説明

電子部品ユニット及びこれを備えた携帯用送信機

【課題】部品点数や組立工数の増加を招くことなくワンタッチで容易に組み立てることができ、組立後はこれの分解を阻止して不正改造を防ぐとともに、不正改造が行われた場合にはその痕跡を残すことができる電子部品ユニットを提供すること。
【解決手段】電波送信機能を有する電子部品16と接続端子17が実装された回路基板13と、該回路基板13の前記接続端子17に接続される電池を保持する電池ホルダ12と、該電池ホルダ12と共に前記回路基板13を間に挟んでこれを覆うホルダカバー11とで構成される電子部品ユニット10において、前記接続端子17に、前記電池ホルダ12と前記ホルダカバー11にそれぞれ係合する第1及び第2係合部17a,17bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波送信機能を有する電子部品が実装された回路基板を電池ホルダとホルダカバーによって挟んで一体化することによって構成される電子部品ユニットとこれを備えた携帯用送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、メカニカルキー(エンジンキー)を用いることなく車両のドアをロック/アンロックするキーレスエントリーシステムに使用される電子キー等の携帯用送信機は、電池交換が可能なように電子回路部品を収容するケースにカバーをネジ止め等によって取り付ける構成が採用されており、電池交換はカバーをケースから取り外すことによってなされる。このため、カバーを取り外せばケースに収容された電子回路部品が簡単に外部に露出し、この露出した電子回路部品が他の車両のID照合に使用されたり、出力アップ等の目的で電子回路部品を比較的簡単に不正改造することができるようになっている。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、保護カバー(ホルダカバー)に設けられた複数の支持部を回路基板の切欠き部に差し込むとともに、バッテリホルダ(電池ホルダ)の各穴部に差し込み、該支持部の各穴部から突出する先端を熱溶着することによって保護カバーと回路基板及びバッテリホルダを一体化することによって、電池交換を可能としつつ、回路素子にユーザーが直接触れたり、回路を容易に改造することができないようにした電子キーシステムの携帯機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−196194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において提案された携帯機にあっては、部品点数と熱溶着工程が増えるために組立作業の繁雑化やコストアップを招く他、熱溶着時の熱が電子部品等に悪影響を及ぼす可能性があるという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、部品点数や組立工数の増加を招くことなくワンタッチが容易に組み立てることができ、組立後はこれの分解を阻止して不正改造を防ぐとともに、不正改造が行われた場合にはその痕跡を残すことができる電子部品ユニット及びこれを備えた携帯用送信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、電波送信機能を有する電子部品と接続端子が実装された回路基板と、該回路基板の前記接続端子に接続される電池を保持する電池ホルダと、該電池ホルダと共に前記回路基板を間に挟んでこれを覆うホルダカバーとで構成される電子部品ユニットにおいて、前記接続端子に、前記電池ホルダと前記ホルダカバーにそれぞれ係合する係合部を形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記電池ホルダと前記ホルダカバーに、前記接続端子に形成された前記係合部に係合して該電池ホルダとホルダカバーの前記回路基板の面に平行な摺動を阻止する摺動阻止部と、該電池ホルダとホルダカバーとが互いに係合して前記回路基板の面に対して垂直方向の離脱を阻止する離脱阻止部を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記接続端子は、これを実装する前記回路基板の一面側に形成された第1係合部と、前記回路基板に形成