説明

電子装置、電気光学装置および基板の接続構造

【課題】押圧時の密着性を確保しつつ、フレキシブルプリント基板に設けられた電子部品から他の基板に形成された配線へ至る経路の抵抗値を十分に低減する。
【解決手段】可撓性の基材に内蔵された電子部品、および、電子部品に接続される電極を含むフレキシブルプリント基板と、表面に配線が形成された基板とを備え、フレキシブルプリント基板は、電子部品の少なくとも一部が基板とフレキシブルプリント基板との接続部の一部に重なるように配置されたうえ、電極と配線とが接続されるという構成を有する電子装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント基板と、当該フレキシブルプリント基板が接続される基板とを備える電子装置および電気光学装置、ならびに基板の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性の基材の上にICチップなどの電子部品を実装することでフレキシブルプリント基板を構成するという技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図14は、特許文献1に開示されたフレキシブルプリント基板100が、他の基板200と接続された状態を示す図である。図14に示すように、フレキシブルプリント基板100は、可撓性の基材101と、基材101の上に実装された電子部品103と、電子部品103に接続された電極105とを含む。一方、基板200は、基材201と、基材201の表面に形成された配線203とを含む。
【0004】
フレキシブルプリント基板100の電極105は、導電粒子を含む異方性導電膜300を介して配線203に接続される。以下、その接続方法について簡単に説明する。図14に示すように、フレキシブルプリント基板100と他の基板200とを接続するときは、電極105と配線203との間に異方性導電膜300を介在させた状態で、基材101の表面のうち基材101の垂直方向から見て基板200(配線203)と重なる領域を、熱と圧力を加えるためのボンディングツール400にてZ方向に押圧する。これにより、電極105と配線203との間に介在する導電粒子が潰され、その潰された状態の導電粒子が電極105と配線203とを接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−216532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、フレキシブルプリント基板100を基板200と接続する際には、電子部品103から基板200の配線203へ至る経路の抵抗値を低減するという観点から、電子部品103は基板200に極力近い位置に配置されることが望ましい。
【0007】
しかしながら、例えば電子部品103の少なくとも一部が、フレキシブルプリント基板100基板200との接続部に重なるような位置に配置される場合は、当該電子部品103の少なくとも一部はボンディングツール400の押圧面に重なることになる。そうすると、基板同士を接続する際において、ボンディングツール400の押圧面は基材201の表面から突出した電子部品103に接触してしまう。このため、ボンディングツール400の押圧面は基材101の表面のうち基材101の垂直方向から見て他の基板200と重なる領域(接続部)と密着することができない。したがって、電子部品103は、フレキシブルプリント基板100と基板200との接続部に重ならないようにして配置しなければならないという制約を受けるため、電子部品103から他の基板200の配線203へ至る経路の抵抗値を十分に低減することは困難であるという問題があった。
以上の事情に鑑みて、本発明は、押圧時の密着性を確保しつつ、フレキシブルプリント基板に設けられた電子部品から他の基板に形成された配線へ至る経路の抵抗値を十分に低減するという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、本発明に係る電子装置は、可撓性の基材と、基材に内臓された電子部品と、電子部品に接続される電極とを含むフレキシブルプリント基板と、表面に配線が形成された基板と、を備え、フレキシブルプリント基板は、電子部品の少なくとも一部が、基板とフレキシブルプリント基板との接続部の一部に重なるように配置され、電極は配線に接続される。「電子部品が基材に内蔵される」とは、電子部品が基材の内部に格納されることを意味するものであり、電子部品が基材で覆われる(基材で包まれる)構成(例えば図12に示された構成)のほか、電子部品の上面が基材から露出する構成も含まれる。電子部品が基材から露出する構成には、電子部品の上面の位置が基材の上面の位置と同じである態様(例えば図2に示された構成)、および、電子部品の上面の位置が基材の上面の位置よりも低い態様(例えば図13に示された構成)が含まれる。
