説明

電子装置

【課題】 電子装置の特性の劣化を抑制することが可能な電子装置を提供すること。
【解決手段】 電子素子22を有するチップ部品2と、電子素子22を収容する空間Sを介してチップ部品2が搭載される配線基板3と、空間Sを囲むようにしてチップ部品2の上面及び側面から配線基板3の表面にかけて設けられる樹脂層4と、樹脂層4における配線基板3及びチップ部品2の側面との接着部分のみを覆うようにして設けられた封止補強用樹脂5とを有する電子装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子装置においては、電子素子を有するチップ部品が、電子素子を収容する空間を介して配線基板に搭載されていた。また、この空間を完全に封止するために、この空間の側方を囲むようにしてチップ部品の上面及び側面から配線基板の表面にかけて樹脂層が設けられていた。また、チップ部品の配線基板への接着を更に強固にするために、前記樹脂層を介して、チップ部品の上面から配線基板の表面に、封止補強用樹脂が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−517057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子装置において、樹脂層がチップ部品の側面に接していたことから、電子装置の製造時に樹脂層が硬化して収縮することによって、チップ部品に、下面が凸形状に変形するような応力がかかりやすかった。そして、チップ部品の上面に、樹脂層を介して封止補強用樹脂が配置されていた。よって、この封止補強用樹脂の硬化収縮によって、チップ部品に、下面が凸形状に変形するような応力がさらに加重されやすかった。この応力の加重によって、チップ部品における機能表面である下面が凸形状に大きく変形しやすくなり、チップ部品についての所望する特性が得られにくくなってしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子装置は、電子素子を有するチップ部品と、前記電子素子を収容する空間を介して前記チップ部品が搭載される配線基板と、前記空間を囲むようにして前記チップ部品の上面及び側面から前記配線基板の表面にかけて設けられる樹脂層と、前記樹脂層における前記配線基板及び前記チップ部品の側面との接着部分のみを覆うようにして設けられた封止補強用樹脂とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電子装置によれば、電子素子を有するチップ部品と、前記電子素子を収容する空間を介して前記チップ部品が搭載される配線基板と、前記空間を囲むようにして前記チップ部品の上面及び側面から前記配線基板の表面にかけて設けられる樹脂層と、前記樹脂層における前記配線基板及び前記チップ部品の側面との接着部分のみを覆うようにして設けられた封止補強用樹脂とを有することから、封止補強用樹脂は、樹脂層を介してチップ部品の上面に存在しないこととなる。よって、封止補強用樹脂を硬化させる際に、この封止補強用樹脂の収縮による応力が、チップ部品に負荷されなくなる。従って、チップ部品に、下面が凸に変形するような応力が加重されなくなる。結果、チップ部品における機能表面である下面が凸形状に大きく変形することを抑制でき、チップ部品についての所望する特性が得やすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の電子装置の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す電子装置のチップ部品の平面図である。
【図3】本発明の電子装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明の電子装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図5】本発明の電子装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図6】本発明の電子装置の製造方法の一例を示す断面図である。
【図7】本発明の電子装置の製造方法の他の例を示す断面図である。
【図8】本発明の電子装置の製造方法の他の例を示す断面図である。
【図9】本発明の電子装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の電子装置の実施の形態の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1に示す電子装置1は、チップ部品2と、配線基板3と、樹脂層4と、封止補強用樹脂5を具備している。図1に示す例においては、電子装置1として弾性表面波装置を示している。
【0010】
