説明

電子装置

【課題】簡素な構成で、特性に応じてスイッチング素子を適切に制御することができる電子装置を提供する。
【解決手段】制御装置12は、オン駆動用定電流回路121と、電圧制限回路123と、制御回路124と、コントローラ125とを備えている。コントローラ125は、記憶されているIGBT110dの特性情報から電圧制限回路制御情報を求める。制御回路124は、求めた電圧制限回路制御情報に基づいて電圧制限回路123を制御する。そのため、従来のように、2つの電源を用いることなく、オン駆動用定電流回路121と電圧制限回路123によって、IGBT110dのゲート電圧を調整することができる。従って、回路構成を簡素化することができる。また、予め記憶されているIGBT110dの特性情報に基づいて電圧制限回路123を制御する。そのため、特性に応じてIGBT110dを適切に制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子と、駆動回路とを備えた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング素子と、駆動回路とを備えた電子装置として、例えば特許文献1に開示されているゲート駆動回路がある。
【0003】
特許文献1に開示されているゲート駆動回路は、パワースイッチング素子を駆動する回路である。ゲート駆動回路は、第1オン側電源回路と、第2オン側電源回路とを備えている。第1オン側電源回路は、第1オン電源と、第1スイッチとを有している。第2オン側電源回路は、第2オン電源と、第2スイッチと、オン側遅延回路とを有している。第1オン電源の供給する第1オン電圧は、第2オン電源の供給する第2オン電圧より低く設定されている。
【0004】
パワースイッチング素子のオンを指示する信号が入力されると、第1スイッチがオンして、パワースイッチング素子のゲートに、第1オン電源の第1オン電圧が印加される。パワースイッチング素子のオンを指示する信号は、オン側遅延回路によって遅延される。オン側遅延回路によって遅延された信号が入力されると、第2スイッチがオンして、パワースイッチング素子のゲートに、第2オン電源の第2オン電圧が印加される。つまり、パワースイッチング素子のオン動作中には、ゲートに低く設定された第1オン電圧が印加され、パワースイッチング素子が定常状態になると、ゲートに高く設定された第2オン電圧が印加される。
【0005】
パワースイッチング素子のオン動作中に、ゲート電圧を低くすることで、パワースイッチング素子に流れるコレクタ電流を抑えることができる。そのため、異常が発生してパワースイッチング素子をオフする場合であっても、サージ電圧による破損や発熱による破損を抑えることができる。従って、パワースイッチング素子の破損に対する耐量を向上させることができる。また、パワースイッチング素子が定常状態になると、ゲート電圧を高くすることで、パワースイッチング素子の定常損失を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−071956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述したゲート駆動回路は、電圧の異なる2つの電源を備えている。そのため、回路構成が複雑になるという問題があった。
【0008】
また、パワースイッチング素子には、特性のばらつきがある。そのため、パワースイッチング素子を適切に制御するためには、特性に応じてオン側遅延回路の遅延時間、第1オン電源の第1オン電圧及び第2オン電源の第2オン電圧を設定しなければならない。しかし、遅延時間、第1オン電圧及び第2オン電圧は、ハードウェアによって設定されている。そのため、パワースイッチング素子の特性に応じて設定を変更することはできない。従って、特性に応じてパワースイッチング素子を適切に制御することができないという問題があった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、簡素な構成で、特性に応じてスイッチング素子を適切に制御することができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者らは、この課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、定電流回路と電圧制限回路を用いて構成するとともに、コントローラに記憶されたスイッチング素子の特性情報に基づいて電圧制限回路を制御することで、簡素な構成で、特性に応じてスイッチング素子を適切に制御できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の電子装置は、制御端子の電圧を制御することで駆動されるスイッチング素子と、スイッチング素子の制御端子に接続され、スイッチング素子の制御端子に定電流を流し込む定電流回路と、スイッチング素子の制御端子に接続され、スイッチング素子の制御端子の電圧を制限する電圧制限回路と、スイッチング素子のオン、オフを指示するための駆動信号を出力するコントローラと、定電流回路、電圧制限回路及びコントローラに接続され、駆動信号がスイッチング素子のオンを指示すると、定電流回路を制御してスイッチング素子の制御端子に定電流を流し込むとともに、電圧制限回路を制御してスイッチング素子の制御端子の電圧を制限する制御回路と、を備えた電子装置であって、コントローラは、スイッチング素子の特性情報を記憶する記憶部を有し、記憶部に記憶されている特性情報に基づいて電圧制限回路を制御するための電圧制限回路制御情報を求め、制御回路は、電圧制限回路制御情報に基づいて電圧制限回路を制御することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、従来のように、2つの電源を用いることなく、定電流回路と電圧制限回路によって、スイッチング素子の制御端子に印加される電圧を調整することができる。そのため、回路構成を簡素化することができる。また、予め記憶されているスイッチング素子の特性情報に基づいて電圧制限回路を制御することができる。そのため、特性に応じてスイッチング素子を適切に制御することができる。
【0013】
請求項2に記載の電子装置は、特性情報は、スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧であり、電圧制限回路制御情報は、電圧制限回路が制限するオン、オフ閾値電圧より高い制限電圧であり、制御回路は、スイッチング素子の制御端子の電圧が制限電圧に制限されるように電圧制限回路を制御することを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧には、ばらつきがある。オン、オフ閾値電圧がばらつくと、スイッチング素子のオンするタイミングが変化する。そのため、スイッチング素子の発熱が変化する。しかし、オン、オフ閾値電圧に基づいて電圧制限回路の制限電圧を求めることで、スイッチング素子のオン動作中に流れる電流を特性に応じて適切に抑えることができる。そのため、スイッチング素子の発熱を抑えることができる。従って、スイッチング素子の破壊に対する耐量を特性に応じて適切に確保することができる。また、オン、オフ閾値電圧に基づいて電圧制限回路の制限電圧を求めることで、スイッチング素子の定常損失を特性に応じて適切に抑えることもできる。
【0014】
請求項3に記載の電子装置は、コントローラは、スイッチング素子に印加される電圧を検出し、検出結果とスイッチング素子のオン、オフ閾値電圧に基づいて制限電圧を求めることを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子に印加される電圧が変化すると、スイッチング素子に流れる電流が変化する。そのため、スイッチング素子の発熱が変化する。しかし、スイッチング素子に印加される電圧に基づいて電圧制限回路の制限電圧を求めることで、スイッチング素子のオン動作中に流れる電流を特性に応じてより適切に抑えることができる。従って、スイッチング素子の破壊に対する耐量を特性に応じてより適切に確保することができる。また、スイッチング素子の定常損失を特性に応じてより適切に抑えることもできる。
