説明

電子部品リール保管ケース

【課題】生産現場での先入れ先出しを確実に実現するために、多種多様の電子部品を整理・管理できる電子部品リール保管ケースを提供する。
【解決手段】縦に積み重ねられる電子部品リール保管ケースで1あり、取出口7からリールを1枚しか取り出せない構造と、リールをケース前面4にフック8により立て掛けて取出口を塞ぐことにより、先入れ先出しを確実に実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等をロール状にテープリールに装着したものを工場等において使用する場合のそれらテープリールの保管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品は時間経過につれてはんだ不良等の問題が発生しやすくなるため、保管期限が定められている。また、不具合は新規ロットにて発生しやすい。よって、先入れ先出しによる管理が重要である。特許文献1において、上から入れ下から取り出す構造による先入れ先出しの実現が開示されているが、多種多様の電子部品を整理・管理する生産現場には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−68363
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明形状ではケースの上部からリールを入れるので上部を空けておく必要があり、更にこのケースの背面から部品を入れる構造とも考えられ、ケースを積み重ねることも壁に面して並べることもできない。1リール取り出して使用後、残部品が残る場合、そのリールを保管する場所がないため整理し辛く、管理が杜撰になって新しいリールを使ってしまうことや、もっと悪いことには上へ入れ込んでしまうこともあり、先入れ先出しができなくなってしまう。また、部品種類ごとにケースを用意するため、ケース1つ1つに部品名を書き込まないと収納部品を識別できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の課題を解決するため以下の手段を取っている。
本発明は、上下面が電子部品リールと同等の大きさの角柱または円柱の形状をしている電子部品リール保管ケース1であり、ケースを縦に積み重ねて固定するための上面四隅の連結用突起2と、下面四隅同位置の前記連結用突起2が入る大きさの連結用穴3と、取り付け取り外せる前面パネル4と、前記前面パネル4の下端からの高さがリール1枚以上2枚以下の厚みにしてリールを1枚しか取り出せない構造にしてあるリール置き台5と、前記前面パネル4上方のリールを入れるための受入口6と、前記前面パネル4下方のリールを取り出すための取出口7と、前記取出口7を塞ぐために前記取出口7下方に設け、リール2枚を2点で支えてケース前面に立て掛けるためのフック8と、からなる電子部品リール保管ケース1である。
【0006】
本発明は、前記の電子部品リール保管ケース1に対し、以下の手段を付加した発明でもある。
【0007】
前記連結用突起2と前記連結用穴3が前記電子部品リール保管ケース1を縦に積み重ねて勘合するために、突起と穴の位置、形状、個数に制限を設けない前記電子部品リール保管ケース1である。
【0008】
前記連結用突起2と前記連結用穴3がない前記電子部品リール保管ケース1である。
【0009】
前記前面パネル4はケース内の電子部品リールを複数枚取り出すために取り付け取り外せる構造であり、左右一方に開く構造とするために一端を留金9と他端を蝶番10で前記前面パネル4を該ケースに取り付けた前記電子部品リール保管ケース1である。
【0010】
前記リール置き台5が上にリールを積み重ねるために、ケースと切り離し可能な形状である前記電子部品リール保管ケース1である。
【0011】
前面に立て掛けたリールが前記取出口7を塞ぐ状態になるために、前記フック8が3点以上でリールを支える形状とした前記電子部品リール保管ケース1である。
【0012】
前面に立て掛けたリールが前記取出口7を塞ぐ状態になるために、前記フック8が前記取出口7下方ではなく、前記前面パネル4に設けてある前記電子部品リール保管ケース1である。
【0013】
指を差し込めるようにするために、前記取出口7下方の指差入スペース11と、リール置き台5前端のU字状またはV字状の切り欠け12と、がある前記電子部品リール保管ケース1である。
【発明の効果】
【0014】
上記の手段を用いることによって、ケース前面側でリールの出し入れを行うことができるため、壁に面してケースを横に並べられ、しかも複数個のケースを縦に積み重ねて固定することができる。これにより、多種多様の電子部品を整理・管理する生産現場に対応できる。
【0015】
また、使用中のリールを保管するため、前面にリールを2枚立て掛けるフック8を設け、使用中のリールで取出口7を塞ぐことにより確実に先入れ先出しを実現するとともに、リール貼付の品番表示13を利用して部品管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施一例を示す下面図である。
【図3】本発明の実施一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の別の実施一例を示す斜視図である。
【図5】本発明の別の実施一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施一例を示す斜視図である。
【図7】本発明の別の実施一例を示す正面図である。
【図8】本発明の別の実施一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に、本発明の実施例を示す。本発明は、電子部品リールを収納するので、上下面がリールと同等の大きさの角柱または円柱のケースとなる。
【0018】
上面四隅にはそれぞれに連結用突起2を設け、図2に示すように、下面の四隅同位置には連結用突起2が入る大きさの連結用穴3が設けてある。図3に示すように、連結用突起2を別ケースの連結用穴3に嵌め込むことで複数個のケースを縦に積み重ねて固定することができる。ケースを固定できるならば突起および穴の位置と形状と個数には制限がないし、図4に示すように突起と穴を設ける位置が逆でもよい。
【0019】
ケース前面上方には受入口6を設ける。受入口6はリール1枚以上の大きさにしてあり、新規入荷時にはここからリールを入れる。ケース内部に保管したリールはリール置き台5に積み重ねる。図5に示すように、リール置き台5はリールを積み重ねることができればどのような形状でもよい。リール置き台5は図1乃至4ではケース前面下部と一体化している構造だが、図5の例ではケースと切り離し可能な形状としても表現してある。
【0020】
また、ケース前面下方には取出口7を設け、ここからリールを取り出す。前面パネル4の下端からリール置き台5までの高さはリール1枚の厚み以上2枚の厚み以下にして1枚しか取り出せない構造にしてあり、リール置き台5に積み重ねているリールのうち最下段の1枚のみを取り出す。これによって、ケース内に保管しているリールのうち最も古い物を1枚だけ取り出すようにして確実な先入れ先出しを実現している。
【0021】
また、取出口7の下には指差入スペース11を設け、リール置き台5には切り欠け12が設けてある。これらはリールの取り出し易さを考慮したものである。
【0022】
前面にはリールを2点で支えるフック8が設けてある。図6に示すように、フック8にはリール1枚目14とリール2枚目15を立て掛ける。2枚立て掛ける理由は、1枚を部品自動実装器にセットしても残り1枚のリール貼付の品番表示13で部品名を表示し、部品管理を行うことができるからである。立て掛けたリールは取出口7を塞ぐ状態になるので、新たなリールを取り出すことができないようにして確実な先入れ先出しを実現している。
フック8は図7に示すように、3点以上でリールを支える形状であってもよいし、図8に示すように前面パネルに設けてあってもよい。要はリールで取出口7を塞げればよいのである。
【0023】
本発明のケースにおいてリールを使用する際には、前面に立て掛けたリール2枚のうち残量少ない方であるリール1枚目14を使用する。リール1枚目14から部品を使い切ったときは、空になったリール1枚目14を廃棄し、フック8に立て掛けてあるリール2枚目15を使用する。代わりに取出口7から新しいリールを1枚取り出し、フック8に立て掛ける。使用後のリール1枚目14に部品が残っているときは、リール1枚目14をフック8に立て掛けて返却する。このように取り扱うことによって、常に電子部品リール保管ケース1の前面にリールが立て掛けられた状態になるので、リール貼付の品番表示13を利用してケースに保管している部品名の表示を行うとともに先入れ先出しを実現している。
【0024】
前面パネル4の一端には留金9、多端には蝶番10があり、開閉できる構造になっている。これによって、前面パネル4を開けて複数枚のリールを一度に入れ替えることもでき、ケースに保管する部品の変更を容易にしている。しかしながら、前面パネル4はケース本体と接続されていなくともよく、取り付け取り外せる構造になっていればよい。
【0025】
ケースの材質は積み重ねに耐えうるなら何でもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 電子部品リール保管ケース
2 連結用突起
3 連結用穴
4 前面パネル
5 リール置き台
6 受入口
7 取出口
8 フック
9 留金
10 蝶番
11 指差入スペース
12 切り欠け
13 リール貼付の品番表示
14 リール1枚目
15 リール2枚目


