説明

電子部品供給装置、電子部品実装装置、電子部品供給方法および電子部品実装方法

【課題】静電気により電子部品がキャリアテープの収納部の壁等に貼り付くため、電子部品を吸着ノズルで吸着する際に、吸着ミスが多発するという問題がある。
【解決手段】電子部品をキャリアテープの貫通孔に収納し、キャリアテープの表面と裏面にそれぞれトップカバーテープとボトムカバーテープを貼り付けることにより貫通孔を塞いだ電子部品搬送体を巻き付けたリールを、回転自在に支持するリール保持手段と、リールから引き出された電子部品搬送体のトップカバーテープを剥離する剥離手段と、トップカバーテープが剥離された電子部品搬送体を順次搬送する搬送手段と、リールから引き出された後であって、トップカバーテープが剥離される前の電子部品搬送体の表面および/または裏面にイオンを含むエアーを吹き付ける送風手段とを備えた電子部品供給装置を用いて電子部品を供給した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーピングされたチップ形電子部品を供給する電子部品供給装置および該電子部品供給装置を搭載した電子部品実装装置、並びにテーピングされたチップ形電子部品を供給する電子部品供給方法および該電子部品供給方法を用いた電子部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ固定抵抗器、積層セラミックコンデンサ等のチップ形電子部品の搬送形態としては、テープ状厚紙の長手(長さ)方向に一定の間隔でチップ形電子部品を収納するための打抜き角穴(貫通孔)を形成したキャリアテープの裏面をボトムカバーテープで熱シールして収納用ポケット(収納部)を作製し、その直後にチップ形電子部品を収納用ポケットに挿入し、キャリアテープの表面をトップカバーテープで熱シールしてチップ形電子部品を封入し電子部品搬送体を形成した後、この電子部品搬送体をリールに巻き取って搬送するという一連のテーピングリール方式が広く採用されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0003】
また、前記した電子部品搬送体において、キャリアテープとして、ボトムカバーテープを用いることなく、テープ状厚紙の長手方向に一定の間隔でチップ形電子部品を収納するための凹部を形成して収納用ポケットを作製したものも提案されている。
【0004】
搬送先であるプリント配線基板等の製造工程においては、リールに巻かれた電子部品搬送体を電子部品供給装置にセットした後、電子部品実装装置からの動力(エアー、電気等)の供給により電子部品供給装置が電子部品搬送体の送りとトップカバーテープの剥離を間欠的に行うことにより、電子部品実装装置に対してチップ形電子部品の供給がなされる(例えば、特許文献7〜9参照)。
【0005】
そして、トップカバーテープが剥離された電子部品搬送体は、電子部品供給装置により電子部品実装装置の内部にそのまま搬送され、電子部品実装装置の吸着ノズルがチップ形電子部品を吸着してプリント配線基板上に実装するという自動実装システムが主流となっている。
【0006】
このような自動実装システムでは、トップカバーテープ、ボトムカバーテープは、キャリアテープに対する確実な接着性を備え、かつ、搬送時等の振動に起因する静電気を防ぎ、チップ形電子部品のキャリアテープ等への付着を防ぐ、いわゆる帯電防止性などの特性を有することが要求されている。
【0007】
このため、従来、トップカバーテープとしてポリエチレン(PE)製の樹脂テープ、ボトムカバーテープとして和紙、薄葉紙等からなる支持基材層の片面全体に対して、ポリオレフィン系樹脂等からなる接着剤層を設け、必要に応じて、この接着剤層上に帯電防止剤によりコーティング処理を施したものが用いられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−370708号公報
【特許文献2】特開2007−161274号公報
【特許文献3】特開2007−001589号公報
【特許文献4】特開2006−232277号公報
【特許文献5】特開2004−306986号公報
【特許文献6】特開2003−137386号公報
【特許文献7】特開平05−021987号公報
