説明

電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物及びパターン形成方法

【解決手段】(A)アルカリ可溶性の高分子化合物、(B)酸発生剤、(C)塩基性成分として窒素を含有する化合物を含有し、上記(A)成分の高分子化合物が、架橋剤の存在下又は不存在下で、上記酸発生剤から発生する酸触媒によりアルカリ不溶性となる電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物であって、上記(A)成分かつ(C)成分が塩基性ポリマー(PB)を含むことを特徴とする電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【効果】超微細パターンを要求されるレジストパターンの形成において、上記化学増幅ネガ型レジスト組成物を用いることで、塩基の拡散を均一にでき、ラインエッジラフネスの改善、更には酸の基板界面の失活が抑制でき、アンダーカットの度合いが小さい電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子線用又は極端紫外線(EUV)用化学増幅ネガ型レジスト組成物、特に半導体基板やフォトマスク基板の加工の際に使用される、塩基性の高分子化合物を用いた電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物、及びそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められていることはよく知られている。これに伴って露光方法やレジスト組成物も大きく変化しており、特に0.2μm以下のパターンのリソグラフィーを行う場合、露光光源にはKrFやArFエキシマレーザー光、電子線(EB)等が用いられ、フォトレジストにはそれらの高エネルギー線に良好な感度を示し、高い解像度を与える化学増幅型レジストが使用されている。
【0003】
レジスト組成物には、露光部が溶解するポジ型と露光部がパターンとして残るネガ型があり、それらは必要とするレジストパターンに応じて使い易い方のものが選択される。化学増幅ネガ型レジスト組成物は、通常、水性アルカリ性現像液に溶解するポリマーと、露光光により分解して酸を発生する酸発生剤、及び酸を触媒としてポリマー間に架橋を形成してポリマーを現像液に不溶化させる架橋剤(場合によっては高分子化合物と架橋剤は一体化している)を含有しており、更に通常、露光で発生した酸の拡散を制御するための塩基性化合物が加えられる。
【0004】
上記水性アルカリ性現像液に溶解する高分子化合物を構成するアルカリ可溶性単位として、フェノール単位を使用するタイプのネガ型レジスト組成物は、特にKrFエキシマレーザー光による露光用として多数が開発された。これらは、露光光が150〜220nmの波長である場合、フェノール単位が光の透過性を持たないため、ArFエキシマレーザー光用のものとしては使用されなかったが、近年、より微細なパターンを得るための露光方法である、EB、EUV露光用のネガ型レジスト組成物として再び注目されており、特許文献1(特開2006−201532号公報)、特許文献2(特開2006−215180号公報)、特許文献3(特開2008−249762号公報)等が報告されている。
【0005】
上述のようなレジスト組成物の開発において、レジスト組成物に要求される特性としては、レジスト膜の基本的性能である高解像性のみならず、より高いエッチング耐性に対する要求もある。これは、パターンがより微細化するに従ってレジスト膜を薄くしていく必要があるためである。この高いエッチング耐性を得るための一つの方法として、インデンやアセナフチレンのような、芳香環と非芳香環を含む多環状の化合物で、非芳香環に芳香環に共役する炭素−炭素二重結合を持つ化合物を、ヒドロキシスチレン単位を持つポリマーの副成分として導入してやる方法が知られており、特許文献3(特開2008−249762号公報)にも開示されている。
【0006】
また、上述のようなレジスト組成物の開発において、レジスト性能を向上させるため、それぞれの材料について種々の改良が行われてきており、上述の酸の拡散を抑制するための塩基性化合物についても多くの改良が報告されている。例えば、露光時にレジスト膜上に水の膜を形成してArFエキシマレーザー光を用いて露光を行うArF液浸露光法に用いるレジスト組成物用として、レジスト膜に接触した水相に塩基性化合物が移動、拡散してレジスト表面領域の解像性が変化しないよう、ポリマーに塩基性化合物を結合させたものを使用する方法が提案されている(特許文献4:特開2008−133312号公報)。
【0007】
酸拡散を抑止するための目的ではないが、ポリマー中に窒素原子を含む部分構造を持たせる例が、特許文献5(特開2009−86310号公報)にヘテロ環を持つポリマーを用いたレジスト組成物の例として開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−201532号公報
【特許文献2】特開2006−215180号公報
【特許文献3】特開2008−249762号公報
【特許文献4】特開2008−133312号公報
【特許文献5】特開2009−86310号公報
【特許文献6】特開2009−263487号公報
【特許文献7】特開2008−102383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、要求されるパターンがより微細化するに従い、通常の塩基性化合物を使用するタイプのネガ型レジスト組成物には、多くの改良が加えられてきたが、パターン寸法が0.1μm以下というように非常に微細になるに従い、微細パターンにおいてパターン間に細い糸状のレジスト層が残ってしまうブリッジ問題、更にはラインエッジラフネスの低減といった問題は、従来の材料組成物では解決できなくなってきた。
【0010】
また、被加工基板の材料によって基板近傍で形状が変化する、いわゆるパターンの基板依存性の問題は、目的とするパターンの微細化に伴い、小さな形状変化も問題となるようになってきた。特にフォトマスクブランクを加工する際、フォトマスクブランクの最表面の材料であるクロム酸化窒化物上で化学増幅ネガ型レジスト組成物を用いてパターン形成を行うと、基板接触部でパターンに切れ込みが入ってしまう、いわゆるアンダーカットが発生し、従来材料では十分な解決に至らなかった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、ラインエッジラフネスを低減し、パターンの基板依存性の小さい電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、レジスト膜表面が水のような媒体に接触する特許文献4(特開2008−133312号公報)に記載された液浸露光法のような方法ではない電子線露光法やEUV露光法に用いる化学増幅ネガ型レジスト組成物においても、化学増幅ネガ型レジスト組成物に用いる塩基性物質として、2級又は3級アミン構造を側鎖に有するポリマーを含有させたところ、ラインエッジラフネスの低減、更にパターンの基板依存性も小さいことを見出し、本発明をなすに至った。
【0013】
即ち、本発明は、下記の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物及びパターン形成方法を提供する。
請求項1:
(A)アルカリ可溶性の高分子化合物、
(B)酸発生剤、及び
(C)塩基性成分として窒素を含有する化合物
を含有し、上記(A)成分の高分子化合物が、架橋剤の存在下又は不存在下で、上記酸発生剤から発生する酸触媒によりアルカリ不溶性となる電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物であって、
上記(A)成分かつ(C)成分である高分子化合物として、下記一般式(1)及び(2)
【化1】

(式中、Aは単結合、又は鎖の中間にエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。B1、B2及びB3はそれぞれ独立に単結合、又はエーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、エーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数5〜10の2価の脂環式基、及びエーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族基より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせよりなる結合鎖である。Z1及びZ2は単結合、−CO−O−又は−O−CO−を示す。但し、B1、B2及びB3にエーテル性酸素原子が含まれる場合は、−O−O−構造となることはなく、Z2が−CO−O−又は−O−CO−である場合は、B3が単結合になることはない。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示す。但し、R3、R4は同時に水素原子であることはない。R3及びR4は互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成していてもよく、その場合、炭素数2〜12のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。また、B3とR3又はB3とR4が結合して、これらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、その場合、該窒素原子を含む環は5〜7員環であるが、該窒素原子の孤立電子対が該窒素原子を含む環に芳香族性を与える構造の環となることはなく、また、該窒素原子を含む環が芳香環となることはない。aは0〜4の整数、bは1〜5の正の整数である。p、qはそれぞれ独立に0又は1を示し、tは0〜2の整数を示す。但し、qが0であるとき、B1の主鎖炭素と結合する原子は、エーテル性酸素原子又は芳香環の一部をなす炭素原子であり、更にqが0かつZ1及びZ2が単結合である場合には、B1、B2及びB3の一部には必ずアルキレン基に由来する2つ以上の連続する炭素原子又は芳香族基が含まれる。)
で示される繰り返し単位を有し、重量平均分子量が1,000〜50,000である塩基性ポリマー(PB)を含むことを特徴とする電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
請求項2:
上記塩基性ポリマー(PB)は、更に下記一般式(3)
【化2】

