説明

電子装置

【課題】オン駆動用スイッチング素子がオン故障等した場合であっても、スイッチング素子の熱破壊を防止することができる電子装置を提供する。
【解決手段】オン駆動用抵抗121b、121dとオフ駆動用抵抗122b、122dの抵抗値は、オン駆動用FET121aとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121cとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン電圧が増加するオン、オフの閾値電圧付近の所定範囲外であって、オン、オフの閾値電圧より低くなるように設定されている。そのため、オン駆動用FET121a、121cのいずれかがオン故障等したときにオフ駆動用FET122a、122cがオンしても、オン電圧が増加してIGBT110dの発熱が増大することなく、IGBT110dをオフすることができる。従って、IGBT110dの熱破壊を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子と、駆動回路とを備えた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング素子と、駆動回路とを備えた電子装置として、例えば特許文献1に開示されている電力変換器がある。
【0003】
この電力変換器は、IGBTと、3つのMOSFETと、制御回路とを備えている。第1のMOSFETのソースは駆動回路電源に、ドレインはIGBTのゲートに、ゲートは制御回路にそれぞれ接続されている。第2及び第3のMOSFETのソースはIGBTのエミッタに、ドレインはIGBTのゲートに、ゲートは制御回路にそれぞれ接続されている。
【0004】
制御回路は、外部から入力される駆動信号に基づいて3つのMOSFETを制御してIGBTを駆動する。駆動信号がIGBTのオンを指示すると、制御回路は、第1のMOSFETをオンするとともに、第2のMOSFETをオフする。これにより、駆動回路電源からIGBTのゲートに電荷が充電される。その結果、ゲート電圧がオン、オフの閾値電圧より高くなり、IGBTがオンする。
【0005】
一方、駆動信号がIGBTのオフを指示すると、制御回路は、第1のMOSFETをオフするとともに、第2のMOSFETをオンする。これにより、IGBTのゲートから電荷が放電される。その結果、ゲート電圧がオン、オフの閾値電圧より低くなり、IGBTがオフする。そして、ゲート電圧が所定値以下になると、制御回路は、第3のMOSFETをオンする。これにより、IGBTのゲートから電荷がさらに放電され、IGBTのオフ状態が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3430878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述した電力変換器において、第1のMOSFETがオン故障や、誤動作によってオンしたときに第2のMOSFETがオンすると、IGBTのゲート電圧が低下せず、IGBTをオフできない異常状態が発生する。このとき、IGBTのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧付近の所定範囲内の電圧であると、コレクタ−エミッタ間電圧、つまりオン電圧が増加し、IGBTの発熱が増大する。このような異常状態が継続すると、IGBTが発熱し熱破壊する可能性がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、第1のMOSFETに相当するオン駆動用スイッチング素子がオン故障等した場合であっても、IGBTに相当するスイッチング素子の熱破壊を防止することができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、この課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、オン駆動用スイッチング素子とオフ駆動用スイッチング素子をそれぞれ複数設けるとともに、オン駆動用抵抗とオフ駆動用抵抗の抵抗値を調整することで、オン駆動用スイッチング素子がオン故障等した場合であっても、スイッチング素子のオン電圧の増加を抑え、スイッチング素子の熱破壊を防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の電子装置は、制御端子の電圧を制御することで駆動される第1スイッチング素子と、第1スイッチング素子を駆動するための電圧を供給する駆動用電源回路と、一端が駆動用電源回路の正極端子に、他端がオン駆動用抵抗を介して第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで第1スイッチング素子の制御端子にオン駆動用抵抗を介して電荷を充電する複数のオン駆動用スイッチング素子と、一端が駆動用電源回路の負極端子に、他端がオフ駆動用抵抗を介して第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで第1スイッチング素子の制御端子からオフ駆動用抵抗を介して電荷を放電する複数のオフ駆動用スイッチング素子と、入力される駆動信号に基づいてオン駆動用スイッチング素子とオフ駆動用スイッチング素子を制御することで、第1スイッチング素子の制御端子の電圧を制御して第1スイッチング素子を駆動する制御回路と、を備えた電子装置において、オン駆動用スイッチング素子とオフ駆動用スイッチング素子がともにオンした場合に、第1スイッチング素子の制御端子の電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む所定範囲内の電圧とならないように、オン駆動用抵抗とオフ駆動用抵抗の抵抗値が設定されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、オン駆動用スイッチング素子がオン故障や、誤動作によってオンしたときにオフ駆動用スイッチング素子がオンすると、駆動用電源回路の正負極端子間に、オン故障や、誤動作によってオンしたオン駆動用スイッチング素子に接続されたオン駆動用抵抗と、複数のオフ駆動用スイッチング素子に接続されたオフ駆動用抵抗が、直列接続されることになる。