説明

電子装置の製造方法および製造装置

【課題】
ボイドの発生を抑えることで信頼性を向上した電子装置の製造方法等を提供する。
【解決手段】
電子装置1の製造方法において、樹脂材料からなるフィルム111上にアンテナパターン112が形成されてなる基体11のこのアンテナパターン112が形成された側の面に熱硬化接着剤13を付着させる付着工程と、アンテナパターン112に接続する回路チップ12を、熱硬化接着剤13を介して基体に載せる搭載工程と、基体11の回路チップ12側に当接する押さえ部21と、基体のフィルム111側に当接して基体を支持する支持部22とを有する加熱装置2によって、基体を回路チップ側とフィルム側との両側から挟むとともに、支持部22にフィルムを密着させる密着工程と、加熱部21によって熱硬化接着剤13を加熱して硬化させることによって回路チップ12をアンテナパターン112に固定する加熱工程とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の製造方法および製造装置に関し、特にフィルム状の基体に回路チップが搭載された電子装置の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリント配線基板等の基体に回路チップが搭載されてなる電子装置が広く知られている。このような電子装置は、電子機器に内蔵されてこの電子機器を制御したり、あるいは単体として外部機器と情報をやり取りしたりする用途に用いられている。電子装置の一例として、リーダライタに代表される外部機器と、電波によって非接触で情報のやり取りを行う種々のRFID(Radio_Frequency_IDentification)タグが知られている。このRFIDタグの一種として、ベースシート上に電波通信用の導体パターンとICチップが搭載された構成のものが提案されており、このようなタイプのRFIDタグについては、物品などに貼り付けられ、その物品に関する情報を外部機器とやり取りすることで物品の識別などを行うという利用形態が考えられている。
【0003】
RFIDタグには、小型軽量化、特に薄型化やフレキシビリティ、そして低コスト化が求められている。これに対応し、ICチップが搭載される基体の材料として、例えば、ポリエチレン‐テレフタラート(PET)等の樹脂材料からなるフィルムを採用したRFIDタグが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図6は、従来技術におけるRFIDタグを製造する方法を説明する図である。
【0005】
図6には、RFIDタグを製造するための各工程がパート(a)からパート(d)まで順に示されている。
【0006】
RFIDタグを製造するには、まず、図6のパート(a)に示すように、PETからなるフィルム911にRFIDタグのアンテナとして機能する導体パターン912が形成されてなる基体91を用意し、この基体91の上に、加熱によって硬化する熱硬化接着剤93pを付着させる。
【0007】
次に、図6のパート(b)に示すように、基体91の熱硬化接着剤93pが付着した部分にIC92チップを載せる。ICチップ92には導体パターン912に接続されるバンプ921が形成されている。図6のパート(c)に示すように、ICチップ92は、バンプ921の位置と導体パターン912の位置が合うように基体91に載せられる。
【0008】
次に、図6のパート(d)に示すように、ICチップ92が載せられた基体91は、基体91のフィルム911の側と、ICチップ92の側の両側から、加熱装置8によって挟まれる。次に、加熱装置8のうちICチップ92の側に当接する加熱ヘッド81によって、熱硬化接着剤93pが加熱されて硬化する。このようにして、ICチップ92は、バンプ921が導体パターン912に接触した状態で基体91に固定され、小型軽量のRFIDタグが完成する。
【特許文献1】特開2001−156110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、フィルム911の材料であるPETは、ガラス転移点が約67℃であり、耐熱温度が低いため、熱硬化接着剤93pを硬化する際の加熱によって変形しやすい。
【0010】
図7は、図6のパート(d)の加熱工程における基体の状態を説明する図である。
【0011】
図7のパート(a)に示すように、ICチップ92が基体91に載せられた状態で加熱処理が行われると、基体91の温度が上昇し、図7のパート(b)に示すようにフィルム911が変形する。硬化中の熱硬化接着剤93pがフィルム911の変形に伴い流動すると、熱硬化接着剤93p中には気泡が発生し、硬化した後もボイド931となって残留する。硬化した熱硬化接着剤93p中のボイドは、ICチップ92と基体91との接着力を低下させるため、RFIDタグの信頼性を低下させる。
