説明

電子透かしによる画像処理方法および画像処理装置

【課題】画像の前景,または,背景の画素値についてあらかじめ決定せずに,電子透かし埋め込みによる画質劣化の防止を可能にする切れ補正装置を提供する。
【解決手段】本発明の切れ補正装置は,既存の電子透かし技術を用いた電子透かし挿入装置に付加されて機能する装置である。切れ補正装置は,補正パラメータ,電子透かし挿入装置への入力画像,および透かし画像を入力として受け付け,補正された透かし画像を出力する。透かし画像の補正処理は,透かし画像のラベリング処理と,透かし挿入による変更画素の近傍領域のラベル数の計数に応じた画素値変更処理から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像に含まれる,文字及び図形に電子透かしにより情報を埋め込む技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子媒体に記録された情報に対する情報漏洩対策,著作権管理,コピー制御などを目的として,コンテンツに目立たないように付加情報を挿入する電子透かし技術が開発されてきた。また近年は,画像に対する電子透かし技術を応用した,印刷物に対応できる電子透かしの提案もなされてきている。
【0003】
電子透かしは,画素値を変化させることで情報を挿入する技術であるから,画質の劣化が避けられない。対象とする画像が,白と黒のような二値で構成される画像の場合,画素値の取りうる値が限定されているがゆえに,例えば,画像中の文字や図形の形状を変化させることで情報の埋め込みを行うことが行われており,情報を目立たないように挿入するために,種々の技術が開発されている。
【0004】
画像を構成する画素の取りうる値が三値以上になる多値画像の場合は,画素の明るさや色彩を微小に変化させることで情報を目立たないように挿入することができる。ただし,文書画像のように,画素値の変更を認める前景部分の面積が小さく,画素値の変更を認めない背景部分の面積が大きいような画像では,前景画素の明るさや色彩の微小変化だけでは十分な耐性をもつ情報埋め込みが実現できない場合がある。このような場合には,例えば,前景の形状変化などを利用した埋め込みを実行しないと耐性を確保できない。
【0005】
前景の形状を変化させることで情報を埋め込む方法においては,
人間の視覚特性に基づき,画像中の画素に対する改変の目立ち易さに関してその判断基準およびその優先順位を与え,優先順位が高い画素から順に改変を施すことで,できるだけ視覚的な影響の少ない情報埋め込みを実現する方法が考えられた(非特許文献1参照)。また,情報埋め込みにおいて,画素の変更によって生じる「切れ」の検知と,検知した「切れ」の補正によって,画質劣化を抑える方法も考えられた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-219680号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】M. Wu and B. Liu: "Data Hiding in Binary Image for Authentication and Annotation", IEEE Trans. on Multimedia, vol. 6, no. 4, pp.528-538, August 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1には,画素値改変の判断基準・優先順位の決定を,注目画素の周囲3×3画素の局所的な配置を元に行う,と記載されている。非特許文献1には,さらに,より視覚的な影響を少なくするためにより広い近傍の画素配置を利用するとの記述があるが,具体的な方法が示されていないし,利用する領域を大きくするに従い,必要なメモリ容量や計算量が指数関数的に増大する,という課題がある。
【0009】
特許文献1には,透かし埋め込み済み画像に対するラベリング処理と,透かし埋め込みによる変更画素の近傍領域のラベル数に応じた画素値変更処理によって,透かし埋め込みによって生じた切れを補正し,画質劣化を軽減する,と記載されている。
【0010】
ただし,特許文献1には,対象となる画像が二値画像の場合に好適な切れ補正方法が開示されており,対象となる画像が多値画像の場合には,切れ補正処理に先立って前景および背景の画素値についてあらかじめ一つずつ決定しておく必要がある,切れを補正できる領域の前景と背景の画素値が限定的である,などの課題がある。前景または背景となる画素値をあらかじめ決定しない切れ補正方法については,具体的な開示がない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書においては,電子透かしによる,画像に対する情報埋め込みにおいて,画質劣化程度をより少なくする技術が開示される。
【0012】
すなわち,画像に対する電子透かしによる情報埋め込みにおいて,画素の変更によって生じる「切れ」の検知と,検知した「切れ」の補正によって,画質劣化を抑える技術が開示される。
【0013】
上記画質劣化抑制技術は,対象となる画像が多値画像の場合,切れ補正処理に先立って,前景および背景の画素値について,あらかじめ決定しておく必要がないことを一つの特徴とする。
【0014】
開示されるより具体的な態様の一つは,電子透かしによる情報埋め込み処理における,画素値の変更に伴い発生する切れを補正する画像処理方法であって,
入力画像に対する上記情報埋め込み処理結果である透かし画像について,
隣接する何れの画素とも画素値間の差があらかじめ設定された閾値よりも大きい画素値を持つ一つの画素により,または,互いに隣接し,かつ,画素値間の差が上記閾値よりも大きくない画素値を持つ複数の画素により,一つの集合を構成した場合に,同じ集合に属する各々の画素には同一で,他の集合に属する画素とは異なるラベル値を付与し,各画素が属する集合を,上記ラベル値によって識別可能なラベル画像を出力するラベリングステップと,
各々の上記集合に,当該集合に属する画素が有する画素値を表す一つまたは複数の集合画素値を設定する集合画素値設定ステップと,
上記入力画像に対する上記情報埋め込み処理によって画素値が変更された画素を対象として,上記ラベル画像における,あらかじめ設定された近傍領域に含まれる,上記対象画素の上記情報埋め込み処理前の画素値を表す集合画素値を有する集合を識別するラベル判定処理ステップと,
上記ラベル判定処理において,識別した上記集合が二つ以上である場合に,上記透かし画像の,上記対象画素の画素値を,上記情報埋め込み処理前の画素値に戻す変更取り消し処理を行う変更取り消し処理ステップと,
上記変更取り消し処理を施した補正画像を出力する補正画像出力ステップと,を備えることを特徴とする。
【0015】
さらに,上記画像処理方法において,上記ラベリングステップは,あらかじめ設定された一つまたは複数の閾値によって,上記透かし画像の画素値を量子化する画素値量子化ステップを備えてもよい。
【0016】
さらに,上記画像処理方法において,上記集合画素値は,一つの上記集合に属する画素が有する画素値に含まれる,一つ,もしくは,複数の画素値であるか,または,上記複数の画素値のうち最頻出の画素値,または,上記複数の画素値の平均値を含む,一定範囲にある画素値であってもよい。
【0017】
さらに,上記画像処理方法において,上記ラベリングステップが対象とする画素は,あらかじめ設定された一つまたは複数の前景画素値のいずれかを有する画素であって,上記ラベル判定処理ステップが対象とする画素は,上記入力画像に対する上記情報埋め込み処理によって,画素値が上記一つまたは複数の前景画素値のいずれかから,上記一つまたは複数の前景画素値のいずれとも異なる画素値へ変更された画素であってもよい。
