電子装置を接続する織物
織物100、300、400は、導電性経糸104a乃至b、303a乃至e、406a乃至bの上部配列を含む上部経糸層101、導電性経糸106a乃至b、306a乃至e、421a乃至dの下部配列を含む下部経糸層102、及び、上部経糸層101と下部経糸層102との間に配置される中間経糸層103を含む多層経糸を有する。織物は、電気的接触がそこで達成されるように、緯糸導電性緯糸108、302a乃至f、407a乃至bの第1セットが、導電性経糸104a乃至b、303a乃至e、406a乃至bの上部配列と交差する横糸と、電気的接触がそこで達成されるように、導電性経糸106a乃至b、306a乃至e、421a乃至dの下部配列と交差する導電性緯糸の第2セット109a乃至b、305a乃至f、424、430、440とを更に含む。導電性緯糸109a乃至b、305a乃至f、424、430、440の第2セットが、上部経糸層101及び中間経糸層103の非導電性経糸の周りでループ110、425、431、441を形成し、ループ110、425、431、441の各々が、第1上層接続点307、408乃至410と第2上層接続点308との間に電子装置309、401乃至403の接続を可能にする第1上層接続点307,408乃至410を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の接続を可能にする、織り交ぜられた導電性及び非導電性糸から形成される織物、並びにこのような織物を含む電子織物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子織物の分野の研究は非常に活発であり、今日の市場では、高度な電子織物製品があまり見つからないが、多くの新製品が近い将来、消費者に至る態様を見つけると思われる。
【0003】
消費者の心に訴えると思われる製品群の一例は、能動的に発光する織物から作られる製品である。このような織物は、発光ダイオード(LED)のような光源のマトリクスを有し得、電源に接続され、オプションとして織物に設けられる導体パターンを介してLED制御器に接続され、家庭内の織物、例えばカーテン又は枕カバー、及び衣服を作るために使用され得る。
【0004】
国際特許出願公開WO03/095729において、実施例が開示され、複数のLEDを含む機能的な糸は、アドレス指定可能なパッシブマトリクスディスプレイを形成する導電性糸及び非導電性糸で織り交ぜられ、LEDは、個々にアドレス指定され得る。
【0005】
パッシブマトリクス型電子織物、例えば上述の文書で開示されたものにおいて、電源から特定のLEDに至る行及び列の両方の導体は、動作可能な特定のLEDのために無傷であることを必要とする。これは、織物が一般に家庭内の織物又は衣服の製造を可能にするように適切な形状及び寸法に切断されることを必要とするので、この種の電子織物の不利な点である。
【0006】
したがって、この機能を失うことなく、寸法通りに切られ得る電子織物に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の上述の及び他の欠点を鑑みて、本発明の主な目的は、電子装置をつなぐ改良された織物を提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、この機能を失うことなく、寸法通りに切られ得る電子織物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によると、これら及び他の目的は、織り交ぜられた導電性糸及び非導電性糸から形成された、電子装置の接続を可能にする織物によって達成される。該織物は、導電性経糸の上部配列を有する上部経糸層、導電性経糸の下部配列を有する下部経糸層、及び上下の経糸層の間に配置される中間経糸層を含む多層経糸と、導電性及び非導電性緯糸を含む緯糸とを有する。織物において、導電性緯糸の第1セットは、電気的接触がそこで達成されるように、導電性経糸の上部配列と交差し、導電性緯糸の第2セットは、電気的接触がそこで達成されるように、導電性経糸の下部配列と交差し、選択されたループ位置の導電性緯糸の第2セットは、上部及び中間の経糸層の非導電性経糸の周囲にループを形成し、ループの各々は、導電性経糸の上部配列からの導電性経糸、及び導電性緯糸の第1セットからの導電性緯糸のうちの1つに設けられる、第1上部層の接続点と第2上部層の接続点との間の電子装置の接続を可能にする、第1上部層の接続点を提供する。
【0010】
本発明による織物は、多数の接続経路を電子装置に接続する接続点の各対に提供する。これによって、本発明による織物から形成される電子織物は、織物の切断に対して非常に強くされ得る。言い換えると、特定の電子装置に至る接続経路の多数が壊れている場合でさえも、電子装置が何も起こらなかったかのように機能し得るように、いくつかの接続経路が残るという確率が高い。これは、電子織物が、本発明による織物を用いることにより、電子織物における電子装置の動作に影響することなく、寸法通りに切断され得ることを意味する。電源の適当な位置決め、又は電源の冗長性があれば、電子織物の電子装置が電力を供給され、動作するときさえも、同様である。
【0011】
本発明による織物において、導電性緯糸の第1セットは、選択されたループ位置において、下部及び中間の経糸層の非導電性経糸の周りでループを形成し得、ループの各々は、導電性経糸の下部配列からの導電性経糸、及び導電性緯糸の第2セットからの導電性緯糸のうちの1つに設けられる、第1下層接続点と第2下層接続点との間の電子装置の接続を可能にするため、第1下層接続点を提供している。
【0012】
このように、織物に対する電子装置の両面接続が、可能にされる。
【0013】
更に、電気的接触は、複数の上部格子要素を含む上部導電性格子が形成されるように、導電性経糸の上部配列の導電性糸の各々と、導電性緯糸の第1セットとの間に達成され得、複数の下部格子要素を含む下部導電性格子が形成されるように、導電性経糸の下部配列の導電性糸の各々と、導電性緯糸の第2セットとの間に達成され得、ループ位置は、ループが上部及び下部の格子のうちの少なくとも1つの各格子要素に対して、上部及び下部の導電性格子の間に電子装置の接続を可能にするように、選択され得る。
この装置を通じて、非常に多くの数の接続経路が、織物に接続される電源と電子装置との間にあることを確実にされる。
【0014】