【0012】
このようなボイドの発生による信頼性低下の問題はRFIDタグに限らず、フィルム状の基体に回路チップが搭載された電子装置に共通の問題である。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑み、ボイドの発生を抑えることで電子装置の信頼性を向上した電子装置の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成する本発明の電子装置の製造方法は、樹脂材料からなるフィルム上に導体パターンが形成されてなる基体のこの導体パターンが形成された側の面に熱硬化接着剤を付着させる付着工程と、
上記導体パターンに接続する回路チップを、上記熱硬化接着剤を介して上記基体に載せる搭載工程と、
上記基体の上記回路チップ側に当接する押さえ部と、この基体のフィルム側に当接してこの基体を支持する支持部とを有する、上記熱硬化接着剤を加熱する加熱装置によって、この基体を回路チップ側とフィルム側との両側から挟むとともに、該支持部に前記フィルムを密着させる密着工程と、
上記加熱装置によって上記熱硬化接着剤を加熱して硬化させることによって上記回路チップを上記導体パターンに固定する加熱工程とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の電子装置の製造方法では、加熱装置の押さえ部および支持部によって基体を両側から挟むとともに、この支持部に基体のフィルムを密着させる。支持部にフィルムが密着するため、フィルムが加熱によって溶融しても変形が抑えられる。したがって、熱硬化接着剤中における、フィルム変形に伴うボイドの発生が抑えられて、電子装置の信頼性が向上する。また、電子装置の製造歩留まりが向上するので、製造コストが低廉化する。
【0016】
ここで、上記本発明の電子装置の製造方法において、上記密着工程が、上記支持部と上記フィルムとの間に、層状の粘着部材を介在させることによってこのフィルムをこの粘着部材に密着させる工程であることが好ましい。
【0017】
ここで、粘着部材を支持部とフィルムとの間に「介在させる」とは、例えば、粘着部材が支持部の表面に形成された場合や、粘着部材がフィルムの側に形成された場合、または、粘着部材が支持部およびフィルムの双方とは別体のシートとして支持部およびフィルムに挟まる場合を含んだ意味である。
【0018】
粘着部材が支持部とフィルムとの間に介在することによって、回路チップが搭載された基体を、支持部と押さえ部とによって両側から挟むだけで、フィルムが支持部に密着する。したがって、簡易な構成によって、フィルム変形に伴うボイドの発生が抑えられる。
【0019】
ここで、上記本発明の電子装置の製造方法において、上記支持部が、前記フィルムに当接する側の面に前記粘着層を備えたものであることが好ましい。
【0020】
支持部が粘着層を備える場合には、製造される電子装置の一つひとつに粘着層を塗布する必要がない。
【0021】
また、上記本発明の電子装置の製造方法において、上記支持部が、上記フィルムを吸着する吸着機構を有するものであり、
上記加熱工程が、上記支持部によって、このフィルムを吸着する工程であることが好ましい。
【0022】
支持部が吸着機構を有することによって、支持部と押さえ部とによって両側から挟む力とは独立に、フィルムが支持部に密着する力を調節することができる。したがって、支持部と加熱部とによって挟む力と、フィルムが支持部に密着する力とをそれぞれの条件に最適に合わせることができる。
【0023】
また、上記本発明の電子装置の製造方法において、上記支持部は、上記フィルムに当接する側の面に開口した多数の微細孔が形成されたものであり、
上記密着工程は、上記微細孔内部から空気を吸引することによってこの支持部にこのフィルムを吸着させる工程であることが好ましい。
【0024】
支持部に形成された多数の微細孔によって支持部にこのフィルムを吸着させることにより、フィルムが孔に引き込まれ変形するおそれが低減する。また、フィルムを支持部に対し広範囲にわたって均一に密着させることができる。
【0025】
また、上記目的を達成する本発明の電子装置の製造装置は、樹脂材料からなるフィルム上に導体パターンが形成され、さらに、この導体パターンが形成された側の面に熱硬化接着剤を介して回路チップが載せられた基体を、このフィルムの側とこの回路チップの側との両側から挟むとともに、この熱硬化接着剤を加熱し、上記熱硬化接着剤を硬化させることによってこの回路チップをこの導体パターンに固定する電子装置の製造装置であって、
上記回路チップが載せられた上記基体のこの回路チップ側に当接に当接する押さえ部と、