電子装置1(弾性表面波装置)は、携帯電話機、その他の小型通信機器等の電子機器に使用される。
【0011】
配線基板3は、電子素子22を収容する空間を介してチップ部品2が搭載される。図1に示す例においては、配線基板3は、基板本体31と、この基板本体31上に設けられているパッド電極32、33と、配線(図示せず。)とを有している。配線基板3の寸法は、縦が1〜2mm程度で、横が1.5〜3mm程度である。また、厚みは、0.1〜1mm程度である。
【0012】
基板本体31は、酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、ガラスセラミックス焼結体等のセラミック材料が用いられる。また、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の有機樹脂材料を用いてもよい。また、セラミックスまたはガラス等の無機材料をエポキシ樹脂等の有機樹脂材料に混合させて成る複合材等を用いてもよい。
【0013】
基板本体31は、具体的には、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウムとガラス粉末等の原料粉末をシート状に成形して成るグリーンシートを積層し、焼成することにより形成される。なお、基板本体31は、酸化アルミニウム質焼結体で形成するものに限らず、用途や気密封止する電子素子22の特性等に応じて適したものを選択することが好ましい。
【0014】
例えば、基板本体31は、接合材6を介してチップ部品2と電気的・機械的に接合されるので、チップ部品2との接合の信頼性、つまり電子素子22の封止の気密性を高くするためには、ムライト質焼結体や、例えばガラス成分の種類や添加量を調整することにより熱膨張係数をチップ部品2の圧電基板21に近似させるようにした材料で形成することが好ましい。このような材料の例としては、酸化アルミニウム−ホウ珪酸ガラス系等のガラスセラミックス焼結体等が挙げられる。
【0015】
また、パッド電極32、33により伝送される電気信号の遅延を防止するような場合には、ポリイミド・ガラスエポキシ樹脂等の有機樹脂材料、セラミックスやガラス等の無機粉末をエポキシ樹脂等の有機樹脂で結合して成る複合材、または、酸化アルミニウム−ホウ珪酸ガラス系や酸化リチウム系等のガラスセラミックス焼結体等のような比誘電率の小さい材料で形成することが好ましい。
【0016】
図1に示す例においては、この基板本体31の一方の面(以下、この面を表面とし、他方の面を裏面とする。)上に、パッド電極32が、チップ部品2のパッド電極23と対応する位置に設けられている。
【0017】
基板本体31の裏面上にもパッド電極33が設けられている。基板本体31の内部には、基板本体31の表面上のパッド電極32と、基板本体31の裏面上のパッド電極33とを接続する貫通導体34が設けられている。
【0018】
基板本体31の内部、表面及び裏面等には、配線(図示せず。)が設けられている。これらの配線によって、配線基板3に実装される各種の電子部品が電気的に接続されることとなる。
【0019】
これらのパッド電極32、33、貫通導体34及び配線は、例えば、W、Cu、Ag、Au等の金属材料で形成されている。また、パッド電極32、33がW、Cu、Agで形成されている場合には、パッド電極32、33の表面に、Niメッキ、及びその上からAuメッキを施すことが好ましい。
【0020】
チップ部品2は、電子素子22を有している。図1および図2に示す例においては、チップ部品2は、電子素子22および基板21を有しており、電子素子22は、基板21の第1主面21Aに搭載されている。チップ部品2の寸法は、縦が0.5〜1mm程度であり、横が0.7〜1.5mm程度である。また、厚みは、0.1〜0.5mm程度である。
【0021】
図1および図2に示す例においては、チップ部品2として弾性表面波素子を示している。また、電子素子22としてIDT(Interdigital Transducer)電極22を示している。ま
た、基板21として圧電基板21を示している。この弾性表面波素子は、圧電基板21と、第1主面21A上に設けられたIDT電極22およびパッド電極23とを有している。
【0022】
圧電基板21は、LiTaO、またはLiNbO等の圧電性を有する単結晶基板である。圧電基板21の厚さは適宜に設定されてよいが、例えば、0.18mm〜0.5mmである。圧電基板21の主面の形状は適宜に設定されてよいが、例えば矩形である。また、圧電基板21の第1主面21Aの寸法は、1辺の長さが、例えば、0.5mm〜2mmである。
【0023】
図2に示す例においては、IDT電極22は、圧電基板21の第1主面21A上の中央近傍に、2個並べて配置されている。各IDT電極22は、櫛歯状に形成された2つの電極22a(以下、櫛歯状電極22aという)によって構成されている。各櫛歯状電極22aは、互いに対向し、電極指が互いに噛み合うように配置されている。
