説明

電子装置

【課題】 携帯型情報端末からの画面情報が選択されていないときの画面情報の処理に要する負担を軽減する「電子装置」を提供する。
【解決手段】 本発明の電子装置40は、携帯端末20から提供される画面情報を表示可能であって、携帯端末20との間でターミナルモードとなる接続を確立し(S201)、携帯端末20から画面情報を受信し画面情報を表示する。ユーザによって、電子装置40が保有するメディアが選択されると(S202)、画面情報が選択されたメディアのアプリケーション画面に切替り(S203)、携帯端末20からの画面情報の転送を制限する命令を送信する(S205)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型情報端末が接続されたとき携帯型情報端末のアプリケーションを遠隔操作することができる電子装置に関し、特に、携帯型端末装置から転送される映像データおよび音声データの転送制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどに代表される高機能なポータブル装置の利用が増加している。このようなポータブル装置が車内に持ち込まれたとき、ポータブル装置を車載用電子装置に接続し、車載用電子装置においてポータブル装置のメディアデータなどを利用することが可能になっている。例えば、特許文献1は、車両への携帯を検出すると、自動的にアプリケーションプログラムを起動し、サーバから所定の情報を取得する携帯電話を開示している。特許文献2は、携帯端末装置と車載装置が無線通信で接続される車載システムにおいて、ドライバーにとって適切な情報を適切なタイミングで安全に提供する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−78696号公報
【特許文献2】特開2010−193319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載用電子装置は、USBケーブル等を介してスマートフォンなどの携帯型情報端末が接続されると、携帯型情報端末のアプリケーションを遠隔操作することが可能なターミナルモードに移行する。ターミナルモード中、携帯型情報端末への直接的な入力操作が制限(ロック)され、車載用電子装置からのみ入力操作が可能となる。例えば、携帯型情報端末が保有するナビゲーションやオーディオ再生などのアプリケーションプログラムを車載用電子装置側から起動させることができ、携帯型情報端末は、起動されたアプリケーションに関する映像データおよび音声データを車載用電子装置に転送する。
【0005】
ターミナルモードにおいて、携帯型情報端末から転送される映像データおよび音声データは、デジタルデータであり、特に、映像データのデータ量が非常に大きく、車載用電子装置側は、その処理に多くのUSBおよびCPUバス帯域を必要とする。例えば、800×480の32ビットカラー映像を毎秒10フレーム(10fps)で表示する場合、車載用電子装置におけるUSBバスおよびCPU双方において、120Mbps以上のスループットが必要となる。
【0006】
一方、車載用電子装置は、多くのメディアのソースを管理しており、iPod、HDD(ハードディスクドライブ)、DVDなどによるメディアデータの再生など、携帯型情報端末のアプリケーション以外のソースを選択することが可能である。複数のソースを同時に動作させるだけのCPUバス帯域とCPU処理能力を持っていない車載用電子装置の場合、ソースを排他的に選択し、同時に動作させないようにしている。しかし、ターミナルモードでは、車載用電子装置は、常に映像および音声データを携帯型情報端末から受信し続けており、車載用電子装置が他のメディアソースに移行しても、USB通信におけるデータ受信は並行して行われる。そのため、車載用電子装置の多くのCPUバス帯域が使用され、他のメディアソースの再生において、音切れ、映像途切れなどの影響が発生するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決し、携帯型情報端末からの画面情報が選択されていないときの画面情報の処理に要する負担を軽減する電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子装置は、携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能なものであって、携帯型情報端末との間で接続を確立する接続手段と、前記接続手段を介して前記画面情報を受信する受信手段と、前記画面情報または電子装置が保有するアプリケーションの画面を表示する表示手段と、前記画面情報から電子装置が保有するアプリケーションの画面に切り替えられたとき、携帯型情報端末からの前記画面情報の転送を制限する転送制御手段とを有する電子装置。