【0009】
この態様においては、電子部品は可撓性の基材に内蔵されるから、電子部品がどの位置に配置されても、当該電子部品は可撓性の基材の表面から突出しない。そうすると、電子部品が、基板の垂直方向から見てボンディングツールの押圧面に重なるような位置(フレキシブルプリント基板と基板との接続部に重なるような位置)に配置された場合であっても、基板同士が接続される際において、ボンディングツールの押圧面は可撓性の基材の表面のうち基板と重なる領域に密着するから、十分な接着性を得ることができる。そして、この態様においては、電子部品の少なくとも一部が基板とフレキシブルプリント基板との接続部の一部に重なるように配置されるから、押圧時の密着性を確保しつつ電子部品から基板の表面に形成された配線へ至る経路の抵抗値を低減できるという利点がある。
【0010】
また、可撓性の基材の上に可撓性の電子部品を実装したフレキシブルプリント基板においては、電子部品が実装された部分は、その厚みが他の部分に比べて大きいために撓みにくくなるという問題がある。これに対して、この態様によれば、電子部品は可撓性の基材に内蔵されるから、当該電子部品は基材の表面から突出することはない。したがって、フレキシブルプリント基板のうち電子部品が配置された部分の厚みは、可撓性の基材の上に電子部品を実装するという態様に比べて小さいから、当該部分を大きく撓ませることができるという利点がある。
【0011】
また、本発明に係る電子装置の好適な態様として、電子部品は基材から露出している。この態様によれば、電子部品が基材で覆われる(包まれる)態様に比べて、電子部品の放熱量を大きくすることができるという利点がある。
【0012】
さらに、本発明に係る電子装置の好適な態様として、電子部品は基材で覆われているという態様とすることもできる。この態様によれば、フレキシブルプリント基板に対して外部からの衝撃が加わった場合であっても、電子部品の損傷を抑制できるという利点がある。
【0013】
また、本発明は、電気光学装置の発明として捉えることもできる。本発明に係る電気光学装置は、電気光学素子と、電気光学素子を駆動するための駆動用信号が供給される信号線と、が基板上に形成されたパネルと、可撓性の基材と、基材に内蔵されて駆動信号を出力する駆動回路と、駆動回路に接続される電極とを内蔵するフレキシブルプリント基板と、を備え、フレキシブルプリント基板は、駆動回路の少なくとも一部が、パネルとフレキシブルプリント基板との接続部の一部に重なるように配置され、電極は信号線に接続される。
【0014】
また、本発明は、基板の接続構造の発明として捉えることもできる。本発明に係る基板の接続構造は、可撓性の基材と、基材に内臓された電子部品と、電子部品に接続される電極とを含むフレキシブルプリント基板は、表面に配線が形成された基板に対して、電子部品の少なくとも一部が基板とフレキシブルプリント基板との接続部の一部に重なるように配置され、電極は配線に接続される
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の平面図である。
【図2】同実施形態に係る電気光学装置の断面図である。
【図3】フレキシブルプリント基板が接続されるときの様子を示す図である。
【図4】同実施形態に係る第1製造方法を示す図である。
【図5】同実施形態に係る第1製造方法を示す図である。
【図6】同実施形態に係る第2製造方法を示す図である。
【図7】同実施形態に係る第2製造方法を示す図である。
【図8】同実施形態に係る第2製造方法を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る電気光学装置の断面図である。
【図10】同実施形態に係るフレキシブルプリント基板の製造方法を示す図である。
【図11】同実施形態に係るフレキシブルプリント基板の製造方法を示す図である。
【図12】本発明の変形例に係る電気光学装置の断面図である。
【図13】本発明の変形例に係る電気光学装置の断面図である。
【図14】従来のフレキシブルプリント基板が接続されるときの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<A:第1実施形態>
<A−1:構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置10の平面図である。図2は、図1のA−A線の断面図である。この電気光学装置10は、画像を表示するための手段として各種の電子機器に採用される装置であり、表示パネル20と、フレキシブルプリント基板30とを備える。
【0017】
