説明

電子部品モジュール

【課題】高温環境下における回路基板からの電子部品の剥離を抑制することによって、信頼性を高めた電子部品モジュールを提供する。
【解決手段】電子部品モジュール1は、セラミックス基板3の両面に第1および第2の金属板5、7が接合された回路基板2と、第1の金属板5に第1のろう材層8を介して接合され、少なくとも125℃で動作可能な電子部品9と、第2の金属板7に第2のろう材層10を介して接合されたベース板11とを具備する。第1のろう材層8は、電子部品9の使用温度より高く、かつ575〜730℃の範囲の融点を有するAg−Cu系ろう材またはAl系ろう材からなる。第2の金属板7の厚さに対する第1の金属板5の厚さの比は50〜200%の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車や電車等の大電流を制御する部品として、パワー半導体モジュールが使用されている。また、廃熱を利用して発電を行う装置、半導体プロセスにおける恒温装置、電子デバイスを冷却する装置等に熱電変換モジュールが使用されている。これら電子部品モジュールにおいては、パワー半導体素子や熱電素子を実装する基板として、セラミックス基板の両面に金属板を接合した回路基板が用いられている(特許文献1,2参照)。
【0003】
例えば、回路基板の一方の金属板上にはパワー半導体素子や熱電素子等の電子部品が半田付けされ、他方の金属板はベース板と呼ばれる金属板や複合板に半田付けされて固定される。また、薄型の半導体素子を銅のような導電性の良好な電極ブロックで挟み、周囲を気密性のシール構造で構成すると共に、電極ブロックの外側より加圧して複数の電子部品を一体化した構造等も知られている(特許文献3参照)。
【0004】
パワー半導体モジュールや熱電変換モジュールを構成する電子部品がSi素子や温調用の熱電素子である場合には、それらの使用最高温度が125℃程度であるため、従来の鉛半田を用いた半田付けや圧接による固定であっても、均等加熱やヒートサイクル(例えば室温〜125℃)に十分耐えるものとすることができる。
【0005】
しかしながら、今後のパワー半導体モジュールや熱電変換モジュールにおいては、次のような課題がある。例えば、Si素子に代えてSiC素子のような高温動作型のワイドギャップ半導体単結晶素子を用いた場合、その特性を十分に発揮させるためには300〜500℃といった高温環境下で動作させる必要がある。高温環境下で動作させるSiC素子を従来の半田付けで回路基板上に固定した場合、SiC素子の動作温度で回路基板との固定状態が不安定になり、SiC素子の剥がれ等を招いてしまう。
【0006】
高温環境下で動作可能な熱電変換モジュールを使用した場合、例えば自動車や工場等から排出される500℃前後の高温廃熱から電気エネルギーを作り出すことができ、環境負荷の低減が期待できる。しかしながら、パワー半導体モジュールと同様に、高温環境下で使用される熱電素子を従来の半田付けで回路基板上に固定した場合には、回路基板に対する熱電素子の固定状態を安定に保つことができない。熱電変換モジュールでは拡散防止や応力緩和のために、熱電素子と電極との間にチタン層等を中間層として介在させることも行われている(特許文献4参照)。しかし、ここでは中間層や電極を溶射法で形成しているため、熱電変換モジュールの製造性に難点を有している。
【0007】
上述したような高温環境下での電子部品の固定性を改善するために、高温半田でSiC素子や熱電素子等の電子部品を回路基板に接合することが考えられる。しかしながら、近年、半田の鉛フリー化が望まれており、回路基板に電子部品を半田付けする場合にも鉛を含まない半田を使用することが望まれている。高温半田は鉛を含まずに従来と同等以上の特性を得ることが困難であることから、高温半田でSiC素子や熱電素子等の電子部品を回路基板に接合することは実質的に困難である。
【0008】
さらに、半導体素子や熱電素子は歩留りや信頼性の点から素子サイズが微細化され、また素子サイズの微細化により素子の搭載数が大幅に増加することが予想される。このため、例えばパワー半導体モジュールでは使用温度がますます高くなるものと予想される。パワー半導体モジュールの使用温度が高くなるにつれて、ヒートサイクルはより一層大きくなり、熱変形や熱膨張差による揺動も増大する。従って、SiC素子等の電子部品が回路基板から剥離しやすくなり、信頼性を確保することがより一層困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−201072号公報
【特許文献2】特開2002−203993号公報
【特許文献3】特開平10−098140号公報
