電子部品の製造方法及び電解めっき装置
【課題】シード膜の溶解を抑制し、電解めっき後のめっき膜の未析や欠陥の発生を低減する方法を提供する。
【解決手段】実施形態の電子部品の製造方法は、シード膜形成工程S110とめっき工程S114とを備えたことを特徴とする。かかるシード膜形成工程S110では、基体上にシード膜を形成する。そして、かかるめっき工程S114では、窒素ガスでバブリングされているめっき液が供給されためっき槽中の前記めっき液に前記シード膜を浸漬させ、前記シード膜をカソードとして電解めっきを行なう。
【解決手段】実施形態の電子部品の製造方法は、シード膜形成工程S110とめっき工程S114とを備えたことを特徴とする。かかるシード膜形成工程S110では、基体上にシード膜を形成する。そして、かかるめっき工程S114では、窒素ガスでバブリングされているめっき液が供給されためっき槽中の前記めっき液に前記シード膜を浸漬させ、前記シード膜をカソードとして電解めっきを行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子部品の製造方法及び電解めっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路(LSI)の高集積化、及び高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。特に、最近はLSIの高速化を達成するために、配線材料を従来のアルミ(Al)合金から低抵抗の銅(Cu)或いはCu合金(すなわち、銅含有物、以下、まとめてCuと称する。)に代える動きが進んでいる。Cuは、Al合金配線の形成において頻繁に用いられたRIE(反応性イオンエッチング)等のドライエッチング法による微細加工が困難であるので、溝加工が施された絶縁膜上にCu膜を堆積し、溝内に埋め込まれた部分以外のCu膜を化学機械研磨(ケミカル・メカニカル・ポリッシング:chemical mechanical polishing:CMP)法により除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン(damascene)法が主に採用されている。Cu膜はスパッタ法などで薄いCuシード層を形成した後に電解めっき法により数100nm程度の厚さの積層膜を形成することが一般的である。さらに、多層Cu配線を形成する場合は、特に、デュアルダマシン構造と呼ばれる配線形成方法を用いることもできる。かかる方法では、下層配線上に絶縁膜を堆積し、所定のヴィアホール(孔)及び上層配線用のトレンチ(配線溝)を形成した後に、ヴィアホールとトレンチに配線材料となるCuを同時に埋め込み、さらに、上層の不要なCuをCMPにより除去し平坦化することにより埋め込み配線を形成する。
【0003】
ここで、スパッタ法により形成されたCuシード膜は特に側壁の膜厚が薄く、めっき液に溶解しやすい。Cuシード膜が溶解した部分には電解めっきしようとしても電流が流れないのでCu膜が形成されない。そのため、たとえ周囲から成長したCu膜によって完全に埋め込まれた場合でもその部分では側壁とCu膜との密着性が低く欠陥発生点となってしまうといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−218080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、上述した問題点を克服し、シード膜の溶解を抑制し、電解めっき後のめっき膜の未析や欠陥の発生を低減する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電子部品の製造方法は、シード膜形成工程とめっき工程とを備えたことを特徴とする。かかるシード膜形成工程では、基体上にシード膜を形成する。そして、かかるめっき工程では、窒素ガスでバブリングされているめっき液が供給されためっき槽中の前記めっき液に前記シード膜を浸漬させ、前記シード膜をカソードとして電解めっきを行なう。
【0007】
実施形態の電解めっき装置は、めっき槽と供給タンクと窒素ガス供給部と電流供給装置と、を備えたことを特徴とする。かかるめっき槽にはアノード部材が配置されている。かかる供給タンクでは、前記めっき槽に窒素ガスでバブリングされているめっき液を供給する。かかる窒素ガス供給部では、前記供給タンク内に前記窒素ガスを供給する。かかる電流供給装置は、前記アノードと被めっき基板との間に電流を流す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。
【図2】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図3】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図4】第1の実施形態における、待機位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。
【図5】実施の形態1における、めっき位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。
【図6】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図7】第1の実施形態における欠陥数とエッチングレートとの関係を示す図である
【図8】第1の実施形態におけるN2バブリングの効果を説明するための基板断面の概念図である。
【図9】第2の実施形態における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態における、待機位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。
【図11】第2の実施形態における、めっき位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。
【図12】第3の実施形態における基板の入槽手法の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、low−k膜の絶縁層にCuダマシン配線を形成する場合について、以下、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。図1において、本実施形態では、低誘電率の絶縁性材料からなるlow−k膜の薄膜を形成するlow−k膜形成工程(S102)、キャップ膜を形成するキャップ膜形成工程(S104)、開口部を形成する開口部形成工程(S106)、導電性材料を用いた導電性材料膜を形成する導電性材料膜形成工程として、バリアメタル膜形成工程(S108)、シード膜形成工程(S110)、窒素(N2)バブリング及び電解めっき工程(S114)と、研磨工程(S116)という一連の工程を実施する。
【0011】
図2は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図2では、図1のlow−k膜形成工程(S102)から開口部形成工程(S106)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0012】
