説明

電子部品の端子接続構造、パッケージ、圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計

【課題】貫通電極と接続される電極との間の電気抵抗値の増大を防止しつつ、良好な導通性能を確保できる電子部品の端子接続構造、この電子部品の端子接続構造を有する基板を備えたパッケージ、圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計を提供する
【解決手段】ベース基板2(基板)を貫通する貫通電極32と、貫通電極32に電気的に接続される外部電極38と、を有する電子部品の端子接続構造において、貫通電極32の外側端面32a(端面)に、この外側端面32aを覆う導電性酸化物の被覆膜70(膜)を形成し、貫通電極32と外部電極38とを、導電性酸化物の被覆膜70を介して電気的に接続したことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品の端子接続構造、パッケージ、圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末には、時刻源や制御信号などのタイミング源、リファレンス信号源などとして水晶などを利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが知られているが、その一つとして、2層構造タイプの表面実装型の圧電振動子が知られている。
【0003】
この2層構造タイプの圧電振動子は、第1の基板と第2の基板とが直接接合されることでパッケージ化されており、両基板の間に形成されたキャビティ内に圧電振動片が収納されている。このような2層構造タイプの圧電振動子の1つとして、第1の基板の内外を導通する貫通電極と、第1の基板の外側に形成され外部電極と電気的に接続された外部電極とを備えた圧電振動子が知られている。
【0004】
この種の圧電振動子の第1の基板に貫通電極を形成する方法としては、様々なものが提案されている。
例えば、特許文献1には、ベース基板に貫通孔を形成し、ベース基板を熱軟化させた状態で貫通孔内に金属ピンを打ち込んで、貫通電極を形成する方法が記載されている。
また、ベース基板に貫通孔を形成し、貫通孔内に金属ピンを配設し、貫通孔と金属ピンとの隙間にガラスフリットを充填した後、ガラスフリットを硬化させて金属ピンを固定することにより貫通電極を形成する方法等が知られている。
【0005】
また、外部電極を形成する方法としては、貫通電極の位置に対応して開口が形成されたマスクの上から銀ペースト等の導電ペーストを塗布する、いわゆるスクリーン印刷が知られている。そして、貫通電極の端面上に塗布された導電ペーストを乾燥させて固化させることにより、外部電極は貫通電極の端面を覆うように形成される。
【0006】
ところで、外部電極が形成されるまでの間、貫通電極の端面は、ベース基板の表面から露出した状態となっている。このため、貫通電極の端面は、製造過程で容易に酸化して、絶縁体酸化膜が生成されやすいという問題があった。そして、絶縁体酸化膜が生成された状態で貫通電極の端面を覆うように貫通電極を形成すると、貫通電極の端面と外部電極との間に絶縁体酸化膜が介在するため、電気抵抗値が増大するおそれがあった。
【0007】
そこで、例えば、貫通電極の端面に金メッキを施すことにより、貫通電極の端面に絶縁体酸化膜が生成されるのを防止している。そして、金メッキを介在させて貫通電極の端面上に外部電極を形成することにより、貫通電極の端面と外部電極との間における電気抵抗値の増大を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−124845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、金メッキは、一般に他の金属との密着力が弱い。したがって、金メッキを介在させて貫通電極の端面上に外部電極を形成した場合には、外部電極が貫通電極から剥離する等して、導通不良が発生するおそれがある。特に、金メッキは銀との密着力が弱いため、銀ペーストから外部電極を形成した場合には、この問題は顕著となる。
【0010】
そこで本発明は、貫通電極と接続される電極との間の電気抵抗値の増大を防止しつつ、良好な導通性能を確保できる電子部品の端子接続構造、この電子部品の端子接続構造を有する基板を備えたパッケージ、圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明の電子部品の端子接続構造は、基板を貫通する貫通電極と、前記貫通電極に電気的に接続される電極と、を有する電子部品の端子接続構造において、前記貫通電極の端面に、この端面を覆う導電性酸化物の膜を形成し、前記貫通電極と前記電極とを、前記導電性酸化物の膜を介して電気的に接続したことを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、貫通電極の端面に導電性酸化物の膜を形成することで、貫通電極の端面に絶縁体酸化膜が形成されるのを防止できる。したがって、貫通電極と電極との間に絶縁体酸化膜が介在することがないので、貫通電極と電極との間の電気抵抗値の増大を防止して、貫通電極と電極とを電気的に接続できる。
また、導電性酸化物の膜を介して貫通電極と電極とを電気的に接続しているので、貫通電極と電極との良好な密着性を確保できる。したがって、貫通電極からの電極の剥離を抑制できるので、貫通電極と電極との良好な導通性能を確保できる。
【0013】