【特許文献8】特開平09−186487号公報
【特許文献9】特開平11−046089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、電子部品実装装置の吸着ノズルがチップ形電子部品を吸着できないという、所謂吸着ミスが多発し、チップ形電子部品の実装信頼性の低下が問題となっている。
【0010】
これは、電子部品搬送体を巻いた非導電性のリールは、生産現場への搬送時の摩擦、電子部品供給装置にセットした後のリールの回転等により、リールの表面が、−3000V〜−500Vの静電気に帯電していることが原因の一つとして挙げられる。つまり、リールの表面が−3000V〜−500Vに帯電していると、リールに巻かれた電子部品搬送体もリールからの誘導及びリールとの摩擦により同電位または逆電位に帯電する。そうすると、電子部品搬送体のキャリアテープ、トップカバーテープ等も帯電するため、静電気によりチップ形電子部品がキャリアテープのポケットの壁等に貼り付くのである。
【0011】
また、電子部品搬送体のポケット中のチップ形電子部品が静電気に帯電する他の理由としては、ポケットの大きさがチップ形電子部品よりも若干大きいので、生産現場への搬送時にポケットの中でチップ形電子部品が擦れることも挙げられる。
【0012】
本発明は、前記した問題を解決するためになされたものであって、電子部品搬送体の表面および/または裏面にイオンを含むエアーを吹き付けるという簡単な構成により電子部品搬送体の帯電量を下げ、チップ形電子部品の吸着成功率を向上(吸着ミスを減少)させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(第1発明)
第1発明は、電子部品をキャリアテープのポケットに収納し、キャリアテープの表面にトップカバーテープを貼り付けてポケットを塞いだ電子部品搬送体を巻き付けたリールを、回転自在に支持するリール保持手段と、リールから引き出された電子部品搬送体のトップカバーテープを剥離する剥離手段と、リール保持手段により支持されたリールから引き出された後から、剥離手段によりトップカバーテープが剥離されるまでの間の電子部品搬送体の表面および/または裏面に、イオンを含むエアーを吹き付ける送風手段と、を備えた電子部品供給装置に関するものである。
【0014】
かかる構成により、リールから引き出された直後の帯電した電子部品搬送体は、送風手段から出射されたイオンを含むエアーにより静電気の帯電量が減少し、キャリアテープのポケットに収納された電子部品も帯電量が減少する。このため、その後、トップカバーテープが剥離され、キャリアテープのポケットから電子部品を取り出せる状態になった場合であっても、静電気の影響によりキャリアテープの内周面や底に電子部品が貼り付くことが無い。
【0015】
よって、本第1発明に係る電子部品供給装置を電子部品実装装置にセットした場合、電子部品実装装置の吸着成功率を向上させることができるので、電子部品実装装置の稼働率(プリント配線基板装置の生産効率)を向上させ、電子部品の廃棄数を減少させることができる。
【0016】
(第2発明)
第2発明は、プリント配線基板を搬送する搬送装置と、この搬送装置により搬送されたプリント配線基板上に、第1発明の電子部品供給装置により供給された電子部品を吸着保持して実装する吸着ノズルと、を備えた電子部品実装装置に関するものである。
【0017】
かかる構成により、電子部品実装装置の稼働率(プリント配線基板装置の生産効率)を向上させ、電子部品の廃棄数を減少させることができる電子部品実装装置を提供することができる。
【0018】
(第3発明)
また、第3発明は、電子部品をキャリアテープのポケットに収納し、このキャリアテープの表面にトップカバーテープを貼り付けてポケットを塞いだ電子部品搬送体を巻き付けたリールを準備し、このリールから引き出された電子部品搬送体の表面および/または裏面にイオンを含むエアーを吹き付けた後、電子部品搬送体からトップカバーテープを剥離すると共に、トップカバーテープが剥離された電子部品搬送体を順次搬送する電子部品供給方法に関するものである。
【0019】
(第4発明)
