説明

電子部品モジュール

【課題】外層のケースを用いない、また、小型化が容易となる電子モジュールを実現する。
【解決手段】この電子モジュール10は、板状のカード形状を呈しており、配線板12と、配線板12に実装された電子部品11と、接続端子13と、外層部15とを備える。電子部品11は、抵抗、コンデンサ等のチップ部品やIC(集積回路)である。接続端子13は、被接続モジュールの端子と電気的に接続する。外層部15は、プリプレグであって、ガラスクロスにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたものが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品モジュールに係り、特に配線板に電子部品を実装し、かつ電子部品を保護する構造を備える電子部品モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品モジュールでは、例えば、図1の電子モジュール100に示すように、配線板120の表面に電子部品110が実装され、その配線板120がケース150によって包まれ保護されている。図1(a)は電子モジュール100の斜視図で内部の部品(配線板120や電子部品110)を破線で示している。そして、配線板120と外部とを電気的に接続する端子130がケース150から突出している。このような構成によって、電子部品110が実装された配線板120が保護されている。また、図2の電子モジュール200では、電子部品210を実装した配線板220がモールドケース250によって覆われて保護されている。図2(a)は電子モジュール200の斜視図で、図2(b)は図2(a)の内部を破線で示した図である。
【0003】
また、電子部品を保護する技術として、例えば、複数の半導体チップと放熱板とを封止体で封止したチップアレイモジュールがある(例えば、特許文献1参照)。この技術では、放熱板と半導体チップがプリント配線基板に実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−31742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ケース等を使用すると、ケース代やケースを成形する金型の費用、各種加工費用等が発生することから電子モジュールのコスト高が課題となっていた。また、小型化の観点から別の技術が求められていた。特許文献1に開示の技術では、流動性の封止材を流動槽に溜め、その流動槽にプリント配線基板を浸からせることで、封止材で覆う構成を実現していた。そのため、封止体の形状の不定であり、他のモジュール等との接続にその封止体部分を利用できないという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品モジュールは、電子部品が実装された配線板と、プリプレグによって、実装された全ての前記電子部品が露出しないように前記配線板を覆って設けられた外層部と、前記外層部から外部に露出し、所定の被接続部材と電気的に接続する端子部とを備える。
また、前記端子部が露出している領域の外層部が、前記被接続部材との接続構造となってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外層のケースを用いない、また、小型化が容易となる電子モジュールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来技術に係る、電子モジュールを示す図である。
【図2】従来技術に係る、電子モジュールを示す図である。
【図3】実施形態に係る、電子モジュールを示す図である。
【図4】実施形態に係る、電子モジュール及び搭載機器を示す図である。
【図5】実施形態の変形例に係る、電子モジュールを示す図である。
【図6】実施形態の変形例に係る、電子モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図3は、本実施形態に係る電子モジュール10の斜視図である。図3(b)は、図3(a)の斜視図の電子モジュール10の内部構造(特に電子部品11)を一部破線で示した図である。この電子モジュール10は、カード形状を呈しており、カードエッジタイプの接続端子13を備えている。
【0012】
また、図4は、カード形状の電子モジュール10が挿入されるカード収容部52を備えた搭載機器50を示した図である。図4(a)は、電子モジュール10がカード収容部52に挿入される前の状態を示した斜視図で、図4(b)は、電子モジュール10がカード収容部52に挿入された状態を示した斜視図で、図4(c)は電子モジュール10がカード収容部52に挿入された状態を示した平面図である。
【0013】
図示のように、電子モジュール10は、配線板12と、配線板12に実装された電子部品11と、接続端子13と、外層部15とを備える。
【0014】
配線板12は、例えば片面実装基板であって、ベース基板としてリジット基板が用いられる。そして、配線板12の図示の上側面のみに、回路パターンが形成されるとともに、電子部品11が実装される。なお、配線板12は、複数層基板や両面実装基板であってもよい。両面実装基板の場合には、外層部15が両面に積層される。
【0015】
電子部品11は、抵抗、コンデンサ等のチップ部品やIC(集積回路)である。接続端子13は、被接続モジュールの端子と電気的に接続するカードエッジタイプの端子である。
【0016】
外層部15は、プリプレグであって、例えば、ガラスクロスにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたものが用いられる。このプリプレグが、ラミネート処理工法において、真空下で、ベース基板である配線板12の上から張り合わされ、加圧・加熱される。その処理で、その熱硬化性樹脂が、加熱され溶融することで、接続端子13を除いた全ての電子部品11が樹脂によって覆われる。そして、接続端子13の周囲の領域は、被接触モジュールであるカード収容部52に収容される際に、その形状にちょうど嵌合するような接続構造を呈している。
【0017】
したがって、上述の構造を有する電子モジュール10では、ケースやモールド樹脂等が不要となるので、製造コストを抑制することができる。また、省いたケース等の大きさの分だけ小型化が可能である。さらに、従来では、コネクタ等で占有されていた空間にも部品の実装が可能となるため、部品配置等の設計の自由度が向上し、この観点においても、より効果的な小型化を実現できる。
【0018】
また、本実施形態のように、電子モジュール10の外層部15がプリプレグである場合、製造手法等の関係からカード形状等の直方体形状を形成することに好適である。
【0019】
また、銅箔等の回路パターンが露出する場合は、レジスト等の性能保持に十分な保護コーティングが備わると好ましい。ただし、本実施形態の図4で示す搭載機器50に挿入される使用状況にあっては、搭載機器50においてそれら十分な保護がなされていれば、特殊なレジスト等による配線板保護は不要となる。また、搭載機器50のカード収容部52に、挟み込み端子を用いることも有効である。
【0020】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素及びその組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0021】
例えば、外層部15としてプリプレグを例示したが、その他に熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いても、同様の効果が得られる。なお、上述したように非接続モジュールとの接続構造を形成する観点では、プリプレグが最も好ましい。
【0022】
また、例えば、上記実施形態では、電子モジュール10としてカードエッジコネクタに利用する形態について例示したが、これに限る趣旨ではない。例えば、図5(a)の斜視図及び(b)の平面図で示すように、電子モジュール20は接続端子23を有する通常のPCB端子コネクタ28が、プリプレグの外層部25の表面(図示で上側)に取り付ける構成が採用されてもよい。
【0023】
さらに、図6(a)の斜視図及び(b)の内部を破線で表した斜視図で示すように、電子モジュール30が、メタルコア端子等の配線板32に内蔵される接続端子33を用いて接続端子33の一部を電子部品31等とともに外層部35で覆う構成であっても、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0024】
10、20、30 電子モジュール
11、31 電子部品
12、22、32 配線板
13、23、33 接続端子
15、25、35 外層部
28 PCB端子コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された配線板と、
プリプレグによって、実装された全ての前記電子部品が露出しないように前記配線板を覆って設けられた外層部と、
前記外層部から外部に露出し、所定の被接続部材と電気的に接続する端子部と
を備えることを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項2】
前記端子部が露出している領域の外層部が、前記被接続部材との接続構造となっていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−110287(P2013−110287A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254726(P2011−254726)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】