また、本発明の電子部品の端子接続構造は、前記導電性酸化物が、ITO、SnOおよびSnO2のいずれかの材料により形成されていることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、ITO、SnOおよびSnO2により貫通電極の端面に膜が形成された場合に好適であり、貫通電極と電極との良好な密着性を確保できる。
【0015】
また、本発明の電子部品の端子接続構造は、銀ペーストにより前記電極を形成したことを特徴としている。
【0016】
本発明によれば、銀ペーストにより電極が形成された場合に好適であり、貫通電極と電極との良好な密着性を確保できる。
【0017】
また、本発明のパッケージは、上述の電子部品の端子接続構造を有する前記基板を備え、電子素子を封入可能なパッケージであって、前記電極が、前記基板の外側に形成された外部電極であり、前記貫通電極の外側端面に、この端面を覆う前記導電性酸化物の膜を形成し、前記貫通電極と前記外部電極とを、前記導電性酸化物の膜を介して電気的に接続したことを特徴としている。
【0018】
本発明によれば、貫通電極の外側端面に導電性酸化物の膜を形成することで、貫通電極の端面に絶縁体酸化膜が形成されるのを防止できる。したがって、貫通電極と外部電極との間に絶縁体酸化膜が介在することがないので、貫通電極と外部電極との間の電気抵抗値の増大を防止して、貫通電極と外部電極とを電気的に接続できる。
また、導電性酸化物の膜を介して貫通電極と外部電極とを電気的に接続しているので、貫通電極と外部電極との良好な密着性を確保できる。したがって、貫通電極からの外部電極の剥離を抑制できるので、貫通電極と外部電極との良好な導通性能を確保できる。
【0019】
また、本発明のパッケージは、前記導電性酸化物の膜の面積を前記貫通電極の外側端面の面積よりも広く設定したことを特徴としている。
【0020】
本発明によれば、導電性酸化物の膜を貫通電極の外側端面の面積よりも広く設定することで、貫通電極の外側端面にのみ導電性酸化物の膜を形成した場合よりも、導電性酸化物の膜と外部電極との接触面積をより広く確保できる。これにより、貫通電極と外部電極との間の電気抵抗値を低く抑制できるので、貫通電極と外部電極との良好な導通性能をさらに確保できる。
【0021】
また、本発明の圧電振動子は、上述したパッケージの内部に、前記電子素子として圧電振動片が封入されていることを特徴としている。
【0022】
本発明によれば、貫通電極と外部電極との間の電気抵抗値の増大を防止しつつ、貫通電極と外部電極との良好な導通性能を確保できるパッケージの内部に圧電振動片を封入しているので、性能が良好で高効率な圧電振動子を提供することができる。
【0023】
本発明の発振器は、上述した圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴としている。
本発明の電子機器は、上述した圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴としている。
本発明の電波時計は、上述した圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0024】
本発明の発振器、電子機器および電波時計によれば、性能が良好で高効率な発振器、電子機器および電波時計を提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、貫通電極の端面に導電性酸化物の膜を形成することで、貫通電極の端面に絶縁体酸化膜が形成されるのを防止できる。したがって、貫通電極と電極との間に絶縁体酸化膜が介在することがないので、貫通電極と電極との間の電気抵抗値の増大を防止して、貫通電極と電極とを電気的に接続できる。
また、導電性酸化物の膜を介して貫通電極と電極とを電気的に接続しているので、貫通電極と電極との良好な密着性を確保できる。したがって、貫通電極からの電極の剥離を抑制できるので、貫通電極と電極との良好な導通性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】圧電振動子を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態の平面図である。
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【図4】図1に示す圧電振動子の分解斜視図である。
【図5】貫通電極と外部電極との接続構造の説明図である。
【図6】圧電振動子の製造方法のフローチャートである。
【図7】ウエハ体の分解斜視図である。
【図8】被覆膜成膜工程の説明図である。
【図9】発振器の一実施形態を示す構成図である。
【図10】電子機器の一実施形態を示す構成図である。
【図11】電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(圧電振動子)
以下、本発明の実施形態に係る圧電振動子を、図面を参照して説明する。
図1は圧電振動子1(請求項の「電子部品」に相当。)の外観斜視図、図2は圧電振動子1の内部構成図、図3は図2のA−A線における断面図である。また、図4は図1に示す圧電振動子1の分解斜視図である。
なお、以下の説明では、ベース基板2の外側の面を外面Lとし、ベース基板2の内側の面を内面Uとして説明する。また、図4においては、図面を見易くするために後述する励振電極15、引き出し電極19,20、マウント電極16,17および重り金属膜21の図示を省略している。
【0028】