図2(a)において、low−k膜形成工程(S102)として、基体の一例となる基板200の上に多孔質の低誘電率絶縁性材料を用いたlow−k膜220の薄膜を例えば300nmの厚さで形成する。low−k膜220を形成することで、比誘電率kが3.0以下の層間絶縁膜を得ることができる。low−k膜220の材料として、多孔質の炭酸化シリコン(SiOC)を用いると好適である。多孔質のSiOC膜により、比誘電率kが例えば2.6以下の層間絶縁膜を得ることができる。形成方法としては、例えば、PECVD法を用いて形成できる。例えば、メチルジエトキシシラン(Methyl−di−ethoxy−silane)、アルファターピネン(alpha−terpinene:C10H16)、酸素(O2)、ヘリウム(He)からなる混合ガスを図示しないチャンバ内に流入し、チャンバ内の圧力を例えば1.3×103Pa(10Torr)以下に維持した状態で、基板200を例えば250℃に加熱し、チャンバ内の図示しない下部電極及び上部電極に高周波電力を供給し、プラズマを発生させる。メチルジエトキシシランは主骨格成分形成用のガスであり、アルファターピネンはポロジェン成分形成用ガスである。そして、SiOC膜中に含まれるポロジェンを加熱して気化させることにより除去する。そして、窒素雰囲気中、ポロジェン除去温度よりも高温の例えば450℃で紫外線(UV)照射によるキュアを行なう。これにより、多孔質の絶縁膜となるlow−k膜220を形成できる。形成方法は、CVD法に限らず、溶液をスピンコートし熱処理して薄膜を形成するSOD(spin on dielectric coating)法を用いても好適である。low−k膜220の材料としては、例えば、メチルシロキサンを主成分とするポリメチルシロキサン、ポリシロキサン、ハイドロジェンシロセスキオキサン、メチルシロセスキオキサンなどのシロキサン骨格を有する膜を用いると好適である。また、low−k膜220の下層には、図示しない下地膜が形成されると好適である。下地膜として、例えば、酸化シリコン(SiO2)、炭窒化シリコン(SiCN)、炭化シリコン(SiC)、或いは多孔質ではない炭酸化シリコン(denseSiCO)等が好適である。形成方法は、PECVD法で形成できるが、これに限るものではなくその他の方法で成膜しても構わない。下地膜は、例えば、20nmの膜厚で形成される。また、基板200として、例えば、直径300ミリのシリコンウェハを用いる。ここでは、コンタクトプラグ層やデバイス部分等の図示は省略している。そして、基板200上には、その他の金属配線等、図示しない各種の半導体素子あるいは構造を有する層が形成されていても構わない。或いは、その他の層が形成されていても構わない。
【0013】
図2(b)において、キャップ膜形成工程(S104)として、low−k膜220上にCVD法によってキャップ絶縁膜として炭酸化シリコン(SiOC)を例えば膜厚50nm堆積することで、SiOC膜222の薄膜を形成する。SiOC膜222を形成することで、直接リソグラフィを行うことが困難なlow−k膜220を保護し、low−k膜220にパターンを形成することができる。キャップ絶縁膜の材料として、SiOCの他に、酸化シリコン(SiO2)、SiC、炭水化シリコン(SiCH)、炭窒化シリコン(SiCN)、およびSiOCHからなる群から選択される少なくとも一種の比誘電率2.5以上の絶縁材料を用いて形成しても構わない。ここでは、CVD法によって成膜しているが、その他の方法を用いても構わない。
【0014】
図2(c)において、開口部形成工程(S106)として、リソグラフィ工程とドライエッチング工程でダマシン配線を作製するための配線溝構造である開口部150をSiOC膜222とlow−k膜220内に形成する。例えば、5μm幅の配線溝を形成する。図示していないレジスト塗布工程、露光工程等のリソグラフィ工程を経てSiOC膜222の上にレジスト膜が形成された基板200に対し、露出したSiOC膜222とその下層に位置するlow−k膜220を異方性エッチング法により除去することで、基板200の表面に対し、略垂直に開口部150を形成することができる。例えば、一例として、反応性イオンエッチング法により開口部150を形成すればよい。また、low−k膜220の下層に上述した下地膜が形成されている場合には下地膜も異方性エッチング法により除去すれば良い。
【0015】
図3は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図3では、図1のバリアメタル膜形成工程(S108)からN2バブリング及び電解めっき工程(S114)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0016】
図3(a)において、バリアメタル膜形成工程(S108)として、開口部形成工程により形成された開口部150及びSiOC膜222表面にバリアメタル材料を用いたバリアメタル膜240を形成する。物理気相成長法(physical vapor deposition:PVD)法の1つであるスパッタ法を用いるスパッタリング装置内でタンタル(Ta)膜の薄膜を例えば膜厚30nm堆積し、バリアメタル膜240を形成する。バリアメタル材料の堆積方法としては、PVD法に限らず、原子層気相成長(atomic layer deposition:ALD、あるいは、atomic layer chemical vapor deposition:ALCVD)法やCVD法などを用いることができる。PVD法を用いる場合より被覆率を良くすることができる。また、バリアメタル膜の材料としては、Taの他、窒化タンタル(TaN)等のタンタル系のタンタル含有物質、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)等のチタン系のチタン含有物質、窒化タングステン(WN)等のタングステン系のタングステン含有物質、もしくはTaとTaN等これらを組合せて用いた積層膜であっても構わない。
【0017】
図3(b)において、シード膜形成工程(S110)として、スパッタ等の物理気相成長(PVD)法により、次の工程である電解めっき工程のカソード極となるCu薄膜をシード膜250(銅含有膜の一例)としてバリアメタル膜240が形成された開口部150内壁及び基板200表面に堆積(形成)させる。ここでは、シード膜250を例えば基板200表面で膜厚20nm堆積させる。
【0018】
ここで、第1の実施形態では、シード膜250がめっき液に溶解して無くなってしまわないように次工程の電解めっき工程(S114)において、めっき開始前から少なくともめっき開始時までN2バブリングされていためっき液を用いて電解めっきを行なう。
【0019】
図3(c)において、N2バブリング及び電解めっき工程(S114)として、窒素ガスでバブリングされているめっき液が供給されためっき槽中のめっき液にシード膜250を浸漬させ、シード膜250をカソードとして電解めっきによる電気化学成長法によりCu膜260(銅含有膜の一例)を開口部150内及び基板200表面に堆積させる。ここでは、例えば膜厚800nmのCu膜260を堆積させ、堆積させた後にアニール処理を例えば150℃の温度で30分間行なう。
【0020】
図4は、第1の実施形態における、待機位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。電解めっき装置には、N2タンク620(窒素ガス供給部)と、ノズル632と、供給タンク610と、めっき槽650と、アノード電極654と、電流供給装置612と、ホルダ652とが配置される。N2タンク620から供給された窒素(N2)ガスが、バルブ630、配管631を介して、供給タンク610内のめっき液670中にまで延びたノズル632の先端からめっき液670中に供給(放出)される。そして、N2ガスの一部は、めっき液670中に溶け、残りは上方から大気中へ放出される。このように、供給タンク610では、めっき液670がN2ガスでバブリングされている。そして、上述したようにN2ガスでバブリングされているめっき液670は、ポンプ640によってめっき槽650へと供給される。また、めっき液670は、電解めっき開始前からめっき終了時までポンプ640でめっき槽650へと供給され続ける。めっき槽650から溢れためっき液670は、配管を通って供給タンク610へと戻される。このように、めっき液670は、供給タンク610とめっき槽650とを循環している。めっき液670は、硫酸銅を主成分として、添加剤を加えた液を用いるとよい。めっき槽650は、略円筒状に形成され、内部に供給タンク610から供給されためっき液670が入っている。そして、めっき槽650のめっき液670底部には、上面をめっき液670に晒したアノード部材によるアノード電極654が配置されている。アノード電極654として、例えば、含リン銅等の溶解性アノードを用いるとよい。ホルダ652は、めっき槽650の上方に配置され、めっき面を下に向けた基板200を着脱自在に保持する。そして、電流供給装置612は、アノード電極654と被めっき基板となる基板200との間に電流を流す。
