器搬送装置4に円周等分に設けられ、容器Pの首部を把持して容器Pを倒立状態で搬送する容器把持装置30と、図示5aの方向に回転し、上流から矢印7の方向へ正立状態で搬送されてくる容器Pの首部を把持して容器Pを上下反転させながら搬送して、図示Cの位置で受渡して前記容器把持装置30に供給する容器受渡し供給装置5と、前記容器搬送装置4によって搬送される容器Pに図示Eの位置で電子線を照射して殺菌する電子線照射装置3と、該電子線照射装置3に付属されている殺菌対象容器Pの殺菌良否を検出する殺菌良否検出器3sと、該殺菌良否検出器3sにより殺菌不良と判定された容器Pを図示Fの位置で排斥する排斥装置2と、前記容器搬送装置4で搬送される殺菌済の容器Pを図示Dの位置で受渡され、前記容器Pの首部を把持して容器Pを上下反転させながら図示6aの方向に回転搬送して、矢印8の方向の後工程へ排出する容器受渡し排出装置6と、これらの装置を制御する制御装置10と、内部がクリーンな雰囲気によって陽圧に保たれている殺菌室1aによって主に構成されている。
なお、前記容器搬送装置4は前記容器受渡し供給装置5および前記容器受渡し排出装置6と同期して回転するようになっている。
また、前記図の説明では、前記容器把持装置30は容器Pを倒立状態で搬送する場合として説明したが、容器Pを倒立状態でなくて正立状態で搬送する場合としてもよいことはもちろんであり、詳細な説明は省略する。
【0022】
前記容器搬送装置4は、前記容器把持装置30を円周等分に設けたリング45が、回転円盤44を介し、さらに固定されたボス41に軸受42で軸支されて図示しない駆動装置によって回転される軸43を介して回転するように構成されている。
前記電子線照射装置3の図示Eの位置の前後には、前記電子線照射装置3を通過する容器Pを検出してカウントする容器カウント装置9aおよび容器カウント装置9bが設けられており、カウントした容器信号が前記制御装置10に送られるようになっている。
なお、ここでは、容器カウント装置を2箇所に設けて、前記電子線照射装置3を通過する容器Pをカウントするようにした場合を説明したが、容器カウント装置9a又は容器カウント装置9bの何れかを1箇所に設けるとしてもよい。
【0023】
前記容器把持装置30は、容器Pの首部を把持する一対のグリッパ31およびグリッパ31aがそれぞれ軸32および軸32aに固定され、軸32および軸32aが前記リング45に設けた孔45aに軸支されて摺動回転するようになっている。
なお、前記軸32および軸32aには互いに噛合う歯車33が取り付けられていて、軸32が回転揺動するともう一方の軸32aが反対方向に回転揺動するようになっている。
【0024】
また、前記軸32にはレバー34が固定されていて、該レバー34にはカムフォロア36が軸35を介して設けられており、前記カムフォロア36は前記固定ボス41と一体になっている固定円盤46のCの位置およびDの位置に設けたカム47と係合するようになっている。
ここで、前記グリッパ31およびグリッパ31aは、前記レバー34に取り付けられたピン37と前記固定円盤46に取り付けられたピン38に懸架されたばね39によってレバー34、軸32を介して、閉じる方向に作用するようになっているが、前記カムフォロア36が前記カム47に係合する時には、前記ばね39の力に抗して前記グリッパ31および前記グリッパ31aが、それぞれ軸32および軸32aを回転揺動中心として開くように作用される構成となっている。
【0025】
前記殺菌不良容器Pの排斥装置2は、前記Fの位置で、2個の軸23が前記固定円盤46に取り付けられた2対の軸受24に摺動支持されて、ブラケット22を介して前記固定円盤46に取り付けられたアクチュエータ21によって往復動され、それに伴って前記軸23の先端に取り付けられたカム25が往復動されるように構成されている。
前記カム25は、前記アクチュエータ21が後退状態の時には前記カムフォロア36に係合しないようになっているが、前記アクチュエータ21が前進状態の時には前記カムフォロア36に係合して、前記レバー34の前記軸32を中心とした回転揺動に伴う前記軸32の回転を介し、前記グリッパ31および前記グリッパ31aが、それぞれ軸32および軸32aを回転揺動中心として開くようになっている。
【0026】
なお、前記アクチュエータ21は、前記殺菌良否検出器3sにより容器Pが殺菌不良と判定された場合に、前記容器カウント装置9aおよび容器カウント装置9bによる殺菌不良対象容器Pの信号が制御装置10に送られ、殺菌不良対象容器Pが図示Fの位置に到達した時に前記制御装置10からの指令によって前進作動するようになっており、これにより前記グリッパ31および前記グリッパ31aが開状態となって、前記グリッパ31および前記グリッパ31aに首部を把持されていた容器Pが自然落下で排斥されるようになっている。
【0027】
また、前記Fの位置では、排斥された容器Pを受ける排斥容器受け箱26が備えられていて、該排斥容器受け箱26の排斥容器排出用出口開口部26wには、該開口部26wの上部に設けられたヒンジ27により開閉するシャッター28が設けられている。
さらに、前記シャッター28の内側の雰囲気は陽圧になっていて、前記シャッター28の外側から内側への空気の流れがないようになっている。
なお、シャッター28はゴム製の暖簾のようなものとしてもよいが、詳細な説明は省略する。