図1に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、ベース基板2およびリッド基板3が接合膜35を介して陽極接合されたパッケージ9であり、表面実装型の圧電振動子1である。図3に示すように、パッケージ9の内部のキャビティCには圧電振動片4(請求項の「電子素子」に相当。)が収納されている。
【0029】
(圧電振動片)
図2に示すように、圧電振動片4は、水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。圧電振動片4は、平行に配置された一対の振動腕部10,11と、前記一対の振動腕部10,11の基端側を一体的に固定する基部12と、一対の振動腕部10,11の両主面上に形成された溝部18とを備えている。この溝部18は、振動腕部10,11の長手方向に沿って振動腕部10,11の基端側から略中間付近まで形成されている。
【0030】
励振電極13,14および引き出し電極19,20は、後述するマウント電極16,17の下地層と同じ材料のクロムにより単層膜が形成されている。これにより、マウント電極16,17の下地層を成膜するのと同時に、励振電極13,14および引き出し電極19,20を成膜できる。
【0031】
励振電極13,14は、一対の振動腕部10,11を互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極である。第1の励振電極13および第2の励振電極14は、一対の振動腕部10,11の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされて形成されている。
【0032】
マウント電極16,17は、クロムと金との積層膜であり、水晶と密着性の良いクロム膜を下地層として成膜した後に、表面に金の薄膜を仕上げ層として成膜することにより形成される。
【0033】
一対の振動腕部10,11の先端には、自身の振動状態を所定の周波数の範囲内で振動するように調整(周波数調整)を行うための重り金属膜21が被膜されている。この重り金属膜21は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜21aと、微小に調整する際に使用される微調膜21bとに分かれている。これら粗調膜21aおよび微調膜21bを利用して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10,11の周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができる。
【0034】
(パッケージ)
図1に示すように、ベース基板2およびリッド基板3は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる陽極接合可能な基板であり、略板状に形成されている。また、図3に示すように、リッド基板3におけるベース基板2との接合面側には、圧電振動片4を収容するキャビティ用凹部3aが形成されている。
【0035】
リッド基板3におけるベース基板2との接合面側の全体に、陽極接合用の接合膜35が形成されている。すなわち接合膜35は、キャビティ用凹部3aの内面全体に加えて、キャビティ用凹部3aの周囲の額縁領域に形成されている。本実施形態の接合膜35はシリコン膜で形成されているが、接合膜35をアルミニウムやクロム等で形成することも可能である。この接合膜35とベース基板2とは陽極接合されており、キャビティCが真空封止されている。
【0036】
(貫通電極)
圧電振動子1は、ベース基板2を厚さ方向に貫通し、ベース基板2の内面Uとベース基板2の外面Lとを導通する貫通電極32,33を備えている。貫通電極32,33は、ベース基板2の内面Uとベース基板2の外面Lとを貫通する貫通孔30,31内に配置されており、圧電振動片4と、後述する外部電極38,39とを電気的に接続している。
【0037】
図2に示すように、貫通孔30,31は、圧電振動子1を形成したときにキャビティC内に収まるように形成される。より詳しく説明すると、貫通孔30,31は、後述するマウント工程で実装される圧電振動片4の基部12側に対応した位置に一方の貫通孔30が形成され、振動腕部10,11の先端側に対応した位置に他方の貫通孔31が形成されている。
【0038】
図3に示すように、貫通電極32,33は、貫通孔30,31の中心軸Oに沿って配置されている。
貫通電極32,33は、銀やニッケル合金、アルミニウム等の金属材料により形成された導電性の棒状部材であり、鍛造やプレス加工により成型される。貫通電極32,33は、線膨張係数がベース基板2のガラス材料と近い金属、例えば、鉄を58重量パーセント、ニッケルを42重量パーセント含有する合金(42アロイ)で形成することが望ましい。貫通電極32,33の外側端面32a,33aは、後述する外部電極38,39と電気的に接続されている。また、貫通電極32,33の内側端面32b,33bは、後述する引き回し電極36,37と電気的に接続されている。
【0039】
貫通孔30,31と貫通電極32,33との間隙には、ガラス体6が充填されている。
ガラス体6は、ガラスフリットが焼成されたものであり、貫通電極32,33の外表面および貫通孔30,31の内周面に対して強固に固着している。そして、ガラス体6は、貫通孔30,31と貫通電極32,33との間隙を完全に塞ぎ、キャビティC内の気密を維持している。
【0040】
(導電性酸化物の被覆膜)
図5は、貫通電極32と外部電極38との接続構造の説明図である。なお、貫通電極32と外部電極38との接続構造、および貫通電極33と外部電極39との接続構造は同様の構成となっている。したがって、以下の図5を用いた説明では、貫通電極32と外部電極38との接続構造について説明をし、貫通電極33と外部電極39との接続構造についての説明は省略している。