された孔部を貫通して該回路基板の一面側から他面側に突出する第2係合部を有し、前記電池ホルダ又は前記ホルダカバーの一方に形成された前記摺動阻止部に前記第1係合部が係合し、他方に形成された前記摺動阻止部に前記第2係合部が係合することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記ホルダカバーの内面に、該ホルダカバーに形成された前記摺動阻止部に隣接して前記接続端子の第2係合部を弾性変形させる端子導入部を形成し、前記接続端子の第1係合部を前記電池ホルダの摺動阻止部に係合させた前記回路基板が仮固定された前記電池ホルダに前記ホルダカバーを被せ、前記端子導入部によって前記接続端子の第2係合部を押し広げて弾性変形させ、該ホルダカバーを前記電池ホルダに対して摺動させて該ホルダカバーと前記電池ホルダにそれぞれ形成された離脱阻止部同士を係合させるとともに、前記接続端子の第2係合部の弾性変形を復元させて該第2係合部を前記端子導入部に形成された摺動阻止部に係合させることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の携帯用送信機は、ケースとこれに組み付けられるカバーによって請求項1〜4の何れかに記載の電子部品ユニットを収容して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回路基板に設けられた接続端子が電池ホルダとホルダカバーにそれぞれ係合するため、これらの電池ホルダとホルダカバー及び両者の間に配される回路基板が互いに固定され、一旦組み立てられた電子部品ユニットの分解が不可能となるとともに、無理に分解しようとすれば当該電子部品ユニットが破壊されるため、不正改造の痕跡が残り、不正改造の事実が明らかとなる。又、別部品の追加を要することなく、既存の部品のみで当該電子部品ユニットの分解を不可能にすることができ、部品点数の増加とそれに伴う組立工数の増加及びコストアップを防ぐことができる。
【0013】
より詳細には、電池ホルダとホルダカバーに形成された摺動阻止部が接続端子の係合部に係合して該電池ホルダとホルダカバーの回路基板の面に平行な摺動が阻止されるとともに、電池ホルダとホルダカバーにそれぞれ形成された離脱阻止部同士が係合することによって該電池ホルダとホルダカバーの回路基板の面に垂直な方向の離脱が阻止されるため、一旦組み立てられた電子部品ユニットを分解することが不可能となるとともに、不正行為が行われる際に加えられる外力が摺動阻止部と離脱阻止部に分散されるために当該電子部品ユニットの耐破壊性が高められる。特に、接続端子の第2係合部は回路基板の孔部を貫通して該回路基板の面から突出しているため、回路基板と接続端子とが強固に固定され、接続端子の第2係合部に外力が作用しても、接続端子が回路基板から剥れてしまうという不具合が発生することがない。
【0014】
又、電子部品ユニットの組み立てに際しては、接続端子の第1係合部を電池ホルダの摺動阻止部に係合させた回路基板を電池ホルダに仮固定した後、該電池ホルダにホルダカバーを被せ、端子導入部によって接続端子の第2係合部を押し広げて弾性変形させる。その後、該ホルダカバーを電池ホルダに対して摺動させて端子導入部によって接続端子の第2係合部を押し広げて弾性変形させる。その後、ホルダカバーの更なる摺動によって該ホルダカバーと電池ホルダにそれぞれ形成された離脱阻止部同士を係合させてホルダカバーと電池ホルダの離脱を阻止するとともに、接続端子の第2係合部の弾性によってその変形を復元させて該第2係合部を端子導入部に形成された摺動阻止部に係合させて電池ホルダとホルダカバーの摺動を阻止することができる。このため、電池ホルダとホルダカバー及び回路基板を接着や溶着等の工程を要することなくワンタッチで容易に組み立てることができ、一旦組み立てられた電池ホルダとホルダカバー及び回路基板を分解することが不可能となる。又、熱溶着によって電子部品等に熱的な悪影響を及ぼすことがない。
【0015】