【0021】
図4では、ホルダ652が基板200をめっき液670の液面より上昇させた位置で保持している状態を示している。例えば、基板200を図示しないロボット等で搬送するための待機位置で保持される。そして、めっき液670に触れない領域でシード層が形成された基板200の表面の外周部に陰極側の接点が接続されている。他方、アノード電極654に陽極側の接点が接続されている。なお、N2ガスを供給タンク610に供給するまでの構成設備、例えば、N2タンク620、バルブ630、配管631、及びノズル632といった構成設備は、電解めっき装置を構成する部品としてではなくユーザ側の供給設備として配置されていても構わない。
【0022】
図5は、実施の形態1における、めっき位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。第1の実施形態では、めっき液670が入っためっき槽650に基板200表面を入槽させる際に、基板200を回転させながらN2ガスでバブリングされているめっき液670へと入槽させる。これにより、N2ガスでバブリングされているめっき液670が供給されためっき槽650中のめっき液670にシード膜250を浸漬させることになる。N2ガスでバブリングされているめっき液670にシード膜250を浸漬させることで、シード膜250の溶解を抑制できる。シード膜250の溶解を抑制するため、めっき槽650には、電解めっき開始前から少なくとも電解めっき開始時までN2バブリングされていためっき液670が供給される。そして、回転させたまま基板200表面をめっき液670に浸し、電流供給装置612からアノード電極654を陽極(アノード)、めっき面となる基板200のシード膜250を陰極(カソード)として所定の電流密度の電流を流し、電解めっきを行なう。また、入槽させる際に、基板200とめっき液670との間に空気が残らないように基板を所定の角度だけ傾けた状態で入槽させるとなおよい。
【0023】
そして、かかる状態から開口部150上に堆積した余分なCu膜260とバリアメタル膜240とをCMPにより除去してダマシン配線を形成することになる。
【0024】
図6は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図6では、図1の研磨工程(S116)を示している。
【0025】
図6において、研磨工程として、CMP法によって、基板200の表面を研磨して、開口部以外に表面に堆積した導電部としての配線層となるシード膜250を含むCu膜260とバリアメタル膜240を研磨除去して、図6に示すように平坦化する。以上のようにして、ダマシン配線を形成することができる。
【0026】
図7は、第1の実施形態における欠陥数とエッチングレートとの関係を示す図である。図7において、エッチングレートはめっき液中へのCu溶解速度を示している。また、欠陥数は研磨後の配線への埋め込み不良数を示している。N2バブリングを行うことでエッチングレートを小さくできる。そして、エッチングレートを小さくすることでシード膜250の溶解を抑制し、シード膜250が無くなってしまう領域を防止できる。その結果、配線への埋め込み不良を低減できる。
【0027】
N2バブリングを行うことでCu溶解速度を低減させることができた理由としては、めっき液中のCu溶解が以下の反応式によって発生するからだと考えられる。
Cu+O2+2H+→Cu2++H2O
【0028】
Cuはめっき液中の溶存酸素と酸に反応し、めっき液中に溶出する。N2バブリングを実施することにより、めっき液中の溶存酸素が追い出され、上記反応式の反応量が低下する。それによりCuのめっき液中への溶出が低減したと考えられる。
【0029】
図8は、第1の実施形態におけるN2バブリングの効果を説明するための基板断面の概念図である。図8(a)に示すように、N2バブリングをしない場合には、開口部側壁で顕著に生じるシードCu層消失によるボイドが生じてしまう。これに対し、上述したように、N2バブリングされているめっき液670中へ入槽することにより、図8(b)に示すように、めっき前のシードCu層の溶解を抑制して特に開口部側壁で顕著に生じるシードCu層消失によるめっき未析を防ぐことが可能となる。
【0030】
ここで、電解めっきを行なうに際し、N2バブリングをしながら、さらに、シード膜250に電圧を印加した状態でシード膜250をめっき液670に浸漬させるようにしてもよい。特に、第1の実施形態では、めっき液670に浸漬後に電解めっきを開始する開始時の電圧よりも低い電圧をめっき液670に浸漬させる際にシード膜250に印加するとより好適である。かかる構成により、さらに、Cuシード膜の溶解を抑制できる。
【0031】
ここで、N2バブリングをしないで、Cuシード膜の溶解を完全に防止するためにはCuめっきが生じる電圧に設定する必要があるが、めっき槽650への入槽の際、めっき液670に基板200表面が全て接液するまでにはある一定時間が必要であるため、最初に接液した部分と最後に接液した部分でめっき時間が異なってしまい、その結果、基板200表面にめっき成長したCu膜260の埋め込み均一性が劣化してしまう。また、N2バブリングをしないで、基板200に印加する電圧を低減すると今度はCuシード膜の薄い側壁でCu未析や欠陥が発生してしまう。そのため、第1の実施形態では、N2バブリングをしながら、さらに、めっき液670に浸漬後に電解めっきを開始する開始時の電圧よりも低い電圧をめっき液670に浸漬させる際にシード膜250に印加する。これにより、埋め込み均一性を保ちながらさらにCu層の溶解を抑制できる。
【0032】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態の内容に加えて、さらに、基板冷却を行う場合について、以下、図面を用いて説明する。
【0033】
図9は、第2の実施形態における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。図9において、本実施形態では、シード膜形成工程(S110)とN2バブリング及び電解めっき工程(S114)との間に冷却工程(S112)を追加した点以外は図1と同様である。以下、特に説明する内容以外は第1の実施形態と同様である。シード膜形成工程(S110)までの各工程は第1の実施形態と同様である。
【0034】
冷却工程(S112)として、シード膜250を冷却する。冷却方法は、気体を用いて基板200裏面を冷却することで基板200裏面を介してシード膜250を冷却する。
【0035】