(式中、R1は上記の通り。R5はハロゲン原子、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルキル基又はアルコキシ基、炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、脂環式基、芳香族基、又は炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアシルオキシ基を示す。cは0〜5の整数である。)
で示される単位を含有する請求項1に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
請求項3:
上記塩基性ポリマー(PB)は、更に下記一般式(4)及び/又は(5)
【化3】

(式中、dは0〜4の整数であり、R6はそれぞれ独立に、水酸基、ハロゲン原子、炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアシルオキシ基、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルコキシ基、又は炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアルコキシカルボニル基を示す。)
で示される単位を含有する請求項1又は2に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
請求項4:
上記(A)成分の一部として、更に上記式(2)で示される繰り返し単位を含有しないポリマーを含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
請求項5:
上記(C)成分の一部として、更に分子量1,000以下の塩基性化合物を含有し、かつ、該分子量1,000以下の塩基性化合物の含有量は、(B)成分である酸発生剤の20分の1モル以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
請求項6:
酸触媒により(A)成分と反応して(A)成分をアルカリ不溶性とする架橋剤を含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
請求項7:
(A)成分の高分子化合物が、下記一般式M−1又はM−2で示される繰り返し単位を含有し、レジスト組成物は架橋剤を含有しない請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【化4】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Ba1は単結合又は鎖の中間にエーテル結合を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Ba2は鎖の中間にエーテル結合を含んでもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示すが、Ba1、Ba2のいずれにおいてもエーテル結合を含む場合、エーテル結合はエステル酸素に対しβ位より遠い位置に入る。)
請求項8:
被加工基板上に請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、電子線又はEUV光をパターン照射する工程、及びアルカリ性現像液を用いて現像してレジストパターンを得る工程を含むパターン形成方法。
請求項9:
上記被加工基板の最表面が、クロムを含む材料からなる請求項8に記載のパターン形成方法。
請求項10:
上記被加工基板が、フォトマスクブランクである請求項8又は9に記載のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、超微細パターンを要求されるレジストパターンの形成において、上記塩基性高分子化合物を含有する電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物を用いることで、塩基性化合物のレジスト膜中の微細な分布及び拡散をより均一にすることができ、ラインエッジラフネスの改善、更には酸の基板界面の失活が抑制でき、ネガ型レジスト膜特有のアンダーカットの度合いが小さいレジストプロファイルの形成を可能とする電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物は、
(A)アルカリ可溶性の高分子化合物、
(B)酸発生剤、
(C)塩基性成分として窒素を含有する化合物、及び
必要により架橋剤を含有し、上記(A)成分の高分子化合物が、架橋剤の存在下又は不存在下で、上記酸発生剤から発生する酸触媒によりアルカリ不溶性となる電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物であって、上記(A)成分かつ(C)成分である高分子化合物として、下記一般式(1)及び(2)
【化5】

(式中、Aは単結合、又は鎖の中間にエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。B1、B2及びB3はそれぞれ独立に単結合、又はエーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、エーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数5〜10の2価の脂環式基、及びエーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族基より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせよりなる結合鎖である。Z1及びZ2は単結合、−CO−O−又は−O−CO−を示す。但し、B1、B2及びB3にエーテル性酸素原子が含まれる場合は、−O−O−構造となることはなく、Z2が−CO−O−又は−O−CO−である場合は、B3が単結合になることはない。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示す。但し、R3、R4は同時に水素原子であることはない。R3及びR4は互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成していてもよく、その場合、炭素数2〜12のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。また、B3とR3又はB3とR4が結合して、これらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、その場合、該窒素原子を含む環は5〜7員環であるが、該窒素原子の孤立電子対が該窒素原子を含む環に芳香族性を与える構造の環となることはなく、また、該窒素原子を含む環が芳香環となることはない。aは0〜4の整数、bは1〜5の正の整数である。p、qはそれぞれ独立に0又は1を示し、tは0〜2の整数を示す。但し、qが0であるとき、B1の主鎖炭素と結合する原子は、エーテル性酸素原子又は芳香環の一部をなす炭素原子であり、更にqが0かつZ1及びZ2が単結合である場合には、B1、B2及びB3の一部には必ずアルキレン基に由来する2つ以上の連続する炭素原子又は芳香族基が含まれる。)
で示される繰り返し単位を有する塩基性ポリマー(PB)を含有することを特徴とする。
【0016】
上記式(1)で示される繰り返し単位は、エッチング耐性を与えると共に、基板に対する密着性とアルカリ性現像液に対する溶解性とを与える繰り返し単位である。この繰り返し単位は、上述の先行技術を含め、既に多くのKrFエキシマレーザー用レジスト組成物や電子線用レジスト組成物で用いられている。
【0017】
上記式(1)中、Aは単結合、又は鎖の中間にエーテル性酸素原子(エーテル結合)を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。
好ましいアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、及び分岐又は環構造を持つ炭素骨格の構造異性体等が挙げられ、エーテル性酸素原子を含む場合には、上記式(1)中のpが1である場合には、エステル酸素に対してα位の炭素とβ位の炭素の間を除くいずれの箇所に入ってもよい。また、pが0である場合には、主鎖と結合する原子がエーテル性酸素原子となり、該エーテル性酸素原子に対してα位の炭素とβ位の炭素の間を除くいずれの箇所に第2のエーテル性酸素原子が入ってもよい。なお、上記アルキレン基の炭素数が10を超える場合はアルカリ性現像液に対する溶解性が低くなり、好ましくない。
【0018】
2はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。炭素数1〜6のアルキル基の好ましい例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、及び分岐又は環構造を持つ炭素骨格の構造異性体等が挙げられる。なお、炭素数が6を超えると、アルカリ性現像液に対する溶解性が低くなり、好ましくない。
【0019】
aは0〜4の整数、bは1〜5の正の整数であるが、tが0の場合、好ましくはaは0〜3の整数、bは1〜3の正の整数であり、tが1又は2の場合、好ましくはaは0〜4の整数、bは1〜5の正の整数である。
tは0〜2の整数を示し、0の場合はベンゼン骨格、1の場合はナフタレン骨格、2の場合はアントラセン骨格をそれぞれ示す。
【0020】
上記式(1)で示される繰り返し単位のうち、pが0かつAが単結合である場合、つまり芳香環が高分子化合物の主鎖に直接結合した、即ちリンカーのない場合の繰り返し単位は、ヒドロキシスチレン単位に代表される、水酸基が置換された芳香環にα−位置換又は非置換のビニル基が結合されたモノマーに由来する単位であるが、好ましい具体例としては、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、5−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン、6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン等を挙げることができる。
また、pが1である場合、つまりリンカーとしてエステル骨格を有する場合の繰り返し単位は、(メタ)アクリル酸エステルに代表される、カルボニル基が置換したビニルモノマー単位である。
【0021】
(メタ)アクリル酸エステル由来のリンカー(−CO−O−A−)を持つ場合の上記式(1)の好ましい具体例を以下に示す。
【化6】