現在の本発明の一実施例によると、少なくとも下部経糸層は、導電性経糸の複数の下部の配列を含み、導電性緯糸は、複数のセットに分割され、導電性経糸の下部配列の各々は、電気的接触が間で達成されるように、複数のセットからの導電性緯糸の対応するセットによって交差される。
【0015】
本発明の本実施例によって、別個の電源供給及び/又はいくつかのセットの接続された電子装置、例えば異なる色のLEDの制御が可能にされ、一方、電子装置の動作に影響することなく、寸法通りに切断され得る性能を維持する。
【0016】
本発明の他の実施例によると、少なくとも一部のループは、上層ではなく中間層の多くの非導電性経糸の周辺で、各々が形成され得る。このように、多層織りの中間層は、織物に大きく関連し、これは改良された完全性を有するより強い織物の形成を可能にする。
ループが導電性緯糸の第1セットによって形成される場合、これらのループは、もちろん、類似して、下層においてよりも中間層における多くの非導電性経糸の周辺で形成され得る。
【0017】
例えば、ループは、階段状の態様で織りを横断することによって形成され得、その結果、ループは、ループの元の位置からループの折り返し部分まで、より少ない数の糸の周辺で形成される。3層織りの最も簡潔な場合では、ループは、例えば下層の3つの経糸、中間層の2つの経糸、及び上層の1つの経糸の周辺で形成され得る。
【0018】
本発明による織物は、更に、電子織物に含まれ得、更に複数の電子装置を含み得、各々が織物の第1及び第2接続点に接続される。
電子装置は、本発明による織物に接続可能であるいかなる種類の装置も含み得る。本発明の織物がいくつかの同一の部品又はグループの部品、例えばLED又はセンサに最も適していると想像されるが、他の構成もあり得る。
【0019】
1つ又は複数の電源は、このため設けられる接続位置で織物に接続され得、及び/又は電源コネクタは、1つ又は好ましくは織物全体に渡るいくつかの位置において、外部電力の接続を可能にするために提供され得る。例えば、外部電力に対するこのような接続は、経糸及び/又は緯糸方向に一定の間隔で設けられ得る。電子織物の一実施例によると、電子装置の各々は、発光ダイオードを含み得る。
【0020】
前記電子装置の各々は、異なる特徴を有する異なる発光ダイオードを補償するため、安定化回路を更に含み得る。
【0021】
通常よくあるが、異なるLEDが異なる電圧輝度特性を有する場合、異なる(非常に異なる)電流量が、安定化回路のない異なるLED中を流れる。これは、LEDマトリクス電子織物の不均一な外観をもたらし、ユーザにとって望ましくないものであり得る。
【0022】
このような安定化回路は、好都合にもレジスタを含み得る。
【0023】
各LEDと直列に抵抗を加えることによって、LEDを流れる電流は、制限される及び、ある程度、正規化される。
【0024】
安定化回路は、少なくとも一つのトランジスタを更に含み得、これによってLEDに対する電流のより効率的な正規化が、実現され得る。
【0025】
特に良好な均一性は、各LEDに対していわゆる電流ミラーを実施することにより得られ得る。
【0026】
本発明のこれら及び他の態様は、本発明の好ましい実施例を現在示す添付の図面に関して、更に詳細に記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】図1aは、本発明の第1実施例による織物の概略的な斜視断面図である。
【図1b】図1bは、線A−Aに沿う図1aの織物の経糸方向の断面図である。
【図2】図2は、経糸方向において、本発明の第2実施例による織物の概略的な横断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施例による織物を利用した電子織物の丈夫さを図示した概略図である。
【図4a】図4aは、本発明の第3実施例による織物に接続されるLEDの形態で電子装置を有する、該織物の概略的な上面図である。
【図4b】図4bは、図4aの織物の線B‐Bに沿った経糸方向の断面図である。
【図4c】図4cは、図4aの織物の線C‐Cに沿った経糸方向の断面図である。
【図4d】図4dは、図4aの織物の線D‐Dに沿った経糸方向の断面図である。
【図5a】図5aは、本発明による電子織物のあり得る電子装置構成の実施例を示す概略的な回路図である。
【図5b】図5bは、本発明による電子織物のあり得る電子装置構成の実施例を示す概略的な回路図である。
【図5c】図5cは、本発明による電子織物のあり得る電子装置構成の実施例を示す概略的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明において、本発明は、3つの経糸層及び特定の簡略化された織りレイアウトを有する織物に関して記載される。これは、本発明の範囲を決して制限するべきでなく、これはより多くの経糸層を有する織物、及び他の種類の織りレイアウトに等しく適用可能である。
【0029】
更に、以下に記載される例示的な電子織物は、LEDを含む。これは、明らかに、他の種類の電子装置を有する電子織物を除外するものとして解釈されるべきでない。逆に、本発明による織物に接続されるいかなる種類の電子装置、例えばセンサ、照明装置、通信装置等を有する電子織物も、本発明の範囲内にあると考慮されるべきである。
【0030】
下記の説明では、繰り返し経糸及び緯糸に言及される。織物において、織物の方向に一般に伸張する糸は、通常経糸と呼ばれ、一方、織物の方向(及び経糸に)実質的に垂直に伸張する糸は、緯糸と称される。経糸及び緯糸が通常は互いに対して垂直であるが、これは、必須ではなく、本発明は、互いに対して垂直である経糸及び緯糸を有することに制限されるとして解釈されるべきではない。
【0031】
図1aにおいて、本発明の第1実施例による3層織りの織物100は、中間の経糸層103によって分離される上部経糸層101及び下部経糸層102を有して、図式的に示される。上部経糸層101は、非導電性経糸105a乃至eによって分離されたアレイ状の導電性経糸104a乃至bを有し、下部経糸層102は、現在図示された実施例において、同一であるが並進された導電体106a乃至b及び非導電体107a乃至eの経糸の構成を有する。ここで中間の経糸層103は、全て非導電性経糸から成る。しかしながら、これは、必須ではない。
【0032】
緯糸方向では、導電性緯糸の第1セットから1つの導電性緯糸108、及び導電性緯糸の第2セットから2つの導電性緯糸109a乃至bが、図1aにおいて示され得る。非導電性緯糸は、図1aに示される導電性緯糸の間に存在し得るが、ここでは、明確にするため省略される。
【0033】