そのため、第1スイッチング素子の制御端子には、駆動用電源回路の出力電圧を、これらオン駆動用抵抗とオフ駆動用抵抗で分圧した電圧が供給される。しかし、オン駆動用抵抗とオフ駆動用抵抗の抵抗値は、オン駆動用スイッチング素子とオフ駆動用スイッチング素子がともにオンした場合に、第1スイッチング素子の制御端子の電圧が、オン電圧が増加するオン、オフの閾値電圧付近の所定範囲内の電圧とならないように設定されている。そのため、オン駆動用スイッチング素子とオフ駆動用スイッチング素子がともにオンしても、オン電圧が増加して第1スイッチング素子の発熱が増大することはない。従って、第1スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
【0012】
請求項2に記載の電子装置は、オン駆動用スイッチング素子とオフ駆動用スイッチング素子がともにオンした場合に、第1スイッチング素子の制御端子の電圧が、オン、オフの閾値電圧より低くなるように、オン駆動用抵抗とオフ駆動用抵抗の抵抗値が設定されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、オン駆動用スイッチング素子がオン故障や、誤動作によってオンしたときにオフ駆動用スイッチング素子がオンしても、第1スイッチング素子をオフすることができる。そのため、第1スイッチング素子の熱破壊を確実に防止することができる。
【0014】
請求項3に記載の電子装置は、制御端子の電圧を制御することで駆動され、第1スイッチング素子に直列接続される第2スイッチング素子と、入力される駆動信号に基づいて第2スイッチング素子の制御端子の電圧を制御して第2スイッチング素子を駆動するとともに、第2スイッチング素子に異常電流が流れたとき、第2スイッチング素子をオフする駆動回路と、を有し、オン駆動用スイッチング素子とオフ駆動用スイッチング素子がともにオンした場合に、第1スイッチング素子の制御端子の電圧が、オン、オフの閾値電圧より高くなるように、オン駆動用抵抗とオフ駆動用抵抗の抵抗値が設定されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、オン駆動用スイッチング素子がオン故障や、誤動作によってオンしたときに、第2スイッチング素子がオンすると、第1及び第2スイッチング素子がともにオン状態となり、第1及び第2スイッチング素子に異常電流が流れる。第2スイッチング素子に異常電流が流れると、駆動回路が、第2スイッチング素子をオフする。そのため、第1スイッチング素子に流れる異常電流を遮断することができる。従って、第1スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
【0016】
請求項4に記載の電子装置は、一端が駆動用電源回路の負極端子に、他端が遮断用抵抗を介して第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで第1スイッチング素子の制御端子から電荷を放電する遮断用スイッチング素子を有し、制御回路は、第1スイッチング素子に異常電流が流れたとき、オフ駆動用スイッチング素子に代わって遮断用スイッチング素子を制御して第1スイッチング素子をオフし、オン駆動用スイッチング素子と遮断用スイッチング素子がともにオンした場合に、第1スイッチング素子の制御端子の電圧がオン、オフの閾値電圧より低くなるように、オン駆動用抵抗と遮断用抵抗の抵抗値が設定されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、オン駆動用スイッチング素子がオン故障や、誤動作によってオンしたときに、遮断用スイッチング素子がオンすると、駆動用電源回路の正負極端子間に、オン故障や、誤動作によってオンしたオン駆動用スイッチング素子に接続されたオン駆動用抵抗と遮断用抵抗が直列接続されることになる。そのため、第1スイッチング素子の制御端子には、駆動用電源回路の出力電圧を、これらオン駆動用抵抗と遮断用抵抗で分圧した電圧が供給される。しかし、オン駆動用抵抗と遮断用抵抗の抵抗値は、オン駆動用スイッチング素子と遮断用スイッチング素子がともにオンした場合に、第1スイッチング素子の制御端子の電圧が、オン、オフの閾値電圧より低くなるように設定されている。そのため、オン駆動用スイッチング素子がオン故障や、誤動作によってオンしたときに遮断用スイッチング素子がオンしても、第1スイッチング素子をオフすることができる。従って、第1スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
【0018】
請求項5に記載の電子装置は、制御回路は、第1スイッチング素子の制御端子の電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む所定範囲内の電圧となったとき、異常信号を外部に出力することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、第1スイッチング素子の制御端子の電圧が、オン電圧が増加するオン、オフの閾値電圧付近の所定範囲内の電圧になったことを外部に知らせることができる。つまり、第1スイッチング素子の熱破壊の可能性があることを外部に知らせることができる。
