説明

電子線殺菌装置

【課題】(1)キャップが搬送中に所定時間の電子線照射を受けるようにする。(2)キャップが確実に殺菌できるようにする。(3)電子線照射により過熱等の弊害を受けないようにする。
【解決手段】充填後容器Bの口を封栓するキャップCを電子線照射により殺菌する電子線殺菌装置1において、所定の電子線照射範囲Rに電子線を照射する電子線照射装置と、キャップCをスターホイール外周部に円周等分に設けたポケット2pに嵌めこんで、水平軸21中心に回転させることによって搬送するキャップ搬送スターホイール2と、キャップ搬送スターホイール2により搬送されるキャップCをキャップ搬送スターホイール2の側面側12および外周側11でガイドするキャップガイド11,12とから成り、キャップ搬送スターホイール2の下部を電子線照射範囲Rとして、キャップCを電子線殺菌するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PETボトル等の容器に飲料等を充填する無菌充填ラインにおいて、充填後容器の口を封栓するキャップを封栓前に殺菌する殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PETボトル等の容器に飲料等を充填する方法として、充填する容器および封栓するキャップをそれぞれ殺菌した後、無菌雰囲気下で容器内へ飲料等を充填し、充填された容器の口に殺菌済キャップを封栓する無菌充填ラインは広く知られている。
キャップの殺菌には、従来過酸化水素や紫外線照射が多く用いられてきたが、近年、紫外線照射よりも殺菌力に勝る電子線照射による殺菌技術が注目され、開発されている。(特許文献1、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−128030号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2007−76730号公報(図1、図3、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1によれば、キャップの側面(円筒部)と摩擦接触する一対のベルトを互いに逆方向に異なる速度で走行させて、キャップを自転させつつ直線的に搬送させる間に、キャップの内面に対して斜め方向から電子線を照射して、キャップ内面を殺菌するとしている。
しかしながら、前記特許文献1の技術では、キャップの殺菌は内面のみの殺菌であるため、外面に付着していた菌がキャップを封栓する際に雰囲気下で浮遊して、キャップ封栓前の充填された容器内に侵入するという恐れがある。また、前記一対のベルトにも電子線が照射されるため、ベルトが早期に劣化してしまうという恐れもある。
【0005】
また、前記特許文献2によれば、殺菌室にPETボトルを搬送する搬送装置とキャップを搬送する搬送装置を備え、両搬送装置により搬送されるPETボトルとキャップに電子線を照射する電子線照射装置を設けて、該電子線照射装置はスキャンホーンを二股に分岐した構造とし、一方はPETボトルに、他方はキャップに電子線を照射してそれぞれにPETボトルとキャップを殺菌するとしている。
しかしながら、前記特許文献2の技術では、キャップが下流側に傾斜した搬送ガイド上を転がるか、キャップ送り込み装置によって加速度を与えられて転がることによって、キャップが搬送されるとしているので、キャップが滑って自転せずに電子線の照射を受けること、或いは、キャップが電子線の照射を受ける時間が一定でないことにより、キャップの内面の箇所によっては殺菌が不十分になるという恐れ、或いは、過度の電子線照射を受けてキャップに悪影響を与えるという恐れがある。
【0006】
本発明は、無菌充填ラインにおける充填後の容器の口を封栓するキャップを殺菌する電子線殺菌装置において、電子線照射領域でキャップが搬送中に自転して所定時間の電子線照射を受けるように、また、電子線照射の影部を作らないようにすることによってキャップが確実に殺菌できるように、さらに、キャップ搬送部が電子線照射により過熱等の弊害を受けないようにした電子線殺菌装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題に対し、本発明は以下の手段により解決を図る。