図1aを再度参照すると、導電性緯糸109aは、非導電性経糸107dと交差するまで、下部経糸層102の非導電性経糸の上下に交互に行くのを見られ、この後、導電性緯糸109aは、下部経糸層102の1つの非導電性経糸107e、中間層103の1つの非導電性経糸111、及び上部経糸層101の1つの非導電性経糸105bの周りでループ110を形成する。同じ導電性緯糸109aに従って継続して、これは、次に下部経糸層102の導電性経糸106bと交差し、その結果この間に電気的接触が達成される。導電性緯糸の第2セットの導電性緯糸109a乃至bと、下部経糸層102の導電性経糸106と間のこのような交差により、下部導電性格子は、織物100の下部経糸層側112の上に形成される。前述したように、第2セットの各導電性緯糸109a乃至bは、複数のループを形成し、これは全て下部導電性格子に電気的に接続される。
【0034】
同様に、導電性緯糸の第1セットの導電性緯糸108は、上部経糸層101の導電性経糸104と共に、上部導電性格子を形成する。第1セットの導電性緯糸108は、単に上部導電性格子の形成を支援し得るか、又は図1bに図示されるように、織物100の下側112から伸びるループ110について上述されたのと同様に、織物100の下側112にループ113を形成し得る。
【0035】
図1aの織物100の線A‐Aに沿う模式的な横断面を示す図1bを参照すると、導電性緯糸の第1セットの導電性緯糸108は、上部経糸層101の導電性経糸104aと交差し、電気的接触をし、上部層の非導電性経糸105a、中間経糸層103の非導電性経糸114、及び下部経糸層102の非導電性経糸107dの周りでループ113を形成する。
【0036】
本発明による織物の第2実施例を概略的に図示する図2において、ループ201が示され、これは、上部経糸層101の非導電性糸202a乃至e、中間の経糸層103の非導電性糸203a乃至c、及び下部経糸層102の非導電性糸204の周りで、導電性緯糸の第1セットの導電性緯糸108により形成される。この実施例によると、導電性緯糸108は、中間の経糸層103の経糸とより大きく相互作用し、導電性緯糸108のより良好なアンカリングをもたらす。図3は、本発明の一実施例による織物を利用した電子織物の丈夫さを図示する概略図である。
【0037】
図3において、電子織物300の一部の導体パターンが、図式的に示され、上層導電性格子301は、行302a乃至f、及び列303a乃至eの格子の実線によって示され、下層導電性格子304は、行305a乃至f及び列306a乃至eの格子の点線によって示される。
【0038】
下層導電性格子302から、ループは、伝導性緯糸において形成され、結果として、各上部格子要素の示された接続点307となる(図を混乱させるのを回避するため、1つのループ接続点のみが、参照数字によって示される)。これらの接続点の各々と上部導電性格子の対応する接続点308との間に、LED309が接続される(再度、これらの各々のうちの1つのみが、参照数字によって示される)。
【0039】
LEDを駆動するため、電源は、ここでは単に電圧源310として示され、上下の導電性格子301、304の間に接続される。本発明による織物に基づいて電子織物の丈夫さを示すため、LED309が上下の導電性格子301、304を介して電源310により給電される間、電子織物に対応するものが寸法通りに切断される状況が、図示されるであろう。
【0040】
引き続き図3を参照すると、切断は、電子織物300のLED309aのいくつかの側においてなされ、より詳細には、切断311a乃至fは、格子ライン302e及び305e、302d及び305d、303d及び306d、並びに303e及び306eにより、それぞれ示された位置においてなされる。電子織物が、従来の行列アドレス指定可能なLEDマトリックスである場合、部分的に単離されたLED309aは、この点において発光しないであろう。一方、本発明の一実施例による織物が使用される場合、図3において矢印及び文字iによって示されるように、LED309aは、いくつかの残りの電流路とともに図示された状況で依然として給電されるであろう。
【0041】
図4a乃至dを参照すると、本発明の第3実施例による織物400は、ここではLEDの形態で、織物400のどの上部格子要素404に対しても3つの独立した電子装置401、402、403の接続を可能にし、以下に記載されるであろう。
【0042】
図1a乃至bに関連して上述されるように、上部導電性格子405は、ここでは、導電性経糸406a乃至b及び導電性緯糸407a乃至bにより形成される。図4b乃至dと関連して記載されるように、各上部格子要素404において、3つの上層接続点408、409、410は、3つのそれぞれの分離した下部の導電性格子から緯糸ループによって形成される。
【0043】
図4a乃至dにおいて図示される構成により、3セットの電子装置、例えば異なる色のLEDが、互いとは別に制御され得、その結果、例えば、電子織物によって放出される光の色は、使用されるLEDによって規定される色域全体に調整され得る。
【0044】
図4bにおいて、経糸方向からわかるように、図4aの織物400の線B‐Bに沿う断面図が見られ得る。先に述べた実施例と同様に、織物400は、経糸及び緯糸からなり、経糸は、上部、下部及び中間の経糸層101、102、103で構成され、上部経糸層101及び下部経糸層102は、(選択された)導電性経糸406a乃至b、421a乃至d、及び非導電性経糸422a乃至m、423a乃至mを有し、中間層103は、全て非導電性経糸からなる。導電性緯糸423は、導電性緯糸424と導電性経糸421bとの間に電気的接触を達成するため、下部経糸層の導電性経糸の第1アレイに含まれる導電性経糸421bと交差するように、3つの経糸層101、102、103の経糸と織り交ぜられる。導電性経糸421bと交差させた後、導電性緯糸424は、下部経糸層102の非導電性経糸423f、中間層103の非導電性経糸426、及び上部経糸層101の非導電性経糸422dの周りでループ425を形成し、ここでは、ループ425により形成される接続点と、第1経糸層101の導電性経糸406aとの間に、LED403の形態で、電子装置の接続を可能にする。ループ425を完成させた後、導電性緯糸424は、2つの他の下部導電性格子に含まれる導電性経糸421c及び421dとの接触を回避する。
【0045】
