説明

電子装置

【課題】 非道路地図画面が表示されているときに自車位置近傍に発生した道路交通情報を道路地図画面上で知ることができる「電子装置」を提供する。
【解決手段】 本発明の車載用電子装置は、自車位置を検出する検出手段と、文字情報、簡易図形情報および地図情報によって表示可能な道路交通情報を外部から取得する取得手段と、ディスプレイ上に道路地図画面以外の画面が表示されている間に道路交通情報が取得されたとき、道路交通情報によって表される交通障害位置と自車位置との距離を算出する算出手段と、算出された距離が第1のしきい値以下であるとき、道路地図画面以外の画面を道路地図画面に切替え、道路地図画面上に交通障害位置を表示し、距離が第1のしきい値を超えるとき、道路地図画面以外の画面に文字情報または簡易図形情報による道路交通情報を割込み表示する表示制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子装置に関し、特に、VICS(Vehicle Information Communication System)等の道路交通システムより配信される道路交通情報の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載に搭載される電子装置は、オーディオ・ビデオデータを再生する機能、テレビ放送やラジオ放送を受信する機能、道路地図を案内するナビゲーション機能、外部ネットワークと通信する機能などが複合的に備えられている。また,電子装置には、ディスプレイが搭載され、実行される機能に応じた情報がディスプレイに表示される。例えば、ナビゲーションモードが選択されると、ディスプレイには、自車位置周辺の道路地図などが表示され、オーディオ再生モードが選択され、CD等の音楽データが再生されるとき、ディスプレイには、ジャケット写真や楽曲の属性情報が表示される。
【0003】
ナビゲーション機能は、自車位置から目的地までの最適な経路を探索し、探索された経路の案内をする。経路探索には、道路地図データを利用した静的なものに加えて、VICS等のリアルタイムな道路交通情報を反映した動的な探索も行われている。道路交通情報を配信するサービスとして、VICSが良く知られている。VICSによる道路交通情報は、FM多重放送、光ビーコンまたは電波ビーコンによって提供され、配信される道路交通情報の態様には、文字により道路交通情報を表した文字表示型のレベル1、簡易図形を用いて道路地図情報を表した簡易図形表示型のレベル2、リンクなどにより道路交通情報を表した地図表示型のレベル3がある。車載用電子装置は、VICSから道路交通情報の配信があると、それらをディスプレイに表示する機能を備えている。特許文献1は、レベル3を表示する道路地図画面に、レベル1または2の道路交通情報を合成して表示する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−113382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の車載用電子装置では、ユーザーが選択している動作モードによって、VICSから配信される道路交通情報の表示方法を異にしている。ユーザーがナビゲーション以外の動作モードを選択しているとき、ディスプレイにはナビゲーション画面以外の情報が表示され、この間にレベル1またはレベル2の道路交通情報が受信されると、レベル1またはレベル2の道路交通情報が割込み表示され、ユーザーに知らされる。ナビゲーションモードが選択されているとき、ディスプレイには、道路地図画面(ナビゲーション画面)が表示され、レベル3の道路交通情報が受信されると、当該道路交通情報がナビゲーション画面上に合成して表示される。レベル3の道路交通情報の場合、道路地図上に渋滞の道路や交通規制の道路などがマーキングされるため、ユーザーは、道路地図から渋滞位置までの距離を容易に判断することができる。
【0006】
上記のように、ナビゲーション画面以外のモードでは、レベル1の文字情報またはレベル2の簡易図形情報の割込み表示であるため、渋滞等の発生箇所が現在自車位置からどれくらい離れているのか判断できないことがある。例えば、渋滞等の発生している地名や交差点名がわからなければ、これらの位置が自分の目的地より先なのか、あるいは現在自車位置から目的地までの範囲内なのか判断することができない。特に、自車位置近傍で発生している渋滞や交通規制であれば、即座に道路交通情報を利用したいという要望もある。