図10は、第2の実施形態における、待機位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。図10において、ホルダ652は、基板200裏面側に空間が形成されるように加工され、その空間が気体(ガス)の流路601となっている。そして、N2タンク620から供給された窒素(N2)ガスの一部が、バルブ630、配管631,634を介して、供給タンク610へ、残部が、バルブ630、配管631,636を介して、ホルダ652の流路601へと供給される。そして、かかるN2ガスを待機位置で保持された基板200背面にフローさせることにより基板温度を制御している。基板200としてのシリコンウェハは熱伝導が良好であるため、このような気体を基板200の背面に十分な時間フローさせれば、基板温度を気体の温度と同程度にすることができる。その他の構成は図4と同様である。このように、バブリングに用いたN2ガスと同じ供給源であるN2タンク620から供給されたN2ガスを用いて基板200裏面を冷却することでシード膜250を冷却する。
【0036】
ここで、基板温度は、めっき液670の温度よりも10℃以上冷却することが望ましい。例えば、めっき液670の温度が25℃である場合に、基板温度を基板200が結露しない温度(例えば5℃)から15℃の範囲に制御するとよい。25℃でのめっき液670中のシード膜250の溶解速度を100%とした場合に、基板温度を15℃にすることで、めっき液670中のシード膜250の溶解速度を56%程度にまで抑えることができる。また、基板温度を5℃にすれば、めっき液670中のシード膜250の溶解速度を30%程度にまで抑えることができる。すなわち、基板温度を15℃以下にすることで、溶解速度を半分近くまで遅くすることができる。また、冷却位置は、できるだけめっき液670に近い位置が望ましい。できるだけめっき液670に近い位置にすることにより冷却後に基板200がめっき液670に接液するまでの時間を短くすることができ、冷却効果を維持することができる。
【0037】
図3(c)において、N2バブリング及び電解めっき工程(S114)として、N2ガスでバブリングされているめっき液670が供給されためっき槽650中のめっき液に、N2ガスで冷却されたシード膜250を浸漬させ、シード膜250をカソードとして電解めっきを行なう。
【0038】
図11は、第2の実施形態における、めっき位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。第2の実施形態では、N2バブリングされているめっき液670が入っためっき槽650に基板200表面を入槽させる際に、上述した冷却工程でシード膜250が冷やされた基板200を回転させながら入槽させる。そして、回転させたまま基板200表面をめっき液670に浸し、電流供給装置612からアノード電極654を陽極(アノード)、めっき面となる基板200のシード膜250を陰極(カソード)として所定の電流密度の電流を流し、電解めっきを行なう。また、入槽させる際に、基板200とめっき液670との間に空気が残らないように基板を所定の角度だけ傾けた状態で入槽させるとなおよい点は上述したとおりである。
【0039】
ここで、電解めっきを行なうに際し、N2バブリングをしながら、シード膜250に電圧を印加した状態で、さらに、冷却されたシード膜250をめっき液670に浸漬させるようにしてもよい。その際、めっき液670に浸漬後に電解めっきを開始する開始時の電圧よりも低い電圧をめっき液670に浸漬させる際にシード膜250に印加するとより好適である点は上述したとおりである。
【0040】
以上のように、基板200表面をめっき槽650に入槽させる際に、めっき液670に対するN2バブリングに加えて、基板冷却することで、さらに、シード膜250の溶解を抑制できる。
【0041】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、基板200をめっき槽650に入槽する前に、例えば、図10に示した待機位置で冷却し、入槽時には冷却を止めていたが、これに限るものではない。
【0042】
図12は、第3の実施形態における基板の入槽手法の一例を示す概念図である。図12(a)に示すように、基板200をめっき槽650に入槽する前に、N2タンク620から供給されたN2ガスを基板200の裏面に当てながら流すことは、第2の実施形態と同様である。第3の実施形態では、図12(b)に示すように、基板200を冷却しながらめっき槽650に入槽させる。このように構成することにより、より冷却効果を維持することができる。また、実際のめっき中も引き続いて基板200を冷却し続けても構わない。
【0043】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。上述した実施形態では、絶縁膜として、low−k膜220を用いたがこれに限るものではなく、その他の絶縁材料を用いた場合であっても構わない。例えば、シリコン酸化膜(SiO2)であっても構わない。また、基板200裏面を直接冷却しなくても間接的に冷却しても構わない。また、実施の形態では、ダマシン配線について記載しているが、デュアルダマシン配線についても同様に効果を発揮することができる。特に、デュアルダマシン配線形成におけるヴィアホールへのCu埋め込みには好適である。また、上述した例では、N2タンク620から供給されたN2ガスをホルダ652側とめっき液供給タンク610側とに分岐させていたが、これに限るものではない。例えば、ホルダ652側へと供給され、ホルダ652から排気されたN2ガスを供給タンク610側に供給して、N2バブリングを行ってもよい。
【0044】
また、層間絶縁膜の膜厚や、開口部のサイズ、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
【0045】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置の製造方法に代表される電子部品の製造方法は、本発明の範囲に包含される。
【0046】
また、説明の簡便化のために、半導体産業で通常用いられる手法、例えば、フォトリソグラフィプロセス、処理前後のクリーニング等は省略しているが、それらの手法が含まれ得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
150 開口部
200 基板
220 low−k膜
250 シード膜
260 Cu膜
610 供給タンク
612 電流供給装置
620 N2タンク
650 めっき槽
654 アノード電極
670 めっき液
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子部品の製造方法及び電解めっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路(LSI)の高集積化、及び高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。特に、最近はLSIの高速化を達成するために、配線材料を従来のアルミ(Al)合金から低抵抗の銅(Cu)或いはCu合金(すなわち、銅含有物、以下、まとめてCuと称する。)に代える動きが進んでいる。Cuは、Al合金配線の形成において頻繁に用いられたRIE(反応性イオンエッチング)等のドライエッチング法による微細加工が困難であるので、溝加工が施された絶縁膜上にCu膜を堆積し、溝内に埋め込まれた部分以外のCu膜を化学機械研磨(ケミカル・メカニカル・ポリッシング:chemical mechanical polishing:CMP)法により除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン(damascene)法が主に採用されている。Cu膜はスパッタ法などで薄いCuシード層を形成した後に電解めっき法により数100nm程度の厚さの積層膜を形成することが一般的である。さらに、多層Cu配線を形成する場合は、特に、デュアルダマシン構造と呼ばれる配線形成方法を用いることもできる。かかる方法では、下層配線上に絶縁膜を堆積し、所定のヴィアホール(孔)及び上層配線用のトレンチ(配線溝)を形成した後に、ヴィアホールとトレンチに配線材料となるCuを同時に埋め込み、さらに、上層の不要なCuをCMPにより除去し平坦化することにより埋め込み配線を形成する。