図4c乃至dは、それぞれ、図4aの線C‐C及びD‐Dに沿う断面図であり、導電性緯糸の配列においてのみ図4bと異なる。図4cにおいて、導電性緯糸430は、電気的接触を達成するように導電性経糸421cと交差し、それから、ループ431により形成される接続点と導電性経糸406aとの間にLED402の接続を可能にするように、ループ431を形成する。図4dにおいて、導電性緯糸440は、電気的接触を達成するように導電性経糸421dと交差し、それから、ループ441により形成される接続点と導電性経糸406aとの間にLED401の接続を可能にするように、ループ441を形成する。図4a乃至dに関連して上述されるような織物400の各格子要素404に3つの異なる色のLEDを接続することの代替として、他の種類の電子装置が、上部導電性格子405と下部導電性格子との間に接続され得る。例えば、1つのLED、1つの太陽電池及び1つの電池が、上部導電性格子405と、下部の導電性格子のそれぞれの一つとの間に、それぞれ上部層接続点408,409、及び410を介して接続され得る。このような構成により、LEDを駆動させるのに必要とされる外部電力の量は、著しく削減され得る。
【0046】
図5a乃至cは、本発明による電子織物のあり得る電子装置構成の3つの実施例を示す概略的な回路図である。図5aは、同じ電源502及び接地面503に接続される一連のLED501a乃至dを示す基本的な電気回路図を示す。この図は、この設計の最も基本的な実施例を表す。LEDが全て同じ電圧輝度特性を有する場合、この電気設計は、マトリクスの寸法通りに切断することを実施するのに充分である。
【0047】
LEDが同じ電圧輝度特性をもたない場合、図5aに図示されるマトリクスのLED501a乃至dの各々を通る電流において、非常に大きな違いがあり得る。
【0048】
図5bを参照すると、抵抗504a乃至dは、各LED501a乃至dの前に配置され得る。この抵抗は、電流源としての機能を果たす、非常に狭い電流範囲を各LEDに提供し、これにより、異なる電圧輝度特性を有するLEDの場合、より一様な発光をもたらす一次安定化回路としての機能を果たす。
【0049】
図5cを参照すると、LED電流の更なる安定化は、マトリクスの各LED501に対して、抵抗504、2つのトランジスタ505、506及びLED501で電流ミラーシステムを形成することにより達成され得る。この電流ミラーは、システムの異なるLEDにほぼ一定の電流を供給する、システムに対する二次安定化部としての機能を果たす。
【0050】
当業者は、本発明が好ましい実施例に決して制限されないと理解する。例えば、いくつかの導電性経糸及び/又は緯糸は、単一の導電性経糸及び/又は緯糸として図示される添付の図面及び上記説明にあることに対応して機能するため、互いに隣接して設けられ得る。このバンドリングは、伝導性の糸(糸束)の導電率及び/又は耐久性を向上させ得る。更に、下部及び上部経糸層の導電性経糸は、緯糸方向に並進され得るか、又は一致され得る。更に、上記の電子装置構成は、LED、抵抗及びトランジスタを含むが、これらの部品がいくつかの他の種類の部品及び装置で置き換えられ得るか、又は補われ得ることは、当業者により直ちに理解される。例えば、LEDは、センサ、通信装置、他の照明装置等と置き換えられ得るか、又は補われ得、上記の電流安定化回路に含まれる抵抗及びトランジスタは、他の部品、例えば追加のトランジスタ、ダイオード等と置き換えられ得るか、又は補われ得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の接続を可能にする、織り交ぜられた導電性及び非導電性糸から形成される織物、並びにこのような織物を含む電子織物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子織物の分野の研究は非常に活発であり、今日の市場では、高度な電子織物製品があまり見つからないが、多くの新製品が近い将来、消費者に至る態様を見つけると思われる。
【0003】
消費者の心に訴えると思われる製品群の一例は、能動的に発光する織物から作られる製品である。このような織物は、発光ダイオード(LED)のような光源のマトリクスを有し得、電源に接続され、オプションとして織物に設けられる導体パターンを介してLED制御器に接続され、家庭内の織物、例えばカーテン又は枕カバー、及び衣服を作るために使用され得る。
【0004】
国際特許出願公開WO03/095729において、実施例が開示され、複数のLEDを含む機能的な糸は、アドレス指定可能なパッシブマトリクスディスプレイを形成する導電性糸及び非導電性糸で織り交ぜられ、LEDは、個々にアドレス指定され得る。
【0005】
パッシブマトリクス型電子織物、例えば上述の文書で開示されたものにおいて、電源から特定のLEDに至る行及び列の両方の導体は、動作可能な特定のLEDのために無傷であることを必要とする。これは、織物が一般に家庭内の織物又は衣服の製造を可能にするように適切な形状及び寸法に切断されることを必要とするので、この種の電子織物の不利な点である。
【0006】
したがって、この機能を失うことなく、寸法通りに切られ得る電子織物に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の上述の及び他の欠点を鑑みて、本発明の主な目的は、電子装置をつなぐ改良された織物を提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、この機能を失うことなく、寸法通りに切られ得る電子織物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によると、これら及び他の目的は、織り交ぜられた導電性糸及び非導電性糸から形成された、電子装置の接続を可能にする織物によって達成される。該織物は、導電性経糸の上部配列を有する上部経糸層、導電性経糸の下部配列を有する下部経糸層、及び上下の経糸層の間に配置される中間経糸層を含む多層経糸と、導電性及び非導電性緯糸を含む緯糸とを有する。織物において、導電性緯糸の第1セットは、電気的接触がそこで達成されるように、導電性経糸の上部配列と交差し、導電性緯糸の第2セットは、電気的接触がそこで達成されるように、導電性経糸の下部配列と交差し、選択されたループ位置の導電性緯糸の第2セットは、上部及び中間の経糸層の非導電性経糸の周囲にループを形成し、ループの各々は、導電性経糸の上部配列からの導電性経糸、及び導電性緯糸の第1セットからの導電性緯糸のうちの1つに設けられる、第1上部層の接続点と第2上部層の接続点との間の電子装置の接続を可能にする、第1上部層の接続点を提供する。
【0010】
