説明

電子部品仮固定用粘着テープ

【課題】電子部品の製造工程において、粘着剤層の加熱発泡後においては表面抵抗値が大きくなりすぎるために、電子部品に静電気が溜まりやすくなり、その静電気によって電子部品の性能に支障をきたすことがあった。
【解決手段】少なくとも支持基材フィルムとその片面に熱膨張性粘着剤層を設けてなる粘着テープにおいて、該熱膨張性粘着剤層は熱膨張性微小球とイオン性液体を含有し、該イオン性液体の含有量は該熱膨張性粘着剤層に含有されるポリマー100重量部に対して0.01〜10重量部であり、該熱膨張性粘着剤層の表面抵抗が1.0×1013Ω/□以下であり、発泡加熱前後の表面抵抗の変化率が5.0倍以下であることを特徴とする電子部品仮固定用粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止性能を有する電子部品固定用粘着テープに関し、特に電気、電子、半導体部品を生産する際に使用される帯電防止性能を有する仮固定用の粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気、電子部品、半導体部品を生産する際に、生産工程において部品の固定や保護を目的とする粘着テープが知られている。このような粘着テープとしては、基材フィルムに再剥離性のアクリル系粘着剤層が設けられたものや、貼付時には外力に対し強い抵抗性があるが剥離時には加熱することで被着体から自然剥離可能な熱膨張粘着層が設けられたものが存在する。
該粘着テープは所定の処理工程が終了すると剥離されるが、このとき被着体(例えば回路など)と粘着剤との剥離界面に静電気が発生する。この静電気による、被着体への悪影響を押さえるため、基材フィルムの背面側を帯電防止処理した粘着テープや、基材フィルムへ帯電防止剤を添加混合したテープ、粘着剤層へ帯電防止剤を添加混合した粘着テープ、基材フィルムと粘着剤層との間に帯電防止中間層を作成した粘着テープが使用されている。
【0003】
ところが回路を形成する部品の基板がセラミックスやガラスなどの絶縁材料である場合には、発生した静電気の減衰に時間がかかる特徴がある。このような部品には前記粘着テープを用いても帯電防止効果が十分ではなく、回路が破壊されてしまう危険が大きかった。このため、上記部品の生産工程においては、例えば周囲の環境をイオナイザー等の静電気除去装置で処理して使用しているのが実状である。しかしながら、以上のような対策では十分な帯電防止効果が得られず、生産性が低く、また保護性も十分とはいえない。
また粘着テープの剥離帯電を防止するための処理は、基材フィルム側ではなく粘着剤層側に施すのが効果的であると考えられている。ただ、特許文献1に記載されたような、従来の一般的な界面活性剤や導電性フィラー、カーボンブラック、第4級アンモニウム型アクリル系共重合体のような帯電防止効果のある材料を粘着剤中に添加することによっては、加熱剥離時に十分な帯電防止効果を得られなかった。この場合、電子部品を加熱剥離により回収する際に、電子部品の短絡が発生する可能性があり、歩留まりの極端な低下が生じ、改良が望まれていた。
【0004】
さらに特許文献2に記載されているように、過塩素酸リチウム、導電性樹脂等のイオン性液体以外の帯電防止性を有する化合物を使用する粘着剤組成物は公知である。
また、特許文献3及び4に記載されたようなイオン性液体を含有する粘着剤層を有する粘着テープが検討されている。
特許文献5及び6に記載されたような加熱により発泡し粘着力が低下して剥離する粘着テープも、電子部品や半導体基板を仮固定して切断するためのものとして知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−323228号公報
【特許文献2】特開2010−202692号公報
【特許文献3】特開2010−043276号公報
【特許文献4】特開2009−132936号公報
【特許文献5】特開2006−152308号公報
【特許文献6】特開2009−035609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子部品の製造工程においては、製造の歩留まりを向上させるために、剥離後にも電子部品が短絡せず、かつ帯電防止性能が優れる熱剥離型電子部品固定用粘着テープが求められていた。しかしながら、粘着剤層の加熱発泡により粘着力が低下することで、電子部品から剥離される粘着シートを使用した製造工程においては、加熱発泡前においては十分に低い表面抵抗値を有している粘着剤層であっても、加熱発泡によって表面抵抗値が大きく増加していた。
このため、電子部品の製造工程において、粘着剤層の加熱発泡後においては表面抵抗値が大きくなりすぎるために、電子部品に静電気が溜まりやすくなり、その静電気によって電子部品の性能に支障をきたすことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、鋭意検討した結果、加熱剥離後にも電子部品が短絡せず、帯電防止性能が優れる熱剥離型電子部品固定用粘着テープを提供するため、少なくとも支持基材フィルムと粘着剤層から構成される粘着テープにおいて、支持基材フィルムの片面に熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘着剤層を設け、さらに前記粘着剤中に導電性イオン性液体を含有させることにより、加熱剥離後にも電子部品が短絡しないレベルでの帯電防止機能を付与できることを見出し、この知見を基に本発明の電子部品仮固定用粘着テープを得た。
【0008】
具体的には、
1.少なくとも支持基材フィルムとその片面に熱膨張性粘着剤層を設けてなる粘着テープにおいて、該熱膨張性粘着剤層は熱膨張性微小球とイオン性液体を含有し、該イオン性液体の含有量は該熱膨張性粘着剤層に含有されるポリマー100重量部に対して0.01〜10重量部であり、該熱膨張性粘着剤層の表面抵抗が1.0×1013Ω/□以下であり、発泡加熱前後の表面抵抗の変化率が5.0倍以下であることを特徴とする電子部品仮固定用粘着テープ。
2.該電子部品仮固定用粘着テープの被着体PETにおける180°ピール粘着力が0.2〜20N/20mmであることを特徴とする1に記載の電子部品仮固定用粘着テープ。
3.電子部品仮固定用粘着テープにおいて、基材背面に帯電防止処理がなされていることを特徴とする1又は2に記載の電子部品仮固定用粘着テープ。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子部品の製造工程における電子部品の固定のために加熱発泡による剥離性粘着シートを使用した場合であっても、加熱発泡前及び加熱発泡後のいずれにおいても粘着剤層表面は十分に低い表面抵抗値を示すので、加熱発泡した粘着シートを剥離した後に、電子部品には静電気が溜まることがないので、その静電気によって電子部品の性能に支障が出ることがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の電子部品仮固定用粘着テープの模式図
【図2】短絡不良評価のための押切加工による切断加工処理
