説明

電子装置、電力送受システム、及び電力送受方法

【課題】 商用AC電源からDC電力を生成する主電源と、充電/放電が制御可能な蓄電手段を有し省エネモード時に電力供給元となる補助電源と、通信機能及び電力送受機能を有する外部インターフェースとを有する電子装置をネットワーク上に複数設けた場合に、ネットワーク全体として省電力効果を向上させる。
【解決手段】 LAN350に接続されたプリンタA〜Eは、互いにPoE(登録商標)給電を行うことにより、それぞれが省エネモード時に動作する二次電池を充電し合うことができる。蓄電量が少なく所定の動作を行わせるために必要な電力が不足するおそれのあるプリンタの二次電池に対して、蓄電量に余裕のあるプリンタの二次電池から充電することにより、個々のプリンタの二次電池の蓄電量を最適化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ交換に加え、電力の送受を可能にする外部インターフェースを有する電子装置(例えば、プリンタ、複写機などの画像形成装置)に関し、より詳しくは、外部インターフェースを介して送受される電力により充電される補助電源を備えた電子装置、電力送受システム及び電力送受方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置では、環境への関心の高まりから、省電力が求められており、動作要求の無いアイドル状態が一定時間生じたときに、省エネルギー(以下、「省エネ」という)モードに移行し、必要最低限の動作部以外に対する電力供給を停止する制御を行っている。
【0003】
このような、省エネモードの電源制御を行う電子装置として、商用AC電源からDC電力を生成する主電源と、二次電池などの補助電源とを有するとともに、スタンバイ(待機)時や通常動作時に電力供給元の主電源により二次電池を充電しておき、省エネモード時に電力供給元を補助電源に切り換える電源制御を行う電子装置が提案されている(特許文献1、参照)。
しかし、この電子装置では、使用可能な二次電池からの電力は、使用開始時に二次電池に貯められた量(蓄電量)に限られ、この量を超えて消費される場合、主電源をオンして主電源からのDC電源を供給することになり、省電力の有効性に限界が生じるという問題がある。
【0004】
他方、このような二次電池の蓄電量の限界に対処する手段を採用した従来例として、特許文献2に記載された情報処理装置がある。この情報処理装置では、USB(Universal Serial Bus)インターフェース、LAN(Local Area Network)インターフェース等の通信機能及び電力送受機能を有する外部インターフェースを備えるとともに、AC電源、USBバスパワー(USBケーブルで接続されているパーソナルコンピュータなどからの給電)、PoE(Power over Ethernet(登録商標))電源の中から、装置に必要な電力に応じて最も効率の高い電源を選択する。例えば、相対的に大電力が必要な通常動作時には、最大供給電力が大きく効率の低いAC電源を選択し、省エネモード時には、最大供給電力が小さく効率の高いUSBバスパワーやPoE(登録商標)電源を選択することにより、省電力効果を高めることができるとされる。
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載された情報処理装置では、省電力の動作が指示された時にUSBバスパワー又はPoE(登録商標)電源を常に利用できるとは限らないので、この例においても、省電力の有効性に限界が生じる。また、装置単体の電源制御を行うのみであり、ネットワーク上に複数の装置が存在する場合の関連制御が考慮されていない。このため、ネットワーク上に存在する複数の装置が個々に上述した電源制御を行った場合、ネットワーク全体として高い省電力効果が得られないおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、商用AC電源からDC電力を生成する主電源と、主電源のオフ時に電力供給元となる充電/放電が制御可能な蓄電手段を有する補助電源と、通信機能及び電力送受機能を有する外部インターフェースとを有する電子装置をネットワーク上に設けた場合に、ネットワーク全体として省電力効果を向上できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、供給のオン/オフが制御可能な商用AC電源からDC電力を生成する主電源と、充電/放電が制御可能な蓄電手段を有し主電源のオフ時に前記主電源に代わり前記蓄電手段から電力を供給する補助電源と、外部電子装置との間の通信機能及び電力送受機能を有する外部インターフェースと、前記外部インターフェースを介して外部電子装置との間で補助電源充電用の電力の送電/受電を制御する電力送受制御手段と、を有する電子装置である。
また、本発明は、供給のオン/オフが制御可能な商用AC電源からDC電力を生成する主電源と、充電/放電が制御可能な蓄電手段を有し、主電源のオフ時に前記主電源に代わり前記蓄電手段から電力を供給する補助電源と、外部電子装置との間の通信機能及び電力送受機能を有する外部インターフェースとを有する電子装置の電力送受方法であって、前記外部インターフェースを介して外部電子装置との間で補助電源充電用の電力の送電/受電を制御する電力送受制御工程を有する電力送受方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、商用AC電源からDC電力を生成する主電源と、主電源のオフ時に電力供給元となる充電/放電が制御可能な蓄電手段を有する補助電源と、通信機能及び電力送受機能を有する外部インターフェースとを有する電子装置を接続したネットワーク全体として省電力効果を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の電子装置の実施形態である画像形成装置を有する画像処理システムの一例を示す図である。
【図2】本発明の電子装置の実施形態である画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の電子装置の実施形態である画像形成装置が外部電子装置へ供給する充電用電力を送電する時の制御フローの一例を示す図である。