【0022】
上記式(2)で示される繰り返し単位は、塩基性活性点として異なる炭素2つが結合した2級アミノ基、又は異なる炭素が3つ結合した3級アミノ基を持つ側鎖を有する繰り返し単位である。Z2が−O−CO−である場合、B3が単結合になることはないため、上記式(2)中にNで示された窒素原子はアミド性窒素となることはなく、また、ピリジン環やピロール環に含まれる窒素とは異なることからプロトンを強く捕捉する能力を有する。また、上記式(2)で示される繰り返し単位の側鎖は、エステル構造を有する場合は、又はエステル構造を持たない場合でも、上記式(2)中のB1、B2又はB3で示された基は、部分構造として2炭素以上のアルキレン基や芳香族基に由来する自由回転可能な2つ以上の単結合を有する結合鎖を含むことから、窒素原子はプロトンを捕捉するために十分な熱運動能を持つ。特に、エステル構造を持つ場合や、上記式(2)中のB1、B2又はB3で示された基が部分構造としてアルキレン基に由来する2つ以上の連続する炭素原子を含む場合には、前記Nで示された窒素原子は高い熱運動能を持つことから有利な酸捕捉能を有する。つまり、上記式(2)中のNで示された窒素原子は、十分な熱運動能をもち有利な酸捕捉能を有する。
【0023】
なお、特許文献5(特開2009−86310号公報)に、ポリマー中にピロール環、ピリジン環に由来する窒素原子や、主鎖との相対位置において自由度の低い窒素原子を持つヘテロ環を持たせたポリマーを使用した例が挙げられているが、特許文献5(特開2009−86310号公報)に示されたレジスト組成物は、塩基性化合物を別に添加するものである。その実施例データを見ると、窒素原子を持つポリマーの感度は窒素原子を持たないポリマーの感度よりも低くなる傾向を示しておらず、特許文献5(特開2009−86310号公報)に挙げられたポリマー中の窒素はプロトン捕捉能が低く、本発明の上記式(2)で示された繰り返し単位とは異なる機能を果たしていることが分かる。
【0024】
上記式(2)中、B1、B2及びB3はそれぞれ独立に単結合、又はエーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、エーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数5〜10の2価の脂環式基、及びエーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族基より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせよりなる結合鎖である。また、Z1及びZ2は単結合、−CO−O−又は−O−CO−を示す。但し、B1、B2及びB3にエーテル性酸素原子が含まれる場合は、−O−O−構造となることはなく、Z2が−CO−O−又は−O−CO−である場合は、B3が単結合になることはない。
【0025】
1、B2及びB3を構成することができる好ましいアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、及び分岐構造を持つこれらの構造異性体等が挙げられ、更に上記アルキレン基は中間にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい。好ましい具体例としては、エステル酸素側より、エチレンオキシメチレン基、エチレンオキシエチレン基、エチレンオキシ−1,2−プロピレン基、エチレンオキシ−1,3−プロピレン基、1,2−プロピレンオキシメチレン基、1,2−プロピレンオキシエチレン基、1,2−プロピレンオキシ−1,2−プロピレン基、1,2−プロピレンオキシ−1,3−プロピレン基、1,3−プロピレンオキシメチレン基、1,3−プロピレンオキシエチレン基、1,3−プロピレンオキシ−1,2−プロピレン基、1,3−プロピレンオキシ−1,3−プロピレン基等が挙げられる。また、好ましい脂環式基としては、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2,3−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基、2,6−ノルボルニレン基、1,3−アダマンチレン基等が挙げられる。好ましい芳香族基としては、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基等が挙げられる。
【0026】
1、B2及びB3は、それぞれ上記例示した基等を1種単独で又は2種以上を組み合わせて炭素数が14、好ましくは10を超えないように選択可能である。なお、炭素数が14を超える場合は、アルカリ性現像液に対する溶解性が低くなり、好ましくない。
【0027】
上記式(2)中、qは0又は1を示す。qが0である場合には、B1の主鎖炭素と結合する原子が、エーテル性酸素原子又は芳香環の一部をなす炭素原子であることにより、重合時の繰り返し単位(2)を得るための材料モノマーを、他の繰り返し単位との間で容易に共重合させ得る。qが1である場合、上記式(2)で示される単位は(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位である。また、qが0かつZ1及びZ2が単結合である場合には、B1、B2及びB3の一部には必ずアルキレン基に由来する2つ以上の連続する炭素原子、又は芳香族基が含まれる。
【0028】
3、R4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示し、但し、R3、R4は同時に水素原子であることはない。また、R3、R4は互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成していてもよく、その場合、炭素数2〜12のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。
【0029】
好ましくは炭化水素基としてメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、エーテル結合を含む炭化水素基としては、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−プロポキシエチル基、2−イソプロポキシエチル基、2−メトキシプロピル基、2−エトキシプロピル基、2−プロポキシプロピル基、2−イソプロポキシプロピル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−プロポキシプロピル基等が挙げられる。互いに環を形成する場合は、好ましくは5員環又は6員環である。上記ヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄等が挙げられ、より好ましくは酸素である。
【0030】
また、B3とR3又はB3とR4が結合して、これらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、その場合、該窒素原子を含む環は5〜7員環であり、好ましくは5員環又は6員環である。但し、B3とR3又はB3とR4が結合して、これらが結合する窒素原子と共に環を形成する場合、上記一般式(2)中のNで示された窒素原子の孤立電子対が該窒素原子を含む環に芳香族性を与える構造の環となることはなく、また、該窒素原子を含む環が芳香環となることはない。このような除かれる構造の環としては、ピロール環、ピリジン環等が挙げられる。
【0031】
(メタ)アクリル酸エステルに由来する、即ちqが1であり、B1及びB2が単結合、Z1及びZ2が単結合、B3がアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。なお、下記式中、R1は上記の通りであり、Meはメチル基を示す(以下、同様)。
【0032】
【化7】

【0033】
【化8】

【0034】
【化9】

【0035】
【化10】

【0036】
qが1であり、B1及びB2が単結合、Z1及びZ2が単結合、B3が脂環式基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化11】

【0037】
qが1であり、B1及びB2が単結合、Z1及びZ2が単結合、B3がエーテル性酸素原子を含むアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化12】

【0038】
qが1であり、B1及びB2が単結合、Z1及びZ2が単結合、B3が芳香族基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化13】

【0039】
qが1であり、B1が単結合、Z1が単結合、B2が脂環式基、Z2が−O−CO−又は−CO−O−、B3がアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化14】

【0040】
【化15】

【0041】
qが1であり、B1が単結合、Z1が単結合、B2がアルキレン基、Z2が−CO−O−、B3がアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化16】

【0042】
qが0であり、B1が単結合、Z1が単結合、B2が芳香族基、Z2が単結合、B3が単結合、アルキレン基又はエーテル性酸素原子を含むアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化17】

【0043】
【化18】

【0044】
【化19】

【0045】
qが0であり、B1が単結合、Z1が単結合、B2が芳香族基であり、Z2が−CO−O−、B3がアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化20】

【0046】
qが0であり、B1が芳香族基、Z1が−CO−O−、B2が脂環式基、Z2が−CO−O−又は−O−CO−、B3がアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化21】

【0047】
【化22】

【0048】
更にqが0であり、B1及びB2が単結合、Z1及びZ2が単結合、B3がエーテル性酸素原子を含有するアルキレン基である場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化23】

【0049】
本発明のレジスト組成物に使用するポリマー(PB)の主要構成単位として加えることができる単位として、下記一般式(3)で示される単位を挙げることができる。
【化24】