【0024】
パッド電極23は、IDT電極22に電気信号を供給するための電極である。また、図2に示す例においては、パッド電極23は圧電基板21の第1主面21Aに設けられている。パッド電極23は、接合材6を介してパッド電極32に接続されている。
【0025】
これらIDT電極22、パッド電極23は、いずれもAlまたはAl合金(例えば、Al−Cu系、Al−Ti系)等の金属膜で形成することができる。接合材6は、Sn−Ag系またはSn−Ag−Cu系等の半田、Au−Sn等の低融点ろう材、導電性有機樹脂等により形成されている。
【0026】
また、図示しないが、IDT電極22の露出した表面上には、Si,SiO,SiN,Al等の絶縁性の高い材料から成る保護膜を設けてもよい。これによって、導電性の異物がIDT電極22の電極指間に付着することによって短絡が生じることを抑制でき
る。
【0027】
樹脂層4は、空間Sを囲むようにしてチップ部品2の上面及び側面から配線基板3の表面にかけて設けられる。電子素子22はこの空間Sに封止されることにより、外部の空気中の湿気等による劣化を抑制することができる。図1に示す例においては、樹脂層4は、例えば、フェノール系樹脂,ポリイミド系樹脂またはエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される。また、樹脂層4は、例えば、10〜100μmの厚みで形成されている。
【0028】
図1に示す例において、樹脂層4がチップ部品2の側面に接着していることから、例えば、両者が接着していない場合と比較して、樹脂層4によってチップ部品2を配線基板3に対して強固に固定することができる。よって、チップ部品2の位置が、配線基板3の表面に対してずれることを抑制できる。従って、チップ部品2の配線基板3への電気的接続を確実なものとすることができる。
【0029】
封止補強用樹脂5は、樹脂層4における配線基板3及びチップ部品2の側面との接着部分のみを覆うようにして設けられている。このような構成によって、樹脂層4における配線基板3及びチップ部品2の側面との接着部分を、封止補強用樹脂5によって覆うことができるので、電子素子22が封止されている空間Sの気密性を補強することができる。
【0030】
また、封止補強用樹脂5は、樹脂層4を介してチップ部品2の上面に存在しないこととなる。よって、封止補強用樹脂5を硬化させる際に、この封止補強用樹脂5の収縮による応力が、チップ部品2に負荷されなくなる。従って、チップ部品2に、下面21Aが凸に変形するような応力が加重されなくなる。結果、チップ部品2における機能表面である下面が凸形状に大きく変形することを抑制でき、チップ部品2についての所望する特性が得やすくできる。
【0031】
封止補強用樹脂5は、例えば、フェノール系樹脂,ポリイミド系樹脂またはエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される。また、封止補強用樹脂5の材料は、樹脂層4と同じ種類のものを用いることが好ましい。これによって、封止補強用樹脂5および樹脂層4の、相互の接着力が向上する。よって両者間に隙間ができて空気が入ることを防止することができるので、空間Sについての、さらに高い気密性を確保することができる。
【0032】
図3に示す例のように、封止補強用樹脂5は、樹脂層4の周囲の配線基板2の表面を更に覆っていることが好ましい。このような場合には、封止補強用樹脂5が、樹脂層4とともに配線基板3の表面も覆うようになる。従って、封止補強用樹脂5によって、樹脂層4の配線基板3への接着力を向上させることができる。結果、樹脂層4によるチップ部品2の配線基板3への電気的又は機械的な接続を強化することができる。
【0033】
図4に示す例のように、チップ部品2の上面における樹脂層4の表面と、封止補強用樹脂5の上側表面とは、高さが同じであることが好ましい。このような場合には、電子装置1の上表面を、面一とすることができる。よって、電子装置1の上表面に段差がないこととなる。従って、本電子装置1を、上側表面から吸着ノズル等で吸着するに際して、いずれの位置にノズルを当接させたとしても、良好に電子装置1を吸着できることとなり。取り扱いに際しての利便性が向上する。また、ここで、「高さが同じ」とは、脂層4の表面と、封止補強用樹脂5の上側表面との間に、例えば20μm以下である高さの差が存在することを意味する。
【0034】
図5に示す例のように、チップ部品2の上面における樹脂層4の表面は、封止補強用樹脂5の上側表面より、低い位置にあることが好ましい。このような場合には、本電子装置1を、上側表面から吸着ノズル等で吸着するに際して、チップ部品2の上面の樹脂層4に