【0020】
なお、第1及び第2スイッチング素子は、スイッチング素子を区別するために便宜的に導入したものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態におけるモータ制御装置の回路図である。
【図2】図1における制御装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、本発明に係る電子装置を、車両に搭載され、車両駆動用モータを制御するモータ制御装置に適用した例を示す。
【0023】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して第1実施形態のモータ制御装置の構成について説明する。ここで、図1は、第1実施形態におけるモータ制御装置の回路図である。
【0024】
図1に示すモータ制御装置1(電子装置)は、車体から絶縁された高電圧バッテリB1の出力する直流高電圧(例えば288V)を3相交流電圧に変換して車両駆動用モータM1に供給し、車両駆動用モータM1を制御する装置である。モータ制御装置1は、平滑コンデンサ10と、インバータ装置11と、制御装置12とを備えている。
【0025】
平滑コンデンサ10は、高電圧バッテリB1の直流高電圧を平滑化するための素子である。平滑コンデンサ10の一端は、高電圧バッテリB1の正極端子に接続されている。また、他端は、高電圧バッテリB1の負極端子に接続されている。さらに、高電圧バッテリB1の負極端子は、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続されている。
【0026】
インバータ装置11は、平滑コンデンサ10によって平滑化された直流電圧を3相交流電圧に変換して車両駆動用モータM1に供給する装置である。インバータ装置11は、IGBT110a〜110fと、電流センス抵抗111a〜111fとを備えている。
【0027】
IGBT110a〜110fは、ゲート(制御端子)の電圧を制御することで駆動され、オン、オフすることで平滑コンデンサ10に平滑化された直流電圧を3相交流電圧に変換するためのスイッチング素子である。IGBT110a〜110fは、コレクタ電流に比例し、コレクタ電流より小さい電流が流れる電流センス端子を備えている。IGBT110a(第2スイッチング素子)、110d(第1スイッチング素子)、IGBT110b、110e及びIGBT110c、110fはそれぞれ直列接続されている。具体的には、IGBT110a〜110cのエミッタが、IGBT110d〜110fのコレクタにそれぞれ接続されている。直列接続された3組のIGBT110a、110d、IGBT110b、110e及びIGBT110c、110fは並列接続されている。IGBT110a〜110cのコレクタは平滑コンデンサ10の一端に、IGBT110d〜110fのエミッタは平滑コンデンサ10の他端にそれぞれ接続されている。また、IGBT110a〜110fのゲートとエミッタは制御装置12にそれぞれ接続されている。さらに、直列接続されたIGBT110a、110d、IGBT110b、110e及びIGBT110c、110fの直列接続点は、車両駆動用モータM1にそれぞれ接続されている。
【0028】
電流センス抵抗111a〜111fは、IGBT110a〜110fに流れる電流を電圧に変換するための素子である。具体的には、電流センス端子に流れる電流を電圧に変換する素子である。電流センス抵抗111a〜111fの一端はIGBT110a〜110fの電流センス端子に、他端はIGBT110a〜110fのエミッタにそれぞれ接続されている。また、電流センス抵抗111a〜111fの両端は、制御装置12にそれぞれ接続されている。
【0029】
制御装置12は、IGBT110a〜110fを制御する装置である。制御装置12は、IGBT110a〜110fのゲートとエミッタにそれぞれ接続されている。また、IGBT110a〜110fに流れる電流を検出するため、電流センス抵抗111a〜111fの両端にそれぞれ接続されている。
【0030】
次に、図2を参照して制御装置について詳細に説明する。ここで、図2は、図1における制御装置の回路図である。具体的には、1つのIGBTに対する回路部分を示す回路図である。
【0031】
図2に示すように、制御装置12は、IGBT110dに対して、駆動用電源回路120と、オン駆動用回路121と、オフ駆動用回路122と、オフ保持用回路123と、遮断用回路124と、過電流検出回路126と、短絡検出回路127と、制御回路128とを備えている。制御装置12は、他のIGBT110a〜110c、110e、110fに対しても、それぞれ同様に、駆動用電源回路と、オン駆動用回路と、オフ駆動用回路と、オフ保持用回路と、遮断用回路と、過電流検出回路と、短絡検出回路と、制御回路とを備えている。
【0032】
駆動用電源回路120は、IGBT110dを駆動するための電圧を供給する回路である。駆動用電源回路120は、電源回路(図略)から供給される電圧を安定化して出力する。駆動用電源回路120の入力端子は、電源回路に接続されている。また、正極端子はオン駆動用回路121に接続されている。さらに、負極端子は車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続され、高電圧バッテリ用のグランドを介してIGBT110dのエミッタに接続されている。加えて、制御端子は、制御回路128に接続されている。
【0033】