【0041】
図5に示すように、貫通電極32の端面のうち、ベース基板2の外面Lから露出する外側端面32aには、この外側端面32aを覆うように被覆膜70が形成されている。
被覆膜70は、例えばITO(酸化インジウムスズ)や、SnO、SnO2(いずれも酸化ケイ素)等の導電性酸化物を材料としており、膜厚が例えば1000Å程度になるように成膜される。
被覆膜70は、貫通電極32の中心軸O方向から見て、貫通電極32の外側端面32aの全面を覆い、さらにガラス体6の一部を覆って、外側端面32aの外形よりも大きく形成されている。すなわち、中心軸O方向から見た被覆膜70の面積は、貫通電極32の外側端面32aの面積よりも広くなるように設定されている。
【0042】
(外部電極)
図3に示すように、ベース基板2の外面Lには、ベース基板2の長手方向の両端部に、被覆膜70を覆う一対の外部電極38,39が形成されている。
外部電極38,39は、例えば銀ペースト等の導電性材料を塗布した後、乾燥させて固化させることにより形成される。外部電極38,39は、被覆膜70を介して貫通電極32,33と電気的に接続されている。ここで、ITOや、SnO、SnO2等の導電性酸化物は、銀との密着性が良好である。したがって、貫通電極32,33と外部電極38,39とは、被覆膜70を介して強固に接続される。
【0043】
図4に示すように、ベース基板2の内面U側には、一対の引き回し電極36,37がパターニングされている。引き回し電極36,37は、例えば金等からなる膜であり、例えばスパッタ法やCVD法等により成膜される。
一対の引き回し電極36,37のうち、一方の引き回し電極36は、一方の貫通電極32の内側端面32bの真上に位置するように形成されている。また、他方の引き回し電極37は、一方の引き回し電極36に隣接した位置から、振動腕部10,11に沿って前記振動腕部10,11の先端側に引き回しされた後、他方の貫通電極33の内側端面33bの真上に位置するように形成されている。
【0044】
そして、これら一対の引き回し電極36,37上にそれぞれバンプBが形成されており、バンプBを利用して圧電振動片4の一対のマウント電極16,17が実装されている。これにより、圧電振動片4の一方のマウント電極17が、一方の引き回し電極36を介して一方の貫通電極32に導通し、他方のマウント電極16が、他方の引き回し電極37を介して他方の貫通電極33に導通するようになっている(図2参照)。
【0045】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、ベース基板2に形成された外部電極38,39に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片4の第1の励振電極13および第2の励振電極14からなる励振電極15に電圧を印加することができるので、一対の振動腕部10,11を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部10,11の振動を利用して、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として利用することができる。
【0046】
(圧電振動子の製造方法)
図6は、本実施形態の圧電振動子1の製造方法のフローチャートである。
図7は、ウエハ体60の分解斜視図である。なお、図7に示す点線は、後に行う切断工程で切断する切断線Mを図示している。
次に、圧電振動子1の製造方法を、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
図6に示すように、本実施形態に係る圧電振動子1の製造方法は、主に、圧電振動片作製工程S10と、リッド基板用ウエハ作製工程S20と、ベース基板用ウエハ作製工程S30と、組立工程(マウント工程S50以降)とを有している。各工程のうち、圧電振動片作製工程S10、リッド基板用ウエハ作製工程S20およびベース基板用ウエハ作製工程S30は、並行して実施できる。
【0047】
(圧電振動片作製工程)
圧電振動片作製工程S10では、圧電振動片4を作製している。具体的には、まず水晶のランバート原石を所定の角度でスライスし、ポリッシュなどの鏡面研磨加工を行って、所定の厚みのウエハとする。続いて、フォトリソグラフィ技術によって圧電振動片4の外形形状にパターニングするとともに、金属膜の成膜およびパターニングを行って、励振電極13,14、引き出し電極19,20、マウント電極16,17および重り金属膜21を形成する。その後、圧電振動片4の共振周波数の粗調を行う。以上で、圧電振動片作製工程S10が終了する。
【0048】
(リッド基板用ウエハ作製工程)
リッド基板用ウエハ作製工程S20では、後にリッド基板3となるリッド基板用ウエハ50を作製する。まず、ソーダ石灰ガラスからなる円板状のリッド基板用ウエハ50を、所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチングなどにより最表面の加工変質層を除去する(S21)。次いで、キャビティ形成工程S22では、リッド基板用ウエハ50におけるベース基板用ウエハ40との接合面に、キャビティ用凹部3aを複数形成する。キャビティ用凹部3aの形成は、加熱プレス成型やエッチング加工などによって行う。次に、接合面研磨工程S23では、ベース基板用ウエハ40との接合面を研磨する。
【0049】
次に、接合膜形成工程S24では、ベース基板用ウエハ40との接合面に接合膜35(図3参照)を形成する。接合膜35の形成は、スパッタ法やCVD法等の成膜方法によって行われる。以上で、リッド基板用ウエハ作製工程S20が終了する。
