説明

電子部品の製造方法及び半導体素子

【課題】シート基材の表面に半導体素子を実装した電子部品を効率良く製造するための電子部品の製造方法、及びこの電子部品の製造方法に適した半導体素子を提供すること。
【解決手段】素子供給工程S110と、素子配置工程S120と、素子接合工程S130とを実施する電子部品の製造方法である。素子供給工程S110は、磁力により吸着可能な磁性素子面を設けたICチップを、局所的な磁力を発生する磁力面を2箇所以上設けた素子配置テーブルに供給する工程である。素子配置工程S120は、素子配置テーブルの磁力面から磁力を発生させ、磁力面にICチップを配置する工程である。素子接合工程S130は、ICチップを配置した状態の素子配置テーブルに対して連続シート基材を対面させ、ICチップを連続シート基材に接合する工程である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート基材の表面に半導体素子を実装した電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シート基材の表面にICチップを表面実装した電子部品として、インターポーザや、フレキシブルプリント基板等が知られている。例えば、インターポーザは、シート基材の表面に設けた導電パターンに対してICチップを電気的に接続したものである。インターポーザの導電パターンは、ICチップから電気的に延設された大型の拡大電極として機能し得る。このようなインターポーザを利用すれば、ICチップを直接、取り扱い、相手部材に実装するような場合と比べて、要求される実装精度を格段に抑制できる。
【0003】
上記インターポーザを利用した電子部品として、例えば、外部のリーダライタ装置との間でデータの送受信を行う非接触ICタグ(RFIDタグ)が知られている。インターポーザを利用した非接触ICタグ(RFIDタグ)としては、アンテナ回路を設けたベースシート基材に対してインターポーザを接合したものがある。この非接触ICタグ(RFIDタグ)では、アンテナ回路の電気的な接点と拡大電極とが電気的に接触する状態で、ベースシート基材の表面にインターポーザが接合されている。非接触ICタグ(RFIDタグ)を製造するに当たってインターポーザを利用すれば、ベースシート基材に対して直接、ICチップを実装する場合と比べて、要求される位置精度を格段に抑制できる。それ故、インターポーザによれば、比較的簡単な装置により効率高く非接触ICタグ(RFIDタグ)を製造することが可能になる。
【0004】
上記インターポーザの製造方法としては、例えば、拡大電極をなす上記導電パターンを所定の間隔で複数、連続的に配設した連続シート基材を利用する製造方法が知られている。この製造方法では、連続シート基材の各導電パターンにICチップを接合した後、ICチップ毎に個片化することで上記インターポーザを作製している。連続シート基材の各導電パターンにICチップを接合する方法としては、例えば、周知のピックアンドプレイスによる方法がある(特許文献1参照。)。このピックアンドプレイスによる方法では、例えば、ICチップを1個ずつ保持する保持アームが、ダイシング加工後の半導体ウェハからICチップを1個ずつ取り出し(ピック)、上記拡大電極の位置まで搬送して配置(プレイス)している。上記フレキシブルプリント基板についても、上記のようなインターポーザの製造方法とほぼ同様の製造方法を用いて製造できる。
【0005】
しかしながら、上記従来の電子部品の製造方法では、次のような問題がある。すなわち、半導体ウェハから切り出したICチップを1個ずつ配置していく方法では、上記電子部品の製造効率を十分に向上できないおそれがあるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特表2005−520266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、シート基材の表面に半導体素子を実装した電子部品を効率良く製造するための電子部品の製造方法、及びこの電子部品の製造方法に適した半導体素子を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、導電パターンを有するシート基材の表面に半導体素子を実装した電子部品を製造するための電子部品の製造方法であって、
素子電極を備えた電極配設面の裏面が磁力により吸着可能な磁性素子面として形成された半導体素子を、磁力を発生する磁力面を2箇所以上設けた素子配置テーブルに供給する素子供給工程と、
上記素子配置テーブルの上記磁力面から磁力を発生させて当該磁力面に上記半導体素子を配置する素子配置工程と、
複数の上記シート基材が連結された連続シート基材を、上記磁力面に上記半導体素子を配置した状態の上記素子配置テーブルに対面させ、上記素子電極と上記導電パターンとが電気的に接続された状態で複数の上記半導体素子を上記連続シート基材に接合する素子接合工程と、を実施することを特徴とする電子部品の製造方法にある(請求項1)。
【0009】
上記第1の発明の電子部品の製造方法は、上記磁性素子面を設けた上記半導体素子を上記素子配置テーブルに供給する上記素子供給工程と、上記磁力面に上記半導体素子を磁気的に吸着して配置する上記素子配置工程と、上記半導体素子を保持した上記素子配置テーブルに対して上記連続シート基材を対面させて上記半導体素子を接合する上記素子接合工程とを実施する方法である。
【0010】
上記素子配置工程によれば、上記各磁力面から生じた磁力により上記磁性素子面を吸着することにより、上記素子配置テーブルに設けた上記磁力面に上記半導体素子を配置させることが可能である。このとき、上記磁性素子面が上記磁力面に面することになるため、当該磁性素子面の裏面に当たる上記電極配設面を必ず露出させることができる。それ故、上記素子接合工程では、上記半導体素子を上記磁力面に配置した状態の上記素子配置テーブルに対して上記連続シート基材を対面させれば、当該連続シート基材に対して上記半導体素子を接合できる。上記磁力面の位置に対応するように上記導電パターンを形成しておけば、上記半導体素子を接合するに当たって上記素子電極と上記導電パターンとを確実性高く電気的に接続させることが可能になる。
【0011】