【0015】
請求項4に記載の電子装置は、コントローラは、スイッチング素子の温度を検出し、検出結果とスイッチング素子のオン、オフ閾値電圧に基づいて制限電圧を求めることを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧は、温度によって変化する。しかし、スイッチング素子の温度に基づいて電圧制限回路の制限電圧を求めることで、温度によるオン、オフ閾値電圧の変化の影響を受けることなく、スイッチング素子のオン動作中に流れる電流を特性に応じてより適切に抑えることができる。従って、スイッチング素子の破壊に対する耐量を特性に応じてより適切に確保することができる。また、スイッチング素子の定常損失を特性に応じてより適切に抑えることもできる。
【0016】
請求項5に記載の電子装置は、スイッチング素子は、並列接続された複数の副スイッチング素子からなり、スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧は、複数の副スイッチング素子のそれぞれのオン、オフ閾値電圧のうち、最も低いオン、オフ閾値電圧であることを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子が、並列接続された複数の副スイッチング素子からなる場合であっても、スイッチング素子の破壊に耐量を特性に応じて確保することができる。
【0017】
請求項6に記載の電子装置は、特性情報は、スイッチング素子の端子間容量であり、電圧制限回路制御情報は、電圧制限回路が制限を開始してから解除するまでの制限時間であり、制御回路は、スイッチング素子の制御端子の電圧が制限時間の間制限されるように電圧制限回路を制御することを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子の端子間容量には、ばらつきがある。端子間容量がばらつくと、スイッチング素子の制御端子の電圧の上り方が変化する。そのため、スイッチング素子のオンするタイミングが変化し、それに伴って発熱も変化する。しかし、スイッチング素子の端子間容量に基づいて電圧制限回路の制限時間を求めることで、スイッチング素子のオン動作中に流れる電流を特性に応じて適切に抑えることができる。そのため、スイッチング素子の発熱を抑えることができる。従って、スイッチング素子の破壊に対する耐量を特性に応じて適切に確保することができる。また、端子間容量に基づいて電圧制限回路の制限時間を求めることで、スイッチング素子の定常損失を特性に応じて適切に抑えることもできる。
【0018】
請求項7に記載の電子装置は、コントローラは、スイッチング素子に印加される電圧を検出し、検出結果とスイッチング素子の端子間容量に基づいて制限時間を求めることを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子に印加される電圧が変化すると、スイッチング素子に流れる電流が変化する。そのため、スイッチング素子の発熱が変化する。しかし、スイッチング素子に印加される電圧に基づいて電圧制限回路の制限時間を求めることで、スイッチング素子のオン動作中に流れる電流を特性に応じてより適切に抑えることができる。従って、スイッチング素子の破壊に対する耐量を特性に応じてより適切に確保することができる。また、スイッチング素子の定常損失を特性に応じてより適切に抑えることもできる。
【0019】
請求項8に記載の電子装置は、スイッチング素子は、並列接続された複数の副スイッチング素子からなり、スイッチング素子の端子間容量は、複数の副スイッチング素子のそれぞれの端子間容量を加算した容量であることを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子が、並列接続された複数の副スイッチング素子からなる場合であっても、スイッチング素子の破壊に対する耐量を特性に応じてより適切に確保することができる。また、スイッチング素子の定常損失を特性に応じてより適切に抑えることもできる。
【0020】
請求項9に記載の電子装置は、スイッチング素子は、主スイッチング素子と、主スイッチング素子に流れる電流に比例し、主スイッチング素子に流れる電流より小さい電流が流れる電流検出用スイッチング素子とからなり、特性情報は、スイッチング素子の端子間容量に加え、主スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧と電流検出用スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧であり、コントローラは、スイッチング素子の端子間容量と、主スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧と電流検出用スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧の差に基づいて制限時間を求めることを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子が、主スイッチング素子と電流検出用スイッチング素子とからなる場合であっても、スイッチング素子の破壊に対する耐量を特性に応じてより適切に確保することができる。また、スイッチング素子の定常損失を特性に応じてより適切に抑えることもできる。
【0021】
請求項10に記載の電子装置は、コントローラは、特性情報に基づいて定電流回路を制御するための定電流回路制御情報を求め、制御回路は、定電流回路制御情報に基づいて定電流回路を制御することを特徴とする。この構成によれば、予め記憶されているスイッチング素子の特性情報に基づいて定電流回路を制御することができる。そのため、スイッチング素子に流れる電流を特性に応じて適切に制御することができる。従って、スイッチング素子のサージ電圧を特性に応じて適切に抑えることができる。
【0022】
請求項11に記載の電子装置は、特性情報は、スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧と端子間容量であり、定電流回路制御情報は、スイッチング素子のミラー電圧であり、制御回路は、スイッチング素子の制御端子の電圧がミラー電圧より低いときには、ミラー電圧以上のときよりもスイッチング素子の制御端子に流し込む電流が小さくなるように定電流回路を制御することを特徴とする。ところで、スイッチング素子がオンすると、その直後に、制御端子の電圧が所定時間一定電圧となる。ミラー電圧とは、この一定電圧のことである。この構成によれば、スイッチング素子のサージ電圧は、スイッチング素子の制御端子の電圧がミラー電圧に達するまでの期間に制御端子に流し込む電流によって決まる。ここで、スイッチング素子のミラー電圧は、スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧と端子間容量によって決まる。そのため、スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧と端子間容量から求めたミラー電圧に基づいて、スイッチング素子の制御端子の電圧がミラー電圧より低いときに制御端子に流し込む電流を抑えることで、スイッチング素子のサージ電圧を特性に応じてより適切に抑えることができる。
【0023】
請求項12に記載の電子装置は、コントローラは、スイッチング素子に印加される電圧を検出し、検出結果とスイッチング素子のオン、オフ閾値電圧と端子間容量に基づいてミラー電圧を求めることを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子のミラー電圧は、スイッチング素子に印加される電圧によって変化する。しかし、スイッチング素子に印加される電圧に基づいてミラー電圧を求めることで、印加される電圧によるミラー電圧の変化の影響を受けることなく、スイッチング素子のサージ電圧を特性に応じてより適切に抑えることができる。
【0024】