【0050】
(ベース基板用ウエハ作製工程)
ベース基板用ウエハ作製工程S30では、後にベース基板2となるベース基板用ウエハ40を作製する。まず、ソーダ石灰ガラスからなる円板状のベース基板用ウエハ40を、所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチングなどにより最表面の加工変質層を除去する(S31)。
【0051】
(貫通電極形成工程)
次いで、ベース基板用ウエハ40に、一対の貫通電極32,33を形成する貫通電極形成工程S32を行う。なお、以下には貫通電極32の形成工程を説明するが、貫通電極33の形成工程についても同様である。
【0052】
まず、ベース基板用ウエハ40の外面Lから内面Uにかけて貫通孔30を成型する。次に、貫通孔30内に貫通電極32を挿入してガラスフリットを充填する。ガラスフリットは、主に粉末状のガラス粒子と、有機溶剤と、バインダ(固着剤)とにより構成されている。
【0053】
続いて、ガラスフリットを焼成してガラス体6を形成し、ガラス体6、貫通孔30および貫通電極32を一体化させる(図3参照)。例えば、ベース基板用ウエハ40を焼成炉に搬送した後、ガラスフリットを焼成している。このとき、ガラスフリット内部の有機溶剤やバインダ等が蒸発して、一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)、水蒸気(H2O)等のアウトガスが発生し、ガラスフリットの外部に放出される。
【0054】
最後に、ベース基板用ウエハ40の内面Uおよび外面Lを研磨して平坦面とすることにより、貫通電極32の内側端面32bを内面Uから露出させ、貫通電極32の外側端面32aを外面Lに露出させる。貫通電極32により、ベース基板用ウエハ40の内面U側と外面L側との導電性が確保されると同時に、ベース基板用ウエハ40の貫通孔30を封止できる。
【0055】
(引き回し電極形成工程)
次に、貫通電極32,33にそれぞれ電気的に接続された引き回し電極36,37をベース基板用ウエハ40の内面Uに複数形成する引き回し電極形成工程S33を行う。さらに、引き回し電極36,37上に、それぞれ金等からなるバンプB(図4参照)を形成する。なお、図7では、図面の見易さのためバンプBの図示を省略している。この時点でベース基板用ウエハ作製工程S30が終了する。
【0056】
(マウント工程)
次に、ベース基板用ウエハ40の引き回し電極36,37上に、バンプBを介して圧電振動片4を接合するマウント工程S50を行う。具体的には、圧電振動片4の基部12をバンプB上に載置し、バンプBを所定温度に加熱しながら、圧電振動片4をバンプBに押し付けつつ超音波振動を印加する。これにより、図3に示すように、圧電振動片4の振動腕部10,11がベース基板用ウエハ40の内面Uから浮いた状態で、基部12がバンプBに機械的に固着される。
【0057】
(重ね合わせ工程)
圧電振動片4の実装が終了した後、ベース基板用ウエハ40に対してリッド基板用ウエハ50を重ね合わせる重ね合わせ工程S60を行う。この工程により、ベース基板用ウエハ40に実装された圧電振動片4が、リッド基板用ウエハ50のキャビティ用凹部3aとベース基板用ウエハ40とで囲まれるキャビティC内に収容された状態となる。
【0058】
(接合工程)
重ね合わせ工程S60の後、重ね合わせた両ウエハ40,50を図示しない陽極接合装置に入れ、所定の温度雰囲気で所定の電圧を印加して陽極接合する接合工程S70を行う。この工程により、圧電振動片4をキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とが接合した、図7に示すウエハ体60を得ることができる。なお、図7においては、図面を見易くするために、ウエハ体60を分解した状態を図示しており、リッド基板用ウエハ50から接合膜35の図示を省略している。
【0059】
(被覆膜成膜工程)
図8は、被覆膜成膜工程S75の説明図であり、ベース基板用ウエハ40の側面断面図である。
続いて、ベース基板用ウエハ40の外面Lから露出する貫通電極32,33の外側端面32a,33aに、ITOや、SnO、SnO2等の導電性酸化物を材料とする被覆膜70を成膜する被覆膜成膜工程S75を行う。
被覆膜成膜工程S75では、ベース基板用ウエハ40の外面Lに、貫通電極32,33の形成領域に対応した開口80aを有するマスク材80を当接させて配置する。そして、マスク材80を介して、スパッタ法やCVD法、真空蒸着法等の成膜方法により導電性酸化物を外面L側から塗布し、被覆膜70の成膜を行う。被覆膜70は、例えば1000Å程度の膜厚に成膜される。
ここで、マスク材80の開口80aは、貫通電極32,33の中心軸O方向から見て、貫通電極32,33の外側端面32a,33aの外形よりも大きく形成されている。これにより、被覆膜70は、貫通電極32,33の外側端面32a,33aの全面を覆い、さらにガラス体6の一部を覆っており、外側端面32aの面積よりも広くなるように形成される。
【0060】
(外部電極形成工程)
次に、ベース基板用ウエハ40の外面Lに銀ペーストをパターニングして、一対の貫通電極32,33にそれぞれ電気的に接続された一対の外部電極38,39(図3参照)を複数形成する外部電極形成工程S80を行う。具体的には、外部電極38,39の形成位置に対応して開口が形成された不図示のマスクをベース基板用ウエハ40の外面Lに当接させて配置し、このマスクを介して、例えばスクリーン印刷により銀ペーストを塗布している。この工程により、貫通電極32,33は被覆膜70を介して外部電極38,39と電気的に接続されて形成される。そして、キャビティC内の圧電振動片4は、貫通電極32,33および被覆膜70を介して外部電極38,39と導通する。