【0009】
好ましくは前記転送制御手段は、前記画面情報の転送を停止するための命令を携帯型情報端末に送信する。好ましくは前記転送制御手段は、携帯型情報端末への前記画面情報の更新を要求する更新要求命令の送信を停止する。好ましくは前記転送制御手段は、前記画面情報の映像データのデータサイズを縮小させるためのサイズ変更命令を携帯型情報端末に送信する。好ましくは前記転送制御手段は、前記画面情報の転送を要求する命令を送信する周期を遅延する。好ましくは前記転送制御手段は、前記接続手段を介して携帯型情報端末から割込み発生信号があったとき、前記画面情報の転送を要求する命令を送信する。好ましくは前記割込み発生信号は、目的地までのルート案内時における交差点案内を表示する場合に送信される。好ましくは前記画面情報から電子装置が保有するアプリケーションの画面に切り替えは、電子装置が保有するアプリケーションをユーザが選択したことに応答して生じる。
【0010】
本発明のメディアシステムは、上記の電子装置と、当該電子装置に接続された携帯型情報端末とを有するものであって、携帯型情報端末は、電子装置からの更新要求命令を受信すると、当該更新要求命令に応答して前記画面情報を電子装置に転送する。さらに本発明のメディアシステムは、上記の電子装置と、当該電子装置に接続された携帯型情報端末とを有するものであって、携帯型情報端末は、電子装置からの前記サイズ変更命令を受信すると、当該サイズ変更命令に応答してデータサイズを縮小した映像データを転送する。好ましくは携帯型情報端末は、目的地までのルート案内時における交差点案内情報を表示させるとき、割込み発生信号を電子装置に送信する。
【0011】
本発明に係る転送制御プログラムは、携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能な電子装置が実行するものであって、携帯型情報端末との間で接続を確立するステップと、携帯型情報端末から前記画面情報を受信するステップと、前記画面情報から電子装置が保有するアプリケーションの画面に切り替えられたとき、携帯型情報端末からの前記画面情報の転送を制限するステップとを有する。
【0012】
本発明に係る転送制御方法は、携帯型情報端末と、当該携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能な電子装置とを有するメディアシステムにおける画面情報の転送を制御するものであって、携帯型情報端末と電子装置との間で接続を確立するステップと、携帯型銃砲端末が保有するアプリケーションを電子装置の入力手段を用いて選択するステップと、前記選択されたアプリケーションに関する画面情報を携帯型情報端末から電子装置に転送するステップと、電子装置において転送された画面情報を表示するステップと、電子装置が保有するアプリケーションがユーザ選択されたとき、前記画面情報を選択されたアプリケーションに関する画面に切替えるステップと、アプリケーションのユーザ選択または前記画面情報の切替に応答して、前記画面情報の転送を制限するステップとを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、携帯型情報端末の画面情報が選択されていないときの画面情報の処理に要する負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係るメディアシステムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す車載用電子装置の典型的な構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す携帯型情報端末の典型的な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例に係るターミナルモードの基本動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施例に係る転送制御動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施例に係る転送制御動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施例に係る転送制御動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施例に係る転送制御動作を説明するフローチャートである。