(式中、R1は上記の通り。R5はハロゲン原子、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルキル基又はアルコキシ基、炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、脂環式基、芳香族基、又は炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアシルオキシ基を示す。cは0〜5の整数である。)
【0050】
上記R5において、これがハロゲン原子を示す場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基のアルコキシ基としては、炭素数1〜6、特に1〜4のものが好ましく、メトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。置換可アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基、及びこれらのアルキル基の水素原子の1個又は複数個をハロゲン原子等で置換した置換アルキル基が挙げられる。また、アシルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基及びその構造異性体、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等や、これらの基の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたものを好ましく用いることができる。更に、脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができ、芳香族基としては、無置換又はハロゲン原子もしくはアルコキシ基で置換されたフェニル基等を挙げることができる。なお、これらの基がハロゲン原子で置換される場合には、塩素原子又はフッ素原子で置換されていることが好ましい。
【0051】
これらを構成成分として使用した場合には、芳香環が持つエッチング耐性やポリマーの溶解速度調整に加えて、R5の置換基を適宜変更することで架橋効率のコントロールが可能となり、材料設計に寄与することができる。
【0052】
本発明のレジスト組成物に使用するポリマー(PB)の主要構成単位として加えることができる単位として、更に下記一般式(4)及び/又は(5)で示される単位を挙げることができる。
【化25】

(式中、dは0〜4の整数であり、R6はそれぞれ独立に、水酸基、ハロゲン原子、炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアシルオキシ基、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルコキシ基、又は炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアルコキシカルボニル基を示す。)
【0053】
上記式(4)及び(5)のR6の水酸基以外の具体例は、上記式(3)で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
上記式(4)及び/又は(5)で示される単位を構成単位として使用した場合には、芳香環が持つエッチング耐性に加えて、主鎖に環構造が加わることによるエッチングやパターン検査の際の電子線照射耐性を高めるという効果を得ることができる。
【0054】
上記塩基性ポリマー(PB)を構成する繰り返し単位の構成比は、下記のように設計することができる。
まず、上記ポリマー(PB)に含まれるエッチング耐性及び極性とアルカリ性現像液に対する溶解性を与える上記繰り返し単位(1)は、極性の強さと芳香環の持つ脂溶性、アルキル置換基の有無にもよるが、現像時に残渣を生じない程度のアルカリ溶解性が求められ、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上となるよう設計される。また、この場合、上記繰り返し単位(1)は1種のみが用いられても、2種以上の複数種が混合されて用いられてもよい。なお、上記ポリマー(PB)における繰り返し単位(1)の上限という意味では、上記ポリマー(PB)以外のポリマーを上記(A)成分の高分子化合物としてブレンドする場合には、上記ポリマー(PB)を構成する繰り返し単位として、後述の繰り返し単位(2)を除いた全てが繰り返し単位(1)で占められてもよい。
【0055】
また、上記塩基性を有する繰り返し単位(2)の含有量は、レジスト膜を構成するレジスト組成物に含まれるポリマー全体に対する割合と、単体としてのポリマー(PB)中の構成比との2つ間で設計することが必要である。本発明の効果を得るためには、レジスト膜を構成する高分子化合物全体における合計の繰り返し単位中、上記繰り返し単位(2)の含有率が、好ましくは0.005〜10モル%、より好ましくは0.01〜3モル%、更に好ましくは0.1〜1.5モル%となるように設計される。そこで、上記(A)成分の高分子化合物の全てが上記ポリマー(PB)であり、かつ該ポリマー(PB)が単一材料である場合には、上記塩基性を有する繰り返し単位(2)の含有率は、好ましくは0.005〜10モル%、より好ましくは0.01〜3モル%、更に好ましくは0.1〜1.5モル%となる。
【0056】
また、ポリマー(PB)のブレンドを行う場合や、後述するように上記(A)成分の高分子化合物としてポリマー(PB)とは異なる高分子化合物、即ち塩基性側鎖を持たない高分子化合物が配合される場合には、上記範囲とは異なる構成比を持つ高分子化合物を配合することがある。上記繰り返し単位(2)を最大に含ませるためには、上記繰り返し単位(1)の必要量以外を全て上記繰り返し単位(2)とすることができる。その場合、ポリマー(PB)は、繰り返し単位(2)の含有率を好ましくは70モル%以下、更に好ましくは60モル%以下、特に好ましくは50モル%以下として配合することで、レジストパターン形成における良好なクエンチ効果を得ることができる。また、この場合、上記繰り返し単位(2)は1種のみが用いられても、複数種が混合されて用いられてもよい。なお、この場合の下限は、重合時のモノマーの配合のし易さという意味では、1モル%以上、特に5モル%以上が好ましい。
【0057】
上記繰り返し単位(3)は、高分子化合物の架橋剤との反応性の制御及びアルカリ性現像液に対する溶解性を制御する繰り返し単位であるが、この単位は、上記(A)成分の高分子化合物の一部として上記ポリマー(PB)ではない高分子化合物が用いられ、これによって上記繰り返し単位のレジスト膜中の濃度や、現像液に対する溶解性が制御される場合には、上記ポリマー(PB)の必須繰り返し単位ではない。しかし、高分子化合物間のブレンドを行う際の自由度を確保する上では上記繰り返し単位(3)が含まれることが好ましい。上記繰り返し単位(3)が含まれる場合、含有率は、ポリマー(PB)を構成する全ての繰り返し単位中、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは5〜30モル%である。また、この場合、上記繰り返し単位(3)は1種のみが用いられても、複数種が混合されて用いられてもよい。
【0058】
上記繰り返し単位(4)や(5)は、主鎖に環構造を与え、エッチング耐性を向上させる単位であり、1種のみでも、複数種を組み合わせて使用してもよい。エッチング耐性を向上させるという効果を得るためにはポリマー(PB)を構成する全繰り返し単位中、5モル%以上の導入が好ましい。また、上記繰り返し単位(4)や(5)中の官能基が、水酸基である場合の導入率は、上記繰り返し単位(1)の好ましい範囲に合算され、官能基を持たない場合や、官能基が水酸基以外の場合には、上記導入率は30モル%以下であることが好ましい。官能基を持たない場合や、官能基が水酸基以外の場合の導入率が30モル%を超えると、現像欠陥の原因となることがある。
【0059】
上記ポリマー(PB)は、主要構成単位として上述の繰り返し単位が含まれ、かつ上述の含有率で含まれることが望ましいが、その他の繰り返し単位として常用される公知の繰り返し単位を、目安として30モル%以下程度であれば含んでもよい。その他の繰り返し単位としては、常用されるオキシラン環を持った架橋性単位である(メタ)アクリル酸エステル単位や、ラクトン構造等の密着性基を持つ(メタ)アクリル酸エステル単位を使用してもよい。これらのその他の繰り返し単位によってレジスト膜の特性の微調整を行ってもよいが、これらの単位を含まなくてもよい。
【0060】
本発明のレジスト組成物に用いる上記繰り返し単位を含有するポリマー(PB)は、公知の方法によって、それぞれの単量体を必要に応じて保護、脱保護反応を組み合わせ、共重合を行って得ることができる。共重合反応は特に限定されるものではないが、好ましくはラジカル重合、アニオン重合又は配位重合である。これらの方法については特許文献2〜5(特許文献2:特開2006−215180号公報、特許文献3:特開2008−249762号公報、特許文献4:特開2008−133312号公報、特許文献5:特開2009−86310号公報)を参考にすることができる。
【0061】
上記ポリマー(PB)の重量平均分子量は、一般的な方法としてポリスチレンを標準サンプルとしてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した場合、1,000〜50,000であり、好ましくは1,000〜20,000である。重量平均分子量が1,000より小さいと、従来知られているように、パターンの頭が丸くなって解像力が低下すると共に、ラインエッジラフネスが劣化する。一方、上記分子量が必要以上に大きくなった場合、解像するパターンにもよるが、ラインエッジラフネスが増大する傾向を示し、特にパターン線幅が100nm以下のパターンを形成する場合には、上記分子量を20,000以下に制御することが好ましい。
【0062】
更に、本発明に用いるポリマー(PB)においては、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0、特に1.0〜2.5と狭分散であることが好ましい。分子量分布が広い場合には、現像後、パターン上に異物が生じたり、パターンの形状が悪化することがある。
【0063】
本発明のレジスト組成物の(A)成分に属する高分子化合物は、全て(C)成分でもあるポリマー(PB)でもよいが、(C)成分に属さない高分子化合物を一部含んでいてもよい。
このような上述のポリマー(PB)ではない、つまり(C)成分の概念による高分子化合物でない(A)成分に属する高分子化合物としては、公知の化学増幅ネガ型レジスト組成物に用いられる、アルカリ可溶性であり、かつ酸発生剤及び架橋剤存在下で高エネルギー線の照射によりアルカリ不溶性となるものであれば如何なる高分子化合物を用いても構わないが、(C)成分の概念による高分子化合物と混合した際に相分離を起こさないものである必要があり、繰り返し単位の基本構造が類似であるがアミノ基を含有する繰り返し単位を含まない高分子化合物を選択することが好ましい。つまり、上記式(1)で示される繰り返し単位を持つ(C)成分の概念による高分子化合物と組み合わせる場合、芳香環を繰り返し単位に持つもの、例えばスチレン誘導体単位や(メタ)アクリル酸芳香族エステル単位を持つものであることが好ましい。
【0064】
例えば、電子線露光用又はEUV露光用として上記式(1)〜(3)から選ばれる繰り返し単位を含む高分子化合物を用いた場合には、上記式(1)と(3)を含有する高分子化合物を上述の(C)成分の概念による高分子化合物でない(A)成分の高分子化合物として選択することが好ましい。また、上記式(4)や(5)で示される繰り返し単位は、相互に類似した繰り返し単位として扱うことができることから、上述の類似性は厳密である必要はないが、殆どの繰り返し単位が(メタ)アクリル酸系モノマー由来であるものと、殆どの繰り返し単位がスチレン系モノマー由来であるものとのような組み合わせは好ましくない。
【0065】
なお、上述のように、ポリマー(PB)同士や、ポリマー(PB)とポリマー(PB)でない(A)成分に属する高分子化合物をブレンドする場合でも、ポリマー(PB)を単独で使用する場合でも、(A)成分の高分子化合物は、全体として、化学増幅ネガ型レジスト組成物用高分子化合物に必要なアルカリ性現像液に対する溶解性や架橋反応性を有するように、各繰り返し単位が適切な組成比を持つように設計される。上記繰り返し単位(2)が含まれる場合の好ましい組成比については上述の通りであるが、(A)成分の高分子化合物が、全体として主に上記繰り返し単位(1)〜(5)で構成される場合、上記繰り返し単位(1)の(A)成分に属する高分子化合物全体を構成する全繰り返し単位における割合は、好ましくは50〜90モル%、より好ましくは60〜85モル%を満たすように設計される。更に、繰り返し単位(4)や(5)中のR6で示される官能基が水酸基でない場合の、繰り返し単位(3)と繰り返し単位(4)や(5)の合計の含有率は、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは5〜30モル%であり、上記繰り返し単位(4)や(5)中のR6で示される官能基が水酸基でない場合の上記繰り返し単位(4)や(5)の含有率は30モル%以下であることが好ましい。一方、上記繰り返し単位(4)や(5)のR6で示される官能基が水酸基である場合には、上記繰り返し単位(1)の好ましい範囲に合算して設計される。
【0066】
上記式(1)〜(3)で示される繰り返し単位、更に上記式(4)や(5)で示される繰り返し単位を構成単位として持つポリマー(PB)、つまり(C)成分の概念による高分子化合物との組み合わせに好ましい(C)成分の概念に入らない高分子化合物を構成する繰り返し単位の組み合わせの具体例を下記に例示する。
【0067】
【化26】