【0061】
(微調工程)
次に、ウエハ体60の状態で、キャビティC内に封止された個々の圧電振動子の周波数を微調整する微調工程S90を行う。この工程により、圧電振動子の周波数を公称周波数の範囲内に収めている。
【0062】
(切断工程)
周波数の微調が終了後、接合されたウエハ体60を図7に示す切断線Mに沿って切断する切断工程S100を行う。これにより、ウエハ体60は複数の圧電振動子1に分離される。
【0063】
(電気特性検査)
その後、内部の電気特性検査S110を行う。即ち、圧電振動片4の共振周波数や共振抵抗値、ドライブレベル特性(共振周波数および共振抵抗値の励振電力依存性)等を測定してチェックする。また、絶縁抵抗特性等を併せてチェックする。そして、最後に圧電振動子の外観検査を行って、寸法や品質等を最終的にチェックする。これをもって圧電振動子の製造が終了する。
【0064】
(効果)
本実施形態によれば、貫通電極32,33の外側端面32a,33aに導電性酸化物の被覆膜70を形成することで、貫通電極32,33の外側端面32a,33aに絶縁体酸化膜が形成されるのを防止できる。したがって、貫通電極32,33と外部電極38,39との間に絶縁体酸化膜が介在することがないので、貫通電極32,33と外部電極38,39との間の電気抵抗値の増大を防止して、貫通電極32,33と外部電極38,39とを電気的に接続できる。
また、導電性酸化物の被覆膜70を介して貫通電極32,33と外部電極38,39とを電気的に接続しているので、貫通電極32,33と外部電極38,39との良好な密着性を確保できる。したがって、貫通電極32,33からの外部電極38,39の剥離を抑制できるので、貫通電極32,33と外部電極38,39との良好な導通性能を確保できる。
【0065】
また、本実施形態によれば、導電性酸化物の被覆膜70を貫通電極32,33の外側端面32a,33aの面積よりも広く設定することで、貫通電極32,33の外側端面32a,33aにのみ導電性酸化物の被覆膜70を形成した場合よりも、導電性酸化物の被覆膜70と外部電極38,39との接触面積をより広く確保できる。これにより、貫通電極32,33と外部電極38,39との間の電気抵抗値を低く抑制できるので、貫通電極32,33と外部電極38,39との良好な導通性能をさらに確保できる。
【0066】
また、本実施形態によれば、貫通電極32,33と外部電極38,39との間の電気抵抗値の増大を防止しつつ、貫通電極32,33と外部電極38,39との良好な導通性能を確保できるパッケージ9の内部に圧電振動片4を封入しているので、性能が良好で高効率な圧電振動子1を提供することができる。
【0067】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図9を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器110は、図9に示すように、圧電振動子1を、集積回路111に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器110は、コンデンサ等の電子素子部品112が実装された基板113を備えている。基板113には、発振器用の前記集積回路111が実装されており、この集積回路111の近傍に、圧電振動子1の圧電振動片が実装されている。これら電子素子部品112、集積回路111および圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0068】
このように構成された発振器110において、圧電振動子1に電圧を印加すると、圧電振動子1内の圧電振動片4が振動する。この振動は、圧電振動片4が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路111に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路111によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路111の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加できる。
【0069】
本実施形態の発振器110によれば、性能が良好で高効率な圧電振動子1を備えているので、性能が良好で高効率な発振器110を提供できる。
【0070】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図10を参照して説明する。なお電子機器として、前述した圧電振動子1を有する携帯情報機器120を例にして説明する。
始めに本実施形態の携帯情報機器120は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカおよびマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化および軽量化されている。
【0071】
