説明

電子部品実装設備用の洗浄ツールおよび洗浄方法

【課題】簡便安価な構成で効率よく洗浄作業を行うことができる電子部品実装設備用の洗浄ツールおよび洗浄方法を提供することを目的とする。
【解決手段】部品実装装置に用いられる吸着ノズル10などを洗浄する電子部品実装設備用の洗浄ツール20を、作業者が把持して操作可能な本体部21と、本体部21の先端に設けられ2流体31が噴射される噴射ノズル25と、本体部21に接続され噴射ノズル25と切替バルブ26を介して接続された液体タンク28とを備え、洗浄水30の粒子30aを圧縮空気23aに混合した2流体31を被洗浄物である吸着ノズル10に対して噴射する構成とする。これにより、簡便安価な構成で効率よく洗浄作業を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装設備の部品類などの被洗浄物の洗浄に用いられる電子部品実装設備用の洗浄ツールおよび洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置において電子部品を吸着保持する吸着ノズルなど電子部品実装設備の部品類には、使用時に付着した異物を除去するための洗浄を必要とするものが多い。吸着ノズルの例では、ノズル先端には部品接合に用いられるクリーム半田や各種の油脂分など粘着性の異物が付着しやすく、これらが付着堆積すると正常な部品吸着を妨げるため、所定の作業インターバル毎にこれらの異物を除去するための洗浄作業が行われる。この洗浄作業の方法として、従来より手動のエアーガンによるエアブロー、ピアノ線などのピン治具による手動除去、超音波洗浄装置による液中洗浄などが用いられていた。これらの洗浄方法には異物除去能力において難点があり、対象部品の洗浄難度によっては十分な洗浄品質が確保できないため、微細な水粒子を圧縮空気によって噴射する2流体ノズルを用いた専用の自動洗浄装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この方法によれば、水粒子が異物に衝突することによって高い異物除去能力を確保することができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−269214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献例に示す先行技術においては、装置構成に起因して、コスト面や使い勝手の面で以下のような難点があった。すなわち先行技術では、複数の被洗浄ノズルを所定姿勢で保持する専用のノズルホルダに保持させておき、2流体生成装置および2流体ノズルをノズルホルダに対して移動させながら水粒子と圧縮空気より成る2流体を被洗浄ノズルに対して噴射する構成となっていることから、装置構成が複雑化して設備コストが高くなることが避けられなかった。また洗浄作業の都度、複数の被洗浄ノズルをノズルホルダに着脱する作業が必要とされることから洗浄作業に多大の手間を要し、作業効率や使い勝手の面でも難点があった。
【0005】
そこで本発明は、簡便安価な構成で効率よく洗浄作業を行うことができる電子部品実装設備用の洗浄ツールおよび洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品実装設備用の洗浄ツールは、液体の粒子を圧縮空気に混合した2流体を電子部品実装設備に用いられる被洗浄物に対して噴射することにより前記被洗浄物を洗浄する電子部品実装設備用の洗浄ツールであって、圧縮空気の供給源に接続され作業者が把持して操作可能な本体部と、前記本体部の先端に設けられ前記2流体を噴射する噴射ノズルと、前記本体部に接続され前記噴射ノズルと切替バルブを介して接続された液体タンクとを備え、前記切替バルブが前記噴射ノズルと液体タンクとを連通させた状態において前記圧縮空気を供給することにより、前記液体タンクから吸い上げられた液体の粒子と圧縮空気とが混合された2流体を前記噴射ノズルから噴射し、 前記切替バルブが前記噴射ノズルと液体タンクとを遮断した状態において前記圧縮空気を供給することにより、液体の粒子を含まない圧縮空気のみを前記噴射ノズルから噴射する。
【0007】
