説明

電子部品包装用導電性材料

【課題】 エンボスキャリアテープにおいて、カバーテープとのシール性を良好にする。
【解決手段】 基材シート又は基材フィルムと該基材シート又は基材フィルムの片面又は両面に設けられたポリチオフェンの導電性コート層と、該導電性コート層に設けられたトップコート層とを有し、該トップコート層がMMA(メタクリル酸メチル)モノマ−35〜45重量%とBMA(メタクリル酸n−ブチル)モノマー55〜65重量%との共重合樹脂60〜70重量%と、分子量20万以上のIBMA(メタクリル酸i−ブチル)樹脂30〜40重量%との混合樹脂層である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLSI、コンデンサー等の電子部品を収納、運搬するキャリアテープやトレー、TAB(Tape Automated Bonding)、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Scale Package)等の実装工程を補助するために使用されるスペーサーテープ等の製造に使用される電子部品包装用導電性材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の表面実装化が大きく進んできており、それに伴って表面実装化技術も大巾に進歩している。また、より高性能で小型のチップ型電子部品が開発され、このチップ型電子部品を収納して、搬送、保管し、さらに表面実装に利用する包装形態の一つとしてエンボスキャリアテープが知られている。
【0003】
エンボスキャリアテープは、所定間隔で形成した凹部のポケットにチップ型電子部品を収納し、その凹部をカバーテープでシールすることによりチップ型電子部品を包装し、リールに巻き取った状態で、保管、搬送するものである。そして、搬送したエンボスキャリアテープを表面実装機のカセットフィーダーへ装着し、エンボスキャリアテープを順々に送り出しながらカバーテープを剥がし、チップ型電子部品を自動的にピックアップして回路基板の所定部位へ自動的に配置することにより、チップ型電子部品を回路基板へ組付けていくものである。
【0004】
ところで、エンボスキャリアテープによる保管、搬送、表面実装過程において、エンボスキャリアテープのポケット内部面とチップ型電子部品との摩擦による静電気や、カバーテープを剥がす工程において発生する静電気によって、エンボスキャリアテープが帯電するために、チップ型電子部品に静電気破壊が発生する問題があった。そこで、静電気破壊を防止するために、エンボスキャリアテープに導電性を付与して静電気の蓄積を防止することが行われており、カーボンブラック等の導電性フィラーを樹脂に練り込んだシートを用いたり、シートの表面に導電性コート層を施したりしている(特許文献1、2、3、4参照)。
【0005】
また、TAB、BGA、CSP等に使用するスペーサーテープは、図1に示すように、テープ状に形成したシートの両面にカーボンブラックを含有した導電性コート層を施した導電性テープ10を用い、その両側端において凸部(裏面から見れば凹部)11と凹部(裏面から見れば凸部)12とを交互に繰り返すエンボス加工を施したものである。そして、このスペーサーテープは、超純水洗浄やメタノール、エタノール等のアルコール洗浄を行い、付着している異物を除去した後、図2に示すように、TAB等のテープ20と重ね合わせてリール状に巻取り、保管、搬送し、表面実装に供されるものである。この時、TAB等のテープには、リード及び半導体チップが所定間隔で繰り返し形成されているが、スペーサーテープの両面に形成した凸部11と凹部12がTABテープとの間に間隙を形成しているので、リード及び半導体チップがスペーサーテープに接触しないようになっている。
【0006】
そして、上述したエンボスキャリアテープやスペーサーテープにおいては、導電性コート層の保護のために、導電性コート層の表面にトップコート層が設けられている。
【0007】
ところで、TAB等に使用するスペーサーテープにおいては、製造後、超純水洗浄やメタノール、エタノール等のアルコール洗浄を行ない、付着している異物を除去している。そこで従来、導電性コート層の表面にコートしたトップコート層は、アルコール洗浄に耐性のある塩化ゴム系の樹脂が用いられていた。しかしながら、塩化ゴム系の樹脂は、塩素によって電子部品に金属腐食を発生させる危険性があり、また、燃やした時、ダイオキシン等が発生する問題もあった。なお、塩素を含まない樹脂成分でトップコート層を形成すれば、塩素の問題を解消できるが、アルコール洗浄の耐性が劣るものであり、塩素を含まず、かつ、アルコール耐性が良好なトップコート層が望まれていた。
【0008】