【図4】本発明の電子装置の実施形態である画像形成装置が外部電子装置へ供給する充電用電力を送電する時の制御フローの他の例を示す図である。
【図5】図3及び図4の制御フローの実行に用いる各画像形成装置の管理情報のデータ構造を示す図である。
【図6】本発明の電子装置の実施形態である画像形成装置が外部電子装置から供給される充電用電力を受電する時の制御フローの他の例を示す図である。
【図7】図6の制御フローの実行に用いる各画像形成装置の管理情報のデータ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の電子装置の実施形態である画像形成装置について、添付図面を参照して説明する。
【0011】
[画像処理システム]
図1は、本発明の電子装置の実施形態である画像形成装置を有する画像処理システムの一例を示す図である。
この画像処理システムは、LAN350と、それぞれがLAN350に接続されたプリンタA100a、プリンタB100b、プリンタC100c、プリンタD100d、プリンタE100eの各画像形成装置と、それぞれがLAN350に接続され、プリンタA〜Eに印刷等のジョブの処理要求を行うクライアントA200a、クライアントB200b、クライアントC200cの各PC(Personal Computer)により構成されている。
【0012】
LAN350に接続された各プリンタ及び各PCは、IEEE802.3afとして標準化されたPoE(登録商標)に準拠するネットワークインターフェースを有する。PoE(登録商標)は、イーサネット(登録商標)のLANケーブルを使い、LANケーブルに接続されている他の機器に電力を供給するための技術である。PoE(登録商標)では、LANケーブル上で同時にデータ送受信と給電(電力送受)を実行しても、データのやりとりに影響がないように仕様が定められている。
【0013】
また、本発明の実施に用いることができるデータ伝送と電力送受を同時に行うことができるインターフェースにはUSBバスパワーがある。USBバスパワーは、USBケーブルを通じてコンピュータ本体から周辺機器に給電するための技術である。この技術に対応する機器は電源コードを別に用意することが不要で、USBケーブルをつなぐだけで動作するため、設置の自由度が大幅に向上する。
【0014】
上記以外にも、電力送受が可能な通信インターフェース技術としてIEEE1394、電話回線、無線LAN等のワイヤレス給電などを用いることができる。
なお、データ伝送と電力送受を同時に行う上記のインターフェースで画像形成装置(電子装置)を接続して構成する図1に示すシステムは、画像処理システムであると同時に電力送受システムでもある。
また、以下に示す本発明の実施形態では、PoE(登録商標)の電力送受機能を有したスイッチングハブによって仲介される形態を主に説明する。
【0015】
[画像形成装置の構成]
次に、画像処理システム(図1)の構成要素となる画像形成装置の構成について説明する。なお、図1においては、画像形成装置としてプリンタを例示したが、以下に示す例では、プリンタ機能のほかコピー機能、スキャナ機能等を持つ複合機を実施形態とする例を示す。
【0016】
図2は、この実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す概略図である。同図に示す画像形成装置100は、データ処理ユニット150と、このデータ処理ユニット150にDC電力を供給する電源関係の要素を有する。
【0017】
データ処理ユニット150は、画像形成装置全体を制御するコントローラ110を有し、コントローラ110が、複写、プリンタ、スキャナ等の機能を実行する際、或いは後述する省電力動作を行う際に必要となる各種デバイスの動作、電源供給等を制御する。
【0018】
コントローラ110は、内部にCPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113等よりなるコンピュータを搭載する。このコンピュータは、ROM112に格納された制御プログラム、制御データに基づきRAM113をワークメモリに用いて、上記制御動作に求められる処理を実行する。
【0019】
また、コントローラ110が有する通信I/F制御部115は、コントローラ110に搭載されたコンピュータの制御下で、図1を参照して上記[画像処理システム]で述べた外部インターフェースとしての機能を実現するための手段である。
【0020】
また、データ処理ユニット150は、コントローラ110の他、ユーザーが処理を要求して行う入力操作を受付け、かつ画像形成装置の機器状態をユーザーに知らせるユーザーインターフェースとして機能する操作部140、原稿をスキャナで読み取り、画像を電子データ化する画像読み取り部120、画像データをもとにプリント出力を行う画像書き込み部130の各データ処理部を有する。
【0021】
画像形成装置100は、データ処理ユニット150にDC電力を供給する電源関連の要素として、電源プラグ190、主電源スイッチ171、AC ON/OFFセンサ172、ACカット装置173、PSU(パワーサプライユニット)175、電源セレクタ177及び二次電池179を有する。
【0022】
電源プラグ190は、商用AC電源からのAC電力を画像形成装置内に入力するためのプラグである。主電源スイッチ171は、プラグ190から入力されたAC電力を手動でON/OFFするためのスイッチである。AC ON/OFFセンサ172は、主電源スイッチ171のON/OFF状態を検知し、検知信号をコントローラ110に伝える。
【0023】
ACカット装置173は、商用AC電力を遮断するか否かを制御する信号をコントローラ110から受けて、リレー等を開閉し、PSU175に対する入力AC電力の供給をON/OFFする。PSU175は、入力AC電力をデータ処理ユニット150、二次電池179等に供給するためのDC電力に変換するAC/DC変換を行う。
【0024】