【0068】
【化27】

【0069】
上記ポリマー(PB)ではない、即ち(C)成分の概念による高分子化合物ではないポリマーの多量の混合は、ミクロにみた場合には塩基性機能を持つ単位の局在化となり、ラフネスの増大の原因となる可能性がある。そこで、理論的には本発明の効果を最大限に実現するためには、(A)成分の高分子化合物は、全てポリマー(PB)とすることが望ましいことになる。しかし、分子量1,000以下の低分子量の塩基性物質を用いた場合に生じる、レジスト膜成膜時の溶剤蒸発や基板やレジスト表面の表面エネルギーによる塩基性物質の望ましくない拡散現象は、塩基性物質の高分子量化によって防止されるものと思われ、事実としてかなりの量の上記(C)成分の概念による高分子化合物ではない高分子化合物を加えたレジスト組成物を用いても、そのレジスト組成物を用いたレジスト膜より得られるレジストパターンのラフネスの低減効果が確認される。
【0070】
そこで、上記(C)成分の概念による高分子化合物でない(A)成分の高分子化合物を、上記ポリマー(PB)の(C)成分の概念による高分子化合物と混合する場合、上記(C)成分の概念による高分子化合物でない(A)成分の高分子化合物の含有量は、レジスト組成物中の全高分子化合物100質量部中、99.5質量部以下、特に99質量部以下であることが好ましい。この(C)成分の概念による高分子化合物でない(A)成分の高分子化合物の割合がこれより多い場合(塩基性を持つ高分子化合物が局在化しすぎている場合)には、解像性の劣化やラフネスの増大が起きる可能性がある。
【0071】
公知の化学増幅ネガ型レジスト組成物と同様、本発明のネガ型レジスト組成物には架橋剤が添加されるが、上記(A)成分の高分子化合物が、酸触媒により架橋を形成する機能を有する繰り返し単位を有することにより酸触媒によりアルカリ不溶性となる高分子化合物である場合は、架橋剤が添加されなくてもよい。
【0072】
上記酸触媒により架橋を形成する機能を有する繰り返し単位は、反応機構として上記式(1)に対する求電子反応によって、ポリマー内及び/又はポリマー間に架橋を形成するものである。この場合、上記酸触媒により架橋を形成する機能を有する繰り返し単位としては、オキシラン環構造やアセタール構造のような官能基を含む繰り返し単位が好ましく用いられる。このような機能を有する繰り返し単位の好ましい具体例としては、下記M−1及びM−2を挙げることができる。
【化28】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Ba1は単結合又は鎖の中間にエーテル結合を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Ba2は鎖の中間にエーテル結合を含んでもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示すが、Ba1、Ba2のいずれにおいてもエーテル結合を含む場合、エーテル結合はエステル酸素に対しβ位より遠い位置に入る。)
【0073】
上記の好ましい繰り返し単位のうち、特にM−1が好ましく、Ba1が単結合又はメチレン基もしくはエチレン基であれば、ポリマーの剛直性、エッチング耐性を損なうおそれがないため、更に好ましい。
【0074】
上述のような架橋性繰り返し単位を(A)成分である高分子化合物に導入する場合、ポリマー全体に対する導入率は、目安として5モル%以上とすることで溶解性変化能を確保することができ、上限を50モル%程度とすることで、上述のポリマー設計をそのまま適用することができる。
【0075】
一方、架橋剤を添加する方法はより一般的であり、架橋剤は、上記光酸発生剤より発生した酸を触媒として、上記ポリマーと反応して、ポリマー内及びポリマー間に架橋を形成し、ポリマーをアルカリ不溶性とするものである。これは、通常上記ポリマーの構成単位に含まれる芳香環又は水酸基に対して求電子的に反応して結合を形成する複数の官能基を有する化合物であり、既に多数の化合物が公知である。
【0076】
本発明のレジスト組成物に用いる架橋剤としては、基本的には公知の架橋剤のいずれもが適用可能であるが、好適な架橋剤としては、アルコキシメチルグリコールウリル類、アルコキシメチルメラミン類を挙げることができる。具体的には、アルコキシメチルグリコールウリル類として、テトラメトキシメチルグリコールウリル、1,3−ビスメトキシメチル−4,5−ビスメトキシエチレンウレア、ビスメトキシメチルウレア等が挙げられる。また、アルコキシメチルメラミン類として、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン等が挙げられる。
【0077】
本発明のネガ型レジスト組成物における架橋剤の添加量は、レジスト組成物中のベースポリマー100質量部に対して2〜40質量部、特に5〜20質量部が好ましい。また、上記架橋剤は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0078】
本発明のレジスト組成物には、更に(B)成分である酸発生剤が添加される。酸発生剤は高エネルギー線の照射により分解して酸を発生する化合物であるが、既に多数のものが化学増幅型レジスト組成物に用いられるものとして公知(例えば特許文献1:特開2006−201532号公報、特許文献2:特開2006−215180号公報、特許文献3:特開2008−249762号公報にも多数例示されている)であり、それらは基本的には全て使用可能である。特に、電子線露光用やEUV露光用としては、スルホニウム系の酸発生剤が有用であり、これらについても同様に多数のものが公知である。更に、このスルホニウム系の酸発生剤は、特許文献6(特開2009−263487号公報)に開示されたもののように高分子化合物の繰り返し単位中の側鎖に組み込まれたものでもよい。
【0079】
下記に好ましい酸発生剤を例示するが、これに限定されるものではない。
(B)成分である酸発生剤が、繰り返し単位からなる高分子化合物でない場合の好ましい例を下記に示す。
【化29】