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、本発明の電子部品仮固定用粘着テープ1は、支持基材フィルム(a)、及びその少なくとも一方の面に形成された特定の熱膨張性粘着剤層b、を基本的な層構成とし、該支持基材フィルムと熱膨張性粘着剤層との間に弾性層cを有していても良く、支持基材フィルムの一方の面に熱膨張性粘着剤層を形成した場合には、その他方の面に支持台座などの支持体に貼付するための他の粘着剤層dを設けても良い。
さらに上記の熱膨張性粘着剤層や他の粘着剤層の表面には、その表面を保護する目的でセパレーターeを被覆することができる。
【0012】
(支持基材フィルム)
支持基材フィルム(以下、「基材」という。)としては、熱膨張性粘着剤層の加熱処理温度で溶融しない耐熱性に優れるものが、加熱後の取扱性等の点より好ましい。例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、フェルト、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体[特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など]等の適宜な薄葉体を用いることができる。
なかでも、基材は、例えば、フィルム状に成形可能な材料によって形成されていることが適しており、押出成形によってフィルム状に成形することができる材料によって形成されていることが好ましい。
【0013】
例えば、構成材料としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリスチレン等の芳香族ビニル樹脂;ナイロン等のポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;その他、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、セルロース等が挙げられる。
【0014】
なお、基材を構成する材料には、上述した樹脂以外に、一般に樹脂成形用の添加剤として知られている各種成分を必要に応じて添加してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤(顔料、染料等)が挙げられる。
【0015】
これらの添加剤を、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上述したように、基材は、単層構造であってもよいし、これらの基材を構成する材料からなる2層以上の積層構造であってもよい。
さらに、基材には、後述する剥離処理層とは別に、強度や耐熱性等を付与するため等の層を別に設けてもよい。このような別の層は、目的に応じて、例えば、10〜500μm程度、より好ましくは、10〜200μm程度の厚みとすることが適している。
また上記のように、基材に帯電防止剤等を添加しても良いが、基材表面に帯電防止剤層等を形成させることにより、基材に帯電防止性等を付与することもできる。
【0016】
基材は、熱膨張性粘着剤層を設ける側の反対側の面の表面に剥離処理層を有してもよいし、公知の粘着剤層や、本発明における熱膨張性粘着剤層を設けても良い。
【0017】
また、該剥離処理層を、一般的な粘着テープ用離型処理セパレータと同様に、公知の剥離剤(例えば、シリコーン系離型剤等)を塗布する表面処理により形成することができる。あるいは基材材料自体を、離型性をもつ材料、例えば、オレフィン系ポリマーにシリコーンが化学結合したシリコーン変性ポリオレフィン系樹脂等とすることにより表面層を剥離処理層として形成することなどができる。
【0018】
また、基材の熱膨張性粘着剤層を設ける側の面には、粘着剤層との密着性を高めるため、その表面に、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗り剤(例えば、粘着物質等)によるコーティング処理等が施されていてもよい。
基材の厚みは、特に限定されないが、5〜500μm程度が適しており、10〜300μm程度、さらに、25〜200μm程度が好ましい。
【0019】
(熱膨張性粘着剤層)
熱膨張性粘着剤層は、粘着剤に熱膨張性微小球を配合した熱膨張性粘着剤により形成することができ、表面(粘着面)に微小な凹凸を有していてもよい。粘着剤としては、公知の感圧接着剤を使用することができ、特に制限されないが、加熱時に熱膨張性微小球の発泡及び/又は膨張を許容し、拘束しないゴム系材料や樹脂等をベースとする感圧接着剤を使用するのが好ましい。
【0020】
さらにイオン性液体を帯電防止剤として含有させることにより、帯電防止剤のブリードが抑制され、該熱膨張性粘着剤層は経時や高温下においても被着体への接着信頼性に優れたものとなる。イオン性液体を用いることによりブリードが抑制される理由は明らかでないが、イオン性液体はそれ自身で優れた導電性を示すため、被着体表面への汚染が微量でも十分な帯電防止能が得られる。
また、上記のイオン性液体は室温にて液状であるため、固体の塩と比べ、粘着剤への添加および分散または溶解が容易に行える。さらにイオン性液体は蒸気圧がない(不揮発性)ため、経時で消失することもなく、帯電防止特性が継続して得られるものとなる。
【0021】
このような除電剤であるイオン性液体の該熱膨張性粘着剤層に含有されるポリマー100重量部に対する含有量は0.01〜10重量部であり、好ましくは0.05〜8重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部である。含有量が0.01〜10重量部の範囲であれば、十分な帯電防止効果を得ることができ、かつイオン性液体による被着体への汚染を防止することができると共に、押切加工精度の低下による不良率の増加を防止できる。
【0022】
本発明において、熱膨張性粘着剤層の表面抵抗は1.0×1013Ω/□以下であり、好ましくは1.0×1012Ω/□以下、さらに好ましくは1.0×1011Ω/□以下で、加熱後表面抵抗上昇率5.0倍以下、好ましくは4.0倍以下、さらに好ましくは3.0倍以下である。
熱膨張性粘着剤層の表面抵抗は1.0×1013Ω/□以下であり、発泡加熱前後の表面抵抗の変化率が5.0倍以下であると、加熱後において短絡不良が発生せず、製品の歩留まりは良好である。
さらに、熱膨張性粘着剤層は、電子部品用仮固定用粘着テープの被着体PETにおける180°ピール粘着力が0.2〜20N/20mmであるような粘着剤層であることが好ましく、さらに1.0〜10N/20mmが好ましく、さらに好ましくは3.0〜10N/20mmの範囲である。
ピール粘着力が0.2〜20N/20mmの範囲内であれば、加熱後に電子部品から本発明の仮固定用粘着テープを剥離する際に、必要とする剥離力が少なくてすみ、特に剥離時に電子部品を破損することがない。
【0023】
