説明

電子部品の実装装置及び実装方法

【課題】この発明は基板に半導体チップを熱可塑性樹脂によって実装するときのタクトタイムの短縮を図ることができる実装装置を提供することにある。
【解決手段】基板47に半導体チップCを熱可塑性樹脂48によって実装する電子部品の実装装置であって、半導体チップを吸着保持する吸着部25を有して上下方向に駆動される実装ツール21と、吸着部を加熱するヒータ42と、吸着部に設けられ実装ツールを下降方向に駆動して吸着部に保持された半導体チップを基板に加圧加熱して熱可塑性樹脂を溶融させて実装したときに、熱可塑性樹脂を冷却する気体を供給する流路26を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はリードフレームなどの基板に電子部品としての半導体チップを加圧加熱して実装するための電子部品の実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、リードフレームなどの基板に電子部品としての半導体チップを実装する場合、半導体チップを基板に接合するための接着部材として樹脂が用いられることがある。半導体チップの実装に用いられる樹脂としては熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とがある。熱硬化性樹脂を用いた場合、半導体チップを上記基板に加圧加熱することで、上記熱硬化性樹脂が溶融硬化するため、上記半導体チップを上記基板に実装することができる。
【0003】
しかしながら、熱硬化性樹脂によって半導体チップを基板に実装すると、実装された半導体チップが不良品であることが判明した場合、その半導体チップを基板から剥離することが困難であるため、基板を再利用することができないということがある。
【0004】
それに対し、接着部材として熱可塑性樹脂を用いると、実装された半導体チップが不良品であることが判明した場合、熱可塑性樹脂を再加熱することで半導体チップを基板から容易に剥離することができる。そのため、基板の再利用が可能であるという利点があるため、そのような利点に着目して最近では熱可塑性樹脂が使用される傾向にある。
【0005】
基板に半導体チップを実装する実装装置は上下駆動される実装ツールを有する。この実装ツールには半導体チップを吸着保持する吸着部が設けられている。この吸着部はヒータによって加熱されるようになっている。したがって、吸着部に吸着保持された半導体チップを加熱しながら基板に加圧することで、上記熱可塑性樹脂が溶融されて半導体チップが基板に実装されることになる。
【0006】
ところで、基板に半導体チップを実装する場合、生産性の向上を図るために、タクトタイムを短縮することが要求される。タクトタイムを短縮させるためには、半導体チップを吸着保持する吸着部を有する上記実装ツールの上下駆動を高速化するということが行なわれる。
【0007】
しかしながら、上記実装ツールの上下駆動を高速化すると、溶融した熱可塑性樹脂が硬化する前に実装ツールを上昇させることになるから、半導体チップが実装ツールの吸着部に付着して上昇したり、基板上で所定の実装位置からずれてしまうなどの実装不良が発生することがある。
【0008】
そこで、ヒータによって加熱された吸着部の温度を低下させ、熱可塑性樹脂を硬化させてから実装ツール上昇させることで、上記電子部品の実装不良の発生を防止するということが考えられている。
【0009】
特許文献1には半導体チップを吸着して加圧するためのツールと、ツールを加熱するセラミックヒータと、セラミックヒータの熱をツールに効率よく伝達するための断熱材と、これらの部材を結合するホルダを有し、上記断熱材又はホルダにセラミックヒータを直接冷却する冷却媒体の通路を設け、上記ツールを強制冷却することが示されている。それによって、実装終了後に接着部材が硬化するまでの温度降下時間を短縮し、タクトタイムの向上を図ることが可能となるというものである。
【特許文献1】特開2002−16091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1のようにセラミックヒータを冷却媒体によって直接強制冷却するようにしても、半導体チップを基板に接着する接着部材としての熱可塑性樹脂はセラミックヒータが冷却された後に冷却されることになる。そのため、熱可塑性樹脂がある程度硬化して半導体チップの接着状態(実装状態)が安定するまでにはかなりの時間が掛かることになるから、タクトタイムを十分に向上させることができないということがあった。
【0011】
さらに、セラミックヒータを冷却すると、次に半導体チップを実装するときにセラミックヒータを実装温度に上昇させるまでに少なくとも数秒の時間が掛かることになるから、そのことによってもタクトタイムを十分に短縮することができないということがある。