【0003】
ここで、スパッタ法により形成されたCuシード膜は特に側壁の膜厚が薄く、めっき液に溶解しやすい。Cuシード膜が溶解した部分には電解めっきしようとしても電流が流れないのでCu膜が形成されない。そのため、たとえ周囲から成長したCu膜によって完全に埋め込まれた場合でもその部分では側壁とCu膜との密着性が低く欠陥発生点となってしまうといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−218080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、上述した問題点を克服し、シード膜の溶解を抑制し、電解めっき後のめっき膜の未析や欠陥の発生を低減する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電子部品の製造方法は、シード膜形成工程とめっき工程とを備えたことを特徴とする。かかるシード膜形成工程では、基体上にシード膜を形成する。そして、かかるめっき工程では、窒素ガスでバブリングされているめっき液が供給されためっき槽中の前記めっき液に前記シード膜を浸漬させ、前記シード膜をカソードとして電解めっきを行なう。
【0007】
実施形態の電解めっき装置は、めっき槽と供給タンクと窒素ガス供給部と電流供給装置と、を備えたことを特徴とする。かかるめっき槽にはアノード部材が配置されている。かかる供給タンクでは、前記めっき槽に窒素ガスでバブリングされているめっき液を供給する。かかる窒素ガス供給部では、前記供給タンク内に前記窒素ガスを供給する。かかる電流供給装置は、前記アノードと被めっき基板との間に電流を流す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。
【図2】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図3】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図4】第1の実施形態における、待機位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。
【図5】実施の形態1における、めっき位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。
【図6】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図7】第1の実施形態における欠陥数とエッチングレートとの関係を示す図である
【図8】第1の実施形態におけるN2バブリングの効果を説明するための基板断面の概念図である。
【図9】第2の実施形態における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態における、待機位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。
【図11】第2の実施形態における、めっき位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。
【図12】第3の実施形態における基板の入槽手法の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、low−k膜の絶縁層にCuダマシン配線を形成する場合について、以下、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。図1において、本実施形態では、低誘電率の絶縁性材料からなるlow−k膜の薄膜を形成するlow−k膜形成工程(S102)、キャップ膜を形成するキャップ膜形成工程(S104)、開口部を形成する開口部形成工程(S106)、導電性材料を用いた導電性材料膜を形成する導電性材料膜形成工程として、バリアメタル膜形成工程(S108)、シード膜形成工程(S110)、窒素(N2)バブリング及び電解めっき工程(S114)と、研磨工程(S116)という一連の工程を実施する。
【0011】
図2は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図2では、図1のlow−k膜形成工程(S102)から開口部形成工程(S106)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0012】
図2(a)において、low−k膜形成工程(S102)として、基体の一例となる基板200の上に多孔質の低誘電率絶縁性材料を用いたlow−k膜220の薄膜を例えば300nmの厚さで形成する。low−k膜220を形成することで、比誘電率kが3.0以下の層間絶縁膜を得ることができる。low−k膜220の材料として、多孔質の炭酸化シリコン(SiOC)を用いると好適である。多孔質のSiOC膜により、比誘電率kが例えば2.6以下の層間絶縁膜を得ることができる。形成方法としては、例えば、PECVD法を用いて形成できる。例えば、メチルジエトキシシラン(Methyl−di−ethoxy−silane)、アルファターピネン(alpha−terpinene:C10H16)、酸素(O2)、ヘリウム(He)からなる混合ガスを図示しないチャンバ内に流入し、チャンバ内の圧力を例えば1.3×103Pa(10Torr)以下に維持した状態で、基板200を例えば250℃に加熱し、チャンバ内の図示しない下部電極及び上部電極に高周波電力を供給し、プラズマを発生させる。メチルジエトキシシランは主骨格成分形成用のガスであり、アルファターピネンはポロジェン成分形成用ガスである。そして、SiOC膜中に含まれるポロジェンを加熱して気化させることにより除去する。そして、窒素雰囲気中、ポロジェン除去温度よりも高温の例えば450℃で紫外線(UV)照射によるキュアを行なう。これにより、多孔質の絶縁膜となるlow−k膜220を形成できる。形成方法は、CVD法に限らず、溶液をスピンコートし熱処理して薄膜を形成するSOD(spin on dielectric coating)法を用いても好適である。low−k膜220の材料としては、例えば、メチルシロキサンを主成分とするポリメチルシロキサン、ポリシロキサン、ハイドロジェンシロセスキオキサン、メチルシロセスキオキサンなどのシロキサン骨格を有する膜を用いると好適である。また、low−k膜220の下層には、図示しない下地膜が形成されると好適である。下地膜として、例えば、酸化シリコン(SiO2)、炭窒化シリコン(SiCN)、炭化シリコン(SiC)、或いは多孔質ではない炭酸化シリコン(denseSiCO)等が好適である。形成方法は、PECVD法で形成できるが、これに限るものではなくその他の方法で成膜しても構わない。下地膜は、例えば、20nmの膜厚で形成される。また、基板200として、例えば、直径300ミリのシリコンウェハを用いる。ここでは、コンタクトプラグ層やデバイス部分等の図示は省略している。そして、基板200上には、その他の金属配線等、図示しない各種の半導体素子あるいは構造を有する層が形成されていても構わない。或いは、その他の層が形成されていても構わない。
【0013】
