説明

電子装置または他の物品を空気タイヤに取り付けるシステム

【課題】タイヤの内部壁に配置される複数の弾性ポケットは、タイヤが完成した後に配置されていた。
【解決手段】空気タイヤ1は、内部空洞と包囲部材112を形成するインナーライナー14を含む。インナーライナー14は内部空洞内の空気圧を維持する。包囲部材112は、物品100を除去可能に受け入れ、かつ空気タイヤ1に除去可能に固定するポケット101を形成する。包囲部材112は、空気タイヤ1の運用年数の間、インナーライナー14に固定するためにインナーライナー14と同時に硬化させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して空気タイヤに関し、特に、電子装置を空気タイヤに除去可能に固定するシステム、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置または電子モジュールをタイヤにおいて使用することによって、製造または物流を監視する目的でデータを取得し、格納し、送信する、の少なくとも1つのための多数の応用、そしてより一般的には、タイヤの性能特性の、タイヤの機能寿命全体にわたる漸進的変化についてオペレータに知らせる応用が可能となる。
【0003】
電子監視モジュールは、バッテリまたは誘導結合システムのような自立電気エネルギー供給装置に接続された能動的構成部品を含む。監視モジュールは、周波数と電力が特定の伝送プロトコルによって決まる電波によってユーザインタフェースとして働く外部モジュールと情報を交換する。監視モジュールは通常、電子構成部品を、外部/内部衝撃とタイヤ内部の空気に関連した攻撃から保護する目的の柔軟なまたは硬い保護カバーの内部に配置されている。
【0004】
タイヤによって形成された空洞の内部に配置された従来のモジュールは、それが一旦車輪に取り付けられると、さまざまな場所に配置される。したがって、該モジュールは弁に固定され、車輪のリム上に固定され、タイヤの内部壁に固定または接合され、またはタイヤの構成部品に組み込まれることすらある。これらの場所の間の選択はタイヤの性質と、タイヤが受ける力と、モジュールのエネルギー源の性質、監視される情報、そしてモジュールのメンテナンスのために望まれるアクセスのし易さに依存している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの従来の方法は、タイヤの内部壁に複数の弾性ポケットを配置することである。しかしながら、これらのポケットは、タイヤが完成した後に配置されている。このことは、支持体または弾性空洞を受け入れる表面の部分を準備し、それから支持体を該表面の部分に接合または加硫する他の工程を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空気タイヤは、内部空洞と包囲部材を形成するインナーライナーを含む。インナーライナーは内部空洞内の空気圧を維持する。包囲部材は、物品を除去可能に受け入れ、かつ該物品を空気タイヤに固定するポケットを形成する。包囲部材は、包囲部材を、空気タイヤの運用年数の間、空気タイヤに固定するために、インナーライナーと同時に硬化させられる。
【0007】
空気タイヤの他の態様によれば、物品が無線電子モジュールである。
【0008】
空気タイヤのさらに他の態様によれば、物品が円柱形状を有する。
【0009】
空気タイヤのなお他の態様によれば、包囲部材が矩形の形状を有する。
【0010】
空気タイヤのさらに他の態様によれば、物品がタイヤ空気圧監視システムの一部である。
【0011】
本発明の方法は、物品を空気タイヤに固定する。本方法は、生のタイヤと未硬化の包囲部材を準備するステップと、包囲部材の一方の縁と内部が生のタイヤのインナーライナーに取り付けられず、したがってポケットを形成するように、包囲部材をインナーライナーに同時に硬化させるステップと、該物品を、包囲部材の取り付けられていない端とインナーライナーの隣接する部分によって定まる口を通って第1の方向に移動させることによって、該物品をポケット内に挿入するステップと、その後物品を、反対の第2の方向に口を通って移動させることによって、物品をポケットから除去するステップと、を有する。
【0012】
本方法の他の態様によれば、本方法は、物品をポケット内に挿入することによって、空気タイヤを平衡させるステップをさらに含む。
【0013】
本方法のさらに他の態様によれば、本方法は、包囲部材を空気タイヤの中心線に沿って配置するステップをさらに含む。
【0014】
本方法のさらに他の態様によれば、本方法は、包囲部材の取り付けられていない縁をインナーライナーに向かって変位させることによって、物品をポケット内に固定するステップをさらに含む。
【0015】