この基体のフィルム側に当接しこの基体を支えるとともに上記フィルムを密着させる支持部と、
上記熱硬化接着剤を加熱する加熱部とを備えたものであることを特徴とする。
【0026】
本発明の電子装置の製造装置によれば、押さえ部および支持部によって基体を両側から挟むとともに、この支持部に基体のフィルムを密着させた上で、熱硬化接着剤を加熱することができるので、熱硬化接着剤中での、フィルム変形に伴うボイドの発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、ボイドの発生を抑えることで、信頼性が向上した電子装置の製造方法および製造装置が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態によって製造されるRFIDタグを示す斜視図である。
【0030】
図1に示すRFIDタグ1は、PET材からなるフィルム111の上に金属製のアンテナパターン112が形成されてなる基体11と、基体11に搭載されたICチップ12と、基体11とICチップ12とを接着する熱硬化接着剤13pとで構成されている。
【0031】
本実施形態のRFIDタグ1は、図示しないリーダライタと非接触で情報のやり取りを行う電子装置であり、リーダライタが発する電磁場のエネルギーをアンテナパターン112で電気エネルギーとして受け取り、その電気エネルギーでICチップ12が駆動される。アンテナパターン112は通信用のアンテナとして機能し、ICチップ12はアンテナパターン11を介した無線通信を実行する。
【0032】
ここで、RFIDタグ1は本発明にいう電子装置の一例に相当し、アンテナパターン112は本発明にいう導体パターンの一例に相当し、ICチップ12は本発明にいう回路チップの一例に相当する。
【0033】
なお、本願技術分野における当業者間では、本願明細書で使用する「RFIDタグ」のことを、「RFIDタグ」用の内部構成部材(インレイ;inlay)であるとして「RFIDタグ用インレイ」と称する場合もある。あるいは、この「RFIDタグ」のことを「無線ICタグ」と称する場合もある。また、この「RFIDタグ」には、非接触型ICカードも含まれる。
【0034】
以下、このRFIDタグ1の製造方法について説明する。
【0035】
図2は、図1に示すRFIDタグを製造する、本発明の一実施形態である製造方法を説明する図である。
【0036】
図2には、RFIDタグ1を製造するための各工程がパート(a)からパート(e)まで順に示されている。図の見やすさのため、RFIDタグ1の厚み方向の寸法と、ICチップ12とが図1に示すものよりも誇張して表わされている。
【0037】
RFIDタグ1を製造するには、まず、図2のパート(a)に示す付着工程で、PET材からなるフィルム111にアンテナパターン112が形成された基体11を用意し、この基体11の上に液状、またはシート状の熱硬化接着剤13pを付着させる。熱硬化接着剤13は、基体11のアンテナパターン112が形成された側の搭載面11aのうちの、ICチップ12が搭載される領域およびその周辺に塗布される。
【0038】
次に、図2のパート(b)およびパート(c)に示す搭載工程で、基体11のうちの熱硬化接着剤13pが付着した部分にICチップ12を載せる。ICチップ12は、フリップチップ技術によって基体11に載せられる。すなわち、ICチップ12は、回路が形成された面12aを基体11に向けた姿勢で熱硬化接着剤13pを介して基体11に載せられる。ICチップ12の回路が形成された面12aにはアンテナパターン112に接続されるバンプ121が形成されている。図2のパート(c)に示すように、ICチップ12は、バンプ121の位置とアンテナパターン112の位置を合わせた状態で基体11に載せられる。
【0039】
次に、図2のパート(d)に示す密着工程で、ICチップ12が載せられた基体11を、基体11のフィルム111の側とICチップ12の側との両側から、加熱装置2によって挟む。加熱装置2は、基体11を挟むための加熱ヘッド21および加熱ステージ22とを有しており、加熱ヘッド21は、図示しないヒータを内蔵している。密着工程で、加熱ヘッド21はICチップ12に当接し、加熱ステージ22はフィルム111に当接する。加熱装置2が本発明にいう電子装置の製造装置の一例に相当し、加熱ヘッド21が本発明にいう押さえ部の一例と加熱部の一例を組み合わせたものに相当し、加熱ステージ22が本発明にいう支持部の一例に相当する。
【0040】
図3は、加熱装置の概略構造を示す斜視図である。
【0041】