【図9】割込み情報などの2画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。好ましい実施態様では、移動体として自動車を例示し、自動車に電子装置が搭載されそこに携帯型情報端末が接続された例を説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の実施例に係るメディアシステムの構成を示す図である。本実施例のメディアシステム10は、携帯型情報端末20(以下、携帯端末と略す)と、携帯端末20が接続手段30を介して接続された車載用電子装置40(以下、電子装置と略す)とを含んで構成される。ここで、携帯端末20は、ユーザ入力に応答して種々の情報処理を行う情報処理装置、コンピュータ装置などであることができ、その機能が特に制限されるものではなく、例えば、携帯電話機、スマートフォン、携帯型音声再生装置、携帯型映像再生装置、ポータブルの情報処理端末などであることができる。電子装置40は、ユーザ入力に応答して種々の情報処理を行う情報処理装置、コンピュータ装置などであることができ、その機能が特に制限されるものではなく、例えば、ナビゲーション機能、オーディオ機能、ビデオ機能、テレビ機能、ラジオ機能などを含むことができる。電子装置40と携帯端末20とを接続する接続手段30は、有線ケーブルまたは無線信号のいずれであってもよい。例えば、USBケーブル、無線LAN、ブルーツースなどを用いて両機器を接続することができる。
【0017】
本実施例のメディアシステム10では、電子装置40に携帯端末20が接続されたとき、両機器はターミナルモードで動作する。ターミナルモードでは、映像データ、音声データ、制御データ等が機器間で転送され、携帯端末20に表示される画面情報が電子装置40に表示される。また、ターミナルモードでは、携帯端末20への直接的な入力操作が制限され(ロック)され、電子装置40からのみユーザ入力が可能になる。つまり、ユーザは、電子装置40の画面を操作することで、携帯端末20が保有するアプリケーションを遠隔操作することができる。
【0018】
ターミナルモードにおいて、携帯端末20のアプリケーションが起動されたとき、携帯端末20から電子装置40へ転送される画面情報は、映像データおよび音声データを含み、好ましくは、映像データは、RFB(Remote Frame buffer)プロトコルを用いて通信制御され、音声データは、RTP(Real-time Transport Protocol)を用いて通信制御される。また、電子装置40から携帯端末20へ送信される操作情報(タッチパネルの座標情報やキー入力情報)や制御データ、携帯端末20からの割込みに関する情報は、双方向から通信が可能な共通データバスにより接続される。
【0019】
図2(a)は、電子装置40の典型的な構成を示すブロック図である。同図に示すように、電子装置40は、ユーザからの入力を受け取る入力部100、携帯端末20との接続を確立する接続部110、携帯端末20から転送されるデータをDRAM等のバッファメモリに受信等する受信部120、携帯端末20から転送された画面情報等をディスプレイに表示する表示部130、音声を出力する音声出力部140、電子装置40が保有または管理するメディアソース150、各部を制御する制御部160、アプリケーションソフトウエア等を実行するためのプログラムを格納するプログラムメモリ170、音楽、映像、地図などの種々のデータを記憶可能なデータメモリ180、各部を接続するバス190とを備えている。
【0020】
好ましくは、入力部100は、リモコンやカーソルによる入力に加え、ディスプレイへのタッチパネル入力、ハンズフリー通話時のマイクロフォン44を含む。なお、携帯端末イ20を介してのハンズフリー通話時には、車内のスピーカ42から音声が出力される。メディアソース150は、例えば、CD、DVD、HDDなどの記録媒体に記録されたメディアデータの再生、テレビ放送やラジオ放送で受信したメディアデータの出力等を行うもので、所望のメディアソースの選択は、ユーザ入力により行われる。プログラムメモリ170は、携帯端末20との接続を制御するプログラム、ターミナルモードを制御するプログラム、ソースメディア150のアプリケーションを実行するためのプログラムなどを含む。制御部160は、中央処理装置(CPU)またはマイクロコントローラなどの処理装置を含んで構成され、プログラムメモリ170のプログラムを実行することで各部の制御を行う。また、ここには図示しないが、制御部160は、車両の走行に関する情報、例えば、パーキングオンのオフ/オフ情報、車速情報、自車位置情報などを受け取り、この情報に応じた制御を行うことができる。
【0021】
