説明

電子部品及び検査システム

【課題】特別な検査装置を要することなく、基板への実装状態の適否を容易且つ迅速に検査可能な電子部品の提供。
【解決手段】デバイス1に内蔵されたCPU14は、I/F17が外部端末3から検査開始コマンドを受信したことを契機として検査処理を開始し、冗長端子11である検査用端子13をプルアップ抵抗付きの入力に切り替え、検査用端子13に所定電圧を印加し、検査用端子13の入力電圧を検出し、検出した入力電圧を検査結果として外部端末3へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端子が基板の実装面に半田付けによって接続される電子部品とその検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板の端子とデバイスとの半田接合部をビデオカメラで半田接合部を撮像し、撮像された画像に基づいて半田付け状態の適否を判定する検査装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−285530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記検査装置では、電気的な接触が不安定であるにも拘わらず外観によって亀裂や破断が確認し難い半田接合部の場合、その接続不良を検出することができない可能性がある。また、特別な検査装置を要するため、基板が製品に組み込まれて出荷された後に不具合が発生し、基板に対するデバイスの実装状態を検査して修理する必要が生じた場合には、検査工程を行っている工場等までその製品(デバイス及び基板)を送って検査を行わなければならず、煩雑である。
【0005】
そこで、本発明は、特別な検査装置を要することなく、基板への実装状態の適否を容易且つ迅速に検査可能な電子部品、及びその検査システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板との対向面に複数の端子を有し、これら複数の端子が前記基板の実装面に半田付けによって接続される電子部品であり、この電子部品は、送受信手段と検出制御手段とを備える。送受信手段は、外部端末との間で情報を送受信する。検出制御手段は、複数の端子が実測面に接続された状態で送受信手段が外部端末から検査開始情報を受信したことを契機として検査処理を開始し、送受信手段から外部端末へ検査結果を送信する。
【0007】
複数の端子は、他の電子部品に接続される機能端子と接続されない冗長端子とを含む。冗長端子は、プルアップ抵抗付きの入力またはプルダウン抵抗付きの入力に切り替え可能な検査用端子を含む。
【0008】
検出制御手段は、検査処理において、検査用端子に所定電圧が印加されるように検査用端子をプルアップ抵抗付きの入力またはプルダウン抵抗付きの入力に切り替え、検査用端子の入力電圧を検出し、検出した入力電圧を検査結果として外部端末へ送信する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特別な検査装置を要することなく、基板への実装状態の適否を容易且つ迅速に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】通常モードを示す模式図である。
【図3】検査モードを示す模式図である。
【図4】判定距離を示す模式図である。
【図5】期待値パターンを示す模式図である。
【図6】検出データパターンを示す模式図である。
【図7】検査用端子の選択基準を説明する模式図である。
【図8】検査用端子の選択基準を説明する模式図である。
【図9】検査工程を示すフローチャートである。
【図10】他の実施形態における検査用端子の選択基準を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態の検査システムは、表面実装タイプのデバイス(電子部品)1と基板(プリント配線基板(Printed Wiring Board))2との間の半田付による電気的な接続が適正であるか否かを判定するものであり、汎用の外部端末(例えば、PC:Personal Computer)3を備える。
【0013】
外部端末3の記憶部4には、検査プログラムが記憶されている。検査プログラムは、後述する期待値パターンを含み、外部端末3の制御部5は、検査プログラムに従って検査処理を実行する。
【0014】
基板2の実装面6には、デバイス1の端子7に対応する接続電極8と、接続電極8から延びる回路パターン(図示省略)とが形成されている。回路パターンは、デバイス1を電源に接続する回路パターン(電源パターン)とGNDレベルに設定される回路パターン(GNDパターン)とを含む。後述する冗長端子11の一つが電源供給用端子に割り当てられる。