感圧接着剤としては、天然ゴム、各種合成ゴム、アクリル系、ビニルアルキルエーテル系やシリコーン系、ポリエステル系やポリアミド系、ウレタン系やスチレン・ジエンブロック共重合体系などのポリマーをベースポリマーとする感圧接着剤を例示できる。また、これらのポリマーに融点が約200℃以下の熱溶融性樹脂を配合してクリープ特性を改良したものをベースポリマーとして使用することもできる。
またその形態としては例えば、溶剤型粘着剤、エマルション型粘着剤、水溶性粘着剤のいずれの形態の粘着剤を用いて形成してもよい。
加熱剥離型粘着剤、エネルギー線硬化型粘着剤等の種々の特性を有する粘着剤を用いてもよい。なお、加熱剥離型粘着剤は、初期には粘接着性を有し、加熱により粘着力が低下し得る粘着剤である。この場合の加熱は、基材フィルム等の材料によって適宜選択することができるが、例えば、70〜200℃程度が適している。
【0024】
これらの中で、アクリル系共重合体を特に好適に使用できる。アクリル系共重合体の主モノマー成分としては、炭素数20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いるのが好ましい。炭素数20以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種又は2種以上を選択して主モノマー成分として使用することができる。なお、これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは粘着剤のベースポリマー中通常50重量%以上含まれる。
【0025】
アクリル系共重合体は、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、必要に応じて凝集力や耐熱性等の改質などを目的に適宜な共重合性モノマーが含まれていてもよい。上記共重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミドやN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノ系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールや(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどの多官能モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテルなどが挙げられる。これらの共重合性モノマーは、1種又は2種以上を選択して用いることができる。
【0026】
上述したモノマーを重合に付すことにより、熱膨張性粘着剤層を構成するベースポリマーを製造することができる。重合方法は特に制限されず、重合開始剤を添加する溶液重合方法、塊状重合方法、乳化重合方法等通常用いられる公知の重合方法から適宜選択できる。
【0027】
粘着剤として、エネルギー線硬化型粘着剤を形成する場合には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、アセチレン基等の炭素−炭素多重結合を有する官能基等で化学修飾されたもの、具体的には、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基等の反応性官能基を含む単量体[例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸等]を(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合させた反応性官能基含有アクリル系重合体に、分子内に前記反応性官能基と反応する基(イソシアネート基、エポキシ基等)及びエネルギー線反応性官能基(アクリロイル基、メタクリロイル基等)を有する化合物[例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチレンイソシアネート等]とともに反応させて得られる重合体等を用いる又は添加することが適している。
【0028】
また、エネルギー線硬化性化合物を用いる又は添加してもよい。このような化合物としては、エネルギー線、特に紫外線等により硬化可能なものであれば特に限定されないが、エネルギー線照射後の三次元網状化が効率よくなされるものが好ましい。
例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート,1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
【0029】
紫外線硬化性化合物として紫外線硬化性樹脂を用いてもよく、例えば、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、アクリル樹脂(メタ)アクリレート、分子末端にアリル基を有するチオール−エン付加型樹脂;光カチオン重合型樹脂;ポリビニルシンナマート等のシンナモイル基含有ポリマー;ジアゾ化したアミノノボラック樹脂、アクリルアミド型ポリマー;感光性反応基含有ポリマーあるいはオリゴマー等を用いてもよい。
【0030】
また、エネルギー線硬化性化合物として、オニウム塩等の有機塩類と、分子内に複数の複素環を有する化合物との混合物等を用いることもできる。
このような混合物は、エネルギー線の照射により有機塩が開裂してイオンを生成し、これが開始種となって複素環の開環反応を引き起こして3次元網目構造を形成することができる。
有機塩類としては、ヨードニウム塩、フォスフォニウム塩、アンチモニウム塩、スルホニウム塩、ボレート塩等が挙げられる。
分子内に複数の複素環を有する化合物における複素環としては、オキシラン、オキセタン、オキソラン、チイラン、アジリジン等が挙げられる。
【0031】
さらに、紫外線で反応するポリマーとして、エポキシ化ポリブタジエン、不飽和ポリエステル、ポリグリシジルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルシロキサン等を用いてもよい。
紫外線硬化性化合物等を添加する場合には、その配合量は、用いるベースポリマー及び紫外線硬化性化合物等の種類等によって適宜調整することができる。例えば、粘着シートへのエネルギー線照射前に0.3N/20mmよりも大きく、エネルギー線照射後に0.3N/20mm以下となる粘着力を備える程度の量に調整することが適している。
例えば、熱膨張性粘着剤層を構成するベースポリマー100重量部に対して5〜500重量部程度が適しており、好ましくは15〜300重量部程度、さらに好ましくは20〜150重量部程度である。
【0032】
より具体的には、JISZ0237に準拠した90°ピール粘着力試験(剥離速度:300mm/分)において、シリコンミラーウエハに対する紫外線照射前粘着力が、0.3N/20mmよりも大きく、紫外線照射後粘着力が0.3N/20mm以下となるように調整されることが好ましい。
【0033】
エネルギー線硬化型粘着剤による熱膨張性粘着剤層には、紫外線硬化性化合物を硬化させるための紫外線重合開始剤及び紫外線硬化前後に適切な弾性率を得るために紫外線重合開始剤等の添加剤が必要に応じて配合されることが好ましい。
【0034】