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の課題を解決し、非道路地図画面が表示されているときに自車位置近傍に発生した道路交通情報を道路地図画面上で知ることができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子装置は、自車位置を検出する検出手段と、文字情報、簡易図形情報および地図情報の少なくとも1つによって表示可能な道路交通情報を外部から取得する取得手段と、ディスプレイ上に道路地図画面以外の画面が表示されている間に、前記取得手段より道路交通情報が取得されたとき、前記道路交通情報によって表される交通障害位置と前記検出手段によって検出された自車位置との距離を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された距離が第1のしきい値以下であるとき、前記道路地図画面以外の画面の少なくとも1部を道路地図画面に切替え、道路地図画面上に前記交通障害位置を表示し、前記距離が第1のしきい値を超えるとき、前記道路地図画面以外の画面に文字情報または簡易図形情報による道路交通情報を割込み表示する表示制御手段とを有する。
【0009】
好ましくは表示制御手段は、道路地図画面以外の画面と前記道路地図画面とを2画面で同時に表示する。前記表示制御手段はさらに、前記算出手段によって算出された距離が前記第1のしきい値よりも大きい第2のしきい値よりも大きいとき、前記文字情報または簡易図形情報による道路交通情報の割込み表示を中止する。好ましくは前記算出手段は、文字情報または簡易図形情報による道路交通情報から交通障害位置を推定する。電子装置はさらに、前記第1のしきい値を設定する設定手段を含むことができる。好ましくは文字情報、簡易図形情報、地図情報は、VICSにより提供される情報である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、道路地図画面以外の画面が表示されている場合であっても、自車位置から近傍に発生している交通障害位置を道路地図画面上にて正確に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る車載用電子装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すナビゲーション部の構成を示すブロック図である。
【図3】VICSのレベル1の道路交通情報の表示例である。
【図4】VICSのレベル2の道路交通情報の表示例である。
【図5】VICSのレベル3の道路交通情報の表示例である。
【図6】車載用電子装置のVICSの設定例を説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る車載用電子装置の道路交通情報の表示動作を説明するフローチャートである。
【図8】第1の実施例の道路交通情報の模式的な表示例である。
【図9】第1の実施例の道路交通情報の2画面表示の例である。
【図10】本発明の第2の実施例に係る車載用電子装置の道路交通情報の表示動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、車載用電子装置を示すが、これは例示であり、本発明の電子装置の構成は、ここに例示するすべての機能を包含する必要なない。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る車載用電子装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、車載用電子装置100は、オーディオデータやビデオデータを再生するオーディオ・ビデオ(AV)再生部102、地上波ディジタルテレビ放送を受信するテレビチューナー104、AM、FM等のラジオ放送を受信するラジオチューナー106、目的地までの経路案内等を行うナビゲーション部108、外部との間でデータ通信を行うデータ通信部110、ユーザーからの入力を受け取る入力部112、スピーカから音声を出力する音声出力部114、ディスプレイに画像を表示する表示部116、道路地図に関するデータやプログラムデータなどを記憶する記憶部118、各部を制御する制御部120を含んで構成される。車載用電子装置100は、ここに示される他の機能を包含するものであってもよい。
【0014】
オーディオ・ビデオ再生部102は、CD、DVD、半導体メモリ、記憶部118などに記憶されたオーディオデータやビデオデータを再生し、再生されたデータは、制御部120によって、音声出力部114および表示部116に出力される。テレビチューナー104は、受信したテレビ放送のストリーミングデータをリアルタイムでデコードし、そこから音声データ、映像データ、電子番組情報(EPG)や文字データなどのテキストデータを抽出し、これらのデータは、制御部120によって、音声出力部114および表示部116に出力される。データ通信部110は、有線または無線により外部機器や外部装置との間でデータ通信を可能にし、例えば、インターネットなどのネットワークへの接続を行う。
