説明

電子調達入札方法、電子調達入札システム、および電子調達入札プログラム

【課題】 売手の重要な秘密情報であるタイプを秘匿したまま調達入札を行うことを可能にする。
【解決手段】 入札者装置2が関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求め、品質qの前記関数の関数値bを求め、これらを開札者装置3へ送信する。開札者装置3が入札者装置2から品質qおよび関数値bを受信し、受信した関数値bが最大の売手i1stを落札者として、最大の関数値bに対応した品質q1stおよび二番目に値の大きい関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算し、売手i1stと報酬とを公開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、価格および品質に基づいて落札者を決定する電子調達入札方法、電子調達入札システム、および電子調達入札プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本件特許出願において扱う調達入札は、例えば、買手が1、売手が複数、価格のみならず品質についても入札を行うという形態の入札であり、最低価格を提示した売手が落札するとは限らない。品質には、製品の品質、数量、納期などがある。
【0003】
従来から、strategy−proofな調達を行う入札を実現する技術がある(例えば、非特許文献1参照。)。以下、非特許文献1に開示された方式について説明する。
落札価格をpとし、品質をq(2次元以上であってもよい。)とすると、買手の効用は、V(q)−pとなり、普通のquasi−linearな効用である。
ただし、関数V(q)は品質がqである場合の支払いを考えない場合の効用であり、関数V(q)は公知であると仮定する。
【0004】
落札した売手iのタイプをθとすると、売手の効用は、p−c(q,θ)となり、普通のquasi−linearな効用である。
タイプθとは、品質qの製品の製造コストc(q,θ)を決定する製造原価などの情報であり、製造者(売手)の重要な秘密情報となる。また、製造コストc(q,θ)は売手iの品質qの製品の製造コストであり、売手iのタイプθに依存する。
【0005】
非特許文献1の方式は、strategy−proof(正直に入札することが最適戦略になる)、individual rational(入札に参加することで損をしない)、pareto efficient(落札結果は社会的剰余(参加者の効用の和)を最大にしている)、という望ましい性質を満たしている。
【0006】
入札は各売手iが自身のタイプθを買手に申告することにより行われる。なお、strategy−proofのため、各売手iが本当のタイプθを買手に申告していると仮定することができる。
開札は次のようにして行われる。社会的余剰V(q)−c(q,θ)を最大にする売手i1stと品質q1stを求め、売手i1stが落札者となる。また、社会的余剰V(q)−c(q,θ)を2番目に大きくする売手i2ndと品質q2ndを求める。そして、落札者である売手i1stの報酬をV(q1st)−{V(q2nd)−c(q2nd,θi2nd)}を演算して求める。そして、売手i1stを落札者として公開するとともに、求めた報酬を売手i1stの報酬として公開する。
【0007】
また、従来から、情報セキュリティ技術に関する技術があり(例えば、非特許文献2参照。)、非特許文献2は入札価格を秘匿しつつオークションの計算結果の正しさを検証できるVickreyオークションを実現する暗号プロトコルを開示している。以下に非特許文献2に開示された方式について説明する。
使用される公開鍵暗号Eは準同型性(E(a)E(b)=E(ab))を満たす安全な(IND−CPAな)公開鍵暗号であり、例えばElGamal暗号などである。また、予め暗号文の平分になり得る範囲の1以外の数z、および入札価格表P={1,2,・・・,p}が公開されているものとする。
【0008】
入札は次のように行われる。売手i(i=1〜N)は入札価格baを決め、入札価格baに対して下記に示す要素ca1,i,ca2,i,・・・,cap,iよりなる暗号文列Ca(ba)=(ca1,i,ca2,i,・・・,cap,i)を生成する。ただし、
caj,i=E(z):j=1,2,・・・,ba
caj,i=E(1):j=ba+1,ba+2,・・・,p
である。そして、暗号文列Ca(ba)と正しく作っていることの非対称ゼロ知識証明とを公開し、入札を行う。
【0009】
開札は次のように行われる。各売手i(i=1〜N)の暗号文列Ca(ba)のj番目の要素caj,iの積算を行い、要素積ca(=caj,1caj,2・・・caj,N)を求める。ただし、公開鍵暗号Eの準同型性により、ca=E(zn(j))となる。なお、n(j)=#{1|j≦p}は価格j以上で入札した入札者の数である。分散復号サーバによる証明つきの分散復号と非特許文献2に記載されているMix and Matchの手法により、D(ca)∈{1,z,z}を満たすか否かを判定し、n(ba2nd)が2以上でn(ba2nd+1)が1以下である入札価格ba2ndを求める。そして、ba2nd+1をxと記載することとすると(以下において同じ)、要素cax,1,cax,2,・・・,cax,Nを復号して復号D(cax,1),D(cax,2),・・・,D(cax,N)を得、これにより、復号結果がzになる要素Cax,1stに対応する売手i1stを落札者に決定する。そして、売手i1stを落札者として公開するとともに、入札価格ba1stを公開する。
公開鍵暗号Eの安全性により、入札価格の秘匿が保証される。また、非対話ゼロ知識証明がついているため、計算結果の正しさを検証することができる。また、必要な通信回数をO(n+log(p))であり、秘匿回路計算を用いた場合の必要な通信回数をO(n×nlog(p))と比較して効率的である。
【非特許文献1】Takayuki Suyama and Makoto Yokoo,“Strategy/False−name Proof Protocols for Combinatorial Multi−Attribute Procurement Auction”,In AAMAS 2004,pages 160−167,2004
【非特許文献2】Masayuki Abe and Koutarou Suzuki,“M+1−st price auction using homomorphic cncryption”,In Public Key Cryptography 2002,pages 115−124,2002.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記非特許文献1は、調達入札を実現しているものの、製造者(売手)の重要な秘密情報であるタイプを申告しなければならないという問題がある。また、上記非特許文献2は通常の入札において入札価格を秘匿することができたが、調達入札において入札価格を秘匿することまで実現することはできていなかった。
【0011】