【0018】
さらに,上記画像処理方法において,上記ラベル判定処理ステップが対象とする画素は,上記入力画像に対する上記情報埋め込み処理によって,画素値があらかじめ設定された明るさの増減に従うように変更された画素であってもよい。
【0019】
上述したとおり,開示される画像処理方法は,画像に関して,電子透かし挿入後の透かし画像にラベリング処理を施し,変更された画素の周囲のラベル数を観測することにより,透かし挿入により発生する切れを検知し,それを補正することを一つの主要な特徴とする。
【0020】
本明細書における画像とは,二値画像と多値画像を含む。本明細書における二値画像とは,画像に含まれる画素のとりうる画素値が,例えば白と黒や,白と赤,のように二つの画素値のうちのいずれかであるような画像を指す。一方,本明細書における多値画像とは,画像に含まれる画素のとりうる画素値が,三つ以上の画素値のうちのいずれかであるような画像を指す。画素値は,例えば,8ビットの情報量で表される輝度値(0から255までの256段階)であってもよいし,色の三要素を赤(Red(R)),緑(Green(G)),青(Blue(B))としてそれぞれの要素の強度を8ビットの情報量で表した,それら三つの強度値の組み合わせ(R,G,B)であってもよい。あるいは,他の表色系における値および値の組み合わせであってもよいし,これら以外の別の値であってもよい。
【0021】
また,本明細書における画像とは,複数の画素の集合を指す。従って,より大きなコンテンツに含まれる一部分の画像に対しても,本明細書の開示内容は適用可能である。
【0022】
ラベリング処理のポイントは,隣接(斜めを含んでもよい)する何れの画素とも画素値間の差があらかじめ設定された閾値よりも大きい一つの画素により,または,互いに隣接(斜めを含んでもよい)する,かつ,画素値間の差が閾値よりも大きくない画素値を持つ複数の画素により,一つの集合を構成した場合に,各画素が属する集合を識別可能なラベル画像を出力することである。
【0023】
より具体的は,同じ集合に属する各々の画素には同一で,他の集合に属する画素に付与するラベル値とは異なるラベル値を付与することである。
【0024】
なお,ラベリング処理に先立って,あらかじめ設定された一つまたは複数の閾値によって,ラベリング対象画像(透かし画像)の画素値を量子化してもよい。
【0025】
なお,ラベリング処理の具体的なアルゴリズムについては数々の文献がある。例えば,下記文献の173ページから180ページにかけて,二値画像に対するラベリング処理に関する記述がある。
【0026】
"Binary Digital Image Processing: A Discrete Approach", Stephane Marchand-Maille, Yazid M. Sharaiha, Academic Pr (1999/12)
なお,開示される補正処理は,情報埋め込みのための画像改変が冗長性を有している電子透かしアルゴリズムであれば適用可能であり,適用により視覚的影響の少ない電子透かし埋め込みを実現できる。
【発明の効果】
【0027】
電子透かし埋め込みによる画質劣化程度をより少なくすることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
電子透かし埋め込みに伴う画質劣化の主な原因である切れを防止するという目的を,電子透かし埋め込みアルゴリズムに依存せずに実現する。
【実施例1】
【0029】
本実施例では画像は一般の多値画像であり,前景および背景となる画素の画素値に関して何も制限を設けないものとする。
【0030】
図1は,本発明の一実施形態,電子透かし埋め込みシステム10の構成を表すブロック図である。
【0031】
本実施形態において,電子透かし埋め込みシステム10は,画像コンテンツ21と補正パラメータ31を入力として受け付け,透かし埋め込みと切れ補正処理を経た透かし入り画像コンテンツ22を出力する。なお,本明細書では,透かし入り画像を単に透かし画像という場合がある。
【0032】
電子透かし埋め込みシステム10は,電子透かし挿入装置20および切れ補正装置30を備える。
【0033】
電子透かし挿入装置20は,入力部200,透かし画像合成部210,出力部220を備える。入力部200は,電子透かし埋め込みの対象となる画像コンテンツ21と,キーボードやマウスなどを介したユーザの入力操作を受け付け,その操作に応じて透かし画像合成部210における透かし画像合成に関わるパラメータの設定を行い,透かし画像合成部210に透かし画像合成の開始を指示する。
【0034】
透かし画像合成部210は入力部200から画像コンテンツ21と透かし画像合成に関わるパラメータを受け付け,画像コンテンツ21に対して電子透かしの埋め込みを行い,透かし画像を合成する。出力部220は,電子透かし埋め込み処理および切れ補正処理を経た画像を受け付け,透かし画像コンテンツ22として透かし挿入装置20から出力する。
【0035】
切れ補正装置30は,補正パラメータ入力部300,入力画像入力部310,透かし画像入力部320,ラベリング部330,透かし画像補正部340,および補正画像出力部350を備える。補正パラメータ入力部300は,外部ファイルなどにあらかじめ記録された補正パラメータ31を受け付け,ラベリング部330および透かし画像補正部340における処理に関わるパラメータの設定を行う。
【0036】
入力画像入力部310,および透かし画像入力部320は,電子透かし挿入装置20からそれぞれ入力画像コンテンツ21,透かし画像を受け付ける。ラベリング部330は,補正パラメータ入力部300からラベリング処理に関わるパラメータを,透かし画像入力部320から透かし画像を受け付け,その透かし画像に対して後述のラベリング処理を施す。透かし画像補正部340は,補正パラメータ入力部300から画像補正処理に関わるパラメータを,入力画像入力部310から入力画像コンテンツ21を,透かし画像入力部320から透かし画像を,ラベリング部330からラベル画像をそれぞれ受け付け,透かし画像に対して後述の切れ補正処理(変更取り消し処理)を施し補正画像を作成する。補正画像出力部350は,透かし画像補正部340から補正画像を受け付け,補正画像を電子透かし挿入装置20の出力部220へ送信する。
【0037】
電子透かし挿入装置20は,切れ補正装置30の存在如何に関わらず,入力部200,透かし画像合成部210,出力部220のみで電子透かし埋め込み処理を完遂するに足る構成であり,切れ補正装置30が加わり電子透かし埋め込みシステム10を構成することにより,より視覚的影響の少ない電子透かし埋め込みを実現するものである。
【0038】
本実施形態の電子透かし埋め込みシステム10または,電子透かし挿入装置20,切れ補正装置30各々は,一般的なコンピュータ上に実現することが可能であり,図2に,そのハードウェア構成の一例を示す。
【0039】
コンピュータ40は,CPU400,RAM410,ストレージ420,ユーザインターフェイス430,通信インターフェイス440,およびメディアインターフェイス450を備える。CPU400は,RAM410およびストレージ420に格納されたプログラムに基づいて動作し,図1に示す各処理部をコンピュータ40上に実現する。なお,以下の実施例では,各処理部を実行主体として説明する。
【0040】