図2(b)において、キャップ膜形成工程(S104)として、low−k膜220上にCVD法によってキャップ絶縁膜として炭酸化シリコン(SiOC)を例えば膜厚50nm堆積することで、SiOC膜222の薄膜を形成する。SiOC膜222を形成することで、直接リソグラフィを行うことが困難なlow−k膜220を保護し、low−k膜220にパターンを形成することができる。キャップ絶縁膜の材料として、SiOCの他に、酸化シリコン(SiO2)、SiC、炭水化シリコン(SiCH)、炭窒化シリコン(SiCN)、およびSiOCHからなる群から選択される少なくとも一種の比誘電率2.5以上の絶縁材料を用いて形成しても構わない。ここでは、CVD法によって成膜しているが、その他の方法を用いても構わない。
【0014】
図2(c)において、開口部形成工程(S106)として、リソグラフィ工程とドライエッチング工程でダマシン配線を作製するための配線溝構造である開口部150をSiOC膜222とlow−k膜220内に形成する。例えば、5μm幅の配線溝を形成する。図示していないレジスト塗布工程、露光工程等のリソグラフィ工程を経てSiOC膜222の上にレジスト膜が形成された基板200に対し、露出したSiOC膜222とその下層に位置するlow−k膜220を異方性エッチング法により除去することで、基板200の表面に対し、略垂直に開口部150を形成することができる。例えば、一例として、反応性イオンエッチング法により開口部150を形成すればよい。また、low−k膜220の下層に上述した下地膜が形成されている場合には下地膜も異方性エッチング法により除去すれば良い。
【0015】
図3は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図3では、図1のバリアメタル膜形成工程(S108)からN2バブリング及び電解めっき工程(S114)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0016】
図3(a)において、バリアメタル膜形成工程(S108)として、開口部形成工程により形成された開口部150及びSiOC膜222表面にバリアメタル材料を用いたバリアメタル膜240を形成する。物理気相成長法(physical vapor deposition:PVD)法の1つであるスパッタ法を用いるスパッタリング装置内でタンタル(Ta)膜の薄膜を例えば膜厚30nm堆積し、バリアメタル膜240を形成する。バリアメタル材料の堆積方法としては、PVD法に限らず、原子層気相成長(atomic layer deposition:ALD、あるいは、atomic layer chemical vapor deposition:ALCVD)法やCVD法などを用いることができる。PVD法を用いる場合より被覆率を良くすることができる。また、バリアメタル膜の材料としては、Taの他、窒化タンタル(TaN)等のタンタル系のタンタル含有物質、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)等のチタン系のチタン含有物質、窒化タングステン(WN)等のタングステン系のタングステン含有物質、もしくはTaとTaN等これらを組合せて用いた積層膜であっても構わない。
【0017】
図3(b)において、シード膜形成工程(S110)として、スパッタ等の物理気相成長(PVD)法により、次の工程である電解めっき工程のカソード極となるCu薄膜をシード膜250(銅含有膜の一例)としてバリアメタル膜240が形成された開口部150内壁及び基板200表面に堆積(形成)させる。ここでは、シード膜250を例えば基板200表面で膜厚20nm堆積させる。
【0018】
ここで、第1の実施形態では、シード膜250がめっき液に溶解して無くなってしまわないように次工程の電解めっき工程(S114)において、めっき開始前から少なくともめっき開始時までN2バブリングされていためっき液を用いて電解めっきを行なう。
【0019】
図3(c)において、N2バブリング及び電解めっき工程(S114)として、窒素ガスでバブリングされているめっき液が供給されためっき槽中のめっき液にシード膜250を浸漬させ、シード膜250をカソードとして電解めっきによる電気化学成長法によりCu膜260(銅含有膜の一例)を開口部150内及び基板200表面に堆積させる。ここでは、例えば膜厚800nmのCu膜260を堆積させ、堆積させた後にアニール処理を例えば150℃の温度で30分間行なう。
【0020】
図4は、第1の実施形態における、待機位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。電解めっき装置には、N2タンク620(窒素ガス供給部)と、ノズル632と、供給タンク610と、めっき槽650と、アノード電極654と、電流供給装置612と、ホルダ652とが配置される。N2タンク620から供給された窒素(N2)ガスが、バルブ630、配管631を介して、供給タンク610内のめっき液670中にまで延びたノズル632の先端からめっき液670中に供給(放出)される。そして、N2ガスの一部は、めっき液670中に溶け、残りは上方から大気中へ放出される。このように、供給タンク610では、めっき液670がN2ガスでバブリングされている。そして、上述したようにN2ガスでバブリングされているめっき液670は、ポンプ640によってめっき槽650へと供給される。また、めっき液670は、電解めっき開始前からめっき終了時までポンプ640でめっき槽650へと供給され続ける。めっき槽650から溢れためっき液670は、配管を通って供給タンク610へと戻される。このように、めっき液670は、供給タンク610とめっき槽650とを循環している。めっき液670は、硫酸銅を主成分として、添加剤を加えた液を用いるとよい。めっき槽650は、略円筒状に形成され、内部に供給タンク610から供給されためっき液670が入っている。そして、めっき槽650のめっき液670底部には、上面をめっき液670に晒したアノード部材によるアノード電極654が配置されている。アノード電極654として、例えば、含リン銅等の溶解性アノードを用いるとよい。ホルダ652は、めっき槽650の上方に配置され、めっき面を下に向けた基板200を着脱自在に保持する。そして、電流供給装置612は、アノード電極654と被めっき基板となる基板200との間に電流を流す。
【0021】
図4では、ホルダ652が基板200をめっき液670の液面より上昇させた位置で保持している状態を示している。例えば、基板200を図示しないロボット等で搬送するための待機位置で保持される。そして、めっき液670に触れない領域でシード層が形成された基板200の表面の外周部に陰極側の接点が接続されている。他方、アノード電極654に陽極側の接点が接続されている。なお、N2ガスを供給タンク610に供給するまでの構成設備、例えば、N2タンク620、バルブ630、配管631、及びノズル632といった構成設備は、電解めっき装置を構成する部品としてではなくユーザ側の供給設備として配置されていても構わない。
【0022】
図5は、実施の形態1における、めっき位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。第1の実施形態では、めっき液670が入っためっき槽650に基板200表面を入槽させる際に、基板200を回転させながらN2ガスでバブリングされているめっき液670へと入槽させる。これにより、N2ガスでバブリングされているめっき液670が供給されためっき槽650中のめっき液670にシード膜250を浸漬させることになる。N2ガスでバブリングされているめっき液670にシード膜250を浸漬させることで、シード膜250の溶解を抑制できる。シード膜250の溶解を抑制するため、めっき槽650には、電解めっき開始前から少なくとも電解めっき開始時までN2バブリングされていためっき液670が供給される。そして、回転させたまま基板200表面をめっき液670に浸し、電流供給装置612からアノード電極654を陽極(アノード)、めっき面となる基板200のシード膜250を陰極(カソード)として所定の電流密度の電流を流し、電解めっきを行なう。また、入槽させる際に、基板200とめっき液670との間に空気が残らないように基板を所定の角度だけ傾けた状態で入槽させるとなおよい。