本発明による織物は、多数の接続経路を電子装置に接続する接続点の各対に提供する。これによって、本発明による織物から形成される電子織物は、織物の切断に対して非常に強くされ得る。言い換えると、特定の電子装置に至る接続経路の多数が壊れている場合でさえも、電子装置が何も起こらなかったかのように機能し得るように、いくつかの接続経路が残るという確率が高い。これは、電子織物が、本発明による織物を用いることにより、電子織物における電子装置の動作に影響することなく、寸法通りに切断され得ることを意味する。電源の適当な位置決め、又は電源の冗長性があれば、電子織物の電子装置が電力を供給され、動作するときさえも、同様である。
【0011】
本発明による織物において、導電性緯糸の第1セットは、選択されたループ位置において、下部及び中間の経糸層の非導電性経糸の周りでループを形成し得、ループの各々は、導電性経糸の下部配列からの導電性経糸、及び導電性緯糸の第2セットからの導電性緯糸のうちの1つに設けられる、第1下層接続点と第2下層接続点との間の電子装置の接続を可能にするため、第1下層接続点を提供している。
【0012】
このように、織物に対する電子装置の両面接続が、可能にされる。
【0013】
更に、電気的接触は、複数の上部格子要素を含む上部導電性格子が形成されるように、導電性経糸の上部配列の導電性糸の各々と、導電性緯糸の第1セットとの間に達成され得、複数の下部格子要素を含む下部導電性格子が形成されるように、導電性経糸の下部配列の導電性糸の各々と、導電性緯糸の第2セットとの間に達成され得、ループ位置は、ループが上部及び下部の格子のうちの少なくとも1つの各格子要素に対して、上部及び下部の導電性格子の間に電子装置の接続を可能にするように、選択され得る。
この装置を通じて、非常に多くの数の接続経路が、織物に接続される電源と電子装置との間にあることを確実にされる。
【0014】
現在の本発明の一実施例によると、少なくとも下部経糸層は、導電性経糸の複数の下部の配列を含み、導電性緯糸は、複数のセットに分割され、導電性経糸の下部配列の各々は、電気的接触が間で達成されるように、複数のセットからの導電性緯糸の対応するセットによって交差される。
【0015】
本発明の本実施例によって、別個の電源供給及び/又はいくつかのセットの接続された電子装置、例えば異なる色のLEDの制御が可能にされ、一方、電子装置の動作に影響することなく、寸法通りに切断され得る性能を維持する。
【0016】
本発明の他の実施例によると、少なくとも一部のループは、上層ではなく中間層の多くの非導電性経糸の周辺で、各々が形成され得る。このように、多層織りの中間層は、織物に大きく関連し、これは改良された完全性を有するより強い織物の形成を可能にする。
ループが導電性緯糸の第1セットによって形成される場合、これらのループは、もちろん、類似して、下層においてよりも中間層における多くの非導電性経糸の周辺で形成され得る。
【0017】
例えば、ループは、階段状の態様で織りを横断することによって形成され得、その結果、ループは、ループの元の位置からループの折り返し部分まで、より少ない数の糸の周辺で形成される。3層織りの最も簡潔な場合では、ループは、例えば下層の3つの経糸、中間層の2つの経糸、及び上層の1つの経糸の周辺で形成され得る。
【0018】
本発明による織物は、更に、電子織物に含まれ得、更に複数の電子装置を含み得、各々が織物の第1及び第2接続点に接続される。
電子装置は、本発明による織物に接続可能であるいかなる種類の装置も含み得る。本発明の織物がいくつかの同一の部品又はグループの部品、例えばLED又はセンサに最も適していると想像されるが、他の構成もあり得る。
【0019】
1つ又は複数の電源は、このため設けられる接続位置で織物に接続され得、及び/又は電源コネクタは、1つ又は好ましくは織物全体に渡るいくつかの位置において、外部電力の接続を可能にするために提供され得る。例えば、外部電力に対するこのような接続は、経糸及び/又は緯糸方向に一定の間隔で設けられ得る。電子織物の一実施例によると、電子装置の各々は、発光ダイオードを含み得る。
【0020】
前記電子装置の各々は、異なる特徴を有する異なる発光ダイオードを補償するため、安定化回路を更に含み得る。
【0021】
通常よくあるが、異なるLEDが異なる電圧輝度特性を有する場合、異なる(非常に異なる)電流量が、安定化回路のない異なるLED中を流れる。これは、LEDマトリクス電子織物の不均一な外観をもたらし、ユーザにとって望ましくないものであり得る。
【0022】
このような安定化回路は、好都合にもレジスタを含み得る。
【0023】
各LEDと直列に抵抗を加えることによって、LEDを流れる電流は、制限される及び、ある程度、正規化される。
【0024】
安定化回路は、少なくとも一つのトランジスタを更に含み得、これによってLEDに対する電流のより効率的な正規化が、実現され得る。
【0025】
特に良好な均一性は、各LEDに対していわゆる電流ミラーを実施することにより得られ得る。
【0026】
本発明のこれら及び他の態様は、本発明の好ましい実施例を現在示す添付の図面に関して、更に詳細に記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】図1aは、本発明の第1実施例による織物の概略的な斜視断面図である。
【図1b】図1bは、線A−Aに沿う図1aの織物の経糸方向の断面図である。
【図2】図2は、経糸方向において、本発明の第2実施例による織物の概略的な横断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施例による織物を利用した電子織物の丈夫さを図示した概略図である。
【図4a】図4aは、本発明の第3実施例による織物に接続されるLEDの形態で電子装置を有する、該織物の概略的な上面図である。
【図4b】図4bは、図4aの織物の線B‐Bに沿った経糸方向の断面図である。
【図4c】図4cは、図4aの織物の線C‐Cに沿った経糸方向の断面図である。
【図4d】図4dは、図4aの織物の線D‐Dに沿った経糸方向の断面図である。
【図5a】図5aは、本発明による電子織物のあり得る電子装置構成の実施例を示す概略的な回路図である。
【図5b】図5bは、本発明による電子織物のあり得る電子装置構成の実施例を示す概略的な回路図である。
【図5c】図5cは、本発明による電子織物のあり得る電子装置構成の実施例を示す概略的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明において、本発明は、3つの経糸層及び特定の簡略化された織りレイアウトを有する織物に関して記載される。これは、本発明の範囲を決して制限するべきでなく、これはより多くの経糸層を有する織物、及び他の種類の織りレイアウトに等しく適用可能である。