代表的なエネルギー線重合開始剤として、ベンゾフェノン、アセトフェノン、キノン、ナフトキノン、アンスラキノン、フルオレノン等のケトン系開始剤;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキシド、過安息香酸等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。
市販品として、例えば、チバガイギー社製の商品名「イルガキュア184」、「イルガキュア651」等がある。
紫外線重合開始剤としては、公知の重合開始剤を適宜選択できる。配合量としては、粘着性物質100重量部に対して、0.1〜10重量部程度が適しており、好ましくは1〜5重量部程度である。必要に応じて、紫外線開始剤とともに紫外線重合促進剤を併用してもよい。
【0035】
熱膨張性粘着剤層を形成する場合には、これら熱膨張性粘着剤層に、粘着付与剤、粘度調整剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、顔料・染料等の着色剤、安定剤、防腐剤、老化防止剤、帯電防止剤等の一般的な添加剤の1種又は2種以上を添加してもよい。
【0036】
熱膨張性粘着剤層を構成する粘着剤は、必要に応じて各種添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、公知乃至慣用の粘着付与樹脂(例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂など)、架橋剤(例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、多官能アクリレート系架橋剤など)、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などの公知の各種添加剤が挙げられる。これらの添加剤の使用量は、いずれも粘着剤に適用される通常の量でよい。
【0037】
上記熱膨張性微小球としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタンなどの容易にガス化して膨張性を示す適宜な物質をコアセルべーション法や界面重合法等で殻形成物質内に内包させた熱膨張性微小球を使用することができる。殻形成物質としては、熱溶融性を示す物質や、熱膨張で破壊する物質を使用でき、例えば、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。熱膨張性微小球は、良好な熱剥離性を発現するために、体積膨張倍率が例えば、5倍以上、好ましくは7倍以上、特に好ましくは10倍以上であるものを使用するのがよい。
【0038】
熱膨張性微小球の配合量は、熱膨張性粘着剤層を膨張(発泡)させる程度や接着力を低下させる程度に応じて適宜選択することができ特に制限されない。例えば、上記の熱膨張性粘着剤層を構成するベースポリマー100重量部に対して1〜150重量部、好ましくは25〜100重量部の範囲から選択することができる。
【0039】
熱膨張性粘着剤層の厚みは、特に限定されず、例えば、5〜300μm程度が適しており、5〜150μm程度が好ましく、10〜100μm程度がより好ましい。
熱膨張性粘着剤層5〜300μmの範囲であれば、熱膨張性微小球に基づき表面に凹凸がある場合でも、被着体との接触面積が過小とはならず、熱処理前の被着体に対する接着力が低下することを防止できる。さらに熱膨張性粘着剤層が厚すぎないので、熱膨張性粘着剤層が変形しにくく、被着体を加工する際にズレを生じないなど高い精度での加工が可能となる。また、熱処理による膨張時に凝集破壊が起こることによる被着体への糊残りの発生を防止するなど、良好な熱剥離性が得られる。
【0040】
熱膨張性粘着剤層の表面(粘着面)に凹凸を有する場合、各凹凸部の形状がすべて同一の形状であってもよく、また、部分的に同一の形状であってもよく、さらに又、すべて異なる形状であってもよい。なお、凹凸部の形状が、部分的に同一又はすべて異なる形状である場合(すなわち、すべて同一の形状でない場合)、各凹凸部の形状は、規則的に異なっている形状を有していてもよく、不規則的に異なっている形状を有していてもよい。また、各凹凸部が配置された形態としては、規則的な位置関係で(又は間隔で)配置された形態であってもよく、不規則的な位置関係で(又は間隔で)配置された形態であってもよい。従って、凹凸部は、すべて同一、又は規則的あるいは不規則的に異なっている形状の凹凸部が、規則的又は不規則的な位置関係で(又は間隔で)配置された形態を有していてもよい。熱膨張性粘着剤層の凹凸部としては、不規則的に異なっている形状の各凹凸部が不規則的な位置関係で配置された形態の凹凸部であることが好ましい。
【0041】
熱膨張性粘着剤層の表面に凹凸部が存在する場合でも、その最大断面高さRtは、0.5〜12μm、好ましくは1〜12μm、特に好ましくは3〜8μmの範囲から選択することができる。最大断面高さが12μmより大きいと、被着体表面の最大断面高さRt′を超える場合が多くなり、粗面を有する被着体に対する粘着力が十分でなくなるなど、本発明の被着体の加工方法での使用に適さない。なお、粘着層表面の最大断面高さが12μmを超える場合は、平滑な被着面に対しても十分な接着力が得られない場合が多い。また、最大断面高さRtが0.5μmより小さい場合には、被着面が粗面であるときに、該粗面に対する追従性が不十分となり、被着体の加工時に必要な十分な接着力を発現できず、被着体に対して正確な加工を行えない場合がある。
【0042】
熱膨張性粘着剤層の表面の表面粗さ(平均粗さ)Raとしては、特に制限されないが、例えば、0.5〜5μm、好ましくは1〜3μmの範囲から選択することができる。
上記最大断面高さRt及び表面粗さRaは、例えば、TENCOR社製の接触式表面粗さ測定装置「P−11」を用いて測定することができる。
【0043】
熱膨張性粘着剤層の表面の凹凸部は、公知の凹凸部形成方法を利用して形成することができる。例えば、粘着剤、熱膨張性微小球及び必要に応じてその他の成分を適宜な溶媒に溶解・分散した塗工液を調製し、該塗工液を基材上に塗布して粘着剤層を形成した後に、凹凸を有するセパレーターを貼り合わせる方法や、凹凸を有するセパレーター上に上記塗工液を塗布して熱膨張性粘着剤層を形成した後に、基材あるいは弾性層上に移着する方法などが挙げられる。なお、凹凸部を有するセパレーターは、セパレーター表面をサンドブラスト方式などで加工する方法や、凹凸加工が施されたローラーをセパレーターに熱圧着する方法など公知適宜な方法により製造することができる。
【0044】
(イオン性液体)
イオン性液体は、液状の有機化合物であり、室温で液状を呈する溶融塩(イオン性化合物)をいい、粘着剤組成物におけるベースポリマーに対する相溶性が良い。これにより、粘着剤層の表面にイオン性液体が偏析するのを抑制し、粘着力の経時による低下、被着体への移行による汚染を防止することができる。また、相溶性とは、イオン性液体とベースポリマーを適当な混合方法(溶融ブレンド、溶液ブレンド)により混合した場合に均一に混合し、分相し難い性質を意味する。