次に、本実施形態の携帯情報機器120の構成について説明する。この携帯情報機器120は、図10に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部121とを備えている。電源部121は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部121には、各種制御を行う制御部122と、時刻等のカウントを行う計時部123と、外部との通信を行う通信部124と、各種情報を表示する表示部125と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部126とが並列に接続されている。そして、電源部121によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0072】
制御部122は、各機能部を制御して音声データの送信や受信、現在時刻の計測、表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部122は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0073】
計時部123は、発振回路やレジスタ回路、カウンタ回路、インターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部122と信号の送受信が行われ、表示部125に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0074】
通信部124は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部127、音声処理部128、切替部129、増幅部130、音声入出力部131、電話番号入力部132、着信音発生部133および呼制御メモリ部134を備えている。
無線部127は、音声データ等の各種データを、アンテナ135を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部128は、無線部127又は増幅部130から入力された音声信号を符号化および複号化する。増幅部130は、音声処理部128又は音声入出力部131から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部131は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0075】
また、着信音発生部133は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部129は、着信時に限って、音声処理部128に接続されている増幅部130を着信音発生部133に切り替えることによって、着信音発生部133において生成された着信音が増幅部130を介して音声入出力部131に出力される。
なお、呼制御メモリ部134は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部132は、例えば、0から9の番号キーおよびその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0076】
電圧検出部126は、電源部121によって制御部122等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部122に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部124を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部126から電圧降下の通知を受けた制御部122は、無線部127、音声処理部128、切替部129および着信音発生部133の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部127の動作停止は、必須となる。更に、表示部125に、通信部124が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0077】
すなわち、電圧検出部126と制御部122とによって、通信部124の動作を禁止し、その旨を表示部125に表示できる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部125の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部124の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断できる電源遮断部136を備えることで、通信部124の機能をより確実に停止できる。
【0078】
本実施形態の携帯情報機器120によれば、性能が良好で高効率な圧電振動子1を備えているので、性能が良好で高効率な携帯情報機器120を提供できる。
【0079】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図11を参照して説明する。
本実施形態の電波時計140は、図11に示すように、フィルタ部141に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、前述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0080】
以下、電波時計140の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ142は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ143によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部141によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、前記搬送周波数と同一の40kHzおよび60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部148、149をそれぞれ備えている。