【0029】
更に、以下に記載される例示的な電子織物は、LEDを含む。これは、明らかに、他の種類の電子装置を有する電子織物を除外するものとして解釈されるべきでない。逆に、本発明による織物に接続されるいかなる種類の電子装置、例えばセンサ、照明装置、通信装置等を有する電子織物も、本発明の範囲内にあると考慮されるべきである。
【0030】
下記の説明では、繰り返し経糸及び緯糸に言及される。織物において、織物の方向に一般に伸張する糸は、通常経糸と呼ばれ、一方、織物の方向(及び経糸に)実質的に垂直に伸張する糸は、緯糸と称される。経糸及び緯糸が通常は互いに対して垂直であるが、これは、必須ではなく、本発明は、互いに対して垂直である経糸及び緯糸を有することに制限されるとして解釈されるべきではない。
【0031】
図1aにおいて、本発明の第1実施例による3層織りの織物100は、中間の経糸層103によって分離される上部経糸層101及び下部経糸層102を有して、図式的に示される。上部経糸層101は、非導電性経糸105a乃至eによって分離されたアレイ状の導電性経糸104a乃至bを有し、下部経糸層102は、現在図示された実施例において、同一であるが並進された導電体106a乃至b及び非導電体107a乃至eの経糸の構成を有する。ここで中間の経糸層103は、全て非導電性経糸から成る。しかしながら、これは、必須ではない。
【0032】
緯糸方向では、導電性緯糸の第1セットから1つの導電性緯糸108、及び導電性緯糸の第2セットから2つの導電性緯糸109a乃至bが、図1aにおいて示され得る。非導電性緯糸は、図1aに示される導電性緯糸の間に存在し得るが、ここでは、明確にするため省略される。
【0033】
図1aを再度参照すると、導電性緯糸109aは、非導電性経糸107dと交差するまで、下部経糸層102の非導電性経糸の上下に交互に行くのを見られ、この後、導電性緯糸109aは、下部経糸層102の1つの非導電性経糸107e、中間層103の1つの非導電性経糸111、及び上部経糸層101の1つの非導電性経糸105bの周りでループ110を形成する。同じ導電性緯糸109aに従って継続して、これは、次に下部経糸層102の導電性経糸106bと交差し、その結果この間に電気的接触が達成される。導電性緯糸の第2セットの導電性緯糸109a乃至bと、下部経糸層102の導電性経糸106と間のこのような交差により、下部導電性格子は、織物100の下部経糸層側112の上に形成される。前述したように、第2セットの各導電性緯糸109a乃至bは、複数のループを形成し、これは全て下部導電性格子に電気的に接続される。
【0034】
同様に、導電性緯糸の第1セットの導電性緯糸108は、上部経糸層101の導電性経糸104と共に、上部導電性格子を形成する。第1セットの導電性緯糸108は、単に上部導電性格子の形成を支援し得るか、又は図1bに図示されるように、織物100の下側112から伸びるループ110について上述されたのと同様に、織物100の下側112にループ113を形成し得る。
【0035】
図1aの織物100の線A‐Aに沿う模式的な横断面を示す図1bを参照すると、導電性緯糸の第1セットの導電性緯糸108は、上部経糸層101の導電性経糸104aと交差し、電気的接触をし、上部層の非導電性経糸105a、中間経糸層103の非導電性経糸114、及び下部経糸層102の非導電性経糸107dの周りでループ113を形成する。
【0036】
本発明による織物の第2実施例を概略的に図示する図2において、ループ201が示され、これは、上部経糸層101の非導電性糸202a乃至e、中間の経糸層103の非導電性糸203a乃至c、及び下部経糸層102の非導電性糸204の周りで、導電性緯糸の第1セットの導電性緯糸108により形成される。この実施例によると、導電性緯糸108は、中間の経糸層103の経糸とより大きく相互作用し、導電性緯糸108のより良好なアンカリングをもたらす。図3は、本発明の一実施例による織物を利用した電子織物の丈夫さを図示する概略図である。
【0037】
図3において、電子織物300の一部の導体パターンが、図式的に示され、上層導電性格子301は、行302a乃至f、及び列303a乃至eの格子の実線によって示され、下層導電性格子304は、行305a乃至f及び列306a乃至eの格子の点線によって示される。
【0038】
下層導電性格子302から、ループは、伝導性緯糸において形成され、結果として、各上部格子要素の示された接続点307となる(図を混乱させるのを回避するため、1つのループ接続点のみが、参照数字によって示される)。これらの接続点の各々と上部導電性格子の対応する接続点308との間に、LED309が接続される(再度、これらの各々のうちの1つのみが、参照数字によって示される)。
【0039】
LEDを駆動するため、電源は、ここでは単に電圧源310として示され、上下の導電性格子301、304の間に接続される。本発明による織物に基づいて電子織物の丈夫さを示すため、LED309が上下の導電性格子301、304を介して電源310により給電される間、電子織物に対応するものが寸法通りに切断される状況が、図示されるであろう。
【0040】
引き続き図3を参照すると、切断は、電子織物300のLED309aのいくつかの側においてなされ、より詳細には、切断311a乃至fは、格子ライン302e及び305e、302d及び305d、303d及び306d、並びに303e及び306eにより、それぞれ示された位置においてなされる。電子織物が、従来の行列アドレス指定可能なLEDマトリックスである場合、部分的に単離されたLED309aは、この点において発光しないであろう。一方、本発明の一実施例による織物が使用される場合、図3において矢印及び文字iによって示されるように、LED309aは、いくつかの残りの電流路とともに図示された状況で依然として給電されるであろう。
【0041】
図4a乃至dを参照すると、本発明の第3実施例による織物400は、ここではLEDの形態で、織物400のどの上部格子要素404に対しても3つの独立した電子装置401、402、403の接続を可能にし、以下に記載されるであろう。
【0042】