そして、一旦組み立てられた電子部品ユニットの分解は電池ホルダとホルダカバーを相対的に摺動させない限り不可能であり、その摺動は接続端子の係合部と電池ホルダとホルダカバーにそれぞれ形成された摺動阻止部との係合によって不可能であるが、接続端子の第2係合部とホルダカバーの内面に形成された端子導入部の摺動阻止部との係合は電池ホルダとホルダカバーによって囲まれた内部空間で行われるため、その係合部を外部から目視及び操作することができない。このため、ホルダカバー又は接続端子を破壊しない限り電子部品ユニットの分解は不可能であり、不正改造が防がれるとともに、もし不正改造がなされたならば、その痕跡が残るために不正改造の事実が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る携帯用送信機を底面側から見た分解斜視図である。
【図2】本発明に係る電子部品ユニットの分解斜視図であって、(a)は表面側から見た図、(b)は底面側から見た図である。
【図3】(a)は電子部品ユニットの平面図、(b)は同電子部品ユニットの底面図である。
【図4】図3(b)のA−A線断面斜視図である。
【図5】本発明に係る電子部品ユニットの組立要領を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る電子部品ユニットの組立要領を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る電子部品ユニットの組立要領を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る電子部品ユニットの組立要領を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
[携帯用送信機]
図1は本発明に係る携帯用送信機1を底面側から見た分解斜視図であり、図示の携帯用送信機1は、表面側に位置する樹脂製のケース2とこれに組み付けられる同じく樹脂製のカバー3とで形成される空間内に、ケース2側からカバー3側に向かってノブ4とラバーケース5及び本発明に係る電子部品ユニット10を順次収容して構成されている。
【0019】
上記ケース2は、薄型の矩形容器状に一体成形されており、その開口部の周縁に立設された矩形枠状の周壁2Aの外面には計5つ(長辺側に各2つ、短辺側に1つ)の係合爪2a(図1には3つのみ図示)が一体に形成されている。又、このケース2の表面(上壁)には2つの矩形窓2bが並んで開口しており、内部の長手方向一端側にはボス2cが一体に形成され、このボス2cにはネジ孔2dが形成されている。
【0020】
前記カバー3は、ケース2の外形形状に沿った薄型の矩形容器状に成形されており、図示しないが、その開口部の周壁の複数箇所(ケース2の係合爪2aに対応する箇所)には細長い矩形の係合孔が形成されている。又、このカバー3の長手方向一端(ケース2のボス2cに形成されたネジ孔2dに対応する箇所)には円孔状のネジ挿通孔3aが形成されている。
【0021】
前記ノブ4は、車両のドアをロック/アンロックする際にユーザーによって押圧操作される2つの操作ボタン4aを連結一体化して構成され、各操作ボタン4aは、ケース2に形成された前記矩形窓2bからケース2の表面に露出する。尚、このノブ4は樹脂にて一体成形されている。
【0022】
前記ラバーケース5は、弾性変形可能なゴム製の部材であって、ケース2内に収容されるよう該ケース2の内部形状に沿って矩形トレイ状に一体成形されており、その天面の2箇所(ノブ4の操作ボタン4aに対応する箇所)には円柱状の押圧突起5aが一体に形成されている。このラバーケース5は、ケース2との間にノブ4を挟み込むことによって、ケース2の矩形窓2bからの水や埃等の異物の侵入を阻止する防水カバーとしての機能とノブ4を弾性支持する機能を有している。従って、ラバーケース5は、ノブ4の操作ボタン4aの何れか一方を押圧すれば弾性変形してその操作力を伝達し、押圧している操作ボタン4aから手を離せば弾性によって元の状態に復帰して操作ボタン4aを非操作位置に戻す。
【0023】
前記電子部品ユニット10は、上側のホルダカバー11と下側の電池ホルダ12との間に回路基板13を組み込んで一体化することによって1つのユニットとして構成されており、電池ホルダ12に形成された円孔状の電池保持部12aには薄い円板状の電池14が着脱可能(交換可能に)に組み込まれて保持される。尚、この電子部品ユニット10の構成の詳細は後述する。
【0024】