請求項13に記載の電子装置は、コントローラは、スイッチング素子の温度を検出し、検出結果とスイッチング素子のオン、オフ閾値電圧と端子間容量に基づいてミラー電圧を求めることを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子のミラー電圧は、温度によって変化する。しかし、スイッチング素子の温度に基づいてミラー電圧を求めることで、温度によるミラー電圧の変化の影響を受けることなく、スイッチング素子のサージ電圧を特性に応じてより適切に抑えることができる。
【0025】
請求項14に記載の電子装置は、コントローラは、スイッチング素子に流れる電流を検出し、検出結果とスイッチング素子のオン、オフ閾値電圧と端子間容量に基づいてミラー電圧を求めることを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子のミラー電圧は、スイッチング素子に流れる電流によって変化する。しかし、スイッチング素子に流れる電流に基づいてミラー電圧を求めることで、スイッチング素子に流れる電流によるミラー電圧の変化の影響を受けることなく、スイッチング素子のサージ電圧を特性に応じてより適切に抑えることができる。
【0026】
請求項15に記載の電子装置は、スイッチング素子は、並列接続された複数の副スイッチング素子からなり、スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧は、複数の副スイッチング素子のそれぞれのオン、オフ閾値電圧のうち、最も低いオン、オフ閾値電圧であり、スイッチング素子の端子間容量は、複数の副スイッチング素子のそれぞれの端子間容量を加算した容量であることを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子が、並列接続さえた複数の副スイッチング素子からなる場合であっても、スイッチング素子のサージ電圧を特性に応じてより適切に抑えることができる。
【0027】
請求項16に記載の電子装置は、特性情報は、事前に測定され記憶部に記憶されていることを特徴とする。この構成によれば、スイッチング素子の特性を確実に記憶することができる。そのため、特性に応じてスイッチング素子を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態におけるモータ制御装置の回路図である。
【図2】図1における制御装置の回路図である。
【図3】第1実施形態におけるインバータ装置をなすスイッチング素子の変形形態を示す回路図である。
【図4】第2実施形態における制御装置の回路図である。
【図5】第2実施形態におけるインバータ装置をなすスイッチング素子の変形形態を示す回路図である。
【図6】第3実施形態における制御装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、本発明に係る電子装置を車両に搭載され、車両駆動用モータを制御するモータ制御装置に適用した例を示す。
【0030】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して第1実施形態のモータ制御装置の構成について説明する。ここで、図1は、第1実施形態におけるモータ制御装置の回路図である。
【0031】
図1に示すモータ制御装置1(電子装置)は、車体から絶縁された高電圧バッテリB1の出力する直流高電圧(例えば288V)を3相交流電圧に変換して車両駆動用モータM1に供給し、車両駆動用モータM1を制御する装置である。モータ制御装置1は、平滑コンデンサ10と、インバータ装置11と、制御装置12とを備えている。
【0032】
平滑コンデンサ10は、高電圧バッテリB1の直流高電圧を平滑化するための素子である。平滑コンデンサ10の一端は、高電圧バッテリB1の正極端子に接続されている。また、他端は、高電圧バッテリB1の負極端子に接続されている。さらに、高電圧バッテリB1の負極端子は、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続されている。
【0033】
インバータ装置11は、平滑コンデンサ10によって平滑化された直流電圧を3相交流電圧に変換して車両駆動用モータM1に供給する装置である。インバータ装置11は、IGBT110a〜110f(スイッチング素子)を備えている。
【0034】
IGBT110a〜110fは、ゲート(制御端子)の電圧を制御することで駆動され、オン、オフすることで平滑コンデンサ10に平滑化された直流電圧を3相交流電圧に変換するためのスイッチング素子である。IGBT110a、110d、IGBT110b、110e及びIGBT110c、110fはそれぞれ直列接続されている。具体的には、IGBT110a〜110cのエミッタが、IGBT110d〜110fのコレクタにそれぞれ接続されている。直列接続された3組のIGBT110a、110d、IGBT110b、110e及びIGBT110c、110fは並列接続されている。IGBT110a〜110cのコレクタは平滑コンデンサ10の一端に、IGBT110d〜110fのエミッタは平滑コンデンサ10の他端にそれぞれ接続されている。また、IGBT110a〜110fのゲートとエミッタは制御装置12にそれぞれ接続されている。さらに、直列接続されたIGBT110a、110d、IGBT110b、110e及びIGBT110c、110fの直列接続点は、車両駆動用モータM1にそれぞれ接続されている。
【0035】
制御装置12は、IGBT110a〜110fを制御する装置である。制御装置12は、IGBT110a〜110fのゲートとエミッタにそれぞれ接続されている。
【0036】
次に、図2を参照して制御装置について詳細に説明する。ここで、図2は、図1における制御装置の回路図である。具体的には、1つのIGBTに対する回路部分を示す回路図である。
【0037】
図2に示すように、制御装置12は、IGBT110dに対して、駆動用電源回路120と、オン駆動用定電流回路121(定電流回路)と、オフ駆動用回路122と、電圧制限回路123と、制御回路124と、を備えている。また、IGBT110a〜110fに対して、コントローラ125を備えている。制御装置12は、他のIGBT110a〜110c、110e、110fに対しても、それぞれ同様に、駆動用電源回路と、オン駆動用定電流回路と、オフ駆動用回路と、電圧制限回路と、制御回路とを備えている。
【0038】
駆動用電源回路120は、IGBT110dを駆動するための電圧を供給する回路である。駆動用電源回路120は、電源回路(図略)から供給される電圧を安定化して出力する。駆動用電源回路120の入力端子は、電源回路に接続されている。また、正極端子は、オン駆動用定電流回路121に接続されている。さらに、負極端子は、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続され、高電圧バッテリ用のグランドを介してIGBT110dのエミッタに接続されている。
【0039】
オン駆動用定電流回路121は、IGBT110dをオンするための回路である。具体的には、IGBT110dのゲートに、制御回路124からの指示に基づいて一定の定電流を流し込んで電荷を充電して、ゲート電圧をオン、オフ閾値電圧より高くし、IGBT110dをオンする回路である。オン駆動用定電流回路121は、定電流源121aと、スイッチ121bとを備えている。
【0040】
定電流源121aは、一定の定電流を出力する回路である。定電流源121aの電源端子は、駆動用電源回路120の正極端子に接続されている。また、出力端子は、スイッチ121bに接続されている。
【0041】
スイッチ121bは、制御回路124の指示に基づいて、定電流源121aをIGBT110dのゲートに接続するための素子である。スイッチ121bの一端は、定電流源121aの出力端子に接続されている。また、他端は、IGBT110dのゲートに接続されている。さらに、制御端子は、制御回路124に接続されている。
【0042】