本方法のさらに他の態様によれば、本方法は、物品をポケット内に挿入することによって、回転している空気タイヤの騒音を減らすステップをさらに含む。
【0016】
本発明のシステムは、物品を空気タイヤに固定する。本システムは、インナーライナー層と、除去可能に固定するポケットを形成する包囲部材であって、包囲部材を、空気タイヤの運用年数の間、インナーライナー層に固定するためにインナーライナー層と同時に硬化させられる包囲部材と、を有する。包囲部材は、包囲部材の一方の縁と内部がインナーライナー層に取り付けられず、したがってポケットを形成するように、インナーライナー層と同時に硬化させられる。ポケットは物品を少なくとも2つの側部で取り囲み、それによって物品を空気タイヤに固定する。
【0017】
本システムの他の態様によれば、物品は、物品を、包囲部材の前記の取り付けられていない一方の端とインナーライナー層の隣接する部分によって形成される口を通って第1の方向に動かすことによってポケットに挿入される。
【0018】
本システムのさらに他の態様によれば、物品は、物品を、口を通って反対の第2の方向に移動させることによってポケットから除去される。
【0019】
本システムのなおさらに他の態様によれば、包囲部材は物品の形状に対応するように形作られている。
【0020】
本システムのさらに他の態様によれば、物品は、包囲部材の前記の取り付けられていない一方の縁がインナーライナー層に向かって変位することによってポケット内に固定される。
【0021】
ここで、本明細書で使用される用語を定義する。
【0022】
「エイペックス」は、ビードコアの上方で、プライと折り返しプライの間に半径方向に配置されたエラストマーのフィラーを指す。
【0023】
「環状の」は、リングのように形成された、を意味する。
【0024】
「アスペクト比」は、その断面高さの、その断面幅に対する比を意味する。
【0025】
「軸方向の」および「軸方向に」はここでは、タイヤの回転軸線に平行な線または方向を指すのに使用される。
【0026】
「ビード」は、構造リムに嵌る、プライコードが巻きつけられ、形成された環状の引っ張り部材を含むタイヤの部分を指し、フリッパ、チッパ、エイペックス、トーガード、およびチェーファーのような他の補強要素を有することもあれば、有しないこともある。
【0027】
「ベルト構造」は、タイヤの赤道面に対して傾いた複数のコードを有し、トレッドの下にあり、ビードには固定されておらず、織られたまたは織られていない、平行な複数のコードの、少なくとも2つの環状の層またはプライを指す。ベルト構造は、比較的小さい角度で傾き、制限層として作用する複数の平行なコードの複数のプライを含むこともある。
【0028】
「バイアスタイヤ(交差プライ)」は、カーカスプライ内の複数の補強コードが、タイヤの赤道面に対して約25°から65°の角度でビードからビードへタイヤを斜めに横切って延びているタイヤを指す。多数のプライが存在する場合、プライコードは、交互の層において相反する角度で延びる。
【0029】
「ブレーカー」は、カーカスプライ内の平行な補強コードと同じ、タイヤの赤道面に対する角度を有する、平行な複数の補強コードの少なくとも2つの環状の層またはプライを指す。
【0030】
「ケーブル」は、2つまたは3つ以上の、撚り合わせた糸を一緒に巻くことによって形成されたひもを指す。
【0031】
「カーカス」は、ベルト構造、トレッド、アンダートレッド、プライ上のサイドウォールラバーとは別で、しかしビードを含むタイヤ構造を指す。
【0032】
「ケーシング」は、カーカス、ベルト構造、ビード、サイドウォール、およびトレッドとアンダートレッドを除くタイヤの全ての他の構成部品、すなわちタイヤ全体を指す。
【0033】
「チッパ」は、ビード領域内に配置された、織物またはスチールの複数のコードの狭いベルトを指し、その機能は、ビード領域を補強し、サイドウォールの、半径方向の最も内側の部分を固定することである。
【0034】
「周方向の」は、赤道面(EP)に平行で、軸方向に垂直な、環状のタイヤの表面の周辺に沿って延びる線または方向を指し、断面で見たとき、半径がトレッドの軸方向の曲率を規定する、隣接する複数の円曲線の複数のセットの方向も指すことがある。
【0035】
「コード」は、タイヤの複数の補強構造を構成する複数の補強ストランドの1つを指す。
【0036】
「コード角度」は、コードが赤道面に対してなす、タイヤの平面図の左または右の鋭角を指す。
【0037】
「クラウン」は、タイヤのトレッドの幅の範囲内のタイヤの部分を指す。
【0038】
「デニール」は、9000メータ当たりのグラム重量を意味する(線密度を表す単位)。「Dtex」は、10,000メータ当たりのグラム重量を意味する。
【0039】
「密度」は、単位長あたりの重量を意味する。