RAM410は,CPU400が実行するプログラムおよびCPU400が使用する画像などのデータを一時的に格納する。ストレージ420は,起動時にCPU400が実行するブートプログラムや,ハードウェアに依存するプログラムや,図1に示す各処理部を実現するプログラムや,画像コンテンツ等を格納する。ユーザインターフェイス430はマウス,キーボードなどの入力デバイスとディスプレイなどの表示デバイスであり,ユーザインターフェイス430を介してユーザは電子透かし埋め込みシステム10を操作する。
【0041】
通信インターフェイス440は外部の装置とネットワーク460などを介して通信するために用い,電子透かし埋め込み対象となる画像コンテンツ21を受信してストレージ420に保存,さらに,透かし画像コンテンツ22を外部の装置やネットワーク460に送信するために用いる。メディアインターフェイス450は記録媒体470から,電子透かし埋め込み対象となる画像コンテンツ21を読み出してストレージ420に保存,さらに,透かし画像コンテンツ22を記録媒体470に記録する。
【0042】
電子透かし挿入装置20と切れ補正装置30を異なるコンピュータ40上に実現する場合は,装置間のやり取りは通信インターフェイス440を介して行う。
【0043】
電子透かし挿入装置20と切れ補正装置30をコンピュータ40に実現するためのプログラムは,通信インターフェイス440により外部の装置から通信媒体を介して,または,メディアインターフェイス450により記録媒体470から受け付けられ,RAM410やストレージ420を介してCPU400に提供される。通信媒体とはネットワーク460やネットワーク460を伝搬する搬送波やデジタル信号を指す。
【0044】
図3は,ラベリング部330が実行するラベリング処理の概要を示す概念図である。
【0045】
ラベリング部330が実行するラベリング処理は,ラベリング部330への入力画像に含まれる画素のうち,対象とする画素を,パラメータにもとづき複数の集合のいずれかに振り分ける処理であり,対象とする画素に対してその所属する集合を示すラベルを一つずつ付与する処理である。
【0046】
また,ラベリング処理の結果,どのラベルに対してもそれぞれ一つまたは複数の画素値を対応させることができる。すなわち,各々の集合に対し,その集合に属する画素が有する画素値を表す,集合画素値を与える。
【0047】
一つの同一のラベルを付与された複数の画素が,全て同一の画素値を有する場合は,それら複数の画素が共通して有する画素値を一つの集合画素値として当該ラベルに対応させてもよい。例えば,画素値が8ビットの情報量で表される輝度値であるような多値画像において,一つの同一のラベルを付与された複数の画素の輝度値が全て「120」であった場合,そのラベルの集合画素値として「120」を対応させることができる。あるいは,複数の画素が共通して有する画素値を含む,複数の画素値を集合画素値としてもよい。これは,例えば,一つの同一のラベルを付与された複数の画素の輝度値が全て「120」であった場合,「110から130までの輝度値」のように複数の輝度値を集合画素値とすること,などである。
【0048】
一方,一つの同一のラベルを付与された複数の画素が,複数種類の画素値を有する場合は,それら複数種類の画素値から求められる複数の画素値を集合画素値としてもよい。例えば,単純に,同一のラベルを付与された複数の画素が有する複数種類の画素値の全てを集合画素値としてもよいし,それら複数種類の画素値の全てを含むより広範囲の画素値を集合画素値としても良い。また,複数種類の画素値のうち最頻出の画素値や複数種類の画素値の平均値を含む,一定範囲にある画素値を集合画素値とすることもできる。
【0049】
集合画素値の求め方は各種の方法が考えられ,これら具体的な例示に限定されず,あらゆる方法が適用できる。
【0050】
ラベリング処理は,画素値量子化処理とラベル値付与処理から構成される。ラベリング処理のパラメータとしては,前処理として実行する画素値量子化処理で利用する閾値や,ラベル値付与処理において隣接する画素を同じ集合に振り分けるか否かを判定するための閾値がある。なお,量子化処理は実行されてもよいし,実行されなくてもよい。
【0051】
図3(a)はラベリング部330が受け付ける画像データ500を,図3(b)はラベリング部330による画素値量子化処理後の画像データ510を,図3(c)はラベリング部330によるラベル値付与処理後の画像データ520を表す。
【0052】
図3においては,最小の正方形一つの大きさが一画素の大きさを表し,画素同士の位置関係の把握を容易にする目的で,画素一つ一つをグリッド線で区切って表している。また図3(a)および図3(b)では,等しい画素値を持つ画素について,等しいパターンを持つ正方形で表している。
【0053】
画素値量子化処理は,画像に含まれる画素値の種類を減少させる処理である。具体的な量子化処理については各種の方法が適用可能である。例えば,画素値が輝度値という一つの値で表される場合は,あらかじめ設定された量子化閾値に応じて,輝度値を量子化する方法がある。また,例えば,色の三要素を赤(Red(R)),緑(Green(G)),青(Blue(B))とし,それぞれの要素の強度値の組み合わせ(R,G,B)によって画素値が表される場合は,それら一組の値から輝度値のような一つの値を算出し,算出した一つの値について,あらかじめ設定された量子化閾値に応じた量子化を実行する方法があるし,あるいは,画素値を構成する複数の値それぞれについて,あらかじめ設定された量子化閾値に応じた量子化を実行する方法などもある。量子化の方法はこれら具体的な例示に限定されず,あらゆる方法が適用できる。
【0054】
図3の例において,画素値が256段階(「0」から「255」)の輝度値であるとする。画素値A,B,C,Dがそれぞれ輝度値「10」,「40」,「200」,「20」である場合に,量子化閾値を輝度値「32」おきに設定したとする。量子化の結果,画素値A(輝度値「10」)および画素値D(輝度値「20」)は輝度値「0」へ,画素値B(輝度値「40」)は輝度値「32」へ,画素値C(輝度値「200」)は輝度値「192」へ変更される。画素値量子化処理前の画像データ500には,四種類の画素値が含まれていたのに対して,処理後の画像データ510には,三種類の画素値しか含まれていない。
【0055】
ラベル値付与処理は,隣接(斜めを含んでもよい)する何れの画素とも画素値(画素値を量子化した場合は量子化後の画素値)間の差があらかじめ設定された閾値よりも大きい一つの画素により,または,互いに隣接(斜めを含んでもよい)し,かつ,画素値間の差が閾値よりも大きくない複数の画素により,一つの集合を構成した場合に,同じ集合に属する各々の画素には同一で,他の集合に属する画素とは異なるラベル値を付与する処理である。出力するラベル画像により,各画素が属する集合を識別可能となる。
【0056】
画素値間の差とは,「差が0の場合に両画素値が等しく,差が大きいほど両画素値が異なる度合いが強くなる」と解釈できるものであれば,どのような定義を採用してもよい。例えば,画素値が輝度値という一つの値で表される場合は,二つの画素値の間の差として,輝度値の差の絶対値を採用してもよい。また,例えば,画素値が色の三要素RGBの強度の組み合わせで表される場合に,二画素間でRGBそれぞれの差の絶対値を計算し,そのなかで最も大きい値を二つの画素値の間の差として採用できる。あるいは,二つの画素値をL*a*b*表色系に変換して計算される「色差」という値を採用することもできる。画素値間の差として採用する値については,これら具体的な例示に限定されず,あらゆる値が適用できる。
【0057】