オフ駆動用回路122は、IGBT110dをオフするための回路である。具体的には、IGBT110dのゲートから電荷を放電して、ゲート電圧をオン、オフ閾値電圧より低くし、IGBT110dをオフする回路である。オフ駆動用回路122は、オフ駆動用FET122aと、オフ駆動用抵抗122bとを備えている。
【0043】
オフ駆動用FET122aは、ゲートの電圧を制御することで駆動され、オンすることでIGBT110dのゲートから電荷を放電するスイッチング素子である。具体的には、NチャネルMOSFETである。オフ駆動用FET122aのソースは、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続され、高電圧バッテリ用のグランドを介して駆動用電源回路120の負極端子とIGBT110dのエミッタに接続されている。また、ドレインは、オフ駆動用抵抗122bを介してIGBT110dのゲートに接続されている。さらに、ゲートは、制御回路124に接続されている。
【0044】
電圧制限回路123は、IGBT110dのゲート電圧を制限するための回路である。具体的には、IGBT110dのゲート電圧を、一定の制限時間の間、制御回路124の指示する所定の制限電圧に制限する回路である。電圧制限回路123は、クランプ回路123aと、スイッチ123bとを備えている。
【0045】
クランプ回路123aは、接続した端子の電圧を制御回路124の指示する所定の制限電圧に制限する回路である。クランプ回路123aの一端は、IGBT110dのゲートに接続されている。また、他端は、スイッチ123bに接続されている。さらに、制御端子は、制御回路124に接続されている。
【0046】
スイッチ123bは、制御回路124の指示に基づいて、クランプ回路123aをIGBT110dのゲートに接続するための素子である。スイッチ123bの一端は、クランプ回路123aの他端に接続されている。また、他端は、車体から絶縁された高電圧バッテリ用のグランドに接続され、高電圧バッテリ用のグランドを介して駆動用電源回路120の負極端子とIGBT110dのエミッタに接続されている。さらに、制御端子は、制御回路124に接続されている。
【0047】
制御回路124は、コントローラ125から電圧制限回路制御情報として入力される電圧制限回路123の制限電圧に基づいて、クランプ回路123aを制御する回路である。また、コントローラ125から入力される駆動信号に基づいて、スイッチ121bとオフ駆動用FET122aを制御するとともに、IGBT110dのゲート電圧に基づいて、スイッチ123bを制御する回路でもある。制御回路124は、コントローラ125に接続されている。また、スイッチ121bの制御端子に接続されている。さらに、オフ駆動用FET122aのゲートに接続されている。加えて、IGBT110dのゲートに接続されるとともに、クランプ回路123aとスイッチ123bの制御端子にそれぞれ接続されている。
【0048】
ここで、駆動用電源回路120、オン駆動用定電流回路121、オフ駆動用FET122a、電圧制限回路123及び制御回路124は、ICとして一体的に構成されている。
【0049】
コントローラ125は、外部から入力される指令に基づいてIGBT110dのオン、オフを指示するための駆動信号を生成して出力する回路である。また、記憶されているIGBT110dの特性情報に基づいて、電圧制限回路123を制御するための電圧制限回路制御情報を求め出力する回路でもある。コントローラ125は、メモリ125a(記憶部)と、マイクロコンピュータ125bとを備えている。
【0050】
メモリ125aは、IGBT110dの特性情報を記憶するための素子である。具体的には、不揮発性メモリである。メモリ125aには、モータ制御装置1の組付けが完了した段階で事前に測定されたIGBT110dの特性情報、具体的には、IGBT110dのオン、オフ閾値電圧が記憶されている。
【0051】
マイクロコンピュータ125bは、外部から入力される指令に基づいてIGBT110dのオン、オフを指示するための駆動信号を生成して出力する素子である。また、メモリ125aに記憶されている特性情報に基づいて、電圧制限回路制御情報を求め出力する素子でもある。具体的には、オン、オフ閾値電圧に基づいて、電圧制限回路123が制限するオン、オフ閾値電圧より高い制限電圧を求め、電圧制限回路制御情報として出力する素子である。マイクロコンピュータ125bのバスは、メモリ125bに接続されている。また、駆動信号出力端子は、フォトカプラ126aを介して制御回路124の駆動信号入力端子に接続されている。さらに、制御情報出力端子は、フォトカプラ126bを介して制御回路124の制御情報入力端子に接続されている。
【0052】
次に、図1を参照してモータ制御装置の動作について説明する。車両のイグニッションスイッチ(図略)がオンすると、図1に示すモータ制御装置1が動作を開始する。高電圧バッテリB1の直流高電圧は、平滑コンデンサ10によって平滑化される。制御装置12は、外部から入力される指令に基づいて、インバータ装置11を構成するIGBT110a〜110fを制御する。具体的には、IGBT110a〜110fを所定周期でオン、オフする。インバータ装置11は、平滑コンデンサ10によって平滑化された直流高電圧を3相交流電圧に変換して車両駆動用モータM1に供給する。このようにして、モータ制御装置1が車両駆動用モータM1を制御する。
【0053】
次に、図2を参照してIGBTの駆動動作について説明する。
【0054】
図2に示すマイクロコンピュータ125bは、メモリ125aに記憶されているIGBT110dのオン、オフ閾値電圧に基づいて電圧制限回路123の制限電圧を求め、電圧制限回路制御情報として出力する。また、外部から入力される指令に基づいて駆動信号を生成して出力する。
【0055】
フォトカプラ126bを介して電圧制限回路制御情報が入力されると、制御回路124は、IGBT110dのゲート電圧が、制御情報の制限電圧で制限されるようクランプ回路123aを制御する。そして、フォトカプラ126aを介して入力される駆動信号がIGBT110dのオンを指示すると、制御回路124は、スイッチ121bをオンするとともに、オフ駆動用FET122aをオフして、定電流源121aからIGBT110dのゲートに一定の定電流を流し込む。これにより、IGBT110dのゲートに電荷が充電され、ゲート電圧が上昇する。
【0056】
ゲート電圧が所定の電圧になると、制御回路124は、スイッチ123bをオンし、ゲート電圧の制限を開始する。ゲート電圧が上昇しオン、オフ閾値電圧を超えると、IGBT110dがオンする。IGBT110dがオンしてコレクタ電流が流れるようになると、電圧の上昇が停止し、ゲートの電圧がミラー電圧になる。その後、ゲート電圧がさらに上昇するが、電圧制限回路123によってオン、オフ閾値電圧より高い制限電圧に制限される。制御回路124は、ゲート電圧の制限を開始してから一定の制限時間経過後にスイッチ123bをオフし、電圧の制限を解除する。電圧の制限が解除されると、ゲート電圧が駆動用電源回路120の電圧まで上昇する。
【0057】
つまり、ゲート電圧がオン、オフ閾値電圧を超えてIGBTがオンすると、ゲート電圧が制限電圧に制限され、その後、制限が解除され、ゲート電圧が駆動用電源回路の電圧まで上昇する。そのため、従来と同様に、異常が発生してIGBT110dをオフする場合であっても、サージ電圧による破損や発熱による破損を抑えることができる。従って、IGBT110dの破損に対する耐量を向上させることができる。また、IGBT110dが定常状態になると、ゲート電圧を高くすることで、IGBT110dの定常損失を抑えることができる。
【0058】
一方、フォトカプラ126aを介して入力される駆動信号がIGBT110dのオフを指示すると、制御回路124は、オン駆動用定電流回路121の動作を停止し、オフ駆動用FET122aをオンする。これにより、IGBT110dのゲートからオフ駆動用抵抗122bを介して電荷が放電される。その結果、ゲート電圧がオン、オフ閾値電圧より低くなり、IGBT110dがオフする。
【0059】