そこで、本出願人は、MMAモノマーを75重量%以上用いて共重合したアクリル樹脂からなるトップコート層を提案した(特許文献5参照)。このトップコート層は、塩素を含まずアルコール耐性が良好なものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−132963号公報
【特許文献2】特開平8−323932号公報
【特許文献3】特開2000−15764号公報
【特許文献4】特開2000−21247号公報
【特許文献5】特開2007−283542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、エンボスキャリアテープは、導電性シートを真空成形、真空−圧空成形又はプレス成形によって凹部を成形した後、その凹部に電子部品を収納し、その凹部をカバーテープでシールすることにより電子部品を包装するものである。
【0011】
しかしながら、エンボスキャリアテープに用いられるカバーテープは主に耐熱基材層/中間層/接着層から成り、接着層はエンボスキャリアテープの基材層であるPET、PS、PC、PVCに良好なシール性を有しているものが多いが、実際に接着する層はトップコート層でありトップコート層の樹脂成分によっては安定的なシール性が得られないという問題点があった。
【0012】
また、前記特許文献5で提案されているアクリル樹脂からなるトップコート層は、アルコール耐性が良好で好ましいものであったが、より一層アルコール洗浄の耐性を向上させることが求められていた。
【0013】
本発明は、以上の問題点を解決し、キャリアテープにおいては、カバーテープとの接着性を良好にできるとともに、スペーサーテープにおいては、アルコール耐性を良好にできることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討し、キャリアテープのトップコート層を、MMA(メタクリル酸メチル)モノマ−35〜45重量%とBMA(メタクリル酸n−ブチル)モノマー55〜65重量%との共重合樹脂60〜70重量%と、分子量20万以上のIBMA(メタクリル酸i−ブチル)樹脂30〜40重量%との混合樹脂で形成することにより、カバーテープとの接着性が向上することを見出し、かつ好ましい接着性に調整することを見出し、本発明を完成させたものである。
【0015】
また、スペーサーテープのトップコート層を、MMAモノマー75重量%以上とBMAモノマ−25重量%以下との共重合樹脂で形成することにより、アルコール洗浄の耐性が向上することを見出し、本発明を完成させたものである。
【0016】
請求項1に係る電子部品包装用導電性材料は、基材シート又は基材フィルムと該基材シート又は基材フィルムの片面又は両面に設けられたポリチオフェンの導電性コート層と、該導電性コート層に設けられたトップコート層とを有し、該トップコート層がMMA(メタクリル酸メチル)モノマ−35〜45重量%とBMA(メタクリル酸n−ブチル)モノマー55〜65重量%との共重合樹脂60〜70重量%と、分子量20万以上のIBMA(メタクリル酸i−ブチル)樹脂30〜40重量%との混合樹脂層であり、カバーテープとの接着に優れたキャリアテープ用であることを特徴として構成されている。
【0017】
請求項2に係る電子部品包装用導電性材料は、基材シート又は基材フィルムと該基材シート又は基材フィルムの片面又は両面に設けられたポリチオフェンの導電性コート層と、該導電性コート層に設けられたトップコート層を有し、該トップコート層がMMAモノマー75重量%以上とBMAモノマー25重量%以下との共重合樹脂であり、アルコール洗浄に強いスペーサーテープ用であることを特徴として構成されている。
【0018】
請求項3に係る電子部品包装用導電性材料は、請求項1又は2記載の電子部品包装用導電性材料において、表面抵抗値が1×10Ω以下であることを特徴として構成されている。
【0019】
請求項4に係る電子部品包装用導電性材料は、請求項1、2又は3記載の電子部品包装用導電性材料において、基材シート又は基材フィルムが、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PI(ポリイミド)、PS(ポリスチレン)又はHIPS(ハイインパクトポリスチレン)のシート又はフィルムであることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る電子部品包装用導電性材料においては、トップコート層として、MMAモノマ−35〜45重量%とBMAモノマ−55〜65重量%との共重合樹脂と、分子量20万以上のIBMA樹脂とで構成されており、MMAモノマ−とBMAモノマ−との共重合樹脂は接着性を有するので、カバーテープとの間に良好なシール(ピール)強度を安定的に得ることができる。また、同時に配合するIBMA樹脂は接着性を有しないものであるので、配合を調整することにより、最適なシール強度に調整することができる。このシール強度としては、研究の結果、0.5〜1.0N/10mm巾が好適であることが判明したので、当該シール強度を得るように配合することができる