このように、上記電子部品の製造方法によれば、上記素子配置テーブル上に配置された上記複数の半導体素子を一括して上記連続シート基材に接合することができる。この電子部品の製造方法によれば、半導体素子を1個ずつピックして上記連続シート基材の所定位置にプレイスするピックアンドプレイスによる方法等とは異なり、非常に効率高く上記電子部品を製造し得る。
【0012】
以上のように、上記第1の発明の電子部品の製造方法は、上記連続シート基材に対して上記半導体素子を効率良く接合することで上記電子部品の製造効率を向上させ得る優れた方法である。
【0013】
第2の発明は、電気回路が形成された半導体素子であって、
素子電極を設けた電極配設面の裏面が磁力により吸着可能な磁性素子面として形成されていることを特徴とする半導体素子にある(請求項11)。
【0014】
上記第2の発明の半導体素子は、磁力により吸着可能な上記磁性素子面を上記電極配設面の裏面に設けた素子である。そして、この半導体素子は、磁力により上記半導体素子を所定位置に配置する上記素子配置工程を含む上記第1の発明の電子部品の製造方法を実施するに当たって必要となる素子である。
【0015】
以上のように、上記第2の発明の半導体素子を利用すれば、上記第1の発明の電子部品の製造方法を利用して上記電子部品を効率良く製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
上記第1の発明におけるシート基材としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PLA(ポリラクチド)、汎用エンジニアリングプラスチック等の合成樹脂や、紙や、不織布や、アルミ箔、銅箔等の金属材料や、ガラス等より形成したものを採用することができる。
【0017】
また、上記素子接合工程を実施後の上記連続シート基材を、上記半導体素子毎に個片化する個片化工程を実施すれば最終形態としての上記電子部品を得ることができる。なお、上記素子接合工程を実施後の上記連続シート基材の形態は、大量の上記電子部品を一括して取り扱いしたいような状況、例えば、輸送時等の形態として好適である。
また、上記電子部品の製造方法で製造する電子部品としては、インターポーザや、ICタグや、フレキシブルプリント基板等がある。
【0018】
また、上記磁性素子面としては、全面が磁気的な特性を呈する面であっても、一部の領域が磁気的な特性を呈する面であっても良い。すなわち、上記磁性素子面は、必ずしも、その全面が磁気的な特性を有することは必須ではない。上記磁性素子面のうちの少なくとも一部の領域が磁気的な特性を呈することにより、当該磁性素子面が磁力により吸着可能であれば良い。上記磁性素子面は、磁気的な特性を呈する磁性材料が露出する面であっても良く、磁性材料を樹脂等の非磁性材料により被覆した面であっても良い。
【0019】
また、上記素子配置テーブルの表面には、上記半導体素子の姿勢及び位置を規制するための規制部が形成されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記素子配置テーブル上における上記半導体素子の姿勢、すなわち回転角度、及び2次元的な位置を規制できる。それ故、上記連続シート基材に対して上記半導体素子を一層、確実性高く接合できるようになる。
【0020】
また、上記規制部は、上記半導体素子を収容可能な程度に当該半導体素子の横幅と略一致する形成幅の溝状を呈する窪みである凹状溝であることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記凹状溝に上記半導体素子を収容することで、当該半導体素子の姿勢(回転角度)を精度高く規制することができる。さらに、上記凹状溝によれば、その延設方向に直交する方向において上記半導体素子の位置を精度高く規制することができる。
【0021】
また、上記規制部は、上記半導体素子を収容可能な程度に当該半導体素子と略同一形状を呈する窪みである凹部であっても良い(請求項4)。
この場合には、上記凹部に上記半導体素子を収容することで、当該半導体素子の姿勢(回転角度)及び位置を精度高く規制することができる。
【0022】
また、上記素子配置テーブルは、コイルが巻回された磁芯を含む磁力発生手段を備えており、上記磁力面は、上記磁芯の端面、あるいは当該磁芯から磁気的に延設された仲介部材の端面から生じた磁力を発生するように構成されていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記コイルの通電電流を制御することで上記磁力面から発生する磁力を制御できるようになる。それ故、上記磁力を適切に制御することで、上記各磁力面に対して確実性高く上記半導体素子を吸着させ得るようになる。
【0023】
また、上記素子配置テーブルは永久磁石を含み、上記磁力面は、上記永久磁石の端面、あるいは当該永久磁石から磁気的に延設された仲介部材の端面から生じた磁力を発生するように構成されていても良い(請求項6)。
この場合には、上記永久磁石を利用した比較的単純な構成の上記素子配置テーブルを利用して上記第1の発明の電子部品の製造方法を実施し得るようになる。
【0024】
なお、上記磁力面は、上記磁芯や上記永久磁石等の端面そのものの露出面であっても良い。さらに、上記素子配置テーブルの内部に上記磁芯の端面や永久磁石等の端面等を配置することにより上記磁力面を形成することも可能である。
【0025】
また、上記半導体素子に上記磁性素子面を形成する磁性素子面形成工程を含んでいることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記磁性素子面形成工程を実施することにより、上記半導体素子に上記磁性素子面を形成することができる。
【0026】
また、上記磁性素子面形成工程は、略同一面上に配置した複数の上記半導体素子の表面に磁性材料を塗布することにより上記磁性素子面を形成する工程であることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記複数の半導体素子に対して効率良く上記磁性材料を塗布することができる。それ故、上記磁性素子面を備えた上記半導体素子を効率よく作製でき、上記電子部品の製造効率を一層、高めることができる。
【0027】