次に、効果について説明する。第1実施形態によれば、従来のように、2つの電源を用いることなく、オン駆動用定電流回路121と電圧制限回路123によって、IGBT110dのゲート電圧を調整することができる。そのため、回路構成を簡素化することができる。また、予め記憶されているIGBT110dの特性情報に基づいて電圧制限回路123を制御することができる。そのため、特性に応じてIGBT110dを適切に制御することができる。
【0060】
また、第1実施形態によれば、IGBT110dのオン、オフ閾値電圧には、ばらつきがある。オン、オフ閾値電圧がばらつくと、IGBT110dのオンするタイミングが変化する。そのため、IGBT110dの発熱が変化する。しかし、オン、オフ閾値電圧に基づいて制限電圧を求めることで、IGBT110dのオン動作中に流れるコレクタ電流を特性に応じて適切に抑えることができる。そのため、IGBT110dの発熱を抑えることができる。従って、IGBT110dの破壊に対する耐量を特性に応じて適切に確保することができる。また、オン、オフ閾値電圧に基づいて電圧制限回路123の制限電圧を求めることで、IGBT110dの定常損失を特性に応じて適切に抑えることもできる。
【0061】
さらに、第1実施形態によれば、IGBT110dの特性情報は、事前に測定されメモリ125aに記憶されている。そのため、IGBT110dの特性を確実に記憶することができる。従って、特性に応じてIGBT110dを適切に制御することができる。
【0062】
なお、第1実施形態では、IGBT110dのオン、オフ閾値電圧に基づいて電圧制限回路123の制限電圧を求め、IGBT110dを制御する例を挙げているが、これに限られるものではない。
【0063】
コントローラ125が、IGBT110dに印加される電圧、例えば高電圧バッテリB1の電圧を検出し、検出結果とIGBT110dのオン、オフ閾値電圧に基づいて制限電圧を求め、IGBT110dを制御するようにしてもよい。IGBT110dに印加される電圧が変化すると、IGBT110dに流れるコレクタ電流が変化する。そのため、IGBT110dの発熱が変化する。しかし、IGBT110dに印加される電圧に基づいて電圧制限回路123の制限電圧を求めることで、IGBT110dのオン動作中に流れるコレクタ電流を特性に応じてより適切に抑えることができる。従って、IGBT110dの破壊に対する耐量を特性に応じてより適切に確保することができる。また、IGBT110dの定常損失を特性に応じてより適切に抑えることもできる。
【0064】
また、コントローラ125が、IGBT110dの温度を検出し、検出結果とIGBT110dのオン、オフ閾値電圧に基づいて制限電圧を求め、IGBT110dを制御するようにしてもよい。IGBT110dのオン、オフ閾値電圧は、温度によって変化する。しかし、IGBT110dの温度に基づいて制限電圧を求めることで、温度によるオン、オフ閾値電圧の変化の影響を受けることなく、コレクタ電流を特性に応じてより適切に抑えることができる。従って、IGBT110dの破壊に対する耐量を特性に応じてより適切に確保することができる。また、IGBT110dの定常損失を特性に応じてより適切に抑えることもできる。
【0065】
また、第1実施形態では、図2示すように、オン駆動用定電流回路121、オフ駆動用回路122、電圧制限回路123及び制御回路124によって駆動されるスイッチング素子が、1つのスイッチング素子、IGBT110dである例を挙げているが、これに限られるものではない。
【0066】
駆動されるスイッチング素子は、並列接続された複数の副スイッチング素子によって構成されていてもよい。例えば、図3に示すように、並列接続された2つのIGBT110g、110h(副スイッチング素子)で構成されていてもよい。この場合、IGBT110g、110hのそれぞれのオン、オフ閾値電圧のうち、最も低いオン、オフ閾値電圧をオン、オフ閾値電圧として用い、制限電圧を求めればよい。スイッチング素子が、並列接続された2つのIGBT110g、110hからなる場合であっても、破壊に耐量を特性に応じて確保することができる。並列接続された3つ以上のIGBTからなる場合も同様である。
【0067】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のモータ制御装置について説明する。第2実施形態のモータ制御装置は、第1実施形態のモータ制御装置が、IGBTのオン、オフ閾値電圧に基づいて電圧制限回路の制限電圧を求め、IGBTを制御するのに対して、IGBTのゲート−エミッタ間容量に基づいて電圧制限回路が制限を開始してから解除するまでの制限時間を求め、IGBTを制御するようにしたものである。
【0068】
まず、図4を参照して制御装置の構成と動作について説明する。ここで、図4は、第2実施形態における制御装置の回路図である。
【0069】
図4に示すように、制御装置22は、IGBT210dに対して、駆動用電源回路220と、オン駆動用定電流回路221と、オフ駆動用回路222と、電圧制限回路223と、制御回路224と、コントローラ225とを備えている。IGBT210dは、第1実施形態のIGBT110dに相当する。駆動用電源回路220、オン駆動用定電流回路221及びオフ駆動用回路222は、第1実施形態の駆動用電源回路120、オン駆動用定電流回路121及びオフ駆動用回路122と同一構成である。
【0070】
電圧制限回路223は、IGBT210dのゲート電圧を、制御回路224の指示する所定の制限時間の間、一定の制限電圧に制限する回路である。電圧制限回路223は、クランプ回路223aと、スイッチ223bとを備えている。
【0071】
クランプ回路223aは、接続した端子の電圧を一定の制限電圧に制限する回路である。クランプ回路223aの一端はIGBT210dのゲートに、他端はスイッチ223bにそれぞれ接続されている。
【0072】
スイッチ223bは、制御回路224の指示に基づいて、制御回路224の指示する所定の制限時間の間、クランプ回路223aをIGBT210dのゲートに接続するための素子である。スイッチ223bの一端はクランプ回路223aの他端に、他端は高電圧バッテリ用のグランドを介して駆動用電源回路220の負極端子とIGBT210dのエミッタにそれぞれ接続されている。また、制御端子は、制御回路224に接続されている。
【0073】
制御回路224は、コントローラ225から電圧制限回路制御情報として入力されるIGBT210dのゲート−エミッタ間容量に基づいて、電圧制限回路223の制限時間を求め、IGBT210dのゲート電圧と求めた制限時間に基づいて、スイッチ223bを制御する回路である。また、コントローラ225から入力される駆動信号に基づいて、スイッチ221bとオフ駆動用FET222aを制御する回路でもある。制御回路224は、コントローラ225に接続されている。また、スイッチ221bの制御端子に接続されている。さらに、オフ駆動用FET222aのゲートに接続されている。加えて、IGBT210dのゲートに接続されるとともに、スイッチ223bの制御端子に接続されている。
【0074】
コントローラ225は、外部から入力される指令に基づいて駆動信号を生成して出力するとともに、記憶されているIGBT210dの特性情報に基づいて、電圧制限回路制御情報を求め出力する回路でもある。コントローラ225は、メモリ225a(記憶部)と、マイクロコンピュータ225bとを備えている。
【0075】
メモリ225aは、不揮発性メモリであり、ゲート−エミッタ間容量が記憶されている。
【0076】
マイクロコンピュータ225bは、外部から入力される指令に基づいて駆動信号を生成して出力する素子である。また、メモリ225aに記憶されているゲート−エミッタ間容量に基づいて、電圧制限回路223が制限を開始してから解除するまでの制限時間を求め、電圧制限回路制御情報として出力する素子でもある。マイクロコンピュータ225bのバスは、メモリ225bに接続されている。また、駆動信号出力端子はフォトカプラ225cを介して制御回路224の駆動信号入力端子に、制御情報出力端子はフォトカプラ225dを介して制御回路224の制御情報入力端子にそれぞれ接続されている。
【0077】
