説明

電子部品のめっき方法

【課題】本発明は、電子部品のめっきを行った後、搬送用テープから分離させた場合、電子部品の表面に搬送用テープの接着剤が残ってしまうということがない電子部品のめっき方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、電子部品15を複数個搬送用テープ23に接着剤により第1の接着力で接着させる接着工程Aと、搬送用テープをヒーター24で加熱すると同時に、加圧手段25で電子部品を加圧することにより電子部品を搬送用テープに第1の接着力で接着させる加熱・加圧工程Bと、複数個の電子部品が接着された搬送用テープをめっき槽16内のめっき液17中に搬送し、このめっき液中において給電電極21と電子部品を当接させて連続的に電子部品の電極にめっき層を形成するめっき層形成工程Cとを備え、めっき層形成工程Cより後に、搬送用テープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させる接着力低減工程Dを設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種電子機器に使用される電子部品のめっき方法に関するもので、特に絶縁基板の上面に形成された導電性電極の上に電気めっきを行う電子部品のめっき方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電子部品のめっき方法としては、特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
以下、従来の電子部品のめっき方法について、図面を参照しながら説明する。
【0004】
図17は従来の電子部品のめっき方法におけるめっき槽に電子部品を投入する状態を示す側断面図、図18は同電子部品のめっき方法におけるめっき槽の上面図、図19は同電子部品のめっき方法における給電電極の斜視図、図20は同電子部品のめっき方法における電子部品の一例であるプリント配線基板の上面図である。
【0005】
まず、図20に示すように、上面に銅からなる回路パターン2を形成したプリント配線基板からなる電子部品1を用意する。
【0006】
次に、図17および図18に示すように、めっき液3を充填しためっき槽4内に、めっき槽4の側壁に設けた入口5からプリント配線基板からなる電子部品1を投入する。その後、陽極6に正の電圧を印加するとともに、陰極7に負の電圧を印加する。
【0007】
次に、前記電子部品1をめっき槽4内で送る送りローラ8を回転させて、電子部品1における回路パターン2を、図19に示す陰極7と電気的に接続された給電電極9に当接させることにより、回路パターン2の上面にめっき層(図示せず)を形成する。
【0008】
そして、最後に、めっき槽4内の側壁に設けた出口10からめっき槽4内でめっきされたプリント配線基板からなる電子部品1を排出させるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−205298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記した従来の電子部品のめっき方法においては、プリント配線基板からなる電子部品1をフープ状の自動化ライン上で組み立てるとともに、この自動化ライン上にめっき槽4を配置した場合、前記電子部品1をめっき槽4内に送り込むためには、搬送用テープ(図示せず)に固着することが必要となり、この場合、電子部品1をめっき槽4内に投入した際に、電子部品1が簡単に離脱しないようにするためには、強い接着力で電子部品1を搬送用テープに接着させることが必要となるもので、このようにした場合、電子部品1のめっきが終了した後、電子部品1を搬送用テープから分離させた際に、電子部品1の表面に搬送用テープの接着剤が残ってしまって、エンボステープに電子部品1がくっついてしまうことになり、その結果、電子部品1の取り扱いが非常に不便になってしまうという課題を有していた。
【0011】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、自動化ライン上にめっき槽を配置して電子部品のめっきを行った後、電子部品を搬送用テープから分離させた場合、電子部品の表面に搬送用テープの接着剤が残ってしまうということがない電子部品のめっき方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0013】
本発明の請求項1に記載の発明は、絶縁基板の上面両端部と側面部に電極を形成するとともに、この電極に電気的に接続されるように抵抗体を形成した電子部品を複数個搬送用テープに接着剤により第1の接着力で接着させる接着工程と、前記複数個の電子部品が接着された搬送用テープをめっき槽内のめっき液中に搬送し、このめっき液中において給電電極と電子部品を当接させて連続的に電子部品の電極にめっき層を形成するめっき層形成工程とを備え、前記めっき層形成工程より後に、前記搬送用テープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させる接着力低減工程を設けたもので、このめっき方法によれば、めっき層形成工程より後に、搬送用テープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させる接着力低減工程を設けているため、搬送用テープから電子部品を分離させる場合には、搬送用テープと電子部品との接着力が小さくなっていることによって、簡単に分離させることができるとともに、電子部品の表面に搬送用テープの接着剤が残るということもなくなるため、電子部品の取り扱い性の向上が図れるという作用効果を有するものである。