図3の例では,画素値間の差として輝度値の差の絶対値を採用し,閾値を「64」としたとき,画像データ510の各画素は,1,2,3,4の四種類のラベルのうち,いずれか一つのラベルを与えられ,画像データ520が出力される。図3(b)と(c)を比較してわかるように,本例では,四種類のラベルのうち三種類(1,3,4)について,同一のラベルを付与された複数の画素は,全て同一の画素値を有する。したがって,これら各ラベルで識別される集合については,当該集合に属する複数の画素が共通して有する画素値を,その集合の集合画素値とすることができる。すなわち,ラベル1およびラベル4の集合画素値を輝度値「192」,ラベル3の集合画素値を輝度値「0」とすることができる。一方,ラベル2を与えられた画素は,輝度値「0」か「32」を有するため,ラベル2で識別される集合の集合画素値として,例えば,これらの両方の輝度値「0」と「32」を設定することができる。
【0058】
図4は,電子透かし埋め込みシステム10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0059】
入力部200に画像が入力されるなどの所定のタイミングで本フローチャートに示す電子透かし埋め込みシステム10の動作が開始する。まず,透かし画像合成部210が入力画像に電子透かしの埋め込みを行い透かし画像を作成する(S100)。透かし画像の作成時に,電子透かしの埋め込み処理により変更される前の画素値を記憶しておいてもよい。次に,ラベリング部330が透かし画像に対してラベリング処理を実行し,ラベル画像を出力する(S101)。
【0060】
次に,透かし画像補正部340は受け付けた入力画像と透かし画像,およびラベル画像の画素走査を開始する(S102)。透かし画像補正部340は,各走査画素についてその画素が透かし画像合成部210によって画素値が変更された画素か否かを判定する(S103)。画素値が変更されたか否かは,透かし画像合成部210の処理前後の画素値間の差と,あらかじめ定められた閾値を比較することなどで判定してもよい。
【0061】
走査画素が,透かし画像合成部210によって画素値が変更された画素であった場合(S103:Y),透かし画像補正部340は,その走査画素の近傍に位置する,走査画素の変更前の画素値を表す集合画素値を有するラベル値を識別し,ラベル値が二種類以上か否かを判定するラベル判定処理を行う(S104)。この判定の際に観測する近傍領域の形状や大きさは,補正パラメータ入力部300にて設定されたパラメータに依存する。次に,透かし画像補正部340が,走査画素の近傍領域に識別したラベル値が二種類以上あると判定した場合(S104:Y),透かし画像補正部340はその走査画素の画素値を,透かし画像合成部210により変更される前の画素値に戻す変更取り消し処理(切れ補正処理)を行い(S105),次の画素の走査に移る(S106)。
【0062】
一方,透かし画像補正部340が,走査画素は透かし画像合成部210によって画素値が変更された画素ではないと判定した場合(S103:N)と,走査画素の近傍領域に含まれる変更前の走査画素の画素値を表す集合画素値を有するラベル値が一種類以下であると判定した場合(S104:N)は共に,透かし画像補正部340は直ちに次の画素の走査に移る(S106)。
【0063】
次に透かし画像補正部340は,全ての画素の走査が終了したか否かを判定する(S107)。透かし画像補正部340は,全ての画素の走査を終了したと判定した場合(S107:Y),透かし補正画像を出力部220から出力し(S108),本フローチャートに示す透かし埋め込みシステム10による透かし埋め込み処理を終了する。透かし画像補正部340が,全ての画素の走査が終了していないと判定した場合(S107:N)は,次の未走査の画素に対して,透かし画像合成部210によって画素値が変更された画素か否かの判定を行うステップに戻る(S103)。
【0064】
図5は,透かし画像補正部340の画像補正処理の効果を説明するための概念図である。ここでは補正パラメータ入力部300から透かし画像補正部340が受け付けた補正パラメータによって決定される近傍領域が,注目画素を中心とし,注目画素からの距離が1であるような画素から成る正方形である場合と,注目画素を中心とし,注目画素からの距離が2であるような画素から成る正方形である場合を例として説明する。近傍領域の形状や大きさについては,これら具体的な例示に限定されず,あらゆるものが適用できる。
【0065】
図5(a)は,電子透かし埋め込みシステム10への入力画像に含まれる画像600を表す。画像600に含まれる画素は二種類の画素値のいずれかを持っており,ここではそれらの画素値を画素値A,画素値Bということとする。図5では,画素値A,画素値Bを有する画素は,それぞれ黒い塗りつぶし領域と網点領域で表現されている。図5(b)は,透かし画像合成部210が画像600に透かし埋め込み処理を施した結果の画像610を表す。画像610において,透かし画像合成部210により画素値をAからBに変更されたB画素612は,点線により囲まれて表現されている。
【0066】
画像610に含まれる画素は,ラベリング部330により,一つ以上のA画素からなるA画素塊614と,一つ以上のA画素からなるA画素塊616,および一つ以上のB画素からなるB画素塊618の三つの集合に分類され,ラベル付けされる。
【0067】
それぞれの集合に含まれる画素は全て同一の画素値を有しており,共通して有する画素値が集合画素値とされる。透かし画像補正部340は,画像600と透かし入りの画像610,および,画像610をラベル付けした画像を受け付け,画素の走査を開始する。透かし画像補正部340は,透かし画像合成部210により変更が加えられていない画素については,補正を加えない。透かし画像補正部340は,透かし画像合成部210により画素値をAからBに変更されたB画素612については,その近傍領域の画素値Aを表す集合画素値を有するラベル値の個数を観測する。
【0068】
図5(c)は,透かし画像合成部210により画素値をAからBに変更されたB画素612の中の,ある一つの注目画素622の,距離1の近傍領域624を示す概念図620を表し,図5(d)は同じ位置の注目画素632の,距離2の近傍領域634を示す概念図630を表す。
【0069】
概念図620において,注目画素622(斜線網掛けで表示)の距離1の近傍領域624の中には,変更前の注目画素622の画素値(画素値A)を集合画素値とする集合に属する画素は含まれていない。したがって,補正パラメータ入力部300から透かし画像補正部340が受け付けた補正パラメータである近傍距離が1である場合,透かし画像補正部340は注目画素622を変更しない。同様に,画像610に含まれる,透かし画像合成部210によって画素値をAからBに変更されたB画素612の全てについて,その距離1の近傍領域624に含まれる,画素値Aを集合画素値とするラベル値は一種類以下であるため,近傍距離が1である場合は透かし画像補正部340の出力する画像は,透かし画像補正部340への入力透かし画像と等しく,画像610となる。
【0070】
概念図630において,注目画素632(斜線網掛けで表示)の距離2の近傍領域634の中には,A画素塊614の一部と,A画素塊616の一部が含まれているので,近傍領域634に含まれる変更前の注目画素632の画素値(画素値A)を集合画素値とするラベル値の個数は二個である。したがって,補正パラメータ入力部300から透かし画像補正部340が受け付けた補正パラメータである近傍距離が2である場合,透かし画像補正部340は注目画素632をA画素に変更する。同様に透かし画像補正部340は,距離2の近傍領域634内の,変更前の注目画素の画素値を集合画素値とするラベル値の個数の観察を,画像610に含まれる,透かし画像合成部210によって画素値をAからBに変更されたB画素612の全てについて行い,B画素612に含まれる6個のB画素のうち4個の画素についてその画素値をAに変更するため,透かし画像補正部340の出力する画像は図5(e)が表す画像640となる。