次に、図4を参照してIGBTの駆動動作について説明する。ここでは、第1実施形態の制御装置との相違部分について説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0078】
図4に示すマイクロコンピュータ225bは、メモリ225aに記憶されているIGBT210dのゲート−エミッタ間容量に基づいて、電圧制限回路223の制限時間を求め、電圧制限回路制御情報として出力する。また、外部から入力される指令に基づいて駆動信号を生成して出力する。
【0079】
フォトカプラ226aを介して入力される駆動信号がIGBT210dのオンを指示すると、制御回路224は、第1実施形態の場合と同様に、IGBT210dのゲートに一定の定電流を流し込む。これにより、IGBT210dのゲートに電荷が充電され、ゲート電圧が上昇する。
【0080】
ゲート電圧が所定の電圧になると、制御回路224は、スイッチ223bをオンし、ゲート電圧の制限を開始する。その後、ゲート電圧が上昇し、電圧制限回路223によって一定の制限電圧に制限される。制御回路224は、ゲート電圧の制限を開始してから、フォトカプラ226bを介して電圧制限回路制御情報として入力された制限時間が経過すると、スイッチ223bをオフし、電圧の制限を解除する。つまり、ゲート電圧が、電圧制限回路制御情報として入力された制限時間の間制限される。電圧の制限が解除されると、ゲート電圧が駆動用電源回路220の電圧まで上昇する。
【0081】
次に、効果について説明する。第2実施形態によれば、IGBT210dのゲート−エミッタ間容量には、ばらつきがある。ゲート−エミッタ間容量がばらつくと、IGBT210dのゲート電圧の上り方が変化する。そのため、IGBT210dのオンするタイミングが変化し、それに伴って発熱も変化する。しかし、ゲート−エミッタ間容量に基づいて制限時間を求めることで、IGBT210dのオン動作中に流れるコレクタ電流を特性に応じて適切に抑えることができる。そのため、IGBT210dの発熱を抑えることができる。従って、IGBT210dの破壊に対する耐量を特性に応じて適切に確保することができる。また、ゲート−エミッタ間容量に基づいて電圧制限回路223の制限時間を求めることで、IGBT210dの定常損失を特性に応じて適切に抑えることもできる。
【0082】
なお、第2実施形態では、IGBT210dのゲート−エミッタ間容量に基づいて電圧制限回路223の制限時間を求め、IGBT210dを制御する例を挙げているが、これに限られるものではない。
【0083】
コントローラ225が、IGBT210dに印加される電圧、例えば高電圧バッテリの電圧を検出し、検出結果とIGBT210dのゲート−エミッタ間容量に基づいて制限時間を求め、IGBT210dを制御するようにしてもよい。IGBT210dに印加される電圧が変化すると、IGBT210dに流れるコレクタ電流が変化する。そのため、IGBT210dの発熱が変化する。しかし、IGBT210dに印加される電圧に基づいて電圧制限回路223の制限時間を求めることで、IGBT210dのオン動作中に流れるコレクタ電流を特性に応じてより適切に抑えることができる。従って、IGBT210dの破壊に対する耐量を特性に応じてより適切に確保することができる。また、IGBT210dの定常損失を特性に応じてより適切に抑えることもできる。
【0084】
また、第2実施形態では、図4に示すように、オン駆動用定電流回路221、オフ駆動用回路222、電圧制限回路223及び制御回路224によって駆動されるスイッチング素子が、1つのスイッチング素子、IGBT210dである例を挙げているが、これに限られるものではない。
【0085】
駆動されるスイッチング素子は、並列接続された複数の副スイッチング素子によって構成されていてもよい。例えば、前述した図3に示すように、並列接続された2つのIGBT110g、110h(副スイッチング素子)で構成されていてもよい。この場合、並列接続された2つのIGBT110g、110hのそれぞれのゲート−エミッタ間容量を加算した容量を、ゲート−エミッタ間容量として用い、制限時間を求めればよい。スイッチング素子が、並列接続された2つのIGBT110g、110hからなる場合であっても、破壊に対する耐量を特性に応じてより適切に確保することができる。また、定常損失を特性に応じてより適切に抑えることもできる。並列接続された3つ以上のIGBTからなる場合も同様である。
【0086】
さらに、第2実施形態では、図4示すように、オン駆動用定電流回路221、オフ駆動用回路222、電圧制限回路223及び制御回路224によって駆動されるスイッチング素子が、ゲート、コレクタ及びエミッタを備えたIGBT210dである例を挙げているが、これに限られるものではない。
【0087】
駆動されるスイッチング素子は、図5(a)に示すように、ゲート、コレクタ及びエミッタ以外に、コレクタ電流に比例し、コレクタ電流より小さい電流が流れる電流センス端子を備えたIGBT210gであってもよい。IGBT210gは、図5(b)に示すように、等価的に、メインのIGBT210g’(主スイッチング素子)と、IGBT210g’に流れる電流に比例し、IGBT210g’に流れる電流より小さい電流が流れる電流検出用のIGBT210g”(電流検出用スイッチング素子)とからなる。この場合、IGBT210gのゲート−エミッタ間容量に加え、IGBT210g’、210”のオン、オフ閾値電圧を特性情報として用い、コントローラ225が、IGBT210gの端子間容量と、IGBT210g’のオン、オフ閾値電圧とIGBT210g”のオン、オフ閾値電圧の差に基づいて制限時間を求め、IGBT210gを制御するようにしてもよい。IGBT210gが、メインのIGBT210g’と電流検出用のIGBT210g”とからなる場合であっても、IGBT210gの破壊に対する耐量を特性に応じてより適切に確保することができる。また、IGBT210gの定常損失を特性に応じてより適切に抑えることもできる。
【0088】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のモータ制御装置について説明する。第3実施形態のモータ制御装置は、第1実施形態のモータ制御装置が、IGBTのゲートに流し込む定電流が一定であるのに対して、IGBTのオン、オフ閾値電圧とゲート−エミッタ間容量に基づいてミラー電圧を求め、ミラー電圧に基づいてIGBTのゲートに流し込む定電流を制御するようにしたものである。
【0089】
まず、図6を参照して制御装置の構成と動作について説明する。ここで、図6は、第3実施形態における制御装置の回路図である。
【0090】
図6に示すように、制御装置32は、IGBT310dに対して、駆動用電源回路320と、オン駆動用定電流回路321と、オフ駆動用回路322と、電圧制限回路323と、制御回路324と、コントローラ325とを備えている。IGBT310dは、第1実施形態のIGBT110dに相当する。駆動用電源回路320、オフ駆動用回路322及び電圧制限回路323は、第1実施形態の駆動用電源回路120、オフ駆動用回路122及び電圧制限回路123と同一構成である。
【0091】
オン駆動用定電流回路321は、IGBT310dのゲートに、制御回路324からの指示に基づいて、制御回路324の指示する所定の定電流を流し込んで電荷を充電して、ゲート電圧をオン、オフ閾値電圧より高くし、IGBT310dをオンする回路である。オン駆動用定電流回路321は、定電流源321aと、スイッチ321bとを備えている。
【0092】
定電流源321aは、制御回路324の指示する定電流を出力する回路である。定電流源321aの電源端子は駆動用電源回路320の正極端子に、出力端子はスイッチ321bにそれぞれ接続されている。また、制御端子は、制御回路324に接続されている。
【0093】
スイッチ321bは、制御回路324の指示に基づいて、定電流源321aをIGBT310dのゲートに接続するための素子である。スイッチ321bの一端は定電流源321aの出力端子に、他端はIGBT310dのゲートにそれぞれ接続されている。さらに、制御端子は、制御回路324に接続されている。