図2(b)は、プログラムメモリ170に含まれるターミナルモード時の転送制御プログラムの機能ブロック図である。転送制御プログラムは、ターミナルモードにおいて、電子装置40に内蔵されるメディアソース150がユーザにより選択されたときに、携帯端末20からの画面情報の転送を制御するものである。転送制御プログラムは、携帯端末20との接続を確認する接続確認部162、携帯端末20から割込み情報が送信されたことを識別する割込み識別部164、表示部130に表示されている画面が携帯端末20から転送された画面情報から電子装置40が内蔵するメディアソース150のアプリケーションのソース画面に切替わったか否かを判定する画面切替判定部166、割込み識別部164および画面切替判定部166の結果を受けて携帯端末20からの画面情報すなわち映像データおよび/または音声データの転送を制御する転送命令部168を有する。
【0022】
図3は、携帯端末の典型的な構成を示すブロック図である。携帯端末20は、ユーザからの入力を受け取る入力部200、電子装置40との接続を確立する接続部210、ディスプレイに種々の画像を表示する表示部220、音声を出力する音声出力部230、外部のサーバとデータ通信をしたり他の携帯電話機との通話を可能にする通信部240、制御部250、携帯端末20が保有するアプリケーション等のプログラムを格納するプログラムメモリ260、音楽、映像、地図などのデータを記憶するデータメモリ270、各部を接続するバス280とを備えている。
【0023】
好ましくはプログラムメモリ260は、電子装置40に接続されときに実行されるターミナルモードを制御するプログラムを含む。ターミナルモードでは、携帯端末20は、表示部220に表示する画面情報を電子装置40に転送し、また、入力部200への入力操作をロックする。また、プログラムメモリ260には、電子装置40から転送制御に関する命令が送信されたとき、当該命令を解読し、命令に応じた処理を実行するプログラムが格納される。さらに、携帯端末20は、割込み画面を発生される場合には、割込み発生信号を電子装置40へ送信するプログラムを備えている。例えば、携帯端末20のナビゲーションプログラムが実行されているとき、携帯端末20は、交差点案内情報の割込み画面を表示させるとき、割込み発生信号を制御データとして電子装置40へ送信する。
【0024】
図4は、本実施例のターミナルモードの基本的な動作を説明するフローチャートである。電子装置40および携帯端末20は、接続部110および210を介して相互に接続されたか否かを確認し(S101)、接続が確認されると、電子装置40および携帯端末20はターミナルモードで動作する(S102)。ターミナルモードへの移行は、画面情報/操作情報の送受が可能となる接続が確認されれば十分であり、本例で言えば、ターミナルモードへの移行には、両機器がUSBケーブルまたは無線LANにより接続されていることが確認されればよい。
【0025】
ターミナルモードに移行すると、電子装置40の表示部120にはメニュー画面が表示され(S103)、電子装置40から遠隔操作が可能なアプリケーションのアイコンなどが表示される。また、車両走行中には、遠隔操作が可能なアプリケーションのアイコンの表示が制限されるようにしてもよい。電子装置40は、入力部100を介してメニュー画面への入力操作(例えば、タッチ入力)が行われたか否かを監視し(S104)、入力が行われた場合には、入力座標またはキー情報等の操作情報が携帯端末20へ送信される(S105)。携帯端末20は、受信した操作情報に基づき該当するアプリケーションを起動する(S106)。アプリケーションが起動されると、携帯端末20は、表示部220に表示する画面情報と同一の画面情報を電子装置40に転送し(S107)、転送された画面情報が電子装置40の表示部120に表示され、音声がスピーカから出力される(S108)。
【0026】
次に、本発明の第1の実施例に係るターミナルモード時の画面情報の転送制御について図5のフローを参照して説明する。携帯端末20および電子装置40がUSBケーブルまたは無線LANなどにより接続されると、接続確認部162は、両機器が接続部110、210を介して接続されたことを認識し、その認識結果を受けて制御部160、250は、両機器をターミナルモードに移行させる(S201)。
【0027】
ターミナルモードにおいて、ユーザが携帯端末20の遠隔操作を行い、携帯端末20が保有する所望のアプリケーションを起動させると、そのアプリケーションに関する画面情報が携帯端末20から電子装置40へ転送される。画面情報は、映像データおよび/または音声データを含み、これらのデータは、好ましくはパケット化されて送信される。映像データや音声データは、受信部120のバッファメモリに一時蓄積され、映像データは、必要な処理を経て表示部130に表示され、音声データもまた必要な処理を経てスピーカ42から出力される。
【0028】