(1)第1の手段の電子線殺菌装置は、充填後容器の口を封栓するキャップを電子線照射により殺菌する電子線殺菌装置において、所定の電子線照射範囲に電子線を照射する電子線照射装置と、前記キャップをスターホイール外周部に円周等分に設けたポケットに嵌めこんで、水平軸中心に回転させることによって搬送するキャップ搬送スターホイールと、該キャップ搬送スターホイールにより搬送される前記キャップを前記キャップ搬送スターホイールの側面側および外周側でガイドするキャップガイドとから成り、前記キャップ搬送スターホイールの下部を前記電子線照射範囲として、前記キャップを電子線殺菌するように構成したことを特徴とする。
【0008】
(2)第2の手段の電子線殺菌装置は、前記第1の手段の電子線殺菌装置において、前記ポケットの形状を、前記キャップに接する凹面と該凹面から凹んだ前記キャップに接しない凹部の交互組み合わせ構成としたことを特徴とする。
【0009】
(3)第3の手段の電子線殺菌装置は、前記第1又は第2の手段の電子線殺菌装置において、前記電子線照射範囲で充填前容器も同時に前記電子線照射装置からの電子線照射を受けて殺菌できるように構成したことを特徴とする。
【0010】
(4)第4の手段の電子線殺菌装置は、前記第1から第3の手段のうちいずれかの電子線殺菌装置において、前記キャップ搬送スターホイールに開口部を設けて、前記電子線照射装置から照射される電子線が、前記キャップ搬送スターホイールの背面側に通過できるように構成したことを特徴とする。
【0011】
(5)第5の手段の電子線殺菌装置は、前記第4の手段の電子線殺菌装置において、前記キャップ搬送スターホイールの背面側に反射板を設けて、前記背面側に通過した電子線が、該反射板によって反射されて前記キャップの背面に照射できるように構成したことを特徴とする。
【0012】
(6)第6の手段の電子線殺菌装置は、前記第1から第5の手段のうちいずれかの電子線殺菌装置において、前記電子線照射範囲で、前記側面側のキャップガイドを前記キャップの搬送軌跡と非相似形になるようにして、前記キャップの内面および背面の全てが電子線照射を受けることができるように構成したことを特徴とする。
【0013】
(7)第7の手段の電子線殺菌装置は、前記第1から第6の手段のうちいずれかの電子線殺菌装置において、前記電子線照射範囲で、前記外周側のキャップガイドを前記キャップの搬送軌跡に対して蛇行形状として、前記キャップの円筒外周面の全てが電子線照射を受けることができるように構成したことを特徴とする。
【0014】
(8)第8の手段の電子線殺菌装置は、前記第1から第7の手段のうちいずれかの電子線殺菌装置において、前記キャップガイドを、内管に冷却水が循環する管状の構成としたことを特徴とする。
【0015】
(9)第9の手段の電子線殺菌装置は、前記第1から第8の手段のうちいずれかの電子線殺菌装置において、前記キャップ搬送スターホイールの電子線照射を受ける箇所に、冷却水が循環する冷却水配管が付設された構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係わる本発明は、充填後容器の口を封栓するキャップを電子線照射により殺菌する電子線殺菌装置において、所定の電子線照射範囲に電子線を照射する電子線照射装置と、前記キャップをスターホイール外周部に円周等分に設けたポケットに嵌めこんで、水平軸中心に回転させることによって搬送するキャップ搬送スターホイールと、該キャップ搬送スターホイールにより搬送される前記キャップを前記キャップ搬送スターホイールの側面側および外周側でガイドするキャップガイドとから成り、前記キャップ搬送スターホイールの下部を前記電子線照射範囲として、前記キャップを電子線殺菌するように構成したことにより、キャップが電子線照射範囲で、キャップ搬送スターホイールのポケットによって搬送され、キャップの自重と外周側のキャップガイドとの接触摩擦により自転して、キャップの全面に均一に電子線を照射でき、キャップが電子線照射を受ける時間が一定になるという効果を有する。
【0017】
請求項2に係わる本発明は、前記請求項1に記載する電子線殺菌装置において、前記ポケットの形状を、前記キャップに接する凹面と該凹面から凹んだ前記キャップに接しない凹部の交互組み合わせ構成としたことにより、前記キャップの自転が安定化して前記キャップの電子線殺菌が安定して行われるという効果を有する。
【0018】
請求項3に係わる本発明は、前記請求項1又は2に記載する電子線殺菌装置において、前記電子線照射範囲で充填前容器も同時に前記電子線照射装置からの電子線照射を受けて殺菌できるように構成したことにより、容器およびキャップが同時に、かつ、効率的に電子線殺菌できるという効果を有する。