【0080】
【化30】

【0081】
(B)成分である酸発生剤が、高分子化合物である場合の好ましい例を下記に示す。
【化31】

【0082】
【化32】

【0083】
【化33】

【0084】
【化34】

【0085】
本発明の化学増幅型レジスト組成物における光酸発生剤の添加量は、特に制限はないが、適宜公知の酸発生剤(特許文献1:特開2006−201532号公報、特許文献2:特開2006−215180号公報、特許文献3:特開2008−249762号公報、特許文献4:特開2008−133312号公報にも多くの例が挙げられている。)を参考にして選択されることが好ましい。その配合量は、レジスト組成物中の全高分子化合物100質量部に対し0.1〜15質量部、特に2.0〜12.0質量部が好ましい。光酸発生剤の割合が多すぎる場合には、解像性の劣化や、現像/レジスト剥離時の異物の問題が起きる可能性がある。上記光酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0086】
本発明のレジスト組成物は、上述した各成分を後述の溶剤に溶解することによって得られるが、必要に応じ、分子量1,000以下の塩基性化合物、界面活性剤、溶解阻害剤(詳細は省略)などを加えることもできる。
【0087】
本発明のレジスト組成物においては、高分子化合物中に塩基成分が含まれているため、塩基性化合物を改めて加える必要はない。しかし、パターンの上部の張り出しや基板付近の裾引き等のパターンプロファイルの微調整、又は感度の微調整を行うために、分子量1,000以下の塩基性化合物を添加してもよい。そこで、添加する場合の添加量は、全高分子化合物成分100質量部に対し、0.01〜2質量部、特に0.01〜0.5質量部程度であることが好ましい。
【0088】
上記ポリマー(PB)とは別に添加するその他の塩基性化合物は、多数が知られており(特許文献1:特開2006−201532号公報、特許文献2:特開2006−215180号公報、特許文献3:特開2008−249762号公報、特許文献4:特開2008−133312号公報のいずれにも開示がある。)、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類、アンモニウム塩類等が知られている。これらの具体例は特許文献2(特開2006−215180号公報)に多数例示されているが、基本的にはこれらの全てを使用することができ、また2つ以上の塩基性化合物を選択し、混合して使用することもできる。
特に好ましく配合される塩基性化合物としては、トリス(2−(メトキシメトキシ)エチル)アミン、トリス(2−(メトキシメトキシ)エチル)アミン N−オキサイド、モルホリン誘導体、イミダゾール誘導体などが挙げられる。
【0089】
また、パターン形成時に、パターンが基板界面で溶解しにくくなる現象、いわゆる裾引き形状になり易い基板上、これはクロム系化合物による表面を持つ基板に特に特徴的であるが、このような基板上でパターンを形成する場合、カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素に共有結合する水素を含有しないアミン化合物又はアミンオキシド化合物(アミン及びアミンオキシドの窒素原子が芳香環の環構造に含まれるものを除く。)を用いると、パターン形状の改善を図ることができる。
【0090】
上述のカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素に共有結合する水素を含有しないアミン化合物又はアミンオキシド化合物は、下記一般式(10)〜(12)で示される少なくともカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素に共有結合する水素を含有しないアミン化合物又はアミンオキシド化合物が好ましいが、これに限られるものではない。
【0091】
【化35】