【特許文献4】特開2003−309294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、高温環境下における回路基板からの電子部品の剥離を抑制することによって、信頼性を高めることを可能にした電子部品モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様に係る電子部品モジュールは、第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するセラミックス基板と、前記セラミックス基板の前記第1の主面に接合され、銅またはアルミニウムを主成分とする第1の金属板と、前記セラミックス基板の前記第2の主面に接合され、銅またはアルミニウムを主成分とする第2の金属板とを備える回路基板と、前記第1の金属板に第1のろう材層を介して接合され、少なくとも125℃で動作可能な電子部品と、前記第2の金属板に第2のろう材層を介して接合されたベース板とを具備し、前記第1のろう材層は、前記電子部品の使用温度より高く、かつ575〜730℃の範囲の融点を有するAg−Cu系ろう材またはAl系ろう材からなり、前記第2の金属板の厚さに対する前記第1の金属板の厚さの比は50%以上200%以下の範囲であることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態による電子部品モジュールの構成を示す断面図である。
【図2】図2は本発明の第2の実施形態による電子部品モジュールの構成を示す断面図である。
【図3】図3は本発明の第2の実施形態による電子部品モジュールを適用した熱電変換モジュールの一例を示す断面図である。
【図4】図4は本発明の第2の実施形態による電子部品モジュールを適用した熱電変換モジュールの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態による電子部品モジュールを示している。図2は本発明の第2の実施形態による電子部品モジュールを示している。これらの図に示す電子部品モジュール1は、絶縁基板としてセラミックス基板3を有する回路基板2を具備している。回路基板2はセラミックス基板3の一方の主面に接合層4を介して接合された第1の金属板5と、他方の主面に接合層6を介して接合された第2の金属板7とを備えている。
【0014】
第1の金属板5は回路板としての役割を有している。第2の金属板7は例えばベース板への接合板、あるいは放熱板や吸熱板としての役割を有している。第1の金属板5にはろう材層8を介して電子部品9が接合されている。ろう材層8は電子部品9の使用温度より高い融点を有するろう材からなる。第2の金属板7は電子部品9の使用温度より高い融点を有するろう材からなるろう材層10を介してベース板11に接合されている。
【0015】
セラミックス基板3は、例えばアルミナ(Al23)焼結体、窒化アルミニウム(AlN)焼結体、窒化珪素(Si34)焼結体、炭化ケイ素(SiC)焼結体等のセラミックス焼結体からなる。これらの中でも、高い熱伝導率を有する観点からは窒化アルミニウム焼結体が好適に用いられる。また、強度が高くて基板面積を大面積化できるという観点からは窒化珪素焼結体が好適に用いられる。
【0016】
窒化アルミニウム焼結体としては、例えば熱伝導率が180W/m・K以上のものが好適に用いられ、200W/m・K以上であるものがより好適に用いられる。このような窒化アルミニウム焼結体としては、例えば特開2002−201072号公報に記載されているように、直線距離50μmに含まれる窒化アルミニウム結晶粒子の数が15〜30個となるように、窒化アルミニウム粒子の粒径と焼結助剤からなる粒界相の割合を調整し、熱伝導率を200W/m・K以上としたものが例示される。
【0017】
窒化珪素焼結体としては、例えば熱伝導率が65W/m・K以上のものが好適に用いられ、85W/m・K以上であるものがより好適に用いられる。このような窒化珪素焼結体としては、例えば焼結後の炉冷温度を100℃/h以下とすることにより、窒化珪素焼結体中の粒界相の20%以上(全粒界相に対する割合)を結晶化したものが挙げられる。
【0018】
第1および第2の金属板5、7としては、例えば銅およびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種を主成分とする金属板が用いられる。これら金属板5、7の厚さは、第2の金属板7の厚さt2に対する第1の金属板5の厚さt1の比((t1/t2)×100[%])が50%以上200%以下の範囲となるように調整することが好ましい。
【0019】
金属板5、7の厚さ比(t1/t2比)が50%未満あるいは200%を超えると、いずれの場合にもセラミックス基板3に第1の金属板5と第2の金属板7を接合して得られる回路基板2の反り量が大きくなり、電子部品9やベース板11を接合するためのろう材層8、10を均一な厚さに塗布することが困難となる。このため、例えば複数の電子部品9を接合する際に、それらを回路基板2上に均等に接触、配置することが困難となり、接合が不十分な電子部品9が発生するおそれがある。
【0020】
第1の金属板5と第2の金属板7との厚さ比を50%以上200%以下とすることによって、回路基板2の反り量を例えば回路基板2の大きさが60mm×60mm以下の場合に15μm以下とすることができる。従って、ろう材層8、10を均一な厚さに塗布することができる。電子部品9が複数個ある場合、それらを一括して適切に回路基板2上に接触、配置して接合することができる。金属板5、7の厚さ比(t1/t2比)は回路基板2の反り量をさらに低減する観点から、75%以上150%以下の範囲とすることが好ましく、100%程度とすればさらに好ましい。このような金属板5、7の厚さ比は、特に使用環境温度が200℃以上のときに好適である。
【0021】
セラミックス基板3と第1および第2の金属板5、7とは、例えば接合層4、6を介して接合される。なお、接合層4、6は必ずしも必要なものではない。接合層4、6を介さずに、セラミックス基板3と第1および第2の金属板5、7とは直接接合してもよい。このような場合には、接合層4、6の形成は省略される。