【0021】
請求項2に係る電子部品包装用導電性材料においては、トップコート層として、MMAモノマー75重量%以上とBMAモノマー25重量%以下との共重合樹脂で構成されているので、トップコート層をコートする際の溶剤には溶けるが、アルコールには溶けないので、アルコール洗浄によってトップコート層が剥落することがない。
【0022】
請求項3に係る電子部品包装用導電性材料においては、表面抵抗が1×10Ω以下であるので、帯電を可及的に防止することができ、埃等の異物を吸着することがない。したがって、電子部品に埃が付着するのを防止することができる。
【0023】
請求項4に係る電子部品包装用導電性材料においては、基材シート又は基材フィルムをPET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PI(ポリイミド)、PS(ポリスチレン)又はHIPS(ハイインパクトポリスチレン)で形成することにより、機能や用途、コスト等の観点から最適のものを選ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】TABテープに使用するスペーサーテープの平面図
【図2】TABテープとスペーサーテープとをリール状に巻いた状態の部分側面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の電子部品包装用導電性材料は、基材シート又は機材フィルムが設けられており、この基材シートまたは基材フィルムとしては、例えば、PET、PC、PP、PI、PS、HIPSのシート又はフィルムが好ましい。
【0026】
基材シート及び基材フィルム厚みは、各シート及びフィルムの剛性や用途、使用方法によっても異なるが、100〜300μmが好適である。TABのスペーサーテープの場合であれば、PETフィルムの125μmが好適であり、チップ型電子部品に用いられるエンボスキャリアテープの場合であれば、250〜300μmが好適である。
【0027】
基材シート又は基材フィルムの片面又は両面に導電性組成物からなる導電性コート層が設けられている。例えば、エンボスキャリアテープに用いる場合は、ポケット部にチップ型電子部品を収納し、カバーテープでシールして用いるので、片面にのみ導電性コート層を設ければよく、TABのスペーサーテープに用いる場合は、TABテープとスペーサーテープとを重ね合わせた状態でリール状に巻くので、スペーサーテープの両面がTABテープと対向することになる。したがって、基材シートの両面に導電性コート層を設ける必要がある。
【0028】
導電性コート層としてはポリチオフェンが用いられる。ポリチオフェンは導電性ポリマーであり、プラスチック成形体の帯電防止処理や電子装置及びコンデンサーに於ける有機伝導体として使われている。基材シート又は基材フィルムに導電性を与えるためには、ポリチオフェンの塗布液を基材シート又は基材フィルムに塗布した後、乾燥して固着させ、導電性コート層を形成する。塗布液は次のものが挙げられる。
ポリチオフェン 0.5〜1.0重量%
イソプロピルアルコール 55〜 65重量%
水 35〜 45重量%
【0029】
ポリチオフェンは、基材シート又は基材フィルムには乾燥することによってそのまま固着されるので、バインダーの樹脂成分は無くて良い。塗布方法は特に限定されないが、グラビアロールによる塗布が最も一般的で効果的に塗布することが出来る。
【0030】
導電コート層表面には、導電コート層を保護するために、トップコート層が形成される。キャリアテープ用のトップコート層は、MMAモノマ−35〜45重量%とBMAモノマ−55〜65重量%との共重合樹脂(アクリル樹脂A)60〜70重量%と、分子量20万以上のIBMA樹脂(アクリル樹脂B)30〜40重量%との混合樹脂で形成される。アクリル樹脂Aは接着機能を有し、カバーテープとの接着に寄与する。アクリル樹脂Bは接着機能は有しておらず、配合を調整することによりアクリル樹脂Aの接着力を調整することができ、また、トップコート層の均一塗膜に寄与する。塗布液としては次のものが挙げられる。
アクリル樹脂A(MMA:BMA≒40重量%:60重量%)
8〜 10重量%
アクリル樹脂B(IBMA、分子量20万以上) 4〜 6重量%
硝化綿 0.5〜1.5重量%
メチルエチルケトン 40〜 50重量%
イソプロピルアルコール 30〜 40重量%
