説明

電子装置の製造

【課題】減少された寸法の電子装置フィーチャーを提供するための新規な方法を有することが望まれている。
【解決手段】半導体装置を製造するための新規な方法が提供される。本発明の好適な方法は、半導体基体の表面にフォトレジストを堆積させ、その後、レジストコーティング層を画像形成および現像すること;そのレジストレリーフ画像上に硬化性の有機または無機組成物を適用すること;エッチングしてその硬化性組成物により覆われたレジストのレリーフ画像を提供すること;および、そのレジスト物質を取り除き、これにより、硬化性の有機または無機組成物が、先に現像されたレジスト像と比較してピッチの増加したレリーフ画像で残存すること;を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置を製造するための新規な方法を含む。本発明の好適な方法は、半導体基体の表面にフォトレジストを堆積させ、その後にレジストコーティング層の画像形成および現像をすること;該レジストレリーフ画像上に硬化性の有機または無機組成物を適用すること;該硬化性組成物により覆われたレジストのレリーフ画像を提供するようにエッチングをすること;および、そのレジスト物質を取り除き、これにより硬化性の有機または無機組成物は、先に現像されたレジスト画像と比較してピッチの増加したレリーフ画像で残存する;を含む。
【背景技術】
【0002】
集積回路のサイズを低減するための取り組みが絶え間なく為されている。そのようなサイズの低減を達成するため、集積回路を形成している構成フィーチャー(features)のサイズ、例えば電気装置および相互接続線の幅などのサイズも絶え間なく減少されている。フィーチャーサイズを低減するための取り組みは、特に、記憶回路またはメモリ装置、例えばダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAMs)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAMs)および強誘電体(FE)メモリにおいて普及している。構成電気装置のサイズおよびそれらにアクセスする導電線のサイズを減少することにより、これらのフィーチャーを組み込んでいるメモリ装置のサイズを減少することができる。また、そのようなサイズの低減は、記憶容量の増大を可能にし得る。
【0003】
フォトリソグラフィーは、一般的に、基体上にフィーチャー、例えば導電線などを形成するために使用されている。ピッチという概念を用いてこれらの機構のサイズを表すことができる。本明細書において言及される場合、ピッチは、2つの近隣の機構における同一ポイント間の距離として定義される。これらのフィーチャーは、典型的には、隣りあうフィーチャー間の間隔により定められ、該間隔は、典型的に例えば絶縁体などの物質によって充填される。結果として、ピッチは、機構の幅の合計およびその機構を隣りあう機構または近隣の機構から分離しているスペースの幅の合計と見なすことができる。
【0004】
しかしながら、種々の要因、例えば光学および放射線波長などにより、フォトリソグラフィー技術は、それより小さいとその特定のフォトリソグラフィー技術がフィーチャーを確実に形成することができない最小ピッチを有し得る。これは、フィーチャーのサイズを低減する上での制限となり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
減少された寸法の電子装置フィーチャーを提供するための新規な方法を有することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ここで、半導体装置を製作するための新規な方法を提供する。本発明の方法は、低減された寸法の高度に分離されたフィーチャー(例えば相互接続、例えば回路など)の製造を可能にすることができる。
【0007】
一態様において、本発明の方法は:
(i)基体表面上(例えば、場合により有機及び/又は無機の1つまたは複数の層によりオーバーコートされていてもよい半導体ウエハー)に画像形成性物質(例えばフォトレジスト)を堆積させること;
(ii)その画像形成性物質を画像形成しおよび現像して、レリーフ画像(例えばフォトレジストレリーフ画像)を提供すること;ならびに
(iii)該レリーフ画像上に硬化性または硬質化可能な有機または無機組成物を適用すること;
(iv)その硬化性組成物を硬化させること、例えば、1つもしくは複数の組成物成分の硬質化反応を引き起こすことができる(硬質化は被覆された画像形成性物質のレリーフ画像から移動する酸により促進されてもよい)活性化放射線のフラッド露光(flood exposure)及び/熱処理などにより硬化させること;
(v)有機または無機組成物により覆われた画像形成性物質を含む複合物レリーフ画像を提供するための処理(例えば、エッチ、例えば酸素を含んでいてよくおよび反応性イオンエッチを含んでいてよい気体プラズマによるエッチ、または現像、例えば水性のアルカリ性現像剤組成物を用いた処理などによる)を行うこと;
(vi)その画像形成性物質を除去すること;
を含み得る。好適には、かかる除去工程の際、硬化性または硬質化可能な有機または無機組成物は、先に現像された画像形成性物質と比較してピッチの増加したレリーフ画像で残存する。
【0008】
好適な態様において、かかる方法は、パターン化された放射線(例えば248nmまたは193nmの放射線)への一回の露光のみを含む。更なる好適な態様においては、かかる方法は、如何なる化学的−機械的処理(CMP)工程も含まない。
【0009】
更なる好適な態様において、複合物(有機または無機組成物により覆われた画像形成性物質を含む)は、画像形成性物質の上面上に硬化性組成物を実質的に有さない。本明細書で言及されている場合、「実質的に有さない」は、複合物レリーフ画像の上部10nmが15重量パーセント、10重量パーセントまたは5重量パーセント未満の硬化性有機または無機組成物(本明細書ではオーバーコーティング組成物とも呼ばれる)を含んでいることを示す。
【0010】
更なる好適な態様においては、上述の方法の工程(v)は、硬化性組成物の硬化を可能にする活性化放射線に複合物を露光し、およびその後、画像形成性物質を取り除くための現像を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において使用するのに好適な画像形成性物質および硬化性組成物は、1以上の有機成分(例えば1以上の有機樹脂)を含有する組成物を包含する。好適な画像形成性物質および硬化性組成物は、スピンコーティングにより適用され得る。
【0012】
好適な画像形性組成物は、248nmまたは193nmの放射線で好適に画像形成され得るレジストを含むフォトレジストである。
【0013】
以下で更に検討されるように、特に好適なフォトレジストは、光発生した酸がトップコーティング層領域を通り抜けて浸出することを抑制することができる1以上の成分を含み、その成分としては、例えば、米国特許第2006/0246373号に開示されているような、1)Si置換を有している成分、2)フッ素置換を有している成分、3)超分岐ポリマーである成分、及び/又は4)ポリマー粒子である成分などが挙げられる。