【0023】
そして、かかる状態から開口部150上に堆積した余分なCu膜260とバリアメタル膜240とをCMPにより除去してダマシン配線を形成することになる。
【0024】
図6は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。図6では、図1の研磨工程(S116)を示している。
【0025】
図6において、研磨工程として、CMP法によって、基板200の表面を研磨して、開口部以外に表面に堆積した導電部としての配線層となるシード膜250を含むCu膜260とバリアメタル膜240を研磨除去して、図6に示すように平坦化する。以上のようにして、ダマシン配線を形成することができる。
【0026】
図7は、第1の実施形態における欠陥数とエッチングレートとの関係を示す図である。図7において、エッチングレートはめっき液中へのCu溶解速度を示している。また、欠陥数は研磨後の配線への埋め込み不良数を示している。N2バブリングを行うことでエッチングレートを小さくできる。そして、エッチングレートを小さくすることでシード膜250の溶解を抑制し、シード膜250が無くなってしまう領域を防止できる。その結果、配線への埋め込み不良を低減できる。
【0027】
N2バブリングを行うことでCu溶解速度を低減させることができた理由としては、めっき液中のCu溶解が以下の反応式によって発生するからだと考えられる。
Cu+O2+2H+→Cu2++H2O
【0028】
Cuはめっき液中の溶存酸素と酸に反応し、めっき液中に溶出する。N2バブリングを実施することにより、めっき液中の溶存酸素が追い出され、上記反応式の反応量が低下する。それによりCuのめっき液中への溶出が低減したと考えられる。
【0029】
図8は、第1の実施形態におけるN2バブリングの効果を説明するための基板断面の概念図である。図8(a)に示すように、N2バブリングをしない場合には、開口部側壁で顕著に生じるシードCu層消失によるボイドが生じてしまう。これに対し、上述したように、N2バブリングされているめっき液670中へ入槽することにより、図8(b)に示すように、めっき前のシードCu層の溶解を抑制して特に開口部側壁で顕著に生じるシードCu層消失によるめっき未析を防ぐことが可能となる。
【0030】
ここで、電解めっきを行なうに際し、N2バブリングをしながら、さらに、シード膜250に電圧を印加した状態でシード膜250をめっき液670に浸漬させるようにしてもよい。特に、第1の実施形態では、めっき液670に浸漬後に電解めっきを開始する開始時の電圧よりも低い電圧をめっき液670に浸漬させる際にシード膜250に印加するとより好適である。かかる構成により、さらに、Cuシード膜の溶解を抑制できる。
【0031】
ここで、N2バブリングをしないで、Cuシード膜の溶解を完全に防止するためにはCuめっきが生じる電圧に設定する必要があるが、めっき槽650への入槽の際、めっき液670に基板200表面が全て接液するまでにはある一定時間が必要であるため、最初に接液した部分と最後に接液した部分でめっき時間が異なってしまい、その結果、基板200表面にめっき成長したCu膜260の埋め込み均一性が劣化してしまう。また、N2バブリングをしないで、基板200に印加する電圧を低減すると今度はCuシード膜の薄い側壁でCu未析や欠陥が発生してしまう。そのため、第1の実施形態では、N2バブリングをしながら、さらに、めっき液670に浸漬後に電解めっきを開始する開始時の電圧よりも低い電圧をめっき液670に浸漬させる際にシード膜250に印加する。これにより、埋め込み均一性を保ちながらさらにCu層の溶解を抑制できる。
【0032】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態の内容に加えて、さらに、基板冷却を行う場合について、以下、図面を用いて説明する。
【0033】
図9は、第2の実施形態における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。図9において、本実施形態では、シード膜形成工程(S110)とN2バブリング及び電解めっき工程(S114)との間に冷却工程(S112)を追加した点以外は図1と同様である。以下、特に説明する内容以外は第1の実施形態と同様である。シード膜形成工程(S110)までの各工程は第1の実施形態と同様である。
【0034】
冷却工程(S112)として、シード膜250を冷却する。冷却方法は、気体を用いて基板200裏面を冷却することで基板200裏面を介してシード膜250を冷却する。
【0035】
図10は、第2の実施形態における、待機位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。図10において、ホルダ652は、基板200裏面側に空間が形成されるように加工され、その空間が気体(ガス)の流路601となっている。そして、N2タンク620から供給された窒素(N2)ガスの一部が、バルブ630、配管631,634を介して、供給タンク610へ、残部が、バルブ630、配管631,636を介して、ホルダ652の流路601へと供給される。そして、かかるN2ガスを待機位置で保持された基板200背面にフローさせることにより基板温度を制御している。基板200としてのシリコンウェハは熱伝導が良好であるため、このような気体を基板200の背面に十分な時間フローさせれば、基板温度を気体の温度と同程度にすることができる。その他の構成は図4と同様である。このように、バブリングに用いたN2ガスと同じ供給源であるN2タンク620から供給されたN2ガスを用いて基板200裏面を冷却することでシード膜250を冷却する。
【0036】
ここで、基板温度は、めっき液670の温度よりも10℃以上冷却することが望ましい。例えば、めっき液670の温度が25℃である場合に、基板温度を基板200が結露しない温度(例えば5℃)から15℃の範囲に制御するとよい。25℃でのめっき液670中のシード膜250の溶解速度を100%とした場合に、基板温度を15℃にすることで、めっき液670中のシード膜250の溶解速度を56%程度にまで抑えることができる。また、基板温度を5℃にすれば、めっき液670中のシード膜250の溶解速度を30%程度にまで抑えることができる。すなわち、基板温度を15℃以下にすることで、溶解速度を半分近くまで遅くすることができる。また、冷却位置は、できるだけめっき液670に近い位置が望ましい。できるだけめっき液670に近い位置にすることにより冷却後に基板200がめっき液670に接液するまでの時間を短くすることができ、冷却効果を維持することができる。
【0037】
図3(c)において、N2バブリング及び電解めっき工程(S114)として、N2ガスでバブリングされているめっき液670が供給されためっき槽650中のめっき液に、N2ガスで冷却されたシード膜250を浸漬させ、シード膜250をカソードとして電解めっきを行なう。
【0038】