【0014】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、接着剤を紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物で構成するとともに、搬送用テープに紫外線を照射することにより、搬送用テープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させるようにしたもので、このめっき方法によれば、接着剤を紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物で構成しているもので、この場合、熱可塑性樹脂は温度が高くなると柔らかくなって、電子部品における凹凸部に入り込むことになるため、接着剤と電子部品との接着力を大きくすることができ、また、紫外線硬化性樹脂は紫外線が照射されると接着剤と電子部品との接着力を小さくするように作用するため、搬送用テープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させることが容易に行えるという作用効果を有するものである。
【0015】
本発明の請求項3に記載の発明は、抵抗基板の上面に抵抗体を形成するとともに、この抵抗体の両端部に導電性電極を形成した電子部品を複数個搬送用テープに第1の接着剤により第1の接着力で接着させる第1の接着工程と、前記複数個の電子部品の抵抗体部分のみを覆うようにレジストテープを複数個の電子部品の抵抗体部分に第2の接着剤により第1の接着力で接着させる第2の接着工程と、前記複数個の電子部品が接着された搬送用テープをめっき槽内のをめっき液中に搬送し、このめっき液中において給電電極と電子部品を当接させて連続的に電子部品の導電性電極にめっき層を形成するめっき層形成工程とを備え、前記めっき層形成工程より後に、少なくとも前記レジストテープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させる接着力低減工程を設けたもので、このめっき方法によれば、めっき層形成工程より後に、少なくともレジストテープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させる接着力低減工程を設けているため、少なくともレジストテープを電子部品の抵抗体部分から分離させる場合には、レジストテープと電子部品との接着力が小さくなっていることによって、簡単に分離させることができるとともに、電子部品の表面にレジストテープの接着剤が残るということもなくなるため、電子部品の取り扱い性の向上が図れ、さらに、前記レジストテープは従来のレジスト皮膜の役割をするため、従来のように、抵抗体部分の上面にレジスト皮膜をまず形成し、その後、めっき処理をし、そしてその後、レジスト皮膜を除去するという煩わしい工程も削減することができるという作用効果を有するものである。
【0016】
本発明の請求項4に記載の発明は、特に、第1の接着剤と第2の接着剤のうち、少なくとも第2の接着剤を紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物で構成するとともに、少なくともレジストテープに紫外線を照射することにより、レジストテープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させるようにしたもので、このめっき方法によれば、第1の接着剤と第2の接着剤のうち、少なくとも第2の接着剤を紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物で構成しているもので、この場合、熱可塑性樹脂は温度が高くなると柔らかくなって、電子部品における凹凸部に入り込むことになるため、第2の接着剤と電子部品との接着力を大きくすることができ、また、紫外線硬化性樹脂は紫外線が照射されると第2の接着剤と電子部品との接着力を小さくするように作用するため、レジストテープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させることが容易に行えるという作用効果を有するものである。
【0017】
本発明の請求項5に記載の発明は、特に、レジストテープを複数個の電子部品の抵抗体部分に第2の接着剤により第1の接着力で接着させる第2の接着工程において、レジストテープを電子部品の抵抗体部分に向かって加圧する加圧手段と、レジストテープを加熱する加熱手段とを設け、前記加圧手段と加熱手段の併用によりレジストテープを複数の電子部品の抵抗体部分に接着するようにしたもので、このめっき方法によれば、加圧手段と加熱手段の併用によりレジストレープを複数の電子部品の抵抗体部分に接着するようにしているため、レジストテープの加熱によって、レジストテープに設けた第2の接着剤を軟化させることができるとともに、レジストテープの加圧によって、第2の接着剤を電子部品の凹凸部に侵入させることができ、これにより、レジストテープと電子部品との接着力を大きくすることができるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明の電子部品のめっき方法によれば、絶縁基板の上面両端部と側面部に電極を形成するとともに、この電極に電気的に接続されるように抵抗体を形成した電子部品を複数個搬送用テープに接着剤により第1の接着力で接着させる接着工程と、前記複数個の電子部品が接着された搬送用テープをめっき槽内のめっき液中に搬送し、このめっき液中において給電電極と電子部品を当接させて連続的に電子部品の電極にめっき層を形成するめっき層形成工程とを備え、前記めっき層形成工程より後に、前記搬送用テープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させる接着力低減工程を設けているため、搬送用テープから電子部品を分離させる場合には、搬送用テープと電子部品との接着力が小さくなっていることによって、簡単に分離させることができるとともに、電子部品の表面に搬送用テープの接着剤が残るということもなくなるため、電子部品の取り扱い性の向上が図れるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1における電子部品のめっき方法を適用するチップ抵抗器からなる電子部品の斜視図
【図2】同電子部品のめっき方法を示す製造ラインの一部の側断面図
【図3】同電子部品を搬送用テープに保持した状態を示す側面図
【図4】同電子部品の加圧状態と搬送用テープの加熱状態を示す側面図
【図5】同電子部品への給電状態を示す側面図
【図6】同電子部品への紫外線照射状態を示す側面図
【図7】本発明の実施の形態2における電子部品のめっき方法を適用する可変抵抗器からなる電子部品の側断面図
【図8】同電子部品の上面図
【図9】同電子部品の下面図
【図10】同電子部品における抵抗基板の斜視図
【図11】同抵抗基板の側断面図
【図12】同抵抗基板の搬送用テープへの接着状態を示す上面図
【図13】同抵抗基板の抵抗体部分へのレジストテープの接着状態を示す上面図
【図14】同抵抗基板の搬送用テープとレジストテープの加熱状態および加圧状態を示す側面図
【図15】同抵抗基板への給電状態を示す図
【図16】同抵抗基板の搬送用テープとレジストテープへの紫外線照射状態を示す側面図
【図17】従来の電子部品のめっき方法におけるめっき槽に電子部品を投入する状態を示す側断面図
【図18】同電子部品のめっき方法におけるめっき槽の上面図
【図19】同電子部品のめっき方法における給電電極の斜視図
【図20】同電子部品のめっき方法における電子部品の一例であるプリント配線基板の上面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1および2に記載の発明について説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の形態1における電子部品のめっき方法を適用するチップ抵抗器からなる電子部品の斜視図である。
【0022】
図1において、11はセラミック製の絶縁基板で、この絶縁基板11は上面両端部と側面部に銀とガラスの混合物からなる一対の電極12を設けている。また、前記電極12の上面にはニッケルめっき層および錫めっき層からなるめっき層(図示せず)を設けている。13は抵抗体で、この抵抗体13は前記絶縁基板11の上面に設けるとともに、一端を一方の電極12に電気的に接続し、かつ他端を他方の電極12に電気的に接続しているものである。14は保護層で、この保護層14は前記抵抗体13の全面および一対の電極12の一部を覆うように設けている。そして、前記絶縁基板11、一対の電極12、抵抗体13および保護層14によりチップ抵抗器からなる電子部品15を構成している。
【0023】
以上のように構成されたチップ抵抗器からなる電子部品について、次に、この電子部品の製造方法とめっき方法を図面を参照しながら説明する。
【0024】
まず、図1に示すように、予め準備されたセラミックからなる絶縁基板11の両端部と側面部に銀とガラスの混合物からなるペーストを印刷し、その後、約850℃で焼成することにより、絶縁基板11の両端部と側面部に一対の電極12を形成する。
【0025】
次に、絶縁基板11の上面に、一端が一方の電極12と電気的に接続され、かつ他端が他方の電極12と電気的に接続されるように、酸化ルテニウムとガラス成分との混合物からなるペーストを印刷し、乾燥させた後、約850℃で焼成することにより、抵抗体13を絶縁基板11の上面に形成する。
【0026】
次に、絶縁基板11の上面における抵抗体13の全面および一対の電極12の一部にわたって、ガラスからなるペーストを印刷し、その後、約600℃で焼成することにより、抵抗体13の全面および一対の電極12の一部を覆うように保護層14を形成して、チップ抵抗器からなる電子部品15を構成する。
【0027】
図2は本発明の実施の形態1における電子部品のめっき方法を示す製造ラインの一部の側断面図を示したものである。
【0028】
図2において、16はめっき液17を充填しためっき槽で、このめっき槽16は一方の側壁に入口18を設け、この入口18より前記電子部品15をめっき槽16内に投入するようにしている。また、このめっき槽16は他方の側壁に出口19を設け、この出口19より前記めっき槽16内の電子部品15を取り出すようにしている。20はめっき槽16内に設置された陽極、21はめっき槽16内に設置され、陰極を構成する給電電極で、この給電電極21はメッシュ状の導電性金属からなる。22は前記電子部品15をめっき槽16内で送る送りローラである。