本発明の洗浄方法は、圧縮空気の供給源に接続され作業者が把持して操作可能な本体部と、前記本体部の先端に設けられ前記2流体が噴射される噴射ノズルと、前記本体部に接続され前記噴射ノズルと切替バルブを介して接続された液体タンクとを備え、液体の粒子を圧縮空気に混合した2流体を電子部品実装設備に用いられる被洗浄物に対して噴射することにより前記被洗浄物を洗浄する電子部品実装設備用の洗浄ツールによって前記被洗浄物を洗浄する洗浄方法であって、前記切替バルブが前記噴射ノズルと液体タンクとを連通させた状態において前記圧縮空気を供給することにより、前記液体タンクから吸い上げられた液体の粒子と圧縮空気とが混合された2流体を前記噴射ノズルから噴射して前記被洗浄物を洗浄し、前記切替バルブが前記噴射ノズルと液体タンクとを遮断した状態において前記圧縮空気を供給することにより、液体の粒子を含まない圧縮空気のみを前記噴射ノズルから噴射して前記洗浄によって前記被洗浄物に付着した液体を除去する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業者が把持して操作可能な本体部と、本体部の先端に設けられ前記2流体が噴射される噴射ノズルと、本体部に接続され前記噴射ノズルと切替バルブを介して接続された液体タンクとを備え、液体の粒子を圧縮空気に混合した2流体を被洗浄物に対して噴射する構成の洗浄ツールを電子部品実装設備に対して用いることにより、簡便安価な構成で効率よく洗浄作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態の洗浄ツールの洗浄対象となる吸着ノズルが装着される部品実装装置の平面図
【図2】本発明の一実施の形態の洗浄ツールの洗浄対象となる吸着ノズルの説明図
【図3】本発明の一実施の形態の洗浄ツールの構成説明図
【図4】本発明の一実施の形態の洗浄ツールの機能説明図
【図5】本発明の一実施の形態の洗浄ツールによる洗浄方法の動作説明図
【図6】本発明の一実施の形態の洗浄ツールに付随して用いられるアタッチメントの機能説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。部品実装装置1は基板に電子部品を実装して実装基板を製造する電子部品実装ラインに用いられる電子部品実装設備であり、本発明の一実施の形態の洗浄ツールの洗浄対象となる吸着ノズルやノズルホルダが装着されている。
【0011】
図1において、基台1aの中央部には、X方向(基板搬送方向)に基板搬送機構2が配設されている。基板搬送機構2は、上流側から搬入された基板3を搬送し、以下に説明する部品実装機構による作業位置に位置決めする。基板搬送機構2の両側には、実装対象の電子部品を供給する部品供給部4が配置されている。部品供給部4には複数のテープフィーダ5が並列に配置されており、テープフィーダ5はキャリアテープに保持された部品を以下に説明する部品実装機構による取出位置までピッチ送りする機能を有している。
【0012】
基台1a上面のX方向の1端部上にはY軸移動テーブル6が配設されており、Y軸移動テーブル6には2台のX軸移動テーブル7がY方向にスライド自在に結合されている。X軸移動テーブル7にはそれぞれ実装ヘッド8がX方向にスライド自在に装着されている。実装ヘッド8は複数の単位実装ヘッド9より成る多連型ヘッドであり、単位実装ヘッド9の下端部に装着された吸着ノズル10(図2参照)によってテープフィーダ5から実装対象の部品を真空吸着によって保持する。Y軸移動テーブル6およびX軸移動テーブル7は実装ヘッド8を移動させるヘッド移動機構を構成し、ヘッド移動機構を駆動することにより、実装ヘッド8は部品供給部4と基板搬送機構2に位置決めされた基板3との間で移動する。実装ヘッド8および実装ヘッド8を移動させるヘッド移動機構は、部品供給部4から部品を取り出して基板3に実装する部品実装機構を構成する。
【0013】