【0012】
この発明は、電子部品を基板に接着する熱可塑性樹脂を直接冷却硬化させることで、タクトタイムを短縮し、生産性を向上させることができるようにした電子部品の実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、基板に電子部品を熱可塑性樹脂によって実装する電子部品の実装装置であって、
上記電子部品を吸着保持する吸着部を有して上下方向に駆動される実装ツールと、
上記吸着部を加熱するヒータと、
上記吸着部に設けられ上記実装ツールを下降方向に駆動して上記吸着部に保持された上記電子部品を上記基板に加圧加熱して上記熱可塑性樹脂を溶融させて実装したときに、上記熱可塑性樹脂を冷却する冷却媒体を供給する冷却手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0014】
上記冷却手段は、上記吸着部の上記電子部品を吸着する吸着面に開口して形成されこの吸着面に吸着された上記電子部品の周辺部に上記冷却媒体を供給する流路を有することが好ましい。
【0015】
上記流路に冷却媒体を供給する供給部と、この供給部から上記流路に上記冷却媒体を供給するタイミングを制御する制御手段を有することがこのましい。
【0016】
上記流路の上記吸着面に開口した形状は矩形環状であって、その外形は上記電子部品の外形よりも大きく設定されていることが好ましい。
【0017】
上記実装ツールには、この実装ツールを超音波振動させる振動子が設けられていることが好ましい。
【0018】
この発明は、基板に電子部品を熱可塑性樹脂によって実装する電子部品の実装方法であって、
上記電子部品を上記基板に設けられた熱可塑性樹脂に加圧しながら加熱して実装する工程と、
上記熱可塑性樹脂が溶融されて上記電子部品が上記基板に実装されたときに上記熱可塑性樹脂を冷却媒体によって冷却する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法にある。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、熱可塑性樹脂を溶融させて基板に電子部品を実装したならば、溶融した熱可塑性樹脂を冷却媒体によって冷却するため、電子部品の保持状態が安定する状態となるまで、熱可塑性樹脂を短時間で確実に硬化させることができる。それによって、電子部品の実装に要するタクトタイムを短縮し、生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5はこの発明の第1の実施の形態を示し、図1はこの発明の実装装置の側面図で、図2は正面図である。図1に示すように、この実装装置は装置本体1を備えている。この装置本体1にはYガイド体2が同図に矢印で示すY方向に沿って設けられ、このYガイド体2にはY可動体3がY方向に駆動可能に設けられている。
【0021】
上記Y可動体3の前端面には上下方向に所定間隔で離間した一対のXガイド体4がX方向に沿って設けられている。このXガイド体4にはX可動体5が駆動可能に設けられている。このX可動体5は側面形状が逆L字状に形成されていて、垂直壁の外面に上記Xガイド体4に移動可能に係合する受け部6が設けられている。
【0022】
X可動体5の垂直壁5aの内面には上下方向に沿って一対のZガイド体7がX方向に所定間隔で離間して設けられている。このZガイド体7には可動体としてのZ可動体8が矢印Zで示す上下方向に駆動可能に設けられている。このZ可動体8の上面と、上記X可動体5の水平壁5bの下面との間には複数、たとえば4つのばね11が張設されていて、上記Z可動体8を上昇方向に付勢している。
【0023】
上記X可動体5の水平壁5bの上面にはZ駆動源であるシリンダ12が軸線を垂直にして設けられている。このシリンダ12のロッド13の先端には押圧部材14が設けられている。この押圧部材14は上記Z可動体8の上面に回転軸線を水平にして設けられたローラ15に当接している。したがって、上記シリンダ12のロッド13が突出方向に付勢されると、上記Z可動体8をばね11の復元力に抗して下降方向に駆動させることができるようになっている。
【0024】
上記Z可動体8の下面にはθ駆動源16が設けられている。このθ駆動源16によって回転駆動されるθ可動体17には実装ツールとしての超音波実装ツール21が取り付けられている。この超音波実装ツール21は図3に示すように角柱状のホーン22を有する。このホーン22の長手方向一端には振動子23が連結固定されている。この振動子23には図示しない発振器が接続されていて、この発振器によってたとえば40kHzの高周波電圧が印加される。それによって、上記振動子23とともに上記ホーン22が超音波振動する。