【0014】
本発明に従って使用するのに特に好適なフォトレジストは、オーバーコーティングした硬化性組成物の架橋(あらゆるタイプの硬質化を含む)を誘発するのに充分な拡散長を有する拡散性酸性成分を含み得る。例示的な拡散性酸性成分はトリフル酸である。
【0015】
更に、フォトレジスト上に配置される別個のトップコート層またはバリヤー層組成物が使用されてよく、該トップコート層またはバリヤー層は、酸(例えば光発生酸など)の上方への浸出を制限する役目を果すことができる。好適なトップコート組成物およびそれらの使用が、Gallagherらへの米国特許出願公開第2006/0105272号に開示されている。好適なトップコート組成物は、有機ケイ素樹脂、例えば米国特許出願公開第2006/0105272号に開示されているものなどを含み得る。
【0016】
本発明に従って使用するのに好適な硬化性組成物(本明細書では、オーバーコーティング組成物と呼ばれることもある)は、場合によって酸の存在下において反応することができる1以上の架橋剤との組み合わせにおいて、ケイ素含有成分、例えばケイ素含有樹脂などを含む組成物を含み得る。好適には、該樹脂成分自体は酸の存在下において反応性(硬化性)であってもよく、それにより別個の架橋剤成分の必要性を除外することができる。かかる好適な系においては、硬化性組成物は、画像形成性物質から移動する酸(光発生酸を含む)の存在下において、架橋または別な仕方での硬化をすることができる。好適には、画像形成性物質から移動する酸は、硬化性組成物内へ横方向に移動し、好適には主に横方向における架橋を誘発する。好適な硬化性組成物は、架橋性部位、例えばシラノール部位、ヒドロキシルアルキル単位、ヒドロキシルフェニル単位、エポキシ単位、無水物単位、ラクトン単位、水素化ケイ素単位、シリルエステル単位及び/又はシリルエーテル単位などをはじめとする架橋性部位として機能する官能基を含有する1以上の成分(例えば1以上の樹脂)を含み得る。
【0017】
硬化性組成物の硬化を更に促進させるために様々な処理工程を用いることができ、例えば活性化放射線への露光(特には、例えばフラッド露光)及び/又は熱処理が挙げられる。本発明の好適な方法においては、硬化性組成物の未硬化部分は取り除くことができ、例えば現像剤での処理などにより、例えばアルカリ性水性現像剤での処理により、または他の方法(例えば活性化放射線及び/又はプラズマエッチャントでの処理など)により取り除くことができる。
【0018】
特定の好適な態様においては、画像形成性組成物と硬化性組成物のキャスティング(casting)(例えばスピンコーティング)溶媒は、異なる溶解度特性を有することができ、ここで、硬化性組成物のキャスティング溶媒成分は、該硬化性組成物が画像形成性物質の上にオーバーコートされたときに、実質的に溶解させず、または相互混合(intermixing)を誘発しない。例えば、一つの好適な系においては、極性のより高い溶媒、例えば1以上のアルコール、またはアルコール/水混合物などがオーバーコーティングする硬化性組成物に対するキャスティング溶媒として使用される。
【0019】
他の実施形態において、半導体基体が提供され、それらの半導体基体は、硬化性組成物によって覆われたフォトレジスト組成物のレリーフ画像を含み、ここで、該フォトレジスト組成物の上面は硬化性組成物を実質的に有さないフォトレジスト組成物のレリーフ画像を含み得る。
【0020】
本発明の他の態様を以下で開示する。
【0021】
次に、電子装置を製作する新規な方法が提供され、それらの方法は、:
(a)基体上にフォトレジストレリーフ画像を提供すること;
(b)フォトレジストレリーフ画像の上に硬化性組成物を適用し、フォトレジストと硬化性組成物の複合物を提供すること;
(c)前記複合物を処理して、硬化性組成物によって覆われたフォトレジストのレリーフ画像を提供すること;
(d)硬化性組成物を保持しながら、フォトレジストを除去すること;
を適切に含むことができる。
【0022】
次に、添付図面を参照しながら説明すると、図1(図1Aから1Eまでを含む)は、本発明の特定の好適なプロセスを示している。
【0023】
図1Aにおいて、半導体基体(例えばウエハー)10は、平坦化層20でオーバーコートされ、その後、反射防止層30でオーバーコートされる。この後、フォトレジストレリーフ画像40が提供される。該フォトレジストは、ポジ型であってもよいし、またはネガ型であってもよいが、多くの用途に対してはポジ型フォトレジストが好適であり得る。
【0024】
図1Bに描かれているように、この後、更なる組成物50がフォトレジスト40上に適用される。好適には、組成物50は、レジストレリーフ画像40から移動した光発生酸の存在下において硬質化(例えば架橋)することができる。複合物55(組成物50とレジスト40との両方を含む)のレリーフ画像は、現像することにより、例えば水性アルカリ性現像剤溶液(例えば0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)などで処理することにより提供することができる。上述のように、好適な組成物50は、フォトレジスト40と比較して、プラズマエッチャント(例えば、酸素を含んでもよく、および反応性イオンエッチを含んでもよい気体プラズマによるなど)に対して向上した抵抗性を呈することができる1以上の物質を含んだ組成物を包含する。例えば、好適な組成物50としては、1以上のケイ素含有成分を含む組成物、例えば1以上のケイ素含有樹脂などを含む組成物が挙げられる。
【0025】
図1Bは本発明の好適な態様を示しており、レジストレリーフ画像の上面40aは、実質的にまたは完全に組成物50を有さない。
【0026】
図1Cおよび1Dで図示されているように、フォトレジスト40は、エッチャント(例えば、酸素を含み得る、および反応性イオンエッチを含み得る気体プラズマなど)による処理により除去することができ、これにより、フォトレジスト40は、より高いエッチ抵抗性の組成物50を基体10上に残しつつ、選択的に除去される。図1Aと図1Dとの比較から分かるように、図1Dにおいてもたらされているレリーフ画像のピッチは、図1Aにおいてもたらされているレリーフ画像のピッチと比較して顕著に増えており、即ち、図1Aに示されている距離x、x’(これらの距離xおよびx’は、隣り合うレジストレリーフ画像40の中点間の距離として定義される)は、図1Dに示されているように距離y、y’、y’’、y’’’およびyiv(これらの距離y、y’、y’’、y’’’およびyivは、隣り合う組成物レリーフ画像50の中点間の距離として定義される)よりも著しく大きい。特定の系においては、図1Aおよび図1Dの工程間におけるレリーフ画像により定められるピッチは、少なくとも50パーセント、75パーセントまたは100パーセント増えることができる。
【0027】
所望の場合には、図1Dで図示されているような組成物レリーフ画像50は、画像の完全性を高めることをはじめとする所望のように更に処理することができる。例えば、組成物50を熱的に処理することができ、例えば100℃、110℃、120℃などにおいて1分間、2分間、3分間または4分間熱的に処理することができる。