【0015】
入力部112は、リモコン、マウス、音声入力、タッチパネルなどの入力手段を含み、例えば、実行される動作モードを選択する。表示部116は、それぞれの動作モードに応じた情報を表示する。例えば、ナビゲーション部108の動作モードが選択されれば、表示部116は、道路地図画面(ナビゲーション画面)を表示し、テレビチューナー104の動作モードが選択されれば、テレビ映像を表示する。記憶部118は、ナビゲーション部108が必要とする道路地図デー夕、制御部120が実行するプログラムデータ、VICS等の外部から配信された道路交通情報などを記憶する。さらに記憶部118は、後述するようにVICSで受信した道路交通情報を記憶する。制御部120は、中央処理装置、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどの装置を含み、記憶部118に格納されたプログラムを実行し、各部の制御を行う。
【0016】
図2に、ナビゲーション部の主な構成を示す。同図に示すように、ナビゲーション部108は、GPS衛星からの信号を受信するGPS受信機200、方位を検出するジャイロセンサや加速度を検出する加速度センサなど含む自立航法センサ210、VICSから提供される道路交通情報を受信するVICS受信機220、GPS受信機200および/または自立航法センサ210により検出された結果を利用して自車位置を算出する自車位置算出部230、自車位置算出部230により算出された自車位置周辺の道路地図データを道路地図データベース250から読出し、表示部116に表示される道路地図を描画する道路地図描画部240を備えている。ここには図示しないが、ナビゲーション部108gは、目的地までの誘導経路を探索する機能や、目的地までの案内を行う機能を備え、これらは、記憶部118に格納されたプログラムによって制御される。
【0017】
車載用電子装置100において、ユーザーは、入力部112を介して所望の動作モードを選択することができる。例えば、AV再生部102の動作モードが選択されれば、制御部120は、音声出力部114から音声を出力したり、表示部116に映像を出力させる。ナビゲーション部108の動作モードが選択されると、制御部120は、表示部116に自車位置周辺の道路地図などを表示させ、必要に応じて音声案内を音声出力部114から出力させる。
【0018】
次に、VICSによる道路交通情報を受信したときの一般的な表示動作について説明する。なお、車載用電子装置100において、VICSからの道路交通情報を受信したとき、道路交通情報を割込み表示させる設定がされているものとする。
【0019】
[ナビゲーション画面以外のモードでレベル1の表示]
ナビゲーション画面以外の情報が表示されている間に、レベル1の道路交通情報(文字表記型)が受信されると、制御部120は、レベル1の道路交通情報を画面に割込み表示させる。ここで、ナビゲーション画面とは、表示部116に道路地図が表示されている画面をいう。ナビゲーション画面以外(または非ナビゲーション画面)は、例えば、AV再生部102により生成された映像が表示された画面やテレビチューナー104により受信された映像が表示された画面をいう。図3Aは、地上ディジタル放送を受信する動作モードが選択されおり、表示部116には、番組表とテレビ映像がマルチビューで表示されている。この状態で、レベル1の道路交通情報が受信されると、図3Bに示すように、テレビ画面上に、文字情報により表された道路交通情報300が上書きされるように割込み表示される。この例では、「新宿通り上り 四谷見附付近 渋滞0.5KM」が表示されている。
【0020】
[ナビゲーション画面以外のモードでレベル2の表示]
表示部116にナビゲーション画面以外が表示されており、レベル2の道路交通情報(簡易図形型)が受信されると、制御部120は、レベル2の道路交通情報を割込み表示させる。図4Aは、図3Aのときと同様にテレビ放送による映像が表示されており、この状態で、レベル2の道路交通情報が受信されると、図4Bに示すように、表示部116は、レベル2の道路交通情報320を表示する。図4Bの例では、主要幹線道路とその行き先名称が示され、渋滞している区間が識別(図では、ハッチング)表示される。図4Bでは、画面全体に簡易図形が表示されるが、画面の一部に割込み表示されてもよい。
【0021】
[ナビゲーション画面のモードでレベル3の表示]