【0022】
セラミックス基板3と第1および第2の金属板5、7とは、公知の直接接合法(DBC法やDBA法等)、活性金属接合法、ろう材接合法等を適用して接合される。活性金属接合法に用いられる活性金属としては、Ti、Zr、Hf等が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。このような活性金属を用いた活性金属接合法を適用することによって、セラミックス基板3と第1および第2の金属板5、7とを強固に接合することができる。
【0023】
電子部品9は第1の金属板5のセラミックス基板3と接合された面とは反対側の面にろう材層8を介して接合されている。このようにして、電子部品9は回路基板2に搭載されている。電子部品9は少なくとも125℃で動作可能なものであり、例えばSiC半導体素子(SiC単結晶を用いた半導体素子)や熱電変換素子等が挙げられる。電子部品9は125℃以上の温度下で動作可能なものであればよく、従来から用いられているSi素子、抵抗体素子、コンデンサ素子等であってもよい。
【0024】
電子部品9は125℃以上の動作環境温度に起因してヒートサイクル(温度差)が大きくなるため、信頼性や特性等を確保することが難しい。SiC素子のようなワイドギャップ半導体素子を用いる場合、その特性を十分に発揮させるためには300〜500℃といった高温で動作させる必要がある。高温で動作させるとヒートサイクルが大きくなるため、電子部品モジュール1の各部の熱変形や熱膨張率の差による負荷が増大し、信頼性の確保が難しくなる。さらに、素子サイズの微細化により素子の搭載数が増加した場合、使用温度はますます高くなり、各部の熱変形や熱膨張差による負荷がさらに大きくなる。
【0025】
この実施形態の電子部品モジュール1においては、ろう材層8に電子部品9の使用温度より高い融点を有するろう材を適用しているため、少なくとも125℃で動作可能な電子部品9の剥離や特性劣化等を抑制することができる。例えば、電子部品9がSi素子等の場合、Si素子の使用最高温度は125℃程度であるため、Si素子の使用最高温度(125℃)より高い融点を有するろう材を適用することによって、使用時における電子部品9の剥離や劣化を抑制することができる。従って、電子部品モジュール1の信頼性や特性を向上させることが可能となる。
【0026】
さらに、電子部品9がSiC素子や高温動作型の熱電素子の場合、それらの動作環境温度は300℃以上となる。ろう材層8にSiC素子や熱電素子等の電子部品9の動作環境温度(300℃以上)より高い融点を有するろう材を適用することで、高温環境下で使用した際の電子部品9の剥離や劣化を抑制することができる。従って、電子部品モジュール1の信頼性や特性を向上させることが可能となる。熱電素子としては特開平2005−286229号公報等に記載されているハーフホイスラー系化合物が例示される。このような熱電素子であれば、300℃以上の環境温度下でも適用可能である。
【0027】
この実施形態の電子部品モジュール1は、少なくとも125℃で動作可能な電子部品9に適用される。特に、300℃以上の環境温度下で動作可能な電子部品9をモジュール化する場合に、この実施形態の電子部品モジュール1は好適である。なお、ろう材層8を構成するろう材の融点の基準となる電子部品9の使用温度は、Si素子等の一般的な電子部品9の場合には使用最高温度、SiC素子や熱電素子等の高温動作型の電子部品9の場合には動作環境温度を示すものとする。
【0028】
ベース板11は第2の金属板7のセラミックス基板3と接合された面とは反対側の面にろう材層10を介して接合されている。ベース板11としては、例えば銅およびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種を主成分とするものが好適である。このようなベース板11についても、電子部品9の使用温度より高い融点を有するろう材からなるろう材層10で第2の金属板7に接合されているため、電子部品モジュール1の使用時におけるベース板11の剥離を抑制することができる。
【0029】
電子部品モジュール1の放熱性を十分に確保する観点からは、第2の金属板7にベース板11を接合することが好ましい。ただし、ベース板11を接合しなくても十分な放熱性を確保することが可能であれば、ベース板11は必ずしも接合しなくてもよい。この場合には、第2の金属板7が放熱板として機能する。
【0030】
ろう材層8は第1の金属板5上の電子部品9と接合される部分に形成される。同様に、ろう材層10は第2の金属板7上のベース板11と接合される部分に形成される。ろう材層8、10は少なくともそのような部分に形成されている必要があるが、絶縁性等に支障がない範囲でその他の部分に形成されていてもよい。
【0031】
ろう材層8、10は電子部品9(電子部品モジュール1)の使用温度より高い融点を有するろう材からなる。このようなろう材層8、10で電子部品9やベース板11を接合することによって、電子部品モジュール1の使用時におけるろう材層8、10の軟化、さらには電子部品9やベース板11の剥離等を抑制することができる。さらに、第1の金属板5と電子部品9との熱膨張差による熱ストレスが緩和されるため、電子部品9の剥離や特性劣化等を抑制することができる。これらによって、信頼性や動作特性等に優れた電子部品モジュール1を提供することが可能となる。