表示パネル20は、第1基板22と、第1基板22に対向して配置される第2基板24とを有する。第2基板24は、その周縁に塗布されたシール剤26を介して第1基板22と貼り合わせられ、両者の間には液晶Lqが封入される。第2基板24における第1基板22との対向面には、各電気光学素子Pに共通な共通電極が形成される。第1基板22における第2基板24との対向面には、各電気光学素子Pの画素電極、薄膜トランジスタ、信号線11などが形成される。本実施形態では、各電気光学素子Pは、画素電極および共通電極と、両者間に介在する液晶Lqとで構成される。
【0018】
各電気光学素子Pを駆動するための駆動用信号(例えば各電気光学素子Pを選択するための選択信号、各電気光学素子Pの階調を指定するためのデータ信号など)が各々に供給される複数の信号線11は第1基板22上に形成される。各信号線11は第1基板22の周縁へ向かって延びている。第1基板22の表面のうち第2基板24の周縁から張り出した領域にはフレキシブルプリント基板30が配置される。
【0019】
フレキシブルプリント基板30は、可撓性を有する(湾曲可能な)基材32と、基材32に内蔵された駆動回路34と、駆動回路34に接続された電極36とを備える。駆動回路34は、ICチップであり、駆動用信号を出力する手段である。本実施形態では、駆動回路34の厚みは100μm以下に設定されている。このため、駆動回路34は、ある程度の可撓性を有する。
【0020】
駆動回路34は基材32の凹部D内に収容され、上面Eは基材32から露出している。さらに言えば、駆動回路34の上面Eと基材32の上面Fとは連続して平坦な面になっている。また、図2に示すように、駆動回路34は第1バンプ(突起状の球状電極)B1を介して電極36と接続される一方、第2バンプB2を介して配線38と接続される。配線38は絶縁性の材料からなるソルダーレジスト39で覆われている。さらに、駆動回路34は、その一部が、表示パネル20の表面に重なるように配置されている。より具体的には、駆動回路34は、その一部が、フレキシブルプリント基板30の垂直方向から見て表示パネル20の第1基板22の表面に形成された信号線11に重なるように配置されている。
【0021】
図2に示すように、電極36は、基材32のうち上面Fとは反対側の下面Gに形成されるとともに、信号線11と対向するように配置され、異方性導電膜40を介して当該信号線11に接続される。本実施形態では、電極36は、銅などの金属で形成された第1層36aと、第1層36aを覆うとともに金などの金属で形成された金属層36bとから構成される。そして、金属層36bと信号線11との間には異方性導電膜40が介在して両者を接続している。異方性導電膜40とは、ニッケルや半田などの導電粒子を接着性のある樹脂に混ぜて作られる接着剤である。
【0022】
図3に示すように、フレキシブルプリント基板30と表示パネル20とを接続するときには、金属層36bと信号線11との間に異方性導電膜40を介在させた状態で、可撓性の基材32の表面Fのうち基材32の垂直方向から見て第1基板22(信号線11)に重なる領域を、熱と圧力を加えるためのボンディングツール400にてZ方向に押圧する。これにより、金属層36bと信号線11との間に介在する導電粒子が潰され、その潰された状態の導電粒子が金属層36bと信号線11とを接続する。以上より、駆動回路34は電極36を介して信号線11と接続される。駆動回路34から出力された駆動用信号は、電極36を介して信号線11へ供給される。
【0023】
本実施形態においては、駆動回路34の一部が、第1基板22とフレキシブルプリント基板30との接続部(第1基板22の表面とフレキシブルプリント基板30とが重なる部分)の一部に重なるように配置されるから、図3に示すように、駆動回路34の一部は基板30の垂直方向から見てボンディングツール400の押圧面Prと重なる。しかしながら、本実施形態においては、駆動回路34は基材32に内蔵され、駆動回路34の上面Eと基材32の上面Fとは連続して平坦な面になっているから、駆動回路34の一部が第1基板22とフレキシブルプリント基板30との接続部の一部に重なるように配置されていても、ボンディングツールの押圧面Prは基材32の表面Fのうち第1基板22に重なる領域(接続部)に密着する。したがって、当該領域は、ボンディングツール400によって均一に押圧されるから、十分な接着性を得ることができる。そして、駆動回路34の一部が第1基板22とフレキシブルプリント基板30との接続部の一部に重なるように配置されることによって、駆動回路34から電極36を介して信号線11へ至る電流経路の抵抗値を、図14に示す従来の構成に比べて低減できるという利点がある。
【0024】