【0015】
デバイス1は、ワンチップマイコンとして構成された半導体チップであり、例えば、LSI(Large Scale Integrated Circuit)やULSI(Ultra Large Scale Integrated Circuit)などである。
【0016】
複数の端子7は、基板2の実装面6と対向するデバイス1の裏面に形成されている。各端子7は、基板2の接続電極8に半田付けされることによって基板2に実装され、接続電極8を介して回路パターンに電気的に接続される。各端子7には半田ボールが設けられ、デバイス1の実装工程において、各半田ボールを対応する接続電極8にそれぞれ接触させた状態で実装面6を全体的に加熱することにより、半田ボールがそれぞれ溶融して半田接合部9となり、端子7と接続電極8とが半田接合部9によって接続される。
【0017】
複数の端子7は、複数の機能端子10と複数の冗長端子11とを含む。機能端子10とは、接続電極8及び回路パターンを介して他の外部デバイス12に接続される端子である。冗長端子11とは、外部デバイス12に接続されない空き端子である。冗長端子11の一つは、電源用端子に割り当てられる。電源用端子が接続される接続電極8は、電源パターンに接続されている。また、電源用端子以外の冗長端子11のうち少なくとも一つ端子は、検査用端子13として用いられる。検査用端子13は、プルアップ(Pull-UP)抵抗付きの入力に切り替え可能な端子である。なお、全ての冗長端子11がプルアップ抵抗付きの入力に切り替え可能な端子であってもよい。また、電源供給用端子及び後述する通信用端子21以外の冗長端子11が接続される接続電極8は、GNDパターンに接続されている。
【0018】
デバイス1は、その内部構成として、CPU(Central Processing Unit)14、ROM(Read Only Memory)15、RAM(Random Access Memory)16、外部通信用のインターフェイス(I/F:Interface)17、及びバス(Data BUS)18などを備える。CPU14は検出制御手段として機能し、I/F17は送受信手段として機能する。基板2には、通信線19が着脱自在に接続されるポート20が設けられている。ポート20は、通信線19を介して外部端末3に接続され、デバイス1のI/F17は、通信用端子21、回路パターン、ポート20及び通信線19を介して外部端末3との間でデータを送受信する。外部端末3との通信に使用する上記通信用端子21には、上記電源用端子及び検査用端子13以外の冗長端子11が割り当てられる。
【0019】
ROM15には、ファームウェアが格納され、CPU14は、ファームウェアに従って所定の処理を実行する。ファームウェアは、電圧検出プログラムを含む。デバイス1は、外部端末3から検査開始コマンド(検査開始情報)を受信することによって、通常モードから検査モードに遷移する。
【0020】
検査モードに遷移すると、CPU14は、電圧検出プログラムに従って検査処理を実行する。通常モードの検査用端子13は、CPU14によって汎用出力ポート22側に設定され、その出力がグランドレベル(GNDレベル)に維持される。また、通常モードから検査モードへ遷移すると、CPU14は、検査用端子13をプルアップ抵抗付きの汎用入力ポート23側に瞬時に切り替える。この切り替えによって検査用端子13に所定電圧(本実施形態では電源電圧)が印加され、その入力電圧を検出し、検出値をレベルデータとしてRAM16に記憶する。全ての検査用端子13に対して入力電圧の検出及びレベルデータの記憶が完了すると、CPU14は、RAM16に記憶したレベルデータを外部端末3へ送信する。なお、電源電圧を変換する回路を設け、検査モード時において、電源電圧以外の所定電圧を検査用端子13に印加してもよい。
【0021】
デバイス1からレベルデータを受信した外部端末3は、受信したレベルデータの検出データパターンと予め設定された期待値パターンとを比較し、実装異常の有無を判定し、判定結果をモニタ画面(図示省略)に表示する。
【0022】
次に、検査モードにおける検査用端子13の入力電圧と接続状態との関係について説明する。
【0023】
図2に示すように、通常モード(初期状態)では、検査用端子13の出力はGNDレベルであり、検査用端子13が接続される基板2の接続電極8もGNDレベルである。
【0024】
図3に示すように、通常モードから検査モードへ遷移し、検査用端子13がプルアップ抵抗付きの入力に切り替わり、電源電圧が印加された場合、検査用端子13が半田接合部9によって接続電極8に適正に接続されていれば、検査用端子13の入力電圧(図3中のPort1の入力電圧)はGNDレベルに維持される。