また、半導体ウェハを上記各半導体素子毎に区画する有底の溝状の切断溝を形成する溝形成工程と、上記半導体ウェハにおける上記切断溝を形成した側の表面にシート状の保持シートを貼付するシート貼付工程と、上記半導体ウェハにおける上記保持シートとは反対側の表面を研磨して厚さ方向に上記切断溝を貫通させる研磨工程と、を含み、当該研磨工程の実施後に実施する上記磁性素子面形成工程は、上記保持シートに保持された上記複数の半導体素子の表面に上記磁性材料を塗布する工程であることが好ましい(請求項9)。
【0028】
この場合には、上記半導体ウェハの供給を受けて上記電子部品を製造する一連の工程を一貫して実施できるようになる。特に、上記保持シートに保持した上記複数の半導体素子に上記磁性材料を塗布する上記磁性素子面形成工程によれば、当該複数の半導体素子に対して極めて効率良く上記磁性材料を塗布することができる。そして、上記磁性素子面を備えた上記半導体素子を非常に効率高く製造できる。
【0029】
また、半導体ウェハを上記各半導体素子毎に切断するダイシング工程を含み、上記磁性素子面形成工程は、上記ダイシング工程を実施する前の上記半導体ウェハの表面に上記磁性材料を塗布する工程であることが好ましい(請求項10)。
この場合には、上記半導体素子に個片化する前の上記半導体ウェハに予め上記磁性材料と塗布しておくことで、極めて効率良く上記磁性素子面を備えた上記半導体素子を作製することが可能になる。
また、上記磁性材料としては、ケイ素鋼、フェライト、鉄基結晶質合金、コバルト基非晶質合金、鉄・遷移金属結晶合金系ナノ等に基づく材料を採用することができる。
【0030】
上記第2の発明における上記半導体素子は、一方の表面に磁性材料が塗布された半導体ウェハを個片化してなり、上記磁性素子面は上記磁性材料により形成されていることが好ましい(請求項12)。
この場合には、予め上記磁性材料を塗布した上記半導体ウェハによれば、極めて効率良く上記磁性素子面を備えた上記半導体素子を作製することができる。
【0031】
また、上記半導体素子は、シート状の部材である保持シートの表面に他の半導体素子と共に保持された状態で当該保持シートとは反対側の表面に磁性材料を塗布後、上記保持シートから分離したものであり、上記磁性素子面は上記磁性材料により形成されていることが好ましい(請求項13)。
この場合には、上記保持シートによれば複数の上記半導体素子の表面が略同一平面をなすように当該複数の半導体素子を保持できる。そして、上記保持シートに保持した上記各半導体素子に対しては、非常に効率良く上記磁性材料を塗布できる。
【実施例】
【0032】
(実施例1)
本例は、半導体素子を実装した電子部品1を製造する方法に関する例である。この内容について、図1〜図12を用いて説明する。
本例の電子部品の製造方法は、図1〜図4に示すごとく、導電パターン13を有するシート基材12の表面に半導体素子11(本例では、ICチップ。以下、ICチップ11という。)を実装した電子部品1(本例では、インターポーザ。以下、インターポーザ1という。)を製造するための方法である。
この電子部品の製造方法では、素子供給工程S110と、素子配置工程S120と、素子接合工程S130と、を実施する。
素子供給工程S110は、素子電極110を設けた電極配設面111の裏面を磁力により吸着可能な磁性素子面115として形成したICチップ11を、局所的な磁力を発生する磁力面220を2箇所以上設けた素子配置テーブル21に供給する工程である。
素子配置工程S120は、素子配置テーブル21の磁力面220から磁力を発生させて当該磁力面220にICチップ11を配置する工程である。
素子接合工程S130は、複数のシート基材12が連結された連続シート基材12Bを、磁力面220にICチップ11を配置した状態の素子配置テーブル21に対面させ、素子電極110と導電パターン13とが電気的に接触する状態で複数のICチップ11を連続シート基材12Bに接合する工程である。
以下に、本例の電子部品の製造方法の内容について詳しく説明する。
【0033】
まず、本例で製造する電子部品であるインターポーザ1について説明する。このインターポーザ1は、図3及び図4に示すごとく、PETよりなる略矩形シート状のシート基材12の表面にICチップ11を接合した電子部品である。このインターポーザ1は、図5に示すごとく、アンテナ回路51を形成したベースシート基材50の表面に接合してRFIDタグ5を形成するための電子部品である。
【0034】
インターポーザ1におけるシート基材12は、図3及び図4に示すごとく、その表面に、ICチップ11の素子電極110と電気的に接続するための導電パターン13を有している。導電パターン13は、略同一形状の2箇所のパターン130を組み合わせたものである。各パターン130は、半円に満たない略円弧状を呈するバンプ接合部132と、該バンプ接合部132から延設された拡大電極部131とを有している。
【0035】
バンプ接合部132は、素子電極110と電気的に接触させる部分である。拡大電極部131は、インターポーザ1の電気的な外部接点を形成する部分である。導電パターン13では、互いに点対称をなすように2箇所のパターン130を略一直線上に配置してある。導電パターン13では、2箇所のバンプ接合部132が同じ円周上に配置され、かつ、2箇所の拡大電極部131が対向配置されている。各バンプ接合部132は、電気的な短絡を生じないよう、他方のバンプ接合部132との間にわずかな間隙を空けて位置している。
【0036】
インターポーザ1におけるICチップ11は、図3及び図4に示すごとく、半導体ウェハ4から切り出した縦0.4mm×横0.4mm×高さ0.1mm程度のベアチップである。ICチップ11は、電気回路を形成した側の表面である電極配設面111の4隅に素子電極110を有している。さらに、ICチップ11は、電極配設面111の裏面に磁性素子面115を備えている。この磁性素子面115は、強磁性材料であるケイ素鋼の塗布層により形成されている。
【0037】
本例で製造するインターポーザ1は、図3〜図5に示すごとく、各バンプ接合部132に対して少なくとも1箇所の素子電極110が電気的に接触する状態で、シート基材12の表面にICチップ11を接合した電子部品である。このインターポーザ1の表面には、素子電極110から電気的に延設された拡大電極部131が露出している。素子電極110に対して非常に大型の拡大電極部131によれば、インターポーザ1をベースシート基材51に接合する際に要求される位置精度を、ICチップ11を直接、接合する場合と比べて格段に抑制することができる。