図1a乃至bに関連して上述されるように、上部導電性格子405は、ここでは、導電性経糸406a乃至b及び導電性緯糸407a乃至bにより形成される。図4b乃至dと関連して記載されるように、各上部格子要素404において、3つの上層接続点408、409、410は、3つのそれぞれの分離した下部の導電性格子から緯糸ループによって形成される。
【0043】
図4a乃至dにおいて図示される構成により、3セットの電子装置、例えば異なる色のLEDが、互いとは別に制御され得、その結果、例えば、電子織物によって放出される光の色は、使用されるLEDによって規定される色域全体に調整され得る。
【0044】
図4bにおいて、経糸方向からわかるように、図4aの織物400の線B‐Bに沿う断面図が見られ得る。先に述べた実施例と同様に、織物400は、経糸及び緯糸からなり、経糸は、上部、下部及び中間の経糸層101、102、103で構成され、上部経糸層101及び下部経糸層102は、(選択された)導電性経糸406a乃至b、421a乃至d、及び非導電性経糸422a乃至m、423a乃至mを有し、中間層103は、全て非導電性経糸からなる。導電性緯糸423は、導電性緯糸424と導電性経糸421bとの間に電気的接触を達成するため、下部経糸層の導電性経糸の第1アレイに含まれる導電性経糸421bと交差するように、3つの経糸層101、102、103の経糸と織り交ぜられる。導電性経糸421bと交差させた後、導電性緯糸424は、下部経糸層102の非導電性経糸423f、中間層103の非導電性経糸426、及び上部経糸層101の非導電性経糸422dの周りでループ425を形成し、ここでは、ループ425により形成される接続点と、第1経糸層101の導電性経糸406aとの間に、LED403の形態で、電子装置の接続を可能にする。ループ425を完成させた後、導電性緯糸424は、2つの他の下部導電性格子に含まれる導電性経糸421c及び421dとの接触を回避する。
【0045】
図4c乃至dは、それぞれ、図4aの線C‐C及びD‐Dに沿う断面図であり、導電性緯糸の配列においてのみ図4bと異なる。図4cにおいて、導電性緯糸430は、電気的接触を達成するように導電性経糸421cと交差し、それから、ループ431により形成される接続点と導電性経糸406aとの間にLED402の接続を可能にするように、ループ431を形成する。図4dにおいて、導電性緯糸440は、電気的接触を達成するように導電性経糸421dと交差し、それから、ループ441により形成される接続点と導電性経糸406aとの間にLED401の接続を可能にするように、ループ441を形成する。図4a乃至dに関連して上述されるような織物400の各格子要素404に3つの異なる色のLEDを接続することの代替として、他の種類の電子装置が、上部導電性格子405と下部導電性格子との間に接続され得る。例えば、1つのLED、1つの太陽電池及び1つの電池が、上部導電性格子405と、下部の導電性格子のそれぞれの一つとの間に、それぞれ上部層接続点408,409、及び410を介して接続され得る。このような構成により、LEDを駆動させるのに必要とされる外部電力の量は、著しく削減され得る。
【0046】
図5a乃至cは、本発明による電子織物のあり得る電子装置構成の3つの実施例を示す概略的な回路図である。図5aは、同じ電源502及び接地面503に接続される一連のLED501a乃至dを示す基本的な電気回路図を示す。この図は、この設計の最も基本的な実施例を表す。LEDが全て同じ電圧輝度特性を有する場合、この電気設計は、マトリクスの寸法通りに切断することを実施するのに充分である。
【0047】
LEDが同じ電圧輝度特性をもたない場合、図5aに図示されるマトリクスのLED501a乃至dの各々を通る電流において、非常に大きな違いがあり得る。
【0048】
図5bを参照すると、抵抗504a乃至dは、各LED501a乃至dの前に配置され得る。この抵抗は、電流源としての機能を果たす、非常に狭い電流範囲を各LEDに提供し、これにより、異なる電圧輝度特性を有するLEDの場合、より一様な発光をもたらす一次安定化回路としての機能を果たす。
【0049】
図5cを参照すると、LED電流の更なる安定化は、マトリクスの各LED501に対して、抵抗504、2つのトランジスタ505、506及びLED501で電流ミラーシステムを形成することにより達成され得る。この電流ミラーは、システムの異なるLEDにほぼ一定の電流を供給する、システムに対する二次安定化部としての機能を果たす。
【0050】
当業者は、本発明が好ましい実施例に決して制限されないと理解する。例えば、いくつかの導電性経糸及び/又は緯糸は、単一の導電性経糸及び/又は緯糸として図示される添付の図面及び上記説明にあることに対応して機能するため、互いに隣接して設けられ得る。このバンドリングは、伝導性の糸(糸束)の導電率及び/又は耐久性を向上させ得る。更に、下部及び上部経糸層の導電性経糸は、緯糸方向に並進され得るか、又は一致され得る。更に、上記の電子装置構成は、LED、抵抗及びトランジスタを含むが、これらの部品がいくつかの他の種類の部品及び装置で置き換えられ得るか、又は補われ得ることは、当業者により直ちに理解される。例えば、LEDは、センサ、通信装置、他の照明装置等と置き換えられ得るか、又は補われ得、上記の電流安定化回路に含まれる抵抗及びトランジスタは、他の部品、例えば追加のトランジスタ、ダイオード等と置き換えられ得るか、又は補われ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織り交ぜられた導電性糸及び非導電性糸から形成される、電子装置の接続を可能にする織物であって、
導電性経糸の上部配列を含む上部経糸層、
導電性経糸の下部配列を含む下部経糸層、及び
前記上部経糸層と前記下部経糸層との間に配置された中間経糸層
を含む多層経糸と、
導電性緯糸及び非導電性緯糸を含む緯糸とを含み、
導電性緯糸の第1セットは、電気的接触が間で達成されるように、導電性経糸の前記上部配列と交差し、
導電性緯糸の第2セットは、電気的接触が間で達成されるように、導電性経糸の前記下部配列と交差し、
導電性緯糸の前記第2セットは、選択されたループ位置において、前記上部経糸層及び前記中間経糸層の非導電性経糸の周りでループを形成し、
前記ループの各々は、導電性経糸の前記上部配列からの導電性経糸、及び導電性緯糸の前記第1セットからの導電性緯糸のうちの1つに設けられる、第1上部層接続点と第2上部層接続点との間の電子装置の接続を可能にする第1上部層接続点を提供する、織物。
【請求項2】
導電性緯糸の前記第1セットが、選択されたループ位置において、前記下部経糸層及び中間経糸層の非導電性経糸の周りにループを形成し、