そこで、本発明は、売手の重要な秘密情報であるタイプを秘匿したまま調達入札を行うことを可能にする電子調達入札方法、電子調達入札システム、および電子調達入札プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の電子調達入札方法は、価格および品質に基づく入札を行う電子調達入札方法において、各売手i(i=1〜N)側の入札者装置が売手iのタイプθに依存し品質qを変数とする関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求める品質演算手順と、各前記入札者装置が前記品質演算手順において求められた品質qの前記関数の関数値bを求める価格演算手順と、各前記入札者装置が前記品質演算手順において求められた品質qおよび前記価格演算手順において求められた関数値bを買手側の開札者装置へ送信する申告情報送信手順と、前記開札者装置が各前記入札者装置によって送信された品質qおよび関数値bを受信する申告情報受信手順と、前記開札者装置が前記申告情報受信手順において受信した品質qおよび関数値bを売手iに対応付けて申告情報記憶手段に記憶させる申告情報登録手順と、前記開札者装置が前記申告情報記憶手段から関数値bが最大の売手i1stを取り出す落札情報取出手順と、前記開札者装置が前記申告情報記憶手段に記憶されている最大の関数値bに対応した品質q1stおよび二番目に値の大きい関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算して求める報酬演算手順と、前記開札者装置が前記落札情報取出手順において取り出された売手i1stを落札者として公開するとともに、前記報酬演算手順において求められた報酬を落札者の報酬として公開する落札情報公開手順と、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の電子調達入札方法は、価格および品質に基づく入札を行う電子調達入札方法において、準同型性を満たす公開鍵暗号E、暗号文の平分になり得る範囲の1以外の数z、および入札価格表P={1,2,・・・,p}を公開し、各売手i(i=1〜N)側の入札者装置が売手iのタイプθに依存し品質qを変数とする関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求める品質演算手順と、各前記入札者装置は前記品質演算手順において求められた品質qを公開鍵暗号Encにて暗号化する品質暗号化手順と、各前記入札者装置が前記品質演算手順において求められた品質qの前記関数の関数値bを求める価格演算手順と、各前記入札者装置が前記価格演算手順において求められた関数値bに対し要素cj,i=E(1)(j=1,2,・・・,b)および要素cj,i=E(z)(j=b+1,b+2,・・・,p)を要素とする暗号文列C(b)を生成する価格暗号化手順と、前記入札者装置が前記品質暗号化手順において暗号化された暗号品質Enc(q)および前記価格暗号化手順において生成された暗号文列C(b)を買手側の開札者装置へ送信する申告情報送信手順と、前記開札者装置が各前記入札者装置によって送信された暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を受信する申告情報受信手順と、前記開札者装置が前記申告情報受信手順において受信した暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を売手iに対応付けて申告情報記憶手段に記憶させる申告情報登録手順と、前記開札者装置が前記申告情報記憶手段に記憶されている各暗号文列C(b)のj番目の要素cj,iの積算を行い、要素積c=E(zn(j))(n(j)はj以上の関数値で入札した入札者の数)を求める要素積演算手順と、前記開札者装置が前記要素積演算手順において求められた要素積cを利用してn(b2nd)が2以上でn(b2nd+1)が1以下である関数値b2ndを求める次点価格演算手順と、前記開札者装置が前記申告情報記憶手段に記憶されている暗号文列の各要素cx,i(i=1〜N)を復号し(xはb2nd+1を表しており、以下において同じ)、その結果がzとなる要素cx,1stに対応する売手i1stを落札者に決定する落札者決定手順と、前記開札者装置が前記申告情報記憶手段に記憶されている前記落札者決定手順において決定された売手i1stに対応する暗号品質Enc(qi)を復号する品質復号手順と、前記開札者装置が前記品質復号手順において復号された品質q1stおよび前記次点価格演算手順において求められた関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算して求める報酬演算手順と、前記開札者装置が前記落札者決定手順において決定された売手i1stを落札者として公開するとともに、前記報酬演算手順において求められた報酬を落札者の報酬として公開する落札情報公開手順と、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の電子調達入札システムは、各売手i(i=1〜N)側の入札者装置と買手側の開札者装置とを備え、価格および品質に基づく入札を行う電子調達入札システムにおいて、前記売手i側の入札者装置が売手iのタイプθに依存し品質qを変数とする関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求める品質演算手段と、前記品質演算手段により求められる品質qの前記関数の関数値bを求める価格演算手段と、前記品質演算手段により求められる品質qおよび前記価格演算手段により求められる関数値bを前記開札者装置へ送信する申告情報送信手段と、を備え、前記開札者装置が売手iに対応付けて当該売手iの品質qおよび関数値bを記憶する申告情報記憶手段と、各前記入札者装置によって送信された品質qおよび関数値bを受信する申告情報受信手段と、前記申告情報受信手段により受信される品質qおよび関数値bを売手iに対応付けて前記申告情報記憶手段に記憶させる申告情報登録手段と、前記申告情報記憶手段から関数値bが最大の売手i1stを取り出す落札情報取出手段と、前記申告情報記憶手段に記憶されている最大の関数値bに対応した品質q1stおよび二番目に値の大きい関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算して求める報酬演算手段と、前記落札情報取出手段により取り出される売手i1stを落札者として公開するとともに、前記報酬演算手段により求められる報酬を落札者の報酬として公開する落札情報公開手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の電子調達入札システムは、各売手i(i=1〜N)側の入札者装置と買手側の開札者装置とを備え、準同型性を満たす公開鍵暗号E、暗号文の平分になり得る範囲の1以外の数z、および入札価格表P={1,2,・・・,p}を公開し、価格および品質に基づく入札を行う電子調達入札システムにおいて、前記売手i側の入札者装置が
売手iのタイプθに依存し品質qを変数とする関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求める品質演算手段と、前記品質演算手段により求められる品質qを公開鍵暗号Encにて暗号化する品質暗号化手段と、前記品質演算手段により求められる品質qの前記関数の関数値bを求める価格演算手段と、前記価格演算手段により求められる関数値bに対し要素cj,i=E(1)(j=1,2,・・・,b)および要素cj,i=E(z)(j=b+1,b+2,・・・,p)を要素とする暗号文列C(b)を生成する価格暗号化手段と、前記品質暗号化手段により暗号化される暗号品質Enc(q)および前記価格暗号化手段により生成される暗号文列C(b)を前記開札者装置へ送信する申告情報送信手段と、を備え、前記開札者装置が、売手iに対応付けて当該売手iの暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を記憶する申告情報記憶手段と、各前記入札者装置によって送信される暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を受信する申告情報受信手段と、前記申告情報受信手段により受信される暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を売手iに対応付けて前記申告情報記憶手段に記憶させる申告情報登録手段と、前記申告情報記憶手段に記憶されている各暗号文列C(b)のj番目の要素cj,iの積算を行い、要素積c=E(zn(j))(n(j)はj以上の関数値で入札した入札者の数)を求める要素積演算手段と、前記要素積演算手段により求められる要素積cを利用してn(b2nd)が2以上でn(b2nd+1)が1以下である関数値b2ndを求める次点価格演算手段と、前記申告情報記憶手段に記憶されている暗号文列の各要素cx,i(i=1〜N)を復号し(xはb2nd+1を表しており、以下において同じ)、その結果がzとなる要素cx,1stに対応する売手i1stを落札者に決定する落札者決定手段と、前記申告情報記憶手段に記憶されている前記落札者決定手段により決定される売手i1stに対応する暗号品質Enc(qi)を復号する品質復号手段と、前記品質復号手段により復号される品質q1stおよび前記次点価格演算手段により求められる関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算して求める報酬演算手段と、前記落札者決定手段に