【0094】
制御回路324は、コントローラ325から電圧制限回路制御情報として入力されるIGBT310dのオン、オフ閾値電圧とゲート−エミッタ間容量に基づいて、IGBT310dのミラー電圧を求め、IGBT310dのゲート電圧が求めたミラー電圧より低いときには、求めたミラー電圧以上のときよりもIGBT310dのゲートに流し込む電流が小さくなるように定電流源321aを制御する回路である。また、コントローラ325から入力される駆動信号に基づいて、スイッチ321bとオフ駆動用FET322aを制御する回路でもある。制御回路324は、コントローラ325に接続されている。また、定電流源321aとスイッチ321bの制御端子にそれぞれ接続されている。さらに、オフ駆動用FET322aのゲートに接続されている。加えて、IGBT310dのゲートに接続されるとともに、クランプ回路323aとスイッチ323bの制御端子にそれぞれ接続されている。
【0095】
コントローラ325は、外部から入力される指令に基づいて駆動信号を生成して出力するとともに、記憶されているIGBT310dの特性情報に基づいて、電圧制限回路制御情報と定電流回路制御情報を求め出力する回路である。コントローラ325は、メモリ325a(記憶部)と、マイクロコンピュータ325bとを備えている。
【0096】
メモリ325aは、不揮発性メモリであり、オン、オフ閾値電圧とゲート−エミッタ間容量が記憶されている。
【0097】
マイクロコンピュータ325bは、外部から入力される指令に基づいて駆動信号を生成して出力する素子である。また、メモリ325aに記憶されているオン、オフ閾値電圧に基づいて、電圧制限回路123が制限する制限電圧を求め、電圧制限回路制御情報として出力する素子である。さらに、メモリ325aに記憶されているオン、オフ閾値電圧とゲート−エミッタ間容量に基づいて、IGBT310dのミラー電圧を求め、定電流回路制御情報として出力する素子でもある。マイクロコンピュータ325bのバスは、メモリ325bに接続されている。また、駆動信号出力端子はフォトカプラ325cを介して制御回路324の駆動信号入力端子に、制御情報出力端子はフォトカプラ325dを介して制御回路324の制御情報入力端子にそれぞれ接続されている。
【0098】
次に、図6を参照してIGBTの駆動動作について説明する。ここでは、第1実施形態の制御装置との相違部分について説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0099】
図6に示すマイクロコンピュータ325bは、メモリ325aに記憶されているIGBT310dのオン、オフ閾値電圧とゲート−エミッタ間容量に基づいて、IGBT310dのミラー電圧を求め、定電流回路制御情報として出力する。フォトカプラ326aを介して入力される駆動信号がIGBT310dのオンを指示すると、制御回路324は、スイッチ321bをオンするとともにオフ駆動用FET322aをオフして、定電流源321aからIGBT310dのゲートに定電流を流し込む。これにより、IGBT310dのゲートに電荷が充電され、ゲート電圧が上昇する。このとき、制御回路324は、フォトカプラ326bを介して定電流回路制御情報として入力されるミラー電圧に基づいて、IGBT310dのゲート電圧がミラー電圧より低いときには、ミラー電圧以上のときよりもIGBT310dのゲートに流し込む電流が小さくなるように定電流源321aを制御する。
【0100】
次に、効果について説明する。第3実施形態によれば、予め記憶されているIGBT310dの特性情報に基づいてオン駆動用定電流回路321を制御することができる。そのため、IGBT310dに流れるコレクタ電流を特性に応じて適切に制御することができる。従って、IGBT310dのサージ電圧を特性に応じて適切に抑えることができる。
【0101】
また、第3実施形態によれば、IGBT310dのサージ電圧は、IGBT310dのゲート電圧がミラー電圧に達するまでの期間にゲートに流し込む電流によって決まる。ここで、IGBT310dのミラー電圧は、IGBT310dのオン、オフ閾値電圧とゲート−エミッタ間容量によって決まる。そのため、IGBT310dのオン、オフ閾値電圧とゲート−エミッタ間容量から求めたミラー電圧に基づいて、IGBT310dのゲート電圧がミラー電圧より低いときにゲートに流し込む電流を抑えることで、IGBT310dのサージ電圧を特性に応じてより適切に抑えることができる。
【0102】
なお、第3実施形態では、IGBT320dのオン、オフ閾値電圧とゲート−エミッタ間容量に基づいてミラー電圧を求め、IGBT310dを制御する例を挙げているが、これに限られるものではない。コントローラ325が、IGBT310dに印加される電圧、例えば高電圧バッテリB1の電圧を検出し、検出結果とIGBT310dのオン、オフ閾値電圧とゲート−エミッタ間容量に基づいてミラー電圧を求め、IGBT310dを制御するようにしてもよい。IGBT310dのミラー電圧は、IGBT310dに印加される電圧によって変化する。しかし、IGBT310dに印加される電圧に基づいてミラー電圧を求めることで、印加される電圧によるミラー電圧の変化の影響を受けることなく、IGBT310dのサージ電圧を特性に応じてより適切に抑えることができる。
【0103】
また、コントローラ325が、IGBT310dの温度を検出し、検出結果とIGBT310dのオン、オフ閾値電圧とゲート−エミッタ間容量に基づいてミラー電圧を求め、IGBT310dを制御するようにしてもよい。IGBT310dのミラー電圧は、温度によって変化する。しかし、IGBT310dの温度に基づいてミラー電圧を求めることで、温度によるミラー電圧の変化の影響を受けることなく、IGBT310dのサージ電圧を特性に応じてより適切に抑えることができる。
【0104】
さらに、コントローラ325が、IGBT310dに流れるコレクタ電流を検出し、検出結果とIGBT310dのオン、オフ閾値電圧とゲート−エミッタ間容量に基づいてミラー電圧を求め、IGBT310dを制御するようにしてもよい。IGBT310dのミラー電圧は、IGBT310dのコレクタ電流によって変化する。しかし、IGBT310dのコレクタ電流に基づいてミラー電圧を求めることで、IGBT310dのコレクタ電流によるミラー電圧の変化の影響を受けることなく、IGBT310dのサージ電圧を特性に応じてより適切に抑えることができる。
【0105】
また、第3実施形態では、図6に示すように、オン駆動用定電流回路321、オフ駆動用回路322、電圧制限回路323及び制御回路324によって駆動されるスイッチング素子が、1つのスイッチング素子、IGBT310dである例を挙げているが、これに限られるものではない。
【0106】
駆動されるスイッチング素子は、並列接続された複数の副スイッチング素子によって構成されていてもよい。例えば、前述した図3に示すように、並列接続された2つのIGBT110g、110h(副スイッチング素子)で構成されていてもよい。この場合、並列接続された2つのIGBT110g、110hのそれぞれのオン、オフ閾値電圧のうち、最も低いオン、オフ閾値電圧をオン、オフ閾値電圧として用いるとともに、それぞれのゲート−エミッタ間容量を加算した容量をゲート−エミッタ間容量として用いてミラー電圧を求めればよい。スイッチング素子が、並列接続された2つのIGBT110g、110hからなる場合であっても、サージ電圧を特性に応じてより適切に抑えることができる。並列接続された3つ以上のIGBTからなる場合も同様である。
【符号の説明】
【0107】