さらに、第4発明は、第3発明の電子部品供給方法により供給された電子部品を吸着ノズルにより吸着保持した後、この吸着ノズルをプリント配線基板の実装位置に移動させ、電子部品をプリント配線基板に実装する電子部品実装方法に関するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、吸着ノズルによる電子部品の吸着成功率を向上できる電子部品供給装置、電子部品実装装置を提供できる。また、本発明は、稼働率を向上し、かつ電子部品の廃棄数を減少できる電子部品供給方法および電子部品実装方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】電子部品供給装置の側面図である(実施例1)
【図2】電子部品供給装置の側面図である(実施例2)
【図3】電子部品搬送体の斜視図である
【図4】キャリアテープの平面図である
【図5】キャリアテープの側面図である
【図6】電子部品供給装置の斜視図である
【図7】電子部品実装装置の構成を説明するための図である
【図8】電子部品供給装置の側面図である(比較例1)
【図9】電子部品供給装置の側面図である(比較例2)
【図10】電子部品供給装置の側面図である(比較例3)
【図11】エアーを当てた箇所を説明するための図である(比較例3)
【図12】キャリアテープの平面図である
【図13】キャリアテープの平面図である
【図14】チップ形電子部品の裏面の図である
【図15】電子部品供給装置の側面図である
【図16】キャリアテープの側面図である
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて、本発明の実施例および比較例について詳細に説明する。
【0023】
(電子部品搬送体の一般的な構成)
図3〜図5に示すように、電子部品搬送体1は、キャリアテープ2とトップカバーテープ3を主な構成要素とする。より詳しく説明すると、電子部品搬送体1は、長手方向に間隔をおいて複数の貫通孔5が形成された紙製のキャリアテープ2の裏面(下面)に、アセテート製のボトムカバーテープ4が接着剤、溶着等により貼り付けられている。このため、キャリアテープ2には、貫通孔5とボトムカバーテープ4によりポケット(収納部)が形成されている。この収納部の各々にチップ形電子部品6が収納されている。
【0024】
また、前記したキャリアテープは、図16に示すように、プレスにより、テープ状厚紙の長手方向に一定の間隔でチップ形電子部品を収納するための凹部状のポケット25を形成したものであっても良い。この場合は、ボトムカバーテープ4が不要になるので、キャリアテープを安価にすることができる。
【0025】
そして、キャリアテープ2の表面(上面)には、樹脂(例えば、PETとPEの2層構造)製のトップカバーテープ3が接着剤、溶着等により貼り付けられ、電子部品搬送体1からチップ形電子部品6が落下しないようになっている。
【0026】
この電子部品搬送体1は、樹脂または紙製のリール8に巻かれており、キャリアテープ2の短手方向の端部には、電子部品搬送体1を搬送するための送り孔7が長手方向に等間隔にあけられている。
【0027】
(一般的な電子部品供給装置の構成)
本発明に係る電子部品供給装置は、前記した特許文献7〜9等に記載されたものの他、電子部品実装機メーカーから供給されている公知の電子部品供給装置をベースにしたものである。これらの電子部品供給装置の一般的な構成について以下に説明する。
【0028】
図6は、電子部品供給装置9の斜視図である。図8は、図6の電子部品供給装置9を分かりやすくするため簡略化して図示した側面図であり、電子部品供給装置9に、電子部品搬送体1を巻いたリール8をセットした状態を示したものである。
【0029】
図8に示すように、電子部品供給装置9の本体16の後端部には、リール保持手段としての軸10が固定されている。この軸10をリール8の略中央部にあけた孔11に挿入することにより、電子部品供給装置9に対してリール8を回転可能に支持(セット)することができる。
【0030】
リール8から引き出された電子部品搬送体1は、本体16の先端部26に取り付けられ電子部品搬送体1を所定ピッチずつ送る搬送手段としてのスプロケット29に取り付けられている。具体的には、スプロケット29の周面に設けられた複数の係合刃が電子部品搬送体1の送り孔7に挿入されている。