より決定される売手i1stを落札者として公開するとともに、前記報酬演算手段により求められる報酬を落札者の報酬として公開する落札情報公開手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の電子調達入札プログラムは、売手i(i=1〜N)側の入札者装置としてのコンピュータに売手iのタイプθに依存し品質qを変数とする関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求める品質演算手順と、コンピュータに前記品質演算手順において求められた品質qの前記関数の関数値bを求める価格演算手順と、コンピュータに前記品質演算手順において求められた品質qおよび前記価格演算手順において求められた関数値bを買手側の開札者装置としてのコンピュータへ送信する申告情報送信手順と、を実行させることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の電子調達入札プログラムは、買手側の開札者装置としてのコンピュータに各売手i(i=1〜N)側の入札者装置としてのコンピュータによって送信された品質qおよび関数値bを受信する申告情報受信手順と、コンピュータに前記申告情報受信手順において受信した品質qおよび関数値bを売手iに対応付けて申告情報記憶手段に記憶させる申告情報登録手順と、コンピュータに前記申告情報記憶手段から関数値bが最大の売手i1stを取り出す落札情報取出手順と、コンピュータに前記申告情報記憶手段に記憶されている最大の関数値bに対応した品質q1stおよび二番目に値の大きい関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算して求める報酬演算手順と、コンピュータに前記落札情報取出手順において取り出された売手i1stを落札者として公開するとともに、前記報酬演算手順において求められた報酬を落札者の報酬として公開する落札情報公開手順と、を実行させることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の電子調達入札プログラムは、準同型性を満たす公開鍵暗号E、暗号文の平分になり得る範囲の1以外の数z、および入札価格表P={1,2,・・・,p}が公開されており、売手i(i=1〜N)側の入札者装置としてのコンピュータに売手iのタイプθに依存し品質qを変数とする関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求める品質演算手順と、コンピュータに前記品質演算手順において求められた品質qを公開鍵暗号Encにて暗号化する品質暗号化手順と、コンピュータに前記品質演算手順において求められた品質qの前記関数の関数値bを求める価格演算手順と、コンピュータに前記価格演算手順において求められた関数値bに対し要素cj,i=E(1)(j=1,2,・・・,b)および要素cj,i=E(z)(j=b+1,b+2,・・・,p)を要素とする暗号文列C(b)を生成する価格暗号化手順と、コンピュータに前記品質暗号化手順において暗号化された暗号品質Enc(q)および前記価格暗号化手順において生成された暗号文列C(b)を買手側の開札者装置としてのコンピュータへ送信する申告情報送信手順と、を実行させることを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の電子調達入札プログラムは、準同型性を満たす公開鍵暗号E、暗号文の平分になり得る範囲の1以外の数z、および入札価格表P={1,2,・・・,p}が公開されており、買手側の開札者装置としてのコンピュータに各売手i(i=1〜N)側の入札者装置としてのコンピュータによって送信された暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を受信する申告情報受信手順と、コンピュータに前記申告情報受信手順において受信した暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を売手iに対応付けて申告情報記憶手段に記憶させる申告情報登録手順と、コンピュータに前記申告情報記憶手段に記憶されている各暗号文列C(b)のj番目の要素cj,iの積算を行い、要素積c=E(zn(j))(n(j)はj以上の関数値で入札した入札者の数)を求める要素積演算手順と、コンピュータに前記要素積演算手順において求められた要素積cを利用してn(b2nd)が2以上でn(b2nd+1)が1以下である関数値b2ndを求める次点価格演算手順と、コンピュータに前記申告情報記憶手段に記憶されている暗号文列の各要素cx,i(i=1〜N)を復号し(xはb2nd+1を表しており、以下において同じ)、その結果がzとなる要素cx,1stに対応する売手i1stを落札者に決定する落札者決定手順と、コンピュータに前記申告情報記憶手段に記憶されている前記落札者決定手順において決定された売手i1stに対応する暗号品質Enc(qi)を復号する品質復号手順と、コンピュータに前記品質復号手順において復号された品質q1stおよび前記次点価格演算手順において求められた関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算して求める報酬演算手順と、コンピュータに前記落札者決定手順において決定された売手i1stを落札者として公開するとともに、前記報酬演算手順において求められた報酬を落札者の報酬として公開する落札情報公開手順と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、タイプを基に得られる品質とコストに対応する情報とを売手側から買手側に送ることによってタイプの秘密を秘匿したまま調達入札を実現することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
《第1の実施の形態》
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、第1の実施の形態は上記の非特許文献1において申告されるタイプの代わりにタイプを基に得られる品質とコストに対応する情報とを申告し、非特許文献1と同様の入札結果を得るものである。
【0022】
まず、本発明の第1の実施の形態における電子調達入札システムのシステム構成について図1を参照しつつ説明する。図1は第1の実施の形態の電子調達システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0023】
図1に示すように、電子調達システム1は売手(入札者)側に設けられた入札者装置2(2−1,2−2,・・・,2−N)と買手(開札者)側に設けられた開札者装置3とを備え、各入札者装置2と開札者装置3とはデータ授受可能に接続されている。ただし、売手i(i=1,2,・・・,N)は入札者装置2−iを利用しているとし、入札者装置2−1,2−2,・・・,2−Nの構成は同じであるとする。
【0024】
次に、図1の入札者装置2−i(i=1,2,・・・,N)の機能について図2を参照しつつ説明する。図2は図1の入札者装置2−iの機能構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、入札者装置2−iは、関数記憶部21、タイプ入力部22、品質演算部23、価格演算部24、および申告情報送信部25として機能する各部を有している。