【0038】
ここで、本例のICチップ11は、上記4箇所の素子電極110のうちの任意の2箇所との電気的な導通を個別に確保するのみで動作可能である。また、1箇所のバンプ接合部132と電気的に接触させる素子電極110は1箇所でも2箇所であっても良く、さらに1箇所の素子電極110と電気的に接触する2箇所の素子電極110の組み合わせも任意である。したがって、このICチップ11では、上記のごとく2箇所のバンプ接合部132が形成する円周上に素子電極110を配置できさえすれば、ICチップ11自体の姿勢(回転角度)に関わらず電気的な接続状態を良好に確保し得る。
【0039】
次に、本例のインターポーザ1の製造方法は、図1及び図2を用いて上記したごとく、素子配置テーブル21にICチップ11を供給する素子供給工程S110と、磁力の作用により素子配置テーブル21上の所定位置にICチップ11を配置する素子配置工程S120と、連続シート基材12BにICチップ11を接合する素子接合工程S130と、を含む工程である。さらに、本例の製造方法では、ICチップ11を接合した連続シート基材12Bを個片化してインターポーザ1を得る個片化工程S140を実施している。
なお、以下の説明では、まず、本例の電子部品の製造方法に使用する製造装置3、及び電子部品の製造に用いる連続シート基材ロール12A及び連続シート基材12Bについて説明し、その後、電子部品の製造方法の内容について具体的に説明する。
【0040】
本例では、図2及び図9に示すごとく、シート基材12に個片化する前の部材として、ロール状に巻回した連続シート基材ロール12Aを採用している。連続シート基材ロール12Aは、導電パターン13を幅方向に4組ずつ、長手方向に所定ピッチで連続的に配設してなる。この連続シート基材ロール12Aでは、素子配置テーブル21の磁力面220に対応する位置に各導電パターン13を配置してある。なお、図9では、一部の磁力面220のみ点線により図示してある。
【0041】
なお、本例の連続シート基材ロール12Aは、図2及び図9に示すごとく、導電パターン13を形成した後、ロール状に巻回したものである。本例では、導電材料を印刷することにより各導電パターン13を形成してある。以下の説明では、連続シート基材ロール12Aから巻き出した部分を連続シート基材12Bという。なお、導電パターン13の形成方法としては、エッチングや切り抜きによる方法を採用することもできる。
【0042】
そして、本例のインターポーザ1の製造方法に使用する製造装置3は、図2に示すごとく、上記素子配置テーブル21と、連続シート基材ロール12Aから連続シート基材12Bを巻き出す巻出し機構31と、連続シート基材12BにICチップ11を接合する接合ユニット32と、インターポーザ1を個片化する個片化ユニット37と、を備えている。
【0043】
素子配置テーブル21は、図2、図7〜図10に示すごとく、ICチップ11を供給する斜面状のテーブル面210を備えた装置である。素子配置テーブル21は、非磁性材料であるアルミよりなる平板状部材に、複数の永久磁石22を貫通配置してなる。永久磁石22は、材質フェライトよりなる直径0.2mm程度の略円柱状の磁石である。永久磁石22は、軸方向の端面がテーブル面210と略面一をなす状態で配置してある。つまり、本例の素子配置テーブル21の磁力面220は、永久磁石22の軸方向の端面が露出する面である。また、本例では、テーブル面210における縦4mm間隔、横10mm間隔の格子点毎に磁力面220を配置してある。
【0044】
素子配置テーブル21のテーブル面210は、図2、図7〜図10に示すごとく、水平を基準としてθ=30度傾けた状態(図8参照。)にある。この素子配置テーブル21によれば、斜面上側から供給したICチップ11をテーブル面210に沿って滑落させ、磁力面220に順次、吸着させていくことができる。一方、例えば、電極配設面111がテーブル面210に面する状態で供給されたICチップ11など、表裏逆でテーブル面210に供給されたICチップ11は、磁力面220に吸着されずにそのまま滑り落ちることになる。
【0045】
なお、上記のごとく本例のICチップ11は、導電パターン13に対する回転角度に関わらず電気的な接続状態を良好に確保し得る素子である。それ故、上記素子配置テーブル21を用いて実施する本例の素子配置工程S120においては、磁力面220にICチップ11を配置できれば十分であり、ICチップ11自体の回転角度はどのような角度であっても良い。
【0046】
上記巻出し機構31は、図2、図9及び図10に示すごとく、ロール状に巻回された連続シート基材ロール12Aから連続シート基材12Bを巻き出すための機構である。巻出し機構31は、連続シート基材ロール12Aを回転支持する支持シャフト311と、連続シート基材12Bを支持するガイドローラ312、314と、連続シート基材12Bの張力を調整するテンションローラ313と、連続シート基材12Bに前進駆動力を与える駆動ローラ315、316とを備えている。駆動ローラ315、316は、連続シート基材12Bを挟持する2個一対のローラよりなる。ガイドローラ314は、連続シート基材12Bを素子配置テーブル21側に押し当てる際、点線で図示した位置に変位可能なように構成されている。
【0047】
上記接合ユニット32は、図2、図9及び図10に示すごとく、バンプ接合部132に素子電極110を溶着させることでICチップ11を接合するユニットである。接合ユニット32は、石英ガラスよりなる透明な平板状の加圧板321と、バンプ接合部132を検出する画像処理部323と、連続シート基材12Bの裏面側からバンプ接合部132にレーザ光を照射するレーザ発光部324とを備えている。加圧板321は、素子配置テーブル21と隙間を空けて対面する状態で、ガイドローラ314と共にアクチュエータ(図示略)により支持されている。加圧板321は、上記ガイドローラ314の点線位置への変位と共に素子配置テーブル21側に前進(図中、矢印方向)し、テーブル面210上のICチップ11に対して連続シート基材12Bを押し当てるように構成されている。なお、加圧板321が変位する構成に代えて、加圧板321に対して素子配置テーブル21全体を変位させるような構成を採用することもできる。