【0025】
上記ホーン22の長手方向中央部の下面、つまり上記ホーン22に伝播する振動波による振動が最大となる部分、つまり図3にS1で示す振動の腹の部分には矩形状の吸着部25がホーン22の幅方向全長にわたって設けられている。この吸着部25の中心部には図4に示すように吸引孔25aが吸着部25の下端面に開口形成されている。上記吸引孔25aはホーン22に形成された連通路22aに連通し、この連通路22aには吸引ポンプ24が接続されている。それによって、上記吸着部25の下端面、つまり吸着面に電子部品としての矩形状の半導体チップCを吸着保持できるようになっている。
【0026】
図4に示すように、上記吸着部25には冷却手段を構成する流路26が吸着部25の吸着面に上記吸引孔25aとは別に開口して形成されている。すなわち、上記流路26は、図5に示すように矩形環状に形成されている。流路26内の高さ方向下端部には複数の仕切り部材26aが周方向に所定間隔で設けられている。それによって、上記流路26の上記吸着面に開口した端部は複数の流出口26bに隔別されている。上記流路26の外形寸法は図5鎖線で示す矩形状の半導体チップCの外形状よりもわずかに大きく設定されている。
【0027】
それによって、上記吸着部25の吸着面に上記半導体チップCを吸着保持すると、上記流路26の流出口26bの幅方向の外側部分が上記半導体チップCの外周縁から露出するようになっている。
【0028】
上記流路26には冷却媒体としてのたとえば窒素ガスなどの気体を所定の圧力で供給する気体供給部27が配管28によって接続されていている。この配管28の中途部には開閉制御弁29が設けられている。開閉制御弁29は制御装置30によって開閉が所定のタイミングで制御される。
【0029】
上記配管28は上記ホーン22及びこのホーン22の上面に一体形成された後述する荷重受け部36にわたって形成された連通路31に接続されている。この連通路31はホーン22の下端面に開口形成された環状溝32に連通している。この環状溝32は、ホーン22の下端面に取付けられる上記吸着部25に形成された流路26の上端開口に連通する。
【0030】
したがって、上記開閉制御弁29が開放されると、気体供給部27の気体が上記流路26に供給される。流路26に供給された気体は、図4に矢印で示すように流路26を形成する流出口26bの半導体チップCの周縁から露出した部分から流出する。つまり、流路26に供給された気体は半導体チップCの外周縁の全長に沿って流出するようになっているため、半導体チップCの周辺部からはみ出した熱可塑性樹脂48を直接冷却できるようになっている。
【0031】
上記ホーン22の上面の上記吸着部25と対応する長手方向の中央部である、振動波の腹の部分S1には上記吸着部25とほぼ同じ平面形状の上記荷重受け部36が突出形成されている。
【0032】
上記荷重受け部36の上面には、上記ホーン22と同じ幅寸法で、長さ寸法がホーン22よりも短い帯板状のブラケット37が長手方向中央部の下面を摺動可能に接触させて設けられている。このブラケット37の両端部はそれぞれねじ38によって上記ホーン22の振動の振幅が最小となる、図3にS2で示す上記振動波の節の部分に連結固定されている。
【0033】
それによって、上記ホーン22が上記振動子23によって超音波振動させられても、上記ブラケット37が上記ホーン22とともに超音波振動しないようになっている。
上記ブラケット37は、上記荷重受け部36に接触した部分の上面が上記θ可動体17の下面に取り付け固定される。したがって、上記超音波実装ツール21はX、Y、Z及びθ方向に駆動可能となっている。
【0034】
図3と図4に示すように、上記ホーン22の長手方向の中途部である、振動の腹S1の部分の近くには、上記吸着部25を挟んで対称に断面円形状の一対の保持孔41が幅方向に貫通して穿設されている。
【0035】
一対の保持孔41には円柱状のカートリッジ式のヒータ42が着脱可能に挿入されている。ヒータ42としてはコンスタントヒート方式やパルスヒート方式があるが、この実施の形態では安価で制御が容易なコンスタントヒート方式のヒータ42が用いられている。
【0036】
上記ブラケット37の上記保持孔41に対応する部分の幅方向の両側面にはそれぞれ矩形板状の板ばねからなる取り付け部材43の一端部がねじ44によって取り付け固定されている。
【0037】
一対の取り付け部材43の他端部は上記保持孔41に挿入された一対のヒータ42の一方の端面と他方の端面に対向している。各取り付け部材43の他端部の内面には低発塵性であって、しかも耐熱性を有する弾性材料、たとえばフッ素系のゴムや樹脂などによって山形状に成形された弾性保持部材45が取着されていて、この弾性保持部材45の頂部が上記ヒータ42の端面に弾性的に当接している。