【0025】
一方、半田接合部9にクラックなどの異常が存在し、検査用端子13と接続用端子と電気的な接続が切断されていると、検査用端子13の入力電圧(図3中のPort2の入力電圧)は、プルアップ抵抗に引かれて電源レベルとなる。
【0026】
すなわち、検査用端子13をプルアップ抵抗付きの入力に切り替えて電源電圧を印加したときの入力電圧がGNDレベルのときは、適正な接続であると判定することができ、入力電圧が電源レベルのときは、接続不良であると判定することができる。
【0027】
次に、検査用端子13の接続不良と機能端子10の接続状態との関係について説明する。
【0028】
端子7と接続電極8との間で接続不良が発生する主な理由の一つに、デバイス1の実装工程において、実装面6を加熱した際の温度分布が均一とならないことが挙げられる。加熱時に適正温度よりも高温または低温の領域が生じると、半田ボールに対して過剰な加熱または加熱不足となり、半田接合部9が適正に形成されず、接続不良となる可能性が生じる。
【0029】
また、他の理由として、基板2やデバイス1の変形が挙げられる。基板2やデバイス1が変形していると、デバイス1の実装工程において、端子7と接続電極8との相対的な位置関係にバラツキが生じ、端子7と接続電極8とが適正に接触せずに接続不良となる可能性が生じる。
【0030】
このような理由による接続不良は、何れも端子7の位置に起因したものであり、ある一つの端子7が接続不良である場合、その端子7から所定の範囲内に配置された他の端子7も接続不良である可能性が高い。本発明は、このような実状に着目したものであり、接続不良と検出された検査用端子13(冗長端子11)から判定距離内の機能端子10を接続不良と推定し、機能端子10の接続状態が適正であるか否かを判定している。
【0031】
判定距離は、実験等の結果に基づいて予め設定される。図4の例では、方眼状(マス目状)の端子の配列パターンを想定し、基準となる端子7(検査用端子11)の縦方向または横方向(図4では横方向を例示)に隣接する端子7(図4中で符号1を付した機能端子10)を接続状態の判定対象とする場合の判定距離を「1」とし、基準となる端子7(検査用端子11)の縦方向に隣接する端子7及びその横方向に隣接する端子7の接続状態、並びに基準となる端子7の横方向に隣接する端子7(図4中で符号1を付した機能端子10)とその縦方向に隣接する端子7(図4中で符号2を付した機能端子10)の接続状態を判定対象とする場合の判定距離を「2」とする。判定距離を大きく設定するほど検査基準が厳しくなり、判定距離を無限大に設定した場合、全ての検査用端子13が適正な接続状態であると検出されない限り、デバイス1が接続不良と判定される。
【0032】
次に、期待値パターン及び検出データパターンについて説明する。
【0033】
図5及び図6は、64個の端子7を方眼状に配列した場合の例を示している。64個の端子7のうち15個の端子が機能端子10(図5及び図6中に二重丸で示す)であり、他が冗長端子11である。冗長端子11のうち10個の端子が検査用端子13(図5中で斜線を付して示す)として設定されている。また、この例は、判定距離を「1」に設定したものであり、全ての機能端子10について少なくとも一つの検査用端子13が縦方向または横方向に隣接するように、冗長端子11の中から検査用端子13が設定されている。期待値パターン(図5)では、検査用端子13のレベルデータは、全てGNDレベルに設定されている。
【0034】
図5に示す期待値パターンに対し、図6に示すような検出データパターンが検出された場合、機能端子10の接続状態は以下のように判定される。
【0035】
図6に示す検出データパターンは、10個の検査用端子13のうち3個の端子のレベルデータが電源レベルであり、期待値パターンとの比較によって、これらの端子が接続不良と検出される。図6では、これら接続不良と検出された検査用端子13に×印を付して表している。機能端子10の接続状態の判定では、接続不良と検出された各検査用端子13を基準とし、各検査用端子13からの判定距離が「1」である全ての機能端子10(この例では4個の機能端子10)の接続状態が不適正である(接続不良である)と判定される。図6では、これら接続不良と判定された機能端子10に×印を付して表している。
【0036】
また、判定距離の狭広に応じて検査用端子13の数を増減することが可能であり、図6の例において、判定距離を長く(例えば、判定距離を「2」に)設定することにより、検査用端子13の数を減らすことができる。
【0037】