オン駆動用回路121は、IGBT110dをオンするための回路である。具体的には、IGBT110dのゲートに電荷を充電して、ゲート電圧をオン、オフする閾値電圧より高くし、IGBT110dをオンする回路である。オン駆動回路121は、オン駆動用FET121a、121c(複数のオン駆動用スイッチング素子)と、オン駆動用抵抗121b、121dとを備えている。
【0034】
オン駆動用FET121a、121cは、ゲートの電圧を制御することで駆動され、オンすることでIGBT110dのゲートに電荷を充電するスイッチング素子である。具体的には、PチャネルMOSFETである。オン駆動用FET121a、121cのソース(一端)は、駆動用電源回路120の正極端子に接続されている。また、ドレイン(他端)は、オン駆動用抵抗121b、121dを介してIGBT110dのゲートに接続されている。さらに、ゲートは、制御回路128に接続されている。
【0035】
オフ駆動用回路122は、IGBT110dをオフするための回路である。具体的には、IGBT110dのゲートから電荷を放電して、ゲート電圧をオン、オフする閾値電圧より低くし、IGBT110dをオフする回路である。オフ駆動用回路122は、オフ駆動用FET122a、122c(複数のオフ駆動用スイッチング素子)と、オフ駆動用抵抗122b、122dとを備えている。
【0036】
オフ駆動用FET122a、122cは、ゲートの電圧を制御することで駆動され、オンすることでIGBT110dのゲートから電荷を放電するスイッチング素子である。具体的には、NチャネルMOSFETである。オフ駆動用FET122a、122cのソース(一端)は、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続され、高電圧バッテリ用のグランドを介して駆動用電源回路120の負極端子とIGBT110dのエミッタに接続されている。また、ドレイン(他端)は、オフ駆動用抵抗122b、122dを介してIGBT110dのゲートに接続されている。さらに、ゲートは、制御回路128に接続されている。
【0037】
オフ保持用回路123は、IGBT110dのオフ状態を保持する回路である。具体的には、IGBT110dのゲート電圧がオン、オフの閾値電圧より低いオフ保持閾値以下になると、オフ駆動用回路122に比べ速やかにIGBT110dのゲートから電荷を放電して、ゲート電圧をオン、オフする閾値電圧より低くし、IGBT110dのオフ状態を保持する回路である。オフ保持用回路123は、オフ保持用FET123aと、ゲート抵抗123bとを備えている。
【0038】
オフ保持用FET123aは、ゲートの電圧を制御することで駆動され、オンすることでIGBT110dのゲートから電荷を放電するスイッチング素子である。具体的には、NチャネルMOSFETである。オフ保持用FET123aのソースは、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続され、高電圧バッテリ用のグランドを介して駆動用電源回路120の負極端子とIGBT110dのエミッタに接続されている。また、ドレインは、IGBT110dのゲートに接続されている。さらに、ゲートは、ゲート抵抗123bを介して制御回路128に接続されている。
【0039】
遮断用回路124は、IGBT110dに異常電流が流れたとき、IGBT110dをオフする回路である。具体的には、IGBT110dに過電流又は短絡電流(異常電流)が流れたとき、オフ駆動用回路122に比べ緩やかにIGBT110dのゲートから電荷を放電して、ゲート電圧をオン、オフする閾値電圧より低くし、IGBT110dのオフする回路である。遮断用回路124は、遮断用FET124a(遮断用スイッチング素子)と、遮断用抵抗124bとを備えている。
【0040】
遮断用FET124aは、ゲートの電圧を制御することで駆動され、オンすることでIGBT110dのゲートから電荷を放電するスイッチング素子である。具体的には、NチャネルMOSFETである。遮断用FET124aのソース(一端)は、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続され、高電圧バッテリ用のグランドを介して駆動用電源回路120の負極端子とIGBT110dのエミッタに接続されている。また、ドレイン(他端)は、遮断用抵抗124bを介してIGBT110dのゲートに接続されている。さらに、ゲートは、制御回路128に接続されている。
【0041】
ここで、オン駆動用抵抗121b、121dとオフ駆動用抵抗122b、122dの抵抗値は、オン駆動用FET121aとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121cとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む所定範囲外であって、オン、オフの閾値電圧より低くなるように設定されている。具体的には、オン電圧が増加するオン、オフの閾値電圧付近の所定範囲外であって、オン、オフの閾値電圧より低くなるように設定されている。また、オン駆動用抵抗121b、121dと遮断用抵抗124bの抵抗値は、オン駆動用FET121aと遮断用FET124aがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121cと遮断用FET124aがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン電圧が増加するオン、オフの閾値電圧付近の所定範囲外であって、オン、オフの閾値電圧より低くなるように設定されている。
【0042】
過電流検出回路126は、IGBT110dに過電流が流れているか否かを検出する回路である。具体的には、IGBT110dに流れる電流が過電流閾値より大きくなると、IGBT110dに過電流が流れていると判断する回路である。過電流検出回路126の入力端子は、電流センス抵抗111dの一端に接続されている。また、出力端子は、制御回路128に接続されている。