ノズルが直接当接しなくても、これより高い位置にある封止補強用樹脂5の上側表面に当接させれば、本電子装置1を吸着して移動させることができる。従って、ノズルが、樹脂層4を介してチップ部品2の上面に接触しなくなる。よって、電子装置1にノズルによる衝撃が加えられることを防ぐことができる。よって、信頼性の高い電子装置1を提供することができる。
【0035】
以下に、図6を用いて、図1に示す例の電子装置1の製造方法を示す。まず、基板21の第1主面21Aに、電子素子22、パッド電極23をそれぞれ形成する。
【0036】
次に、配線基板3を準備する。ここで、基板本体31にパッド電極32、33及び配線(図示せず。)を形成する方法としては、メタライズ層、めっき層、蒸着等の金属を薄膜層として被着させる手段を用いることができる。例えば、W及びAgのペーストを配線基板2の基板本体31となるグリーンシートにメタライズ層として印刷してこれをグリーンシートとともに焼成することにより形成される。また、所定の形状を有する金属箔をグリーンシートに転写して同時焼成を行う方法も採用できる。
【0037】
次に、チップ部品2のパッド電極23と、配線基板3のパッド電極32とを、接合材6によって電気的・機械的に接続させる。接合材6による接着は、例えば、パッド電極23上に、半田ろう材でバンプを形成しておき、このバンプを溶融させてパッド電極32と接合させる。また、例えば、パッド電極23上に、Au線によるワイヤバンプを形成しておき、別途接合材を介してパッド電極32と接合させてもよい。なお、パッド電極23上にバンプを形成する方法としては、熱圧着法、または熱超音波圧着法等が用いられている。
【0038】
次に、加熱硬化する前のBステージ状態の樹脂層4をチップ部品2の基板21の上面に載せる。次に、図6(a)に示すように、樹脂層4に高熱を加えることによって、樹脂層4を軟化させ、チップ部品2の表面形状に沿って変形させる。次に、樹脂層4にさらに熱を加え続け、樹脂層4を硬化させる。
【0039】
次に、図6(b)に示すように、封止補強用樹脂5を、チップ部品を囲むようにして、配線基板3の上面に樹脂層4を介して配置する。次に、図6(c)に示すように、封止補強用樹脂5に熱を加えることによって、封止補強用樹脂5を、樹脂層4における配線基板3及びチップ部品2の側面との接着部分のみを覆うように変形させる。
【0040】
しかる後に、配置した封止補強用樹脂5に熱を加え、硬化させることによって、電子装置1を得る。
【0041】
また、以下に、図7を用いて、図4に示す例の電子装置1の製造方法について、封止補強用樹脂5の配置の工程のみ示す。
【0042】
まず、図7(a)に示すように、チップ部品2上面の樹脂層4から所定の間隔を空けて、開孔パタ−ンを有する印刷マスクを配置し、この印刷マスクの上面でスキ−ジを移動させることにより、開孔を通して封止補強用樹脂5を樹脂層4上に印刷する。
【0043】
次に、図7(b)に示すように、印刷マスクの下面をチップ部品2上面の樹脂層4に当接させつつ、印刷マスクの上面でスキ−ジを移動させることにより、封止補強用樹脂5の上面が樹脂層4の上面の高さと同一となるように封止補強用樹脂5を掻きとる。
【0044】
しかる後に、印刷した封止補強用樹脂5を硬化させることによって、電子装置1を得る。
【0045】
また、以下に、図8を用いて、図4に示す例の電子装置1の別の製造方法について、樹脂層4および封止補強用樹脂5の配置の工程のみ示す。
【0046】
まず、図8(a)に示すように、樹脂層4および封止補強用樹脂5が、層状に一体化された樹脂シート8を準備し、この樹脂シート8を、樹脂層4がチップ部品2側となるよう、チップ部品2上に配置する。
【0047】
次に、図8(b)、(c)に示すように、押圧部材7によって、樹脂シート8を封止補強用樹脂5側から押圧することによって、封止補強用樹脂5をチップ部品2の側部に移動させ、封止補強用樹脂5の上面が樹脂層4の上面の高さと同一となるまで押圧する。また、この押圧の過程で、樹脂層4をチップ部品2の表面形状に沿って変形させる。なお、例えば、封止補強用樹脂5は、圧力又は加熱によって粘度が低下する部材を用いることとする。これによって、押圧部材7で押圧する際は、粘度が低下して流動性をもった封止補強用樹脂5となり、チップ部品2の側部に移動しやすくなる。
【0048】
しかる後に、樹脂層4および封止補強用樹脂5から成る樹脂シート8を一体で硬化させることによって、電子装置1を得る。
【0049】
なお、以上で示した製造方法は、いずれも単体の電子装置1を製造する方法であったが、多数個取りの方法を用いることによって製造してもよい。その場合は、例えば、配線基板3となる多数個取り用の集合基板に、素子領域毎に複数のチップ部品2を搭載し、上述の方法で、樹脂層4および封止補強用樹脂5を設けた後に、ダイシング又はカッター等の切削工具によって、複数の電子装置1を得れば良い。
【0050】