【0028】
図1Eは任意の更なる処理工程を図示しており、基体領域10aが、層20および30がエッチング(例えば、酸素を含んでもよく、および反応性イオンエッチを含んでもよい気体プラズマによるなど)により適切に露出されている。露出されたこれらの領域10aは、この後、メッキ及び/又は更なるエッチングをはじめとして要望通りに処理することができる。
【0029】
図2(図2Aから2Eまでを含む)は本発明の更なる実施形態を示している。図2において、様々な参照番号は、図1に対して上で選定されているものと同じ要素および組成物を示す。
【0030】
従って、図1Aで図示されているように、フォトレジストレリーフ画像40は基体10上に形成される。任意の平坦化層20および反射防止層30が基体10とフォトレジストレリーフ画像40との間に配置される。
【0031】
その後、図2Bに示すように、組成物50が適用され、複合物レリーフ画像55が形成される。図2Cに示すように、その複合物レリーフ画像55は、組成物50を硬質化させるため、活性化放射線(例えば248nmまたは193nm)に露光(好適には、フォトマスクの使用を伴うことなく、フラッド露光による)される。その後、より速くエッチングされるフォトレジスト40は、適切なエッチャント(例えば、酸素を含み得る、および反応性イオンエッチを含み得る気体プラズマなど)による処理によって取り除かれ、図2Dに示すように、組成物50のより高いピッチのレリーフ画像60を提供することができる。次いで、この系を更に所望のように処理することができ、例えば、図2Eに示すようにエッチングにより基体領域10aを露出することなどができる。
【0032】
例示的なフォトレジスト系
ポジ型およびネガ型のフォト酸発生性組成物をはじめとして、本発明のコーティング組成物と共に様々なフォトレジスト組成物を使用することができる。
【0033】
上述のように、本発明の系において使用するのに特に好適なフォトレジストは、化学増幅レジスト、特にはポジ型の化学増幅レジスト組成物であり、このレジスト層中の光活性化された酸が1以上の組成物成分の脱保護型反応を誘発し、これにより、レジストコーティング層の露光領域と非露光領域との間の溶解度の差がもたらされる。数多くの化学増幅レジスト組成物が開示されており、例えば米国特許第4,968,581号;第4,883,740号;第4,810,613号;第4,491,628号および第5,492,793号で開示されている。本発明のコーティング組成物は、フォト酸の存在下において脱ブロック化を受けるアセタール基を有するポジ型の化学増幅フォトレジストと共に使用するのに特に適している。かかるアセタールをベースとしたレジストは、例えば米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されている。
【0034】
本発明の下地コーティング組成物と共に使用するのに好適なポジ型フォトレジストは、画像形成に有効な量のフォト酸発生剤化合物および以下のグループから選択される1以上の樹脂を含んでいる:
1)248nmにおける画像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供することができる酸不安定性基を含有するフェノール樹脂。この分類の特に好適な樹脂には:i)ビニルフェノールおよびアルキルアクリレートの重合単位を含むポリマーであって、前述の重合されたアルキルアクリレート単位がフォト酸の存在下において脱ブロック化反応を受けることができる、ポリマー。フォト酸により誘発された脱ブロック化反応を受けることができる例示的なアルキルアクリレートには、例えばt−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、ならびにフォト酸により誘発された反応を受けることができる他の非環状アルキルおよび脂環式アクリレート、例えば米国特許第6,042,997号および第5,492,793号におけるポリマーなどが含まれる;ii)ビニルフェノール、任意に置換されたビニルフェニルであってヒドロキシまたはカルボキシ環置換を含まないビニルフェノール(例えばスチレン)、およびアルキルアクリレート(例えば上述のポリマーi)に関して記載されている脱ブロック化基など)の重合単位を含むポリマー、例えば米国特許第6,042,997号におけるポリマーなど;ならびにiii)フォト酸と反応するアセタールまたはケタール部分を含む反復単位、および場合によって芳香族反復単位、例えばフェニル基またはフェノール基などを含有するポリマー;例えば米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されているポリマーなど;が含まれる。
2)200nm未満の波長(例えば193nmなど)における画像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供することができるフェニル基または他の芳香族基を実質的にまたは完全に含んでいない樹脂。この分類の特に好適な樹脂は:i)非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)、例えば場合によって置換されていてよいノルボルネンなどの重合単位を含むポリマーで、例えば米国特許第5,843,624号および第6,048,664号に記載されているポリマーなど;ii)アルキルアクリレート単位、例えばt−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、ならびに他の非環状アルキルおよび脂環式アクリレートなどを含有するポリマー;例えば米国特許第6,057,083号;欧州公開出願公報EP01008913A1号およびEP00930542A1号;ならびに米国特許第6136501号に記載されているポリマーなど;ならびにiii)重合された無水物単位、特に重合された無水マレイン酸及び/又は無水イタコン酸単位を含有したポリマー、例えば欧州公開出願公報EP第01008913A1号および米国特許第6,048,662号で開示されているポリマーなど;が含まれる。
3)ヘテロ原子、特に酸素及び/又はイオウを含む反復単位(しかし、無水物以外であって、すなわち、この単位はケト環原子を含まない)を含有した樹脂であって、好適にはいかなる芳香族単位を実質的にまたは完全に含んでいない樹脂。好適には、このヘテロ脂環式単位は樹脂骨格に縮合されており、更に好適には、該樹脂は、縮合した炭素脂環式単位、例えばノルボルネン基及び/又は無水物単位の重合によりもたらされる縮合した炭素脂環式単位など、例えば無水マレイン酸または無水イタコン酸の重合によりもたらされる縮合炭素脂環式単位などを含む。かかる樹脂がPCT/US01/14914に開示されている。
4)フッ素置換を含有する樹脂(フルオロポリマー)、例えばテトラフルオロエチレン、フッ素化された芳香族基、例えばフルオロ−スチレン化合物などの重合によりもたらされ得る樹脂など。かかる樹脂の例が、例えばPCT/US99/21912に開示されている。
【0035】