而して、ケース2内にノブ4とラバーケース5及び電子部品ユニット10を順次組み込んだ後、これらを覆うようにカバー3をケース2の開口部に被せ、該カバー3の内周壁に形成された複数(6つ)の不図示の係合孔にケース2の周壁2Aに形成された複数(6つ)の係合爪2aを係合させることによって該カバー3をケース2に組み付け、最後にカバー3に形成されたネジ挿通孔3aからネジ6を通してこれをケース2のボス2cに形成されたネジ孔2dにねじ込むことによってカバー3がケース2に固定され、これによって携帯用送信機1が組み立てられる。
【0025】
そして、ネジ6を緩めてカバー3をケース2から取り外せば、ケース2内に収容された電子部品ユニット10の電池ホルダ12の底面が露出するため、該電池ホルダ12の電池保持部12aに収容された電池14を電池ホルダ12から取り外して新しいものと容易に交換することができ、電池14を交換した後はカバー3に形成されたネジ挿通孔3aにネジ6を通してこれをケース2のボス2cに形成されたネジ孔2dにねじ込むことによってカバー3がケース2に固定され、携帯用送信機1が再び組み立てられる。
【0026】
[電子部品ユニット]
次に、本発明に係る前記電子部品ユニット10の構成の詳細を図2〜図4に基づいて説明する。
【0027】
図2は本発明に係る電子部品ユニット10の分解斜視図であって、(a)は表面側から見た図、(b)は底面側から見た図、図3(a)は電子部品ユニット10の平面図、図3(b)は同電子部品ユニット10の底面図、図4は図3(b)のA−A線断面斜視図である。
【0028】
図2(a)に示すように、前記回路基板13は樹脂にて矩形プレート状に成形されており、その表面には2つのプッシュ式のスイッチ15の他、電波送信機能を有する電子部品16が実装されている。尚、2つのスイッチ15は、図1に示す前記ラバーケース5の押圧突起5aを介して前記ノブ4の操作ボタン4aに当接しており、ユーザーがノブ4の操作ボタン4aの何れか一方を押圧操作すると、これに対応するスイッチ15が押圧されて所定の電波信号が車両に搭載された不図示の受信機に向けて送信される。
【0029】
又、図2(b)に示すように、回路基板13の裏面には金属製の接続端子17が取り付けられている。この接続端子17は、+端子17Aと−端子17Bとで構成されており、+端子17Aの二股状を成す部分の端部には下方(電池ホルダ12側)に向かって突出する第1係合部17aと上方(ホルダカバー11側)に向かって突出する第2係合部17bが形成されている。ここで、接続端子17の第2係合部17bは、図2(a)に示すように、回路基板13に形成された2つの矩形孔(孔部)13aを貫通して該回路基板13の上面側に突出している。尚、回路基板13に形成された矩形孔13aの左右方向(短手方向)の幅は接続端子17の第2係合部17bの板厚よりも大きく設定されており、第2係合部17bは、矩形孔13a内で左右に広がるよう弾性変形することができる。
【0030】
更に、回路基板13の長手方向一端(接続端子17の第2係合部17aが突出する側とは反対側)には離脱阻止部を構成する2つの突出部13bが平行に突設されている。
【0031】
前記ホルダカバー11は、回路基板13の外形形状に沿って樹脂にて矩形プレート状に一体成形されており、その表面には回路基板13に実装された前記スイッチ15が嵌り込むための2つの矩形窓11aが形成されている。又、ホルダカバー11の長手方向一端(回路基板13の突出部13bが形成された側)には離脱阻止部を構成する2つの突出部11bが平行に突設され、長手方向他端の左右両端には同じく離脱阻止部を構成するフック状の係合部11cがそれぞれ一体に突設されている。尚、ホルダカバー11に形成された突出部11bの長さは、回路基板13に形成された前記突出部13bの長さよりも長く設定されている(図3(b)参照)。
【0032】
又、図2(b)に示すように、ホルダカバー11の内面の一方の矩形窓11aの両側にはリブ状の端子導入部11Aが互いに平行に突設されており、各端子導入部11Aの外面には段凹部11dが形成され、この段凹部11dの端面は摺動阻止部11eを構成している。尚、左右の端子導入部11A間の最大幅Bは、接続端子17の左右の第2係合部17b間の幅b(図2(a)参照)よりも若干大きく設定されており(B>b)、接続端子17の第2係合部17bは回路基板13の矩形孔13a内で広がる方向に弾性変形することができる。
【0033】