【0071】
補正パラメータ入力部300から透かし画像補正部340が受け付けた補正パラメータである近傍距離が1である場合は,透かし画像補正部340は画像610に対して補正を加えないが,近傍距離が2である場合は,画像610と画像640を見比べるとわかるように,透かし画像合成部210がA画素をB画素に変更したことによって生じた切れを,透かし画像補正部340がB画素の一部をA画素に戻すことで補正している。このように近傍領域の形状や大きさによって切れ補正の効果が異なる。
【0072】
図6は,電子透かし埋め込みシステム10を利用した電子透かし埋め込み処理の過程で入力された画像コンテンツに含まれる文字の外観がどのように変わるかを説明する概念図である。概念図に示す画像に含まれる画素は二種類の画素値のいずれかを有する。ここではそれら二種類の画素値を有する画素を,白と黒の領域で表現する。補正パラメータ入力部300にて,補正パラメータである近傍距離を2に設定した場合を示す。
【0073】
図6(a)は,入力画像に含まれている文字,「y」の外形図700を表す。図6(b)は,透かし画像合成部210にて作成された透かし画像の,図6(a)の「y」と同じ場所に含まれている文字「y」の外形図710を表す。図6(c)は,ラベリング部330で作成されたラベル画像の,図6(a)および図6(b)の「y」と同じ場所に含まれている文字「y」の外形図720を表す。図6(c)において全ての画素はラベリング部330によって,画素塊721,画素塊722,画素塊723,画素塊724,画素塊725,画素塊726のいずれかにラベル付けされる。画素塊726は,白で表される画素値を有する画素の集合であり,本図では最も面積が大きい集合である。図6(d)は,透かし画像補正部340にて作成される出力画像の,図6(a),図6(b)および図6(c)の「y」と同じ場所に含まれている文字「y」の外形図730を表す。
【0074】
図6(b)と図6(d)を比べることで,透かし画像合成部210の透かし合成処理によって生じた切れが,透かし画像補正部340にて補正されている様子がわかる。また,図6(a)と図6(d)を比べることにより,透かし画像補正部340による画像補正処理は,透かし画像合成部210にて変更された画素を全て補正してしまうのではなく,切れを生じない箇所の変更を残していることが確認できる。
【0075】
なお,本例では,文字に対する処理を例示したが,入力される画像コンテンツが文字以外の図形を含む場合でも,同様の効果が得られる。
【0076】
以上説明から明らかなように,本実施形態の電子透かし埋め込みシステム10によって既存の電子透かし埋め込みアルゴリズムを採用しつつ,切れを補正した,画質劣化が目立ちづらい電子透かしの埋め込みを実現することができる。
【実施例2】
【0077】
一般の多値画像を対象とし,前景となる画素の画素値に関してあらかじめ限定した場合の,電子透かし埋め込みによる画質劣化程度をより少なくする実施例について説明する。
【0078】
前景となる画素の画素値に関して限定するとは,例えば,「前景は画素値が黒である画素で構成される」とすることなどである。また,例えば,「前景は画素値が黒,あるいは,赤である画素で構成される」のように,前景の画素値として複数の画素値を候補として挙げてもよい。
【0079】
本実施例における電子透かし埋め込みシステム10は,実施例1と同一の構成である。すなわち本実施例における電子透かし埋め込みシステム10は,電子透かし挿入装置20および切れ補正装置30を備える。本実施例と実施例1との違いは,透かし埋め込みよる画素値の変更に伴い発生する切れを補正する画像処理方法にある。
【0080】
図7は,本実施例における電子透かし埋め込みシステム10の動作の一例を示すフローチャートである。図7において,透かし画像に対して実行するラベリング処理(S201),および,各走査画素が透かし埋め込みによって変更されたか否かを判定する処理(S203)の二つの処理が,実施例1の図4のフローチャートと異なる。
【0081】
ラベリング部330は透かし画像に対して実行するラベリング処理(S201)において,前景の画素値を有する画素に限定してラベルを付与する。具体的には,ラベルを付与する対象画素を,あらかじめ設定された一つまたは複数の前景画素値のいずれかを有する画素に制限している点が,実施例1と異なる。
【0082】
透かし画像補正部340は,各走査画素についてその画素が,透かし画像合成部210によって画素値が前景画素値から前景画素値とは異なる画素値へ変更された画素か否かを判定する(S203)。具体的には,以降の判定対象画素を,あらかじめ設定された一つまたは複数の前景画素値のいずれかの画素値から,一つまたは複数の前景画素値のいずれとも異なる画素値へ変更された画素に制限している点が,実施例1と異なる。
【0083】
その他のステップについては,実施例1と同様とすることで,あらかじめ設定された一つまたは複数の前景画素値を有する画素を前景として発生した切れを補正することができる。
【0084】
透かし埋め込みによって切れが発生する可能性のある領域の前景があらかじめ限定できる場合,本実施例に示すように,切れ補正対象の前景を制限することによって,処理量が削減され高速に切れを補正することが可能となる。例えば,画像コンテンツ21が印刷文書画像であり,切れを補正すべき文字が,特定の画素値の画素で構成されていることが多いような場合には,このような前景の限定が妥当である。
【0085】
あらかじめ設定された前景画素値が,実際の画像中の前景の画素値と一致している場合は,実施例1同様,切れを補正し画質劣化の程度をより少なくすることができるが,あらかじめ設定された前景画素値が,実際の画像中の前景の画素値と一致していない場合,該当前景に発生した切れは補正されずに出力される。
【実施例3】
【0086】
次に,一般の多値画像を対象とし,背景となる画素の画素値に関してあらかじめ限定した場合の,電子透かし埋め込みによる画質劣化程度をより少なくする実施例について説明する。
【0087】
背景となる画素の画素値に関して限定するとは,例えば,「背景は画素値が白である画素で構成される」とすることなどである。また,例えば,「背景は画素値が白,あるいは,赤である画素で構成される」のように,背景の画素値として複数の画素値を候補として挙げてもよい。
【0088】
本実施例における電子透かし埋め込みシステム10は,実施例1と同一の構成である。本実施例と実施例1との違いは,透かし埋め込みよる画素値の変更に伴い発生する切れを補正する画像処理方法にある。
【0089】
図8は,本実施例における電子透かし埋め込みシステム10の動作の一例を示すフローチャートである。図8において,透かし画像に対して実行するラベリング処理(S301),および,各走査画素が透かし埋め込みによって変更されたか否かを判定する処理(S303)の二つの処理が,実施例1の図4のフローチャートと異なる。
【0090】
ラベリング部330は透かし画像に対して実行するラベリング処理(S301)において,背景の画素値以外の画素値を有する画素に限定してラベルを付与する。具体的には,ラベルを付与する対象画素を,あらかじめ設定された一つまたは複数の背景画素値のいずれとも異なる画素値を有する画素に制限している点が,実施例1と異なる。
【0091】