図3に示すように、加熱装置2において、加熱ステージ22の、フィルム111に当接する側の面22aには粘着層222が設けられている。この粘着層222は、フィルム111が粘着し、かつ、RFIDタグの製造工程終了時にフィルム111を、粘着層222を破壊することなく取り外すことができる程度の弱粘着性を有する樹脂材料からなる。例えば、特開2004―158477には、10g/cm以上2000g/cm以下の粘着力を有するフッ素系樹脂が示されている。本実施形態では、粘着層222の材料に、このようなフッ素系樹脂が採用されている。ただし、粘着層222の材料としては、粘着層222を破壊することなくフィルム111を取り外すことができる程度の弱粘着性を有する材料であれば、例えばシリコーン系樹脂等、他の材料も採用可能である。粘着層222は、本発明にいう粘着部材の一例に相当する。
【0042】
図2に戻って説明を続けると、図2のパート(d)に示す密着工程で、ICチップ12が載せられた基体11を、粘着層222が設けられた加熱ステージ22と、加熱ヘッド21とで挟む。これによって、フィルム111と加熱ステージ22とが粘着層222を介在させて密着する。また、バンプ121がアンテナパターン112に確実に接触した状態となる。
【0043】
次に、図2のパート(e)に示す加熱工程で、加熱ヘッド21を発熱させ、熱硬化接着剤13pを加熱して硬化させる。ICチップ12は、熱硬化接着剤13pが硬化することによって、バンプ121がアンテナパターン112に接触した状態で基体11に固定される。この加熱工程は、フィルム111が加熱ステージ22に密着した状態で行われるため、加熱によってフィルム111が溶融してもフィルム111の変形が抑えられる。したがって、熱硬化接着剤13p中で、フィルム変形に伴うボイドの発生が抑えられる。
【0044】
図2のパート(e)の加熱工程が終了すると、RFIDタグ1(図1参照)が完成する。
【0045】
続いて、上述した実施形態とは加熱ステージの構成が異なる、本発明の第2の実施形態について説明する。以下の第2実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態との相違点について主に説明する。
【0046】
図4は、本発明の第2の実施形態である製造方法に用いられる加熱装置の概略構造を示す斜視図である。
【0047】
図4に示す加熱装置3は、加熱ヘッド31と加熱ステージ32とを有している。加熱ステージ32は、粘着層の代わりに、加熱ステージ32のフィルムに当接する側の面32aに開口して形成された多数の微細孔333を有し、またフィルムを吸着する真空ポンプ331を有している点が、第1の実施形態の加熱ステージ22と異なる。真空ポンプ331は、微細孔333内部から空気を吸引することで、加熱ステージ32の面32aにフィルムを吸着させる。
【0048】
図5は、第2の実施形態での密着工程における加熱ステージ内部の概略構造を示す断面図である。
【0049】
図5に示すように、微細孔333は、加熱ステージ32のフィルム111に当接する側の面32aに開口して形成され、微細孔333は、加熱ステージ32内部を通じて真空ポンプ331(図4参照)に続いている。第2実施形態における密着工程では、真空ポンプ331によって、微細孔333内部から空気を吸引することによって、加熱ステージ32にフィルム111を吸着させている。フィルム111が加熱ステージ32に密着する力や、密着および密着解除のタイミングは、真空ポンプ331によって調整され、加熱ステージ32と加熱ヘッド31とによって挟む力とは独立に調整される。また、微細孔333は加熱ステージ32の面32aにわたって多数配置されているため、フィルム111が変形せず、加熱ステージ32に均一に密着する。
【0050】
尚、上述した実施形態では、RFIDタグを製造する方法および加熱装置の例を説明したが、本発明は、フィルム状の基体に回路チップが搭載された電子装置の製造方法であればRFIDタグを対象とするものに限られない。本発明は、例えば、極薄型のICカードの製造方法や、基体としてのフレキシブル印刷回路(FPC)に熱硬化接着剤によって回路チップを固定したプリント回路基板装置の製造方法等にも適用される。
【0051】
また、上述した実施形態では、加熱ステージ22に粘着層222を備えた構成の例を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、粘着部材はフィルム側に形成された粘着層であってもよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、RFIDタグの基部を構成するフィルムは、PET材からなるものとして説明したが、本発明が対象とする電子装置のフィルムはこれに限らず、ポリエステル材、ポリオレフィン材、ポリカーボネート材、アクリル系材料などから選択された材料で構成されてもよい。
【0053】