蓄電手段としての二次電池179は、PSU175と外部インターフェースとしての通信I/F制御部115を介して外部機器(図1の電力送受システムの場合、プリンタA〜E及びクライアントA〜C)の双方から供給される電源によって充電が可能であり、このための充電制御部を持つ。この充電制御部は、コントローラ110からの電源セレクト信号及び充電のON/OFF制御信号によって二次電池179の動作を制御する。また、充電制御部は、二次電池179の蓄電量を検知し、検知信号をコントローラ110に送出する。
【0025】
電源セレクタ177は、コントローラ110からの電源セレクト信号によってPSU175又は二次電池179から供給されるDC電力を選択してデータ処理ユニット150に供給する。なお、この実施形態では、コントローラ110には、PSU175又は二次電池179のいずれかからDC電力が常時供給される。
【0026】
コントローラ110は、電源プラグ190を通して供給されるAC電力のAC ON/OFFセンサ172による監視、操作部140の操作状態等を含め画像形成装置のステータスを把握し、画像形成装置のステータスが省エネモードの移行条件を満たす場合に、通常動作を省電力動作に移行させる。省電力のレベルを最も高くする「実質0W」の動作状態になる場合には、AC電力がACカット装置173によってOFFされる。
【0027】
AC電力をOFFし「実質0W」の動作を行う場合、AC電力のOFFと同時に、コントローラ110は、電源セレクト信号を電源セレクタ177と二次電池179に制御信号として送る。この電源セレクト信号に応えて、二次電池179は電源セレクタ177へDC電力を送電し、電源セレクタ177はPSU175から二次電池179へ供給元を切り替えて、DC電力をコントローラ110へ供給する。
【0028】
他方、AC電力がONの間、PSU175にて変換されたDC電力は二次電池179もしくは電源セレクタ177へ供給される。この場合、二次電池179の充電制御部が、コントローラ110から充電のON/OFF制御信号及び充電元をPSU175又はコントローラ110のいずれにするかを示す制御信号を受け、これらの制御信号によって上記の動作を決定する。
【0029】
上記の動作でコントローラ110から充電を行う場合とは、上記[画像処理システム]で述べた外部インターフェースからの給電が行われる場合、即ち図2の通信I/F制御部115を介して外部機器からDC電力を受電する場合である。なお、二次電池179を充電するために外部インターフェースから行われる受電は、PSU175から供給される電力で充電が行われていない間であれば、随時行うことが可能である。
【0030】
また、コントローラ110は、上記[画像処理システム]で述べた外部インターフェースから外部機器の二次電池を充電するために送電する場合、電源セレクタ177からコントローラ110に供給されるDC電力を送出する。即ち、電源セレクタ177がPSU175を選択している通常モード時にはPSU175からのDC電力が外部機器に供給され、また、電源セレクタ177が二次電池179を選択している省エネモード時には二次電池179からのDC電力が外部機器に供給される。なお、外部機器への充電用電力の送電は、PSU175と二次電池179のどちらからもできる場合には、後述するように、PSU175からのDC電力を優先させて送電することが望ましい。
【0031】
[画像処理システムにおける省電力動作]
次に、外部インターフェースを介して画像形成装置相互間で上述の電力送受機能を働かせることで、電力の送受を可能とする図1の画像処理システムにおける省電力動作について説明する。
【0032】
《省電力動作の概要》
図1に示す画像処理システムにおいて、LAN350上の画像形成装置は、例えば、省エネモードに移行した際などにAC電源を供給元とする主電源をOFFし、二次電池から供給される電力に切り替わり、「実質0W」の動作状態となる。
【0033】
ただし、個々の画像形成装置が搭載している二次電池の容量には限りがあるため、従来、二次電池の蓄電量が全部消費されたときにはAC電源を供給元とする主電源をONして通常動作モードに復帰して、動作の継続、二次電池への充電等を行わなければならなかった。常時動作状態を保つ要素への電源を確保するため、この通常動作モードへの復帰を行うと、各画像形成装置のPSUのAC/DC変換の変換効率にも依存するが、電力を大きく消費することになり、省電力効率が低下する。省電力効率を高めるためには、二次電池からできるだけ長く給電することが必要になる。
【0034】
そこで、通常動作モードに復帰してAC給電によることなく二次電池を充電するため、外部インターフェースを介して行うPoE(登録商標)等の電力送受機能を利用する。この場合、LAN上にスイッチングハブを設け、スイッチングハブが生成する電力を用いてPoE(登録商標)給電を行うこともできるが、この構成ではスイッチングハブがAC電力を消費してしまい、画像処理システム全体の省電力効率は結局下がってしまう。
【0035】
この問題を解決するため、この実施形態では、画像処理システムを構成する各画像形成装置が補助電源として有する二次電池と上述の電力送受機能を持つ外部インターフェースを有し、かつ画像処理システム全体の省電力効率を高めるための二次電池の充電に用いる電力の送受の実行条件を定め、この実行条件によって電力送受の適否を判定し、判定結果に従い、PoE(登録商標)電力送受機能により機器間でDC電力を送受する。
以下、PoE(登録商標)電力送受機能により機器間で二次電池の充電に用いる電力を送受することで、画像処理システム全体の省電力の効率向上を図る送電制御及び受電制御それぞれの実施形態について、説明する。
【0036】
《外部電子装置へ供給する充電用電力の送電制御》
ここで示す充電用電力の送電制御は、外部機器(例えば、LANで接続された外部の画像形成装置)の二次電池を充電するための電力をコントローラから外部インターフェースを介して供給するときの制御手順に係る。この制御手順は、図1に示した画像処理システムの場合、システムを構成する画像形成装置(プリンタA〜E)それぞれのコントローラ110が、基本的には随時行うことができる。ただ、処理負担を伴うので、所定の期間を定めて定期的に行うように管理することが好適である。
【0037】