【0031】
そして、図示しない電子部品実装装置から供給されるエアー、電気等の動力により動作する駆動機構によって間欠的に回転するスプロケット29の動作により、電子部品搬送体1は、リール8から引き出されると共に先端部26に向かって搬送される。
【0032】
電子部品供給装置9の本体16の先端部26には、剥離手段としての板12が取り付けられており、この板12により、リール8から引き出された電子部品搬送体1の表面にあるトップカバーテープ3がキャリアテープ2の表面から剥離される。そして、キャリアテープ2の表面から剥離されたトップカバーテープ3は、本体16の略中央部に取り付けられた巻き取りリール13により巻き取られる。
【0033】
一方、板12によりトップカバーテープ3が剥離された電子部品搬送体1(キャリアテープ2)は、電子部品供給装置9の本体16の先端部26に取り付けられたスプロケット29の形状に沿って円弧状に彎曲し、電子部品供給装置9の本体16の略中央下部から排出される。
【0034】
尚、電子部品搬送体1の搬送(スプロケット29の間欠駆動)および剥離したトップカバーテープ3の巻き取りリール13での巻き取りは、本体16に取り付けられた図示しないエアシリンダ等の駆動機構を用いて行なう。
【0035】
また、電子部品供給装置9の下面には2本の位置決めピン15が付いており、図6に示す様に、この2本の位置決めピン15を電子部品実装装置の位置決め穴21に挿入することにより、電子部品供給装置9を電子部品実装装置にセットすることができる。
【0036】
そして、図示しない電子部品実装装置の吸着ノズルは、板12によりトップカバーテープ3が剥離された直後の把持部14において、キャリアテープ2のポケットに収納されたチップ形電子部品6を吸着する。
【0037】
(一般的な電子部品実装装置の構成)
次に、電子部品実装装置の一般的な構成について説明する。
図7に示すように、電子部品実装装置50は、電子部品搬送体1によりテーピングされたチップ形電子部品6を供給する電子部品供給装置9と、電子部品供給装置9により供給されたチップ形電子部品6を吸着する吸着ノズル52と、プリント配線基板(ベアボード)53を搬送すると共に定位置に固定する搬送装置としてのコンベア54と、吸着ノズル52を上下(Z軸)方向に動作及び回転動作させる機構を有するヘッド55と、ヘッド55をX軸方向およびY軸方向の任意の位置に位置決めさせるXYロボット56と、吸着ノズル52によって吸着したチップ形電子部品6の裏面中心と吸着ノズル52の先端中心とのずれ量を、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについて測定する測定装置57と、各チップ形電子部品6の実装位置(座標)および測定装置57によって測定されたずれ量を記憶する記憶装置58と、記憶装置58に記憶されたずれ量のデータに基づいて各チップ形電子部品のX軸方向とY軸方向のそれぞれの補正後の実装位置を演算する演算装置59と、演算装置59によって演算された補正後の実装位置に吸着ノズル52を移動させるようにXYロボット56を動作させる制御装置60とを備えたものである。
【0038】
ここで、図12に示すように、X軸、Y軸は、電子部品搬送体1の収納部(ポケット)25の中心(キャリアテープ2の貫通孔5の中心)をY軸およびX軸の原点とし、電子部品搬送体1の搬送方向下流側をY軸のプラス側、上流側をY軸のマイナス側とし、電子部品搬送体1を搬送する送り孔7の無い側をX軸のプラス側、送り孔7の有る側をX軸のマイナス側に設定したものである。また、Z軸は、鉛直方向上側をプラス側、鉛直方向下側をマイナス側に設定したものである。
【0039】
(一般的な電子部品の実装方法)
かかる構成の電子部品実装装置50は、以下のようにして制御される。すなわち、まず、電子部品供給装置9により把持部14までポケット25にチップ形電子部品6が収納されている電子部品搬送体1が搬送される。そして、電子部品実装装置50のXYロボット56により吸着ノズル52がポケット25の真上に位置決めされた後、吸着ノズル52は、Z軸のマイナスの向きに下降し、先端でチップ形電子部品6を吸着し、Z軸のプラスの向きに上昇される。
【0040】