【0025】
関数記憶部21は、タイプθ毎に関数b(q,θ)(=V(q)−c(q,θ))を記憶している。タイプθは、品質qの製品の製造コストの関数c(q,θ)を決定する製造原価などの情報であり、売手の重要な秘密情報となる。関数V(q)は公知の関数であり、全ての入札者装置2および開札者装置3において同じものが使用される。関数c(q,θ)は売手の品質qの製品の製造コストであり、売手のタイプθに依存する。
図3は関数記憶部21の一例を示す図であり、フィールドとして「タイプ」と「コスト関数」とがある。関数記憶部21には複数のタイプθの関数b(q,θ)が記憶されている。
【0026】
タイプ入力部22は、入札者装置2−iを利用する売手iが今回の入札における自身のタイプθを入力するための装置であり、タイプ入力部22は入力されたタイプθを品質演算部23および価格演算部24の夫々へ出力する。
品質演算部23は、タイプ入力部22から入力されるタイプθとフィールド「タイプ」の値が一致する関数b(q,θ)を関数記憶部21から取り出し、取り出した関数b(q,θ)(=V(q)−c(q,θ))を最大にする品質qを求める。品質演算部23は求めた品質qを価格演算部24および申告情報送信部25の夫々へ出力する。
【0027】
価格演算部24は、タイプ入力部22から入力されるタイプθとフィールド「タイプ」の値が一致する関数b(q,θ)を関数記憶部21から取り出す。そして、価格演算部24は、取り出した関数b(q,θ)(=V(q)−c(q,θ))に品質演算部23から入力される品質qを代入して関数b(q,θ)(=V(q)−c(q,θ))の値(関数値)bを求める。価格演算部24は求めた関数値bを申告情報送信部25へ出力する。
申告情報送信部25は、入札者装置2−iを利用している売手iを示す情報、および品質演算部23から入力される品質qと価格演算部24から入力される関数値bとを開札者装置3へ送信する。
【0028】
さらに、図1の開札者装置3の機能について図4を参照しつつ説明する。図4は図1の開札者装置3の機能構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、開札者装置3は、申告情報記憶部31、申告情報受信部32、申告情報登録部33、落札者情報取出部34、次点者情報取出部35、報酬演算部36、および落札情報公開部37として機能する各部を有している。
【0029】
申告情報記憶部31は、売手ごとに売手によって申告される品質と価格に対応する関数値とを記憶するものであり、その一例を図5に示す。図5は申告情報記憶部31の一例を示す図である。図5に示すように、申告情報記憶部31のフィールドとして「売手」と「品質」と「関数値」とがある。
申告情報受信部32は、入札者装置2−i(i=1,2,・・・,N)によって送信される売手iを示す情報と品質qと関数値bとを受信し、受信した各情報を申告情報登録部33へ出力する。
申告情報登録部33は、申告情報受信部32から入力される売手iを示す情報と品質qと関数値bとを申告情報記憶部31に記憶する。
【0030】
落札者情報取出部34は、申告情報記憶部31の記憶内容を参照し、申告情報記憶部31からフィールド「関数値」の値が最大である売手i1stと品質q1stとを取り出す。落札者情報取出部34は取り出した売手i1stを落札情報公開部37へ出力し、取り出した品質q1stを報酬演算部36へ出力する。
次点者情報取出部35は、申告情報記憶部31の記憶内容を参照し、申告情報記憶部31からフィールド「関数値」の値が2番目に大きい関数値b2ndを取り出す。次点者情報取出部35は取り出した関数値b2ndを報酬演算部36へ出力する。
【0031】
報酬演算部36は、落札者情報取出部34から入力される品質q1stと次点者情報取出部35から入力される関数値b2ndとを利用して、V(q1st)−b2ndを演算して報酬Pを求める。報酬演算部36は、求めた報酬Pを落札情報公開部37へ出力する。
落札情報公開部37は、それが備える表示部に、落札者情報取出部34から入力される売手i1stを落札者として表示すると共に、報酬演算部36から入力される報酬Pを落札者に対する報酬として表示する。
【0032】
さらに、上述した電子調達入札システム1において行われる電子調達入札の処理の流れについて図6から図8を参照しつつ説明する。
図6は入札者装置2が実行する電子調達入札の処理の流れを示すフローチャートである。まず、入札者装置2−iを利用する売手iがタイプ入力部22を利用して自身のタイプθを入力する。品質演算部23は、タイプ入力部22から入力される信号に基づきタイプθが入力されたか否かを判断する(ステップS101)。タイプθが入力されていないと判断すると(S101:NO)ステップS101の処理へ戻り、一方、タイプθが入力されたと判断すると(S101:YES)ステップS102の処理へ進む。
品質演算部23は、タイプ入力部22から入力されるタイプθとフィールド「タイプ」の値が一致する関数b(q,θ)を関数記憶部21から取り出し、取り出した関数b(q,θ)を最大にする品質qを求める(ステップS102)。
【0033】
続いて、価格演算部24は、タイプ入力部22から入力されるタイプθとフィールド「タイプ」の値が一致する関数b(q,θ)を関数記憶部21から取り出す。そして、価格演算部24は、取り出した関数b(q,θ)にステップS102において得られた品質qを代入して関数b(q,θ)を演算してその関数値bを求める(ステップS103)。
申告情報送信部25は、入札者装置2−iを利用している売手iを示す情報、およびステップS102において求められた品質qとステップS103において求められた関数値bとを開札者装置3へ送信する(ステップS104)。
【0034】
図7は開札者装置3が実行する電子調達入札の処理(申告情報の登録)の流れを示すフローチャートである。
まず、申告情報受信部32は入札者装置2−iによって送信された売手iを示す情報と品質qと関数値bとを受信したか否かを判断する(ステップS201)。各情報を受信していないと判断すると(S201:NO)ステップS201の処理へ戻る。一方、各情報を受信したと判断すると(S201:YES)ステップS202の処理へ進み、申告情報登録部33は、ステップS201において申告情報受信部32によって受信された売手iを示す情報と品質qと関数値bとを申告情報記憶部31に記憶する(ステップS202)。そして、ステップS201の処理へ戻る。
【0035】
図8は開札者装置3が実行する電子調達入札の処理(落札者の決定)の流れを示すフローチャートである。
買手は各売手iから申告情報(売り手i、品質qと関数値b)を受け取った後所定の操作を行うと、落札者情報取出部34は、申告情報記憶部31の記憶内容を参照し、申告情報記憶部31からフィールド「関数値」の値が最大である売手i1stと品質q1stとを取り出す(ステップS301)。
次点者情報取出部35は、申告情報記憶部31の記憶内容を参照し、申告情報記憶部31からフィールド「関数値」の値が2番目に大きい関数値b2ndを取り出す(ステップS302)。
【0036】
報酬演算部36は、ステップS301において取り出された品質q1stとステップS302において取り出された関数値b2ndとを利用して、V(q1st)−b2ndを演算して報酬Pを求める(ステップS303)。
落札情報公開部37は、それが備える表示部に、ステップS301において取り出された売手i1stを落札者として表示すると共に、ステップS303において求められた報酬Pを落札者に対する報酬として表示する(ステップS304)。
【0037】
以下、売手1、2がおり、関数b(q,θ)=V(q)−c(q,θ)=(q)1/2−q/4、関数b(q,θ)=V(q)−c(q,θ)=(q)1/2−q/2である例を示す。
売手1側において、関数b(q,θ)を最大にする品質qは「4」、関数値bは「1」(=(4)1/2−4/4)となり、これが開札者側へ送られる。