表示部116にナビゲーション画面が表示されており、レベル3の道路交通情報が受信されると、制御部120は、レベル3の道路交通情報をナビゲーション画面(道路地図)上に表示させる。レベル3の道路交通情報は、渋滞や規制の対象となるリンク情報を含んでおり、これらに一致するリンクが識別表示される。渋滞や規制の識別方法は、車載用電子装置側の設定に基づく。図5Aは、自車位置Mの周辺の道路地図が表示された状態を示し、この状態でレベル3の道路交通情報が受信されると、図5Bによってリンク上に渋滞または規制の識別C1、C2が表示される。
【0022】
本実施例に係る車載電子装置100では、ナビゲーション画面以外の非ナビゲーション画面を表示中に、レベル1またはレベル2の道路交通情報が受信されると、道路交通情報によって表された交通障害となる予想地点を推測し、現在自車位置から交通障害となる予測地点までの移動距離が所定距離以内であれば、ナビゲーション画面(レベル3の地図表示画面)に切替え、そこに道路交通情報を表示し、所定距離よりも大きければ、レベル1またはレベル2を割込み表示する。なお交通障害とは、渋滞や交通規制の意である。なお、このような処理は、後述するように、VICSからの道路交通情報を割込み表示するという設定がONされているときに有効に働く。
【0023】
車載用電子装置100には、通常、VICSからの道路交通情報に関する動作設定機能が付与されている。この動作設定は、入力部112を介してユーザーが行うことができ、設定された内容は記憶部118に保存される。図6は、VICSの動作設定例を説明する図である。VICSの動作設定には、受信した道路交通情報の割込み表示をするまたはしない(ON/OFF)の設定、受信したレベル3の道路交通情報を自動表示するまたはしない(ON/OFF)の設定、画面切替の距離の設定、画面表示を1画面または2画面とする設定が含まれている。図6Aでは、割込み表示がON、自動表示がON、画面切替の距離が1Km、画面表示を1画面に設定され、図6Bでは、画面表示が2画面に設定されている。
【0024】
次に、本発明の第1の実施例に係る車載用電子装置の表示動作を図7のフローチャートを参照して説明する。前提として、表示部116には、ナビゲーション画面以外の情報が表示されているものとし、レベル1の渋滞情報が受信されたときの例を説明する。
【0025】
制御部120は、ナビゲーション画面以外の情報(例えば、テレビ映像)が表示されていること確認し(ステップS101)、次いで、VICSからの道路交通情報が受信されたか否かを監視する(ステップS102)。VICSからの道路受信情報は、FM多重放送、光ビーコン、電波ビーコンによって提供されるが、FM多重放送は、手動情報取得が必要であるため、ここでは光ビーコンまたは電波ビーコン受信時を対象とする。光ビーコンや電波ビーコンは、自車位置から前方30Km程度の情報を自動配信する。VICS受信機220は、道路交通情報を受信すると、その旨を制御部120に知らせるとともに、受信した道路交通情報を制御部120へ提供する。制御部120は、受信されたレベル1、レベル2またはレベル3の道路交通情報を保持し、道路交通情報がレベル1、2、3のいずれかを識別する。
【0026】
制御部120は、VICSからの道路交通情報が受信されると、道路交通情報の受信をユーザーに知らせる。例えば、表示部116にその旨の表示をしたり、あるいは音声出力部114からビープ音等を出力させる。次に、制御部120は、VICSの道路交通情報で表される渋滞位置を特定する(ステップS104)。道路交通情報がレベル1しか受信されていない場合には、制御部120は、レベル1の文字情報と道路地図DB250に含まれる道路名称、地名、交差点名称を照合し、渋滞位置を推測する。例えば、図3Bに示すような文字による道路交通情報300であれば、「新宿通り」、「四谷見附」の地域を示すキーワードが道路地図データと照合され、「新宿通り」、「四谷見附」に該当する渋滞リンクおよびそれを包含する渋滞エリアが抽出される。渋滞リンクまたは渋滞エリアが特定されたとき、渋滞リンク上の所望の地点、例えばリンク上の中心点が渋滞位置に特定され、あるいは渋滞エリア内の所望の地点が渋滞位置に特定される。
【0027】
また、レベル2の簡易図形を受信した場合には、簡易図形を画像認識し、そこから渋滞位置に関連する道路名称や地域名を抽出する。例えば、図4Bに示すような簡易図形情報320の場合、先ず、ハッチングで示された渋滞が識別され、識別された渋滞に関連する「四つ橋筋」、「なにわ筋」のテキスト情報が抽出される。さらに、その幹線道路の行き先である「大阪駅」、「幸町1」のテキスト情報が抽出される。そして、レベル1のときと同様に、道路地図DB250に含まれる道路名称、地名、交差点名称を照合し、渋滞リンクまたは渋滞エリアを推測し、その推測結果から渋滞位置を特定する。また、レベル3の道路交通情報が同時に受信されている場合には、制御部120は、レベル3に含まれる位置情報、例えばリンク情報を利用し、渋滞位置を特定するようにしてもよい。