【0048】
画像処理部323は、図2に示すごとく、連続シート基材12Bの画像を撮影するカメラ323Cと、図示しない画像処理回路とよりなる。画像処理回路は、透明な連続シート基材12Bを介して導電パターン13(図9参照。)を撮影した画像に画像処理を施し、各バンプ接合部132の位置情報を出力するように構成されている。
【0049】
レーザ発光部324は、図2及び図10に示すごとく、連続シート基材12Bの裏面側からレーザ光を照射するように構成されている。レーザ発光部324は、透明な加圧板321及び連続シート基材12Bを介してバンプ接合部132にレーザ光を照射し、当該バンプ接合部132に素子電極110を溶着させる。レーザー発光部324は、図示しない駆動手段により、素子配置テーブル21に対面する2次元領域内で位置制御可能なように構成されている。本例では、上記画像処理部323が出力する位置情報に基づいて、レーザ発光部324によるレーザー照射位置を制御している。
【0050】
上記個片化ユニット37は、図2に示すごとく、ICチップ11を接合した連続シート基材12Bからインターポーザ1を切り抜くユニットである。個片化ユニット37は、格子状のトムソン刃を設けたトムソンプレス372と、連続シート基材12Bを載置するプレスダイ371とを組み合わせてなる。この個片化ユニット37は、隣り合わせで配置した一対の駆動ローラ315、316の間隙に配設してある。
【0051】
次に、上記の製造装置3により実施する本例のインターポーザ1の製造方法について具体的に説明する。本例の製造方法では、図1及び図2に示すごとく、上記素子供給工程S110、上記素子配置工程S120、上記素子接合工程S130、及び上記個片化工程S140を連続的に実施する。上記製造装置3を用いてインターポーザ1を製造するに当たっては、まず、支持シャフト311に支持させた連続シート基材ロール12Aから連続シート基材12Bを巻き出し、ガイドローラ312、314、テンションローラ313を経由して、先端部分を駆動ローラ315、316に挟持させる。
【0052】
その後、上記のごとく巻出し機構31に支持させた連続シート基材12Bを前進駆動するのに先立って、上記素子供給工程S110及び素子配置工程S120を実施する。素子供給工程S110では、図6〜図8に示すごとく、容器状のベアチップホルダ20に収容した多数のICチップ11が、素子配置テーブル21の斜面上側に供給される。そして、素子配置工程S120では、素子配置テーブル21の各磁力面220にICチップ11を吸着させ、テーブル面210上にICチップ11が配置される。なお、本例の素子供給工程S110及び素子配置工程S120では、テーブル面210から滑り落ちたICチップ11を回収し、再びテーブル面210の斜面上側に供給することにより、全ての磁力面220にICチップ11を配置させている。
【0053】
ここで、上記のごとく、ICチップ11では、電極配設面111の裏側に磁性素子面115を形成してある。そのため、上記のごとく磁力面220に吸着されたICチップ11は、必ず電極配設面111を上向きにした状態となる。なお、図6〜図8に示すベアチップホルダ20は、その機能に関する理解を容易とするために概念的に図示したものであり、実際の形状とは相違している。さらになお、図2では、ベアチップホルダ20を省略して図示してある。
【0054】
上記のごとく素子供給工程S110及び素子配置工程S120を実施して素子配置テーブル21にICチップ11を配置した後、上記素子接合工程S130を実施する。この素子接合工程S130では、まず、図2及び図9に示すごとく、上記駆動ローラ315、316の動作により連続シート基材12Bが前進し、素子配置テーブル21上の各ICチップ11に対して導電パターン13が対面する。その後、ガイドローラ314及び加圧板321を素子配置テーブル21に向けて前進(図中矢印方向)させる。これにより、図10に示すごとく、加圧板321と素子配置テーブル21との間隙で連続シート基材12B及びICチップ11を挟圧し、導電パターン13に対して素子電極110を当接させる。なお、本例の巻出し機構31では、テンションローラ313の作用により、加圧板321を前進した際にも連続シート基材12Bの張力を略一定に保持し得る。
【0055】
次に、素子接合工程S130を実施するに当たって、まず、図2に示すごとく、加圧板321により押圧した状態の連続シート基材12Bをカメラ323Cにより撮影する。ここで、上記のごとく、PETよりなる透明な連続シート基材12Bと、石英ガラスよりなる透明な加圧板321との組み合わせによれば、上記カメラ323Cにより連続シート基材12Bの裏面側から導電パターン13(図9参照。)を撮影可能である。画像処理部323は、カメラ323Cによる撮影画像に画像処理を施すことで、各導電パターン13を検出し、その位置情報を演算して出力する。
【0056】
素子接合工程S130では、図2及び図10に示すごとく、画像処理部323による位置情報に基づいてレーザー発光部324を制御し、各導電パターン13に対して順番にレーザー光を照射する。これにより導電パターン13に対して素子電極110を溶着させ、導電パターン13と素子電極110とを電気的な面、物理的(機械的)な面の両面で接合する。なお、素子電極110を半田材料により形成しておくことも良い。この場合には、レーザー光の照射により溶融した半田材料による接合が可能になる。
【0057】
上記のごとく導電パターン13と素子電極110とを接合した後、図2に示すごとく、加圧板321等を素子配置テーブル21から後退させることで、連続シート基材12Bの進退可能な状態を設定する。なお、本例の素子接合工程S130では、導電パターン13に対して素子電極110を溶着して接合したが、これに代えて、加圧による圧着や、接着材料による接着等、様々な接合方法を採用することができる。
【0058】
続いて上記素子供給工程S110及び素子配置工程S120を再度、実施し、素子配置テーブル21の各磁力面220にICチップ11を配置する。その後、上記素子接合工程S130を再度、実施し、バンプ接合部132に素子電極110を溶着する。本例の電子部品の製造方法では、上記のごとく素子供給工程S110及び素子接合工程S120と、素子接合工程S130とを交互に反復的に実施し、連続シート基材12Bの表面にICチップ11を順次、接合している。