(式中、R10、R11はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数2〜10のアシルオキシアルキル基、又は炭素数2〜10のアルキルチオアルキル基のいずれかである。またR10とR11が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環構造を形成してもよい。R12は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数2〜10のアシルオキシアルキル基、炭素数2〜10のアルキルチオアルキル基、又はハロゲン基のいずれかである。R13は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又は炭素数6〜20のアリーレン基である。R14は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状の置換可アルキレン基であり、但し、アルキレン基の炭素−炭素間にカルボニル基(−CO−)、エーテル基(−O−)、エステル基(−COO−)、スルフィド(−S−)を1個又は複数個含んでいてもよい。また、R15は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又は炭素数6〜20のアリーレン基である。)
【0092】
上記の炭素数6〜20のアリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ナフタセニル基、フルオレニル基等を、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、デカヒドロナフタレニル基等を、炭素数7〜20のアラルキル基として具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、アントラセニルメチル基等を、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基として具体的には、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等を、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基として具体的には、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、エトキシメチル基、2−エトキシエチル基、プロポキシメチル基、2−プロポキシエチル基、ブトキシメチル基、2−ブトキシエチル基、アミロキシメチル基、2−アミロキシエチル基、シクロヘキシルオキシメチル基、2−シクロヘキシルオキシエチル基、シクロペンチルオキシメチル基、2−シクロペンチルオキシエチル基及びそのアルキル部の異性体等を、炭素数2〜10のアシルオキシアルキル基として具体的には、ホルミルオキシメチル基、アセトキシメチル基、プロピオニルオキシメチル基、ブチリルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、シクロヘキサンカルボニルオキシメチル基、デカノイルオキシメチル基等を、炭素数2〜10のアルキルチオアルキル基として具体的には、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、プロピルチオメチル基、イソプロピルチオメチル基、ブチルチオメチル基、イソブチルチオメチル基、t−ブチルチオメチル基、t−アミルチオメチル基、デシルチオメチル基、シクロヘキシルチオメチル基等を、それぞれ例示できるが、これらに限定されない。
【0093】
上記式(10)で示されるカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素に共有結合する水素原子を含有しないアミン化合物を以下に具体的に例示するが、これらに限定されない。
【0094】
即ち、o−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸、m−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、p−ジプロピルアミノ安息香酸、p−ジブチルアミノ安息香酸、p−ジペンチルアミノ安息香酸、p−ジヘキシルアミノ安息香酸、p−ジエタノールアミノ安息香酸、p−ジイソプロパノールアミノ安息香酸、p−ジメタノールアミノ安息香酸、2−メチル−4−ジエチルアミノ安息香酸、2−メトキシ−4−ジエチルアミノ安息香酸、3−ジメチルアミノ−2−ナフタレン酸、3−ジエチルアミノ−2−ナフタレン酸、2−ジメチルアミノ−5−ブロモ安息香酸、2−ジメチルアミノ−5−クロロ安息香酸、2−ジメチルアミノ−5−ヨード安息香酸、2−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ安息香酸、4−ジメチルアミノフェニル酢酸、4−ジメチルアミノフェニルプロピオン酸、4−ジメチルアミノフェニル酪酸、4−ジメチルアミノフェニルリンゴ酸、4−ジメチルアミノフェニルピルビン酸、4−ジメチルアミノフェニル乳酸、2−(4−ジメチルアミノフェニル)安息香酸、2−(4−(ジブチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸等が挙げられる。
【0095】
上記式(11)で示されるカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素に共有結合する水素原子を含有しないアミン化合物は、上記の具体的に例示されたアミン化合物を酸化したものであるが、これらに限定されない。
【0096】
上記式(12)で示されるカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素に共有結合する水素原子を含有しないアミン化合物を以下に具体的に例示するが、これらに限定されない。
【0097】
即ち、1−ピペリジンプロピオン酸、1−ピペリジン酪酸、1−ピペリジンリンゴ酸、1−ピペリジンピルビン酸、1−ピペリジン乳酸等が挙げられる。
【0098】
上記式(11)で示されるアミンオキシド構造は、既存物質又は新規化合物であり、これらアミンオキシド構造を有する化合物は、化合物の構造に応じた最適な方法を選択して製造される。例として、窒素含有化合物の酸化剤を使用した酸化反応を用いる方法、含窒素化合物の過酸化水素水希釈溶液中での酸化反応を用いる方法等を例示できるが、これらに限定されない。以下、詳しく説明する。
【0099】
窒素含有アルコール化合物のエステル化反応による製造法は、例えば下記に示す通りであり、上記式(11)で示される化合物の合成へも適用可能である。
【0100】
【化36】

(上記式中、R10〜R13は上記の通りである。)
【0101】
上記反応は酸化剤(m−クロロ過安息香酸)を用いたアミンの酸化反応であり、酸化反応の常法となる他の酸化剤を用いて反応を行うこともできる。反応後は、反応混合物を必要に応じて蒸留、クロマトグラフフィー、再結晶などの常法により精製することができる(詳細は特許文献7:特開2008−102383号公報参照)。
【0102】
本発明のレジスト組成物には、塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を用いる場合、特許文献1〜5(特許文献1:特開2006−201532号公報、特許文献2:特開2006−215180号公報、特許文献3::特開2008−249762号公報、特許文献4:特開2008−133312号公報、特許文献5:特開2009−86310号公報)にも多数の例が記載されているように多数のものが公知であり、それらを参考にして選択することができる。
【0103】
なお、界面活性剤の添加量は、レジスト組成物中の全高分子化合物100質量部に対して2質量部以下、特に1質量部以下が好ましく、配合する場合は0.01質量部以上とすることが好ましい。
【0104】
本発明のレジスト組成物の調製に使用される有機溶剤としては、全高分子化合物、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチル−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れている乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びこれらの混合溶剤が好ましく使用される。
【0105】
有機溶剤の使用量は、全高分子化合物100質量部に対して1,000〜10,000質量部、特に2,000〜9,700質量部が好適である。このような濃度に調整することにより、回転塗布法を用い、膜厚が10〜200nmのレジスト膜を安定して平坦度よく得ることができる。
【0106】
本発明のレジスト組成物を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができる。一般論としては、集積回路製造用の基板(表層の材料がSi、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等であるシリコンウエハー等)、又はマスク回路製造用の基板(表層の材料がCr、CrO、CrON、MoSi等である石英基板等)にスピンコーティング等の手法で膜厚が0.05〜2.0μmとなるように塗布し、これをホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜140℃、1〜5分間プリベークする。次いで目的のパターンを形成するためのマスクを用い、又はビーム露光により、EUV又は電子線を露光量1〜200mJ/cm2、好ましくは10〜100mJ/cm2となるように照射する。露光は通常の露光法のほか、場合によってはマスクとレジスト膜の間を液浸するImmersion法を用いることも可能である。その場合には水に不溶な保護膜を用いることも可能である。次いで、ホットプレート上で、60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜140℃、1〜3分間ポストエクスポージャーベーク(PEB)する。更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像して、基板上に目的のパターンが形成される。
【0107】
なお、本発明のレジスト組成物は、特に高いエッチング耐性を持ち、かつ露光後、露光後加熱までの時間が延長された場合にもパターン線幅の変化が小さいことが要求される条件で使用される際に有用である。このことから、特に電子線リソグラフィーによるフォトマスクブランクの加工に有効である。また、被加工基板として、レジストパターンの密着性に優れ、取り難いことからパターン剥がれやパターン崩壊を起こし易い材料を表面に持つ基板への適用に特に有用であり、特にパターン崩壊が問題になる基板表面の材料が金属クロムや酸素、窒素、炭素の1以上の軽元素を含有するクロム化合物をスパッタリング成膜した基板上、これはフォトマスクブランクで常用されるものであるが、これらの上でのパターン形成に有用である。
【実施例】
【0108】
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中、Meはメチル基を示す。また、共重合組成比はモル比であり、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0109】
[ポリマー合成例1]
窒素雰囲気下、200mLの滴下シリンダーに、4−ヒドロキノンモノメタクリレート35.5g、アセナフチレン4.7g、4−メチルスチレン9.2g、下記構造モノマー(Z−1)0.62g、ジメチル−2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業社製、商品名V601)を6.8g、溶媒としてメチルエチルケトンを64g加えた溶液を調製した。更に窒素雰囲気下とした別の300mL重合用フラスコに、メチルエチルケトンを53g加え、80℃に加温した状態で、上記で調製した溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合温度を80℃に維持しながら16時間撹拌を続け、次いで室温まで冷却した。得られた重合液を1,000gのヘキサンに滴下し、析出した共重合体を濾別した。濾別した共重合体をヘキサン200gで二回洗浄を行い、更に得られた濾別体をメチルエチルケトン120gに溶解し、0.02μmのナイロンフィルターを通したメチルエチルケトン溶液をヘキサン1,000gに滴下し、析出した共重合体を濾別した。濾別した共重合体をヘキサン200gで二回洗浄を行い、乾燥して白色の共重合体を40g得た(ポリマー1:Mw=3,800(Mw/Mn=1.65))。
【化37】