売手2側において、関数b(q,θ)を最大にする品質qは「1」、関数値bは「1/2」(=(1)1/2−1/2)となり、これが開札者側へ送られる。
【0038】
開札者側において、関数値が最大の売手1が落札者となり、落札者である売手1の報酬Pは「3/2」(=(4)1/2−1/2)となる。
売手1の効用は「1/2」(=P−c(q,θ)=3/2−4/4)となり、買手の効用は「1/2」(=V(4)−P)=(4)1/2−3/2)となる。
以上説明した第1の実施の形態によれば、売手のタイプを秘匿した調達入札を実現することができる。
【0039】
《第2の実施の形態》
以下、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の第2の実施の形態における電子調達入札システムのシステム構成について図9を参照しつつ説明する。図9は第2の実施の形態の電子調達システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図9に示すように、電子調達システム6は売手(入札者)側に設けられた入札者装置7(7−1,7−2,・・・,7−N)と買手(開札者)側に設けられた開札者装置8とを備え、各入札者装置7と開札者装置8とはデータ授受可能に接続されている。ただし、売手i(i=1,2,・・・,N)は入札者装置7−iを利用しているとし、入札者装置7−1,7−2,・・・,7−Nの構成は同じであるとする。
【0040】
次に、図9の入札者装置7−i(i=1,2,・・・,N)の機能について図10を参照しつつ説明する。図10は図9の入札者装置7−iの機能構成を示す機能ブロック図である。
図10に示すように、入札者装置7−iは、関数記憶部71、タイプ入力部72、品質演算部73、品質暗号部74、価格演算部75、価格暗号部76、および申告情報送信部77として機能する各部を有している。
関数記憶部71は、図2の関数記憶部21と同様にタイプθ毎に関数b(q,θ)(=V(q)−c(q,θ))を記憶している。
【0041】
タイプ入力部72は、入札者装置7−iを利用する売手iが今回の入札における自身のタイプθを入力するための装置であり、タイプ入力部22は入力されたタイプθを品質演算部73および価格演算部75の夫々へ出力する。
品質演算部73は、タイプ入力部72から入力されるタイプθとフィールド「タイプ」の値が一致する関数b(q,θ)を関数記憶部71から取り出し、取り出した関数b(q,θ)(=V(q)−c(q,θ))を最大にする品質qを求める。品質演算部73は求めた品質qを品質暗号部74および価格演算部75の夫々へ出力する。
品質暗号部74は、品質演算部73から入力される品質qを公開鍵暗号Encにて暗号化して暗号品質Enc(q)を作成し、暗号品質Enc(q)を申告情報送信部77へ出力する。
【0042】
価格演算部75は、タイプ入力部22から入力されるタイプθとフィールド「タイプ」の値が一致する関数b(q,θ)を関数記憶部71から取り出す。そして、価格演算部75は、取り出した関数b(q,θ)(=V(q)−c(q,θ))に品質演算部73から入力される品質qを代入して関数b(q,θ)(=V(q)−c(q,θ))の値(関数値)bを求める。価格演算部75は求めた関数値bを価格暗号部76へ出力する。
【0043】
価格暗号部76は、価格演算部75から入力される関数値bから暗号文列C(b)を生成し、生成した暗号文列C(b)を申告情報送信部77へ出力する。
公開鍵暗号Eは準同型性(E(a)E(b)=E(ab))を満たす安全な(IND−CPAな)公開鍵暗号であり、例えばElGamal暗号などである。また、予め暗号文の平分になり得る範囲の1以外の数z、および入札価格表P={1,2,・・・,p}が公開されているものとし、入札者装置には予め公開された数zおよび入札価格表が不図示の記憶装置に記憶されている。
価格暗号部76は、価格演算部75から入力される関数値bに対し、下記に示す要素c1,i,c2,i,・・・,cp,iよりなる暗号文列C(b)=(c1,i,c2,i,・・・,cp,i)を生成する。ただし、
j,i=E(z):j=1,2,・・・,b
j,i=E(1):j=b+1,b+2,・・・,p
である。
【0044】
申告情報送信部77は、入札者装置7−iを利用している売手iを示す情報、および品質暗号部24から入力される暗号品質Enc(q)と価格暗号部76から入力される暗号文列C(b)とを開札者装置8へ送信する。
【0045】
さらに、図9の開札者装置8の機能について図11を参照しつつ説明する。図11は図9の開札者装置8の機能構成を示す機能ブロック図である。
図11に示すように、開札者装置8は、申告情報記憶部81、申告情報受信部82、申告情報登録部83、要素積演算部84、割算部85、撹乱部86、混合部87、部分復号部88、判断部89、要素復号部90、落札者決定部91、暗号品質取出部92、品質復号部93、報酬演算部94、および落札情報公開部95として機能する各部を有している。
【0046】
申告情報記憶部81は、売手ごとに売手によって申告される暗号品質と暗号文列とを記憶するものであり、その一例を図12に示す。図12は申告情報記憶部81の一例を示す図である。図12に示すように、申告情報記憶部81のフィールドとして「売手」と「暗号品質」と「暗号文列」とがある。
申告情報受信部82は、入札者装置7−i(i=1,2,・・・,N)によって送信される売手iを示す情報と暗号品質Enc(q)と暗号文列C(b)とを受信し、受信した各情報を申告情報登録部83へ出力する。
申告情報登録部83は、申告情報受信部82から入力される売手iを示す情報と暗号品質Enc(q)と暗号文列C(b)とを申告情報記憶部81に記憶する。
【0047】
要素積演算部84は、申告情報記憶部81の記憶内容を参照し、各暗号文列C(b)のj番目の要素cj,iの積算(cj,1j,2・・・cj,N)を行い、要素積c(=cj,1j,2・・・cj,N)を求め、求めた要素積cを割算部85へ出力する。ただし、公開鍵暗号Eの準同型性により、c=E(zn(j))となる。なお、n(j)=#{1|j≦p}は価格j以上で入札した入札者の数である。なお、j=p/2,p/4,p/8,・・・の順に行う。
【0048】
割算部85は、要素積演算部84から入力される要素積cをE(1),E(z),E(z)の夫々で割り算して割算結果mj,1(=c/E(1)),mj,2(=c/E(z)),mj,3(=c/E(z))を求め、撹乱部86へ出力する。
撹乱部86は、割算部85から入力される割算結果mj,1を乱数r1乗して乱数乗結果mrj,1(=mj,1r1)を求める。撹乱部86は、割算部85から入力される割算結果mj,2を乱数r2乗して乱数乗結果mrj,2(=mj,2r2)を求める。撹乱部86は、割算部85から入力される割算結果mj,3を乱数r3乗して乱数乗結果mrj,3(=mj,3r3)を求める。そして、撹乱部86は、求めた乱数乗結果mrj,1,mrj,2,mrj,3を混合部87へ出力する。
【0049】
混合部87は、撹乱部86から入力される乱数乗結果mrj,1,mrj,2,mrj,3を混合し(順番を並び替えて暗号文をランダマイズし)、部分復号部88へ出力する。
部分復号部88は、混合部87から混合された乱数乗結果mrj,1,mrj,2,mrj,3を復号し、復号結果を判断部89へ出力する。
判断部89は、部分復号部88から入力される復号結果に「1」が含まれているか否かを判断する。「1」となるものがあれば復号D(c)∈{1,z,z}を満たすと判断し、「1」となるものがないと判断すると上記関数を満たさないと判断する。満たすjを関数値b2ndと決定し、これによりn(b2nd)が2以上でn(b2nd+1)が1以下である2番目に値の大きい関数値b2ndが求められる。
なお、割算部85、撹乱部86、混合部87、部分復号部88、および判断部89が次点価格演算手段に相当する。
なお、要素積演算部84、割算部85、撹乱部86、混合部87、部分復号部88、および判断部89の処理がlog(p)回繰り返される。