【0081】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路144により検波復調される。
続いて、波形整形回路145を介してタイムコードが取り出され、CPU146でカウントされる。CPU146では、現在の年や積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC147に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部148、149は、前述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0082】
なお、前述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計140を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0083】
本実施形態の電波時計140によれば、性能が良好で高効率な圧電振動子1を備えているので、性能が良好で高効率な電波時計140を提供できる。
【0084】
なお、この発明の技術範囲は上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0085】
実施形態では、音叉型の圧電振動片4を用いた圧電振動子1を例に挙げて、本発明のパッケージ9およびパッケージ9の製造方法を説明した。しかし、例えばATカット型の圧電振動片(厚み滑り振動片)を用いた圧電振動子に、上述した本発明のパッケージ9およびパッケージの製造方法を採用しても構わない。
【0086】
実施形態では、本発明に係るパッケージ9の内部に圧電振動片4を封入して圧電振動子1を製造した。しかし、パッケージ9の内部に圧電振動片4以外の電子素子を封入して、圧電振動子1以外のデバイスを製造することもできる。
【0087】
実施形態では、導電性酸化物の被覆膜70を貫通電極32,33の外側端面32a,33aの面積よりも広く設定していたが、貫通電極32,33の外側端面32a,33aのみを覆うことで、被覆膜70を貫通電極32,33の外側端面32a,33aの面積と同一としてもよい。ただし、導電性酸化物の被覆膜70と外部電極38,39との接触面積をより広く確保でき、導電性酸化物の被覆膜70と外部電極38,39との間の電気抵抗値を低く抑制できる点で、本実施形態に優位性がある。
【符号の説明】
【0088】
1・・・圧電振動子(電子部品) 2・・・ベース基板(基板) 4・・・圧電振動片(電子素子) 9・・・パッケージ 30,31・・・貫通孔 32,33・・・貫通電極 38,39・・・外部電極 70・・・被覆膜(導電性酸化物の膜) 110・・・発振器 120・・・携帯情報機器(電子機器) 123・・・計時部 140・・・電波時計 141・・・フィルタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を貫通する貫通電極と、前記貫通電極に電気的に接続される電極と、を有する電子部品の端子接続構造において、
前記貫通電極の端面に、この端面を覆う導電性酸化物の膜を形成し、前記貫通電極と前記電極とを、前記導電性酸化物の膜を介して電気的に接続したことを特徴とする電子部品の端子接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品の端子接続構造であって、
前記導電性酸化物は、ITO、SnOおよびSnO2のいずれかの材料により形成されていることを特徴とする電子部品の端子接続構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子部品の端子接続構造であって、
銀ペーストにより前記電極を形成したことを特徴とする電子部品の端子接続構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子部品の端子接続構造を有する前記基板を備え、電子素子を封入可能なパッケージであって、
前記電極は、前記基板の外側に形成された外部電極であり、
前記貫通電極の外側端面に、この端面を覆う前記導電性酸化物の膜を形成し、前記貫通電極と前記外部電極とを、前記導電性酸化物の膜を介して電気的に接続したことを特徴とするパッケージ。
【請求項5】
請求項4に記載のパッケージであって、
前記導電性酸化物の膜の面積を前記貫通電極の外側端面の面積よりも広く設定したことを特徴とするパッケージ。
【請求項6】
請求項4に記載のパッケージの内部に、前記電子素子として圧電振動片が封入されていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項7】
請求項6に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項8】
請求項6に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項6に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−74414(P2013−74414A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211216(P2011−211216)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】