【0029】
また、前記電子部品15は図3に示すように搬送用テープ23に複数個保持されているもので、この搬送用テープ23を前記送りローラ22で送ることにより、前記電子部品15をめっき槽16の入口18からめっき槽16内に投入し、そして、このめっき槽16内で電子部品15のめっき処理を施した後、めっき槽16の出口19から電子部品15を取り出すようにしている。
【0030】
そしてまた、図3に示すように前記複数個の電子部品15を搬送用テープ23に保持する場合は、予め搬送用テープ23の上面に紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物からなる接着剤(図示せず)を塗布し、そして、この搬送用テープ23の上面に前記接着剤(図示せず)により複数個の電子部品15を第1の接着力で接着させているものである(図2の接着工程A)。
【0031】
この時点で、JIS−Z−0237に規定されている180度引き剥がし法による試験方法により、搬送用テープ23と電子部品15との第1の接着力を測定して見ると、約1225gfの力で接着されていた。
【0032】
次に、図4に示すように、搬送用テープ23をヒーター24で約150℃に加熱すると同時に、加圧手段25で電子部品15に搬送用テープ23側に向かって200gfの外力を付加することにより、電子部品15を搬送用テープ23に第1の接着力で接着させる(図2の加熱・加圧工程B)。
【0033】
この時点で、JIS−Z−0237に規定されている180度引き剥がし法による試験方法により、搬送用テープ23と電子部品15との第1の接着力を測定して見ると、約2590gfの力で接着されていた。
【0034】
次に、図2に示すように、搬送用テープ23に保持された電子部品15をめっき液17を充填しためっき槽16内に入口18より投入し、その後、陽極20に正の電圧を印加するとともに、陰極を構成する給電電極21に負の電圧を印加する。
【0035】
そして、図2、図5に示すように、搬送用テープ23に保持された電子部品15における電極12に、陰極を構成するメッシュ状の導電性金属からなる給電電極21を当接させることにより、電子部品15における電極12の上に連続的にニッケルめっき層および錫めっき層からなるめっき層(図示せず)を形成する(図2のめっき層形成工程C)。
【0036】
次に、めっき槽16内でめっき処理が施された電子部品15を搬送用テープ23によってめっき槽16の出口19から取り出し、そして、その後、図2、図6に示すように、搬送用テープ23と電子部品15との間の接着剤(図示せず)に、約1000mj/cm2の紫外線を紫外線照射ランプ26から照射することにより、接着剤(図示せず)を硬化させる。これにより、搬送用テープ23と電子部品15との間の接着力を第2の接着力に低減させるものである(図2の接着力低減工程D)。
【0037】
この時点で、JIS−Z−0237に規定されている180度引き剥がし法による試験方法により、搬送用テープ23と電子部品15との第2の接着力を測定して見ると、約53gfの接着力に低減されているものである。
【0038】
最後に、搬送用テープ23から電子部品15を分離させる。
【0039】
このとき、搬送用テープ23と電子部品15との接着力は第1の接着力より低い第2の接着力に低減しているため、搬送用テープ23から電子部品15を分離させる力は小さくなり、その結果、電子部品15を搬送用テープ23から分離させる際には、搬送用テープ23と電子部品15との接着力が小さくなっていることによって、電子部品15を搬送用テープ23から簡単に分離させることができるとともに、電子部品15の表面に接着剤(図示せず)が残るということもなくなるため、電子部品15の取り扱い性の向上が図れるという効果が得られるものである。
【0040】
また、上記本発明の実施の形態1における前記接着剤(図示せず)は紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物で構成しているもので、この場合、熱可塑性樹脂は温度が高くなると柔らかくなって、電子部品15における凹凸部に入り込むことになるため、接着剤(図示せず)と電子部品15との接着力を大きくすることができ、また、紫外線硬化性樹脂は紫外線が照射されると接着剤(図示せず)と電子部品15との接着力を小さくするように作用するため、搬送用テープ23と電子部品15との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させることが容易に行えるという効果が得られるものである。
【0041】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項3〜5に記載の発明について説明する。
【0042】
図7は本発明の実施の形態2における電子部品のめっき方法を適用する可変抵抗器からなる電子部品の側断面図、図8は同電子部品の上面図、図9は同電子部品の下面図、図10は同電子部品における抵抗基板の斜視図、図11は同電子部品における抵抗基板の側断面図である。
【0043】