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下面が電子部品リールと同等の大きさの角柱または円柱の形状をしている電子部品リール保管ケースであり、ケースを縦に積み重ねて固定するための上面四隅の連結用突起と、下面四隅同位置の前記連結用突起が入る大きさの連結用穴と、取り付け取り外せる前面パネルと、前記前面パネルの下端からの高さがリール1枚以上2枚以下の厚みにしてリールを1枚しか取り出せない構造にしてあるリール置き台と、前記前面パネル上方のリールを入れるための受入口と、前記前面パネル下方のリールを取り出すための取出口と、前記取出口を塞ぐために前記取出口下方に設け、リール2枚を2点で支えてケース前面に立て掛けるためのフックと、からなる電子部品リール保管ケース。
【請求項2】
前記連結用突起と前記連結用穴が前記電子部品リール保管ケースを縦に積み重ねて勘合するために、突起と穴の位置、形状、個数に制限を設けない請求項1の電子部品リール保管ケース。
【請求項3】
前記連結用突起と前記連結用穴がない請求項1の電子部品リール保管ケース。
【請求項4】
前記前面パネルを左右一方に開く構造とするために、一端を留金と他端を蝶番で該ケースに取り付けた請求項1乃至3の電子部品リール保管ケース。
【請求項5】
前記リール置き台が上にリールを積み重ねるために、ケースと切り離し可能な形状である請求項1乃至4の電子部品リール保管ケース。
【請求項6】
該ケース前面に立て掛けたリールが前記取出口を塞ぐ状態になるために、前記フックが3点以上でリールを支える形状とした請求項1乃至5の電子部品リール保管ケース。
【請求項7】
該ケース前面に立て掛けたリールが前記取出口を塞ぐ状態になるために、前記フックが前記取出口下方ではなく前記前面パネルに設けてある請求項1乃至6の電子部品リール保管ケース。
【請求項8】
指を差し込めるようにするために、前記取出口下方の指差入スペースとリール置き台前端のU字状またはV字状の切り欠けと、がある請求項1乃至7の電子部品リール保管ケース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−168318(P2011−168318A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34988(P2010−34988)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(304051067)東予産業 株式会社 (3)
【Fターム(参考)】