【0019】
請求項4に係わる本発明は、前記請求項1から3のうちいずれか一項に記載する電子線殺菌装置において、前記キャップ搬送スターホイールに開口部を設けて、前記電子線照射装置から照射される電子線が、前記キャップ搬送スターホイールの背面側に通過できるように構成したことにより、前記キャップ搬送スターホイールの背面側に通過した電子線が前記キャップの背面にも照射できるという効果を有する。
【0020】
請求項5に係わる本発明は、前記請求項4に記載する電子線殺菌装置において、前記キャップ搬送スターホイールの背面側に反射板を設けて、前記背面側に通過した電子線が、該反射板によって反射されて前記キャップの背面に照射できるように構成したことにより、前記キャップの背面の殺菌が強力かつ効果的になされるという効果を有する。
【0021】
請求項6に係わる本発明は、前記請求項1から5のうちいずれか一項に記載する電子線殺菌装置において、前記電子線照射範囲で、前記側面側のキャップガイドを前記キャップの搬送軌跡と非相似形になるようにして、前記キャップの内面および背面の全てが電子線照射を受けることができるように構成したことにより、前記キャップの内面および背面の全ての面が均一に前記電子線の照射を受けることができるという効果を有する。
【0022】
請求項7に係わる本発明は、前記請求項1から6のうちいずれか一項に記載する電子線殺菌装置において、前記電子線照射範囲で、前記外周側のキャップガイドを前記キャップの搬送軌跡に対して蛇行形状として、前記キャップの円筒外周面の全てが電子線照射を受けることができるように構成したことにより、前記キャップの円筒外周面が均一に殺菌されるという効果を有する。
【0023】
請求項8に係わる本発明は、前記請求項1から7のうちいずれか一項に記載する電子線殺菌装置において、前記キャップガイドを、内管に冷却水が循環する管状の構成としたことにより、電子線照射を受けたキャップガイドが過熱されることを防止できるという効果を有する。
【0024】
請求項9に係わる本発明は、前記請求項1から8のうちいずれか一項に記載する電子線殺菌装置において、前記キャップ搬送スターホイールの電子線照射を受ける箇所に、冷却水が循環する冷却水配管が付設された構成としたことにより、電子線照射を受けたキャップ搬送スターホイールが過熱されることを防止できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる電子線殺菌装置の正面図で、摸式的に示した図である。
【図2】図1のA−A断面図で、要部拡大図としてある。
【図3】図1のB部拡大図で、要部のみ示してある。
【図4】図1のR部拡大図で、要部のみ示してある。
【図5】図4のD視図で、要部拡大図としてある。
【図6】反射板の各種形態を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係わる電子線殺菌装置の図3に相当する図で、要部拡大図としてある。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係わる電子線殺菌装置で、図1のA−A断面図に相当し、図2に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
(発明の第1の実施の形態)
【0027】
本発明の第1の実施の形態を図1から図6に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる電子線殺菌装置の正面図で、摸式的に示した図である。
図2は、図1のA−A断面図で、要部拡大図としてある。
図3は、図1のB部拡大図で、要部のみ示してある。
図4は、図1のR部拡大図で、要部のみ示してある。
図5は、図4のD視図で、要部拡大図としてある。
図6は、反射板の各種形態を説明する図である。
【0028】
図において、電子線殺菌装置1は、上流から矢印7の方向へシュート6上を搬送されてくるキャップCが、殺菌室40内のキャップ搬送スターホイール2に取り込まれて、外周側のキャップガイド11、側面側のキャップガイド12、側面側のキャップガイド13および側面側のキャップガイド14にガイドされて矢印2aの方向に搬送される間に、電子線照射範囲Rで殺菌室40の壁に設けられた電子線照射装置4からの電子線照射を受けて殺菌された後、矢印8aの方向に回転する排出スターホイール8によって矢印9の方向へ排出されるように主として構成されている。