また、基板2の変形(反り)が端子7の接続状態に与える影響は、基板2の中央部分よりも外周縁側の方が大きいことから、一つの機能端子10の判定距離内に複数の冗長端子11が存在する場合、これらの複数の冗長端子11のうち、端子7の配列パターンにおいて最外周側に配置された冗長端子11を検査用端子13として選択することが好適である。例えば、図7に示すような端子7の配列パターンであり、判定距離が「1」の場合を想定する。機能端子10Aに対して判定距離が「1」である4つの冗長端子11A〜11Dが存在する場合、4つの冗長端子11A〜11Dのうち、機能端子10Aの外周側に配置された冗長端子11Aを検査用端子13として用いればよい。また、図8に示すように配列パターンの最外周に機能端子10Bが配置され、機能端子10Bの隣接する最外周の冗長端子11E,11Fが存在する場合、最外周の冗長端子11E,11F(複数の場合にはそのうちの一つ)を検査用端子13として用いればよい。また、機能端子10Bの両側に冗長端子11E、11Fが存在し、その一方の冗長端子11Fの方が他方よりも基板2の角部2aに近接している場合には、この角部2aに近接した冗長端子11Fを検査用端子13として用いることが好適である。
【0038】
次に、本実施形態の検査工程を、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
検査作業者は、デバイス1が実装された基板2のポート20と外部端末3とを通信線19によって接続し、デバイス1に電源を投入する(ステップS1)。次に、外部端末3のキーボードなどの入力部(図示省略)に対して、検査工程の開始を指示するための所定の入力を行う。検査作業者が開始指示を入力すると、外部端末3は、検査プログラムに従って処理を開始し、モニタ画面に検査処理の実行開始の指示を要求する画像を表示する。
【0040】
検査作業者は、モニタ画面に表示された要求に応じて実行開始の指示を入力部へ入力する。外部端末3は、この入力に応じてデバイス1へ検査開始コマンドを送信する(ステップS2)。検査開始コマンドを受信したデバイス1は通常モードから検査モードへ遷移し、CPU14が検査処理を開始する。この検査処理において、CPU14は、検査用端子13をプルアップ抵抗付きの汎用入力ポート23側に瞬時に切り替え(ステップ3)、検査用端子13に電源電圧を印加し、その入力電圧を検出し、検出値をレベルデータとしてRAM16に記憶する(ステップS4)。全ての検査用端子13に対して入力電圧の検出及びレベルデータの記憶が完了すると、CPU14は、RAM16に記憶したレベルデータを外部端末3へ送信する(ステップS5)。デバイス1側の検査処理はレベルデータの送信によって終了し、デバイス1が検査モードから通常モードへ遷移する。
【0041】
外部端末3は、デバイス1からレベルデータを受信し、受信したレベルデータの検出データパターンと予め設定された期待値パターンとを比較して、検査用端子13の接続不良を検出する。そして、接続不良と検出した検査用端子13を基準として所定の判定距離に位置する機能端子10を、接続不良であると判定する(ステップS7)。
【0042】
接続不良の機能端子10が存在しない場合(実装異常がない場合)、外部端末3は、デバイス1と基板2との接続状態が適正である(合格である)こと報知する画像をモニタ画面に表示する(ステップS8)。モニタ画面を確認した検査作業者は、デバイス1への電源供給を停止し、通信線19をポート20から抜き(ステップS9)、デバイス1が実装された基板2を次工程へ送る。
【0043】
一方、接続不良の機能端子10が存在する場合(実装異常がある場合)、外部端末3は、デバイス1と基板2との接続状態が不適正である(不合格である)こと報知する画像をモニタ画面に表示する(ステップS10)。この画像は、接続不良と判定した機能端子10を特定する情報を含む。モニタ画面を確認した検査作業者は、デバイス1への電源供給を停止し、通信線19をポート20から抜き(ステップS11)、接続不良の解析等を行う。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、検査用端子13の導通状態を検出し、その検出結果から機能端子10の接続状態を判定している。従って、電気的な接触が不安定であるにも拘わらず外観的に亀裂や破断が確認し難い半田接合部9であっても、その接続不良を検出することができる。
【0045】