【0032】
電子部品モジュール1は少なくとも125℃で動作可能な電子部品9を具備しているため、ろう材層8、10を構成するろう材の融点は少なくとも125℃より高いことが必要となる。このような融点を有するろう材を用いることによって、使用最高温度が125℃程度のSi素子等の電子部品9を適用した電子部品モジュール1の信頼性や動作特性等を十分に高めることが可能となる。
【0033】
電子部品9がSiC素子の場合、その動作環境温度は300〜500℃となる。このため、ろう材層8、10を構成するろう材はSiC素子の動作環境温度(300℃以上)より高い融点を有する必要がある。さらに、電子部品9が高温動作型の熱電素子の場合には、例えば500℃前後の高温廃熱に晒される。このため、ろう材層8、10を構成するろう材は熱電素子が晒される高温環境より高い融点を有する必要がある。なお、電子部品モジュール1は電子部品9の種類によらず、電子部品モジュール1の実際の使用温度より高い融点を有するろう材でろう材層8、10が構成されていればよい。
【0034】
ろう材層8、10を構成するろう材としては、共晶組成を有するAg−Cu系ろう材やAl系ろう材が例示される。これらのうちでも、600℃以上の融点を有するAg−Cu系ろう材やAl系ろう材が好適である。このようなAg−Cu系ろう材やAl系ろう材を用いることによって、電子部品9の使用最高温度が125℃程度の場合はもちろんのこと、電子部品9として例えば動作環境温度が300℃以上となるSiC素子や高温動作型の熱電素子を適用した場合であっても、回路基板2からの電子部品9やベース板11の剥離、電子部品9の特性劣化等を抑制することができる。
【0035】
さらに、Ag−Cu系ろう材やAl系ろう材等を用いることによって、電子部品モジュール1の鉛フリー化を容易に実現することができる。Ag−Cu系ろう材やAl系ろう材等を用いた場合には、半田濡れ性を向上させるためのメッキ処理を行う必要もないため、電子部品モジュール1の製造工数の低減等を図ることができる。
【0036】
Ag−Cu系ろう材としては、AgおよびCuの2元素の合計含有量が85質量%以上で、導電性を有するものが好ましい。AgおよびCuの2元素の合計含有量が85質量%未満であると、第1の金属板5と電子部品9との接合、あるいは第2の金属板7とベース板11との接合が困難となるおそれがある。また、接合自体は可能であるとしてもボイド等が発生し、接合強度が低下するおそれがある。
【0037】
Ag−Cu系ろう材は、具体的にはAgおよびCuの2元素を合計で85質量%以上含有し、さらにTi、ZrおよびHfから選択される少なくとも1種を1質量%以上5質量%以下の範囲で含有し、残部がSnおよびInから選択される少なくとも1種からなる組成を有することが好ましい。AgとCuの比率は、AgとCuの合計量を100質量部としたとき、Cuの割合が10〜35質量部の範囲、残部がAgとすることが好ましく、特に共晶組成を満足する比率とすることが望ましい。
【0038】
Ag−Cu系ろう材にTi、ZrおよびHfから選択される少なくとも1種を1〜5質量%の範囲で含有させることによって、融点を上昇させて接合強度を向上させつつ、ボイドの発生等も抑制することができる。Ag−Cu系ろう材の中でも、特にAgおよびCuの2元素を合計で85質量%以上含有し、Tiを1質量%以上5質量%以下の範囲で含有し、残部がSnからなるものが好適である。
【0039】
Al系ろう材としては、Alの含有量が90質量%以上で、導電性を有するものが好ましい。Alの含有量が90質量%未満であると、第1の金属板5と電子部品9との接合、あるいは第2の金属板7とベース板11との接合が困難となるおそれがある。また、接合自体は可能であるとしてもボイド等が発生し、接合強度が低下するおそれがある。
【0040】
Al系ろう材は、具体的にはAlを90質量%以上含有し、Yやランタノイド元素等の希土類元素から選択される少なくとも1種を0.1質量%以上3質量%以下の範囲で含有し、残部がSiからなる組成を有することが好ましい。Al系ろう材に0.1〜3質量%の希土類元素を含有させることによって、融点を上昇させて接合強度を向上させつつ、ボイドの発生等も抑制することができる。Al系ろう材の中でも、特に90質量%以上のAlと0.1〜3質量%のYを含有し、残部がSiからなるものが好適である。
【0041】
次に、上述した実施形態の電子部品モジュール1の製造方法について説明する。まず、電子部品モジュール1の製造に先立って回路基板2を製造する。すなわち、セラミックス基板3の両主面に公知の接合方法により第1の金属板5と第2の金属板7を接合し、回路基板2を製造する。
【0042】
次いで、回路基板2の第1の金属板5の表面上のうち、少なくとも電子部品9を接合しようとする部分に、電子部品9の使用温度より高い融点を有するろう材のペーストを例えばスクリーン印刷により塗布して乾燥させる。また、第2の金属板7の表面上のうち少なくともベース板11を接合しようとする部分にも、同様なろう材のペーストを例えばスクリーン印刷により塗布して乾燥させる。
【0043】