X軸移動テーブル7の下面には、それぞれ実装ヘッド8と一体的に移動する基板認識カメラ11が装着されている。ヘッド移動機構を駆動して基板認識カメラ11を基板搬送機構2に保持された基板3の上方へ移動させることにより、基板認識カメラ11は基板3に形成された認識マークを撮像する。部品供給部4と基板搬送機構2との間の実装ヘッド8の移動経路には、部品認識カメラ12,ノズル収納部13が配設されている。部品供給部4から部品を取り出した実装ヘッド8が部品認識カメラ12の上方を所定方向に通過する走査動作を行うことにより、部品認識カメラ12は実装ヘッド8に保持された状態の部品を撮像する。ノズル収納部13には単位実装ヘッド9に装着される吸着ノズル10が部品種に対応して複数収納保持されている。実装ヘッド8がノズル収納部13にアクセスしてノズル交換動作を行うことにより、単位実装ヘッド9に装着される吸着ノズル10を部品種に応じて交換することができる。
【0014】
次に図2を参照して、実装ヘッド8における吸着ノズル10の着脱および吸着ノズル10の汚損について説明する。図2(a)に示すように、実装ヘッド8は複数の単位実装ヘッド9を並列に配設した構成となっており、各単位実装ヘッド9の下部に設けられたノズルホルダ9aには、吸着ノズル10が着脱自在に装着される。部品実装作業においては、実装ヘッド8は部品供給部4と基板搬送機構2に位置決め保持された基板3との間を往復して部品実装動作を反復実行し、必要に応じてノズル収納部13にアクセスして、吸着ノズル10をノズルホルダ9aに対して着脱して交換するノズル交換動作を行う。
【0015】
このようにして部品実装作業を継続する過程において、吸着ノズル10は洗浄作業の対象となる。すなわち部品実装動作では、吸着ノズル10の軸部10aの下端部に設けられた吸着面10cを吸着保持の対象となる電子部品に当接させて吸引孔10bから真空吸引する部品吸着動作が反復して実行される。この部品吸着動作を反復実行する過程では、図2(b)に示すように、吸着面10cには部品接合に用いられるクリーム半田や各種の油脂分など粘着性の異物14が付着する。そしてこれら異物14が吸着面10cに付着堆積すると正常な部品吸着を妨げるため、所定の作業インターバル毎に実装ヘッド8から取り外された吸着ノズル10を対象として、これらの異物14を除去するための洗浄作業が行われる。
【0016】
このような電子部品実装設備の洗浄作業に使用される洗浄ツール20について、図3、図4を参照して説明する。洗浄ツール20は液体の粒子を圧縮空気に混合した2流体を電子部品実装設備に用いられる被洗浄物である吸着ノズル10に対して噴射することにより、吸着ノズル10を洗浄する機能を有している。ここでは、洗浄に用いられる液体として、通常の市水より成る洗浄水を用いた例を示している。なお、水以外の他の液体を用いることも可能であるが、コスト面、環境負荷の観点を総合すると、水を用いることが望ましい。
【0017】
図3において、洗浄ツール20は、本体部21、噴射ノズル25、液体タンク28を備えている。本体部21は、作業者が把持する把持部21aを有し、先端にエジェクタ部21bを介して噴射ノズル25が設けられたガン形状となっている。本体部21の内部には、把持部21aの底部とエジェクタ部21bとを連通させるエア流路21d(図4も参照)が設けられており、エア流路21dは把持部21aの底部に接続されたエアチューブ22を介して圧縮空気の供給源であるエアー源23が接続されている。
【0018】
把持部21aの内部にはエア流路21dをオン・オフするオン・オフバルブ24が設けられており、オン・オフバルブ24は把持部21aを把持した作業者がトリガ部21cを矢印a方向に移動させる操作することにより、エアー源23からエジェクタ部21bへの圧縮空気の送給を断接することができるようになっている。エジェクタ部21bの下方には切替バルブ26を介してタンク接続機構27が接続されており、さらにタンク接続機構27には、内部に洗浄水30を貯留する液体タンク28が着脱自在に装着されている。切替バルブ26は操作コック26aを備えており、作業者が操作コック26aを矢印b方向に操作することにより、液体タンク28の内部に挿入された導水チューブ29とエジェクタ部21bとの接続状態をオン・オフすることができる。これにより、液体タンク28からエジェクタ部21bへの洗浄水30の供給が断接される。
【0019】