【0050】
要素復号部90は、要素cx,1,cx,2,・・・,cx,Nを復号し、復号D(cx,1),D(cx,2),・・・,D(cx,N)を落札者決定部91へ出力する。ただし、xはb2nd+1を表しており、以下において同じである。
落札者決定部91は、要素復号部90から入力される復号D(cx,1),D(cx,2),・・・,D(cx,N)のうち、D(cx,1st)=zである売手i1stを落札者に決定し、売手i1stを暗号品質取出部92へ出力する。
暗号品質取出部92は、落札者決定部91から入力される売手i1stとフィールド「売手」の値が一致する暗号品質Enc(q1st)を取り出し、取り出した暗号品質Enc(q1st)を品質復号部93へ出力する。
品質復号部93は、暗号品質取出部92から入力される暗号品質Enc(q1st)を復号して品質q1stを求め、求めた品質q1stを報酬演算部94へ出力する。
【0051】
報酬演算部94は、品質復号部93から入力される品質q1stと判断部89から入力される関数値b2ndとを利用して、V(q1st)−b2ndを演算して報酬Pを求め、求めた報酬Pを落札情報公開部95へ出力する。
落札情報公開部95は、それが備える表示部に、落札者決定部91から入力される売手i1stを落札者として表示すると共に、報酬演算部94から入力される報酬Pを落札者に対する報酬として表示する。
【0052】
さらに、上述した電子調達入札システム6において行われる電子調達入札の処理の流れについて図13から図15を参照しつつ説明する。
図13は入札者装置7が実行する電子調達入札の処理の流れを示すフローチャートである。まず、入札者装置7−iを利用する売手iがタイプ入力部72を利用して自身のタイプθを入力する。品質演算部73は、タイプ入力部22から入力される信号に基づきタイプθが入力されたか否かを判断する(ステップS401)。タイプθが入力されていないと判断すると(S401:NO)ステップS401の処理へ戻り、一方、タイプθが入力されたと判断すると(S401:YES)ステップS402の処理へ進む。
品質演算部73は、タイプ入力部72から入力されるタイプθとフィールド「タイプ」の値が一致する関数b(q,θ)を関数記憶部71から取り出し、取り出した関数b(q,θ)を最大にする品質qを求める(ステップS402)。
品質暗号部74は、ステップS402において求められた品質qを公開鍵暗号Encにて暗号化する(ステップS403)。
【0053】
価格演算部75は、タイプ入力部22から入力されるタイプθとフィールド「タイプ」の値が一致する関数b(q,θ)を関数記憶部71から取り出す。そして、価格演算部75は、取り出した関数b(q,θ)にステップS402において得られる品質qを代入して関数b(q,θ)の値(関数値)bを求める(ステップS404)。
価格暗号部76は、ステップS404において求められた関数値bに対し、下記に示す要素c1,i,c2,i,・・・,cp,iよりなる暗号文列C(b)=(c1,i,c2,i,・・・,cp,i)を生成する。ただし、
j,i=E(z):j=1,2,・・・,b
j,i=E(1):j=b+1,b+2,・・・,p
である(ステップS405)。
【0054】
申告情報送信部77は、入札者装置7−iを利用している売手iを示す情報とステップS403において得られた暗号品質Enc(q)とステップS405において得られた暗号文列C(b)とを開札者装置8へ送信する(ステップS406)。
【0055】
図14は開札者装置8が実行する電子調達入札の処理(申告情報の登録)の流れを示すフローチャートである。
まず、申告情報受信部82は入札者装置8−iによって送信された売手iを示す情報と暗号品質Enc(q)と暗号文列C(b)とを受信したか否かを判断する(ステップS501)。各情報を受信していないと判断すると(S501:NO)ステップS501の処理へ戻る。一方、各情報を受信したと判断すると(S501:YES)ステップS502の処理へ進み、申告情報登録部83は、ステップS501において申告情報受信部82によって受信された売手iを示す情報と暗号品質Enc(q)と暗号文列C(b)とを申告情報記憶部81に記憶する(ステップS502)。そして、ステップS501の処理へ戻る。
【0056】
図15は開札者装置8が実行する電子調達入札の処理(落札者の決定)の流れを示すフローチャートである。
買手は各売手iから申告情報(売り手i、暗号品質Enc(q)、暗号文列C(b))を受け取った後所定の操作を行うと、要素積演算部84は、申告情報記憶部81の記憶内容を参照し、各暗号文列C(b)のj番目の要素cj,iの積算(cj,1j,2・・・cj,N)を行い、要素積c(=cj,1j,2・・・cj,N)を求める(ステップS601)。
【0057】
割算部85は、要素積演算部84から入力される要素積cをE(1),E(z),E(z)の夫々で割り算し、撹乱部86は、各割算結果mj,1,mj,2,mj,3の夫々を乱数r1乗、乱数r2乗、乱数r3乗して乱数乗結果mrj,1,mrj,2,mrj,3を求める。混合部87は乱数乗結果mrj,1,mrj,2,mrj,3を並び替える。部分復号部88は、混合部87により混合された乱数乗結果mrj,1,mrj,2,mrj,3を復号する。判断部89は、部分復号部88による復号結果に「1」が含まれているか否かを判断する。「1」となるものがあれば復号D(c)∈{1,z,z}を満たすと判断し、「1」となるものがないと判断すると上記関数を満たさないと判断する。満たすjを関数値b2ndと決定し、これによりn(b2nd)が2以上でn(b2nd+1)が1以下である2番目に値の大きい関数値b2ndが求められる(ステップS602)。
ステップS601およびステップS602の処理はj=p/2,p/4、p/8、・・・の順にlog(p)回繰り返し行われる。
【0058】
要素復号部90は、要素cx,1,cx,2,・・・,cx,Nを復号し、落札者決定部91は、復号結果である復号D(cx,1),D(cx,2),・・・,D(cx,N)のうち、D(cx,1st)=zである売手i1stを落札者に決定する(ステップS603)。
暗号品質取出部92は、落札者決定部91から入力される売手i1stとフィールド「売手」の値が一致する暗号品質Enc(q1st)を取り出し、品質復号部93は、取り出された暗号品質Enc(q1st)を復号して品質q1stを求める(ステップS604)。
【0059】
報酬演算部94は、ステップS604において求められた品質q1stとステップS602において求められた関数値b2ndとを利用して、V(q1st)−b2ndを演算して報酬Pを求める(ステップS605)。
落札情報公開部95は、それが備える表示部に、ステップS603において決定された売手i1stを落札者として表示すると共に、ステップS605において求められた報酬Pを落札者に対する報酬として表示する(ステップS606)。
以上説明した第2の実施の形態によれば、売手のタイプを秘匿するのみならず、売手の品質および価格に対応した情報も秘匿した調達入札を実現することができる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0061】
尚、上述した各処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上記各種処理を行ってもよい。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0062】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。更に、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電子調達システムのシステム構成図。
【図2】図1の入札者装置の機能構成を示す機能ブロック図。
【図3】図2の関数記憶部の一例を示す図。
【図4】図1の開札者装置の機能構成を示す機能ブロック図。
【図5】図4の申告情報記憶部の一例を示す図。