さらに、第1の金属板5および第2の金属板7に塗布されたろう材ペースト上に、電子部品9およびベース板11を接触させて配置した後、それら全体をろう材の融点程度に加熱し、第1の金属板5と電子部品9、および第2の金属板7とベース板11とを接合することによって、電子部品モジュール1を作製する。この際、電子部品9が複数個ある場合には、それらの全てを一括して塗布されたろう材ペースト上に接触、配置して接合する。このようにすることで、第1の金属板5上に複数の電子部品9を一括して均等に接合することができる。さらに、ベース板11も同時に第2の金属板7に接合することができる。
【0044】
次に、第1および第2の実施形態による電子部品モジュール1の具体例について説明する。図1に示す第1の実施形態は、回路基板2上に電子部品9としてSi素子やSiC素子等の半導体素子を搭載した電子部品モジュール1に好適である。図1に示す電子部品モジュール1は例えばパワー半導体モジュールである。電子部品9は例えば300℃以上の高温環境下で動作可能なSiC素子であることが好ましい。電子部品9としてSi素子やSiC素子等を適用する場合においても、図2に示したように複数の電子部品9を回路基板2上に搭載して電子部品モジュール1を構成することも可能である。
【0045】
電子部品9としてSi素子やSiC素子等の半導体素子を搭載した電子部品モジュール(パワー半導体モジュール)1においては、電子部品9の使用温度より高い融点を有するろう材層8、9を用いることによって、回路基板2からの電子部品9やベース板11の剥離、電子部品9の特性劣化等を抑制することができる。
【0046】
さらに、ろう材層8、9に適用されるAg−Cu系ろう材やAl系ろう材は、従来の半田層に比べて厚さを薄くすることができるため、回路基板2との間の熱抵抗を低減することにができる。Ag−Cu系ろう材やAl系ろう材からなるろう材層8、9の厚さは例えば30μm以下、さらには10μm以下とすることができる。ろう材層8、9の厚さは3μm以上とすることが好ましい。ろう材層8、9の厚さが3μm未満の場合には、十分な接合強度が得られないおそれがある。これらによって、パワー半導体モジュール1のヒートサイクル特性(TCT特性)を高めることが可能となる。
【0047】
図2に示す第2の実施形態は回路基板2上に電子部品9として熱電素子を搭載した電子部品モジュール1に好適である。電子部品9は例えば300℃以上、さらには500℃程度の高温環境下で動作可能な高温動作型の熱電素子であることが好ましい。このような熱電素子の構成材料としては、MgAgAs型結晶構造を有する金属間化合物相を主相とする熱電材料(ハーフホイスラー材料)が例示される。図3に熱電変換モジュールの具体的な構成を示す。図3に示す熱電変換モジュール20は複数のp型熱電素子9Aと複数のn型熱電素子9Bとを有している。これらp型熱電素子9Aとn型熱電素子9Bは同一平面上に交互に配列されており、モジュール全体としてはマトリックス状に配置されている。
【0048】
p型熱電素子9Aとn型熱電素子9Bは、第1の回路基板2Aと第2の回路基板2Bとの間に配置されている。1個のp型熱電素子9Aとこれに隣接する1個のn型熱電素子9Bの下部には、これら素子間を接続する第1の電極として第1の回路基板2Aの第1の金属板5Aが配置されている。他方、1個のp型熱電素子11とこれに隣接する1個のn型熱電素子12の上部には、これら素子間を接続する第2の電極として第2の回路基板2Bの第1の金属板5Bが配置されている。第1の電極としての金属板5Aと第2の電極としての金属板5Bは素子1個分だけずれた状態で配置されている。
【0049】
このようにして、複数のp型熱電素子9Aと複数のn型熱電素子9Bとが電気的に直列に接続されている。すなわち、p型熱電素子9A、n型熱電素子9B、p型熱電素子9A、n型熱電素子9B…の順に直流電流が流れるように、第1の電極5Aと第2の電極5Bがそれぞれ配置されている。p型熱電素子9Aおよびn型熱電素子9Bと電極(金属板)5A、5Bとは、前述したように熱電素子9A、9Bの動作環境温度より高い融点を有するろう材層8を介して接合されている。第1の回路基板2Aの第2の金属板7Aはベース板11に接合されている。
【0050】
図3に示す熱電変換モジュール20は、上下の回路基板2A、2B間に温度差を与えるように、第1の回路基板2Aを低温側(L)に配置すると共に、第2の回路基板2Bを高温側(H)に配置して使用される。この温度差に基づいて第1の電極5Aと第2の電極5Bとの間に電位差が生じ、電極の終端に負荷を接続すると電力を取り出すことができる。このように、高温動作型の熱電素子9A、9Bを使用することによって、熱電変換モジュール20を発電装置として利用することができる。
【0051】
熱電素子9A、9Bを搭載した熱電変換モジュール20においては、熱電素子9A、9Bの動作環境温度より高い融点を有するろう材層8を用いることによって、回路基板2からの熱電素子9A、9Bの剥離や特性劣化等を抑制することができる。さらに、高温側(H)に配置される第1の電極(第1の回路基板2Aの第1の金属板5A)の厚さを低温側(L)に配置される第2の電極(第2の回路基板2Bの第1の金属板5B)の厚さより薄くすることが好ましい。これによって、熱電変換モジュール20のヒートサイクル特性(TCT特性)をさらに高めることが可能となる。特に、高温側(H)と低温側(L)との温度差が300℃以上、さらには400℃以上の動作環境下におけるヒートサイクル特性等を向上させることができる。
【0052】