また、デバイス1では、外部端末3からの検査開始コマンドを受信することによりCPU14が基板2に対する自己の接続状態を検査し、外部端末3は、予め記憶された検査プログラムに従って、検査工程の各処理を実行する。従って、特別な検査装置が不要であり、汎用の外部端末3に検査プログラムを設定し、外部端末3とデバイス1とを接続線によって接続するだけで、デバイス1の実装不良の判定を行うことができる。このため、基板2が製品に組み込まれて出荷された後に不具合が発生し、基板2に対するデバイス1の実装状態を検査して修理する必要が生じた場合であっても、検査工程を行っている工場等までその製品(デバイス1及び基板2)を送らずに、修理担当者が任意の場所で容易に実装状態を検査することができる。
【0046】
また、デバイス1では、基板2に対する自己の接続状態を内蔵のCPU14が検査するので、迅速な検査が可能である。
【0047】
また、検査用端子13の数を少なく設定することにより、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0048】
さらに、基板2上に実装されるデバイス1の機能端子10を直接検査せず、周辺の冗長端子11を検査用端子13として使用しているので、機能端子10を介して接続される外部デバイス12の特性(例えば入力インピーダンスのバラツキなど)の影響を受けることがなく、安定した検査結果を得ることができる。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、複数の冗長端子11の中から検査用端子13を選択する基準を除き、上記第1実施形態と基本的に共通する。このため、上記第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0050】
すなわち、機能端子10から判定距離内の冗長端子11が検査用端子13の選択対象となる上記第1実施形態に対し、本実施形態では、図10に示すように、複数の冗長端子11のうち、端子7の配列パターンにおいて最外周に配置される冗長端子11P,11Q,11R,11S,11T,11U,11V・・・が検査用端子13の選択対象となる(図10には、冗長端子11Pを検査用端子13として選択した例を示す)。
【0051】
配列パターンの最外周に配置される冗長端子11P・・・のうち何れを検査用端子13として用いるかは任意であるが、配列パターンの最外周の各辺(例えば、方眼状に配置するパターンでは4辺)において少なくとも1つの検査用端子13を設定することや、基板2の角部2aに最も近接して配置される冗長端子11S(例えば、配列パターンの角部に配置される冗長端子)を検査用端子13として選択することは好適である。このように、端子7の配列パターンにおいて最外周に配置される冗長端子11から検査用端子13を選択するのは、基板2の変形(反り)が端子7の接続状態に与える影響を考慮した場合、基板2の中央部分(配列パターンの内部側)よりも外周縁側(配列パターンの最外周)の方がその影響が大きいためである。なお、この場合、外部端末3は、機能端子10の個々の接続状態は判定せず、基板2全体として接続状態の適否を判定する。また、最外周に配置される複数の冗長端子11P・・・のうち機能端子10に最も近い冗長端子11(図10の場合、冗長端子11U)を優先して検査用端子13として選択してもよい。
【0052】
なお、上述の各実施の形態の説明は本発明の一例である。このため、本発明は上述の各実施の形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施の形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。
【0053】
例えば、検査用端子としてプルダウン(Pull-Down)抵抗付きの入力に切り替え可能な端子を用いてもよい。この場合、検査用端子の出力側は電源レベルに接続され、検査モードにおける入力電圧が電源レベルのときは、適正な接続であると判定することができ、入力電圧がGNDレベルのときは、接続不良であると判定することができる。
【0054】
また、プルアップ抵抗付き入力への切り替え機能やプルダウン抵抗付きの入力への切り替え機能を有さない冗長端子を、検査用端子として用いてもよい。この場合、通常モードと検査モードにおいて、検査用端子に対する所定電圧の印加の有無を切り替えるとともに、検査端子の入力電圧を、通常モードでは所定レベル又はGNDレベルの一方とし、検査モードにおいて、適正な接続状態では所定レベル又はGNDレベルの一方とし、接続不良状態ではその他方とする回路を設ければよい。
【0055】
また、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせ、機能端子10から判定距離内の冗長端子11を検査用端子13として用いるとともに、端子7の配列パターンにおいて最外周に配置される冗長端子11を検査用端子13として用いてもよい。