【0040】
「エラストマー」は、変形後に、大きさと形状を回復できる弾性材料を指す。
【0041】
「赤道面(EP)」は、タイヤの回転軸線に垂直で、トレッドの中心を通過する平面、またはとレッドの周方向の中心線を含む平面を指す。
【0042】
「織物」は、よじれていてよく、そして高弾性材料の多数の繊維(よじれていてもよい)からなる、基本的に一方向に延びる複数のコードからなる網を指す。
【0043】
「繊維」は、複数の繊維の基本要素を形成する天然のまたは人工の物質の単位を指す。直径または幅の少なくとも100倍の長さを有することを特徴とする。
【0044】
「繊維数」は、編み糸を構成する繊維の数を意味する。例として、1000デニールのポリエステルは約190個の繊維を有する。
【0045】
「フリッパ」は、ビードワイヤの周りの、強度のための、そしてビードワイヤをタイヤ胴体内で結ぶ補強繊維を指す。
【0046】
「ゲージ」は、通常、「測定値」、特に「厚さ測定値」を意味する。
【0047】
「高抗張力鋼(HT)」は、0.20mmの繊維径において少なくとも3400MPaの抗張力を有する炭素鋼を指す。
【0048】
「インナー」は、タイヤの内側に向かってを意味し、「アウター」は、タイヤの外側に向かってを意味する。
【0049】
「インナーライナー」は、チューブレスタイヤの内側面を形成し、かつタイヤ内に膨張流体を含む、エラストマーまたは他の材料の1つまたは複数の層を指す。
【0050】
「LASE」は、特定の伸長における荷重を指す。
【0051】
「横の」は軸方向を指す。
【0052】
「撚り長」は、よられた繊維または撚り糸が、他の繊維または撚り糸の周りに360度の回転するために進む距離を指す。
【0053】
「荷重範囲」は、タイヤとリムの協会の表で定められた特定の種類の運転において用いられる所与のタイヤに対する荷重と膨張の限界を指す。
【0054】
「メガ抗張力鋼(MT)」は、0.20mmの繊維径において少なくとも4500MPaの抗張力を有する炭素鋼を指す。
【0055】
「常用荷重」は、タイヤの運転条件に対する適切な標準機構によって指定された特定の設計膨張圧と設計荷重を指す。
【0056】
「常用抗張力鋼(NT)」は、0.20mmの繊維径において少なくとも2800MPaの抗張力を有する炭素鋼を指す。
【0057】
「プライ」は、ゴムで被覆され、半径方向に展開され、あるいはそれと反対に平行な複数のコードの、コード補強された層を指す。
【0058】
「半径方向の」および「半径方向に」は、タイヤの回転軸心に半径方向に向かい、またはタイヤの回転軸心から半径方向に離れる方向を指すのに使用される。
【0059】
「ラジアルプライ構造」は、1つまたは複数のカーカスプライ、または少なくとも1つのプライが、タイヤの赤道面に対して65°と90°の間の角度に向けられた複数の補強コードを有することを指す。
【0060】
「ラジアルプライタイヤ」は、少なくとも1つのプライが、ビードからビードへ延び、タイヤの赤道面に対して65°と90°の間のコード角度で置かれた複数のコードを有する、ベルト付きの、または周方向に制限された空気タイヤを指す。
【0061】
「リベット」は、層内のコード同士の間の開いた空間を指す。
【0062】
「区域高さ」は、赤道面における公称リム径からタイヤの外径までの半径方向距離を指す。
【0063】
「区域幅」は、タイヤが24時間、標準圧で膨張させられるとき、または膨張させられた後、しかし荷重がかけられていないときの、ラベル付け、装飾または保護ベルトによるサイドウォールの上昇を除く、タイヤの軸線に平行で、複数のサイドウォールの外側間の最大直線距離を意味する。
【0064】
「自立ランフラット」は、タイヤが、限られた期間、かつ限られた速度で、膨張させられていない状態で動作しているときに、タイヤ構造だけが車両を支えるのに十分頑丈である構造を有する種類のタイヤを指す。
【0065】
「サイドウォールインサート」は、タイヤのサイドウォール領域内に配置されたエラストマーまたはコード補強体を指す。該インサートは、カーカス補強プライと、タイヤの外側表面を形成する外側サイドウォールゴムに対して付加したものであってよい。
【0066】
「サイドウォール」は、タイヤの、トレッドとビードの間の部分を指す。
【0067】
「バネ率」は、所与の圧力における負荷撓み曲線として表されたタイヤの剛性を意味する。
【0068】
「剛比」は、制御ベルト構造の剛性の値を他のベルト構造の剛性の値で割った値を意味し、これらの値は、コードの両端を有する3定点曲げ試験によって求められ、該コードはこれら定点の間に集中する荷重によって支持され、かつ曲げられている。
【0069】
「スーパー抗張力鋼(ST)」は、0.20mmの繊維径において少なくとも3650MPaの抗張力を有する炭素鋼を指す。