なお、熱電変換モジュール20は熱を電力に変換する発電用途に限らず、電気を熱に変換する加熱用途にも使用可能である。すなわち、直列接続されたp型熱電素子9Aとn型熱電素子9Bに直流電流を流すと、一方の回路基板側では放熱が起こり、他方の回路基板側では吸熱が起こる。従って、放熱側の回路基板上に被処理体を配置することで、被処理体を加熱することができる。例えば、半導体製造装置では半導体ウエハの温度制御を実施しており、このような温度制御に熱電変換モジュール20を適用することができる。
【0053】
熱電変換モジュール20は図4に示すようにケース21内に収容して使用することも可能である。熱電変換モジュール20はケース21に設けられた電極22と導電性ワイヤ23を介して電気的に接続されている。ケース21内には熱電変換モジュール20を封止するように絶縁物質24が充填されている。絶縁物質24としては、例えばシリコーンゲル等のゲル状封止体が好適に用いられる。ケース21による封止構造は熱電変換モジュール20のみならず、パワー半導体モジュールに対しても有効である。
【0054】
次に、電子部品モジュール1のろう材層8を構成するろう材の融点と組成、さらに第2の金属板7の厚さに対する第1の金属板5の厚さの比が、電子部品モジュール1の接合性、動作可能温度に与える影響について、実際に図2に示した電子部品モジュール1を製造して評価した結果について述べる。なお、ここでは電子部品モジュール1にろう材層10およびベース板11を設けない構造を適用した。
【0055】
まず、評価の対象となる電子部品モジュールを以下のようにして製造した。すなわち、縦30mm×横35mm×厚さ0.32mm、熱伝導率が90W/m・K、3点曲げ強度が500MPa程度のSi34焼結体からなるセラミックス基板3を用意した。このセラミックス基板3の両面に活性金属を含むろう材を15μmの厚さで印刷し、さらにそれぞれのろう材上に第1の金属板5および第2の金属板7を接触させ、1×10-3Paの真空中にて800℃×10分間の熱処理を施して接合した。
【0056】
ここで、第2の金属板7の厚さt2は0.25mmで一定とし、第1の金属板5の厚さt1は第2の金属板7t2の厚さに対する比((t1/t2)×100[%])が表1に示すような値となるように設定した。なお、第1の金属板5および第2の金属板7としてはCu板を使用した。そして、第1の金属板5上にエッチングレジストを所定の形状に印刷し、塩化第二鉄液によりエッチング処理を行って回路パターンを形成した後、エッチングレジストを除去して回路基板2とした。
【0057】
次いで、第1の金属板5の電子部品9が接合される部分に、表1に示すような融点および組成を有するろう材を20μmの厚さに印刷した。なお、この印刷された部分のろう材がろう材層8となるものである。また、表1に示すAg−Cu系ろう材を主として構成するAg−Cu合金は、AgおよびCuの合計量に対してCuの量が28質量%となる共晶組成を有するものである。接合後のろう材層の厚さは10〜15μmの範囲であった。
【0058】
この後、第1の金属板5のろう材を印刷した部分に、電子部品9としてp型熱電素子(p型半導体素子)とn型熱電素子(n型半導体素子)とを順に接触させて配置し、800℃で10分間の熱処理を施して接合した。熱電素子の配置数は72個とした。このようにして、図2に示したような構造を有する電子部品モジュール1(ろう材層10およびベース板11は設けず)を得た。
【0059】
【表1】

【0060】
次に、各電子部品モジュール1について目視で電子部品9の接合状態を調べ、接合が可能であったものについて接合強度を測定した(TCT前の接合性)。さらに、各電子部品モジュール1に対し、−50℃×30分→室温×10分→155℃×30分→室温×10分を1サイクルとして3000サイクルの熱サイクル試験を実施した。この後、目視で電子部品9の接合の維持性を調べた。接合の維持が可能であったものについては、接合強度を測定した(TCT後の接合性)。それらの結果を表2に示す。
【0061】
なお、表2において、TCT前における接合性の「良好」は、目視により接合が可能であることが確認されると共に、接合強度が9.8kN/m以上であったことを示す。TCT前における接合性の「不良」は、目視により接合が可能であることが確認されたものの、接合強度が9.8kN/m未満であったことを示す。TCT前における接合性の「接合不可」は、目視により接合が不可能であることが確認されたことを示す。
【0062】
TCT後における接合性の「良好」は、TCT後に目視により接合が維持されていることが確認されると共に、9.8kN/m以上の接合強度が維持されていたことを示す。TCT後における接合性の「不良」は、目視により接合が維持されていることが確認されたものの、接合強度が9.8kN/m未満であったことを示す。TCT後における接合性の「接合維持不可」は、目視により接合が維持されていないことが確認されたことを示す。
【0063】
次に、接合性(TCT前、TCT後)が良好であった電子部品モジュール1について、実際に300℃または500℃の条件下で動作させ、動作可能であるかどうかを試験した。その結果を併せて表2に示す。なお、表2中の「500℃まで」は300℃および500℃で動作することが確認されたことを示す。「300℃まで」は300℃では動作することが確認されたものの、500℃では動作が確認されなかったことを示す。