【図6】図1の入札者装置が実行する電子調達入札の処理の流れを示すフローチャート。
【図7】図1の開札者装置が実行する電子調達入札の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図1の開札者装置が実行する電子調達入札の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態の電子調達システムのシステム構成図。
【図10】図9の入札者装置の機能構成を示す機能ブロック図。
【図11】図9の開札者装置の機能構成を示す機能ブロック図。
【図12】図11の申告情報記憶部の一例を示す図。
【図13】図9の入札者装置が実行する電子調達入札の処理の流れを示すフローチャート。
【図14】図9の開札者装置が実行する電子調達入札の処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】図9の開札者装置が実行する電子調達入札の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 電子調達システム
2 入札者装置
3 開札者装置
21 関数記憶部
22 タイプ入力部
23 品質演算部
24 価格演算部
25 申告情報送信部
31 申告情報記憶部
32 申告情報受信部
33 申告情報登録部
34 落札者情報取出部
35 次点者情報取出部
36 報酬演算部
37 落札情報公開部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
価格および品質に基づく入札を行う電子調達入札方法において、
各売手i(i=1〜N)側の入札者装置が売手iのタイプθに依存し品質qを変数とする関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求める品質演算手順と、
各前記入札者装置が前記品質演算手順において求められた品質qの前記関数の関数値bを求める価格演算手順と、
各前記入札者装置が前記品質演算手順において求められた品質qおよび前記価格演算手順において求められた関数値bを買手側の開札者装置へ送信する申告情報送信手順と、
前記開札者装置が各前記入札者装置によって送信された品質qおよび関数値bを受信する申告情報受信手順と、
前記開札者装置が前記申告情報受信手順において受信した品質qおよび関数値bを売手iに対応付けて申告情報記憶手段に記憶させる申告情報登録手順と、
前記開札者装置が前記申告情報記憶手段から関数値bが最大の売手i1stを取り出す落札情報取出手順と、
前記開札者装置が前記申告情報記憶手段に記憶されている最大の関数値bに対応した品質q1stおよび二番目に値の大きい関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算して求める報酬演算手順と、
前記開札者装置が前記落札情報取出手順において取り出された売手i1stを落札者として公開するとともに、前記報酬演算手順において求められた報酬を落札者の報酬として公開する落札情報公開手順と、
を有することを特徴とする電子調達入札方法。
【請求項2】
価格および品質に基づく入札を行う電子調達入札方法において、
準同型性を満たす公開鍵暗号E、暗号文の平分になり得る範囲の1以外の数z、および入札価格表P={1,2,・・・,p}を公開し、
各売手i(i=1〜N)側の入札者装置が売手iのタイプθに依存し品質qを変数とする関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求める品質演算手順と、
各前記入札者装置は前記品質演算手順において求められた品質qを公開鍵暗号Encにて暗号化する品質暗号化手順と、
各前記入札者装置が前記品質演算手順において求められた品質qの前記関数の関数値bを求める価格演算手順と、
各前記入札者装置が前記価格演算手順において求められた関数値bに対し要素cj,i=E(1)(j=1,2,・・・,b)および要素cj,i=E(z)(j=b+1,b+2,・・・,p)を要素とする暗号文列C(b)を生成する価格暗号化手順と、
前記入札者装置が前記品質暗号化手順において暗号化された暗号品質Enc(q)および前記価格暗号化手順において生成された暗号文列C(b)を買手側の開札者装置へ送信する申告情報送信手順と、
前記開札者装置が各前記入札者装置によって送信された暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を受信する申告情報受信手順と、
前記開札者装置が前記申告情報受信手順において受信した暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を売手iに対応付けて申告情報記憶手段に記憶させる申告情報登録手順と、
前記開札者装置が前記申告情報記憶手段に記憶されている各暗号文列C(b)のj番目の要素cj,iの積算を行い、要素積c=E(zn(j))(n(j)はj以上の関数値で入札した入札者の数)を求める要素積演算手順と、
前記開札者装置が前記要素積演算手順において求められた要素積cを利用してn(b2nd)が2以上でn(b2nd+1)が1以下である関数値b2ndを求める次点価格演算手順と、
前記開札者装置が前記申告情報記憶手段に記憶されている暗号文列の各要素cx,i(i=1〜N)を復号し(xはb2nd+1を表しており、以下において同じ)、その結果がzとなる要素cx,1stに対応する売手i1stを落札者に決定する落札者決定手順と、
前記開札者装置が前記申告情報記憶手段に記憶されている前記落札者決定手順において決定された売手i1stに対応する暗号品質Enc(qi)を復号する品質復号手順と、
前記開札者装置が前記品質復号手順において復号された品質q1stおよび前記次点価格演算手順において求められた関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算して求める報酬演算手順と、
前記開札者装置が前記落札者決定手順において決定された売手i1stを落札者として公開するとともに、前記報酬演算手順において求められた報酬を落札者の報酬として公開する落札情報公開手順と、
を有することを特徴とする電子調達入札方法。
【請求項3】
各売手i(i=1〜N)側の入札者装置と買手側の開札者装置とを備え、価格および品質に基づく入札を行う電子調達入札システムにおいて、
前記売手i側の入札者装置が
売手iのタイプθに依存し品質qを変数とする関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求める品質演算手段と、
前記品質演算手段により求められる品質qの前記関数の関数値bを求める価格演算手段と、
前記品質演算手段により求められる品質qおよび前記価格演算手段により求められる関数値bを前記開札者装置へ送信する申告情報送信手段と、
を備え、
前記開札者装置が
売手iに対応付けて当該売手iの品質qおよび関数値bを記憶する申告情報記憶手段と、
各前記入札者装置によって送信された品質qおよび関数値bを受信する申告情報受信手段と、
前記申告情報受信手段により受信される品質qおよび関数値bを売手iに対応付けて前記申告情報記憶手段に記憶させる申告情報登録手段と、
前記申告情報記憶手段から関数値bが最大の売手i1stを取り出す落札情報取出手段と、
前記申告情報記憶手段に記憶されている最大の関数値bに対応した品質q1stおよび二番目に値の大きい関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算して求める報酬演算手段と、
前記落札情報取出手段により取り出される売手i1stを落札者として公開するとともに、前記報酬演算手段により求められる報酬を落札者の報酬として公開する落札情報公開手段と、
を有することを特徴とする電子調達入札システム。
【請求項4】
各売手i(i=1〜N)側の入札者装置と買手側の開札者装置とを備え、準同型性を満たす公開鍵暗号E、暗号文の平分になり得る範囲の1以外の数z、および入札価格表P={1,2,・・・,p}を公開し、価格および品質に基づく入札を行う電子調達入札システムにおいて、