なお、前記キャップ搬送スターホイール2と前記排出スターホイール8は同期して回転するようになっており、前記排出スターホイール8の外周側および側面側にキャップガイドが設けられているが、図示を省略してある。
【0029】
前記キャップ搬送スターホイール2は、図示しない駆動装置により回転駆動される水平軸21と連結体22を介して一体となった円板20が、該円板20の外周部に円周等分に設けられたポケット2pに前記キャップCを嵌めて矢印2aの方向に搬送するようになっているとともに、前記円板20と前記連結体22との間には冷却水通路25cを有するリング状の冷却水配管25が設けられており、前記冷却水通路25cは一対の冷却水配管23および一対の冷却水配管24が、それぞれ前記水平軸21の冷却水通路21aおよび冷却水通路21bと接続されて、前記冷却水通路21aから前記冷却水通路25cへ矢印23aの方向に冷却水が送られ、また、前記冷却水通路25cから前記冷却水通路21bへ矢印24aの方向に冷却水が戻されて循環されるように構成されている。
また、前記キャップ搬送スターホイール2には4箇所の開口部2wが設けられており、該開口部2wの開口の大きさは大きい方が望ましい。
なお、図1において、前記一対の冷却水配管23および一対の冷却水配管24は、前記連結体22の近傍に位置しており、重なった表示となっている。
【0030】
また、前記電子線殺菌装置1は、前記キャップ搬送スターホイール2の背面に図示しない機枠に取り付けられた反射板5を有しており、前記電子線照射装置4から照射される電子線が、前記開口部2wを通過し、該反射板5に反射して前記キャップCの背面に照射されるようになっている。
なお、前記反射板5は、図示L寸法(キャップCの背面と反射板の距離)が15mm以上となるように配置されるのが反射電子線の線量の観点から望ましい。
ここでは、前記反射板5は、前記キャップ搬送スターホイール2と平行に、かつ、鉛直方向に設けた構造としているが、図6(a)に示すように鉛直方向から角度αだけ傾けた反射板5aとしてもよく、図6(b)に示すように鉛直方向にβだけ傾けた反射板5b1と鉛直方向にγだけ傾けた反射板5b2を折れ線状に接続した構成としてもよく、或いは、図6(c)に示すように凹面形状の反射板5cとしてもよく、適宜選択してキャップCの背面への電子線照射を効果的に行うようにすることができる。
【0031】
なお、前記キャップCは、前記電子線照射範囲Rでは前記ポケット2pにより搬送力Fを与えられて搬送されるとともに、前記キャップガイド11と接触することにより、前記キャップCの自重と前記キャップガイド11との接触摩擦によって、図示Caの方向に自転するようになっている。
さらに、前記キャップガイド12および前記キャップガイド13は、前記電子線照射範囲Rでは直線部12sおよび直線部13sとなって、キャップCの搬送軌跡と非相似形になっており、前記キャップCの搬送中の自転を通して、前記キャップCの内面および背面の全てが前記電子線照射範囲Rで均一に電子線照射を受けることができるように構成されている。
ここで、図4では、便宜上キャップガイド14の図示を省略しているが、キャップガイド14も前記キャップガイド12およびキャップガイド13と同様に直線部を有した非相似形となっている。
【0032】
なお、前記キャップガイド11、前記キャップガイド12、前記キャップガイド13および前記キャップガイド14は管状となっており、図示しない配管接続により内管を冷却水が循環するようになっている。
また、前記キャップガイド11は、前記電子線照射範囲Rにおいて、図5(a)に示すように、前記キャップ搬送スターホイール2によるキャップCの搬送軌跡に対して蛇行しない形状としているが、図5(b)に示すように、前記キャップ搬送スターホイール2によるキャップCの搬送軌跡に対して蛇行した形状11aとすることもできる。
【0033】
次に、本発明の第1の実施の形態に係わる電子線殺菌装置1の作用を説明する。
上流から矢印7の方向へシュート6上を搬送されてくるキャップCは、殺菌室40内でキャップ搬送スターホイール2に取り込まれて、キャップガイド11、キャップガイド12、キャップガイド13およびキャップガイド14にガイドされて矢印2aの方向に搬送されて、電子線照射範囲Rに達すると、該キャップCが搬送により矢印Caの方向に自転しながら電子線照射装置4からの電子線照射を受けて殺菌される。