図7〜図11において、31はセラミック製の抵抗基板で、この抵抗基板31は上面に抵抗体32を設けるとともに、上面から下面にわたって中空孔31aを設けている。また、この抵抗基板31は上面の端部から側面および下面の端部にかけて一対の導電性電極33を設けており、そして、この一対の導電性電極33は一方の導電性電極33を抵抗体32の一端部に電気的に接続するとともに、他方の導電性電極33を抵抗体32の他端部に電気的に接続している。そしてまた、前記抵抗基板31における導電性電極33は、図11に示すように、銀とガラスの混合物からなる第1の導電層34と、この第1の導電層34を覆うように設けたニッケルめっき層からなる第2の導電層35と、この第2の導電層35を覆うように設けた錫めっき層からなる第3の導電層36とにより構成されているものである。
【0044】
37はドライバープレートで、このドライバープレート37は上部にドライバー溝38を設けるとともに、略中央に上面から下面にわたって貫通孔39を設けている。また、前記ドライバープレート37には、側方へ突出するように刷子40を設けており、そして、この刷子40を前記抵抗基板31における抵抗体32に電気的に接続させるようにしている。41は中端子で、この中端子41は一端部を前記抵抗基板31における一対の導電性電極33を設けた側と対向する側に配設するとともに、他端に円筒部42を設けており、そして、この円筒部42を前記抵抗基板31における中空孔31aおよびドライバープレート37における貫通孔39に挿通し、ドライバープレート37を回動自在に枢着している。そして、前記抵抗基板31、ドライバープレート37および中端子41により可変抵抗器からなる電子部品43を構成している。
【0045】
以上のように構成された可変抵抗器からなる電子部品について、次に、この電子部品の一部の製造方法とめっき方法を図面を参照しながら説明する。
【0046】
まず、図10、図11に示すように、予め準備されたセラミックからなる抵抗基板31の上面の端部から側面および下面の端部にかけて銀とガラスの混合物からなるペーストを印刷し、その後、約850℃で焼成することにより、一対の導電性電極33における第1の導電層34を抵抗基板31に形成する。
【0047】
次に、図10、図11に示すように、抵抗基板31の上面に、一端が一方の導電性電極33と電気的に接続されるとともに、他端が他方の導電性電極33と電気的に接続されるように、酸化ルテニウムとガラス成分との混合物からなるペーストを印刷し、乾燥させた後、約850℃で焼成することにより、抵抗体32を抵抗基板31の上面に形成する。
【0048】
次に、図12に示すように、片面に予め紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物からなる第1の接着剤(図示せず)を塗布した搬送用テープ44に第1の接着剤(図示せず)により複数個の電子部品43を第1の接着力で接着させる(第1の接着工程)。
【0049】
次に、図13に示すように、複数個の電子部品43における抵抗基板31の導電性電極33が露出するように抵抗基板31における抵抗体32の部分のみを覆うレジストテープ45を第2の接着剤(図示せず)により前記複数個の電子部品43の抵抗基板31における抵抗体32の部分に第1の接着力で接着させる。この場合、前記第2の接着剤(図示せず)も、第1の接着剤(図示せず)と同様、紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物からなるもので、予めレジストテープ45の片面に塗布するようにしているものである(第2の接着工程)。
【0050】
この時点で、JIS−Z−0237に規定されている180度引き剥がし法による試験方法により、図12、図13に示す搬送用テープ44およびレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31との第1の接着力を測定して見ると、約1225gfの力で接着されていた。
【0051】
次に、図14に示すように、搬送用テープ44とレジストテープ45をヒーター46,47で約150℃に加熱すると同時に、搬送用テープ44とレジストテープ45に加圧手段48,49で200gfの外力を付加して電子部品43における抵抗基板31を挟み込むことにより、搬送用テープ44およびレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31とを第1の接着力で接着させる。
【0052】
この時点で、JIS−Z−0237に規定されている180度引き剥がし法による試験方法により、搬送用テープ44およびレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31との第1の接着力を測定して見ると、約2590gfの力で接着されていた。
【0053】
次に、搬送用テープ44とレジストテープ45で挟み込まれた電子部品43における抵抗基板31をニッケルめっき液を充填しためっき槽(図示せず)内に投入し、その後、陽極(図示せず)に正の電圧を印加するとともに、陰極(図示せず)に負の電圧を印加する。
【0054】
次に、図15に示すように、陰極(図示せず)と電気的に接続されたブラシ状の給電電極50を電子部品43における導電性電極33に当接させることにより、連続的に電子部品43における第1の導電層34の表面にニッケルめっき層からなる第2の導電層35を形成する(めっき層形成工程)。
【0055】