本発明のコーティング組成物上にオーバーコートされるポジ型またはネガ型のフォトレジストにおいて使用するのに適したフォト酸発生剤には、イミドスルホネート、例えば以下の式の化合物がふくまれる。
【0036】
【化1】

【0037】
式中、Rはカンファ、アダマンタン、アルキル(例えばC1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えばペルフルオロ(C1−12アルキル)、特にはペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロノナンスルホネートなどである。特に好適なPAGは、N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0038】
スルホネート化合物、特にスルホネート塩も、本発明のコーティング組成物にオーバーコートされるレジストに好適なPAGである。193nmおよび248nmにおける画像形成に好適な2種類の作用物質は、以下のPAG1および2である:
【0039】
【化2】

【0040】
かかるスルホネート化合物は、上述のPAG1の合成について詳述している欧州特許出願第96118111.2号(公開番号第0783136号)で開示されているようにして調製することができる。
【0041】
上で図示されたカンファスルホネート基以外のアニオンと錯体を形成した上記2種類のヨードニウム化合物も好適である。詳細には、好適なアニオンは、式RSO(式中、Rはアダマンタン、アルキル(例えばC1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えばペルフルオロ(C1−12アルキル)、特にはペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネートなどである)のものを含む。
【0042】
他の公知のPAGも、下地コーティング組成物と共に使用されるフォトレジストにおいて使用することができる。
【0043】
本発明のコーティング組成物にオーバーコートされるフォトレジストの好適な任意の添加剤は、添加塩基、特にはテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクテートであり、これらは、現像されたレジストレリーフ画像の解像度を向上することができる。193nmにおいて画像形成されるレジストについて、好適な添加塩基はヒンダードアミン、例えばジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンなどである。この添加塩基は、好適には比較的少量で使用され、例えば、全固形物に対して、約0.03から5重量パーセントで使用される。
【0044】
オーバーコートされる本発明のコーティング組成物と共に使用するのに好適なネガ型レジスト組成物は、酸に暴露されたときに硬化、架橋または硬質化する物質とフォト酸発生剤との混合物を含む。
【0045】
特に好適なネガ型レジスト組成物は、樹脂結合剤、例えばフェノール樹脂など、架橋剤成分および本発明の光活性成分を含む。そのような組成物およびそれらの使用が、欧州特許出願第0164248号および第0232972号、ならびにThackerayらへの米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂結合剤成分として使用するのに好適なフェノール樹脂は、ノボラック類およびポリ(ビニルフェノール)類、例えば上述のものなどを含む。好適な架橋剤はアミンをベースとした物質を含み、そのような物質には、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミンベースの物質および尿素ベースの物質が含まれる。一般的には、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が最も好適である。そのような架橋剤は商業的に入手可能であり、例えばメラミン樹脂は、Cymel 300、301および303という商品名でCytec Industriesから販売されている。グリコールウリル樹脂は、Cymel 1170、1171、1172、Powderlink 1174という商品名でCytec Industriesから販売されており、およびベンゾグアナミン樹脂はCymel 1123および1125という商品名で販売されている。
【0046】
上述のように、本発明に従って使用するのに特に好適なフォトレジストは、光発生酸がトップコーティング層領域を通り抜けて浸出するのを抑制することができる1以上の成分を含有したレジスト、例えば1)Si置換を有している成分、2)フッ素置換を有している成分、3)超分岐ポリマーである成分、及び/又は4)ポリマー粒子である成分などを含有したレジストを含む。そのようなフォトレジストが米国特許第2006/0246373号に開示されている。
【0047】
詳細には、かかる好適なフォトレジストは、Si含有物質を含む米国特許第2006/0246373号に記載されているような、1以上の実質的に非混合性の物質を含み得る。特に好適な実質的に非混合性の物質はナノ構造の組成物を含み、そのような組成物は、いくつかの組織、例えばHybrid Plastics(Fountain Valley,California)、Sigma/Aldrichなどから商業的に入手可能である。かかる物質は、有機基によって包まれたSi−Oコアを有する分子シリカ;シラノール;ならびにシルセスキオキサンケージ構造化合物を含むポリマーおよび樹脂であって、シリコーン系、スチレン系、アクリル系、脂環式化合物、例えばノルボルネン系などであり得るポリマーおよび樹脂;を含み得る。
【0048】
実質的に非混合性の物質として有用な粒子(有機粒子を含む)は、Siを含有するフッ素化物質を含む。かかる粒子は商業的に入手可能であり、または容易に合成することができ、例えば、所望の場合は架橋剤と共に開始剤化合物を用いて、1以上のモノマーを反応させることにより合成することができる。それらの反応したモノマーは、所望により置換基、例えばフッ素、Si基、フォト酸−不安定基、例えばフォト酸−不安定エステルまたはアセタールなど、他の塩基可溶性基、例えばアルコールなどでの置換を有していてよい。複数の別個のモノマーを用いて製造されるかかる粒子の合成例については、以下の実施例1を参照されたく、そこでは、それらのモノマーのうちの一種が、結果として生じるポリマー粒子にフォト酸−不安定基をもたらす。
【0049】
オーバーコーティング(硬化性)組成物:
上述のように、好適なオーバーコーティング組成物または硬化性組成物は、有機ポリシリカ物質を含むことができ、極性溶媒、例えばアルコール(例えばイソプロパノール、イソブタノール、イソペンタノール、2−メチル,−1−ブタノール、3−メチル−2−ペンタノールおよびエタノールを含む)またはアルコール−水混合物などの極性溶媒中において溶解性を有するものが好適である。
【0050】