各画像形成装置は、この制御手順を所定期間が経過するたびごとに実行することにより、外部機器の二次電池への電力供給の適否を判定し、判定結果として給電が必要で、給電に最適な外部機器を選定した場合には、当該外部機器の二次電池を充電するためのDC電力をコントローラから外部インターフェースを介して送電する。このような制御動作を行うことで、画像処理システムを構成する各画像形成装置の二次電池が全て有効に活用され、システム全体としての省電力を最も高い状態に保つことができる。
【0038】
〈管理情報のデータ構造及びその共有方法〉
ここで、充電用電力の送電制御の手順を示す、後記図3、図4の制御フローについて説明する前に、その実行の前提となる、外部機器への充電用電力供給の実行条件について説明する。
図5は、制御フロー(後記図3、図4)の実行に用いる各画像形成装置の管理情報のデータ構造を示す図である。
【0039】
図5に示す管理情報は、本実施形態の画像処理システム(図1)を構成する画像形成装置(プリンタA〜E)全部について、二次電池の蓄電状態などを示す管理情報をまとめたものであり、この管理情報をもとに、画像形成装置(プリンタA〜E)は、それぞれの実行条件を確認し、条件に適う画像形成装置を選定する。
【0040】
ここでは、送電制御に用いる管理情報として、「動作モード」、「省エネ時の消費電力」、「二次電池容量」、「二次電池の蓄電量」、「ユーザー設定による充電許可」、「ユーザー設定による充電指定」を管理する。
【0041】
「動作モード」は、画像形成装置の現在の動作モード(省エネモード、待機モード、通常動作モード)を示す。「省エネ時の消費電力」は、省エネモード時の消費電力を示す。「二次電池容量」、「二次電池の蓄電量」は、それぞれ二次電池がフル充電されたときの蓄電量、二次電池の現在の蓄電量である。「ユーザー設定による充電許可」は、当該画像形成装置の二次電池を他の画像形成装置から外部インターフェースを介して供給される電力により充電することがユーザーにより許可されているか否かを示す情報である。「ユーザー設定による充電指定」は、当該画像形成装置の給電先に指定されている画像形成装置を示す情報である。
【0042】
上述の管理情報は、本実施形態の画像処理システム(図1)を構成する画像形成装置(プリンタA〜E)のどれが送電制御フロー(後記図3、図4)を実行しても、得られる結果に矛盾が生じないようにするため、各画像形成装置は最新の管理情報を共有する必要がある。そこで、画像形成装置同士でSNMP(Simple Network Management Protocol)プロトコルを用いて、MIB(Management Information Base)情報をやり取りし、管理情報を更新する。
【0043】
なお、SNMPは、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)ネットワークにおいて、ルータやコンピュータ、端末など、ネットワークに接続された機器をネットワーク経由で監視・制御するプロトコルである。SNMPによる動作では、制御の対象となる機器はMIBと呼ばれる管理情報データベースを持っており、対象機器のMIBに基づいて制御をする側の機器から適切な設定を行なうことで対象機器を管理できる。また、MIBは、SNMPで管理されるネットワーク機器が、自分の状態を外部に知らせるために公開する情報であり、RFC(Request for Comment)1156として規定されているMIB1と、RFC1213で規定されているMIB2があり、現在では後者を使うのが一般的である。
【0044】
〈充電用電力の送電制御フロー(実施形態1)〉
図3の制御フローを参照して、充電用電力の送電制御手順に係る実施形態を説明する。
ある画像形成装置にて図3の制御フローが起動されると、先ず、図5に示す管理情報のうち、他の画像形成装置の「動作モード」を参照して、「省エネモード」で動作している機器があるか否かを判断する(ステップS101)。例えば「ある画像形成装置」をプリンタAとすると、プリンタEが「省エネモード」で動作している機器となり、「ある画像形成装置」がプリンタBとすると、プリンタA及びプリンタEが「省エネモード」で動作している機器となる。なお、上記“ある画像形成装置”は、この制御フローを実行する機器であるから、以下“自機”という。
【0045】
ここで、「省エネモード」で動作している機器がない(ステップS101:ない)ということは、他の機器は全てAC電源で動作し、PSUから二次電池に充電していることになる。従って、自機から他の画像形成装置へ二次電池充電用の電力を供給する必要はないため、この制御フローを終了する。
【0046】
他方、「省エネモード」で動作している機器がある(ステップS101:ある)場合は、次に自機の動作モードを調べる(ステップS102)。自機の動作モードが「省エネモード」であった場合(ステップS102:省エネモード)は、自機の二次電池の蓄電量を調べる(ステップS103)。ここで、自機の蓄電量が所定のレベル(例えば電池容量の50%)以上であれば「多い」と判断し、所定のレベル未満であれば「少ない」と判断する。
【0047】
自機の二次電池の蓄電量が少ないと判断した場合は(ステップS103:少ない)、自機の二次電池から外部機器の二次電池に充電用電力を供給する余裕はないため、この制御フローを終了する。
【0048】
他方、自機の二次電池の蓄電量が多いと判断した場合(ステップS103:多い)は、自機の二次電池から外部機器の二次電池に充電用電力を供給する余裕があるので、ステップS104に進む。また、自機の動作モードが「省エネモード」以外の場合(ステップS102:省エネモード以外)も、自機は主電源(PSUからのDC電力)で動作しており、PSUからコントローラに供給されているDC電力の一部を外部機器の二次電池に充電用電力として供給することができるため、ステップS104に進む。例えば、自機をプリンタAとすると、自機の動作モードが「省エネモード」であり、二次電池の蓄電量が少ないため、「ステップS101:ある」→「ステップS102:省エネモード」→「ステップS103:少ない」→「エンド」の順に進む。また、自機をプリンタBとすると、「ステップS101:ある」→「ステップS102:省エネモード以外」→「ステップS104」の順に進む。