ところで、図14に示す構成においては、フレキシブルプリント基板100のうち電子部品103が実装された部分は、その厚みが他の部分に比べて大きいために撓みにくくなるという問題がある。これに対して、本実施形態によれば、電子部品である駆動回路34は可撓性の基材32に内蔵されるから、当該駆動回路34は基材32の表面Fから突出することはない。したがって、フレキシブルプリント基板30のうち電子部品(駆動回路34)が配置された部分の厚みは、図14に示す構成に比べて小さい。このため、フレキシブルプリント基板30のうち電子部品(駆動回路34)が配置された部分を、図14の構成に比べて大きく撓ませることができるという利点がある。すなわち、本実施形態によれば、フレキシブルプリント基板のうち電子部品(駆動回路34)が実装された部分を大きく撓ませることと、電子部品(駆動回路34)から他の基板に形成された配線(信号線11)へ至る経路の抵抗値を低減できることとの両方を達成できるという利点がある。
【0025】
<A−2:製造方法>
次に、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板30を製造する方法を説明する。最初に、図4および図5を参照しながら、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板30の第1製造方法について説明する。
【0026】
(1)第1製造方法
先ず、仮基材50の一方の面51に剥離層52を形成する(図4の工程P1)。より具体的には、ポリイミドからなる仮基材50の表面51上に、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン共重合体などのフッ素樹脂を塗布した後、加熱処理を行って当該フッ素樹脂を硬化させる。これにより、仮基材50の表面51上に剥離層52が形成される。
【0027】
次に、剥離層52の面上に金属層を形成する(図4の工程P2)。より具体的には、電極36の第1層36aと、第1層36aと共通の金属からなる配線38とを剥離層52の面上に形成する。前述したように、第1層36a(電極36)は、表示パネル20の第1基板22の表面に形成された信号線11と接続するための金属層である。配線38は第1層36aとは離れた位置に形成される金属層である。第1層36aおよび配線38は銅から形成される。
【0028】
なお、剥離層52の面上に金属層を形成する方法は任意であり、例えばアディティブ法やサブトラクト法などを利用することができる。また、剥離層52の面上に金属層をラミネートする(貼り合わせる)場合は、剥離層52の材料であるフッ素樹脂を完全には硬化させずに(半硬化させて)当該フッ素樹脂が接着性を有する状態で金属層を貼り合わせ、その後にフッ素樹脂を完全に硬化させることが好適である。また、ポリイミドからなる仮基材50の代わりに、フッ素樹脂を材料とする基材を用意して、当該基材の一方の面に金属層を直接形成するという態様とすることもできる。
【0029】
次に、仮基材50の一方の面51上に電子部品(駆動回路34)を配置するとともに当該電子部品を剥離層52の面上に形成された金属層と接続する。より具体的には、以下のとおりである。先ず、第1層36aと接続するための第1バンプB1と、配線38と接続するための第2バンプB2とが一方の面(下面)Hに設けられた駆動回路34が、第1バンプB1および第2バンプB2とは反対側の面(上面)Eをボンディングツール500の押圧面Iに真空吸着された状態で所定の位置に配置される(図4の工程P3)。所定の位置とは、第1バンプB1が剥離層52上の第1層36aと対向するとともに、第2バンプB2が剥離層52上の配線38と対向する位置を意味する。続いて、ボンディングツール500に真空吸着された状態の駆動回路34を図4に示すZ方向の正側に移動することで、第1バンプB1を第1層36aに接触させるとともに第2バンプB2を配線38に接触させる(図4の工程P4)。そして、駆動回路34の上面Eを、ボンディングツール500によって図4に示すZ方向の正側に押圧する(図4の工程P5)。これにより、第1バンプB1が第1層36aに圧着されて両者は接合する。同様に、第2バンプB2が配線38に圧着されて両者は接合する。
【0030】
なお、駆動回路34の厚み(図4に示すZ方向の大きさ)は100μm以下に設定されているが、フレキシブルプリント基板30が湾曲したときに、駆動回路34が割れずに湾曲するためには、その厚みは50μm以下であることが好適である。また、駆動回路34を金属層に接続する際に、駆動回路34の取り扱いを容易にするためには、駆動回路34の厚みは20μm以上であることが好適である。
【0031】