上述した実施形態では、加熱ヘッドが本発明にいう押さえ部と加熱部との組合わせに相当し、加熱ステージが発熱しないものとして説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、支持部と加熱部とが組合わされていてもよく、また、加熱部が、押さえ部および支持部とは別個の部分として設けられたものであってもよい。
【0054】
以下、本発明の種々の形態について付記する。
【0055】
(付記1)
樹脂材料からなるフィルム上に導体パターンが形成されてなる基体の該導体パターンが形成された側の面に熱硬化接着剤を付着させる付着工程と、
前記導体パターンに接続する回路チップを、前記熱硬化接着剤を介して前記基体に載せる搭載工程と、
前記基体の前記回路チップ側に当接する押さえ部と、該基体のフィルム側に当接して該基体を支持する支持部とを有する、前記熱硬化接着剤を加熱する加熱装置によって、該基体を回路チップ側とフィルム側との両側から挟むとともに、該支持部に前記フィルムを密着させる密着工程と、
前記加熱装置によって前記熱硬化接着剤を加熱して硬化させることによって前記回路チップを前記導体パターンに固定する加熱工程とを備えたことを特徴とする電子装置の製造方法。
【0056】
(付記2)
前記密着工程が、前記支持部と前記フィルムとの間に、層状の粘着部材を介在させることによって該フィルムを該粘着部材に密着させる工程であることを特徴とする付記1記載の電子装置の製造方法。
【0057】
(付記3)
前記支持部が、前記フィルムに当接する側の面に前記粘着層を備えたものであることを特徴とする付記1記載の電子装置の製造方法。
【0058】
(付記4)
前記粘着層は、前記フィルムが粘着し、かつ、粘着した該フィルムを該粘着層を破壊することなく取り外すことができる程度の弱粘着性を有する樹脂材料からなるものであることを特徴とする付記3記載の電子装置の製造方法。
【0059】
(付記5)
前記支持部が、前記フィルムを吸着する吸着機構を有するものであり、
前記加熱工程が、前記支持部によって、該フィルムを吸着する工程であることを特徴とする付記1記載の電子装置の製造方法。
【0060】
(付記6)
前記支持部は、前記フィルムに当接する側の面に開口した多数の微細孔が形成されたものであり、
前記密着工程は、前記微細孔内部から空気を吸引することによって該支持部に該フィルムを吸着させる工程であることを特徴とする付記4記載の電子装置の製造方法。
【0061】
(付記7)
前記電子装置が、前記導体パターンを通信用のアンテナとして機能させるとともに、前記回路チップによって該導体パターンを介した無線通信を行うRFIDタグであることを特徴とする付記1記載の電子装置の製造方法。
【0062】
(付記8)
樹脂材料からなるフィルム上に導体パターンが形成され、さらに、該導体パターンが形成された側の面に熱硬化接着剤を介して回路チップが載せられた基体を、該フィルムの側と該回路チップの側との両側から挟むとともに、該熱硬化接着剤を加熱し、前記熱硬化接着剤を硬化させることによって該回路チップを該導体パターンに固定する電子装置の製造装置であって、
前記回路チップが載せられた前記基体の該回路チップ側に当接する押さえ部と、
該基体のフィルム側に当接し該基体を支えるとともに前記フィルムを密着させる支持部と、
前記熱硬化接着剤を加熱する加熱部とを備えたものであることを特徴とする電子装置の製造装置。
【0063】
(付記9)
前記支持部が、前記フィルムに当接する側の面に、該フィルムに粘着する粘着層を備えたものであることを特徴とする付記8記載の電子装置の製造装置。
【0064】
(付記10)
前記粘着層は、前記フィルムが粘着し、かつ、粘着した該フィルムを該粘着層を破壊することなく取り外すことができる程度の弱粘着性を有する樹脂材料からなるものであることを特徴とする付記9記載の電子装置の製造装置。
【0065】
(付記11)
前記支持部が、前記フィルムを吸着する吸着機構を備えたものであることを特徴とする付記8記載の電子装置の製造装置。
【0066】
(付記12)
前記支持部が、前記フィルムに当接する側の面に開口し、内部から空気が吸引されることによって該支持部に該フィルムを吸着させる多数の微細孔が形成されたものであることを特徴とする付記8記載の電子装置の製造装置。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態によって製造されるRFIDタグを示す斜視図である。
【図2】図1に示すRFIDタグを製造する、本発明の一実施形態である製造方法を説明する図である。
【図3】加熱装置の概略構造を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態である製造方法に用いられる加熱装置の概略構造を示す斜視図である。