そして、XYロボット56により吸着ノズル52が測定装置57の真上に位置決めされた後、測定装置57により、吸着ノズル52により吸着されたチップ形電子部品6の裏面中心と吸着ノズル52の先端中心とのずれ量がX軸方向とY軸方向のそれぞれについて測定される。
【0041】
ここで、測定装置57は、吸着ノズル52によって吸着されたチップ形電子部品6の画像を撮像するラインセンサである部品撮像手段と、この部品撮像手段にて取り込んだチップ形電子部品6の画像を解析し、チップ形電子部品6の吸着状態(チップ形電子部品6の裏面中心と吸着ノズル52の先端中心とのずれ量)を測定する部品測定手段とを含むものである。
【0042】
具体的には、電子部品供給装置9の把持部14におけるポケット25内のチップ形電子部品6の位置が図13に示すようにY軸のマイナス(−)側およびX軸のマイナス(−)側にずれている場合、吸着ノズル52は、Y軸とX軸の原点(収納部の中心)に位置決めされるので、チップ形電子部品6の中央部(裏面中心)からずれた位置を吸着することになる。その後、XYロボット56によりこの吸着ノズル52を測定装置57上に位置決めすると、測定装置57は、図14に示すようにX軸方向のずれ量=−aと、Y軸方向のずれ量=−bを測定することができる。
【0043】
尚、図14は、測定装置57の部品撮像手段により撮像したチップ形電子部品6を示したものであり、33がチップ形電子部品6の裏面中心、41が吸着ノズル52の先端40の中心である。説明を分かりやすくするため、図14において吸着ノズル52がチップ形電子部品6を吸着した際のポケット25の位置を二点鎖線で示した。
【0044】
その後、かかる測定データ、すなわちずれ量(X、Y)=(−a、−b)をXYロボット56により補正してチップ形電子部品6をプリント配線基板53に実装する。つまり、プリント配線基板53における実装ポイントAの座標が(X、Y)=(α、β)である場合、(X、Y)=(α+a、β+b)を実際の実装ポイントに補正して吸着ノズル52を位置決めし、チップ形電子部品6をプリント配線基板53に実装する。このように、電子部品実装装置50は、チップ形電子部品6の吸着から実装までの一連の工程を繰り返して行う。
【0045】
〔比較例1〕
電子部品供給装置9を搭載した電子部品実装装置50(ヤマハ発動機社製YG−100RB)を用いて、チップ形電子部品(KOA社製RK73B1ETTP)の吸着テストを実施した結果を表1に示す。尚、吸着テストは、プリント配線基板に対してチップ形電子部品を実装した際に、吸着ノズルがチップ形電子部品を吸着する動作の回数(トライ数)と、吸着ミスをした回数をカウントすることにより行なった。
【0046】
また、吸着成功率は乾燥し易い冬季に低下することが知られており、冬季と同様な条件で吸着テストを行うため、本比較例1に限らず、全ての吸着テストで用いたサンプルは、前記したチップ形電子部品(KOA社製RK73B1ETTP)をキャリアテープ2の貫通孔5とボトムカバーテープ4からなるポケットに収納し、このポケットをトップカバーテープ3で塞いだ電子部品搬送体1を、60℃、5時間、焼成前処理にて乾燥したものを用いた。
【0047】
【表1】

表1により、吸着テスト3回中、2回の吸着成功率が99%以下であり、安定して良好な結果(吸着成功率99%以上)が得られないことがわかった。工程能力指数(Cp)は、測定装置57で測定したX軸方向およびY軸方向のそれぞれのずれ量のデータに基づいて算出したものである。
【実施例1】
【0048】
次に、本発明の一実施例について詳細に説明する。尚、前記した一般的な構成と同一の部分は、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
(電子部品供給装置)
本実施例1に係る電子部品供給装置61は、図1に示すように、前記した電子部品供給装置9において、リール8から引き出された後であって、トップカバーテープ3が剥離される前の電子部品搬送体1の表面にイオンを含むエアーを吹き付ける送風手段としての送風器(イオナイザー)70を備えたものである。別言すると、本実施例1に係る電子部品供給装置61は、搬送途中の電子部品搬送体1のトップカバーテープ3の表面およびキャリアテープ2の表面の一部(キャリアテープ2の表面においてトップカバーテープ3が無い部分)に、送風器70により出射されたイオンを含むエアーを当てることを特徴とするものである。本実施例1では、送風器70として、シシド静電気社製PIEZONIZER Zappを用いた。