次に、仮基材50の一方の面51を覆うように可撓性の基材32の材料を塗布して、可撓性の基材32を形成する(図5の工程P6)。より具体的には、以下のとおりである。先ず、剥離層52および金属層(36a,38)の面上に、仮基材50の一方の面51を覆うように液状のポリイミド前駆体を塗布する。このとき、駆動回路34の側面は全周にわたってポリイミド前駆体で覆われる一方、上面Eはポリイミド前駆体で覆われずに露出する。ポリイミド前駆体を塗布した後、加熱処理を行って当該ポリイミド前駆体を硬化させる。これにより、ポリイミドからなる可撓性の基材32が形成される。駆動回路34は可撓性の基材32の凹部Dに収容され、駆動回路34の上面Eと基材32の上面Fとは連続して平坦な面になっている。
【0032】
なお、ポリイミド前駆体の塗布方法は任意であり、均一な厚みで塗布できるものであればよい。例えば、キャスティング法、ローラー転写法、ディスペンス法などを利用することができる。
【0033】
次に、仮基材50および剥離層52を除去する(図5の工程P7)。剥離層52は、金属層が剥離しやすい材料で形成されているため、金属層から仮基材50および剥離層52を引き剥がすことは容易である。仮基材50および剥離層52を除去した後、露出した第1層36aを金属層36bで覆うとともに、配線38をソルダーレジスト39で覆う(図5の工程P8)。以上が、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板30の第1製造方法である。
【0034】
(2)第2製造方法
次に、図6〜図8を参照しながら、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板30の第2製造方法について説明する。先ず、仮基材50の一方の面51に金属層を形成する(図6の工程Q1)。より具体的には、ポリイミドからなる仮基材50の表面51に、第1層36aと、配線38とを形成する。仮基材50の表面51に金属層を形成する方法は任意であり、例えばアディティブ法やサブトラクト法などを利用することができる。
【0035】
次に、仮基材50の表面51を覆うように可撓性の基材32を形成する(図6の工程Q2)。より具体的には、仮基材50の表面51および金属層の面上に液状のポリイミド前駆体を塗布した後、加熱処理を行って当該ポリイミド前駆体を硬化させることにより、ポリイミドからなる可撓性の基材32を形成する。なお、ポリイミド前駆体の塗布方法は任意であり、均一な厚みで塗布できるものであればよい。
【0036】
次に、基材32を部分的に除去して凹部54を形成するとともに、金属層のうち凹部54の内側の部分を露出させる。より具体的には、以下のとおりである。先ず、基材32の金属層とは反対側の面55のうち凹部54が形成される領域以外の領域をエッチングレジスト60で覆う(図6の工程Q3)。続いて、基材32の面55のうちエッチングレジスト60で覆われていない領域をエッチングして、凹部54を形成するとともに、金属層のうち凹部54の内側の部分を露出させる(図6の工程Q4)。その後、エッチングレジスト60を除去する(図6の工程Q5)。
【0037】
次に、駆動回路34を凹部54に収容して金属層と接続する。より具体的には、以下のとおりである。先ず、駆動回路34が、その上面Eをボンディングツール500の押圧面Iに真空吸着された状態で所定の位置に配置される(図7の工程Q6)。続いて、ボンディングツール500に真空吸着された状態の駆動回路34を図7に示すZ方向の正側に移動することで、第1バンプB1を第1層36aに接触させるとともに第2バンプB2を配線38に接触させる(図7の工程Q7)。そして、駆動回路34の上面Eを、ボンディングツール500によって図4に示すZ方向の正側に押圧する(図7の工程Q8)。これにより、第1バンプB1が第1層36aに接合するとともに、第2バンプB2が配線38に接合する。なお、基材32の厚み(Z方向の大きさ)は、金属層に接続された状態における駆動回路34の上面EのZ方向における位置が、基材32の上面FのZ方向における位置と同じになるような値に設定されている。
【0038】
次に、可撓性を有する材料を凹部54に充填する(図7の工程Q9)。より具体的には、以下のとおりである。先ず、液状のポリイミド前駆体を凹部54に充填する。このとき、駆動回路34の側面はポリイミド前駆体で覆われる一方、上面Eはポリイミド前駆体で覆われずに露出する。ポリイミド前駆体を塗布した後、加熱処理を行って当該ポリイミド前駆体を硬化させる。これにより、凹部54に充填されたポリイミドは基材32と一体化するとともに、駆動回路34は当該基材32の凹部Dに収容される。駆動回路34の上面Eと基材32の上面Fとは連続して平坦な面になる。
【0039】
次に、仮基材50を除去して金属層を露出させる(図8の工程Q10)。その後、第1層36aを金属層36bで覆うとともに、配線38をソルダーレジスト39で覆う(図8の工程Q11)。以上が、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板30の第2製造方法である。