次に、前記抵抗基板31を錫めっき液を充填しためっき槽(図示せず)内に投入し、その後、陽極(図示せず)に正の電圧を印加するとともに、陰極(図示せず)に負の電圧を印加する。
【0056】
次に、図15に示すように、陰極(図示せず)と電気的に接続されたブラシ状の給電電極50を電子部品43における導電性電極33に当接させることにより、連続的に電子部品43における第2の導電層35の表面に錫めっき層からなる第3の導電層36を形成する(めっき層形成工程)。
【0057】
次に、めっき槽(図示せず)内でめっき処理が施された電子部品43における抵抗基板31を搬送用テープ44によってめっき槽(図示せず)内から外に取り出し、そして、その後、図16に示すように、搬送用テープ44およびレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31との間の第1,第2の接着剤(図示せず)に、約1000mj/cm2の紫外線を紫外線照射ランプ51,52から照射することにより、第1,第2の接着剤(図示せず)を硬化させる。これにより、搬送用テープ44およびレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31との間の接着力を第2の接着力に低減させるものである(接着力低減工程)。
【0058】
この時点で、JIS−Z−0237に規定されている180度引き剥がし法による試験方法により、搬送用テープ44およびレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31との間の第2の接着力を測定して見ると、約53gfの接着力に低減されているものである。
【0059】
最後に、搬送用テープ44およびレジストテープ45から電子部品43における抵抗基板31を分離させる。
【0060】
このとき、搬送用テープ44およびレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31との接着力は第1の接着力より低い第2の接着力に低減しているため、レジストテープ45を電子部品43における抵抗基板31から分離させる力および電子部品43における抵抗基板31を搬送用テープ44から分離させる力は小さくなり、その結果、レジストテープ45を電子部品43における抵抗基板31から分離させる場合、あるいは電子部品43における抵抗基板31を搬送用テープ44から分離させる場合、電子部品43における抵抗基板31と搬送用テープ44およびレジストテープ45との接着力が小さくなっていることによって、レジストテープ45を電子部品43における抵抗基板31から簡単に分離させることができるとともに、電子部品43における抵抗基板31も搬送用テープ44から簡単に分離させることができ、しかも、電子部品43における抵抗基板31と搬送用テープ44およびレジストテープ45との接着力が小さくなっていることにより、電子部品43における抵抗基板31の表面に接着剤が残るということもなくなり、さらに、レジストテープ45は従来におけるレジスト皮膜の役割をするため、従来のように、抵抗体の上面にレジスト皮膜をまず形成し、その後、めっき処理をし、そしてその後、レジスト皮膜を除去するといった煩わしい工程も削減できるという効果が得られるものである。
【0061】
また、上記本発明の実施の形態2における前記搬送用テープ44およびレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31との間の第1,第2の接着剤(図示せず)は、紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物で構成しているもので、この場合、熱可塑性樹脂は温度が高くなると柔らかくなって、電子部品43における凹凸部に入り込むことになるため、第1,第2の接着剤(図示せず)と電子部品43における抵抗基板31との接着力を大きくすることができ、また、紫外線硬化性樹脂は紫外線が照射されると第1,第2の接着剤(図示せず)と電子部品43における抵抗基板31との接着力を小さくするように作用するため、前記搬送用テープ44およびレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させることが容易に行えるという効果が得られるものである。
【0062】
そしてまた、上記本発明の実施の形態2においては、搬送用テープ44とレジストテープ45をヒーター46,47で約150℃に加熱するとともに、搬送用テープ44とレジストテープ45に加圧手段48,49で200gfの外力を付加して電子部品43における抵抗基板31を挟み込むことにより、搬送用テープ44およびレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31とを第1の接着力で接着させるようにしているため、搬送用テープ44とレジストテープ45の加熱によって、搬送用テープ44とレジストテープ45に設けた第1,第2の接着剤(図示せず)を軟化させることができるとともに、搬送用テープ44とレジストテープ45の加圧によって、第1,第2の接着剤(図示せず)を電子部品43の凹凸部に侵入させることができ、これにより、第1,第2の接着剤(図示せず)と電子部品43との接着力を大きくすることができるという効果が得られるものである。
【0063】