透かし画像補正部340は,各走査画素についてその画素が,透かし画像合成部210によって画素値が背景以外の画素値から背景画素値へ変更された画素か否かを判定する(S303)。具体的には,以降の判定対象画素を,あらかじめ設定された一つまたは複数の背景画素値のいずれとも異なる画素値から,一つまたは複数の背景画素値のいずれかの画素値へ変更された画素に制限している点が実施例1と異なる。
【0092】
その他のステップについては,実施例1と同様とすることで,あらかじめ設定された一つまたは複数の背景画素値を有する画素を背景として発生した切れを補正することができる。
【0093】
透かし埋め込みによって切れが発生する可能性のある領域の背景があらかじめ限定できる場合,本実施例に示すように,切れ補正対象の背景を制限することによって,処理量が削減され高速に切れを補正することが可能となる。例えば,画像コンテンツ21が印刷文書画像であり,切れを補正すべき文字が,特定の画素値の画素を背景として配置されていることが多いような場合には,このような背景の限定が妥当である。
【0094】
あらかじめ設定された背景画素値が,実際の画像中の背景の画素値と一致している場合は,実施例1同様,切れを補正し画質劣化の程度をより少なくすることができるが,あらかじめ設定された背景画素値が,実際の画像中の背景の画素値と一致していない場合,該当背景を有する領域で発生した切れは補正されずに出力される。
【0095】
なお,本実施例における背景となる画素の画素値に関する限定とは,実施例2における前景となる画素の画素値に関する限定と同等である。これは,上記二つの限定が,画素値のとりうる値全てを,前景または背景のいずれかに分類するという意味では,違いがないということである。前景とそれ以外に分類することと,背景とそれ以外に分類することは,裏返しの関係にある。実際,「背景は画素値が白である画素で構成される」という限定は,「前景は画素値が白以外である画素で構成される」という限定と同等である。実施例2および実施例3の違いは,あらかじめ設定した一つまたは複数の画素値への限定が,少数の画素値への限定であった場合に,画素値の前景,背景への分類がどちらに偏っているか,という点にあるのみである。
【0096】
図9は,実施例1から実施例3の切れ補正装置30が補正する切れと補正しない切れの違いを説明する概念図である。
【0097】
図9において,(a)(b)(c)はいずれも,透かし画像合成部210による画素値の変更によって,右上から左下へ伸びた前景に切れが生じた画像領域を表す。本図では,切れに相当する部分は点線で表される。また,同じパターンで表示されている画素は等しい画素値を有し,異なるパターンで表示されている画素は異なる画素値を有するものとする。すなわち,図9(a)(b)の前景の画素値は等しく,これは図9(c)の前景の画素値とは異なる。また,図9(a)(c)の背景の画素値は等しく,これは図9(b)の背景の画素値とは異なる。図9(a)の前景の画素値をA,背景の画素値をBということにする。
【0098】
実施例1の切れ補正装置30が実行する切れ補正処理においては,前景および背景となる画素の画素値に関して何も制限を設けない。この場合,全画素に対してラベリング処理,および,変更のあった全画素についてラベル判定処理を実施する必要があるものの,図9(a)(b)(c)に示されるすべての切れが補正される。
【0099】
実施例2の切れ補正装置30が実行する切れ補正処理においては,前景となる画素の画素値をあらかじめ限定する。「前景となる画素の画素値がAである」と設定した場合,処理対象画素の制限により処理量が削減され高速に切れを補正することが可能となるが,補正される切れは図9(a)(b)に示される切れであり,図9(c)で示される切れは補正されない。
【0100】
実施例3の切れ補正装置30が実行する切れ補正処理においては,背景となる画素の画素値をあらかじめ限定する。「背景となる画素の画素値がBである」と設定した場合,処理対象画素の制限により処理量が削減され高速に切れを補正することが可能となるが,補正される切れは図9(a)(c)に示される切れであり,図9(b)で示される切れは補正されない。
【0101】
なお,実施例2および実施例3の切れ補正方法においても,前景あるいは背景として複数の画素値を設定することで,図9(a)(b)(c)に示されるすべての切れを補正することができる。実施例2の切れ補正方法では画素値Aと図9(c)の前景の画素値を,実施例3の切れ補正方法では画素値Bと図9(b)の背景の画素値を,それぞれ前景と背景の画素値として設定すればよい。
【実施例4】
【0102】
次に,一般の多値画像を対象とし,前景となる画素と背景となる画素の明るさの大小関係に制限を設け,電子透かし埋め込みによる画質劣化程度をより少なくする実施例について説明する。
【0103】
明るさの大小関係の制限とは,「前景となる画素は背景となる画素よりも暗い」とする,あるいは,「前景となる画素は背景となる画素よりも明るい」とすることのいずれかであり,前景および背景の画素値を特定の値に限定するものではない。
【0104】
本実施例における,画素の明るさとは,各々の画素が有する画素値から算出される値であり,具体的には各種の値を採用できる。例えば,画素値が色の三要素RGBの強度の組み合わせで表される場合に,R,G,Bの値から下記のように計算される輝度値を採用してもよい。
【0105】
輝度値 = 0.29891×R + 0.58661×G + 0.11448×B (式1)
ただし,明るさとして採用する値は上記具体的な例示に限定されず,あらゆる値が採用できる。
【0106】
本実施例における電子透かし埋め込みシステム10は,実施例1から3と同一の構成である。本実施例と上記各実施例との間の違いは,透かし埋め込みよる画素値の変更に伴い発生する切れを補正する画像処理方法にある。
【0107】
図10は,本実施例における電子透かし埋め込みシステム10の動作の一例を示すフローチャートである。図10において,各走査画素が透かし埋め込みによって変更されたか否かを判定する処理(S403)が,実施例1の図4のフローチャートと異なる。
【0108】
透かし画像補正部340は,各走査画素についてその画素が,透かし画像合成部210によって明るくなるように変更された画素か否かを判定する(S403)。以降の判定対象画素を,明るくなるように変更された画素に制限している点が,実施例1と異なる。
【0109】
その他のステップについては,実施例1と同様とすることで,前景が背景よりも暗い領域で発生した切れを補正することができる。
【0110】
なお,図10は,「前景となる画素は背景となる画素よりも暗い」という制限を設けた場合のフローチャートである。「前景となる画素は背景となる画素よりも明るい」という制限を設けた場合には,ステップS403を,「透かし画像合成部210によって暗くなるように変更された画素か否かを判定する」とすることで,同様に,電子透かし埋め込みによる画質劣化程度をより少なくする効果が得られる。
【0111】
実施例2および実施例3の切れ補正方法では,全ての画素値は前景または背景のどちらか一方に対応付けされているのに対し,本実施例ではそのような対応付けはない。本実施例では,ある一つの画素値を有する画素が,ある領域では前景を構成し,別の領域では背景を構成するような場合にも切れ補正が可能である。すなわち,同じ画素値を持つ画素が一つの画像中で前景と背景の両方を構成している場合,実施例2および実施例3の方法では,たとえ複数の画素値を前景あるいは背景として設定したとしても,全ての切れには対応できないが,本実施例における切れ補正方法では,前景と背景の明るさの大小関係が一貫してさえいれば,全ての切れに対応できる。
【0112】