【0110】
[ポリマー合成例2]
窒素雰囲気下、200mLの滴下シリンダーに、4−(1−エトキシエトキシ)スチレン36.2g、アセナフチレン4.5g、4−メチルスチレン8.7g、上記構造モノマー(Z−1)0.59g、ジメチル−2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業社製、商品名V601)を5.4g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを64g加えた溶液を調製した。更に窒素雰囲気下とした別の300mL重合用フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルを53g加え、80℃に加温した状態で、上記で調製した溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合温度を80℃に維持しながら20時間撹拌を続け、次いで室温まで冷却した。得られた重合液に、メタノール18g、シュウ酸二水和物を0.85g加え、50℃で3時間撹拌した。得られた反応液を1,620gの水と30gのメタノール混合溶媒に滴下し、析出した共重合体を濾別した。濾別した共重合体を水490gとメタノール10g混合溶媒で二回洗浄し、乾燥を行って白色のヒドロキシスチレン共重合体を35.0g得た(ポリマー2:Mw=4,860(Mw/Mn=1.63))。
【0111】
[ポリマー合成例3〜23]
各単量体の種類、配合比を変えた以外は、ポリマー合成例1又は2と同様の手順により、表1に示した樹脂を製造した。表1中、各単位の構造を表2に示す。なお、下記表1において、導入比はモル比を示す。
【0112】
【表1】

【0113】
【表2】

【0114】
[実施例、比較例]
ネガ型レジスト組成物の調製
上記で合成したポリマー(ポリマー1〜23)、下記式で示されるポリマーK、ポリマーM、酸発生剤(PAG−A、PAG−B)、塩基性化合物(Base−1)を表3に示す組成で有機溶剤中に溶解してレジスト組成物を調合し、更に各組成物を0.02μmサイズのナイロン又はUPEフィルターで濾過することにより、ネガ型レジスト組成物の溶液をそれぞれ調製した。
【0115】
【化38】

【0116】
表3中の有機溶剤は、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、EL(乳酸エチル)である。
また、各組成物には、添加剤として、テトラメトキシメチルグリコールウリル(TMGU)、界面活性剤としてPF−636(OMNOVA SOLUTIONS製)を0.075質量部添加した。
【0117】
【表3】

【0118】
電子ビーム描画評価
上記調製したネガ型レジスト組成物(実施例1〜25、比較例1,2)をACT−M(東京エレクトロン(株)製)を用いて、152mm角の最表面が酸化窒化クロム膜であるマスクブランク上にスピンコーティングし、ホットプレート上で、110℃で600秒間プリベークして80nmのレジスト膜を作製した。得られたレジスト膜の膜厚測定は、光学式測定器ナノスペック(ナノメトリックス社製)を用いて行った。測定はブランク外周から10mm内側までの外縁部分を除くブランク基板の面内81箇所で行い、膜厚平均値と膜厚範囲を算出した。
【0119】
更に、電子線露光装置((株)ニューフレアテクノロジー製、EBM−5000plus、加速電圧50kV)を用いて露光し、120℃で600秒間ベーク(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行うと、ネガ型のパターンを得ることができた。更に得られたレジストパターンを次のように評価した。
【0120】
作製したパターン付きウエハーを上空SEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、200nmの1:1のラインアンドスペースを1:1で解像する露光量を最適露光量(μC/cm2)とし、200nmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量における最小寸法を解像度とし、100nmLSのエッジラフネスをSEMで測定した。パターン形状については、矩形か否かを目視にて判定した。EB描画における本発明のレジスト組成物及び比較用のレジスト組成物の評価結果を表4に示す。
【0121】
【表4】

【0122】
上記表4に示す通り、本発明のレジスト組成物は、比較例1,2のレジスト組成物と比較して、解像性、ラインエッジラフネスに優れていた。よって、本発明によれば、特に超LSI製造用の電子線リソグラフィーによる微細パターン形成材料、マスクパターン形成材料として好適な化学増幅ネガ型レジスト組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ可溶性の高分子化合物、
(B)酸発生剤、及び
(C)塩基性成分として窒素を含有する化合物
を含有し、上記(A)成分の高分子化合物が、架橋剤の存在下又は不存在下で、上記酸発生剤から発生する酸触媒によりアルカリ不溶性となる電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物であって、
上記(A)成分かつ(C)成分である高分子化合物として、下記一般式(1)及び(2)
【化1】

(式中、Aは単結合、又は鎖の中間にエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。B1、B2及びB3はそれぞれ独立に単結合、又はエーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、エーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数5〜10の2価の脂環式基、及びエーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族基より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせよりなる結合鎖である。Z1及びZ2は単結合、−CO−O−又は−O−CO−を示す。但し、B1、B2及びB3にエーテル性酸素原子が含まれる場合は、−O−O−構造となることはなく、Z2が−CO−O−又は−O−CO−である場合は、B3が単結合になることはない。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示す。但し、R3、R4は同時に水素原子であることはない。R3及びR4は互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成していてもよく、その場合、炭素数2〜12のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。また、B3とR3又はB3とR4が結合して、これらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、その場合、該窒素原子を含む環は5〜7員環であるが、該窒素原子の孤立電子対が該窒素原子を含む環に芳香族性を与える構造の環となることはなく、また、該窒素原子を含む環が芳香環となることはない。aは0〜4の整数、bは1〜5の正の整数である。p、qはそれぞれ独立に0又は1を示し、tは0〜2の整数を示す。但し、qが0であるとき、B1の主鎖炭素と結合する原子は、エーテル性酸素原子又は芳香環の一部をなす炭素原子であり、更にqが0かつZ1及びZ2が単結合である場合には、B1、B2及びB3の一部には必ずアルキレン基に由来する2つ以上の連続する炭素原子又は芳香族基が含まれる。)
で示される繰り返し単位を有し、重量平均分子量が1,000〜50,000である塩基性ポリマー(PB)を含むことを特徴とする電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【請求項2】
上記塩基性ポリマー(PB)は、更に下記一般式(3)
【化2】

(式中、R1は上記の通り。R5はハロゲン原子、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルキル基又はアルコキシ基、炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、脂環式基、芳香族基、又は炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアシルオキシ基を示す。cは0〜5の整数である。)
で示される単位を含有する請求項1に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【請求項3】
上記塩基性ポリマー(PB)は、更に下記一般式(4)及び/又は(5)
【化3】

(式中、dは0〜4の整数であり、R6はそれぞれ独立に、水酸基、ハロゲン原子、炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアシルオキシ基、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルコキシ基、又は炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアルコキシカルボニル基を示す。)
で示される単位を含有する請求項1又は2に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【請求項4】
上記(A)成分の一部として、更に上記式(2)で示される繰り返し単位を含有しないポリマーを含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【請求項5】
上記(C)成分の一部として、更に分子量1,000以下の塩基性化合物を含有し、かつ、該分子量1,000以下の塩基性化合物の含有量は、(B)成分である酸発生剤の20分の1モル以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【請求項6】
酸触媒により(A)成分と反応して(A)成分をアルカリ不溶性とする架橋剤を含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【請求項7】
(A)成分の高分子化合物が、下記一般式M−1又はM−2で示される繰り返し単位を含有し、レジスト組成物は架橋剤を含有しない請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【化4】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Ba1は単結合又は鎖の中間にエーテル結合を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Ba2は鎖の中間にエーテル結合を含んでもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示すが、Ba1、Ba2のいずれにおいてもエーテル結合を含む場合、エーテル結合はエステル酸素に対しβ位より遠い位置に入る。)
【請求項8】
被加工基板上に請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子線用又はEUV用化学増幅ネガ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、電子線又はEUV光をパターン照射する工程、及びアルカリ性現像液を用いて現像してレジストパターンを得る工程を含むパターン形成方法。
【請求項9】
上記被加工基板の最表面が、クロムを含む材料からなる請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
上記被加工基板が、フォトマスクブランクである請求項8又は9に記載のパターン形成方法。

【公開番号】特開2011−191740(P2011−191740A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16358(P2011−16358)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】