本発明に従ってオーバーコーティング組成物において使用するためのケイ素含有樹脂に好適な一分類は、アクリレートコポリマー(ターポリマー、テトラポリマーおよびそれ以外のより高次のポリマーを含む)である。例えば、1つの適切な樹脂は、アクリル酸またはメタクリル酸とシラン含有モノマー、例えば3−m,エタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどとの反応生成物である。かかる樹脂は、好適には、分離した(その樹脂に共有結合されていない)架橋剤、例えばアミン含有物質など、例えばグリコルリル、例えばテトラメトキシグリコルリルまたはベンザグアナミンなどと組み合わせにおいて使用される。
【0051】
更なる好適な有機ポリシリカ樹脂は、適切には、1以上の有機シランと1以上のケイ素含有架橋剤との部分縮合物を用いて調製することができ、ここで、該架橋剤は4より多い加水分解性基を含有する。特に適切なケイ素含有架橋剤は、5個または6個の加水分解性基を有している。本明細書で使用する場合、「部分縮合物」という用語は、分子量を高めるために更なる縮合反応を受けることができるシランオリゴマーもしくはプレポリマーまたは加水分解物を表す。
【0052】
かかる有機ポリシリカ部分縮合物は:a)式(I)RSiY4−aの1以上のシランおよび式(II)R(RO)3−bSi(RSi(OR3−dの1以上のシランを含む混合物を塩基性触媒の存在下において反応させる工程;およびb)その混合物を酸性触媒の存在下において反応させる工程を含む方法であって、前述の式において、Rは水素、(C−C)アルキル、(C−C12)アリールアルキル、置換(C−C12)アリールアルキル、アリールおよび置換アリールであり;Yは任意の加水分解性基であり;aは1から2までの整数であり;R、R、RおよびRは水素、(C−C)アルキル、(C−C12)アリールアルキル、置換(C−C12)アリール−アルキル、アリールおよび置換アリールから独立して選択され;Rは(C−C10)アルキル、−(CH−、−(CHh1−E−(CHh2−、−(CH−Z、アリーレン、置換アリーレンまたはアリーレンエーテルであり;Eは酸素、NRまたはZであり;Zはアリールまたは置換アリールであり;Rは水素、(C−C)アルキル、アリールまたは置換アリールであり;bおよびdは、それぞれ、0から2までの整数であり;cは0から6までの整数であり;h、h1、h2およびkは、独立して、1から6までの整数であり、ただしR、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素でない方法により好適に調製することができる。
【0053】
一つの実施形態において、Rは(C−C)アルキル、ベンジル、ヒドロキシベンジル、フェネチルまたはフェニルであり、より好適にはメチル、エチル、イソ−ブチル、tert−ブチルまたはフェニルである。Yの好適な加水分解性基は、これらに限定されるものではないが、ハロ、(C−C)アルコキシ、アシルオキシなどを含み、好適にはクロロおよび(C−C)アルコキシである。式(I)の好適な有機シランは、これらに限定されるものではないが、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、イソ−プロピルトリエトキシシラン、イソ−プロピルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソ−ブチルトリエトキシシラン、イソ−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、ヒドロキシフェニルエチルトリメトキシシランおよびヒドロキシフェニルエチルトリエトキシシランを含む。
【0054】
式(II)の有機シランは、好適には、式中のRおよびRが独立して(C−C)アルキル、ベンジル、ヒドロキシベンジル、フェネチルまたはフェニルであるものを含む。好適には、RおよびRはメチル、エチル、tert−ブチル、イソ−ブチルおよびフェニルである。一つの実施形態において、Rは、(C−C10)アルキル、−(CH−、アリーレン、アリーレンエーテルおよび−(CHh1−E−(CHh2である。式(II)の好適な化合物は、これらに限定されるものではないが、式中のRがメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン、ノルボルニレン、シクロヘキシレン、フェニレン、フェニレンエーテル、ナフチレンおよび−CH−C−CH−を含む。更なる実施形態において、cは1から4までである。
【0055】
式(II)の適切な有機シランは、これらに限定されるものではないが、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチル−シリル)メタン、ビス(ジメトキシフェニルシリル)メタン、ビス(ジエトキシフェニルシリル)メタン、ビス(メトキシジメチルシリル)メタン、ビス(エトキシジメチルシリル)メタン、ビス(メトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリフェノキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジメトキシフェニルシリル)エタン、ビス(ジエトキシフェニルシリル)エタン、ビス(メトキシジメチルシリル)エタン、ビス(エトキシジメチルシリル)エタン、ビス(メトキシ−ジフェニルシリル)エタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,3−ビス(ジメトキシ−メチルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジエトキシメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジメトキシフェニル−シリル)プロパン、1,3−ビス(ジエトキシフェニルシリル)プロパン、1,3−ビス(メトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(エトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(メトキシジフェニルシリル)プロパンおよび1,3−ビス(エトキシジフェニルシリル)プロパンを含む。
【0056】
好適な有機ポリシリカ物質は、これらに限定されるものではないが、シルセスキオキサン、部分的に縮合されたハロシランまたはアルコキシシラン、例えば、加水分解を制御することにより部分的に縮合された500から20,000までの数平均分子量を有するテトラエトキシシラン、組成RSiO、OSiRSiO、RSiOおよびOSiRSiO(式中、Rは有機置換基である)を有する有機的に修飾されたシリケート、およびモノマー単位としてSi(OR)を有する部分的に縮合されたオルトシリケートなどを含む。シルセスキオキサンは、タイプRSiO1.5型(式中、Rは有機置換基である)のポリマーシリケート物質である。好適なシルセスキオキサンは、アルキルシルセスキオキサン;アリールシルセスキオキサン;アルキル/アリールシルセスキオキサン混合物;および種々のアルキルシルセスキオキサンの混合物である。シルセスキオキサン物質は、シルセスキオキサンのホモポリマー、シルセスキオキサンのコポリマーまたはそれらの混合物を含む。そのような物質は広く商業的に入手可能であり、または公知の方法により調製することもできる。