【0059】
上記のごとく素子供給工程S110、素子配置工程S120及び素子接合工程S130を繰り返し実施していくと、ICチップ11を接合した連続シート基材12Bを順次、個片化ユニット37に供給できる。個片化ユニット37では、図2に示すごとく、ICチップ11毎に連続シート基材12Bを分離する上記個片化工程S140を実施する。個片化工程S140では、トムソンプレス372を用いてプレスダイ371上に載置した連続シート基材12Bからインターポーザ1が個片化されて切り抜かれる。
【0060】
以上のように、本例のインターポーザ1の製造方法では、上記素子供給工程S110及び素子配置工程S120と、上記素子接合工程S130とを交互に実施すると共に、上記個片化工程S140を並行して実施することによりインターポーザ1を連続的に製造している。
なお、連続シート基材として、テーブル面210の大きさと略一致する大判のシート状のものを採用することもできる。大判の連続シート基材をテーブル面210側に押し付けることで、本例と同様、連続シート基材に対してICチップ11を接合可能である。
【0061】
なお、素子配置テーブル21としては、本例の永久磁石22に代えて、コイルを巻回した磁芯を貫通配置した磁力発生手段を採用することもできる。この場合には、コイルの通電電流を適宜、制御することにより、磁芯の端面が形成する磁力面220から生じる磁力をコントロールできるようになる。例えば、図8に示すごとく素子配置テーブル21の上側からICチップ11を供給するに当たって、斜面上側に位置する磁力面220から斜面下側に向かって順番に磁力を発生させていくような制御が可能となる。この場合には、素子配置テーブル21の斜面上側に位置する磁力面220から順番にICチップ11を吸着させていくことができる。それ故、斜面上側よりも先に斜面下側で吸着されたICチップ11が原因となって、テーブル面210上でICチップ11が滞留するおそれを未然に抑制できる。
【0062】
さらになお、本例の素子配置テーブル21では、永久磁石22の端面をテーブル面210に露出させているが、これに代えて、永久磁石と磁気的に接触する仲介部材の端面をテーブル面210に露出させることもできる。なお、上記仲介部材としては、例えば、軟磁性体であるケイ素鋼、鉄基結晶質合金、コバルト非晶質合金、鉄・遷移金属結晶合金系ナノ等の磁性材料により形成することができる。
【0063】
また、素子配置テーブル21としては、図11に示すごとく、平面状のテーブル面210に代えて、ICチップ11のチップ幅と略一致した幅をなし、かつ、テーブル面210の斜面方向に延在する凹状溝211を規制部として設けたものであっても良い。凹状溝211は、上記斜面方向に並ぶ磁力面220が底面に配置されるように形成するのが良い。この場合には、上記凹状溝211にICチップ11を収容することで、ICチップ11の回転角度を規制できる。
【0064】
さらに、素子配置テーブル21としては、図12に示すごとく、平面状のテーブル面210に代えて、ICチップ11の断面形状と略一致した凹部212を磁力面220毎に設けたものであっても良い。この場合には、凹部212にICチップ11を収容することで、その回転角度及び2次元位置を規制することができる。
【0065】
(実施例2)
本例は、実施例1の電子部品の製造方法を基にして、磁性素子面形成工程S105を含むICチップ作製工程を追加した例である。この内容について、図13〜図20を用いて説明する。
本例のICチップ11は、実施例1と同様、電極配設面111(図20参照。)の裏面に磁性素子面115(図20参照。)を設けた半導体素子である。そして、本例の電子部品の製造方法は、ICチップ11の作製工程を含む製造方法である。本例の電子部品の製造方法では、図13に示すごとく、実施例1の素子供給工程S110を実施する前に、回路形成工程S101、溝形成工程S102、シート貼付工程S103、研磨工程S104及び磁性素子面形成工程S105よりなるICチップ作製工程を実施している。なお、以下の説明では、個片化前のICチップを符号11Aで表し、個片化後のICチップを符号11により表す。
【0066】
回路形成工程S101は、図13に示すごとく、周知の半導体プロセス技術を利用して半導体ウェハ4上に複数の電気回路を形成する工程である。本例では、半導体ウェハ4として、略円柱状のシリコン単結晶をスライスしたシリコンウェハを採用している。半導体ウェハ4上に形成した各電気回路が、上記ICチップ11を形成する回路である。半導体ウェハ4の一方の表面は、上記電気回路を形成した側の表面であり、他方の表面は、研磨後に磁性素子面115(図20参照。)を形成する側の表面である。以下の説明では、上記一方の表面を素子面401といい、他方の表面を裏側面402という。
【0067】
溝形成工程S102は、図13〜図15に示すごとく、ダイシングソー41により半導体ウェハ4に切断溝410を形成する工程である。この溝形成工程S102では、図示しないスクライブラインに沿って切断溝410を形成し、ICチップ11A(図12参照。)毎に区画する。本例では、半導体ウェハ4の素子面401に切断溝410を設けている。
【0068】
シート貼付工程S103は、図13、図16及び図17に示すごとく、半導体ウェハ4の素子面401に保持シート42を貼付する工程である。本例で使用した保持シート42は、フィルム状の基材層(図示略)の表面に、粘着性を呈する粘着層(図示略)を配設したものである。本例では、予め保持シート42を巻き付けた貼付ローラ420を素子面401上で転動させることにより、保持シート42を貼り付けしている。基材層は、半導体ウェハ4の素子面401を補強して保護するための層である。基材層は、例えば、エチレン酢酸ビニル重合体等からなるプラスチィックフィルムよりなる。粘着層は、UV硬化型接着剤を配設した層である。なお、粘着層としては、本例のUV硬化型接着剤等の光硬化型接着剤のほか、熱硬化型、湿気硬化型等の接着剤を採用することもできる。さらに、粘着層としては、可塑によって粘着力が低下する材料を用いて形成することもできる。
【0069】