ターミナルモードが継続されている間に、ユーザは、電子装置40が保有するメディアソース150を選択することができる(S202)。例えば、携帯端末20のナビゲーションのアプリケーションから、メディアソース150のHDDに記憶されたオーディオデータの再生のアプリケーションやDVDの映像データの再生のアプリケーションに切り替えることが可能である。このとき、電子装置40は、USBケーブル等の接続手段30を介して携帯端末20に接続されており、携帯端末20からは、ナビゲーションのアプリケーションの画面情報が出力され続け、この画面情報は、受信部120の物理レイヤまたは下位レイヤで受信されるが、これらの画面情報は、その上位レイヤであるアプリケーションデータには利用されない。つまり、携帯端末20からの画面情報は、受信部120のバッファメモリに蓄積され、必要な処理は施されるが、表示部130に表示されない。その代わりに、制御部160は、ユーザによって選択されたメディアソース150のアプリケーションに関する画面(以下、ソース画面という)を表示部130に表示する(S203)。
【0029】
画面切替判定部166は、電子装置40の表示部130が携帯端末20からの画面情報からソース画面に切り替わったか否かを判定する(S204)。画面が切り替わったか否かは、表示部130に表示される画面に含まれる識別情報から直接的に判定を行ってもよいし、あるいは、ユーザがメディアソース150の選択を行ったこと、あるいはメディアソース150のアプリケーションが起動されたことを検出することで判定してもよい。
【0030】
画面切替判定部166によりソース画面への切り替えが判定されると、転送命令部168は、携帯端末20からの画面情報の転送を制御する(S205)。第1の実施例では、転送命令部168は、携帯端末20に対し転送停止命令を制御データとして送信する。携帯端末20は、転送停止命令を接続部210を介して受信すると、選択されているアプリケーションの画面情報(映像データおよび音声データ)の転送を停止する(S206)。
【0031】
上記したように、携帯端末20からの画面情報は、ユーザが電子装置40のメディアソース150のアプリケーションを選択した場合でも、電子装置40で受信され続ける。つまり、制御部160は、メディアソース150のアプリケーションの処理中であっても、携帯端末20からの画面情報の受信および必要な処理に一定の資源を与えなければならない。このため、制御部160は、メディアソース150のアプリケーションに十分な資源を与えることができなくなると、映像データの再生や音声データの再生に一時的に途切れたりする不具合が生じる。これに対し、本実施例では、メディアソース150のアプリケーションがユーザによって選択されると、言い換えれば表示部130が画面情報からソース画面に切り替わると、電子装置40は携帯端末20に対し画面除法の転送を制限する命令(本例では、転送を停止する命令)を送信することで、携帯端末20からの画面情報が制限または停止されるため、制御部160は、画面情報の受信やその処理のために資源を割り当てる必要がなくなり、メディアソース150のアプリケーションの処理に有効に資源を割り当てることができる。
【0032】
また、携帯端末20で実行されているアプリケーションが割込み情報を発生させるものであるとき(S207)、携帯端末20は、割込み発生信号を制御データとして電子装置40へ送信する。割込み情報を発生するものの例として、ナビゲーションのアプリケーションがある。ナビゲーションにおいて、目的地までの探索経路を案内しているとき、自車位置が交差点近傍に接近すると、ナビゲーションは、交差点案内の画面を割込み情報として発生させる。あるいは、携帯端末20に電話着信があった場合にも、割込み情報が発生することがある。
【0033】
携帯端末20が割り込み発生信号を電子装置40へ送信すると、割込み識別部164は、割込み発生信号を識別し(S208)、これが識別されると、転送命令部168は、割込み情報の転送を要求する制御を行う(S209)。すなわち、転送命令部168は、携帯端末20に転送開始命令を制御データとして送信する。携帯端末20は、転送開始命令に応答して割込み情報を電子装置40に送信する。電子装置40は、割込み情報を受信すると、ソース画面の表示中に、割込み情報を表示する(S210)。例えば、表示部130に、DVDの映像が表示されているとき、交差点案内画面が割込み情報として表示される。割込み情報の表示態様は、例えば図9に示すように、ディスプレイ表示画面300を2画面表示とし、一方の画面310にソース画面を表示し、他方の画面320に割込み情報を表示させるようにしてもよい。
【0034】