液体タンク28はPETボトルなどの簡易容器であり、図4に示すように、ボトルネック部28aに設けられた外ねじ部をタンク接続機構27の内ねじ部に螺合させることによりタンク接続機構27に装着される。この装着状態においてボトルネック部28aの頂部がタンク接続機構27の内部に装着されたシール部材27aに押し付けられることにより、液体タンク28の内部が外部に対して密封される。
【0020】
図4に示すように、エジェクタ部21bの内部にはエア流路21dが絞られたオリフィス21eが設けられており、オリフィス21eは切替バルブ26を介して導水チューブ29と連通する吸引空間21fに開口している。さらに吸引空間21fはエジェクタ部21b内を貫通して設けられた噴射流路21gと連通しており、噴射流路21gは噴射ノズル25に設けられたノズル孔25aと連通している。なおノズル孔25aの径サイズとしては、0.15〜0.25mmの範囲から選定することが望ましい。
【0021】
トリガ部21cを開操作することによりエアー源23から圧縮空気がエア流路21dに供給され(矢印c)、さらにオリフィス21eによって流れが絞られて高速となった圧縮空気は吸引空間21f内に噴出し(矢印d)、噴射流路21g内を流動して噴射ノズル25のノズル孔25aから外部へ噴射される。そして吸引空間21f内は、高速噴流によって生じる圧力低下により外部に対して負圧となる。
【0022】
このとき、切替バルブ26が開状態であれば、この負圧によって液体タンク28内の洗浄水30は、導水チューブ29を介して(矢印e)吸引空間21f内に吸い上げられる(矢印f)。そして圧縮空気23aの噴流によって噴射流路21g内を流下する過程で、洗浄水30は微細な粒度の粒子30aに液滴化されるとともに圧縮空気23aと混合され、圧縮空気23aに粒子30aを混合した2流体31となってノズル孔25aから噴射される(矢印g)。すなわち、洗浄ツール20は、圧縮空気の供給源であるエアー源23に接続され、作業者が把持して操作可能な本体部21と、本体部21の先端に設けられ2流体31を噴射する噴射ノズル25と、本体部21に接続され噴射ノズル25と切替バルブ26を介して接続された液体タンク28とを備えた構成となっている。
【0023】
これに対して、切替バルブ26が閉状態であれば、液体タンク28内の洗浄水30が導水チューブ29を介して吸引空間21f内に吸い上げられることがなく、ノズル孔25aからは粒子30aを含まない圧縮空気23aのみが噴射される。すなわち本実施の形態の洗浄ツール20においては、切替バルブ26が噴射ノズル25と液体タンク28とを連通させた状態において圧縮空気23aを供給することにより、液体タンク28から吸い上げられた洗浄水30の粒子30aと圧縮空気23aとが混合された2流体31を噴射ノズル25から噴射し、切替バルブ26が噴射ノズル25と液体タンク28とを遮断した状態において圧縮空気23aを供給することにより、洗浄水30の粒子30aを含まない圧縮空気23aのみを噴射ノズル25から噴射する形態となっている。
【0024】
次に、上述構成の洗浄ツール20によって被洗浄物を洗浄する洗浄方法について、図5を参照して説明する。ここでは、被洗浄物としての吸着ノズル10に対して洗浄水30の粒子30aを圧縮空気23aに混合した2流体31を噴射することにより、吸着ノズル10の吸着面10cに付着した異物14を除去する例を示している。
【0025】
図5(a)に示すように、洗浄対象となる吸着ノズル10の吸着面10cには、部品吸着動作を反復実行することにより、クリーム半田や油脂分などの異物14が粘着力により付着している。洗浄作業においては、作業者が把持部21aを把持して洗浄ツール20を操作し、噴射ノズル25を吸着ノズル10の吸着面10cに対向するように位置合わせする。このとき、操作コック26aを操作することにより、切替バルブ26を開状態、すなわち噴射ノズル25と液体タンク28とを連通させた状態にしておき、この状態でトリガ部21cを操作して圧縮空気23aをエジェクタ部21bに供給する。これにより、噴射ノズル25のノズル孔25aからは、圧縮空気23aに粒子30aを混合した2流体31が、吸着面10cに対して噴射される。
【0026】