なお、上記本発明の実施の形態2においては、搬送用テープ44およびレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31との間の第1,第2の接着剤(図示せず)の両方を紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物で構成するとともに、前記第1,第2の接着剤(図示せず)の両方に紫外線を紫外線照射ランプ51,52から照射することにより、第1,第2の接着剤(図示せず)を硬化させて、搬送用テープ44およびレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31との間の接着力を第2の接着力に低減させるようにしているが、この両方を必ずしもする必要はなく、第1,第2の接着剤(図示せず)のどちらか一方のみでもよく、この場合は、少なくともレジストテープ45と電子部品43における抵抗基板31との間の第2の接着剤(図示せず)の方を、紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物で構成するとともに、この第2の接着剤(図示せず)に紫外線を照射して硬化させるようにすれば、所期の目的を確実に達成することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る電子部品のめっき方法は、自動化ライン上にめっき槽を配置して電子部品のめっきを行った後、電子部品を搬送用テープから分離させた際に、電子部品の表面に搬送用テープの接着剤が残ってしまうということはなく、電子部品の取り扱い性の向上が図れるという効果を有するものであり、特に電子部品のめっき方法として有用なものである。
【符号の説明】
【0065】
11 絶縁基板
12 電極
13 抵抗体
15 電子部品
16 めっき槽
17 めっき液
21 給電電極
23 搬送用テープ
26 紫外線照射ランプ
31 抵抗基板
32 抵抗体
33 導電性電極
43 電子部品
44 搬送用テープ
45 レジストテープ
46,47 ヒーター
48,49 加圧手段
50 給電電極
51,52 紫外線照射ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板の上面両端部と側面部に電極を形成するとともに、この電極に電気的に接続されるように抵抗体を形成した電子部品を複数個搬送用テープに接着剤により第1の接着力で接着させる接着工程と、前記複数個の電子部品が接着された搬送用テープをめっき槽内のめっき液中に搬送し、このめっき液中において給電電極と電子部品を当接させて連続的に電子部品の電極にめっき層を形成するめっき層形成工程とを備え、前記めっき層形成工程より後に、前記搬送用テープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させる接着力低減工程を設けた電子部品のめっき方法。
【請求項2】
接着剤を紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物で構成するとともに、搬送用テープに紫外線を照射することにより、搬送用テープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させるようにした請求項1記載の電子部品のめっき方法。
【請求項3】
抵抗基板の上面に抵抗体を形成するとともに、この抵抗体の両端部に導電性電極を形成した電子部品を複数個搬送用テープに第1の接着剤により第1の接着力で接着させる第1の接着工程と、前記複数個の電子部品の抵抗体部分のみを覆うようにレジストテープを複数個の電子部品の抵抗体部分に第2の接着剤により第1の接着力で接着させる第2の接着工程と、前記複数個の電子部品が接着された搬送用テープをめっき槽内のめっき液中に搬送し、このめっき液中において給電電極と電子部品を当接させて連続的に電子部品の導電性電極にめっき層を形成するめっき層形成工程とを備え、前記めっき層形成工程より後に、少なくとも前記レジストテープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させる接着力低減工程を設けた電子部品のめっき方法。
【請求項4】
第1の接着剤と第2の接着剤のうち、少なくとも第2の接着剤を紫外線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物で構成するとともに、少なくともレジストテープに紫外線を照射することにより、レジストテープと電子部品との接着力を第1の接着力より低い第2の接着力に低減させるようにした請求項3記載の電子部品のめっき方法。
【請求項5】
レジストテープを複数個の電子部品の抵抗体部分に第2の接着剤により第1の接着力で接着させる第2の接着工程において、レジストテープを電子部品の抵抗体部分に向かって加圧する加圧手段と、レジストテープを加熱する加熱手段とを設け、前記加圧手段と加熱手段の併用によりレジストテープを複数の電子部品の抵抗体部分に接着するようにした請求項3記載の電子部品のめっき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−68964(P2011−68964A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222225(P2009−222225)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】