【0040】
なお、上述の第2製造方法においては、仮基材50の一方の面51上に金属層を直接形成しているが、これに限らず、前述の第1製造方法と同様に、仮基材50の一方の面51上に剥離層52を形成し、当該剥離層52上に金属層を形成するという態様とすることもできる。この態様によれば、工程Q10における仮基材50の除去が容易になるという利点がある。
【0041】
<B:第2実施形態>
<B−1:構成>
次に、本発明の第2実施形態に係る電気光学装置10について説明する。図9は、本実施形態に係る電気光学装置10の断面図(図2に対応)である。図9に示すように、可撓性の基材32の下面Gに形成される配線38は、ソルダーレジスト39で覆われずに、可撓性の第2基材70で覆われている点で上述の第1実施形態と異なる。本実施形態では、第2基材70は、可撓性の基材32と共通の材料で形成されている。その他の構成は第1実施形態と同じであるから、重複する部分については説明を省略する。
【0042】
<B−2:製造方法>
次に、図10および図11を参照しながら、第2実施形態に係るフレキシブルプリント基板30の製造方法について説明する。先ず、可撓性を有する第2基材70の一方の面71に金属層を形成する(図10の工程R1)。より具体的には、ポリイミドからなる第2基材70の表面71上に、第1層36aと、配線38とを形成する。
【0043】
続いて、第1基材70の表面71を覆うように可撓性の基材32を形成する(図10の工程R2)。より具体的には、第1基材70の表面71および金属層の面上に液状のポリイミド前駆体を塗布した後、加熱処理を行って当該ポリイミド前駆体を硬化させる。これにより、ポリイミドからなる可撓性の基材32が形成される。
【0044】
次に、基材32を部分的に除去して駆動回路34を収容するための凹部54を形成するとともに、金属層のうち凹部54に重なる部分を露出させる。より具体的には、以下のとおりである。先ず、基材32の金属層とは反対側の面55のうち凹部54が形成される領域以外の領域をエッチングレジスト60で覆う(図10の工程R3)。続いて、基材32の面55のうちエッチングレジスト60で覆われていない領域をエッチングして、凹部54を形成するとともに、金属層のうち凹部54の内側の部分を露出させる(図10の工程R4)。次に、第2基材70の厚さ方向(図10のZ方向)を部分的にエッチングして、当該第2基材70の厚みを薄くする(図10の工程R5)。第2基材70の厚みは、その表面71に形成された金属層を保持できる程度の値(5〜20μm)であればよい。
【0045】
なお、本実施形態では、基材32と第2基材70とは共通の材料(ポリイミド)で形成されるから、工程R4および工程R5を同時に行うことも可能である。また、工程R5は省略することも可能である。図10の工程R5が完了した後、エッチングレジスト60を除去する(図10の工程R6)。
【0046】
次に、駆動回路34を凹部54に収容して金属層と接続する(図11の工程R7)。この内容は、第1実施形態の第2製造方法における工程Q6〜工程Q8と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0047】
続いて、凹部54に可撓性を有する材料を充填する(図11の工程R8)。この内容は、第1実施形態の第2製造方法における工程Q9と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0048】
次に、金属層のうち他の基板の配線に接続される部分を第2基材70から露出させる(図11の工程R9)。より具体的には、第2基材70を部分的にエッチングすることにより、第1層36aを第2基材70から露出させる。以上が、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板30の製造方法である。
【0049】
<C:変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。また、以下に示す変形例のうちの2以上の変形例を組み合わせることもできる。
【0050】
(1)変形例1
上述の各実施形態では、可撓性の基材32に内蔵された駆動回路34の上面Eが基材32から露出しているという態様が例示されているが、これに限らず、例えば図12に示すように、駆動回路34の上面Eが基材32によって覆われているという態様とすることもできる。図12の態様によれば、フレキシブルプリント基板30に対して外部からの衝撃が加わった場合であっても、駆動回路34の損傷を抑制できるという利点がある。一方、上述の各実施形態においては、駆動回路34の上面Eが基材32から露出しているから、駆動回路34が有する熱は外部へ逃げ易くなる。したがって、駆動回路34の上面Eが基材32で覆われる態様に比べて、駆動回路34から外部への放熱量を大きくすることができるという利点がある。