【0050】
(電子部品供給方法)
次に、電子部品供給方法について説明する。
まず、チップ形電子部品6をキャリアテープ2の貫通孔5に収納し、このキャリアテープ2の表面と裏面にそれぞれトップカバーテープ3とボトムカバーテープ4を貼り付けることにより貫通孔5を塞いだ電子部品搬送体1を巻き付けたリール8を準備する。そして、リール8の略中央部にあけられた孔11を、電子部品供給装置61のリール保持手段としての軸10に回転可能に支持し、このリール8から引き出した電子部品搬送体1の表面に、送風器70を用いてイオンを含むエアーを吹き付ける。
【0051】
その後、電子部品供給装置61の板12により、電子部品搬送体1からトップカバーテープ3を剥離すると共に、トップカバーテープ3が剥離された電子部品搬送体1を把持部14に向けて順次搬送する。
【0052】
(電子部品実装装置および電子部品実装方法)
本実施例1の電子部品実装装置は、前記した電子部品実装装置50における電子部品供給装置9を、前記した電子部品供給装置61にしたものである。
また、本実施例1の電子部品実装方法は、前記した一般的な電子部品の実装方法において、前記した本実施例1に係る電子部品供給方法を用いたものである。
【0053】
(吸着テストの結果)
前記した電子部品供給装置61を搭載した電子部品実装装置(ヤマハ発動機社製YG−100RB)を用いて、チップ形電子部品(KOA社製RK73B1ETTP)の吸着テストを実施した結果を表2に示す。
【0054】
【表2】

吸着テスト2回共、吸着成功率が99%以上であり、安定して良好な結果が得られることがわかった。
【0055】
つまり、本発明により、吸着成功率を向上させることができるので、吸着ミスの多発による電子部品実装装置の稼働率(プリント基板装置の生産効率)の低下や、チップ形電子部品の廃棄数の増加による生産コストのアップ等の問題が生じることがない。
【実施例2】
【0056】
次に、本発明の他の実施例について詳細に説明する。尚、実施例1と同一の部分は、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
本実施例2の実施例1との相違点は、送風機70から出射されたイオンを含むエアーを電子部品搬送体1の裏面から当てた点である。つまり、本実施例2に係る電子部品供給装置62は、図2に示すように、前記した電子部品供給装置9において、リール8から引き出された後であって、トップカバーテープが剥離される前の電子部品搬送体1の裏面にイオンを含むエアーを吹き付ける送風器70(シシド静電気社製PIEZONIZER Zapp)を備えたものである。別言すると、本実施例2に係る電子部品供給装置62は、搬送途中の電子部品搬送体1のボトムカバーテープ4の表面およびキャリアテープ2の裏面の一部(キャリアテープ2の裏面においてボトムカバーテープ4が無い部分)に、送風器70により出射されたイオンを含むエアーを当てることを特徴とするものである。
【0058】
かかる電子部品実装装置(電子部品供給装置62を搭載した電子部品実装装置:ヤマハ発動機社製YG−100RB)を用いて、チップ形電子部品(KOA社製RK73B1ETTP)の吸着テストを実施した結果を表3に示す。
【0059】
【表3】

吸着テスト3回全ての吸着成功率が99%以上であり、安定して良好な結果が得られることがわかった。
【0060】
〔比較例2〕
図9に示すように、比較例1で説明した電子部品供給装置9の把持部14にイオンを含むエアーを吹き付けるように、送風器70(シシド静電気社製PIEZONIZER Zapp)をセットした。この電子部品供給装置を搭載した電子部品実装装置50(ヤマハ発動機社製YG−100RB)を用いて、チップ形電子部品(KOA社製RK73B1ETTP)の吸着テストを実施した結果を表4に示す。
【表4】

吸着テスト2回共、吸着成功率が99%以下であり、良好な結果が得られないことがわかった。
【0061】
〔比較例3〕