前記売手i側の入札者装置が
売手iのタイプθに依存し品質qを変数とする関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求める品質演算手段と、
前記品質演算手段により求められる品質qを公開鍵暗号Encにて暗号化する品質暗号化手段と、
前記品質演算手段により求められる品質qの前記関数の関数値bを求める価格演算手段と、
前記価格演算手段により求められる関数値bに対し要素cj,i=E(1)(j=1,2,・・・,b)および要素cj,i=E(z)(j=b+1,b+2,・・・,p)を要素とする暗号文列C(b)を生成する価格暗号化手段と、
前記品質暗号化手段により暗号化される暗号品質Enc(q)および前記価格暗号化手段により生成される暗号文列C(b)を前記開札者装置へ送信する申告情報送信手段と、
を備え、
前記開札者装置が、
売手iに対応付けて当該売手iの暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を記憶する申告情報記憶手段と、
各前記入札者装置によって送信される暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を受信する申告情報受信手段と、
前記申告情報受信手段により受信される暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を売手iに対応付けて前記申告情報記憶手段に記憶させる申告情報登録手段と、
前記申告情報記憶手段に記憶されている各暗号文列C(b)のj番目の要素cj,iの積算を行い、要素積c=E(zn(j))(n(j)はj以上の関数値で入札した入札者の数)を求める要素積演算手段と、
前記要素積演算手段により求められる要素積cを利用してn(b2nd)が2以上でn(b2nd+1)が1以下である関数値b2ndを求める次点価格演算手段と、
前記申告情報記憶手段に記憶されている暗号文列の各要素cx,i(i=1〜N)を復号し(xはb2nd+1を表しており、以下において同じ)、その結果がzとなる要素cx,1stに対応する売手i1stを落札者に決定する落札者決定手段と、
前記申告情報記憶手段に記憶されている前記落札者決定手段により決定される売手i1stに対応する暗号品質Enc(qi)を復号する品質復号手段と、
前記品質復号手段により復号される品質q1stおよび前記次点価格演算手段により求められる関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算して求める報酬演算手段と、
前記落札者決定手段により決定される売手i1stを落札者として公開するとともに、前記報酬演算手段により求められる報酬を落札者の報酬として公開する落札情報公開手段と、
を有することを特徴とする電子調達入札システム。
【請求項5】
売手i(i=1〜N)側の入札者装置としてのコンピュータに売手iのタイプθに依存し品質qを変数とする関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求める品質演算手順と、
コンピュータに前記品質演算手順において求められた品質qの前記関数の関数値bを求める価格演算手順と、
コンピュータに前記品質演算手順において求められた品質qおよび前記価格演算手順において求められた関数値bを買手側の開札者装置としてのコンピュータへ送信する申告情報送信手順と、
を実行させることを特徴とする電子調達入札プログラム。
【請求項6】
買手側の開札者装置としてのコンピュータに各売手i(i=1〜N)側の入札者装置としてのコンピュータによって送信された品質qおよび関数値bを受信する申告情報受信手順と、
コンピュータに前記申告情報受信手順において受信した品質qおよび関数値bを売手iに対応付けて申告情報記憶手段に記憶させる申告情報登録手順と、
コンピュータに前記申告情報記憶手段から関数値bが最大の売手i1stを取り出す落札情報取出手順と、
コンピュータに前記申告情報記憶手段に記憶されている最大の関数値bに対応した品質q1stおよび二番目に値の大きい関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算して求める報酬演算手順と、
コンピュータに前記落札情報取出手順において取り出された売手i1stを落札者として公開するとともに、前記報酬演算手順において求められた報酬を落札者の報酬として公開する落札情報公開手順と、
を実行させることを特徴とする電子調達入札プログラム。
【請求項7】
準同型性を満たす公開鍵暗号E、暗号文の平分になり得る範囲の1以外の数z、および入札価格表P={1,2,・・・,p}が公開されており、
売手i(i=1〜N)側の入札者装置としてのコンピュータに売手iのタイプθに依存し品質qを変数とする関数{V(q)−c(q、θ)}を最大にする品質qを求める品質演算手順と、
コンピュータに前記品質演算手順において求められた品質qを公開鍵暗号Encにて暗号化する品質暗号化手順と、
コンピュータに前記品質演算手順において求められた品質qの前記関数の関数値bを求める価格演算手順と、
コンピュータに前記価格演算手順において求められた関数値bに対し要素cj,i=E(1)(j=1,2,・・・,b)および要素cj,i=E(z)(j=b+1,b+2,・・・,p)を要素とする暗号文列C(b)を生成する価格暗号化手順と、
コンピュータに前記品質暗号化手順において暗号化された暗号品質Enc(q)および前記価格暗号化手順において生成された暗号文列C(b)を買手側の開札者装置としてのコンピュータへ送信する申告情報送信手順と、
を実行させることを特徴とする電子調達入札プログラム。
【請求項8】
準同型性を満たす公開鍵暗号E、暗号文の平分になり得る範囲の1以外の数z、および入札価格表P={1,2,・・・,p}が公開されており、
買手側の開札者装置としてのコンピュータに各売手i(i=1〜N)側の入札者装置としてのコンピュータによって送信された暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を受信する申告情報受信手順と、
コンピュータに前記申告情報受信手順において受信した暗号品質Enc(q)および暗号文列C(b)を売手iに対応付けて申告情報記憶手段に記憶させる申告情報登録手順と、
コンピュータに前記申告情報記憶手段に記憶されている各暗号文列C(b)のj番目の要素cj,iの積算を行い、要素積c=E(zn(j))(n(j)はj以上の関数値で入札した入札者の数)を求める要素積演算手順と、
コンピュータに前記要素積演算手順において求められた要素積cを利用してn(b2nd)が2以上でn(b2nd+1)が1以下である関数値b2ndを求める次点価格演算手順と、
コンピュータに前記申告情報記憶手段に記憶されている暗号文列の各要素cx,i(i=1〜N)を復号し(xはb2nd+1を表しており、以下において同じ)、その結果がzとなる要素cx,1stに対応する売手i1stを落札者に決定する落札者決定手順と、
コンピュータに前記申告情報記憶手段に記憶されている前記落札者決定手順において決定された売手i1stに対応する暗号品質Enc(qi)を復号する品質復号手順と、
コンピュータに前記品質復号手順において復号された品質q1stおよび前記次点価格演算手順において求められた関数値b2ndを利用して売手i1stの報酬を{V(q1st)−b2nd}を演算して求める報酬演算手順と、
コンピュータに前記落札者決定手順において決定された売手i1stを落札者として公開するとともに、前記報酬演算手順において求められた報酬を落札者の報酬として公開する落札情報公開手順と、
を実行させることを特徴とする電子調達入札プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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