前記電池ホルダ12は、ホルダカバー11と同様に樹脂にて矩形プレート状に一体成形されており、その中央部には図1に示す電池14を収容保持するための前記電池保持部12aが形成されている。又、電池ホルダ12の長手方向一端(回路基板13の突出部13b及びホルダカバー11の突出部11bが突設された側)の幅方向両側には、図2(a)に示すように、矩形プレート状の係止片12Aが上方(ホルダカバー11側)に向かって垂直に起立しており、各係止片12Aには離脱阻止部としての係止部を構成する矩形の係止孔12bが形成されている。尚、各係止孔12bは、図2(b)に示すように、下方(図2(b)においては上方)に向けて貫設されている。
【0034】
更に、電池ホルダ12の長手方向他端の幅方向両端部(コーナー部)には離脱阻止部を構成する段凹状の係合部12cがそれぞれ形成されている。そして、図2(b)に示すように、電池ホルダ12の係合部12cに近い側には、前記接続端子17の第1係合部17aが挿入嵌合するためのスリット状の矩形孔12dが形成されており、これらの矩形孔12dは摺動阻止部を構成している。
【0035】
而して、本発明に係る電子部品ユニット10は、後述の要領によってホルダカバー11と電池ホルダ12の間に回路基板13を挟み込んで組み立てることによって図3及び図4に示すように1つのユニットとして一体化されている。
【0036】
このように構成された電子部品ユニット10においては、図3(a)に示すように、上側に位置するホルダカバー11に形成された2つの矩形窓11aには回路基板13上に実装されたスイッチ15がそれぞれ嵌合してホルダカバー11の表面に露出しており、図3(b)に示すように、下側に位置する電池ホルダ12には電池保持部12aが開口しており、この電池保持部12aには図1に示す電池14が着脱可能(交換可能)に嵌め込まれて収容される。
【0037】
又、図3(b)に示すように、電池ホルダ12に形成された2つの前記矩形孔12dには接続端子17の第1係合部17aが挿入されており、接続端子17に形成された前記第2係合部17bは、図4に示すように、回路基板13に形成された2つの矩形孔13aを下方から貫通して回路基板13の上面に突出している。そして、これらの第2係合部17bには、図4に示すように、ホルダカバー11の内面に突設された2つの端子導入部11Aの摺動阻止部11eが当接している。
【0038】
更に、電池ホルダ12の長手方向一端に形成された2つの前記係止孔12bには回路基板13とホルダカバー11にそれぞれ突設された前記突出部13b,11bが嵌め込まれて係止されるとともに、電池ホルダ12の長手方向他端の左右のコーナー部に形成された係合部12cにはホルダカバー11の対応する箇所に突設されたフック状の係合部11cが係合している。
【0039】
[電子部品ユニットの組立要領]
次に、以上のように構成された電子部品ユニット10の組立要領を図5〜図8に基づいて説明する。
【0040】
図5〜図8は本発明に係る電子部品ユニット10の組立要領をその工程順に示す斜視図であり、電子部品ユニット10の組み立てに際しては、先ず、図5に矢印にて示すように回路基板13を電池ホルダ12に重ね合わせ、電池ホルダ12の係止孔12bに回路基板13の突出部13bを嵌め込むとともに、電池ホルダ12の矩形孔12dに接続端子17の第1係合部17aを挿入して回路基板13を電池ホルダ12に仮固定する。
【0041】
次に、電池ホルダ12に仮固定された回路基板13の上にホルダカバー11を図6に示すように被せる。このとき、回路基板13の矩形孔13aを貫通して該回路基板13の上面に突出している接続端子17の第2係合部17bとホルダカバー11の端子導入部11Aの位置を合わせる。このとき、前述のようにホルダカバー11の内面に突設された左右の端子導入部11A間の最大幅Bは、接続端子17の左右の第2係合部17b間の幅寸法bより若干大きく設定されているため(B>b)、左右の端子導入部11Aの外面が接続端子17の第2係合部17bの内面に当接してこれらの第2係合部17bを回路基板13の矩形孔13a内で弾性変形させて外側方に向けて押し広げる。
【0042】