【0070】
「頑強さ」は張力をかけられていない試料の単位線密度当たりの力(gm/texまたはgm/denier)として表された応力を意味する。織物において使用される。
【0071】
「張力」は、断面積当たりの力で表される応力である。デニール当たりのグラムでの頑強さの倍数の比重のpsi=12,800倍の力.
「トーガード」は、タイヤの、各ビードの軸方向内側の周方向に配置されたエラストマーのリム接触部分を指す。
【0072】
「トレッド」は、タイヤのケーシングに接合されると、タイヤが通常に膨張させられ、通常の荷重がかかっているときにタイヤの、道路と接触する部分を含む、成形されたゴム部品を指す。
【0073】
「トレッド幅」は、タイヤの回転軸を含む平面におけるトレッド面の弧長を意味する。
【0074】
「折り返し端」は、プライが巻かれているビードから上方に(すなわち、半径方向外側に)折り返す、カーカスの部分を指す。
【0075】
「ウルトラ抗張力鋼(UT)」は、0.20mmの繊維径において少なくとも4000MPaの抗張力を有する炭素鋼を指す。
【0076】
「垂直変位」は、タイヤが荷重により変位する量を指す。
【0077】
「ヤーン」は、織物繊維または微細繊維の連続したより糸の一般的用語である。「ヤーン」は、次の形態、すなわち1)一緒に撚られた多数の繊維、2)撚られることなく、一緒に重ねられた複数の微細繊維、3)ある程度の撚れを有し、一緒に重ねられた複数の微細繊維、4)撚られていても撚られていなくてもよい単一の微細繊維(単一微細繊維)、5)撚られていても撚られていなくてもよい材料の狭い帯状片の形態に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、取り付け具の例を有する、本発明のタイヤの概略部分断面図である。
【図2】図2は、図1の実施形態の、異なった状態での概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
次に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0080】
図1は、本発明で用いられる、空気タイヤの例の部分断面図である。タイヤの一例は、参照によってここに含まれる、Agonstini達に与えられた米国特許7,789,119によって開示されたタイヤである。他の例は、タイヤのリム上に搭載されて、膨らまされた状態と膨らまされていない状態の少なくとも一方の間、連続して動作することができるように設計されていてよい。その例のタイヤは、タイヤの一方のビード領域から対向するビード領域へ延びる補強カーカスプライを有することもある。カーカスプライの両端は、ビードコアとビードエイペックスの周りに軸方向内側から軸方向外側へ巻かれることがある。カーカスプライの端末側終端はビードエイペックスの外側端を半径方向に過ぎて延び、それによってビードエイペックスを包み込んでいる。
【0081】
その例のタイヤの各サイドウォール領域に設けられているのはサイドウォールインサートであってよい。サイドウォールインサートは代わりに、タイヤのインナーライナーに隣接してまたはカーカスプライの軸方向外側に配置されてもよい。サイドウォールインサートはエラストマー材料から作られてよく、タイヤのクラウン領域から、ベルト補強構造の半径方向内側からビードエイペックスの端末側両端の半径方向内側に延びてよい。サイドウォールインサート、すなわちウエッジのエラストマー材料は、タイヤに、膨張させられていない、すなわちランフラットなタイヤの動作中に、支持体を与えるように選択されてよい。
【0082】
カーカスプライの半径方向外側に配置されたベルト補強構造は、傾き、交差したコードプライを少なくとも2つ有してよい。傾いたプライのコードは、タイヤの周方向に対して傾いていてよい。半径方向に隣接した複数のプライの複数のコードは、同様の、しかし互いに反対方向の角度でさらに傾いていてよい。
【0083】
ベルト補強構造の外側はオーバーレイであってよい。オーバーレイは、ベルト補強構造の、交差したコードプライの最大の軸方向の幅に等しいか、またはこれよりも大きい軸方向幅を有し、それによってオーバーレイとカーカスプライの、交差した複数のコードプライを包み込んでよい。オーバーレイは、タイヤの赤道面に対して0°から15°の角度で傾いた複数のコードで補強されてよい。
【0084】
図1は、タイヤ1のサイドウォール領域4を通る部分断面の例を示している。サイドウォール領域4はインナーライナー14とカーカスプライ12を含んでよい。本発明にしたがって、1つまたは複数の電子機器、すなわち物品100が、タイヤのインナーライナー14に固定された包囲部材112によって生成されたポケット101によってタイヤ1に固定されてよい。ポケット101は、1つの方向(図2)または互いに反対の2つの方向(不図示)に開口を有してよい。物品100は、円柱、矩形、球形、などのようなどのような形状であってもよい。包囲部材112は、1つの縁または縁の1つの部分がインナーライナー14に取り付けられていない、円形、矩形、五角形、などのようなどのような形状であってもよい。包囲部材112の形状は、物品100の形状に対応していてよい。