前記ループの各々は、導電性経糸の前記下部配列からの導電性経糸、及び導電性緯糸の前記第2セットからの導電性緯糸のうちの1つに設けられる、第1下層接続点と第2下層接続点との間の電子装置の接続を可能にする第1下層接続点を提供する、請求項1に記載の織物。
【請求項3】
導電性経糸の前記上部配列の前記導電性糸の各々と導電性緯糸の前記第1セットとの間に電気的接触が達成され、その結果、複数の上部格子要素を含む上部導電性格子が形成され、
導電性経糸の前記下部配列の前記導電性糸の各々と導電性緯糸の前記第2セットとの間に、電気的接触が達成され、その結果、複数の下部格子要素を含む下部導電性格子が形成され、
前記ループ位置は、前記ループが、前記上部格子及び下部格子のうちの少なくとも一つの各格子要素に対して前記上部導電性格子と前記下部導電性格子との間の電子装置の接続を可能にするように選択される、請求項1又は2に記載の織物。
【請求項4】
少なくとも前記下部経糸層は、導電性経糸の複数の下部配列を含み、
前記導電性緯糸は、複数のセットに分割され、電気的接触が間で達成されるように、導電性経糸の前記下部配列の各々は、前記複数のセットから導電性緯糸の対応するセットによって交差される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の織物。
【請求項5】
前記ループの少なくとも一部は、前記上部層においてより、前記中間層において、多くの非導電性経糸の周りに、各々形成される、請求項1に記載の織物。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の織物と、
複数の電子装置とを含み、各々が前記第1接続点及び第2接続点に接続される、電子織物。
【請求項7】
前記電子装置の各々が、発光ダイオードを含む、請求項6に記載の電子織物。
【請求項8】
前記電子装置の各々は、異なる特徴を有する異なる発光ダイオードを補償するための安定化回路を更に含む、請求項7に記載の電子織物。
【請求項9】
前記安定化回路が抵抗を含む、請求項8に記載の電子織物。
【請求項10】
前記安定化回路が、少なくとも一つのトランジスタを含む、請求項8又は9に記載の電子織物。
【請求項1】
織り交ぜられた導電性糸及び非導電性糸から形成される、電子装置の接続を可能にする織物であって、
導電性経糸の上部配列を含む上部経糸層、
導電性経糸の下部配列を含む下部経糸層、及び
前記上部経糸層と前記下部経糸層との間に配置された中間経糸層
を含む多層経糸と、
導電性緯糸及び非導電性緯糸を含む緯糸とを含み、
導電性緯糸の第1セットは、電気的接触が間で達成されるように、導電性経糸の前記上部配列と交差し、
導電性緯糸の第2セットは、電気的接触が間で達成されるように、導電性経糸の前記下部配列と交差し、
導電性緯糸の前記第2セットは、選択されたループ位置において、前記上部経糸層及び前記中間経糸層の非導電性経糸の周りでループを形成し、
前記ループの各々は、導電性経糸の前記上部配列からの導電性経糸、及び導電性緯糸の前記第1セットからの導電性緯糸のうちの1つに設けられる、第1上部層接続点と第2上部層接続点との間の電子装置の接続を可能にする第1上部層接続点を提供する、織物。
【請求項2】
導電性緯糸の前記第1セットが、選択されたループ位置において、前記下部経糸層及び中間経糸層の非導電性経糸の周りにループを形成し、
前記ループの各々は、導電性経糸の前記下部配列からの導電性経糸、及び導電性緯糸の前記第2セットからの導電性緯糸のうちの1つに設けられる、第1下層接続点と第2下層接続点との間の電子装置の接続を可能にする第1下層接続点を提供する、請求項1に記載の織物。
【請求項3】
導電性経糸の前記上部配列の前記導電性糸の各々と導電性緯糸の前記第1セットとの間に電気的接触が達成され、その結果、複数の上部格子要素を含む上部導電性格子が形成され、
導電性経糸の前記下部配列の前記導電性糸の各々と導電性緯糸の前記第2セットとの間に、電気的接触が達成され、その結果、複数の下部格子要素を含む下部導電性格子が形成され、
前記ループ位置は、前記ループが、前記上部格子及び下部格子のうちの少なくとも一つの各格子要素に対して前記上部導電性格子と前記下部導電性格子との間の電子装置の接続を可能にするように選択される、請求項1又は2に記載の織物。
【請求項4】
少なくとも前記下部経糸層は、導電性経糸の複数の下部配列を含み、
前記導電性緯糸は、複数のセットに分割され、電気的接触が間で達成されるように、導電性経糸の前記下部配列の各々は、前記複数のセットから導電性緯糸の対応するセットによって交差される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の織物。
【請求項5】
前記ループの少なくとも一部は、前記上部層においてより、前記中間層において、多くの非導電性経糸の周りに、各々形成される、請求項1に記載の織物。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の織物と、
複数の電子装置とを含み、各々が前記第1接続点及び第2接続点に接続される、電子織物。
【請求項7】
前記電子装置の各々が、発光ダイオードを含む、請求項6に記載の電子織物。
【請求項8】
前記電子装置の各々は、異なる特徴を有する異なる発光ダイオードを補償するための安定化回路を更に含む、請求項7に記載の電子織物。
【請求項9】
前記安定化回路が抵抗を含む、請求項8に記載の電子織物。
【請求項10】
前記安定化回路が、少なくとも一つのトランジスタを含む、請求項8又は9に記載の電子織物。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【公表番号】特表2010−510393(P2010−510393A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531943(P2009−531943)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054013
【国際公開番号】WO2008/044167
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054013
【国際公開番号】WO2008/044167
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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