【0057】
代替的な実施形態において、有機ポリシリカ物質は、上記のケイ素含有モノマーに加え、広範囲にわたる様々な他のモノマーを含有していてよい。例えば、有機ポリシリカ物質は、更に、第二の架橋剤およびカルボシラン部分を含んでいてよい。
【0058】
また、本オーバーコーティング組成物は、別個の(主要な樹脂(primary resin)に共有結合されていない)架橋剤も含んでいてよい。ケイ素樹脂を含んでいる組成物と共に使用する場合、好適な架橋剤は、ケイ素含有物質のための任意の公知の架橋剤であってよい。典型的な架橋剤は、式(III)M(OR11(式中、Mはアルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、マグネシウムまたはホウ素であり;R11は(C−C)アルキル、アシルまたはSi(OR12であり;R12は(C−C)アルキルまたはアシルであり;nはMの価数である)のシラン類を含む。一実施形態においては、R11はメチル、エチル、プロピルまたはブチルである。別の実施形態においては、Mはアルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウムまたはケイ素である。当業者であれば、そのような第二架橋剤の組み合わせを使用し得ることが認識する。式(I)および(II)のシランの混合物とかかる架橋剤有機シランとの比は、典型的には99:1から1:99までであり、好適には95:5から5:95まで、より好適には90:10から10:90までである。
【0059】
カルボシラン部分は、(Si−C)構造を有する部分を表わし、例えば(Si−A)構造(式中、Aは置換もしくは非置換のアルキレンまたはアリーレンである)など、例えばSiRCH−、−SiRCH−、=SiRCH−および≡SiCH−(式中、Rは通常は水素であるが、任意の有機または無機基であってもよい)などを有する部分を表す。好適な無機基は、有機ケイ素、シロキシルまたはシラニル部分を含む。これらのカルボシラン部分は、典型的には、複雑な分岐構造がもたらされるような仕方で「頭−尾」結合される(即ち、Si−C−Si結合を有している)。特に有用なカルボシラン部分は、反復単位(SiHCH)および(SiHy−1(CH=CH)CH)[式中、x=0から3までであり、y=1から3までである]を有するものである。これらの反復単位は1から100,000までの任意の個数で有機ポリシリカ樹脂中に存在していてよく、好適には1から10,000までである。好適なカルボシラン前駆体は、米国特許第5,153,295号(Whitmarshら)および第6,395,649号(Wu)に開示されているものである。
【0060】
有機ポリシリカ部分縮合物は、1以上の1−または2−官能性有機シラン(例えば式Iのものなど)、1以上のケイ素含有架橋剤(例えば式IIのものなど)、および典型的には水を、所望の重量平均分子量を有する部分縮合物を形成すべくこれらのシランを加水分解(または部分的に縮合)するのに充分な時間をかけて反応させることにより調製することができる。典型的には、この反応温度は、エタノールの沸点のため、78〜80℃である。水の量は、典型的には0.1モル当量から2.0モル当量までであり、より典型的には0.25モル当量から1.75モル当量まで、更に一層典型的には0.75モル当量から1.5モル当量までである。典型的には酸性または塩基性の触媒が使用される。好適な酸および塩基は、強酸および強塩基、例えばそれぞれ塩酸および水酸化テトラメチルアンモニウムなど、弱酸および弱塩基、例えばそれぞれ酢酸またはトリエチルアミンなどを含む。典型的には、該シラン類の加水分解および縮合反応を触媒するために、塩酸の如き強酸触媒が使用される。該シラン類および水は、典型的には、0.5時間から48時間までの時間をかけて反応させられるが、より長い時間もしくはより短い時間をかけてもよい。特に好適な反応時間は1時間から24時間までである。これらのシランのモル比は、広範囲にわたって変化し得る。式(I)の1以上のシランと式(II)の1以上のシランとのモル比は、99:1から1:99までであり、特に95:5から5:95まで、さらに格別には90:10から10:90まで、更に一層格別には80:20から20:80までである。
【0061】
オーバーコーティング組成物において使用するのに好適な有機ポリシリカ部分縮合物は、広範囲にわたる分子量を有し得る。典型的には、部分縮合物は20,000以下の重量平均分子量を有しているが、より大きな分子量を用いることもできる。より典型的には、重量平均分子量は15,000以下であり、更に一層典型的には10,000以下、最も典型的には5,000以下である。
【0062】
有機ポリシリカ部分縮合物の形成に続き、および場合によっては酸性触媒を除去した後に、部分縮合物に安定化剤が任意に加えられ得る。かかる安定化剤は、好適には有機酸である。少なくとも2個の炭素を有し、且つ、25℃において約1から約4までの酸解離定数(「pKa」)を有する任意の有機酸が好適である。好適な有機酸は、約1.1から約3.9までのpKaを有しており、より好適には約1.2から約3.5までのpKaを有している。キレート化剤として機能することができる有機酸が好適である。かかるキレート化有機酸は、ポリカルボン酸、例えばジ−、トリ−、テトラ−およびより高次のカルボン酸など、並びに1以上のヒドロキシル、エーテル、ケトン、アルデヒド、アミン、アミド、イミン、チオールなどで置換されたカルボン酸を含む。好適なキレート化有機酸は、ポリカルボン酸およびヒドロキシ置換カルボン酸である。「ヒドロキシ置換カルボン酸」という用語は、ヒドロキシ置換ポリカルボン酸を含む。好適な有機酸は、これらに限定されるものではないが:シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、シトラマル酸、酒石酸、フタル酸、クエン酸、グルタル酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、オキサル酢酸、ケトグルタル酸、サリチル酸およびアセト酢酸;を含む。好適な有機酸は、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、クエン酸および乳酸であり、より好適にはマロン酸である。有機酸の混合物も本発明において有利に使用することができる。当業者であれば、ポリカルボン酸はその化合物における各カルボン酸部分に対するpKa値を有していることを認識する。その有機酸が本発明において使用するのに好適であるためには、かかるポリカルボン酸におけるそれらのpKa値のうちの1つのみが、25℃において1〜4の範囲内であることが必要である。かかる安定化剤は、典型的には1〜10,000ppmまでの量で使用され、好適には10〜1000ppmまでの量で使用される。かかる安定化剤は、物質の更なる縮合を抑制し、部分縮合物の貯蔵寿命を延ばすべく機能する。
【0063】