【0051】
また、例えば図13に示すように、駆動回路34の上面Eの位置が基材32の上面Fの位置よりも低い態様とすることもできる。この態様であっても、駆動回路34は基材32の表面から突出しないから、押圧時の密着性を確保することができる。要するに、駆動回路34が基材32の表面から突出しないという態様であればよい。
【0052】
(2)変形例2
上述の各実施形態では、フレキシブルプリント基板30が表示パネル20に接続される態様を例示しているが、フレキシブルプリント基板30が接続される基板は表示パネル20に限らず、表面に配線が形成された基板であればよい。例えば、フレキシブルプリント基板30がPCB(Printed Circuit Board)に接続される態様であってもよい。要するに、本発明の形態としては、可撓性の基材に内蔵された電子部品、および、電子部品に接続される電極を含むフレキシブルプリント基板と、表面に配線が形成された基板とを備え、フレキシブルプリント基板は、電子部品の少なくとも一部が基板の表面に重なるように配置されたうえ、電極と配線とが接続されるという構成を有する電子装置であればよい。また、電子部品の種類は任意である。電子部品は、例えばICチップであってもよいし、コンデンサなどの回路素子であってもよい。
【0053】
(3)変形例3
上述の各実施形態では、駆動回路34が基材32に内蔵される態様が例示されているが、例えば、駆動回路34が表示パネル20上に実装(COG実装)されて、同期信号や階調データを駆動回路34に出力する制御回路が基材32に内蔵される態様とすることもできる。この態様においては、同期信号や階調データを駆動回路34に出力する制御回路が「電子部品」に該当する。また、駆動回路34および制御回路が表示パネル20上に実装されて、駆動回路34や制御回路に対して電源電位を供給する電源回路が基材32に内蔵される態様とすることもできる。この態様においては、駆動回路34や制御回路に対して電源電位を供給する電源回路が「電子部品」に該当する。
【符号の説明】
【0054】
10……電気光学装置、11……信号線、20……表示パネル、22……第1基板、24……第2基板、26……シール材、30……フレキシブルプリント基板、32……基材、34……駆動回路、36……電極、38……配線、39……ソルダーレジスト、40……異方性導電膜、50……仮基材、52……剥離層、54……凹部、60……エッチングレジスト、400,500……ボンディングツール、36B……バンプ、D……凹部、P……電気光学素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の基材と、前記基材に内蔵された電子部品と、前記電子部品に接続される電極とを含むフレキシブルプリント基板と、
表面に配線が形成された基板と、を備え、
前記フレキシブルプリント基板は、前記電子部品の少なくとも一部が前記基板と前記フレキシブルプリント基板との接続部の一部に重なるように配置され、
前記電極は前記配線に接続される、
電子装置。
【請求項2】
前記電子部品は前記基材から露出している、
請求項1の電子装置。
【請求項3】
前記電子部品は前記基材に覆われている、
請求項の電子装置。
【請求項4】
電気光学素子と、前記電気光学素子を駆動するための駆動用信号が供給される信号線と、が基板上に形成されたパネルと、
可撓性の基材と、前記基材に内蔵されて前記駆動信号を出力する駆動回路と、前記駆動回路に接続される電極とを内蔵するフレキシブルプリント基板と、を備え、
前記フレキシブルプリント基板は、前記駆動回路の少なくとも一部が、前記パネルと前記フレキシブルプリント基板との接続部の一部に重なるように配置され、
前記電極は前記信号線に接続される、
電気光学装置。
【請求項5】
可撓性の基材と、前記基材に内臓された電子部品と、前記電子部品に接続される電極とを含むフレキシブルプリント基板は、
表面に配線が形成された基板に対して、前記電子部品の少なくとも一部が、前記基板と前記フレキシブルプリント基板との接続部の一部に重なるように配置され、前記電極は前記配線に接続される、
基板の接続構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−212397(P2010−212397A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56032(P2009−56032)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】