【0064】
【表2】

【0065】
表1および表2から明らかなように、ろう材層8を構成するろう材としては、特にAgおよびCuの2元素の合計した含有量が85wt%以上であるAg−Cu系ろう材、またはAlの含有量が90wt%以上であるAl系ろう材が好ましいことが分かる。第2の金属板7の厚さに対する第1の金属板5の厚さの比は50%以上200%以下であることが好ましく、75%以上150%以下であればより好ましいことが分かる。
【0066】
次に、図1に構造を示したパワー半導体モジュールを作製し、そのTCT特性を測定、評価した。回路基板は上述した具体例と同様なものとした。電子部品9としてはSiC素子を適用した。SiC素子は表1の試料3と試料13と同様な組成を有するろう材で回路基板に接合した。試料3の同様なろう材を用いたパワー半導体モジュールを試料20、試料13の同様なろう材を用いたパワー半導体モジュールを試料21とした。これらパワー半導体モジュールのTCT特性を以下のようにして評価した。
【0067】
すなわち、試料3と試料13と同様な組成を有するろう材層を用いてSiC素子を接合した各パワー半導体モジュールに対し、25℃×10分→300℃×10分を1サイクルとして3000サイクルの熱サイクル試験を実施した。さらに、25℃×10分→500℃×10分を1サイクルとする熱サイクル試験、また25℃×10分→600℃×10分を1サイクルとする熱サイクル試験を、それぞれ3000サイクル実施した。これら各熱サイクル試験後の接合不良の有無を確認した。これらの結果を表3に示す。
【0068】
【表3】

【0069】
表3から明らかなように、ろう材としてSnを10〜14質量%の範囲で含有するAg−Cu−Ti系ろう材を用いることによって、高温でのTCT特性を高めることができる。ろう材の接合温度より200℃低い温度までは動作が確認されたが、ろう材の融点から100℃低い温度では接合不良が多く確認された。試料21(Al−Si系ろう材)はろう材の融点が低いため、500℃以上ではTCT特性が低下した。このことから、ろう材の融点より200℃低い温度までは接合の信頼性を維持できることが分かる。
【0070】
次に、図3に構造を示した熱電変換モジュールを作製し、そのTCT特性を測定、評価した。ただし、高温側(H)に配置される第1の電極5Aの厚さT1と低温側(L)に配置される第2の電極5Bの厚さT2との比を、表4に示すように変化させて熱電変換モジュール(試料22〜26)を作製した。これら各熱電変換モジュールのTCT特性を以下のようにして評価した。
【0071】
すなわち、低温側(L)を25℃、高温側(H)を200℃または500℃とし、25℃×10分→200℃または500℃×30分を1サイクルとして3000サイクルの熱サイクル試験を実施した。各熱サイクル試験後の熱電モジュールの動作を確認した。TCT試験後も動作したものを「良好」、動作しなかったものを「不良」とした。TCT試験後も熱電モジュールが動作するということは、熱電素子と電極との間に接合不良が発生していないことを意味する。これらの結果を表4に示す。
【0072】
熱電素子9A、9Bとしては、MgAgAs型結晶構造を有する金属間化合物相を主相とする熱電材料を用いた。回路基板3としては窒化珪素基板(厚さ0.3mm×横60mm×縦60mm)に電極5A、5Bとして銅板を接合したものを用いた。熱電素子と電極との接合、および電極と窒化珪素基板との接合には、Agを69質量%、Cuを21質量%、Tiを2質量%含有し、残部がSnの組成を有するろう材を使用した。接合後のろう材層の厚さは10〜15μmとなるようにした。熱電素子(9A、9B)は回路基板3上に64個(=8×8個)接合した。参考例(試料27)として、接合層に厚さ20μmのTi層を用いたものを用意した。
【0073】
【表4】

【0074】
表4から明らかなように、高温側の温度が200℃以下の場合、つまりは高温側の温度と低温側の温度差が200℃以下の場合には、不良が確認されなかった。一方、高温側と低温側の温度差が300℃以上の場合には、高温側の電極厚さT1を低温側の電極厚さT2より薄くする(T1<T2)ことによって、TCT特性を高めることができる。一方、高温側を500℃としたときに不良が発生した試料22、試料26、試料27を比べると、電極の剥がれ等の接合不良の発生割合は、参考例(試料27)が熱電素子数64個中平均30個、試料26が23個、試料22が17個であった。これはTi単層では熱応力の緩和が十分ではなかったためであると考えられる。
【0075】
なお、本発明は上記した実施形態に限られるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な範囲で適宜組合せて実施することができ、その場合には組合せた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の態様に係る電子部品モジュールによれば、使用温度に基づく電子部品の剥離等を抑制することできる。従って、信頼性に優れた電子部品モジュールを提供することが可能となる。このような電子部品モジュールは各種の電子部品、特に高温環境下で使用される電子部品に有効に利用されるものである。
【符号の説明】
【0077】