添加剤(消泡剤、ワックス等) 1〜 5重量%
【0031】
スペーサーテープ用のトップコート層は、MMAモノマ−75重量%以上BMAモノマ−25重量%以下の共重合樹脂である。MMAモノマ−75重量%未満であると、アルコール洗浄の耐性を十分に得ることが出来ない。しかしMMAモノマ−が80%を超えるとMMAモノマ−の増加につれて塗布液の溶剤に溶け難くなるので、塗布液の溶剤に溶解する範囲において適切な量を採用することが好ましい。塗布液としては次のものが挙げられる。
アクリル樹脂(MMA:BMA=80重量%:20重量%)
10〜12重量%
硝化綿 5〜 8重量%
イソプロピルアルコール 10〜20重量%
酢酸エチルエステル 10〜20重量%
トルエン 10〜20重量%
メチルエチルケトン 10〜20重量%
プロピレングリコールモノメチルエーテル 15〜25重量%
添加剤(消泡剤、ワックス等) 1〜 5重量%
【0032】
塗布方法は、特に限定されないがグラビアロールによる塗布が最も一般的で効果的に塗布することが出来る。
【0033】
本発明の電子部品包装用導電性材料の表面抵抗値は1×10Ω以下であることが好ましく、1×10Ω〜1×10Ωであることがより好ましい。1×10Ω以上であれば、ほこりやゴミ等の異物付着防止が期待できず、1×10Ω以下ではコスト高となるのみである。
【0034】
本発明の電子部品包装用導電性材料の用途としては、電子部品を収納等に使用するキャリアテープやTAB、BGA、CSP等の実装工程に使用するスペーサーテープ等である。
【実施例1】
【0035】
基材シートとしてA−PET(東洋紡(株)製PETMAXW565SEOR)厚さ200μm×巾640mm×長さ1000mを中島精機(株)製GX−II−1500、4色印刷機の繰出し部にセットし、1色目の印刷ユニットのヘリオ彫刻によるスクリーン線数200線のグラビア版胴によって下記の組織の塗布液をコートした後、熱風温度80℃、スピード60m/minの条件で乾燥し、導電性コート層を形成した。
塗布液;大阪印刷インキ製造(株)製「OYT−NZ PIT改1(BL)」
ポリチオフェン 0.75重量%
イソプロピルアルコール 60重量%
精製水 39.25重量%
【0036】
次いで、2色目の印刷ユニットのオハイオ彫刻によるスクリーン線数60線のグラビア版胴によって下記の塗布液をコートした後、熱風温度70℃、スピード60m/minの条件で乾燥しトップコート層を形成した。
塗布液;大阪印刷インキ製造(株)製「OYT−AZ OP=ス改1(BL)
アクリル樹脂A(MMA:BMA≒40重量%:60重量%)
10重量%
アクリル樹脂B(IBMA分子量20万以上) 5重量%
硝化綿 1重量%
メチルエチルケトン 45重量%
イソプロピルアルコール 37重量%
添加剤 2重量%
【0037】
このようにしてトップコート層/導電性コート層/A−PETのキャリアテープ用の導電性シートを作製した。この導電性シートの表面抵抗値とカバーテープとのシール強度を測定した。
【0038】
[表面抵抗値]
JIS K 6911の方法に従って、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中で測定した。測定の結果、表面抵抗値は1×10Ωであった。したがって、異物が付着するのを防止できることが確認された。
【0039】
[シール強度]
(株)サンエー化研製のカバーテープ「アドピールASC」(PET/オレフィン層/特殊オレフィン層)を、ヒートシール機を用いて温度150℃、圧力0.20MPa、シール時間0.3秒の条件で導電性シートにシールした。そのシール強度を剥離速度300mm/minで測定した結果、シール強度は0.6N/10mm巾であった。導電性シート(キャリアテープ)とカバーテープとのシール強度は強すぎず弱すぎず適正な値であった。
【実施例2】
【0040】
基材フィルムとして東レ(株)製PETフィルム「ルミラーS10」(厚さ125μm×巾1020mm×長さ1200m)を中島精機(株)製「GX−II−1500」4色印刷機の繰り出し部にセットし、実施例1と同一の塗布液で実施例1と同一の条件で塗布・乾燥し導電性コート層を形成した。
【0041】
次いで2色目の印刷ユニットのオハイオ彫刻によるスクリーン線60線のグラビア版胴によって下記の組織の塗布液をコートした後、熱風温度70℃、スピード60m/minの条件で乾燥しトップコート層を形成した。
塗布液;大阪印刷インキ製造(株)製
「PET−AC透明導電 OP=ス(BL) FNP」
アクリル樹脂(MMA:BMA=80重量%:20重量%)
11重量%
硝化綿 7重量%
イソプロピルアルコール 15重量%
酢酸エチルエステル 15重量%
メチルエチルケトン 15重量%
トルエン 15重量%