この際、電子線は、矢印4aのようにキャップCの内側に照射して殺菌するが、キャップ搬送スターホイール2には開口部2wが設けられているので、矢印4bのように該開口部2wを通過して、反射板5での反射によりキャップCの背面に照射して殺菌し、また、矢印4cのように反射板5に達して該反射板5での反射によりキャップCの背面を殺菌する。
【0034】
また、キャップガイド12、キャップガイド13およびキャップガイド14の形状が電子線照射範囲RにおいてキャップCの搬送軌跡と非相似形となっているので、キャップCの図示Ca方向の自転に伴い、前記電子線がキャップCの全面に照射されることになり、キャップCの電子線殺菌が効率的に行われる。
【0035】
なお、キャップガイド11は、図5(a)に示すように前記電子線照射範囲Rにおいて、キャップCの搬送軌跡と同じ形状(蛇行していない形状)の場合でも、前記キャップCの自転によって該キャップCの円筒部外周面も電子線殺菌が行われるが、図5(b)に示すようにキャップCの搬送軌跡に対して蛇行した形状11aとなっている場合には、前記キャップCの自転によって該キャップCの円筒部外周面がさらに均一に電子線照射を受けるため、電子線殺菌が効率的に行われる。
【0036】
また、前記キャップガイド11、キャップガイド12、キャップガイド13およびキャップガイド14は、内管に冷却水が循環するようになっているので、電子線照射を受けても過熱されることはなく、さらに、前記円板20は、冷却水が通過する冷却水配管25と接触した状態で設けられているので、電子線照射を受けても過熱されることはない。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態の電子線殺菌装置を図7に基づいて説明する。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係わる電子線殺菌装置の図3に相当する図で、要部拡大図としてある。
図7において、第1の実施の形態と同じ構造のものは図示を省略し、また、同じ記号を記してあり、重複する説明は省略する。
図において、電子線殺菌装置1aは、キャップ搬送スターホイール3の円板30のポケット3pが、キャップCと接する凹面3p1と該凹面3p1から凹んだ前記キャップCに接しない凹部3p2の交互組み合わせ構成となっている。
【0038】
次に、本発明の第2の実施の形態に係わる電子線殺菌装置1aの作用を説明する。
ポケット部3pで凹面3p1と接触するキャップCは、該キャップCの搬送方向後端の凹面3p11によって搬送力Fを与えられて搬送されるが、前記凹面3p11との接触によってキャップCの自転Caの逆方向に接触摩擦力が小さいながらも作用する。しかしながら、ポケット部3pが該キャップCと接する凹面3p1と該キャップCに接しない凹部3p2の交互組み合わせ構成にしてあるため、前記第1の実施の形態の図3の連続した凹面構成の場合と比較して、前記キャップCの自転Caの逆方向に作用する接触摩擦力は、図7の場合の方が小さく、キャップCが安定して自転することになり、該キャップCの全面が安定して殺菌されるという効果がある。
【0039】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を図8に基づいて説明する。
図8は、本発明の第3の実施の形態に係わる電子線殺菌装置で、図1のA−A断面図に相当し、図2に相当する図である。
図8において、第1の実施の形態と同じ構造のものは同じ記号を記してあり、重複する説明は省略する。
図において、電子線殺菌装置1bは、図示しない駆動装置により垂直の中心線52cの周りを水平回転する回転円板52に、PETボトル等の容器Bの首部Bnを把持する把持装置51が円周等分に設けられており、電子線照射範囲Rにおいて殺菌対象の前記容器Bが殺菌対象のキャップCのほぼ下方に位置するようになっていて、電子線照射装置4からの電子線照射を受けて、容器BとキャップCは同時に電子線殺菌されるように構成されている。
【0040】
次に、本発明の第3の実施の形態に係わる電子線殺菌装置1bの作用を説明する。
首部Bnが把持装置51によって把持されている容器Bは、円板52の水平回転により搬送されて電子線照射範囲R部に到達すると、電子線照射装置4からの電子線照射を受けて電子線殺菌され、容器BとキャップCが同じ電子線照射装置4からの電子線照射を受けて同時に殺菌することができる。