研磨工程S104は、図13及び図18に示すごとく、保持シート42を貼付後の半導体ウェハ4を研磨する工程である。本例では、研磨装置43を利用して研磨工程S104を実施している。この研磨工程S104では、半導体ウェハ4を裏返して研磨台431に載置し、保持シート42を貼付してない裏側面402に回転砥石430を押し当てながら研磨を実施する。上記溝形成工程S102による切断溝410が厚さ方向に貫通するまで裏側面402を研磨することで、各ICチップ11として個片化している。なお、この研磨工程S104実施後の各ICチップ11は、保持シート42により保持されているため離散するおそれが少ない。
【0070】
磁性素子面形成工程S105は、図13、図19及び図20に示すごとく、研磨工程S104を実施後の各ICチップ11に磁性素子面115を形成する工程である。本例では、印刷装置44を利用して磁性素子面形成工程S105を実施している。磁性素子面形成工程S105では、保持シート42に保持された状態のICチップ11を、保持シート42ごと印刷台441に載置し、各ICチップ11が露出する側の表面に磁性材料を塗布している。これにより、各ICチップ11の磁性素子面115に磁性材料の塗布層440を設けている。本例では、磁性材料として、ケイ素鋼を採用しているが、その他、様々な材料を採用できる。なお、図20では、印刷台441の図示を省略してある。
【0071】
実施例1と同様の素子供給工程S110に適用するICチップ11は、上記のような工程によって作製したものである。なお、保持シート42を剥離するに当たって、保持シート42側から紫外線を照射している。紫外線を照射すれば保持シート42の粘着層を硬化でき、その粘着性を低下させてICチップ11の分離を容易化できる。
【0072】
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
また、本例に代えて、半導体ウェハ上に電気回路を形成する回路形成工程、電気回路の形成面の裏面を研磨する研磨工程、当該研磨工程による研磨面に磁性材料を塗布する磁性素子面形成工程、及びICチップ毎に切断するダイシング工程を、この順番で実施するICチップ作製工程により、磁性素子面115(図20参照。)を有するICチップ11を作製することもできる。
【0073】
(実施例3)
本例は、実施例1及び実施例2を基にして、素子配置テーブル21の構成を変更すると共に、素子供給工程S110及び素子接合工程S120の内容を変更した例である。この内容について、図1、図13及び図21〜図25を用いて説明する。
【0074】
本例の素子配置テーブル21は、図21〜図25に示すごとく、テーブル面210の各磁力面220に対応して磁力発生手段22を備えている。磁力発生手段22は、電線を巻回したコイル222と、コイル222に内挿した磁芯221と、コイル222の通電電流を制御する電流制御手段(図示略)とを組み合わせたものである。そして、本例の素子配置テーブル21は、略水平のテーブル面210を備え、さらに、このテーブル面210を加振する加振ユニット(図示略)を備えている。
【0075】
本例の素子供給工程S110(図1、図13参照。)は、図21及び図22に示すごとく、実施例1のベアチップホルダ(図7における符号20。)を利用せず、保持シート42に保持したICチップ11を供給する工程である。素子供給工程S110では、まず、ICチップ11を保持した保持シート42を、該保持シート42を上面にして素子配置テーブル21に載置している。保持シート42に紫外線を照射することにより、実施例1で上記したUV硬化型接着剤よりなる粘着層を硬化させる。このように保持シート42の粘着層の粘着力を低下させた上で、保持シート42を剥離する。
【0076】
素子供給工程S110は、上記のような手順により、素子配置テーブル21のテーブル面210上に個片化されたICチップ11を供給する工程である(図23参照。)。その後、素子配置工程S120を実施する前に、図24に示すごとく、半導体ウェハ4の切れ端11C(図23参照。)を除去する。
【0077】
続いて、図25に示すごとく素子配置工程S120を実施する。本例の素子配置工程S120では、まず、磁力発生手段22のコイル222への通電を開始し、テーブル面210を加振しながらICチップ11を吸着させている。特に、本例では、内周側から外周側に向かって磁力を発生する磁力面220の範囲が拡大するようにコイル222の通電電流を制御している。これにより、内周側から外周側に向けてICチップ11を順序良く吸着させていくことが可能になる。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1あるいは実施例2と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施例1における、電子部品の製造方法の流れを示すフロー図。
【図2】実施例1における、電子部品の製造装置を示す説明図。
【図3】実施例1における、インターポーザを示す斜視図。
【図4】実施例1における、インターポーザの構造を示す分解図。
【図5】実施例1における、インターポーザを含むRFIDタグの構造を示す分解図。
【図6】実施例1における、ベアチップホルダにICチップを収容する様子を示す説明図。
【図7】実施例1における、素子供給工程及び素子配置工程を概念的に説明する斜視図。
【図8】実施例1における、素子供給工程及び素子配置工程での素子配置テーブルを示す断面図。
【図9】実施例1における、連続シート基材とICチップとが対面する様子を示す説明図。
【図10】実施例1における、素子接合工程を説明する説明図。
【図11】実施例1における、その他の素子配置テーブルを示す斜視図。
【図12】実施例1における、その他の素子配置テーブルを示す斜視図。
【図13】実施例2における、電子部品の製造方法の流れを示すフロー図。
【図14】実施例2における、溝形成工程を説明する説明図。
【図15】実施例2における、溝形成工程を説明する説明図。
【図16】実施例2における、シート貼付工程を説明する説明図。
【図17】実施例2における、保持シートを貼付した半導体ウェハを示す斜視図。
【図18】実施例2における、研磨工程を説明する説明図。
【図19】実施例2における、磁性素子面形成工程を説明する説明図。
【図20】実施例2における、磁性素子面形成工程での半導体ウェハを示す断面図。