【0043】
短絡検出回路127は、IGBT110dが短絡状態にあるか否かを検出する回路である。具体的には、IGBT110dに流れる電流が、過電流閾値より大きい短絡電流閾値より大きくなると、IGBT110a、110dがともにオンした短絡状態となり、IGBT110dに短絡電流が流れていると判断する回路である。短絡検出回路127の入力端子は、電流センス抵抗111dの一端に接続されている。また、出力端子は、制御回路128に接続されている。
【0044】
制御回路128は、外部から入力される駆動信号に基づいてオン駆動用回路121とオフ駆動用回路122を制御して、IGBT110dを駆動するとともに、IGBT110dのゲート電圧に基づいてオフ保持用回路123を制御して、IGBT110dのオフ状態を保持する回路である。また、IGBT110dに過電流が流れたり、IGBT110dが短絡状態になった場合に、オフ駆動用回路122に代わって遮断用回路124を制御してIGBT110dをオフする回路でもある。さらに、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む所定範囲内の電圧となったとき、IGBT110dが異常状態にあると判断し、異常信号を外部に出力する回路でもある。制御回路128は、オン駆動用FET121a、121c及びオフ駆動用FET122a、122cのゲートにそれぞれ接続されている。また、IGBT110dのゲートに接続されるとともに、ゲート抵抗123bを介してオフ保持用FET123aのゲートに接続されている。さらに、過電流検出回路126及び短絡検出回路127の出力端子、並びに、遮断用FET124aのゲートにそれぞれ接続されている。
【0045】
ここで、駆動用電源回路120、オン駆動用FET120a、オフ駆動用FET122a、遮断用FET124a、過電流検出回路126、短絡検出回路127及び制御回路128は、ICとして一体的に構成されている。
【0046】
次に、図1を参照してモータ制御装置の動作について説明する。車両のイグニッションスイッチ(図略)がオンすると、図1に示すモータ制御装置1が動作を開始する。高電圧バッテリB1の直流高電圧は、平滑コンデンサ10によって平滑化される。制御装置12は、外部から入力される駆動信号に基づいて、インバータ装置11を構成するIGBT110a〜110fを制御する。具体的には、IGBT110a〜110fを所定周期でオン、オフする。インバータ装置11は、平滑コンデンサ10によって平滑化された直流高電圧を3相交流電圧に変換して車両駆動用モータM1に供給する。このようにして、モータ制御装置1が車両駆動用モータM1を制御する。
【0047】
次に、図2を参照してIGBTの駆動動作と、オン駆動用FETがオン故障等した場合の動作について説明する。図2に示すように、制御回路128は、外部から入力される駆動信号に基づいてオン駆動用FET121a、121cとオフ駆動用FET122a、122cを制御してIGBT110dを駆動する。
【0048】
駆動信号がIGBT110dのオンを指示すると、制御回路128は、オン駆動用FET121a、121cをオンするとともに、オフ駆動用FET122a、122cをオフする。これにより、駆動用電源回路120からオン駆動用抵抗121b、121dを介してIGBT110dのゲートに電荷が充電される。その結果、ゲート電圧がオン、オフする閾値電圧より高くなり、IGBT110dがオンする。
【0049】
一方、駆動信号がIGBT110dのオフを指示すると、制御回路128は、オン駆動用FET121a、121cをオフするとともに、オフ駆動用FET122a、122cをオンする。これにより、IGBT110dのゲートからオフ駆動用抵抗122b、122dを介して電荷が放電される。その結果、ゲート電圧がオン、オフする閾値電圧より低くなり、IGBT110dがオフする。そして、ゲート電圧がオン、オフする閾値電圧より低いオフ保持閾値以下になると、制御回路128は、オフ保持用FET123aをオンする。これにより、IGBT110dのゲートからオフ保持用FET123aを介して電荷がさらに放電され、IGBT110dのオフ状態が保持される。
【0050】
ところで、IGBT110dに流れる電流が過電流閾値より大きくなると、過電流検出回路126は、IGBT110dに過電流が流れていると判断する。過電流検出回路126が過電流と判断すると、制御回路128は、オフ駆動用FET122a、122cに代わって遮断用FET124aをオンする。これにより、IGBT110dのゲートから遮断抵抗124bを介して電荷が放電される。その結果、ゲート電圧が、オフ駆動回路122に比べ緩やかにオン、オフする閾値電圧より低くなり、IGBT110dがオフする。
【0051】
また、IGBT110dに流れる電流が短絡電流閾値より大きくなると、短絡検出回路127は、IGBT110a、110dがともにオンした短絡状態にあると判断する。短絡検出回路127が短絡状態と判断すると、制御回路128は、過電流と判断した場合と同様に、オフ駆動用FET122a、122cに代わって遮断用FET124aをオンし、IGBT110dをオフする。
【0052】