次に、本発明の第2の実施例に係る転送制御について図6のフローを参照して説明する。図6(a)は、映像データの転送制御を示し、図6(b)は、音声データの転送制御を示している。第2の実施例では、ターミナルモードにおいて、携帯端末20の画面情報を表示部130に表示するとき、転送命令部168は、携帯端末20に対して更新要求の命令を発する。携帯端末20は、更新要求命令を受け取ると、映像フレームを電子装置40に送信する。好ましくは、携帯端末20は、1つの更新要求命令に対して1つの映像フレームを送信し、例えば、転送命令部168は、1秒間に5回の更新要求命令を発し、表示部130は、1秒間に5つの映像フレームを表示する。
【0035】
第1の実施例のときと同様に、ユーザがメディアソース150のアプリケーションを選択すると、画面切替判定部166は、表示部130が画携帯端末20の画面情報からソース画面に切替わったことを判定し、転送命令部168は、画面情報の転送を停止させる(S301)。すなわち、第2の実施例では、転送命令部168は、更新要求命令の送信を停止する。これにより、携帯端末20は、電子装置40からの更新要求命令がないので、映像フレームを送信しない。また、携帯端末20のアプリケーションに割込みが発生した場合には、第1の実施例のときと同様に、携帯端末20から割込み発生信号が制御データとして電子装置40に送信される。割込み識別部164により割込み発生信号が識別されると、転送命令部168は、更新要求命令を携帯端末20へ送信し、携帯端末20は、更新要求命令に応じて割込み映像フレームを電子装置40へ送信する。割込み情報の表示は、例えば、一定時間が継続したときに終了するように取り決めることができる。
【0036】
また、第2の実施例では、音声データに関し、転送命令部168は、画面情報の表示するとき、送信開始命令を携帯端末20に送信する。携帯端末20は、一旦、送信開始命令を受信すると、その後、送信開始命令を受信しなくとも、音声データを送信し続ける。画面切替判定部166によりソース画面への切替が判定されると、転送命令部168は、音声データの転送を停止させるため、送信停止命令を携帯端末20に送信する(S302)。これにより、携帯端末20は、音声データの送信を停止する。また、割込みが発生したと場合には、割込み発生信号が割込み識別部164により識別されると、転送命令部168は、送信開始命令を携帯端末20に送信する。
【0037】
次に、本発明の第3の実施例について図7のフローを参照して説明する。第1、第2の実施例では、ソース画面への切替に応答して画面情報の転送を停止する例を示したが、第3の実施例では、ソース画面への切替に応答して映像フレームのデータサイズを変更させるような転送制御を行う。第1、第2の実施例のときと同様に、ターミナルモードにおいて、携帯端末20の画面情報からソース画面へ切り替わると(S401)、転送命令部168は、サイズ変更要求命令を携帯端末20へ送信する。
【0038】
通常、携帯端末20は、接続される電子装置40の種々のディスプレイサイズに適合できるように、複数の画素サイズからなる映像フレームを生成することができる。転送命令部168は、画面情報を表示部130で表示するときよりも映像フレームの画素数が小さくなるようなサイズ変更要求の命令を送信する。例えば、携帯端末20から送信される映像フレームの画素数が800×480であるとき、これよりもデータサイズが小さくなるようなサイズ変更要求の命令を送信する。携帯端末20は、サイズ変更要求の命令を受け取ると、自身で生成することができる、800×480の映像フレームよりも小さい画素数の映像フレーム、例えば、400×240の映像フレームを電子装置40へ送信する。
【0039】
電子装置40の受信部120は、映像フレームを表示部130で表示するときよりもサイズの小さい映像フレームを受信することになるが、受信データが減少するため、制御部160によるバス帯域を小さくしその負担を減少させることができる。例えば、800×480画素の映像フレームから、400×240の映像フレームになることで、受信するデータ量を、1/4に減少させることができる。さらに、第2の実施例では、ユーザがメディアソース150のアプリケーションを終了させると、転送命令部168は、映像フレームを元のサイズに変更するようなサイズ変更命令を発し、携帯端末20から転送された元のサイズの映像フレームに表示を切り替えるが、この場合、携帯端末20からの映像フレームの受信は継続されているため、制御部160は、即座に映像フレーム(画面情報)を表示部130に表示させることができる。なお、携帯端末20からの画面情報は、メディアソース150が選択されている間に非表示としてもよいが、これ以外にも、図9(b)に示すように、2画面の表示画面300の一方の画面330にソース画面を表示し、他方の画面340に、画面サイズを縮小した携帯端末20からの画面情報を表示させるようにしてもよい。
【0040】