【0056】
また、検査用端子のパターン(数や配置)が相違する複数の電圧検出プログラムをデバイス1のROM15に予め記憶しておき、外部端末3からのコマンドに応じて検査用端子のパターンを変更可能としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、複数の端子が基板の実装面に半田付けによって接続される電子部品とその検査システムに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0058】
1:デバイス(電子部品)、2:基板(プリント配線基板)、3:外部端末(PC)、6:実装面、7:端子、8:接続電極、9:半田接合部、10:機能端子、11:冗長端子、12:外部デバイス、13:検査用端子、14:CPU、15:ROM、16:RAM、17:インターフェイス(I/F)、18:バス、19:接続線、20:ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板との対向面に複数の端子を有し、これら複数の端子が前記基板の実装面に半田付けによって接続される電子部品であって、
外部端末との間で情報を送受信する送受信手段と、
前記複数の端子が前記実装面に接続された状態で前記送受信手段が前記外部端末から検査開始情報を受信したことを契機として検査処理を開始し、送受信手段から前記外部端末へ検査結果を送信する検出制御手段と、を備え、
前記複数の端子は、他の電子部品に接続される機能端子と接続されない冗長端子とを含み、
前記冗長端子は、プルアップ抵抗付きの入力またはプルダウン抵抗付きの入力に切り替え可能な検査用端子を含み、
前記検出制御手段は、前記検査処理において、前記検査用端子に所定電圧が印加されるように該検査用端子をプルアップ抵抗付きの入力またはプルダウン抵抗付きの入力に切り替え、該検査用端子の入力電圧を検出し、検出した入力電圧を検査結果として前記外部端末へ送信する
ことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品であって、
前記検出制御手段は、前記機能端子から所定範囲内の検査用端子の入力電圧を該機能端子の検査結果として前記外部端末へ送信する
ことを特徴とする電子部品。
【請求項3】
請求項2に記載の電子部品であって、
前記検査用端子の数は、前記所定範囲の狭広に応じて増減するように設定される
ことを特徴とする電子部品。
【請求項4】
請求項1に記載の電子部品であって、
前記複数の端子の配列パターンにおいて最外周に配置される冗長端子は、前記検査用端子を含む
ことを特徴とする電子部品。
【請求項5】
基板との対向面に設けられた複数の端子と前記基板の実装面との半田付けによる接続状態の適否を外部端末によって判定する検査システムであって、
前記電子部品は、送受信手段と検出制御手段とを備え、
前記送受信手段は、外部端末との間で情報を送受信し、
前記複数の端子は、他の電子部品に接続される機能端子と接続されない冗長端子とを含み、
前記冗長端子は、プルアップ抵抗付きの入力またはプルダウン抵抗付きの入力に切り替え可能な検査用端子を含み、
前記検出制御手段は、前記送受信手段が前記外部端末から検査開始情報を受信したことを契機として検査処理を開始し、前記検査用端子に所定電圧が印加されるように該検査用端子をプルアップ抵抗付きの入力またはプルダウン抵抗付きの入力に切り替え、該検査用端子の入力電圧を検出し、検出した入力電圧を検査結果として前記外部端末へ送信し、
前記外部端末は、前記電子部品から受信した検査結果に基づいて、前記機能端子と前記基板との接続状態の適否を判定する
ことを特徴とする検査システム。
【請求項6】
請求項5に記載の検査システムであって、
前記検出制御手段は、前記機能端子から所定範囲内の検査用端子の入力電圧を該機能端子の検査結果として前記外部端末へ送信する
ことを特徴とする検査システム。
【請求項7】
請求項5に記載の検査システムであって、
前記外部端末は、前記電子部品から受信した検査結果に対応する検出データパターンと予め記憶された期待値パターンとを照合し、両パターンが合致したときに、前記機能端子と前記基板との接続状態が適正であると判定する
ことを特徴とする検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−117939(P2011−117939A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218679(P2010−218679)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】