【0085】
物品100は、無線の圧力センサー、加速度計、RFID、圧力調整器、モジュールの少なくとも1つ、さらにはノイズ/振動の低減のための平衡重り、発泡体、などであってよい。従来の方法は通常、センサーまたは他の構成部品をインナーライナーに接着させることを含み、このためには、接着剤を付ける前に、インナーライナーの表面を準備(バフ仕上げによるクリーニングまたはレーザ/プラズマによるクリーニング、など)する必要がある。
【0086】
そのような包囲部材112と物品100は、タイヤ圧監視システム、エアメンテナンスタイヤ、騒音低減タイヤ、タイヤ平衡方法の一部として使用してよい。包囲部材112を、タイヤ1を包囲部材と同時に硬化させることによって、インナーライナー14に固定してもよい。永久的な接着、インナーライナーの表面のクリーニングまたはバフ仕上げは必要なく、したがってタイヤ1のコストを下げ、タイヤの製造を簡単にし、タイヤの平衡を改善する。さらに、包囲部材112によってモジュール100を取り付けることは決してタイヤの完全性に影響せず、他方でモジュールの交換をも構成部品の変更なしに可能にする。
【0087】
包囲部材112は、タイヤのいずれかのショルダー領域内、などのビード領域の半径方向外側に、タイヤの中心線に沿ってインナーライナー14上に設けられてよい。包囲部材112は、半径方向のいずれかまたは両方、軸方向のいずれかまたは両方、周方向のいずれかまたは両方、および/またはそれらの間のいずれかの向きに開口するポケット101を形成するために向きを定めてよい。このように、包囲部材112は、タイヤの空洞内のどのような場所、どのような向きに配置してよい。包囲部材112は、物品100が固定される大きさであってよい。
【0088】
図2に示すように、包囲部材112の外側縁113は、物品100がポケット100の開口端から抜け出るおそれがないようにポケットの近くに部分的にまたは完全に(不図示)変位してよい。物品100は、要望通りに、いつ取り除いて、交換してもよい。3つまたは4つ以上の包囲部材112をインナーライナー14上に配置することによって、タイヤの平衡を最適化する位置を物品100のために選択的に選択してよい。
【0089】
インナーライナー14と同じ材料または類似の材料(たとえば、プライ材料)の包囲部材112は、そのような構造を作り出すために、生のタイヤ内に配置して、生のタイヤと同時に硬化させてよい。スペーサー部材、すなわちステッカー115が、硬化の前に、包囲部材112を生のタイヤに一時的に固定し、硬化後にポケットが開くのを容易にするためにポケット101内に配置してよい。包囲部材112の配置は、包囲部材が最小の硬化の点の近くに配置されない限り、硬化のサイクル時間に影響しない。タイヤ1に追加された重りは無視してよい。
【0090】
本発明の変形は、ここに記載された記述を踏まえて可能である。いくつかの代表的な実施形態と詳細が、本発明を説明する目的で示されたが、様々な変更および修正が、本発明の範囲から外れることなくその中で行うことができることが当業者にとって明らかとなろう。したがって、変更が、次の添付の特許請求の範囲によって定められた本発明の意図された全範囲内にある、記載された特定の実施形態においてなされ得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0091】
1 タイヤ
4 サイドウォール領域
12 カーカスプライ
14 インナーライナー
100 物品
101 ポケット
112 包囲部材
113 包囲部材の外側縁
115 ステッカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気タイヤにおいて、
内部空洞を形成し、該内部空洞内の空気圧を維持するインナーライナーと、
物品を除去可能に受け入れ、かつ物品を前記空気タイヤに除去可能に固定するポケットを形成する包囲部材であって、前記空気タイヤの運用年数の間、前記包囲部材を前記インナーライナーに固定するように、前記インナーライナーと同時に硬化させられる包囲部材と、
を有することを特徴とする空気タイヤ。
【請求項2】
前記物品が無線電子モジュールであることを特徴とする、請求項1に記載の空気タイヤ。
【請求項3】
前記物品が円柱形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の空気タイヤ。