【0028】
なお、前記殺菌良否検出器3sについては、例えば、特開2008−213845号の特許文献に記載されているような電子線照射後の容器温度を温度計により検出するもの、或いは、特開2007−126168号の特許文献に記載されているような電子線照射装置の電子線照射口に設けられたビームセンサでビーム電流の電流値を検出するもの等の公知技術の検出器があり、ここでは詳細な説明は省略する。
また、前記電子線殺菌装置1では、空気中の酸素が電子線照射によって活性化して発生するオゾンを分解するため、殺菌室1a内の大気を図示しない吸引ダクトで回収して図示しないオゾン分解装置に通し、有害なオゾンを分解して排気する装置が設けられているが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0029】
次に、本発明の実施の形態に係わる電子線殺菌装置1の殺菌不良容器の排斥装置2の作用を説明する。
上流から矢印7の方向へ正立状態で搬送されてくる容器Pは、容器受渡し供給装置5により図示しない首部把持具によって首部を把持されて上下反転されながら矢印5aの方向に搬送され、図示Cの位置に達すると、カムフォロア36とカム47の係合によって開状態となっているグリッパ31およびグリッパ31aに首部が受渡され、回転円盤44の回転によりカムフォロア36とカム47の係合が解除されると、グリッパ31およびグリッパ31aに首部が把持された状態となり、回転円盤44の回転により搬送されて図示Eの位置に達すると、電子線照射装置3によって電子線が照射され、ここで、殺菌良否検出器3sによって殺菌良否を検出されて、殺菌不良と判定された場合には容器カウント装置9aおよび容器カウント装置9bにより殺菌不良対象容器Pの信号が制御装置10へ送られる。
【0030】
前記殺菌良否検出器3sによって殺菌正常と判定された容器Pは、回転円盤44の回転によって図示Dの位置に達すると、カムフォロア36とカム47の係合によって開状態となったグリッパ31およびグリッパ31aから首部の把持が解除されて、容器受渡し排出装置6の図示しない首部把持具によって首部を把持されて上下反転されながら矢印6aの方向に搬送され、首部把持の解除に伴って矢印8の方向の後工程へ排出される。
【0031】
容器Pは、前記殺菌良否検出器3sにより殺菌不良と判定された場合、殺菌不良対象容器Pの信号が制御装置10に送られ、該当容器PがFの位置に達すると、制御装置10からの指令でアクチュエータ21が前進作動することに伴い、ブラケット22、軸23を介してカム25が前進し、該カム25が容器把持装置30のカムフォロア36と係合して、グリッパ31およびグリッパ31aが開状態となって、図示矢印Rのように排斥容器受け箱26に自然落下して排斥される。
【0032】
前記排斥容器受け箱26に排斥された容器Pは、その自重の力によりシャッター28が開いて、圧力が殺菌室1aより低い外部へ排出される。
ここで、前記排斥容器受け箱26および前記シャッター28の内側は陽圧となっているので、排斥された容器Pの排出に際して前記シャッター28の外側の空気が前記排斥容器受け箱26の内側に入ることはなく、殺菌室1a内は陽圧でクリーンな雰囲気を保持されるとともに、前記殺菌室1a内の空気中の酸素が電子線照射によって活性化して発生する有害なオゾンを含む雰囲気が外部へ出にくくなる。
【0033】
容器把持装置30は、前記Fの位置で排斥装置2により殺菌不良容器Pを排斥した後、容器搬送装置4の搬送によりCの位置に達すると、容器受渡し供給装置5から殺菌前の容器Pの受渡し供給を受けて、該容器PがEの位置で電子線照射装置3により電子線照射を受けるので、殺菌不良の容器Pにより汚染された容器把持装置30が殺菌正常の容器Pを把持して再汚染させるというようなことはない。
【0034】
(発明の第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を図4に基づいて説明する。
図4は、本発明に係わる第2の実施の形態の電子線殺菌装置の殺菌不良容器の排斥装置で、図3に相当する断面図である。
図4において、第1の実施の形態と同じ構造のものは同じ記号を記してあり、重複する説明は省略する。
図において、電子線殺菌装置1aの殺菌不良容器の排斥装置2aは、排斥容器受け箱26aに排斥された容器Pを検出する容器検出センサ29を備えて、該容器検出センサ29によって検出された信号を制御装置10aに送るようになっており、該制御装置10aからの指令により図示しないアクチュエータが作動してシャッター28が開または閉となるように構成されている。
【0035】
次に、第2の実施の形態の電子線殺菌装置1aの殺菌不良容器の排斥装置2aの作用を説明する。
排斥容器受け箱26aに排斥された容器Pは、容器検出センサ29によって検出されると、信号が制御装置10aに送られて、該制御装置10aからの指令により閉となっていたシャッター28が開となるように作動することにより、外部へ排出される。
その後シャッター28は前記制御装置10aからの指令により再び閉となり、前記排斥容器受け箱26a内はクリーンな雰囲気の陽圧が維持されるとともに、前記殺菌室1a内の空気中の酸素が電子線照射によって活性化して発生する有害なオゾンを含む空気が外部へ出にくくなる。
【0036】