オーバーコーティング組成物を調合およびキャストするのに好適な溶媒物質は、硬化性層組成物の1つまたは複数の成分(例えば1以上の樹脂)を溶解または分散するが、下地フォトレジスト層を感知できるほどには溶解しない任意の物質である。より詳細には、硬化性組成物を調合するのに好適な溶媒は、これらに限定されるものではないが、アルコール、例えばイソプロパノール、n−ブタノールなど、アルキレングリコール、例えばプロピレングリコールなどのうちの1以上を含む。あるいは、非極性溶媒、例えば脂肪族および芳香族の炭化水素など、例えばドデカン、イソオクタン、メシチレンおよびキシレンなども使用することができる。
【0064】
オーバーコーティング組成物は、1以上の固形成分(例えば1以上の樹脂)を、1以上の極性溶媒中、例えば上記で特定されている極性溶媒中などに、または代わりに、1以上の非極性溶媒中、例えば上で特定されている脂肪族および芳香族の炭化水素中などに混ぜ合わせることによることが、特に好ましくあり得る。
【0065】
硬化性組成物の更なる好適な任意成分は、クエンチ剤塩基(例えば、フォトレジストとの使用に関して上述のものなど)およびフォト酸発生剤化合物(例えば、フォトレジストとの使用に関して上述のものなど)を含む。
【0066】
処理
上述のように、フォトレジスト組成物は、様々な方法のうちのいずれかにより、例えばスピンコーティングなどにより、基体にコーティング層として適用される。レジストは、一般的に、約0.02μmから3μmまでの間の乾燥層厚で基体に適用される。基体は、好適には、フォトレジストを含む処理において使用される任意の基体である。例えば、基体は、ケイ素、二酸化ケイ素またはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロエレクトロニクスウエハーであり得る。ガリウムヒ素、シリコンカーバイド、セラミック、石英または銅基体も使用することができる。液晶ディスプレーまたは他のフラットパネル型ディスプレー用途の基体も使用することができ、例えばガラス基体、インジウムスズ酸化物被覆基体などを使用することができる。光学装置および光エレクトロニクス装置(例えば導波路)のための基体も使用することができる。適用後、典型的には、フォトレジストコーティング層は、好適にはそのレジスト層が不粘着性になるまで、加熱し溶媒を除去することにより乾燥される。
【0067】
次に、レジスト層は、通常の方法で、マスクを介した活性化放射線により画像形成される。その露光エネルギーは、レジスト系の光活性成分を効果的に活性化して、レジストコーティング層にパターン化された画像を作り出すのに充分なエネルギーである。典型的には、露光エネルギーは約3〜300mJ/cmの範囲であり、露光ツール、ならびに使用される個々のレジストおよびレジスト処理に部分的に依存する。コーティング層の露光領域と非露光領域との間の溶解度差を与えまたは向上することを望む場合には、露光されたレジスト層を、露光後ベークに付してもよい。例えば、ネガ型の酸−硬質化フォトレジストは、典型的には、酸で促進される架橋反応を誘導するために露光後加熱処理を必要とし、多くの化学増幅ポジ型レジストは、酸で促進される脱保護反応を誘導するために露光後加熱処理を必要とする。典型的には、露光後ベークの条件には、約50℃以上の温度、より詳細には約50℃〜約160℃の範囲の温度が含まれる。
【0068】
その露光されたレジストコーティング層はその後、好適には水性ベースの現像剤、例えば、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などにより例示されるアルカリなどを用いて現像される。あるいは、有機現像剤を使用することもできる。一般的に、現像は、当分野において認められている手順に従って行われる。
【0069】
その後、硬化性組成物をフォトレジスト層上に適用(オーバーコート)することができる。この後、硬化性組成物を熱的に(例えば、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃または150℃を超える温度で、60秒間から120秒間)処理して及び/又は活性化放射線で(例えば、248nmまたは193nmの放射線によるフラッド露光で)処理して、フォトレジストレリーフ画像を覆っている硬化性組成物領域を硬質化することができる。フォトレジストレリーフ画像からの酸がそれらの隣り合う硬化性組成物領域に移動し、かかる硬質化を促進させることができる。その後、硬化性組成物の硬化されていない領域を除去することができ、例えばプラズマエッチャントにより、または現像剤組成物(例えば水性アルカリ性現像剤)を用いる処理などにより除去することができる。
【0070】
この後、その現像された基体は、フォトレジストのないそれらの基体領域で選択的な処理をすることができ、例えば、当分野において周知の手順によりフォトレジストのない基体領域に化学的なエッチングまたはメッキが施され得る。好適なエッチャントは、フッ化水素酸エッチング溶液およびプラズマガスエッチ、例えば酸素プラズマエッチなどを含む。
【実施例】
【0071】
以下の非制限的な実施例は、本発明を例証するものである。
【0072】
実施例1:粒子添加剤の調製
好適なフッ素化粒子添加剤は、以下のようにして調製される:
反応容器に所望の量のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を充填し、Nパージを行いながら80℃に加熱する。以下のモノマー(PFPA、ECPMA、TMPTA)、架橋剤および開始剤(t−アミルパーオキシピバレート)が、氷浴中において、80〜90重量%の流体組成でPGMEA中に混合される。開始剤の含量は、モノマーおよび架橋剤の合計量に対して4%である。これらのモノマーは、以下の重量で使用された:70重量%のペンタフルオロアクリレート(PFPA)、20重量%のエチルシクロペンチルメタクリレート(ECPMA)および10重量%のTMPTA。
【0073】
【化3】

【0074】
この後、モノマー/架橋剤/開始剤/PGMEA混合物は、約1ml/分の速度で反応容器に供給される。反応容器への添加が完了した後、反応容器内の混合物の温度は、30分間、80℃に維持される。この後、更なる2重量%(モノマーおよび架橋−ライナーの総量に対して)の開始剤が反応器に供給される。その添加後、反応容器内の混合物の温度は、更に2時間、80℃に維持される。その後、反応容器の温度は室温にまで冷却される。
【0075】
上述の手順により、ポリマー粒子が提供され、それらのポリマー粒子は、7088の数平均分子量(Mn)および19255の重量平均分子量(Mw)を有していた。
【0076】
実施例2:フォトレジストの調製
フォトレジスト組成物は以下の物質を特定されている量で混合することにより調製される:
1.樹脂成分:
フォトレジスト組成物の合計重量を基準として6.79重量%の量の(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート/ベータ−ヒドロキシ−ガンマ−ブチロラクトンメタクリレート/シアノ−ノルボルニルメタクリレート)のターポリマー;
2.フォト酸発生剤化合物:
フォトレジスト組成物の合計重量を基準として0.284重量%の量のt−ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート;
3.塩基添加剤:
フォトレジスト組成物の合計重量を基準として0.017重量%の量のN−アルキルカプロラクタム;
4.界面活性剤:
フォトレジスト組成物の合計重量を基準として0.0071重量%の量のR08(フッ素含有界面活性剤、Dainippon Ink & Chemicals,Inc.から入手可能);
5.実質的に非混合性の添加剤:
フォトレジスト組成物の合計重量をベースとして0.213重量%の量の、上述の実施例1に記載されているようにして調製され且つ7088のMnおよび19255のMwを有するフッ素化PFPA/ECPMA/TMPTAターポリマー粒子;
6.溶媒成分:
約90パーセントの流体組成物を提供するためのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
【0077】
実施例3:硬化性(オーバーコーティング)組成物の調製
硬化性組成物は以下の物質を特定されている量で混合することにより調製される:
1.樹脂成分:
メタクリル酸および3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランの共重合により形成されるポリマー;
2.別個の架橋剤:
テトラメトキシグリコルリル;
3.溶媒成分:
約90パーセントの流体組成物を提供するためのイソブタノール。
【0078】
実施例4:処理
実施例2のフォトレジストが、その上に有機反射防止コーティング組成物を有している8インチのシリコンウエハー上にスピンコーティングされる。適用されたそのフォトレジストコーティング層は、90℃で60秒間、ソフトベークされる。乾燥されたレジスト層を、フォトマスクを介して193nmの放射線に露光する。次いで、ウエハーを、90℃で90秒間、露光後ベークに付し、その後、45秒のシングルパドルプロセス(single puddle process)を用いて0.26Nの水性アルカリ性現像剤中で現像し、フォトレジストレリーフ画像がもたらされる。
【0079】
この後、実施例3の硬化性組成物が該フォトレジストレリーフ画像上にスピンコーティングされ、および、110℃で90秒間ベークされて、キャスティング溶媒を除去し、および、レジスト像に隣接する領域における該組成物を硬質化する。この後、そのコーティングされたウエハーは、0.26Nの水性アルカリ性現像剤を用いて現像される。この後、犠牲的フォトレジストレリーフ画像が、酸素プラズマエッチを用いる処理で取り除かれる。その硬化性組成物レリーフ画像は、除去されたフォトレジストレリーフ画像と比較してピッチの増加したレリーフ画像で残存する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1A】図1Aは、本発明の好適なプロセスを概略的に示している。
【図1B】図1Bは、本発明の好適なプロセスを概略的に示している。
【図1C】図1Cは、本発明の好適なプロセスを概略的に示している。
【図1D】図1Dは、本発明の好適なプロセスを概略的に示している。
【図1E】図1Eは、本発明の好適なプロセスを概略的に示している。
【図2A】図2Aは、本発明の好適なプロセスを概略的に示している。
【図2B】図2Bは、本発明の好適なプロセスを概略的に示している。
【図2C】図2Cは、本発明の好適なプロセスを概略的に示している。
【図2D】図2Dは、本発明の好適なプロセスを概略的に示している。
【図2E】図2Eは、本発明の好適なプロセスを概略的に示している。
【符号の説明】
【0081】
10 半導体基体
10a 基体領域
20 平坦化層
30 反射防止層
40 フォトレジストレリーフ画像
40a レジストレリーフ画像の上面
50 組成物
55 複合材料レリーフ画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置を製作するための方法であって:
(a)画像形成性物質を基体表面上に適用すること;
(b)画像形成性物質をパターン化された活性化放射線に露光し、該露光された物質を現像してレリーフ画像を提供すること;
(c)レリーフ画像上に硬化性の有機または無機組成物を適用し、画像形成性物質と硬化性組成物の複合物を提供すること;
(d)上記複合物を処理して、該硬化性組成物により覆われた画像形成性物質のレリーフ画像を提供すること;
(e)該画像形成性物質を除去すること;
を含む方法。
【請求項2】
上記(e)工程の後、硬化性組成物が、先に現像された画像形成性物質と比較してピッチの増加したレリーフ画像で残存する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
単一の露光工程が用いられる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記複合物が、画像形成性物質の上面上に硬化性組成物を実質的に有さない、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
上記(e)工程が、硬化性組成物の硬質化を可能にする活性化放射線に複合物を露光し、その後、画像形成性物質を除去するための現像を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
画像形成性物質および硬化性組成物が、それぞれ、1以上の有機成分を含有し、且つスピンコーティングにより適用される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
硬化性組成物がケイ素含有成分を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
硬化性組成物が、画像形成性物質から移動する酸の存在下で架橋する、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
電子装置を製作するための方法であって:
(a)基体上にフォトレジストレリーフ画像を提供すること;
(b)硬化性組成物を該フォトレジストレリーフ画像上に適用して、該フォトレジストと該硬化性組成物の複合物を提供すること;
(c)複合物を処理して、硬化性組成物により覆われたフォトレジストのレリーフ画像を提供すること;
(d)フォトレジストを除去すること;
を含む方法。
【請求項10】
硬化性組成物により覆われたフォトレジスト組成物のレリーフ画像を含む半導体基体であって、該フォトレジスト組成物の上面が該硬化性組成物を実質的に有さない半導体基体。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【公開番号】特開2008−299308(P2008−299308A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−31821(P2008−31821)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】