さらに、オン駆動用FET121a、121cのいずれかがオン故障や、誤動作によってオンしたときにオフ駆動用FET122a、122cがオンすると、駆動用電源回路120の正負極端子間に、オン故障等したオン駆動用FETに接続されるオン駆動用抵抗と、オフ駆動用抵抗122b、122cが直列接続されることになる。具体的には、オン故障等したオン駆動用FETに接続されるオン駆動用抵抗と、並列接続されたオフ駆動用抵抗122b、122dとが、直列接続されることになる。そのため、IGBT110dのゲートには、駆動用電源回路120の出力電圧を、オン故障等したオン駆動用FETに接続されるオン駆動用抵抗と、並列接続されたオフ駆動用抵抗122b、122dで分圧した電圧が供給される。しかし、オン駆動用抵抗121b、121dとオフ駆動用抵抗122b、122dの抵抗値は、オン駆動用FET121aとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121cとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む所定範囲外であって、オン、オフの閾値電圧より低くなるように設定されている。そのため、オン駆動用FET121a、121cのいずれかとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンしても、IGBT110dをオフすることができる。
【0053】
加えて、IGBT110dに異常電流が流れると、制御回路128は、オフ駆動用FET122a、122cに代わって遮断用FET124aをオンする。このとき、オン駆動用FET121a、121cのいずれかがオン故障や、誤動作によってオンすると、駆動用電源回路120の正負極端子間に、オン故障等したオン駆動用FETに接続されるオン駆動用抵抗と、遮断用抵抗124bが直列接続されることになる。そのため、IGBT110dのゲートには、駆動用電源回路120の出力電圧を、オン故障等したオン駆動用FETに接続されるオン駆動用抵抗と、遮断用抵抗124bで分圧した電圧が供給される。しかし、オン駆動用抵抗121b、121dと遮断用抵抗124bの抵抗値は、オン駆動用FET121aと遮断用FET124aがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121cと遮断用FET124aがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧付近の所定範囲外であって、オン、オフの閾値電圧より低くなるように設定されている。そのため、IGBT110dをより確実にオフすることができる。
【0054】
次に、効果について説明する。第1実施形態によれば、オン駆動用抵抗121b、121dとオフ駆動用抵抗122b、122dの抵抗値は、オン駆動用FET121aとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121cとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む所定範囲内の電圧とならないように設定されている。具体的には、オン電圧が増加するオン、オフの閾値電圧付近の所定範囲の電圧とならないように設定されている。そのため、オン駆動用FET121a、121cのいずれかがオン故障や、誤動作によってオンしたときにオフ駆動用FET122a、122cがオンしても、オン電圧が増加してIGBT110dの発熱が増大することはない。従って、IGBT110dの熱破壊を防止することができる。なお、オン駆動用FET121a、121cがオン故障や、誤動作によってともにオンすることも考えられるが、発生確率は極めて低いため、問題になることはない。
【0055】
また、第1実施形態によれば、オン駆動用抵抗121b、121dとオフ駆動用抵抗122b、122dの抵抗値は、オン駆動用FET121aとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121cとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧より低くなるように設定されている。そのため、オン駆動FET121a、121cのいずれかがオン故障や、誤動作によってオンしたときにオフ駆動FET122a、122cがオンしても、IGBT110dをオフすることができる。そのため、IGBT110dの熱破壊を確実に防止することができる。
【0056】
さらに、第1実施形態によれば、オン駆動用抵抗121b、121dと遮断用抵抗124bの抵抗値は、オン駆動用FET121aと遮断用FET124aがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121cと遮断用FET124aがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン電圧が増加するオン、オフの閾値電圧付近の所定範囲外であって、オン、オフの閾値電圧より低くなるように設定されている。そのため、オン駆動用FET121a、121cのいずれかがオン故障や、誤動作によってオンしたときに遮断用FET124aがオンしても、IGBT110dをオフすることができる。従って、IGBT110dの熱破壊を防止することができる。
【0057】
加えて、第1実施形態によれば、制御回路128は、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む前記所定範囲内の電圧となったとき、異常信号を外部に出力する。そのため、IGBT110dが異常状態にあり、熱破壊の可能性があることを外部に知らせることができる。
【0058】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のモータ制御装置について説明する。第2実施形態のモータ制御装置は、第1実施形態のモータ制御装置が、オン駆動用FETとオフ駆動用FETがともにオンした場合、IGBTのゲート電圧がオン、オフの閾値電圧より低くなるように抵抗値を設定してIGBTをオフするのに対して、IGBTのゲート電圧がオン、オフの閾値電圧より高くなるように抵抗値を設定してIGBTをオンするようにしたものである。第2実施形態のモータ制御装置は、オン駆動用抵抗とオフ駆動用抵抗の抵抗値の設定を除いて第1実施形態のモータ制御装置と同一構成である。そのため、図1及び図2を参照して説明する。