【0028】
次に、制御部120は、図2に示す自車位置算出部230により算出された自車位置を利用し、自車位置から渋滞位置までの距離Dを算出する。距離Dは、好ましくは、自車位置から渋滞位置までのルートを探索することで、渋滞位置までの道なり距離Dを得ることができる。距離Dは、これ以外にも、自車位置からの直線距離であってもよい。例えば、渋滞位置の緯度、経度と自車位置の緯度、経度から直線距離を算出してもよい。なお、ナビゲーション画面以外のモードが選択されている場合であっても、自車位置算出部230は、バックグラウンドで現在自車位置を算出している。
【0029】
次に、制御部120は、算出した距離Dが1Km以下であるか否かを判定する(ステップS106)。この「1Km」は、図6のVICS設定にて設定された距離である。距離Dが1Km以下であるとき、制御部120は、表示部116の非ナビゲーション画面をナビゲーション画面すなわち道路地図画面へ切替え(ステップS107)、そして、道路地図上に渋滞位置を表示させる(ステップS108)。渋滞位置の表示は、レベル1またはレベル2の道路交通情報から推測された渋滞位置または渋滞エリアに基づき表示されてもよいし、レベル3の道路交通情報が存在するときは、そこに含まれる渋滞リンク等を参照して、渋滞位置が識別表示される。渋滞位置は、例えば、図6Bに示すように、点滅、ハイライトなどにより識別表示される。また、制御部120は、ナビゲーション画面に切替えるとき、渋滞位置が表示されるようにスケールを自動調整する。一方、距離Dが1Kmよりも大きい場合には、従来と同様に、レベル1の文字情報が割込み表示される(ステップS109)。
【0030】
このように本実施例では、レベル1やレベル2で表された地名や名称を判断できないような場合であっても、自車位置の近傍に発生している渋滞位置や規制位置を地図画面から迅速にかつ容易に知ることができる。上記実施例では、レベル1の道路交通情報を例示したが、レベル2の簡易図形の割込み表示の場合も同じような処理が行われる。
【0031】
図8は、図7に示すフローに従う道路交通情報の模式的な表示例を示している。図8Aにおいて、非ナビゲーション画面400が表示され、VICSの道路交通情報が受信されると、図8Bに示すように、渋滞情報が受信された旨の表示410がされる。次に、渋滞位置が自車位置から1Km以内であれば、図8Cに示すように、非ナビゲーション画面400が道路地図画面430に自動的に切替わり、道路地図画面430上に渋滞位置(リンク)が識別表示される。一方、渋滞位置が1Kmより遠ければ、図8Dに示すように、非ナビゲーション画面400上にレベル1の渋滞情報420が割込み表示される。そして、一定時間経過後、非ナビゲーション画面400に戻る。
【0032】
次に、画面表示を2画面に設定した場合の表示例について説明する。図6Bに示すように、VICS設定において画面表示が2画面に設定される。図9は、レベル2の道路交通情報の模式的な表示例である。図9Aに示すように、非ナビゲーション画面400が表示され、図9Bに示すように、VICSからの道路交通情報の受信の案内410が表示される。渋滞位置が自車位置から1Km以内であると判定された場合、図9Cに示すように、画面が2分割され、一方に非ナビゲーション画面400が継続して表示され、他方に道路地図画面が表示され、道路地図上に渋滞位置が識別表示される。渋滞位置が1Kmよりも遠い場合には、図9Dに示すように、一方に非ナビゲーション画面400が継続して表示され、他方にレベル2の簡易図形420が割込み表示される。そして、一定時間経過すると、図9Eに示すように元の非ナビゲーション画面400に戻る。このような2画面表示とすることで、ユーザーは、非ナビゲーション画面による情報と、自車から1Km以内に発生している交通障害の情報を同時に知ることができる。
【0033】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例では、交通障害が発生している地点が現在自車位置よりも一定距離以上離れていれば、レベル1、2の道路交通情報の割込み表示を中止させるものである。
【0034】