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20重量%
添加剤(消泡剤、ワックス等) 2重量%
【0042】
この片面側に導電性コート層及びトップコート層を形成したPETフィルム(機材フィルム)を一度巻き取った後、再度、中島精機(株)製「GX−II−1500」4色印刷機の繰出し部にセットし、導電性コート層及びトップコート層が形成された面の反対面に、同一の塗布液、同一の条件で導電性コート層及びトップコート層を形成し、トップコート層/導電性コート層/PETフィルム/導電性コート層/トップコート層の5層からなる導電性テープを作製した。この導電性テープの表面抵抗値とアルコール耐性を評価した。
【0043】
[表面抵抗値]
JIS K 6911の方法に従って、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中で測定した。測定の結果、表面抵抗値は1×10Ωであった。したがって、異物が付着するのを防止できることが確認された。
【0044】
[アルコール耐性]
綿棒にメタノールを含ませ、力を入れて導電性テープの表面を10回こすって、その表面の光沢や侵食の有無を観察した。観察の結果、光沢があり、アルコールによって侵されている様子は見られなかった。したがって、アルコール洗浄に耐えられることが確認された。
【0045】
次いで、この導電性テープを巾35mmにスリットし、巻き取ったロールを連続的に繰出して加熱しながらエンボスを形成した金属ロールの間に挟んで、両側端に、径4.0mm、深さ1.0mmの断面円弧状の凸部及び凹部を1個毎に互い違いになるように連続的に形成し、スペーサーテープを作製した。
【0046】
このスペーサーテープを連続的に繰出し、メタノール液中を通過させながら超音波洗浄を行った後、乾燥させ、TAB等のスペーサーテープを作製した。このスペーサーテープの表面抵抗値とアルコール耐性を前述した方法で評価した。
【0047】
[表面抵抗値]
表面抵抗値は1×10Ωであった。したがって、異物が付着するのを防止できることが確認された。
【0048】
[アルコール耐性]
光沢がありアルコールによって侵されている様子は見られなかった。したがって、アルコール洗浄に耐えられることが確認された。
【符号の説明】
【0049】
10 スペーサーテープ
11 凸部
12 凹部
20 TABテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート又は基材フィルムと該基材シート又は基材フィルムの片面又は両面に設けられたポリチオフェンの導電性コート層と、該導電性コート層に設けられたトップコート層とを有し、該トップコート層がMMA(メタクリル酸メチル)モノマ−35〜45重量%とBMA(メタクリル酸n−ブチル)モノマー55〜65重量%との共重合樹脂60〜70重量%と、分子量20万以上のIBMA(メタクリル酸i−ブチル)樹脂30〜40重量%との混合樹脂層であり、カバーテープとの接着に優れたキャリアテープ用の電子部品包装用導電性材料。
【請求項2】
基材シート又は基材フィルムと該基材シート又は基材フィルムの片面又は両面に設けられたポリチオフェンの導電性コート層と、該導電性コート層に設けられたトップコート層を有し、該トップコート層がMMAモノマー75重量%以上とBMAモノマー25重量%以下との共重合樹脂であり、アルコール洗浄に強いスペーサーテープ用の電子部品包装用導電性材料。
【請求項3】
表面抵抗値が1×10Ω以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品包装用導電性材料。
【請求項4】
前記基材シート又は基材フィルムが、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PI(ポリイミド)、PS(ポリスチレン)又はHIPS(ハイインパクトポリスチレン)のシート又はフィルムであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の電子部品包装用導電性材料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−93101(P2011−93101A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246203(P2009−246203)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(594146180)中本パックス株式会社 (40)
【出願人】(000205410)大阪印刷インキ製造株式会社 (12)
【Fターム(参考)】