そしてこの2流体31の噴射を所定時間継続する過程において、粒子30aが異物14に間断なく衝突することによる物理力が異物14の吸着面10cに対する付着力に勝ることにより、図5(b)に示すように、吸着面10cから異物14が除去され、吸着面10cは洗浄された状態となる。このとき、軸部10aの吸引孔10b内には2流体31に含まれる粒子30aが進入して内部に付着した状態となっている。このような粒子30aが吸引孔10b内に残量したまま放置すると、粒子30aの水分が蒸発した後に粒子30a内に含まれる微細異物が軸部10aの内面に再付着する2次的な汚損を誘発するため、洗浄後の粒子30aを吹き飛ばして除去する液切り乾燥を行う必要がある。
【0027】
すなわち、操作コック26aを閉状態、すなわち噴射ノズル25と液体タンク28とを遮断した状態に切替え、この状態で圧縮空気23aをエジェクタ部21bに供給する。これにより、図5(c)に示すように、噴射ノズル25のノズル孔25aからは粒子30aを含まない圧縮空気23aのみが吸着面10cに対して噴射される。これにより、吸引孔10b内に進入した粒子30aや軸部10aの外面に付着した粒子30aが圧縮空気23aによって吹き飛ばされて除去される。
【0028】
すなわち本実施の形態に示す洗浄方法では、切替バルブ26が噴射ノズル25と液体タンク28とを連通させた状態において圧縮空気23aを供給することにより、液体タンク28から吸い上げられた洗浄水30の粒子30aと圧縮空気23aとが混合された2流体31を噴射ノズル25から噴射して被洗浄物である吸着ノズル10を洗浄し、切替バルブ26が噴射ノズル25と液体タンク28とを遮断した状態において圧縮空気23aを供給することにより、洗浄水30の粒子30aを含まない圧縮空気23aのみを噴射ノズル25から噴射して、洗浄によって吸着ノズル10に付着した洗浄水30を除去するようにしている。
【0029】
なお図5に示す例では、吸着面10cに対して2流体31を噴射する洗浄作業において、作業者が洗浄ツール20を操作して吸着面10cに対して噴射ノズル25を位置合わせする例を示したが、図6に示すように、噴射ノズル25に位置合わせ用のアタッチメント32を予め装着しておくようにしてもよい。
【0030】
すなわち、図6(a)において、アタッチメント32には噴射ノズル25が嵌合する形状のノズル固定部32aが設けられており、噴射ノズル25をノズル固定部32aに嵌合させて止めねじなどの固定手段(図示省略)によって固定することにより、アタッチメント32は噴射ノズル25に対して所定の位置に位置合わせされて固着された状態となる。アタッチメント32内には、噴射ノズル25から2流体31を噴射するための噴射空間32b、噴射空間32b内に洗浄対象の吸着面10cを位置させるためのノズル装着部32cおよび噴射空間32b内に噴射された2流体31を排出するための排出開口部32dが設けられている。
【0031】
洗浄作業実行時には、図6(b)に示すように、軸部10aをノズル装着部32c内に嵌入させ、鍔部10dをノズル装着端面32eに当接させた状態で保持する。この状態では、噴射ノズル25のノズル孔25aが洗浄対象部位である吸着面10cと対向する位置にある。そしてこの状態で、ノズル孔25aから2流体31を噴射させ、所定時間噴射を継続する。これにより、2流体31は吸着ノズル10の吸着面10cに確実に衝突し、吸着面10cに付着した異物14が除去される。
【0032】
上記説明したように、本実施の形態においては、電子部品実装設備用の洗浄ツール20を、作業者が把持して操作可能な本体部21と、本体部21の先端に設けられ2流体31が噴射される噴射ノズル25と、本体部21に接続され噴射ノズル25と切替バルブ26を介して接続された液体タンク28とを備え、洗浄水30の粒子30aを圧縮空気23aに混合した2流体31を被洗浄物である吸着ノズル10に対して噴射する構成としたものである。そしてこのような構成の洗浄ツール20を電子部品実装設備に対して用いることにより、簡便安価な構成で効率よく洗浄作業を行うことができる。
【0033】