このイオン性液体の該熱膨張性粘着剤層に含有されるポリマー100重量部に対する含有量は0.01〜10重量部であり、好ましくは0.05〜8重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部である。含有量が0.01〜10重量部の範囲であれば、十分な帯電防止効果を得ることができると共に、押切加工精度の低下による不良率の増加を防止できる。
【0045】
イオン性液体を用いることにより優れた帯電防止性が得られる理由の詳細は明らかでないが、次のように推測される。すなわち、イオン性液体は液状であるため、一般に使用される界面活性剤と比べ分子運動が容易であり、電荷の発生により分子の再配列が起き易い。従って、イオン性液体を用いた場合には分子再配列による電荷中和機構が働くため、優れた帯電防止効果が得られると考えられる。また、イオン性液体は室温で液状を呈するため、固体の塩と比べ粘着剤への添加及び分散又は溶解が容易に行える。さらに、イオン性液体は蒸気圧がない(不揮発性)のため、経時で消失することもなく、帯電防止性が継続して得られる特徴を有する。
【0046】
本発明のイオン性液体としては、なかでも含窒素オニウム塩、含硫黄オニウム塩、含リンオニウム塩が好ましく、特に優れた帯電防止能が得られる理由から下記一般式(A)〜(D)で表される有機カチオン成分とアニオン成分からなる塩が好ましく用いられる。

【0047】
[式(A)中のRは、炭素数4から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよく、RおよびRは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。ただし、窒素原子が2重結合を含む場合、Rはない。]
[式(B)中のRは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよく、R、R、およびRは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。]
[式(C)中のRは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよく、R、R、およびRは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。]
[式(D)中のZは、窒素、硫黄、またはリン原子を表し、R、R、R、およびRは、同一または異なって、炭素数1から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。ただしZが硫黄原子の場合、Rはない。]。
[式(E)中のRは、炭素数1から18の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。]。
【0048】
式(A)で表されるカチオンとしては、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオンなどがあげられる。
具体例としては、例えば、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン等のピリジニウムカチオン;1−プロピルピぺリジニウムカチオン、1−ペンチルピぺリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピぺリジニウムカチオン、1−メチル−1−エチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピぺリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピぺリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピぺリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘキシルピぺリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘプチルピぺリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピぺリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピぺリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピぺリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘキシルピぺリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘプチルピぺリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピぺリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピぺリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピぺリジニウムカチオン等のピペリジニウムカチオン;1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−エチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピロリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピロリジニウムカチオン等のピロリジニウムカチオン;2−メチル−1−ピロリンカチオン、1−エチル−2−フェニルインドールカチオン、1,2−ジメチルインドールカチオン、1−エチルカルバゾールカチオン等が挙げられる。
【0049】
式(B)で表されるカチオンとしては、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオンなどがあげられる。
具体例としては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムカチオン;1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン等のテトラヒドロピリミジニウムカチオン;1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン等のジヒドロピリミジニウムカチオン等及び1-ブチル-3-メチルピリジニウムビスイミド等の1-ブチル-3-メチルピリジニウムカチオンが挙げられる。
【0050】
式(C)で表されるカチオンとしては、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオンなどがあげられる。
具体例としては、例えば、1−メチルピラゾリウムカチオン、3−メチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2−メチルピラゾリニウムカチオン等が挙げられる。