前記排斥容器受け箱26aに排斥された容器Pの重量が軽い場合は、該容器Pが前記排斥容器受け箱26aの出口開口部の端と前記シャッター28に挟まれたままとなって、前記シャッター28が開のままとなることがあるが、上記説明のように、前記制御装置10aからの指令により前記シャッター28が強制的に開となれば、排斥された容器Pが前記排斥容器受け箱26aの出口開口部の端と前記シャッター28に挟まれることなく、確実に外部へ排出され、また、前記制御装置10aからの指令により前記シャッター28が強制的に閉となることにより、前記排斥容器受け箱26a内が確実にクリーンな雰囲気の陽圧に維持される。
【符号の説明】
【0037】
1,1a 電子線殺菌装置
2,2a (殺菌不良容器の)排斥装置
3 電子線照射装置
3s 殺菌良否検出器
4 容器搬送装置
5 容器受渡し供給装置
6 容器受渡し排出装置
9a,9b 容器カウント装置
10,10a 制御装置
21 アクチュエータ
23 軸
25 カム
26,26a 排斥容器受け箱
28 シャッター
29 容器検出センサ
30 容器把持装置
31,31a グリッパ
32,32a 軸
33 (互いに噛合う)歯車
34 レバー
36 カムフォロア
39 ばね
41 固定円盤
44 回転円盤
47 カム
P 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器把持装置で容器を把持して搬送する閉ループ周回式の容器搬送装置と、上流から搬送されてくる容器を受渡して前記容器把持装置に供給する容器受渡し供給装置と、前記容器搬送装置によって搬送される前記容器に電子線を照射して殺菌する電子線照射装置と、殺菌済容器を前記容器把持装置から受渡されて下流に排出する容器受渡し排出装置と、前記電子線照射装置により電子線を照射された容器の殺菌良否を検出する殺菌良否検出器を備えた電子線殺菌装置の使用方法において、前記電子線殺菌装置内に前記殺菌良否検出器によって殺菌不良と判定された容器を排斥する排斥装置を設けて、前記殺菌不良容器の排斥を前記電子線照射装置と前記容器受渡し排出装置との間で行うようにしたことを特徴とする殺菌不良容器の排斥方法。
【請求項2】
請求項1に記載する殺菌不良容器の排斥方法において、前記排斥装置によって排斥された容器を、その出口開口部にシャッターを有する排斥容器受け箱に受けて、前記シャッターを介して陽圧の前記排斥容器受け箱内から外部へ排出するようにして、前記排斥容器受け箱内の陽圧を保持するようにしたことを特徴とする殺菌不良容器の排斥方法。
【請求項3】
容器把持装置で容器を把持して搬送する閉ループ周回式の容器搬送装置と、上流から搬送されてくる容器を受渡して前記容器把持装置に供給する容器受渡し供給装置と、前記容器搬送装置によって搬送される前記容器に電子線を照射して殺菌する電子線照射装置と、殺菌済容器を前記容器把持装置から受渡されて下流に排出する容器受渡し排出装置と、前記電子線照射装置により電子線を照射された容器の殺菌良否を検出する殺菌良否検出器を備えた電子線殺菌装置において、前記電子線照射装置と前記容器受渡し排出装置との間に殺菌不良容器を排斥する排斥装置を設け、前記殺菌良否検出器からの殺菌不良検出信号を受けて、前記排斥装置に殺菌不良容器を排斥する指令を出す制御装置を設けるように構成したことを特徴とする殺菌不良容器の排斥装置。
【請求項4】
請求項3に記載する殺菌不良容器の排斥装置において、前記排斥装置によって排斥された容器を受ける排斥容器受け箱と、該排斥容器受け箱の排斥容器排出用出口開口部にシャッターを設けて構成したことを特徴とする殺菌不良容器の排斥装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載する殺菌不良容器の排斥装置において、前記電子線照射装置を通過する容器を検出してカウントする容器カウント装置を設けて、該容器カウント装置でカウントした容器信号を受けて前記制御装置から該排斥装置に指令を出し、前記殺菌不良容器を排斥するように構成したことを特徴とする殺菌不良容器の排斥装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載する殺菌不良容器の排斥装置において、前記容器把持装置に前記容器を把持する一対のグリッパの開閉と一体に作動するカムフォロアを備えて、該カムフォロアを前記制御装置からの指令で作動するカムと係合させて前記一対のグリッパを開くように構成したことを特徴とする殺菌不良容器の排斥装置。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか一項に記載する殺菌不良容器の排斥装置において、前記排斥容器受け箱に排斥容器の溜まり具合を検出する容器センサを設けて、該容器センサからの検出信号を受けて前記シャッターの開閉を制御するように構成したことを特徴とする殺菌不良容器の排斥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−219158(P2011−219158A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93547(P2010−93547)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】