【0049】
ステップS104は、ステップS101で「省エネモード」であると判断された機器が複数存在する場合にその中から、その二次電池の充電用電力を供給する機器を特定する処理の一例である。ここでは、二次電池により駆動可能な残り時間が最短の機器、換言すれば、二次電池の蓄電量が最少の機器を特定する。例えば、自機をプリンタBとすると、プリンタEの二次電池の蓄電量の方がプリンタAの二次電池の蓄電量よりも少ないので、プリンタEを特定することになる。
【0050】
このように、省電力モードで動作している機器の中でも、二次電池の蓄電量がより少ない機器、即ち二次電池による継続動作時間が長い機器を優先して充電することにより、システム全体で省電力動作状態にある機器ができるだけ長く二次電池からの電力で動作を継続できるようにして、システム全体の省電力を図ることができる。ただし、この優先度の有効性は、給電される機器における省電力動作時の電力消費がそれほど違わないことが前提となる。
【0051】
次のステップS105では、ステップS104で特定された機器について、ユーザー設定による充電が許可されているか否かを判断する(ステップS105)。そして、許可されていると判断した場合(充電要求:ある)は、その機器に対して、外部インターフェースから送電し、二次電池の充電用電力を供給する(ステップS106)。この電力は、送電先の機器のコントローラにより二次電池に充電される。前述のように自機をプリンタBとした場合に特定されたプリンタEの場合、ユーザー設定による充電が許可されているので、プリンタBからプリンタEに対して、二次電池の充電用電力が供給される。
【0052】
他方、ステップS105で特定された機器について、ユーザー設定による充電が許可されていないと判断した場合(充電要求:ない)は、この図の制御フローを終了する。
【0053】
〈充電用電力の送電制御フロー(実施形態2)〉
図4の制御フローを参照して、充電用電力の送電制御手順に係る他の実施形態を説明する。
外部機器の二次電池を充電するための電力をコントローラから外部インターフェースを介して供給するときの制御フローという点で、上記実施形態1と同じであり、図4に示す制御フローのステップS201、S202、S203、S205、S206は、それぞれ図3に示す制御フローのステップS101、S102、S103、S105、S106と同じである。つまり、本実施形態2の制御フローは、上記実施形態1の制御フローにおけるステップS104に代えてステップS204を採用したものといえる。
【0054】
ステップS204では、ステップS201で「省エネモード」であると判断された機器がユーザーにより、充電先機器として指定されているか否かを判断する。例えば自機をプリンタBとすると、図5に示す管理情報の「ユーザー設定による充電指定」がプリンタAとなっていることから、プリンタBにおいて本実施形態の制御フローが起動されると、「ステップS201:ある(プリンタA、プリンタE)」→「ステップS202:省エネモード以外(待機モード)」→「ステップS204:YES(プリンタA)」となる。以後、「ステップS205:ある」→「ステップS206」と進むことで、プリンタBから外部インターフェースを介してプリンタAに二次電池の充電用電力が供給される。
【0055】
即ち、実施形態1の制御フロー(図3)においては、二次電池の蓄電量が少ない機器を優先的に充電するのに対し、本実施形態の制御フローにおいては、予めユーザーが指定した機器を優先的に充電することになる。
【0056】
実施形態1もしくは実施形態2の制御フロー(図3及び図4)に基づくプリンタA乃至Eの充電用電力の送電制御動作について説明を加える。
図5の管理情報によると、プリンタAは、現在省エネモードであるが、自機の二次電池の残量が少ないため、他の機器に対して給電することはなく、逆にユーザーに充電許可が設定されているため、他の機器からの充電を待っている状態にある。
また、プリンタDは、現在、通常動作モードであるため、他の機器に対して給電可能となっている。ユーザーによる充電先の指定がプリンタEとなっているため、プリンタEを優先的に充電するように制御される。対応するプリンタEは、現在、省エネモードであり、二次電池の蓄電量が少ないため、充電を必要とし、ユーザーによる充電許可もあるためプリンタDから給電される。
また、プリンタCは、現在、通常動作モードであるため、他の機器に対して給電が可能となっている。ユーザーによる充電先の指定がプリンタBとなっているため、プリンタBを優先的に充電するように制御される。対応するプリンタBは、現在待機状態にあり、二次電池の蓄電量が少ないため、充電を必要としている。ただ、プリンタB自身はユーザー設定による充電が許可されていないため、プリンタCからの給電は行われず、プリンタB自身で二次電池を充電する。
【0057】
上記のように、実施形態1もしくは実施形態2によれば、補助電源としての二次電池の電源で動作する給電状態となる、例えば、省エネモード等の動作モードにおいて、二次電池の蓄電量が少なく、必要な電力が不足するおそれのある電子装置に対して、電力送受機能を有する外部インターフェースを介して補助電源の蓄電量に余裕のある電子装置から充電用電力を送電する制御を行うことで、省エネモード等の主電源オフの動作モードにおいて二次電池から長く給電が可能になって、省電力効率を低下させる従来技術の動作をできるだけ回避し、省電力効率を向上することができる。
【0058】
《外部電子装置から供給される充電用電力の受電制御》
ここで示す充電用電力の受電制御は、外部機器(例えば、LANで接続された外部の画像形成装置)から外部インターフェースを介して供給される二次電池を充電するための電力をコントローラが受電するときの制御手順に係る。この制御手順は、図1に示した画像処理システムの場合、システムを構成する画像形成装置(プリンタA〜E)それぞれのコントローラ110が、基本的には随時行うことができる。ただ、処理負担を伴うので、所定の期間を定めて定期的に行うように管理するとよい。
【0059】