【0059】
まず、図2を参照して制御装置について説明する。オン駆動用抵抗121b、121dとオフ駆動用抵抗122b、122dの抵抗値は、オン駆動用FET121aとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121cとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む所定範囲外であって、オン、オフの閾値電圧より高くなるように設定されている。
【0060】
次に、図1及び図2を参照してオン駆動用FETがオン故障等した場合の動作について説明する。図2においてオン駆動用FET121a、121cのいずれかがオン故障や、誤動作によってオンしたときにオフ駆動用FET122a、122cがオンすると、駆動用電源回路120の正負極端子間に、オン故障等したオン駆動用FETに接続されるオン駆動用抵抗と、オフ駆動用抵抗122b、122dが直列接続されることになる。具体的には、オン故障等したオン駆動用FETに接続されるオン駆動用抵抗と、並列接続されたオフ駆動用抵抗122b、122dとが、直列接続されることになる。そのため、IGBT110dのゲートには、駆動用電源回路120の出力電圧を、オン故障したオン駆動用FETに接続されるオン駆動用抵抗と、並列接続されたオフ駆動用抵抗122b、122dで分圧した電圧が供給される。しかし、オン駆動用抵抗121b、121dとオフ駆動用抵抗122b、122dの抵抗値は、オン駆動用FET121aとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121cとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む所定範囲外であって、オン、オフの閾値電圧より高くなるように設定されている。そのため、オン駆動用FET121a、121cのいずれかとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンすると、IGBT110dがオンする。
【0061】
図1において、IGBT110dがオンしたときにIGBT110aがオンすると、直列接続されたIGBT110a、110dがともにオン状態となり、IGBT110a、110dに短絡電流が流れる。IGBT110aに短絡電流が流れると、IGBT110aを制御する制御回路、(駆動回路)が、IGBT110dの場合と同様に、IGBT110aをオフする。そのため、IGBT110dに流れる短絡電流を遮断することができる。
【0062】
次に、効果について説明する。第2実施形態によれば、オン駆動用抵抗121b、121dとオフ駆動用抵抗122b、122dの抵抗値は、オン駆動用FET121aとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121cとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧より高くなるように設定されている。オン駆動用FET121a、121cのいずれかがオン故障や、誤動作によってオンしたときにIGBT110aがオンすると、IGBT110a、110dがともにオン状態となり、IGBT110a、110dに短絡電流が流れる。IGBT110aに短絡電流が流れると、IGBT110aに対する制御回路がIGBT110aをオフする。そのため、IGBT110dに流れる短絡電流を遮断することができる。従って、IGBT110dの熱破壊を防止することができる。なお、オン駆動用FET121a、121cがオン故障や、誤動作によってともにオンすることも考えられるが、発生確率は極めて低いため、問題になることはない。
【0063】
なお、第1及び第2実施形態では、オン駆動用FET121aとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121cとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む所定範囲外の電圧となるように、オン駆動用抵抗121b、121dとオフ駆動用抵抗122b、122dの抵抗値が設定されている例を挙げているが、これに限られるものではない。オン駆動用FET121aとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合、オン駆動用FET121cとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合、及び、オン駆動用FET121a、121cとオフ駆動用FET122a、122cがともにオンした場合に、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む所定範囲外の電圧となるように、オン駆動用抵抗121b、121dとオフ駆動用抵抗122b、122dの抵抗値が設定されていてもよい。また、2つのオン駆動用FETと2つのオフ駆動用FETにおいて、オン駆動用FETとオフ駆動用FETがともにオンする全ての組合せにおいて、IGBT110dのゲート電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む所定範囲外の電圧となるように、オン駆動用抵抗121b、121dとオフ駆動用抵抗122b、122dの抵抗値が設定されていてもよい。
【0064】