【図21】実施例3における、素子供給工程を示す説明図。
【図22】実施例3における、素子供給工程での素子配置テーブルを示す断面図。
【図23】実施例3における、素子配置工程の前処理を説明する説明図。
【図24】実施例3における、素子配置工程を説明する説明図。
【図25】実施例3における、素子配置工程を実施後の素子配置テーブルを示す斜視図。
【符号の説明】
【0079】
1 電子部品(インターポーザ)
11 半導体素子(ICチップ)
110 素子電極
111 電極配設面
115 磁性素子面
12 シート基材
12A 連続シート基材ロール
12B 連続シート基材
13 導電パターン
20 ベアチップホルダ
21 素子配置テーブル
210 テーブル面
22 永久磁石、磁力発生手段
220 磁力面
221 磁芯
222 コイル
3 製造装置
31 巻出し機構
32 接合ユニット
37 個片化ユニット
5 RFIDタグ
4 半導体ウェハ
42 保持シート
401 素子面
402 裏側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電パターンを有するシート基材の表面に半導体素子を実装した電子部品を製造するための電子部品の製造方法であって、
素子電極を備えた電極配設面の裏面が磁力により吸着可能な磁性素子面として形成された半導体素子を、磁力を発生する磁力面を2箇所以上設けた素子配置テーブルに供給する素子供給工程と、
上記素子配置テーブルの上記磁力面から磁力を発生させて当該磁力面に上記半導体素子を配置する素子配置工程と、
複数の上記シート基材が連結された連続シート基材を、上記磁力面に上記半導体素子を配置した状態の上記素子配置テーブルに対面させ、上記素子電極と上記導電パターンとが電気的に接続された状態で複数の上記半導体素子を上記連続シート基材に接合する素子接合工程と、を実施することを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、上記素子配置テーブルの表面には、上記半導体素子の姿勢及び位置を規制するための規制部が形成されていることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、上記規制部は、上記半導体素子を収容可能な程度に当該半導体素子の横幅と略一致する形成幅の溝状を呈する窪みである凹状溝であることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項4】
請求項2において、上記規制部は、上記半導体素子を収容可能な程度に当該半導体素子と略同一形状を呈する窪みである凹部であることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、上記素子配置テーブルは、コイルが巻回された磁芯を含む磁力発生手段を備えており、上記磁力面は、上記磁芯の端面、あるいは当該磁芯から磁気的に延設された仲介部材の端面から生じた磁力を発生するように構成されていることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項において、上記素子配置テーブルは永久磁石を含み、上記磁力面は、上記永久磁石の端面、あるいは当該永久磁石から磁気的に延設された仲介部材の端面から生じた磁力を発生するように構成されていることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、上記半導体素子に上記磁性素子面を形成する磁性素子面形成工程を含むことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項8】
請求項7において、上記磁性素子面形成工程は、略同一面上に配置した複数の上記半導体素子の表面に磁性材料を塗布することにより上記磁性素子面を形成する工程であることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項9】
請求項8において、半導体ウェハを上記各半導体素子毎に区画する有底の溝状の切断溝を形成する溝形成工程と、上記半導体ウェハにおける上記切断溝を形成した側の表面にシート状の保持シートを貼付するシート貼付工程と、上記半導体ウェハにおける上記保持シートとは反対側の表面を研磨して厚さ方向に上記切断溝を貫通させる研磨工程と、を含み、当該研磨工程の実施後に実施する上記磁性素子面形成工程は、上記保持シートに保持された上記複数の半導体素子の表面に上記磁性材料を塗布する工程であることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項10】
請求項8において、半導体ウェハを上記各半導体素子毎に切断するダイシング工程を含み、上記磁性素子面形成工程は、上記ダイシング工程を実施する前の上記半導体ウェハの表面に上記磁性材料を塗布する工程であることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項11】
電気回路が形成された半導体素子であって、
素子電極を設けた電極配設面の裏面が磁力により吸着可能な磁性素子面として形成されていることを特徴とする半導体素子。
【請求項12】
請求項11において、上記半導体素子は、一方の表面に磁性材料が塗布された半導体ウェハを個片化してなり、上記磁性素子面は上記磁性材料により形成されていることを特徴とする半導体素子。
【請求項13】
請求項11において、上記半導体素子は、シート状の部材である保持シートの表面に他の半導体素子と共に保持された状態で当該保持シートとは反対側の表面に磁性材料を塗布後、上記保持シートから分離したものであり、上記磁性素子面は上記磁性材料により形成されていることを特徴とする半導体素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−257420(P2008−257420A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98046(P2007−98046)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(302031502)株式会社 ハリーズ (16)
【Fターム(参考)】