本実施例における前景と背景の明るさの大小についての制限を利用する方法は,二通りの制限からいずれかを選択するのみで決定され,実施例2および実施例3のように,前景あるいは背景の画素値の候補を列挙する方法よりも簡便に多くの種類の切れに対応でき,利便性が高い。図9において,表示パターンの明るさがそのまま画素の明るさを表現しているとすると,図9(a)(b)(c)全てで前景は背景よりも暗い画素で構成されていることになる。この場合,本実施例における切れ補正装置30が実行する切れ補正処理は,「前景となる画素は背景となる画素よりも暗い」とする制限を設けた上では,図9に示した(a)(b)(c)全ての切れについて補正が可能である。画像コンテンツ21が印刷文書画像であることがわかっているような場合には,このような限定が妥当である。それは,印刷文書画像で切れを補正すべき文字の多くは,背景を構成する画素よりも暗い画素で構成されていることが多いからである。ただし,処理対象画像の性質に応じて,「前景となる画素は背景となる画素よりも明るい」という逆の制限を採用してもよい。
【0113】
図11は,実施例1と本実施例の,切れを補正する画像処理の効果の違いを説明する概念図である。ここでは,ラベルを識別する範囲である近傍領域が,注目画素からの距離が2であるような正方形であるとする。
【0114】
図11(a)(b)はともに,二種類の画素値のうちのいずれかを有する画素を含む画像領域を表す。ここではそれらの画素値を画素値A,画素値Bということとし,さらに画素値Aは画素値Bよりも暗いものとする。図11では,画素値A,画素値Bはそれぞれ黒い塗りつぶし領域と網点領域で表現されている。
【0115】
図11(a)と図11(b)の間の違いは,中心付近の四つの画素の画素値のみである。(a)(b)のうちいずれか一方が透かし画像合成部210によって透かし埋め込み処理を施され,(a)(b)のうちの他方へ変化するものとし,実施例1および本実施例の切れ補正処理の効果を説明する。
【0116】
透かし埋め込み処理による(a)から(b)への変化は,画素値Aを前景とみた場合に切れ発生と解釈されるが,画素値Bを前景とみた場合には切れは発生していなく,前景画素の塊がくっついた(ここでは融合の発生という)と解釈される。一方,(b)から(a)への変化は,画素値Aを前景とみた場合に融合の発生と解釈され,画素値Bを前景とみた場合に切れ発生と解釈される。このように,同じ画像変化にも関わらず,どの画素値を前景とみるかに依存して,切れ発生の解釈が異なる。
【0117】
実施例1の切れ補正処理では,透かし埋め込み処理による(a)から(b)への変化の場合も,(b)から(a)への変化の場合も,中心付近の画素変更を補正する。すなわち切れと融合の両方を補正対象とする。このような性質は,どちらの画素値が前景であっても切れを補正できるという点では好都合であるが,切れではない画素変更も補正してしまうという欠点をも併せ持つ。切れ補正は,透かし埋め込みによる画素変更を取り消す処理であり,埋め込んだ電子透かしの冗長性を弱める処理であるので,補正は最小限にとどめることが望ましく,画質に影響がない部分に関しては補正しないほうがよい。
【0118】
実施例4の切れ補正処理では,「前景のほうが背景よりも暗い」という前提を設けた場合,透かし埋め込み処理による(a)から(b)への変化を切れの発生として補正し,逆の,(b)から(a)への変化では補正しない。このように,実施例4の切れ補正処理は,前景と背景の明るさの関係において,適切に前提を設けることができる場合には,切れを発生させた画素変更のみを的確に補正できる点が好都合である。
【0119】
なお,以下に説明するように,上記した各実施例に記載された切れ補正方法および,特許文献1記載の切れ補正方法を,画像の部分ごとに切り替えて適用してもよい。
【0120】
切れ補正装置30は,入力された入力画像コンテンツ21と透かし画像を,複数の部分画像に分割し,分割された部分画像ごとに,適用する切れ補正方法を判定および実行し,切れ補正された部分画像を結合し,出力する。
【0121】
部分画像への分割において,分割された画像の大きさおよび形状は,あらかじめ定められたものであってもよいし,分割対象画像の特徴に応じて定められるものであってもよい。
【0122】
切れ補正方法を判定する方法は,各種考えられる。以下,切れ補正方法を判定する方法を例示するが,本発明の技術範囲はこれら具体的な例示に限定されず,あらゆる方法が適用できる。
【0123】
切れ補正装置30は,部分画像に含まれる画素の画素値を集計し,集計結果に応じて実行する切れ補正方法を判定する。具体的には,部分画像内の画素値のうち,その割合がある一定の範囲にある画素値を前景画素値と設定し,実施例2に記載された切れ補正方法を実行してもよい。あるいは,部分画像内の最頻出の画素値を背景画素値と設定し,実施例3に記載された切れ補正方法を実行してもよい。あるいは,部分画像内の画素値の明暗分布が明るい側に偏っている場合に,「前景となる画素は背景となる画素よりも暗い」として,実施例4に記載された切れ補正方法を実行してもよい。あるいは,部分画像に含まれる画素の画素値が一種類しか存在しない場合に,当該部分領域に対しては切れ補正処理を実行しなくてもよい。
【0124】
切れ補正方法を判定する別の方法としては,例えば, ユーザインターフェイス430を介して画像コンテンツ21の部分画像を提示されたユーザの判定を用いてもよい。部分画像を提示されたユーザが当該部分画像の背景の画素値を判断し,ユーザインターフェイス430を介して背景画素値を設定する。切れ補正装置30は,設定された背景画素値に基づき,実施例3に記載された切れ補正方法を実行する。
【0125】
本発明の技術範囲は上記した各実施例の記載の範囲には限定されない。例えば,本実施形態における画像コンテンツ21は,静止画であってもよいし,動画であってもよい。
【0126】
また,上記各実施例で用いる入力画像,透かし画像,補正画像は,画像コンテンツ21とその処理結果の一部分,すなわち,一画面または一フレーム内の部分領域であってもよいし,複数フレームの少なくとも一フレームであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】電子透かし埋め込みシステム10の構成を例示するブロック図である。
【図2】電子透かし埋め込みシステム10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】ラベリング部330が実行する,ラベリング処理の概要を例示する概念図である。
【図4】電子透かし埋め込みシステム10の動作を例示するフローチャートである。
【図5】透かし画像補正部340の画像補正処理の効果を説明する概念図である。
【図6】電子透かし埋め込みシステム10を利用した電子透かし埋め込み処理の過程の文字外観変化を説明する概念図である。
【図7】実施例2の電子透かし埋め込みシステム10の動作を例示するフローチャートである。
【図8】実施例3の電子透かし埋め込みシステム10の動作を例示するフローチャートである。
【図9】実施例1から実施例3の切れ補正装置30が補正する切れと補正しない切れの違いを説明する概念図である。
【図10】実施例4の電子透かし埋め込みシステム10の動作を例示するフローチャートである
【図11】実施例1と実施例4の,切れを補正する画像処理の効果の違いを説明する概念図である。
【符号の説明】
【0128】