【0038】
すなわち、上記保持孔41に挿入された一対のヒータ42は、上記弾性保持部材45によって保持孔41から抜出することがないよう、弾性的に保持されている。それによって、板ばねからなる上記取り付け部材43は弾性変形する。
【0039】
図1と図2に示すように、上記超音波実装ツール21の下方にはステージ46が配設されている。このステージ46は、詳細は図示しないがX、Y、及びZ方向に駆動可能となっている。ステージ46の上面にはリードフレームやポリイミド製のテープ状部材などの基板47が図示しない搬送機構によって搬送されて位置決め載置される。この基板47に対して上記超音波実装ツール21の吸着部25が位置決めされて下降する。
【0040】
それによって、吸着部25に保持された半導体チップCは、Z可動体8による加圧力、ホーン22の超音波振動及びヒータ42の熱によって上記基板47に設けられた接着部材としての熱可塑性樹脂48の部分に後述するように実装される。
【0041】
このような構成の実装装置において、基板47に半導体チップCを接着部材としての熱可塑性樹脂48を用いて実装する場合、半導体チップCを吸着保持した吸着部25を、ヒータ42によってたとえば400℃程度に加熱する。吸着部25が加熱されれば、この吸着部25に吸着保持された半導体チップCもほぼ同じ温度に加熱される。それと同時に、振動子23を作動させてホーン22を超音波振動させる。
【0042】
ついで、Z可動体8に設けられた超音波実装ツール21をシリンダ12によって下降させ、吸着部25に吸着保持された半導体チップCを、図4に示すように基板47の熱可塑性樹脂48が設けられた部分に加圧する。
【0043】
それによって、ホーン22に設けられたヒータ42の熱が半導体チップCを介して熱可塑性樹脂48に伝達されるから、その熱によって熱可塑性樹脂48が溶融され、半導体チップCが基板47に実装されることになる。このとき、半導体チップCはホーン22によって超音波振動が付与されるため、熱可塑性樹脂48の溶融が均一化され、半導体チップCの実装がより一層、確実に行なわれることになる。
【0044】
熱可塑性樹脂48が溶融して半導体チップCが基板47に実装されたならば、超音波実装ツール21を上昇させる前に、制御装置30によって開閉制御弁29を開放させ、気体供給部27から冷却媒体としての気体を配管28からホーン22に形成された連通路31及び環状溝32を通じて流路26に供給される。
【0045】
流路26に供給された気体は流出口26bから半導体チップCの外周縁に向かって流出し、半導体チップCの周縁部及び半導体チップCを基板47に接着した熱可塑性樹脂48の上記半導体チップCの周辺部に位置する部分を冷却する。
【0046】
それによって、少なくとも熱可塑性樹脂48の半導体チップCの周縁部を基板47に接着した部分が冷却媒体によって直ちに冷却硬化されるから、半導体チップCの安定した実装状態が確保されることになる。つまり、半導体チップCが基板47上でずれ動くことのない状態に保持される。
【0047】
したがって、上記開閉制御弁29を開いて気体を流出口26bから流出させたならば、上記吸着部25による半導体チップCの吸着状態を解除して上記超音波実装ツール21を上昇させれば、半導体チップCが吸着部25側に付着して上昇したり、基板47上でずれ動くなどのことを防止することができる。
【0048】
すなわち、基板47に半導体チップCが実装すると同時に、吸着部25の流路26から供給される気体によって半導体チップCの周縁部を直接冷却するようにした。そのため、半導体チップCを基板47に実装すると同時に上記流路26から供給された気体によって熱可塑性樹脂48の少なくとも半導体チップCの周縁部を接着した部分を硬化させることができるから、実装が終了すると同時に超音波実装ツール21を上昇させてつぎの実装を行なうことが可能となる。
【0049】
つまり、実装後に熱可塑性樹脂48を硬化させるための待ち時間が不要となるばかりか、吸着部25を加熱するヒータ42への通電を遮断して上記吸着部25を温度低下させて半導体チップCを冷却するなどのことをせずにすむから、これらのことによって実装に要するタクトタイムを短縮して生産性を向上させることができる。
【0050】
上記一実施の形態では吸着部25に形成される流路26を矩形環状にしたが、図6に示すように流路26Aを円環状に形成する。流路26Aの吸着部25の吸着面に開口した下端には周方向にたとえば90度間隔で4つの突出部26Bを吸引孔25aを中心にして径方向外方に向かって放射状に突出形成する。
【0051】
そして、吸着部25の吸着面に図6に鎖線で示すように半導体チップCを吸着保持すると、複数の突出部26Bの先端部が上記半導体チップCの外周縁よりも外方に突出するようになっている。