各画像形成装置は、この制御手順を所定期間が経過するたびごとに実行することにより、二次電池への電源供給の適否を判定し、判定結果として給電が必要で、給電に最適な外部機器を選定した場合には、当該外部機器から電源の供給を受け、自機の二次電池を充電する。このような制御動作を行わせることで、画像処理システムを構成する画像形成装置の二次電池が全て有効に活用され、システム全体としての省電力を最も高い状態に保つことができる。
【0060】
〈共有する管理情報〉
ここで、充電用電力の受電制御の手順を示す、後記図6の制御フローについて説明する前に、その実行の前提となる、外部機器から供給される充電用電力の受電動作の実行条件に係る管理情報について説明する。
図7は、制御フロー(後記図6)の実行に用いる各画像形成装置の管理情報のデータ構造を示す図である。
【0061】
図7に示す管理情報は、本実施形態の画像処理システム(図1)を構成する画像形成装置(プリンタA〜E)全部について、二次電池の蓄電状態、個体情報などを示す管理情報をまとめたものであり、この管理情報をもとに、画像形成装置(プリンタA〜E)は、それぞれの実行条件を確認し、条件に適う画像形成装置を選定する。
【0062】
受電制御に用いる管理情報として、「二次電池の蓄電レベル」「ユーザー設定による優先度」「個体情報」を管理する。
「二次電池の蓄電レベル」は、例えば、蓄電レベルの高低を判断するために予め所定レベルを定めておき、現在の蓄電レベルがこの所定レベル以上であれば、「高い」と判断し、所定レベル未満であれば、「低い」と判断する、といった方法により求め、定められる。蓄電レベルが低いと判断された機器へ高いと判断された機器から供給される電源で充電を行うために、この付属情報を用いる。
「ユーザー設定による優先度」は、機器の使用状態等を知っているユーザーの判断によって定められる。優先度を「高い」と設定することで、蓄電レベルが同じように低い機器でも優先度によって、高いほうを優先させることができる。
「個体情報」は、機器の特性等をもとに各機器における充電の必要性の順位をシリアル番号,MAC(Media Access Control)アドレスにて定められる。
【0063】
図1に示した画像処理システムを構成する画像形成装置のどの画像形成装置が、図6の制御フローを実行しても、得られる結果に矛盾が生じないようにする必要があり、このために図7の管理情報は、最新の情報を各画像形成装置で共有し、管理する必要がある。
このため、LAN上の画像処理システムを構成する画像形成装置同士でSNMP(Simple Network Management Protocol)プロトコルを用いて、MIB(Management Information Base)情報をやり取りし、上記付属情報を得る必要がある。
なお、SNMP及びMIBについては、上記した送電制御に用いる図5の管理情報に係る説明で述べた通りである。
【0064】
〈充電用電力の受電制御フロー(実施形態3)〉
図6の制御フローを参照して、充電用電力の受電制御手順に係る実施形態を説明する。
ある画像形成装置にて図6の制御フローが起動されると、先ず、図7に示す管理情報のうち、他の画像形成装置の「二次電池の蓄電レベル」を参照して、蓄電レベルの高低を確認する(ステップS301)。なお、上記“ある画像形成装置”は、この制御フローを実行する機器であるから、以下“自機”という。
ここで、自機の蓄電レベルが高ければ(ステップS301-高い)、充電が不要であるから、直ちにこの制御フローを終了する。
【0065】
他方、自機の蓄電レベルが低ければ(ステップS301-低い)、充電が必要であるから、図7に示した「二次電池の蓄電レベル」を再び参照して、次の実行条件をクリアするために自機の他に電源を供給可能な機器があるか否かを確認する(ステップS302)。例えば、プリンタAでこの制御フローが実行されたとする(以下、同様にこの例を引く)と、図7の表に示すように、プリンタAは蓄電レベルが低く、充電が必要であるから、次のステップS302に進む。
ステップS302で、自機の他に蓄電レベルが低い機器がなければ(ステップS302-ない)、充電が実行可能であるから、充電を実行するステップS307に移行する。なお、ステップS307については、後記で詳述する。
【0066】
他方、ステップS302で自機の他に蓄電レベルが低い機器があれば(ステップS302-ある)、充電が必要な機器が複数あるので、図7に示した「ユーザー設定による優先度」を参照して、次の実行条件であるユーザー設定による優先度を確認する(ステップS303)。プリンタAの場合、「二次電池の蓄電レベル」を参照すると、プリンタAの他にプリンタB,Cも蓄電レベルが低いので、ステップS303に進む。
【0067】
ステップS303で、充電を必要とする複数の機器の中でも、ユーザー設定による自機の優先度が低ければ(ステップS303-低い)、この制御フローでは、充電が不要とみなし、直ちにこの制御フローを終了する。
他方、ステップS303でユーザー設定による優先度が高ければ(ステップS303-高い)、「ユーザー設定による優先度」を再び参照して、次の実行条件をクリアするために、自機の他にユーザー設定による優先度が高い機器があるか否かを確認する(ステップS304)。プリンタAの場合、図7の「ユーザー設定による優先度」に示すように、プリンタAは、優先度が高いので、ステップS304に進む。
【0068】
ステップS304で、自機の他にユーザー設定による優先度が高い機器がなければ(ステップS304-ない)、充電が実行可能であるから、充電を実行するステップS307に移行する。なお、ステップS307については、後記で詳述する。
他方、ステップS304で自機の他にユーザー設定による優先度が高い機器があれば(ステップS304-ある)、図7に示した「個体情報」を参照して、次の実行条件である機器ごとに個別に定められた優先順位を確認する(ステップS305)。プリンタAの場合、ステップS304のユーザー設定による優先度の確認では、プリンタAの他にプリンタBも優先度が高いので、ステップS305に進む。
ステップS305で、個体情報による優先度が低ければ(ステップS305-低い)、この制御フローでは、充電が不要とみなし、直ちにこの制御フローを終了する。
【0069】