【請求項4】
前記包囲部材が矩形の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の空気タイヤ。
【請求項5】
前記物品がタイヤ空気圧監視システムの一部であることを特徴とする、請求項1に記載の空気タイヤ。
【請求項6】
物品を空気タイヤに固定する方法であって、
生のタイヤと未硬化の包囲部材を準備するステップと、
前記包囲部材の一方の縁と内部が前記生のタイヤのインナーライナーに取り付けられず、したがってポケットを形成するように、前記包囲部材を前記インナーライナーに同時に硬化させるステップと、
物品を、前記包囲部材の取り付けられていない端と前記インナーライナーの隣接する部分によって定まる口を通って第1の方向に移動させることによって、該物品を前記ポケット内に挿入するステップと、
その後前記物品を、反対の第2の方向に前記口を通って移動させることによって、前記物品を前記ポケットから除去するステップと、
を有する、物品を空気タイヤに固定する方法。
【請求項7】
前記物品を前記ポケット内に挿入することによって、前記空気タイヤを平衡させるステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記包囲部材を前記空気タイヤの中心線に沿って配置するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記包囲部材の前記の取り付けられていない縁を前記インナーライナーに向かって変位させることによって、前記物品を前記ポケット内に固定するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記物品を前記ポケット内に挿入することによって、回転している空気タイヤの騒音を減らすステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
物品を空気タイヤに固定するシステムにおいて、
インナーライナー層と、
物品を除去可能に受け入れ、かつ前記空気タイヤに除去可能に固定するポケットを形成する包囲部材であって、前記包囲部材を、前記空気タイヤの運用年数の間、前記インナーライナー層に固定するために前記インナーライナー層と同時に硬化させられる包囲部材と、
を有し、
前記包囲部材は、前記包囲部材の一方の縁と内部が前記インナーライナー層に取り付けられず、したがってポケットを形成するように、前記インナーライナー層と同時に硬化させられ、前記ポケットは前記物品を少なくとも2つの側部で取り囲み、それによって前記物品を前記空気タイヤに固定する、
ことを特徴とする、物品を空気タイヤに固定するシステム。
【請求項12】
前記物品は、前記物品を、前記包囲部材の前記の取り付けられていない一方の端と前記インナーライナー層の隣接する部分によって形成される口を通って第1の方向に動かすことによって、前記ポケットに挿入されることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記物品は、前記物品を、前記口を通って反対の第2の方向に移動させることによって、前記ポケットから除去されることを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記包囲部材は前記物品の形状に対応するように形作られていることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記物品は、前記包囲部材の前記の取り付けられていない一方の縁が前記インナーライナー層に向かって変位することによって前記ポケット内に固定されることを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記包囲部材は、2つの互いに反対の方向に開く2つの口でポケットを形成することを特徴とする、請求項11に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−112342(P2013−112342A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−260979(P2012−260979)
【出願日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【出願人】(590002976)ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー (256)
【氏名又は名称原語表記】THE GOODYEAR TIRE & RUBBER COMPANY
【住所又は居所原語表記】1144 East Market Street,Akron,Ohio 44316−0001,U.S.A.
【Fターム(参考)】