1・・・モータ制御装置(電子装置)、10・・・平滑コンデンサ、11・・・インバータ装置、110a〜110d、210d、310d・・・IGBT(スイッチング素子)、12、22、32・・・制御装置、120、220、320・・・駆動用電源回路、121、221、321・・・オン駆動用定電流回路(定電流回路)、121a、221a、321a・・・定電流源、121b、221b、321b・・・スイッチ、122、222、322・・・オフ駆動用回路、122a、222a、322a・・・オフ駆動用FET、122b、222b、322b・・・オフ駆動用抵抗、123、223、323・・・電圧制限回路、123a、223a、323a・・・クランプ回路、123b、223b、323b・・・スイッチ、124、224、324・・・制御回路、125、225、325・・・コントローラ、125a、225a、325a・・・メモリ(記憶部)、125b、225b、325b・・・マイクロコンピュータ、126a、126b、226a、226b、326a、326b・・・フォトカプラ、B1・・・高電圧バッテリ、M1・・・車両駆動用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御端子の電圧を制御することで駆動されるスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の制御端子に接続され、前記スイッチング素子の制御端子に定電流を流し込む定電流回路と、
前記スイッチング素子の制御端子に接続され、前記スイッチング素子の制御端子の電圧を制限する電圧制限回路と、
前記スイッチング素子のオン、オフを指示するための駆動信号を出力するコントローラと、
前記定電流回路、前記電圧制限回路及び前記コントローラに接続され、前記駆動信号が前記スイッチング素子のオンを指示すると、前記定電流回路を制御して前記スイッチング素子の制御端子に定電流を流し込むとともに、前記電圧制限回路を制御して前記スイッチング素子の制御端子の電圧を制限する制御回路と、
を備えた電子装置であって、
前記コントローラは、前記スイッチング素子の特性情報を記憶する記憶部を有し、前記記憶部に記憶されている前記特性情報に基づいて前記電圧制限回路を制御するための電圧制限回路制御情報を求め、
前記制御回路は、前記電圧制限回路制御情報に基づいて前記電圧制限回路を制御することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記特性情報は、前記スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧であり、
前記電圧制限回路制御情報は、前記電圧制限回路が制限する前記オン、オフ閾値電圧より高い制限電圧であり、
前記制御回路は、前記スイッチング素子の制御端子の電圧が前記制限電圧に制限されるように前記電圧制限回路を制御することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記スイッチング素子に印加される電圧を検出し、検出結果と前記スイッチング素子の前記オン、オフ閾値電圧に基づいて前記制限電圧を求めることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記スイッチング素子の温度を検出し、検出結果と前記スイッチング素子の前記オン、オフ閾値電圧に基づいて前記制限電圧を求めることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項5】
前記スイッチング素子は、並列接続された複数の副スイッチング素子からなり、
前記スイッチング素子の前記オン、オフ閾値電圧は、複数の前記副スイッチング素子のそれぞれのオン、オフ閾値電圧のうち、最も低いオン、オフ閾値電圧であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項6】
前記特性情報は、前記スイッチング素子の端子間容量であり、
前記電圧制限回路制御情報は、前記電圧制限回路が制限を開始してから解除するまでの制限時間であり、
前記制御回路は、前記スイッチング素子の制御端子の電圧が前記制限時間の間制限されるように前記電圧制限回路を制御することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記スイッチング素子に印加される電圧を検出し、検出結果と前記スイッチング素子の前記端子間容量に基づいて前記制限時間を求めることを特徴とする請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記スイッチング素子は、並列接続された複数の副スイッチング素子からなり、
前記スイッチング素子の前記端子間容量は、複数の前記副スイッチング素子のそれぞれの端子間容量を加算した容量であることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記スイッチング素子は、
主スイッチング素子と、
前記主スイッチング素子に流れる電流に比例し、前記主スイッチング素子に流れる電流より小さい電流が流れる電流検出用スイッチング素子と、
からなり、
前記特性情報は、前記スイッチング素子の前記端子間容量に加え、前記主スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧と前記電流検出用スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧であり、
前記コントローラは、前記スイッチング素子の前記端子間容量と、前記主スイッチング素子の前記オン、オフ閾値電圧と前記電流検出用スイッチング素子の前記オン、オフ閾値電圧の差に基づいて前記制限時間を求めることを特徴とする請求項6に記載の電子装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記特性情報に基づいて前記定電流回路を制御するための定電流回路制御情報を求め、
前記制御回路は、前記定電流回路制御情報に基づいて前記定電流回路を制御することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項11】
前記特性情報は、前記スイッチング素子のオン、オフ閾値電圧と端子間容量であり、
前記定電流回路制御情報は、前記スイッチング素子のミラー電圧であり、
前記制御回路は、前記スイッチング素子の制御端子の電圧が前記ミラー電圧より低いときには、前記ミラー電圧以上のときよりも前記スイッチング素子の制御端子に流し込む電流が小さくなるように前記定電流回路を制御することを特徴とする請求項10に記載の電子装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記スイッチング素子に印加される電圧を検出し、検出結果と前記スイッチング素子の前記オン、オフ閾値電圧と前記端子間容量に基づいて前記ミラー電圧を求めることを特徴とする請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
前記コントローラは、前記スイッチング素子の温度を検出し、検出結果と前記スイッチング素子の前記オン、オフ閾値電圧と前記端子間容量に基づいて前記ミラー電圧を求めることを特徴とする請求項11に記載の電子装置。
【請求項14】
前記コントローラは、前記スイッチング素子に流れる電流を検出し、検出結果と前記スイッチング素子の前記オン、オフ閾値電圧と前記端子間容量に基づいて前記ミラー電圧を求めることを特徴とする請求項11に記載の電子装置。
【請求項15】
前記スイッチング素子は、並列接続された複数の副スイッチング素子からなり、
前記スイッチング素子の前記オン、オフ閾値電圧は、複数の前記副スイッチング素子のそれぞれのオン、オフ閾値電圧のうち、最も低いオン、オフ閾値電圧であり、
前記スイッチング素子の前記端子間容量は、複数の前記副スイッチング素子のそれぞれの端子間容量を加算した容量であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項16】
前記特性情報は、事前に測定され前記記憶部に記憶されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−157222(P2012−157222A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16718(P2011−16718)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】