図11は、第2の実施形態における、めっき位置に基板が保持されためっき装置の構成の一例を示す概念図である。第2の実施形態では、N2バブリングされているめっき液670が入っためっき槽650に基板200表面を入槽させる際に、上述した冷却工程でシード膜250が冷やされた基板200を回転させながら入槽させる。そして、回転させたまま基板200表面をめっき液670に浸し、電流供給装置612からアノード電極654を陽極(アノード)、めっき面となる基板200のシード膜250を陰極(カソード)として所定の電流密度の電流を流し、電解めっきを行なう。また、入槽させる際に、基板200とめっき液670との間に空気が残らないように基板を所定の角度だけ傾けた状態で入槽させるとなおよい点は上述したとおりである。
【0039】
ここで、電解めっきを行なうに際し、N2バブリングをしながら、シード膜250に電圧を印加した状態で、さらに、冷却されたシード膜250をめっき液670に浸漬させるようにしてもよい。その際、めっき液670に浸漬後に電解めっきを開始する開始時の電圧よりも低い電圧をめっき液670に浸漬させる際にシード膜250に印加するとより好適である点は上述したとおりである。
【0040】
以上のように、基板200表面をめっき槽650に入槽させる際に、めっき液670に対するN2バブリングに加えて、基板冷却することで、さらに、シード膜250の溶解を抑制できる。
【0041】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、基板200をめっき槽650に入槽する前に、例えば、図10に示した待機位置で冷却し、入槽時には冷却を止めていたが、これに限るものではない。
【0042】
図12は、第3の実施形態における基板の入槽手法の一例を示す概念図である。図12(a)に示すように、基板200をめっき槽650に入槽する前に、N2タンク620から供給されたN2ガスを基板200の裏面に当てながら流すことは、第2の実施形態と同様である。第3の実施形態では、図12(b)に示すように、基板200を冷却しながらめっき槽650に入槽させる。このように構成することにより、より冷却効果を維持することができる。また、実際のめっき中も引き続いて基板200を冷却し続けても構わない。
【0043】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。上述した実施形態では、絶縁膜として、low−k膜220を用いたがこれに限るものではなく、その他の絶縁材料を用いた場合であっても構わない。例えば、シリコン酸化膜(SiO2)であっても構わない。また、基板200裏面を直接冷却しなくても間接的に冷却しても構わない。また、実施の形態では、ダマシン配線について記載しているが、デュアルダマシン配線についても同様に効果を発揮することができる。特に、デュアルダマシン配線形成におけるヴィアホールへのCu埋め込みには好適である。また、上述した例では、N2タンク620から供給されたN2ガスをホルダ652側とめっき液供給タンク610側とに分岐させていたが、これに限るものではない。例えば、ホルダ652側へと供給され、ホルダ652から排気されたN2ガスを供給タンク610側に供給して、N2バブリングを行ってもよい。
【0044】
また、層間絶縁膜の膜厚や、開口部のサイズ、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
【0045】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置の製造方法に代表される電子部品の製造方法は、本発明の範囲に包含される。
【0046】
また、説明の簡便化のために、半導体産業で通常用いられる手法、例えば、フォトリソグラフィプロセス、処理前後のクリーニング等は省略しているが、それらの手法が含まれ得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
150 開口部
200 基板
220 low−k膜
250 シード膜
260 Cu膜
610 供給タンク
612 電流供給装置
620 N2タンク
650 めっき槽
654 アノード電極
670 めっき液
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上にシード膜を形成するシード膜形成工程と、
窒素ガスでバブリングされているめっき液が供給されためっき槽中の前記めっき液に前記シード膜を浸漬させ、前記シード膜をカソードとして電解めっきを行なうめっき工程と、
を備えたことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記バブリングに用いた窒素ガスと同じ供給源から供給された窒素ガスを用いて前記基体裏面を冷却することで前記シード膜を冷却することを特徴とする請求項1記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記電解めっきを行なうに際し、前記シード膜に電圧を印加した状態で前記シード膜をめっき液に浸漬させることを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記めっき液に浸漬後に電解めっきを開始する開始時の電圧よりも低い電圧を前記めっき液に浸漬させる際に前記シード膜に印加することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
アノード部材が配置されためっき槽と、
前記めっき槽に窒素ガスでバブリングされているめっき液を供給する供給タンクと、
前記供給タンク内に前記窒素ガスを供給する窒素ガス供給部と、
前記アノード部材と被めっき基板との間に電流を流す電流供給装置と、
を備えたことを特徴とする電解めっき装置。
【請求項1】
基体上にシード膜を形成するシード膜形成工程と、
窒素ガスでバブリングされているめっき液が供給されためっき槽中の前記めっき液に前記シード膜を浸漬させ、前記シード膜をカソードとして電解めっきを行なうめっき工程と、
を備えたことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記バブリングに用いた窒素ガスと同じ供給源から供給された窒素ガスを用いて前記基体裏面を冷却することで前記シード膜を冷却することを特徴とする請求項1記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記電解めっきを行なうに際し、前記シード膜に電圧を印加した状態で前記シード膜をめっき液に浸漬させることを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記めっき液に浸漬後に電解めっきを開始する開始時の電圧よりも低い電圧を前記めっき液に浸漬させる際に前記シード膜に印加することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
アノード部材が配置されためっき槽と、
前記めっき槽に窒素ガスでバブリングされているめっき液を供給する供給タンクと、
前記供給タンク内に前記窒素ガスを供給する窒素ガス供給部と、
前記アノード部材と被めっき基板との間に電流を流す電流供給装置と、
を備えたことを特徴とする電解めっき装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−252218(P2011−252218A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128060(P2010−128060)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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