ステップS305の優先度の確認を、上記では、図7に示した「個体情報」を参照して行うとしたが、次に示す方法で機器ごとに定められる優先度により実行条件を確認する手順を追加もしくは置換することでステップS305の判定を行うことができる。
1つは、充電を必要とする機器がいずれもすでに二次電池で省電力動作を行っている状態にある場合の選択条件である。この場合、システム全体の省電力を図るためには、システム全体で省電力動作状態にある機器ができるだけ長く二次電池からの電源で動作を継続できるようにすることが必要である。このためには、省電力動作状態にある機器の中でも、二次電池による省電力の動作時間が長い機器、つまり蓄電量がより少ない機器を優先して充電することにより、上記の動作の継続を可能にする。なお、この優先度の有効性は、給電される機器における省電力動作時の電力消費がそれほど違わないことが条件となる。
このように、充電を必要とする機器が複数あっても、上記のような優先条件を定めることによって、二次電池からの電源で動作をより長く継続でき、省電力効果を高めることができる。
【0070】
もう1つは、充電を必要とする機器がいずれも主電源で通常動作を行っている状態にある場合の選択条件である。この場合も、システム全体の省電力を図るためには、システム全体で省電力動作状態にある機器ができるだけ長く二次電池からの電源で動作を継続できるようにすることが必要である。このためには、通常動作状態にある機器の中でも、主電源の供給を受け二次電池充電用の電源へ変換する電源変換手段の変換効率が低い機器、つまり二次電池へ供給するDC電源を生成する能力の低い機器を優先して充電することにより、上記の動作の継続を可能にする。
このように、主電源で通常動作を行っているが、充電を必要とする機器が複数あった場合にも、上記のような優先度を定めることによって、二次電池からの電源で動作をより長く継続でき、省電力効果を高めることができる。
【0071】
図6の制御フローに戻ると、ステップS305で個体情報等による優先度が高ければ(ステップS305-高い)、ここまでのステップで実行条件が確認された当該機器に対して、外部インターフェースを介して行う給電に対応する機器があるか否か、つまりPoE(登録商標)等の送受電機能を利用して二次電池からの給電を受けるための機器を備えているか否かを最終段の実行条件として確認する(ステップS306)。プリンタAの場合、図7の「個体情報」に示すように、プリンタAの方がプリンタBよりもシリアル番号が若く、より充電の必要性が高く優先されるので、ステップS306に進む。
ステップS306で給電対応機器が無いと判断されれば(ステップS306-ない)、充電が実行できないので、直ちにこの制御フローを終了する。
他方、ステップS306で給電対応機器があると判断されれば(ステップS306-ある)、実行条件の全てをクリアするので、充電を実行するステップS307に進む。
【0072】
ステップS307に進む機器は、この制御フローを起動した時点で充電の必要性が最も高い機器であり、PoE(登録商標)等の給電機能を利用して供給元である外部機器からの給電を受け、二次電池の充電を実行する(ステップS307)。
ステップS307でLAN等のネットワークに接続された外部機器(画像形成装置)からの給電を受ける際、供給元として複数の機器が存在する場合には、下記の〈選択条件1〜3〉によって、給電を実行する供給元の機器を選択することにより画像処理システム(図1)全体の省電力を図ることができる。
【0073】
〈選択条件1〉
各機器の二次電池の充電レベルは、図7に示す表を参照して上記で説明したように、常時監視され、蓄電レベルが高い機器を給電が可能な機器として把握することができるが、給電が可能な機器が複数ある場合、給電を実行する供給元の機器を一つ選ぶ必要がある。
システム全体の省電力を図るためには、システム全体で省電力動作状態にある機器ができるだけ長く二次電池からの電源で動作を継続できるようにすることが必要である。このためには二次電池の蓄電量を多く確保することが必要で、給電を要求された時点で選択対象となる供給元の機器の動作状態がかぎとなる。
つまり、主電源で通常動作を行っている機器を選ぶ方が、二次電池で省電力動作を行っている方を選ぶより有利である。これは、前者の通常動作を行っている機器では、二次電池の充電ができても、後者の省電力動作を行っている機器では、二次電池の充電ができず、一方的に消費されることになるからである。
よって、複数の供給元がこのような動作状態であった場合には、主電源で通常動作を行っている機器を給電が必要な実行機器として選択することによって、二次電池からの電源で動作をより長く継続でき、省電力効果を高めることができる。
【0074】
〈選択条件2〉
上記と同様に、給電が可能な機器が複数あり、選択対象となる機器がいずれも省電力動作状態にある場合の選択条件である。
この場合、システム全体の省電力を図るためには、システム全体で省電力動作状態にある機器ができるだけ長く二次電池からの電源で動作を継続できるようにすることが必要である。このためには、省電力動作状態にある機器の中でも、二次電池による省電力の動作時間が短い機器、つまり蓄電量がより多くある機器を優先して選択することにより、上記の動作の継続を可能にする。なお、この選択の有効性は、給電を要求された時点で選択対象となる供給元の機器における省電力動作時の電力消費がそれほど違わないことが条件となる。
このように、複数の供給元が省電力状態にあっても、上記のような選択を行うことによって、二次電池からの電源で動作をより長く継続でき、省電力効果を高めることができる。
【0075】
〈選択条件3〉
上記と同様に、給電が可能な機器が複数あり、選択対象となる機器がいずれも主電源で通常動作を行っている状態にある場合の選択条件である。
この場合、システム全体の省電力を図るためには、システム全体で省電力動作状態にある機器ができるだけ長く二次電池からの電源で動作を継続できるようにすることが必要である。このためには、通常動作状態にある機器の中でも、主電源の供給を受け二次電池充電用の電源へ変換する電源変換手段の変換効率が高い機器、つまり二次電池へ供給するDC電源をより多く生成できる能力を持つ機器を優先して選択することにより、上記の動作の継続を可能にする。