(第2実施形態)
図9に示す例においては、電子装置1として、マイクロミラーデバイス、光デバイス、マイクロポンプ等として使用される。
【0051】
図9に示す例においては、チップ部品2は、半導体基板(基板)21を有している。また、チップ部品2は、半導体基板21の第1主面21Aに、微小電子機械機構22としての電子素子22と、パッド電極23を有している。微小電子機械機構22は、パッド電極23と電気的に接続されている。
【0052】
半導体基板21は、シリコン、ポリシリコン等から成る。また、半導体基板21の第1主面21Aに、チップ部品2の微小電子機械機構22を内側に収めるような凹部(不図示)を形成しておいてもよい。凹部内に微小電子機械機構22の一部を収めるようにしておくと、微小電子機械機構22を収納する空間を形成するための接合材6の高さを低く抑えることができ、電子装置1の低背化に有利なものとなる。凹部はシリコンあるいはポリシリコンをフォトリソグラフィー技術やレーザ加工などのいわゆるマスクレスエッチング技術などを用いて作製され、フッ酸エッチング、ドライエッチングなどのエッチング技術を用いて作製される。
【0053】
半導体基板21の寸法および形状は、図1に示す例の電子装置1における圧電基板21と同様である。
【0054】
微小電子機械機構22は、例えば、電気スイッチ、インダクタ、キャパシタ、共振器、アンテナ、マイクロリレー、光スイッチ、ハードディスク用磁気ヘッド、マイク、バイオセンサー、DNAチップ、マイクロリアクタ、プリントヘッド、加速度センサ、圧力センサなどの各種センサ、ディスプレイデバイス等のいずれかの機能を有している。この微小電子機械機構22は、半導体微細加工技術を基本とした、いわゆるマイクロマシニングで作る
部品である。なお、1素子あたり10μm〜数100μm程度の寸法を有する。
【0055】
図9に示す例においては、配線基板3は、図1に示す例と同様に、基板本体31と、この基板本体上に設けられているパッド電極32、33と、基板本体31中に設けられた貫通電極34と、配線(図示せず。)とを有している。図6に示す例においては、配線基板3の上面に、チップ部品2の微小電子機械機構22を内側に収めるような凹部(不図示)を形成しておいてもよい。凹部内に微小電子機械機構22の一部を収めるようにしておくと、微小電子機械機構22を収納する空間を形成するための接合材6の高さを低く抑えることができ、電子装置1の低背化に有利なものとなる。
【0056】
基板本体31、パッド電極32、33、貫通電極34および配線の材料等は、図1に示す例と同様であるとする。図9に示す例の電子装置1における、樹脂層4は、図1に示す例のものと同様である。
【0057】
以上で説明した微小電子機械機構22を有する電子装置1においても、封止補強用樹脂5が、樹脂層4における配線基板3及びチップ部品2の側面との接着部分のみを覆うようにして設けられたことから、チップ部品2の第1主面21Aが大きく湾曲するのを抑制することができる。よって、微小電子機械機構22および第1主面21Aの接合力が低下し、電子装置1の特性が得られなくなるのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0058】
1:電子装置
2:チップ部品
22:電子素子
3:配線基板
4:樹脂層
5:封止補強用樹脂
S:空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子を有するチップ部品と、
前記電子素子を収容する空間を介して前記チップ部品が搭載される配線基板と、
前記空間を囲むようにして前記チップ部品の上面及び側面から前記配線基板の表面にかけて設けられる樹脂層と、
前記樹脂層における前記配線基板及び前記チップ部品の側面との接着部分のみを覆うようにして設けられた封止補強用樹脂とを有する電子装置。
【請求項2】
前記封止補強用樹脂は、前記樹脂層の周囲の配線基板の表面を更に覆っていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記チップ部品の上面における樹脂層の表面と、前記封止補強用樹脂の上側表面とは、高さが同じであることを特徴とする請求項1又は2記載の電子装置。
【請求項4】
前記チップ部品の上面における樹脂層の表面は、前記封止補強用樹脂の上側表面より、高さが低いことを特徴とする請求項1又は2記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−244003(P2012−244003A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113769(P2011−113769)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】