【0051】
式(D)で表されるカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンや、上記アルキル基の一部がアルケニル基やアルコキシル基、さらにはエポキシ基に置換されたものなどがあげられる。また、R、R、R、およびRとしては、たとえば、炭素数1から20のアルキル基をあげることができる。さらに、R、R、R、およびRとしては、芳香族環基や脂肪族環基を含んでいてもよい。
具体例としては、例えば、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリエチルプロピルアンモニウムカチオン、トリエチルペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N―メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン等のテトラアルキルアンモニウムカチオン;トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン等のトリアルキルスルホニウムカチオン;テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン等のテトラアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
【0052】
本発明においては、上記カチオン成分のなかでも、式(A)で表されるカチオン(特に、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン等のピリジニウムカチオン)、式(D)で表されるカチオン(特に、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン等の非対称のテトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンやN,N−ジエチル−N―メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン等)などが特に優れた帯電防止能が得られる点で好ましく用いられる。
【0053】
式(E)で表されるカチオンの具体例としては、Rとして、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基などの、炭素数1から18のアルキル基を有するスルホニウム塩があげられる。
【0054】
一方、アニオン成分としては、上記カチオン成分と共にイオン性液体を形成することができるものであればよく、例えば、Cl-、Br-、I-、AlCl4-、Al2Cl7-、BF4-、PF6-、ClO4-、NO3-、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3-、CF3SO3-、(CF3SO22-、(CF3SO23-、AsF6-、SbF6-、NbF6-、TaF6-、F(HF)n-、(CN)2-、C49SO3-、(C25SO22-、C37COO-、(CF3SO2)(CF3CO)N-等が挙げられる。なかでも、フッ素原子を含むアニオン成分は、低融点のイオン性化合物が得られることから好ましく用いられる。
疎水性のアニオン成分は、粘着剤表面にブリードしにくい傾向があり、低汚染性の観点から好ましく用いられる。さらに、フッ素原子を含むアニオン成分は、低融点のイオン性化合物が得られることから特に好ましく用いられる。
【0055】
本発明におけるイオン性液体は、上記カチオン成分とアニオン成分の組み合わせから適宜選択して用いられ、例えば、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘプチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘプチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、2−メチル−1−ピロリンテトラフルオロボレート、1−エチル−2−フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1−エチルカルバゾールテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、3−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル
−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N―メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチル−N―メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N−ジエチル−N―メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N―メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルビス(ペンタフルオロエタンタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
【0056】
イオン性液体の合成方法としては、目的とするイオン性液体を得ることができれば特に限定されないが、一般的には、文献「イオン性液体 −開発の最前線と未来−」[(株)シーエムシー出版発行]に記載されているような、ハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、及び中和法等が用いられる。下記にハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、及び中和法について含窒素オニウム塩を例にその合成方法について示すが、含硫黄オニウム塩、含リンオニウム塩等その他のイオン性液体についても同様の手法により得ることができる。
また市販のイオン性液体を採用することもできる。
【0057】
粘着剤層に帯電防止性を付与するために、粘着剤層に無機塩やポリマー等の液体でない帯電防止剤を配合することが知られているが、このような無機塩やポリマーを使用すると、粘着剤を構成するポリマーとの相溶性が良好でないために、粘着剤が凝集破壊を起こすことになり、また、加熱後の表面抵抗率が大きく増加するので短絡不良を発生しやすい傾向にある。
【0058】
(弾性層)
基材と粘着剤層との間に配置していてもよい弾性層は、上述したように、被着体表面への追従性、熱膨張微小球の厚さ方向への膨張性、粘着剤層の厚さの均一性を図るために、例えば、ASTM D−2240のD型シュアーD型硬度にもとづいて50程度以下であることが適しており、40程度以下であることが好ましい。
【0059】
弾性層は、有機材料により形成されているものが好ましく、例えば、天然ゴム、合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂等により形成することができる。