次に、本発明の第4の実施例について図8を参照して説明する。第4の実施例では、携帯端末20の画面情報からソース画面に切り替わるとき、すなわちユーザによってメディアソース150のアプリケーションが選択されたとき、携帯端末20から転送される画面情報(映像フレーム)の周期を遅延させる。図8の上段は、携帯端末20からの画面情報を表示するときのタイミングチャートである。第2の実施例で説明したように、転送命令部168は、携帯端末20に対し一定周期で更新要求命令を送信し、携帯端末20は、更新要求命令に応答して映像フレームを送信する。例えば、転送命令部168は、1秒間に5回の頻度で更新要求命令を携帯端末20に送信する。
【0041】
図8の下段は、メディアソースのアプリケーションが選択されたときの画面情報の転送を表すタイミングチャートである。ユーザがメディアソース150のアプリケーションを選択すると、転送命令部168は、更新要求命令を発する周期または頻度を遅らせる。例えば、図8に示すように、転送命令部168は、1秒間に1回の割合で更新要求命令を発する。これにより、携帯端末20から転送される画面情報の単位時間当たりのデータ量を減少させることができ、制御部160による受信部120への資源の割り当てを低減させることができる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0043】
上記実施異例では、表示部130の画面の切り替えを判定して、携帯端末20からの画面情報の転送を制御する例を示したが、これは一例であって、これと実質的に等価な他の動作をトリガーにして転送制御を開始するようにしてもよい。例えば、ユーザが電子装置40のメディアソース150のアプリケーションを選択したことに応答して、携帯端末20からの画面情報の転送を制御するようにしてもよいし、メディアソース150のアプリケーションが起動されたことに応答して転送制御の命令を発するようにしてもよい。
【0044】
上記各実施例は、それぞれ単独で行われるものであってもよいし、複数の実施例を組み合わせることも可能である。例えば、第3の実施例と第4の実施例を組合せ、画面情報の転送される周期を遅延させかつ画面情報のサイズを減少させることも可能である。また、上記実施例では、携帯端末20と電子装置40との接続にUSBケーブルを利用したが、これ以外の有線ケーブルを用いるものであってもよい。さらに上記実施例で示した電子装置40および携帯端末20が備える機能は一例であって、本発明は、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0045】
10:メディアシステム 20:携帯型情報端末
30:接続手段 40:車載用電子装置
162:接続確認部 164:割込み識別部
166:画面切替判定部 168:転送命令部
300:表示画面 310、330:一方の画面
320、340:他方の画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能な電子装置であって、
携帯型情報端末との間で接続を確立する接続手段と、
前記接続手段を介して前記画面情報を受信する受信手段と、
前記画面情報または電子装置が保有するアプリケーションの画面を表示する表示手段と、
前記画面情報から電子装置が保有するアプリケーションの画面に切り替えられたとき、携帯型情報端末からの前記画面情報の転送を制限する転送制御手段と、
を有する電子装置。
【請求項2】
前記転送制御手段は、前記画面情報の転送を停止するための命令を携帯型情報端末に送信する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記転送制御手段は、携帯型情報端末への前記画面情報の更新を要求する更新要求命令の送信を停止する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記転送制御手段は、前記画面情報の映像データのデータサイズを縮小させるためのサイズ変更命令を携帯型情報端末に送信する、請求項1ないし3いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記転送制御手段は、前記画面情報の転送を要求する命令を送信する周期を遅延する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記転送制御手段は、前記接続手段を介して携帯型情報端末から割込み発生信号があったとき、前記画面情報の転送を要求する命令を送信する、請求項1ないし5いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項7】