【0052】
したがって、上記流路26Aに気体を供給すれば、半導体チップCの中心付近から基体が流出して半導体チップCのほぼ全体を冷却することができるばかりか、上記半導体チップCの外周縁から突出した4つの突出部26Bの先端部から気体が流出するから、その気体によって溶融した熱可塑性樹脂48の少なくとも上記突出部26Bに対応する部分が急速に冷却される。
【0053】
それによって、上記半導体チップCが基板47上でずれ動くことなく保持されて実装状態が安定するから、上記一実施の形態と同様、実装に要するタクトタイムを短縮することができる。
【0054】
図6に示す実施の形態では、突出部26Bを4つ形成する場合について説明したが、突出部26Bは8つ或いはそれ以上であってもよく数を多くすればする程、半導体チップCと熱可塑性樹脂48に対する冷却効果を向上させることができる。
【0055】
なお、上記実施の形態では半導体チップを吸着保持した吸着部を超音波振動させる例を挙げて説明したが、超音波振動させずに半導体チップを実装する場合であっても、この発明を適用することができる。
【0056】
また、吸着部に形成される気体の流路の形状は上記各実施の形態に限定されるものでなく、たとえば吸着部の吸着面に、この吸着面に保持された半導体チップの周縁よりも外側に開口する円形や矩形の複数の孔を開口させるようにしてもよく、要は実装された半導体チップの周縁部を冷却できる構造であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の第一実施の形態を示す実装装置の概略的構成を示す側面図。
【図2】図1に示す実装装置の正面図。
【図3】超音波実装ツールの一部断面した正面図。
【図4】超音波実装ツールのホーンの一部及び吸着部の拡大断面図。
【図5】上記吸着部の平面図。
【図6】この発明の他の実施の形態を示す吸着部の平面図。
【符号の説明】
【0058】
21…超音波実装ツール、22…ホーン、23…振動子、25…吸着部、26…流路(冷却手段)、27…気体供給部、29…開閉制御弁、30…制御装置、42…ヒータ、47…基板、48…熱可塑性樹脂。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に電子部品を熱可塑性樹脂によって実装する電子部品の実装装置であって、
上記電子部品を吸着保持する吸着部を有して上下方向に駆動される実装ツールと、
上記吸着部を加熱するヒータと、
上記吸着部に設けられ上記実装ツールを下降方向に駆動して上記吸着部に保持された上記電子部品を上記基板に加圧加熱して上記熱可塑性樹脂を溶融させて実装したときに、上記熱可塑性樹脂を冷却する冷却媒体を供給する冷却手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項2】
上記冷却手段は、上記吸着部の上記電子部品を吸着する吸着面に開口して形成されこの吸着面に吸着された上記電子部品の周辺部に上記冷却媒体を供給する流路を有することを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
上記流路に冷却媒体を供給する供給部と、この供給部から上記流路に上記冷却媒体を供給するタイミングを制御する制御手段を有することを特徴とする請求項2記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
上記流路の上記吸着面に開口した形状は矩形環状であって、その外形は上記電子部品の外形よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項2記載の電子部品の実装装置。
【請求項5】
上記実装ツールには、この実装ツールを超音波振動させる振動子が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項6】
基板に電子部品を熱可塑性樹脂によって実装する電子部品の実装方法であって、
上記電子部品を上記基板に設けられた熱可塑性樹脂に加圧しながら加熱して実装する工程と、
上記熱可塑性樹脂が溶融されて上記電子部品が上記基板に実装されたときに上記熱可塑性樹脂を冷却媒体によって冷却する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−76606(P2009−76606A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243063(P2007−243063)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】