10:電子透かし埋め込みシステム,20:電子透かし挿入装置,21:画像コンテンツ,22:透かし画像コンテンツ,200:入力部,210:透かし画像合成部,220:出力部,30:切れ補正装置,31:補正パラメータ,300:補正パラメータ入力部,310:入力画像入力部,320:透かし画像入力部,330:ラベリング部,340:透かし画像補正部,350:補正画像出力部,40:コンピュータ,400:CPU,410:RAM,420:ストレージ,430:ユーザインターフェイス,440:通信インターフェイス,450:メディアインターフェイス,460:外部の装置やネットワーク,470:記録媒体,500,510,520:画像データ,600,610:画像,612:B画素,614,616:A画素塊,618:B画素塊,620:概念図,622:注目画素,624:近傍領域,630:概念図,632:注目画素,634:近傍領域,640:画像,700,710,720:文字「y」の外形図,721,722,723,724,725,726:画素塊,730:文字「y」の外形図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子透かしによる情報埋め込み処理における,画素値の変更に伴い発生する切れを補正する画像処理方法であって,
入力画像に対する前記情報埋め込み処理結果である透かし画像について,
隣接する何れの画素とも画素値間の差があらかじめ設定された閾値よりも大きい画素値を持つ一つの画素により,または,互いに隣接し,かつ,画素値間の差が前記閾値よりも大きくない画素値を持つ複数の画素により,一つの集合を構成した場合に,同じ集合に属する各々の画素には同一で,他の集合に属する画素とは異なるラベル値を付与し,各画素が属する集合を,前記ラベル値によって識別可能なラベル画像を出力するラベリングステップと,
各々の前記集合に,当該集合に属する画素が有する画素値を表す一つまたは複数の集合画素値を設定する集合画素値設定ステップと,
前記入力画像に対する前記情報埋め込み処理によって画素値が変更された画素を対象として,前記ラベル画像における,あらかじめ設定された近傍領域に含まれる,前記対象画素の前記情報埋め込み処理前の画素値を表す集合画素値を有する集合を識別するラベル判定処理ステップと,
前記ラベル判定処理において,識別した前記集合が二つ以上である場合に,前記透かし画像の,前記対象画素の画素値を,前記情報埋め込み処理前の画素値に戻す変更取り消し処理を行う変更取り消し処理ステップと,
前記変更取り消し処理を施した補正画像を出力する補正画像出力ステップと,を備える
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理方法であって,
前記ラベリングステップは,
あらかじめ設定された一つまたは複数の閾値によって,前記透かし画像の画素値を量子化する画素値量子化ステップを備える
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像処理方法であって,
前記集合画素値は,一つの前記集合に属する画素が有する画素値に含まれる,一つ,もしくは,複数の画素値であるか,または,前記複数の画素値のうち最頻出の画素値,または,前記複数の画素値の平均値を含む,一定範囲にある画素値である
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の画像処理方法であって,
前記ラベリングステップが対象とする画素は,あらかじめ設定された一つまたは複数の前景画素値のいずれかを有する画素であって,
前記ラベル判定処理ステップが対象とする画素は,前記入力画像に対する前記情報埋め込み処理によって,画素値が前記一つまたは複数の前景画素値のいずれかから,前記一つまたは複数の前景画素値のいずれとも異なる画素値へ変更された画素である
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載の画像処理方法であって,
前記ラベル判定処理ステップが対象とする画素は,前記入力画像に対する前記情報埋め込み処理によって,画素値があらかじめ設定された明るさの増減に従うように変更された画素である
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
電子透かしによる情報埋め込み処理において,画素値の改変に伴い発生する切れを補正する画像処理装置であって,
前記情報埋め込み処理対象となる入力画像を受け付ける入力画像入力部と,
前記情報埋め込み処理の出力である透かし画像を受け付ける透かし画像入力部と,
前記透かし画像について,隣接する何れの画素とも画素値間の差があらかじめ設定された閾値よりも大きい画素値を持つ一つの画素により,または,互いに隣接し,かつ,画素値間の差が前記閾値よりも大きくない画素値を持つ複数の画素により,一つの集合を構成した場合に,同じ集合に属する各々の画素には同一で,他の集合に属する画素とは異なるラベル値を付与し,各画素が属する集合を,前記ラベル値によって識別可能なラベル画像を出力し,各々の前記集合に,当該集合に属する画素が有する画素値を表す一つまたは複数の集合画素値を設定するラベリング部と,
前記入力画像入力部から前記入力画像を,前記透かし画像入力部から前記透かし画像を,前記ラベリング部から前記ラベル画像をそれぞれ受け付け,前記入力画像に対する前記情報埋め込み処理によって画素値が変更された画素を対象として,前記ラベル画像における,あらかじめ設定された近傍領域に含まれる,前記対象画素の前記情報埋め込み処理前の画素値を表す集合画素値を有する集合を識別し,識別した前記集合が二つ以上である場合に,前記透かし画像の,前記対象画素の画素値を,前記情報埋め込み処理前の画素値に戻す変更取り消し処理を行う透かし画像補正部と,
前記透かし画像補正部による変更取り消し処理結果を受け付け,補正画像として出力する補正画像出力部とを備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像処理装置であって,
前記ラベリング部は,
あらかじめ設定された一つまたは複数の閾値によって,前記透かし画像の画素値を量子化する画素値量子化部を備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の画像処理装置であって,
前記集合画素値は,一つの前記集合に属する画素が有する画素値に含まれる,一つ,もしくは,複数の画素値であるか,または,前記複数の画素値のうち最頻出の画素値,または,前記複数の画素値の平均値を含む,一定範囲にある画素値である
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一に記載の画像処理装置であって,
前記ラベリング部が対象とする画素は,あらかじめ設定された一つまたは複数の前景画素値のいずれかを有する画素であって,
前記透かし画像補正部が対象とする画素は,前記入力画像に対する前記情報埋め込み処理によって,画素値が前記一つまたは複数の前景画素値のいずれかから,前記一つまたは複数の前景画素値のいずれとも異なる画素値へ変更された画素である
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか一に記載の画像処理装置であって,
前記透かし画像補正部が対象とする画素は,前記入力画像に対する前記情報埋め込み処理によって,画素値があらかじめ設定された明るさの増減に従うように変更された画素である
ことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−34255(P2012−34255A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173261(P2010−173261)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(500194887)日立アイ・エヌ・エス・ソフトウェア株式会社 (9)
【Fターム(参考)】