合成ゴム又は合成樹脂としては、例えば、ニトリル系、ジエン系、アクリル系等の合成ゴム;ポリオレフィン系、ポリエステル系等の熱可塑性エラストマー;エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリブタジエン、軟質ポリ塩化ビニル等のゴム弾性を有する合成樹脂等が挙げられる。また、これらの成分を主体とする発泡体等を用いてもよい。
【0060】
なお、ポリ塩化ビニルのごとく本質的には硬質系のポリマーであっても可塑剤や柔軟剤等の配合剤との組み合わせでゴム弾性を持たせたものを使用してもよい。
【0061】
本発明においては、弾性層は粘着性物質により形成されているのが好ましい。弾性層を構成する粘着性物質としては、上述の熱膨張性粘着剤層を構成する感圧接着剤と同様のものを使用することができる。弾性層を構成する材料としては、アクリル系重合体を主成分とするアクリル系粘着剤を特に好適に使用することができる。
弾性層の厚さは、特に制限されず例えば、1〜200μm、好ましくは5〜50μm程度の範囲から選択することができる。
【0062】
(他の粘着層)
本発明では、熱剥離型粘着シートにおいて、基材の一方の面(片面)にのみ熱膨張性粘着剤層が形成されている場合、前記基材の他方の面に他の粘着層が形成されていてもよい。該他の粘着層を利用して、支持台座などの支持体に貼付して電子部品を支持させることができる。
このような他の粘着層を形成するための粘着剤としては、特に制限されず、上記熱膨張性粘着剤層において用いられる粘着剤として例示された粘着剤(例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、クリープ特性改良型粘着剤など)等の公知乃至慣用の粘着剤を用いることができる。これらの粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0063】
なお、他の粘着層の厚さとしては、例えば、500μm以下であり、5〜500μm、好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは15〜100μm)であってもよい。該他の粘着層の形成に際しては、前記熱膨張性粘着剤層と同様の方法(例えば、基材上に塗布する方法、セパレータ上に塗布して粘着層を形成した後、これを基材上に転写する方法など)を利用することができる。他の粘着層は単層、複層の何れであってもよい。
【0064】
本発明の熱剥離型粘着シートは、基材上に、熱膨張性粘着剤層を、必要に応じて他の層(弾性層など)を介して形成することにより作製することができる。熱剥離型粘着シートは、片面のみに粘着面を有する形態を有していてもよく、両面に粘着面を有する形態を有していてもよい。また、熱剥離型粘着シートは、シート状、テープ状などの形態を有することができる。
【0065】
(セパレーター)
セパレーターは、熱膨張性粘着剤層の粘着面を保護するために設けられる面であるが、上述のように熱膨張性粘着剤層の表面に凹凸部を設ける目的で使用してもよい。例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。なお、セパレータは、熱膨張性粘着剤層を支持するための基材として用いることも可能である。
なお、セパレータは公知の方法により形成することができる。また、セパレータの厚さ等も特に制限されない。
【0066】
本発明の電子部品仮固定用粘着テープの使用の対象となる電子部品は、電子工作、電気工学、電気工学等において使用される全ての部品、電子機器を構成する全ての部品を包含するものであり、半導体、導電体及び/又は絶縁体のいずれかによって、あるいはこれらが組み合わせられて形成されていてもよい。例えば、能動部品(主に半導体から形成され、例えば、トランジスタ、IC、LSI、超LSI、ダイオード、発光ダイオード、レーザ、サイリスタ、三端子レキュレータ、撮像素子、電子管、真空管、進行波管、ブラウン管、マグネトロン等)、受動素子(たとえば、抵抗器、コンデンサ、スピーカ、コイル、変圧器、変成器、リレー、圧電素子、水晶振動子、セラミック発振子、バリスタ等)、構造部品(配線部品、プリント基板、コネクタ、開閉器、電線、がいし、端子等)等、これらの電子部品を含む電子機器(例えば、映像表示装置、照明機器、分析機器、通信機器、医療機器、放送機器等)等が包含される。
より具体的には、セラミックコンデンサ等の電子部品の内部電極パターン形成工程、半導体ウエハ上へのパターン形成工程、回路基板上へのパターン形成工程、映像表示装置に必要となる各種のパターン形成工程等が例示される。
【0067】
(電子部品仮固定用粘着テープの使用)
このように、本発明の熱剥離型粘着シートは、被着体を加工する際に用いられる熱剥離型粘着シートとして好適に用いることができる。すなわち、本発明の熱剥離型粘着シートは、例えば、加工時には、強い接着力で被着体(被加工物)を接着することができ、加工後には、その接着状態を迅速に解除することができる用途で好適に用いることができる。前記熱剥離型粘着シートを用いると、加工後に、被着体の汚染を抑制又は防止して、容易に且つ迅速に剥離することができ、製造作業性を大きく向上させることができる。
【0068】
なお、このような被着体の加工方法としては、任意に選択することができ、例えば、切断加工(研磨処理加工、ダイシング加工など)、グリーンシートへの電極印刷加工(パターン形成加工など)、組み立て加工などの加工が挙げられ、その他に、積層工程での加工、加圧工程での加工、焼成工程での加工なども挙げられる。
【0069】
なお、熱剥離型粘着シートを被着体(加工品)より剥離乃至分離する際の加熱処理は、例えば、ホットプレート、熱風乾燥機、近赤外線ランプ、エアードライヤーなどの適宜な加熱手段を利用して行うことができる。加熱温度は、熱膨張性粘着剤層中の表面処理型熱膨張性微小球の熱膨張開始温度(発泡開始温度)以上であればよいが、加熱処理の条件は、被着体の表面状態や、表面処理型熱膨張性微小球の種類等による接着面積の減少性、基材や被着体の耐熱性、加熱方法(熱容量、加熱手段等)などにより適宜設定できる。一般的な加熱処理条件としては、温度100〜250℃で、5〜90秒間(ホットプレートなど)または5〜15分間(熱風乾燥機など)である。かかる加熱条件で、通例、熱膨張性粘着剤層中の表面処理型熱膨張性微小球が膨張及び/又は発泡して熱膨張性粘着剤層が膨張変形することにより凹凸状変形し、接着力が低下ないし喪失する。なお、加熱処理は使用目的に応じて適宜な段階で行うことができる。また、加熱源としては、赤外線ランプや加熱水を用いることができる場合もある。
【0070】
また、本発明の熱剥離型粘着シートは、被着体を搬送する際の保護材としても用いることができる。
【0071】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例及び比較例〕
実施例1