なお上述の実施の形態においては、被洗浄物が電子部品実装用設備である部品実装装置1において部品を吸着保持する吸着ノズル10である場合を示したが、被洗浄物としては吸着ノズル10には限定されない。例えば吸着ノズル10が装着される単位実装ヘッド9において吸着ノズル10を摺動自在に保持するノズルホルダ9aのノズル摺動孔の内部や、電子部品実装用設備であるスクリーン印刷装置に用いられるスクリーンマスクなど、狭隘な洗浄部位を有し通常のエアブローなどでは洗浄が困難な被洗浄物を対象とする場合にも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の電子部品実装設備用の洗浄ツールおよび洗浄方法は、簡便安価な構成で効率よく洗浄作業を行うことができるという効果を有し、電子部品実装設備の部品類などの被洗浄物を洗浄する用途に利用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 部品実装装置
8 実装ヘッド
9a ノズルホルダ
10 吸着ノズル
10a 軸部
10c 吸着面
20 洗浄ツール
21 本体部
21a 把持部
21b エジェクタ部
23a 圧縮空気
24 オン・オフバルブ
25 噴射ノズル
25a ノズル孔
26 切替バルブ
28 液体タンク
30 洗浄水
30a 粒子
31 2流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の粒子を圧縮空気に混合した2流体を電子部品実装設備に用いられる被洗浄物に対して噴射することにより前記被洗浄物を洗浄する電子部品実装設備用の洗浄ツールであって、
圧縮空気の供給源に接続され作業者が把持して操作可能な本体部と、
前記本体部の先端に設けられ前記2流体を噴射する噴射ノズルと、
前記本体部に接続され前記噴射ノズルと切替バルブを介して接続された液体タンクとを備え、
前記切替バルブが前記噴射ノズルと液体タンクとを連通させた状態において前記圧縮空気を供給することにより、前記液体タンクから吸い上げられた液体の粒子と圧縮空気とが混合された2流体を前記噴射ノズルから噴射し、
前記切替バルブが前記噴射ノズルと液体タンクとを遮断した状態において前記圧縮空気を供給することにより、液体の粒子を含まない圧縮空気のみを前記噴射ノズルから噴射することを特徴とする電子部品実装設備用の洗浄ツール。
【請求項2】
前記被洗浄物は、部品実装装置において部品を吸着保持する吸着ノズル、この吸着ノズルが装着される実装ヘッドに設けられて前記吸着ノズルを摺動自在に保持するノズルホルダ、スクリーン印刷装置に用いられるスクリーンマスクのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の電子部品実装設備用の洗浄ツール。
【請求項3】
圧縮空気の供給源に接続され作業者が把持して操作可能な本体部と、
前記本体部の先端に設けられ前記2流体が噴射される噴射ノズルと、
前記本体部に接続され前記噴射ノズルと切替バルブを介して接続された液体タンクとを備え、液体の粒子を圧縮空気に混合した2流体を電子部品実装設備に用いられる被洗浄物に対して噴射することにより前記被洗浄物を洗浄する電子部品実装設備用の洗浄ツールによって前記被洗浄物を洗浄する洗浄方法であって、
前記切替バルブが前記噴射ノズルと液体タンクとを連通させた状態において前記圧縮空気を供給することにより、前記液体タンクから吸い上げられた液体の粒子と圧縮空気とが混合された2流体を前記噴射ノズルから噴射して前記被洗浄物を洗浄し、
前記切替バルブが前記噴射ノズルと液体タンクとを遮断した状態において前記圧縮空気を供給することにより、液体の粒子を含まない圧縮空気のみを前記噴射ノズルから噴射して前記洗浄によって前記被洗浄物に付着した液体を除去することを特徴とする洗浄方法。
【請求項4】
前記被洗浄物は、部品実装装置において部品を吸着保持する吸着ノズル、この吸着ノズルが装着される実装ヘッドに設けられて前記吸着ノズルを摺動自在に保持するノズルホルダ、スクリーン印刷装置に用いられるスクリーンマスクのいずれかであることを特徴とする請求項3記載の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−170912(P2012−170912A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36759(P2011−36759)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】