前記割込み発生信号は、目的地までのルート案内時における交差点案内を表示する場合に送信される、請求項1ないし6いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項8】
前記画面情報から電子装置が保有するアプリケーションの画面に切り替えは、電子装置が保有するアプリケーションをユーザが選択したことに応答して生じる、請求項1ないし7いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか1つに記載の電子装置と、当該電子装置に接続された携帯型情報端末とを有するメディアシステムであって、
携帯型情報端末は、電子装置からの更新要求命令を受信すると、当該更新要求命令に応答して前記画面情報を電子装置に転送する、メディアシステム。
【請求項10】
請求項1ないし8いずれか1つに記載の電子装置と、当該電子装置に接続された携帯型情報端末とを有するメディアシステムであって、
携帯型情報端末は、電子装置からの前記サイズ変更命令を受信すると、当該サイズ変更命令に応答してデータサイズを縮小した映像データを転送する、メディアシステム。
【請求項11】
携帯型情報端末は、目的地までのルート案内時における交差点案内情報を表示させるとき、割込み発生信号を電子装置に送信する、請求項9または10に記載のメディアシステム。
【請求項12】
携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能な電子装置が実行する転送制御プログラムであって、
携帯型情報端末との間で接続を確立するステップと、
携帯型情報端末から前記画面情報を受信するステップと、
前記画面情報から電子装置が保有するアプリケーションの画面に切り替えられたとき、携帯型情報端末からの前記画面情報の転送を制限するステップと、
を有する転送制御プログラム。
【請求項13】
前記転送を制御するステップは、前記画面情報の転送を停止する命令を携帯型情報端末に送信する、請求項12に記載の転送制御プログラム。
【請求項14】
前記転送を制御するステップは、携帯型情報端末への前記画面情報の更新を要求する更新要求命令の送信を停止する、請求項12に記載の転送制御プログラム。
【請求項15】
前記転送を制御するステップは、前記画面情報の映像データのデータサイズを縮小させるためのサイズ変更命令を携帯型情報端末に送信する、請求項12ないし14いずれか1つに記載の転送制御プログラム。
【請求項16】
前記転送を制御するステップは、前記画面情報の転送を要求する命令を送信する周期を遅延させる、請求項12に記載の転送制御プログラム。
【請求項17】
前記転送を制御するステップは、携帯型情報端末から割込み発生信号があったとき、前記画面情報の転送を要求する命令を送信する、請求項12ないし16いずれか1つに記載の転送制御プログラム。
【請求項18】
携帯型情報端末と、当該携帯型情報端末から提供される画面情報を表示可能な電子装置とを有するメディアシステムにおける画面情報の転送制御方法であって、
携帯型情報端末と電子装置との間で接続を確立するステップと、
携帯型銃砲端末が保有するアプリケーションを電子装置の入力手段を用いて選択するステップと、
前記選択されたアプリケーションに関する画面情報を携帯型情報端末から電子装置に転送するステップと、
電子装置において転送された画面情報を表示するステップと、
電子装置が保有するアプリケーションがユーザ選択されたとき、前記画面情報を選択されたアプリケーションに関する画面に切替えるステップと、
アプリケーションのユーザ選択または前記画面情報の切替に応答して、前記画面情報の転送を制限するステップと、
を有する転送制御方法。
【請求項19】
前記転送を制御するステップは、前記画面情報の転送を停止する命令を携帯型情報端末に送信する、請求項18に記載の転送制御方法。
【請求項20】
前記転送を制御するステップは、携帯型情報端末への前記画面情報の更新を要求する更新要求命令の送信を停止する、請求項18に記載の転送制御方法。
【請求項21】
前記転送を制御するステップは、前記画面情報に関する映像データのデータサイズを縮小させるサイズ変更命令を携帯型情報端末に送信する、請求項18に記載の転送制御方法。
【請求項22】
前記転送を制御するステップは、前記画面情報の転送を要求する命令を送信する周期を遅延させる、請求項18に記載の転送制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−142813(P2012−142813A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84(P2011−84)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】