上記のようにホルダカバー11を回路基板13上に被せた状態で、図7に示すように、ホルダカバー11を突出部11bを先にして回路基板13上を図示矢印方向に摺動させると、該ホルダカバー11の突出部11bが電池ホルダ12の係止孔12bに回路基板13の突出部13bと共に挿入されて係止されるとともに、ホルダカバー11の長手方向他端側に突設されたフック状の係合部11cが電池ホルダ12に形成された段凹状の係合部12cに係合する。
【0043】
又、上述のようにホルダカバー11を図7の矢印方向に摺動させると、左右の端子導入部11Aの外面にと当接して押し広げられた接続端子17の第2係合部17bは、端子導入部11Aの幅の広い部分が通過すると、弾性によって元の状態に復帰して段凹部11dの端面である摺動阻止部11eに当接する(図4及び図8参照)。
【0044】
以上の作業によって電子部品ユニット10が図8のように組み立てられ、電池ホルダ12とホルダカバー11の間に回路基板13を挟み込んだ状態で三者が一体化されるが、このようにして一旦組み立てられた電子部品ユニット10においては、電池ホルダ12の矩形の係止孔12bに回路基板13とホルダカバー11にそれぞれ突設された突出部13b,11bが挿入されて係止されるとともに、ホルダカバー11のフック状の係合部11cが電池ホルダ12の段凹状の係合部12cに係合しているため、ホルダカバー11と電池ホルダ12を回路基板13の面に垂直な方向に引き離すことができない。
【0045】
又、ホルダカバー11の長手方向一端面は電池ホルダ12の係合片12Aに当接するとともに、該ホルダカバー11の内面に突設された端子導入部11Aの摺動阻止部11eが接続端子17の第2係合部17bに当接しているため、ホルダカバー11は電池ホルダ12に対して摺動方向に固定され、両者を相対的に摺動させることが不可能となる。
【0046】
以上のように、本発明に係る電子部品ユニット10が一旦組み立てられると、電池ホルダ12とホルダカバー11を回路基板13の面に垂直な方向に引き離すことができず、又、ホルダカバー11を電池ホルダ12に対して摺動させることができないため、該電子部品ユニット10を破壊しない限りこれを分解することができず、不正改造のために電子部品ユニット10を破壊すれば、その痕跡が残るために不正改造の事実が明らかとなる。
【0047】
そして、不正行為が行われる際に加えられる外力が電子部品ユニット10の摺動阻止部と離脱阻止部に分散されるために当該電子部品ユニット10の耐破壊性が高められる。特に、接続端子17の第2係合部17bは回路基板13の矩形孔13aを貫通して該回路基板13の表面から突出しているため、回路基板13と接続端子17とが強固に固定され、第2係合部17bに外力が作用しても、接続端子17が回路基板13から剥れてしまうという不具合が発生することがない。
【0048】
又、本発明に係る電子部品ユニット10は、別部品の追加を要することなく、既存の部品である回路基板13と電池ホルダ12及びホルダカバー11のみで、接着や溶着等の工程を要することなくワンタッチで容易に組み立てることができ、一旦組み立てられた電子部品ユニット10を分解することが不可能となり、溶着等によって回路基板13の電子部品16等に熱的な悪影響を及ぼすことがない。
【0049】
ところで、一旦組み立てられた電子部品ユニット10の分解は電池ホルダ12とホルダカバー11を相対的に摺動させない限り不可能であり、その摺動は接続端子17の第2係合部17bとホルダカバー11に形成された端子導入部11Aの摺動阻止部11eとの係合によって不可能であるが、接続端子17の第2係合部17bとホルダカバー11の内面に形成された端子導入部11Aの摺動阻止部11eとの係合は電池ホルダ12とホルダケース11によって囲まれる内部空間内で行われるため、その係合部を外部から目視及び操作することができない。このため、ホルダカバー11又は接続端子17を破壊しない限り電子部品ユニット10の分解は不可能であり、これによって不正改造が防がれるとともに、もし不正改造がなされたならば、その痕跡が残るために不正改造の事実が明らかとなる。
【0050】
尚、以上の実施の形態では、接続端子の第1係合部が係合する矩形孔を電池ホルダに形成し、第2係合部が係合する端子導入部をホルダカバーに形成したが、これとは逆に接続端子の第1係合部が係合する矩形孔をホルダカバーに形成し、第2係合部が係合する端子導入部を電池ホルダに形成しても前記と同様の効果が得られる。
【0051】