このように、複数の供給元がいずれも主電源で通常動作を行っている状態にあっても、上記のような選択を行うことによって、二次電池からの電源で動作をより長く継続でき、省電力効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0076】
100・・画像形成装置、110・・コントローラ、140・・操作部、150・・データ処理ユニット、115・・通信I/F制御部、175・・PSU、177・・電源セレクタ、179・・充電制御部を持つ二次電池。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2008−234061号公報
【特許文献2】特開2007−26083号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給のオン/オフが制御可能な商用AC電源からDC電力を生成する主電源と、
充電/放電が制御可能な蓄電手段を有し主電源のオフ時に前記主電源に代わり前記蓄電手段から電力を供給する補助電源と、
外部電子装置との間の通信機能及び電力送受機能を有する外部インターフェースと、
前記外部インターフェースを介して外部電子装置との間で補助電源充電用の電力の送電/受電を制御する電力送受制御手段と、
を有する電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載された電子装置において、
前記補助電源の充電が前記主電源によって可能であり、
前記主電源がオフした状態で動作している外部電子装置を検出する外部電子装置動作検出手段を有し、
前記電力送受制御手段は、前記外部電子装置動作検出手段により検出された電子装置に対して電力を送電する制御を行う電子装置。
【請求項3】
請求項1に記載された電子装置において、
前記外部電子装置の補助電源の蓄電量を検出する外部電子装置蓄電量検出手段を有し、
前記電力送受制御手段は、前記外部電子装置蓄電量検出手段により検出された蓄電量が所定値未満の電子装置に対して電力を送電する制御を行う電子装置。
【請求項4】
請求項1に記載された電子装置において、
前記外部電子装置が、前記外部インターフェースを介して受電した電力による補助電源の充電を許可しているか否かを検出する外部電子装置充電許可情報検出手段を有し、
前記電力送受制御手段は、前記外部電子装置充電許可情報検出手段により前記外部インターフェースを介して受電した電力による補助電源の充電が許可されていることが検出された電子装置に対して電力を送電する制御を行う電子装置。
【請求項5】
請求項1に記載された電子装置において、
予め電力を送電する前記外部電子装置を登録する送電先登録手段を有し、
前記電力送受制御手段は、前記送電先登録手段に登録された外部電子装置に対して電力を送電する制御を行う電子装置。
【請求項6】
請求項1に記載された電子装置において、
前記外部電子装置の主電源におけるAC/DC変換効率情報を取得する電源変換効率情報取得手段を有し、
前記電力送受制御手段は、前記電源変換効率情報取得手段により取得された変換効率が自機の主電源におけるAC/DC変換効率より低い電子装置に対して電力を送電する制御を行う電子装置。
【請求項7】
請求項1に記載された電子装置において、
前記外部電子装置の補助電源の蓄電量を検出する外部電子装置蓄電量検出手段を有し、
前記電力送受制御手段は、自機の補助電源の蓄電量が所定値未満であるとき、前記外部電子装置蓄電量検出手段により検出された蓄電量が所定値以上である外部電子装置から電力を受電する制御を行う電子装置。
【請求項8】
請求項7に記載された電子装置において、
前記外部電子装置が前記主電源により供給される電力で作動しているか否かを検出する外部電子装置作動検出手段を有し、
前記電力送受制御手段は、受電が可能な外部電子装置が複数ある場合、前記外部電子装置作動検出手段により検出された前記主電源により供給される電力で作動している外部電子装置を優先させて、そこから電力を受電する制御を行う電子装置。
【請求項9】
請求項7に記載された電子装置において、
前記外部電子装置が前記補助電源により供給される電力で作動している時間を検出する補助電源作動時間検出手段を有し、
前記電力送受制御手段は、受電が可能な外部電子装置が複数ある場合、前記補助電源作動時間検出手段により検出された作動時間のより短い外部電子装置を優先させて、そこから電力を受電する制御を行う電子装置。
【請求項10】
請求項7に記載された電子装置において、
前記外部電子装置の主電源におけるAC/DC変換効率情報を取得する電源変換効率情報取得手段を有し、
前記電力送受制御手段は、受電が可能な外部電子装置が複数ある場合、前記電源変換効率情報取得手段により取得された変換効率がより高い外部電子装置を優先させて、そこから電力を受電する制御を行う電子装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載された電子装置において、
前記主電源のオフは、省電力動作モードの制御条件に従って行う動作である電子装置。
【請求項12】
請求項1乃至7のいずれかに記載された電子装置を互いにネットワーク接続して構成する電力送受システム。
【請求項13】
供給のオン/オフが制御可能な商用AC電源からDC電力を生成する主電源と、充電/放電が制御可能な蓄電手段を有し、主電源のオフ時に前記主電源に代わり前記蓄電手段から電力を供給する補助電源と、外部電子装置との間の通信機能及び電力送受機能を有する外部インターフェースとを有する電子装置の電力送受方法であって、
前記外部インターフェースを介して外部電子装置との間で補助電源充電用の電力の送電/受電を制御する電力送受制御工程
を有する電力送受方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−178138(P2012−178138A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203540(P2011−203540)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】