アクリル酸エチル―アクリル酸2エチルヘキシル―アクリル酸(60部-40部-3部)からなる共重合体ポリマー100部に、架橋剤としてエポキシ系架橋剤1.0部、除電剤として1-ブチル-3-メチルピリジニウムビスイミド(日本カーリット(株)製、商品名:CIL-312)を5部、ロジンフェノール系粘着付与剤15部、150℃発泡膨張タイプ(松本油脂製、マツモトマイクロスフィアーF-80SD)の熱膨張性微小球30部、とトルエンを均一に混合、溶解した塗工液を、支持基材(PET#100)上に乾燥後の厚さが50μmとなるよう塗布・乾燥して電子部品仮固定用粘着テープ1を得た。
実施例2
除電剤を0.1部添加した以外は、前記実施例1と同様にしてシート2を得た。
実施例3
除電剤を10部添加した以外は、前記実施例1と同様にしてシート3を得た。
実施例4
支持基材に帯電防止PET(三菱樹脂製、ダイヤホイルT-100G)を使用した以外は、前記実施例1と同様にしてシート4を得た。
比較例1
除電剤を添加しない以外は、前記実施例1と同様にしてシート5を得た。
比較例2
除電剤を0.001部添加した以外は、前記実施例1と同様にしてシート6を得た。
比較例3
除電剤を20部添加した以外は、前記実施例1と同様にしてシート7を得た。
比較例4
除電剤として過塩素酸リチウム塩を添加した以外は、前記実施例1と同様にしてシート8を得た。
比較例5
除電剤として、第4級アンモニウム型アクリル共重合体を添加した以外は、前記実施例1と同様にしてシート9を得た。
【0072】
実施例1〜4、及び比較例1〜5で作製した加熱剥離型粘着シート1〜9の短絡不良評価、23℃粘着力、汚染性の評価結果を表1、表2に示す。
◆短絡不良評価及び押切り加工不良率評価
図2に示すように、電子部品仮固定用粘着テープ1の熱膨張性粘着剤層上に、積層セラミックシート3(サイズ:100mm×100mm×厚さ2mm)を貼着させ(仮固定)、支持体2上に固定した。そして、押切刃4を介し、0.6mm×0.3mmのサイズのチップにフルカット(押切加工による切断加工処理を施し)後、160℃に加熱したオーブン中で電子部品仮固定用粘着テープから発泡剥離させ、小片化したチップを回収した。回収したチップ100個のうち、いくつ静電気による短絡不良が生じているかの不良率を%で表した。
また、押切加工時の切断精度(直角に被着体が切断できているかなど)に関して、顕微鏡観察を行い、その不良率を%で表した。
◆23℃粘着力(N/20mm)
作製した電子部品仮固定用粘着テープサンプルを幅:20mm、長さ:140mmに切断し、被着体:PET #25(30mm幅)をJIS Z 0237に準じてシートと貼り合せた後、約30分間放置する。その後、被着体:PETを23℃温度下で剥離角度:180°、剥離速度:300mm/minにて引き剥がした時の荷重を23℃粘着力とする。
◆粘着剤表面抵抗率測定及び加熱後表面抵抗上昇率測定
作製した電子部品仮固定用粘着テープサンプルを幅:50mm、長さ:150mmに切断し、セパレータを剥離した後の粘着剤表面抵抗の大きさを測定した(23℃/50%雰囲気下)。また、予め160℃に加熱したホットプレート上で上記サンプルを加熱発泡させた後、同様に粘着剤表面抵抗の大きさを測定し(23℃/50%雰囲気下)、その上昇率を算出した。
【0073】
【表1】

【0074】
実施例1〜4は加熱前後の表面抵抗の上昇率が5倍以下となり、表面抵抗率の増加による短絡不良を起こすことがなく、加熱剥離による短絡不良および押切り加工時の不良もなく、電子部品を作製することができた。表面抵抗値はイオン性液体添加量に比例して減少傾向が確認され、さらに、基材に帯電防止処理を施した基材を使用することでも表面抵抗値の減少が確認された。
比較例1は除電剤が混入されなかったため、さらに比較例2は除電剤の添加量が少なすぎたために、押切り加工による不良は発生しなかったが、加熱前後の表面抵抗上昇率も大きく、加熱剥離時の十分な除電が行われず、短絡不良を発生した。
比較例3は除電剤を過剰に添加することによって、加熱前後の表面抵抗の上昇率が5倍以下ではあったが、粘着剤中の液体成分増加によると考えられる弾性率低下によって、押切加工精度の低下による不良率の増加が確認された。
比較例4は添加した除電剤と粘着剤との相溶しにくさに起因すると考えられる粘着力測定時の粘着剤中での凝集破壊が確認され、安定した粘着力測定を行えないばかりではなく、加熱前後の表面抵抗率の上昇が大きいため、短絡不良を生じた。
比較例5もイオン性液体を使用しないので、比較例4による結果と同様に、加熱前の表面抵抗値が小さくても、加熱後の表面抵抗率の上昇が大きいために、短絡不良を生じた。
これらの結果をまとめると、熱膨張性粘着剤層を設けてなる電子部品仮固定用粘着テープを用いて電子部品を加工すると、加熱発泡による粘着力の低下によって、電子部品仮固定用粘着テープを電子部品から剥離することが容易となるが、熱膨張性粘着剤層が除電剤を含有しない場合や含有しても少量の場合には、当然に加熱前後共に表面抵抗値が高いので、電子部品に除電が行われないので静電気が溜まり短絡不良を生じる。
このような点を解消するために液体でない無機化合物やポリマーの除電剤を粘着剤に添加しても、依然として静電気が溜まることによる短絡不良を生じる点において、除電剤を添加しない場合と同様の結果となった。
そして本発明は除電剤としてイオン性液体を選択し、さらに粘着剤への含有比率を特定の範囲とすることによって、初めて電子部品仮固定用として有用な電子部品仮固定用粘着テープを得ることができた。
【符号の説明】
【0075】
1・・・電子部品仮固定用粘着テープ
2・・・支持体
3・・・積層セラミックシート
4・・・押切刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも支持基材フィルムとその片面に熱膨張性粘着剤層を設けてなる粘着テープにおいて、該熱膨張性粘着剤層は熱膨張性微小球とイオン性液体を含有し、該イオン性液体の含有量は該熱膨張性粘着剤層に含有されるポリマー100重量部に対して0.01〜10重量部であり、該熱膨張性粘着剤層の表面抵抗が1.0×1013Ω/□以下であり、発泡加熱前後の表面抵抗の変化率が5.0倍以下であることを特徴とする電子部品仮固定用粘着テープ。
【請求項2】
該電子部品仮固定用粘着テープの被着体PETにおける180°ピール粘着力が0.2〜20N/20mmであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品仮固定用粘着テープ。
【請求項3】
電子部品仮固定用粘着テープにおいて、基材背面に帯電防止処理がなされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品仮固定用粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−193317(P2012−193317A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59891(P2011−59891)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】