1…電子部品モジュール、2…回路基板、3…セラミックス基板、4,6…接合層、5…第1の金属板、7…第2の金属板、8,10…ろう材層、9…電子部品、11…ベース板、20…熱電変換モジュール、21…ケース、22…電極、23…導電性ワイヤ、24…絶縁物質。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するセラミックス基板と、前記セラミックス基板の前記第1の主面に接合され、銅またはアルミニウムを主成分とする第1の金属板と、前記セラミックス基板の前記第2の主面に接合され、銅またはアルミニウムを主成分とする第2の金属板とを備える回路基板と、
前記第1の金属板に第1のろう材層を介して接合され、少なくとも125℃で動作可能な電子部品と、
前記第2の金属板に第2のろう材層を介して接合されたベース板とを具備し、
前記第1のろう材層は、前記電子部品の使用温度より高く、かつ575〜730℃の範囲の融点を有するAg−Cu系ろう材またはAl系ろう材からなり、
前記第2の金属板の厚さに対する前記第1の金属板の厚さの比は50%以上200%以下の範囲であることを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項2】
請求項1記載の電子部品モジュールにおいて、
前記第2のろう材層は、前記電子部品の使用温度より高く、かつ575〜730℃の範囲の融点を有するAg−Cu系ろう材またはAl系ろう材からなることを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の電子部品モジュールにおいて、
前記Ag−Cu系ろう材またはAl系ろう材は、前記電子部品の動作環境温度より高い融点を有することを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項4】
請求項3記載の電子部品モジュールにおいて、
前記電子部品の前記動作環境温度は300℃以上であることを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項5】
請求項4記載の電子部品モジュールにおいて、
前記電子部品はSiC半導体素子であることを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項6】
請求項4記載の電子部品モジュールにおいて、
前記電子部品は熱電素子であることを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の電子部品モジュールにおいて、
前記第1の金属板には複数の前記電子部品が接合されていることを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の電子部品モジュールにおいて、
前記Ag−Cu系ろう材はAgおよびCuを合計で85質量%以上含有することを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項9】
請求項8記載の電子部品モジュールにおいて、
前記Ag−Cu系ろう材は、さらにTi、ZrおよびHfから選択される少なくとも1種を1質量%以上5質量%以下の範囲で含有し、残部がSnおよびInから選択される少なくとも1種からなる組成を有することを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項10】
請求項8または請求項9記載の電子部品モジュールにおいて、
前記Ag−Cu系ろう材は、AgとCuの合計量を100質量部としたとき、Cuの割合が10〜35質量部の範囲の組成を有することを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項11】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の電子部品モジュールにおいて、
前記Al系ろう材はAlを90質量%以上含有することを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項12】
請求項11記載の電子部品モジュールにおいて、
前記Al系ろう材は、さらに希土類元素から選択される少なくとも1種を0.1質量%以上3質量%以下の範囲で含有し、残部がSiからなる組成を有することを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項記載の電子部品モジュールにおいて、
前記電子部品モジュールに−50℃×30分→室温×10分→155℃×30分→室温×10分を1サイクルとして3000サイクルの熱サイクル試験を実施したときに接合不良が生じないことを特徴とする電子部品モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−48294(P2013−48294A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−255067(P2012−255067)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【分割の表示】特願2008−504986(P2008−504986)の分割
【原出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(303058328)東芝マテリアル株式会社 (252)
【Fターム(参考)】