【図5】第2の実施形態での密着工程における加熱ステージ内部の概略構造を示す断面図である。
【図6】従来技術におけるRFIDタグを製造する方法を説明する図である。
【図7】図6の加熱工程における基体の状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0068】
1 RFIDタグ(電子装置)
2,3 加熱装置(製造装置)
11 基体
11a 搭載面
111 フィルム
112 アンテナパターン(導体パターン)
12 ICチップ(回路チップ)
13p 熱硬化接着剤
2 加熱装置(電子装置の製造装置)
21,31 加熱ヘッド(加熱部、押さえ部)
22,32 加熱ステージ(支持部)
222 粘着層(粘着部材)
331 真空ポンプ(吸着装置)
333 微細孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料からなるフィルム上に導体パターンが形成されてなる基体の該導体パターンが形成された側の面に熱硬化接着剤を付着させる付着工程と、
前記導体パターンに接続する回路チップを、前記熱硬化接着剤を介して前記基体に載せる搭載工程と、
前記基体の前記回路チップ側に当接する押さえ部と、該基体のフィルム側に当接して該基体を支持する支持部とを有する、前記熱硬化接着剤を加熱する加熱装置によって、該基体を回路チップ側とフィルム側との両側から挟むとともに、該支持部に前記フィルムを密着させる密着工程と、
前記加熱装置によって前記熱硬化接着剤を加熱して硬化させることによって前記回路チップを前記導体パターンに固定する加熱工程とを備えたことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記密着工程が、前記支持部と前記フィルムとの間に、層状の粘着部材を介在させることによって該フィルムを該粘着部材に密着させる工程であることを特徴とする請求項1記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記支持部が、前記フィルムに当接する側の面に前記粘着層を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記粘着層は、前記フィルムが粘着し、かつ、粘着した該フィルムを該粘着層を破壊することなく取り外すことができる程度の弱粘着性を有する樹脂材料からなるものであることを特徴とする請求項3記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
前記支持部が、前記フィルムを吸着する吸着機構を有するものであり、
前記加熱工程が、前記支持部によって、該フィルムを吸着する工程であることを特徴とする請求項1記載の電子装置の製造方法。
【請求項6】
前記支持部は、前記フィルムに当接する側の面に開口した多数の微細孔が形成されたものであり、
前記密着工程は、前記微細孔内部から空気を吸引することによって該支持部に該フィルムを吸着させる工程であることを特徴とする請求項5記載の電子装置の製造方法。
【請求項7】
樹脂材料からなるフィルム上に導体パターンが形成され、さらに、該導体パターンが形成された側の面に熱硬化接着剤を介して回路チップが載せられた基体を、該フィルムの側と該回路チップの側との両側から挟むとともに、該熱硬化接着剤を加熱し、前記熱硬化接着剤を硬化させることによって該回路チップを該導体パターンに固定する電子装置の製造装置であって、
前記回路チップが載せられた前記基体の該回路チップ側に当接する押さえ部と、
該基体のフィルム側に当接し該基体を支えるとともに前記フィルムを密着させる支持部と、
前記熱硬化接着剤を加熱する加熱部とを備えたものであることを特徴とする電子装置の製造装置。
【請求項8】
前記支持部が、前記フィルムに当接する側の面に、該フィルムに粘着する粘着層を備えたものであることを特徴とする請求項7記載の電子装置の製造装置。
【請求項9】
前記支持部が、前記フィルムを吸着する吸着機構を備えたものであることを特徴とする請求項7記載の電子装置の製造装置。
【請求項10】
前記支持部が、前記フィルムに当接する側の面に開口し、内部から空気が吸引されることによって該支持部に該フィルムを吸着させる多数の微細孔が形成されたものであることを特徴とする請求項7記載の電子装置の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−177350(P2008−177350A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9262(P2007−9262)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】