又、以上は本発明に係る電子部品ユニットを車両のキーレスエントリーシステムに使用される電子キー等の携帯用送信機に対して適用した形態について説明したが、本発明に係る電子部品ユニットは、車両のキーレスエントリーシステム以外の用途に供せられる他の任意の携帯用送信機に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1 携帯用送信機
2 ケース
2A ケースの周壁
2a ケースの係合爪
2b ケースの矩形窓
2c ケースのボス
2d ケースのネジ孔
3 カバー
3a カバーのネジ挿通孔
4 ノブ
4a ノブの操作ボタン
5 ラバーケース
5a ラバーケースの押圧突起
6 ネジ
10 電子部品ユニット
11 ホルダカバー
11A ホルダカバーの端子導入部
11a ホルダカバーの矩形窓
11b ホルダカバーの突出部(離脱阻止部)
11c ホルダカバーの係合部(離脱阻止部)
11d ホルダカバーの段凹部
11e ホルダカバーの離脱阻止部
12 電池ホルダ
12A 電池ホルダの係止片
12a 電池ホルダの電池保持部
12b 電池ホルダの係止孔(離脱阻止部)
12c 電池ホルダの係合部(離脱阻止部)
12d 電池ホルダの矩形孔(摺動阻止部)
13 回路基板
13a 回路基板の矩形孔(孔部)
13b 回路基板の突出部(離脱阻止部)
14 電池
15 スイッチ
16 電子部品
17 接続端子
17A 接続端子の+端子
17B 接続端子の−端子
17a 接続端子の第1係合部
17b 接続端子の第2係合部
B 端子導入部間の最大幅
b 接続端子の第2係合部間の幅


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波送信機能を有する電子部品と接続端子が実装された回路基板と、該回路基板の前記接続端子に接続される電池を保持する電池ホルダと、該電池ホルダと共に前記回路基板を間に挟んでこれを覆うホルダカバーとで構成される電子部品ユニットにおいて、
前記接続端子に、前記電池ホルダと前記ホルダカバーにそれぞれ係合する係合部を形成したことを特徴とする電子部品ユニット。
【請求項2】
前記電池ホルダと前記ホルダカバーに、前記接続端子に形成された前記係合部に係合して該電池ホルダとホルダカバーの前記回路基板の面に平行な摺動を阻止する摺動阻止部と、該電池ホルダとホルダカバーとが互いに係合して前記回路基板の面に対して垂直方向の離脱を阻止する離脱阻止部を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品ユニット。
【請求項3】
前記接続端子は、これを実装する前記回路基板の一面側に形成された第1係合部と、前記回路基板に形成された孔部を貫通して該回路基板の一面側から他面側に突出する第2係合部を有し、前記電池ホルダ又は前記ホルダカバーの一方に形成された前記摺動阻止部に前記第1係合部が係合し、他方に形成された前記摺動阻止部に前記第2係合部が係合することを特徴とする請求項2記載の電子部品ユニット。
【請求項4】
前記ホルダカバーの内面に、該ホルダカバーに形成された前記摺動阻止部に隣接して前記接続端子の第2係合部を弾性変形させる端子導入部を形成し、前記接続端子の第1係合部を前記電池ホルダの摺動阻止部に係合させた前記回路基板が仮固定された前記電池ホルダに前記ホルダカバーを被せ、前記端子導入部によって前記接続端子の第2係合部を押し広げて弾性変形させ、該ホルダカバーを前記電池ホルダに対して摺動させて該ホルダカバーと前記電池ホルダにそれぞれ形成された離脱阻止部同士を係合させるとともに、前記接続端子の第2係合部の弾性変形を復元させて該第2係合部を前記端子導入部に形成された摺動阻止部に係合させることを特徴とする請求項3記載の電子部品ユニット。
【請求項5】
ケースとこれに組み付けられるカバーによって請求項1〜4の何れかに記載の電子部品ユニットを収容して成ることを特徴とする携帯用送信機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−111785(P2011−111785A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268215(P2009−268215)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】