飲料の無菌充填ラインにおいては、充填前に容器BとキャップCは何れも殺菌する必要があり、前記説明のように、同じ電子線照射装置4からの電子線照射を受けて容器BとキャップCが同時に殺菌できることは、装置コストを節約することができるとともに、容器BとキャップCの殺菌を合理的に行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1、1a、1b 電子線殺菌装置
2、3 キャップ搬送スターホイール
2p、3p ポケット
2w 開口部
3p1 (ポケットの)凹面
3p2 (ポケットの凹面から凹んだ)凹部
4 電子線照射装置
5、5a、5b1、5b2、5c 反射板
11、12、13、14 キャップガイド
11a (外周側のキャップガイド)の蛇行形状(非相似形)
12s、13s (側面側のキャップガイド)の直線部(非相似形)
20、30 円板
21 水平軸
21a、21b、25c 冷却水通路
22 連結体
23、24 冷却水配管
25 冷却水配管
51 把持装置
52 円板
B 容器
C キャップ
R 電子線照射範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填後容器の口を封栓するキャップを電子線照射により殺菌する電子線殺菌装置において、所定の電子線照射範囲に電子線を照射する電子線照射装置と、前記キャップをスターホイール外周部に円周等分に設けたポケットに嵌めこんで、水平軸中心に回転させることによって搬送するキャップ搬送スターホイールと、該キャップ搬送スターホイールにより搬送される前記キャップを前記キャップ搬送スターホイールの側面側および外周側でガイドするキャップガイドとから成り、前記キャップ搬送スターホイールの下部を前記電子線照射範囲として、前記キャップを電子線殺菌するように構成したことを特徴とする電子線殺菌装置。
【請求項2】
請求項1に記載する電子線殺菌装置において、前記ポケットの形状を、前記キャップに接する凹面と該凹面から凹んだ前記キャップに接しない凹部の交互組み合わせ構成としたことを特徴とする電子線殺菌装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載する電子線殺菌装置において、前記電子線照射範囲で充填前容器も同時に前記電子線照射装置からの電子線照射を受けて殺菌できるように構成したことを特徴とする電子線殺菌装置。
【請求項4】
請求項1から3のうちいずれか一項に記載する電子線殺菌装置において、前記キャップ搬送スターホイールに開口部を設けて、前記電子線照射装置から照射される電子線が、前記キャップ搬送スターホイールの背面側に通過できるように構成したことを特徴とする電子線殺菌装置。
【請求項5】
請求項4に記載する電子線殺菌装置において、前記キャップ搬送スターホイールの背面側に反射板を設けて、前記背面側に通過した電子線が、該反射板によって反射されて前記キャップの背面に照射できるように構成したことを特徴とする電子線殺菌装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか一項に記載する電子線殺菌装置において、前記電子線照射範囲で、前記側面側のキャップガイドを前記キャップの搬送軌跡と非相似形になるようにして、前記キャップの内面および背面の全てが電子線照射を受けることができるように構成したことを特徴とする電子線殺菌装置。
【請求項7】
請求項1から6のうちいずれか一項に記載する電子線殺菌装置において、前記電子線照射範囲で、前記外周側のキャップガイドを前記キャップの搬送軌跡に対して蛇行形状として、前記キャップの円筒外周面の全てが電子線照射を受けることができるように構成したことを特徴とする電子線殺菌装置。
【請求項8】
請求項1から7のうちいずれか一項に記載する電子線殺菌装置において、前記キャップガイドを、内管に冷却水が循環する管状の構成としたことを特徴とする電子線殺菌装置。
【請求項9】
請求項1から8のうちいずれか一項に記載する電子線殺菌装置において、前記キャップ搬送スターホイールの電子線照射を受ける箇所に、冷却水が循環する冷却水配管が付設された構成としたことを特徴とする電子線殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−251708(P2011−251708A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125254(P2010−125254)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)