第2の実施例では、図6Cに示すVICS設定において、非表示距離を設定することができる。この例では、2Kmが設定されている。図10は、第2の実施例の動作を説明するフローチャートであり、ステップS101からS108は、図7のものと同様であるので説明を省略する。道路交通情報が受信され、渋滞位置が現在自車位置から1Kmよりも離れている場合、さらに渋滞位置が現在自車位置から2Kmより離れているか否か判定される(ステップS109)。もし、渋滞位置が2Km以内であれば、従来と同様にレベル1またはレベル2の道路交通情報が非ナビゲーション画面に割込み表示される(ステップS110)。渋滞位置が2Kmよりも遠いと判定された場合には、レベル1またはレベル2の道路交通情報を割込み表示させず、非ナビゲーション画面をそのまま継続して表示する。
【0035】
第2の実施例によれば、自車位置から一定の範囲内にある道路交通情報を選択的に表示させることができる。言い換えれば、自車位置から遠く離れた道路交通情報は、ユーザーにとって関心がないことが多く、非ナビゲーション画面による情報の中断の妨げるとなる。
【0036】
以上のように、本実施異例では、VICS割込み設定ON時、ナビゲーション画面以外のモードでの表示方法において、現在の自車位置から渋滞箇所までの距離に応じて自動切換えによるVICS情報の表示を行う。また、ナビゲーション画面以外のモードで、従来と同様にレベル1またはレベル2を割込み表示する機能も保持する。なお、車載用電子装置において、VICS割込み設定ON/OFFをする機能がないものであっても、本発明は適用することができる。上記実施例では、VICSにより配信される道路交通情報を例示したが、これ以外の道路配信サービスによって類似の道路交通情報が配信されるのであれば、本発明を同様に適用することができる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
100:車載用電子装置 102:AV再生部
104:テレビチューナー 106:ラジオチューナー
108:ナビゲーション部 110:データ通信部
112:入力部 114:音声出力部
116:表示部 118:記憶部
200:GPS受信機 210:自立航法センサ
220:VICS受信機 230:自車位置算出部
240:道路地図描画部 250:道路地図データベース
400:非ナビゲーション画面 420:割込み表示
430:道路地図画面 C1、C2:渋滞位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を検出する検出手段と、
文字情報、簡易図形情報および地図情報の少なくとも1つによって表示可能な道路交通情報を外部から取得する取得手段と、
ディスプレイ上に道路地図画面以外の画面が表示されている間に、前記取得手段より道路交通情報が取得されたとき、前記道路交通情報によって表される交通障害位置と前記検出手段によって検出された自車位置との距離を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された距離が第1のしきい値以下であるとき、前記道路地図画面以外の画面の少なくとも1部を道路地図画面に切替え、道路地図画面上に前記交通障害位置を表示し、前記距離が第1のしきい値を超えるとき、前記道路地図画面以外の画面に文字情報または簡易図形情報による道路交通情報を割込み表示する表示制御手段と、
を有する電子装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、道路地図画面以外の画面と前記道路地図画面とを2画面で同時に表示する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記表示制御手段はさらに、前記算出手段によって算出された距離が前記第1のしきい値よりも大きい第2のしきい値よりも大きいとき、前記文字情報または簡易図形情報による道路交通情報の割込み表示を中止する、請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記算出手段は、文字情報または簡易図形情報による道路交通情報から交通障害位置を推定する、請求項1ないし3いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
電子装置はさらに、前記第1のしきい値を設定する設定手段を含む、請求項1ないし4いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項6】
文字情報、簡易図形情報、地図情報は、VICSにより提供される情報である、請求項1ないし5いずれか1つに記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−7918(P2012−7918A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142139(P2010−142139)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】