また、第1及び第2実施形態では、オン駆動用回路121及びオフ駆動用回路122が、それぞれ2組のFET及び抵抗によって構成されている例を挙げているが、これに限られるものではない。オン駆動用回路及びオフ駆動用回路は、それぞれ3組以上のFET及び抵抗によって構成されていてもよい。抵抗の抵抗値を適切に設定することで、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0065】
1・・・モータ制御装置(電子装置)、10・・・平滑コンデンサ、11・・・インバータ装置、110a・・・IGBT(第2スイッチング素子)、110b、110c、110e、110f・・・IGBT、110d・・・IGBT(第1スイッチング素子)、12・・・制御装置、120・・・駆動用電源回路、121・・・オン駆動用回路、121a、120c・・・オン駆動用FET(オン駆動用スイッチング素子)、121b、120d・・・オン駆動用抵抗、122・・・オフ駆動用回路、122a、122c・・・オフ駆動用FET(オフ駆動用スイッチング素子)、122b、122d・・・オフ駆動用抵抗、123・・・オフ保持用回路、123a・・・オフ保持用FET、123b・・・ゲート抵抗、124・・・遮断用回路、124a・・・遮断用FET(遮断用スイッチング素子)、124b・・・遮断用抵抗、126・・・過電流検出回路、127・・・短絡検出回路、128・・・制御回路、B1・・・高電圧バッテリ、M1・・・車両駆動用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御端子の電圧を制御することで駆動される第1スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子を駆動するための電圧を供給する駆動用電源回路と、
一端が前記駆動用電源回路の正極端子に、他端がオン駆動用抵抗を介して前記第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで前記第1スイッチング素子の制御端子に前記オン駆動用抵抗を介して電荷を充電する複数のオン駆動用スイッチング素子と、
一端が前記駆動用電源回路の負極端子に、他端がオフ駆動用抵抗を介して前記第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで前記第1スイッチング素子の制御端子から前記オフ駆動用抵抗を介して電荷を放電する複数のオフ駆動用スイッチング素子と、
入力される駆動信号に基づいて前記オン駆動用スイッチング素子と前記オフ駆動用スイッチング素子を制御することで、前記第1スイッチング素子の制御端子の電圧を制御して前記第1スイッチング素子を駆動する制御回路と、
を備えた電子装置において、
前記オン駆動用スイッチング素子と前記オフ駆動用スイッチング素子がともにオンした場合に、前記第1スイッチング素子の制御端子の電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む所定範囲内の電圧とならないように、前記オン駆動用抵抗と前記オフ駆動用抵抗の抵抗値が設定されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記オン駆動用スイッチング素子と前記オフ駆動用スイッチング素子がともにオンした場合に、前記第1スイッチング素子の制御端子の電圧が、オン、オフの閾値電圧より低くなるように、前記オン駆動用抵抗と前記オフ駆動用抵抗の抵抗値が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
制御端子の電圧を制御することで駆動され、前記第1スイッチング素子に直列接続される第2スイッチング素子と、
入力される駆動信号に基づいて前記第2スイッチング素子の制御端子の電圧を制御して前記第2スイッチング素子を駆動するとともに、前記第2スイッチング素子に異常電流が流れたとき、前記第2スイッチング素子をオフする駆動回路と、
を有し、
前記オン駆動用スイッチング素子と前記オフ駆動用スイッチング素子がともにオンした場合に、前記第1スイッチング素子の制御端子の電圧が、オン、オフの閾値電圧より高くなるように、前記オン駆動用抵抗と前記オフ駆動用抵抗の抵抗値が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
一端が前記駆動用電源回路の負極端子に、他端が遮断用抵抗を介して前記第1スイッチング素子の制御端子に接続され、オンすることで前記第1スイッチング素子の制御端子から電荷を放電する遮断用スイッチング素子を有し、
前記制御回路は、前記第1スイッチング素子に異常電流が流れたとき、前記オフ駆動用スイッチング素子に代わって前記遮断用スイッチング素子を制御して前記第1スイッチング素子をオフし、
前記オン駆動用スイッチング素子と前記遮断用スイッチング素子がともにオンした場合に、前記第1スイッチング素子の制御端子の電圧がオン、オフの閾値電圧より低くなるように、前記オン駆動用抵抗と前記遮断用抵抗の抵抗値が設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記第1スイッチング素子の制御端子の電圧が、オン、オフの閾値電圧を含む前記所定範囲内の電圧となったとき、異常信号を外部に出力することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−100489(P2012−100489A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247758(P2010−247758)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】