比較例1で説明した電子部品供給装置9におけるリール8に巻かれた電子部品搬送体1にイオンを含むエアーが当たるように、送風器70(シシド静電気社製PIEZONIZER Zapp)をセットした(図10、図11)。この電子部品供給装置を搭載した電子部品実装装置50(ヤマハ発動機社製YG−100RB)を用いて、チップ形電子部品(KOA社製RK73B1ETTP)の吸着テストを実施した結果を表5に示す。尚、リールは、ポリエチレン樹脂にカーボンを含有した黒色の導電性リールを用いた。
【表5】

吸着テストは1回しか行わなかったが、吸着成功率が99%以下であり、良好な結果が得られないことがわかった。
【0062】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0063】
前記した実施例においては、電子部品搬送体1の表面または裏面にイオンを含むエアーを吹き付ける送風器70を設けた電子部品供給装置および電子部品実装装置等を示したが、これに限るものではなく、図15に示したように、電子部品搬送体1の表面および裏面に送風機70を設けた構成であっても良い。かかる構成により、実施例1と実施例2の相乗効果により、より高い吸着成功率を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、プリント配線基板に電子部品を実装するために用いる電子部品供給装置および電子部品実装装置等に用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 電子部品搬送体
2 キャリアテープ
3 トップカバーテープ
4 ボトムカバーテープ
5 貫通穴
6 チップ形電子部品
8 リール
9 電子部品供給装置
10 リール保持手段(軸)
12 剥離手段(板)
29 搬送手段(スプロケット)
70 送風手段(イオナイザー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品をキャリアテープのポケットに収納し、該キャリアテープの表面にトップカバーテープを貼り付けて前記ポケットを塞いだ電子部品搬送体を巻き付けたリールを、回転自在に支持するリール保持手段と、
前記リールから引き出された前記電子部品搬送体の前記トップカバーテープを剥離する剥離手段と、
前記リール保持手段により支持されたリールから引き出された後から、前記剥離手段によりトップカバーテープが剥離されるまでの間の前記電子部品搬送体の表面および/または裏面に、イオンを含むエアーを吹き付ける送風手段と、
を備えたことを特徴とする電子部品供給装置
【請求項2】
プリント配線基板を搬送する搬送装置と、
該搬送装置により搬送された前記プリント配線基板上に、請求項1に記載の電子部品供給装置により供給された前記電子部品を吸着保持して実装する吸着ノズルと、
を備えた電子部品実装装置
【請求項3】
電子部品をキャリアテープのポケットに収納し、該キャリアテープの表面にトップカバーテープを貼り付けて前記ポケットを塞いだ電子部品搬送体を巻き付けたリールを準備し、
該リールから引き出された前記電子部品搬送体の表面および/または裏面にイオンを含むエアーを吹き付けた後、
前記電子部品搬送体から前記トップカバーテープを剥離すると共に、該トップカバーテープが剥離された前記電子部品搬送体を順次搬送することを特徴とする電子部品供給方法
【請求項4】
請求項3に記載の電子部品供給方法により供給された前記電子部品を吸着ノズルにより吸着保持した後、
該吸着ノズルをプリント配線基板の実装位置に移動させ、前記電子部品を前記プリント配線基板に実装する電子部品実装方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−54807(P2011−54807A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203189(P2009−203189)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【出願人】(000105350)コーア株式会社 (201)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】