説明

電子部品用の実装基板

【課題】簡単な構成でワイヤボンディング接続及びフリップチップ接続の双方に対応可能な電子部品用の実装基板を提供する。
【解決手段】この電子部品用の実装基板10では、第2配線部16が、基板11の表裏方向について反転した位置関係にある第1電極パッド13と第2電極パッド14とを接続している。このため、ワイヤボンディング接続で接続する場合と、フリップチップ接続で接続する場合とで電子部品1の実装面2aが実装基板10に対して反転しても、電子部品1側の端子電極3の配列や実装基板10側の外部電極12の配列を変えずに、電子部品側の端子電極3と実装基板10側の外部電極12とを同一に対応付けることができる。また、上記の構成は、第2配線部16のパターニングによって実現でき、基板11や外部電極12の構造に変更を加える必要がないので、構成の複雑化も回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品用の実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子などの電子部品を実装基板に接続する方法として、例えばワイヤボンディング接続やフリップチップ接続が知られている。電子部品の試験や試作を繰り返し行うような場合、同一の実装基板でワイヤボンディング接続及びフリップチップ接続のいずれかを選択して電子部品の接続を行うことができる実装基板は、利便性の面で非常に有用である。
【0003】
このような複数の接続方法に対応する実装基板として、例えば特許文献1に記載の回路基板がある。この従来の回路基板には、電子部品の実装領域に重なるように配置されたフリップチップ接続用のリードと、このリードに連続して電子部品の実装領域の外側に配置されたワイヤボンディング接続用のリードとが形成されている。そして、リードの選択によってワイヤボンディング接続及びフリップチップ接続のいずれかの実装方法を選択できるようになっている。
【特許文献1】特開平10−56096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子部品を実装基板にワイヤボンディング接続で接続する場合と、フリップチップ接続で接続する場合とでは、一般に、電子部品の実装面が実装基板に対して反転することとなる。そのため、電子部品側の端子電極の配列や実装基板側の外部電極の配列を変えずに、電子部品側の端子電極と実装基板側の外部電極とを対応付けるには、実装基板の配線パターンに工夫を加える必要がある。また、コスト面などを考慮すると、配線パターンを工夫するにあたって構成の複雑化を回避する必要もある。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、簡単な構成でワイヤボンディング接続及びフリップチップ接続の双方に対応可能な電子部品用の実装基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明に係る電子部品用の実装基板は、電子部品の実装領域が設けられた実装面を有する基板と、基板の縁部に配列された複数の外部電極と、実装面において実装領域の外側に配列されたワイヤボンディング用の複数の第1電極パッドと、実装面において実装領域の内側に配列されたフリップチップ用の複数の第2電極パッドと、第1電極パッドと外部電極とを1対1に接続する第1配線部と、第1電極パッドと第2電極パッドとを1対1に接続する第2配線部と、を備え、第2配線部は、基板の表裏方向について反転した位置関係にある第1電極パッドと第2電極パッドとを接続していることを特徴としている。
【0007】
この電子部品用の実装基板では、第2配線部が、基板の表裏方向について反転した位置関係にある第1電極パッドと第2電極パッドとを接続している。このため、ワイヤボンディング接続で接続する場合と、フリップチップ接続で接続する場合とで電子部品の実装面が実装基板に対して反転しても、電子部品側の端子電極の配列や実装基板側の外部電極の配列を変えずに、電子部品側の端子電極と実装基板側の外部電極とを同一に対応付けることができる。また、上記の構成は、第2配線部のパターニングによって実現でき、基板や外部電極の構造に変更を加える必要がないので、構成の複雑化も回避できる。
【0008】
また、第2配線部の少なくとも一部は、スルーホールを介して基板の反対面に形成されていることが好ましい。基板の表裏方向について反転した位置関係にある第1電極パッドと第2電極パッドとを接続するように第1配線部を設けると、第1電極パッドと第2電極パッドとの間で第2配線部が密集し易くなる。したがって、第2配線部の少なくとも一部を基板の反対面に形成することで、第2配線部の配線ピッチを十分に確保できるので、異なる端子の配線間での信号干渉やブリッジ故障を防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電子部品用の実装基板によれば、簡単な構成でワイヤボンディング接続及びフリップチップ接続の双方に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電子部品用の実装基板の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る電子部品用の実装基板に実装される電子部品の一例を示す図である。図1に示す電子部品1は、例えばICチップなどの半導体素子である。電子部品1の本体部2の一面側は、複数(本実施形態では6端子)の端子電極3が設けられた略長方形状の実装面2aとなっている。端子電極3は、電子部品1の幅方向を行方向とし、長手方向を列方向としたときに、2行×3列のマトリクス状に配列されている。説明の便宜上、図1における右上の端子電極3にA1を付し、この端子電極A1を基準として他の端子電極3に時計回りにA2〜A6を付す。
【0012】
図2は、本発明の第1実施形態に係る電子部品用の実装基板を示す平面図である。図2に示すように、実装基板10は、略正方形状をなす基板11と、基板11の縁部に設けられた複数の外部電極12と、ワイヤボンディング用の複数の第1電極パッド13と、フリップチップ用の複数の第2電極パッド14と、第1電極パッド13と外部電極12とを1対1に接続する第1配線部15と、第1電極パッド13と第2電極パッド14とを1対1に接続する第2配線部16とを備えている。
【0013】
基板11は、例えばポリイミドなどの絶縁性を有する合成樹脂によって形成されている。基板11の一面側は、電子部品1の実装領域Sが設けられた実装面11aとなっている。実装領域Sは、電子部品1の実装面2aと同様の長方形状をなし、実装面11aの略中央部分に設定されている。
【0014】
外部電極12は、基板11の縁部のうち、実装領域Sの幅方向に対応する辺11b,11cに設けられている。外部電極12は、基板11の辺11b,11cにそれぞれ3端子ずつ配列され、計6端子となっている。説明の便宜上、図2における右上の外部電極12にB1を付し、この外部電極B1を基準として他の外部電極12に時計回りにB2〜B6を付す。
【0015】
ワイヤボンディング用の第1電極パッド13は、基板11の実装面11aにおいて実装領域Sの外側に配列されている。第1電極パッド13は、外部電極B1〜B6に対応するように、実装領域Sを挟んで基板11の辺11b側に3箇所、基板の辺11c側に3箇所、計6箇所に配列されている。説明の便宜上、図2における右上の第1電極パッド13にC1を付し、この第1電極パッドC1を基準として他の第1電極パッド13に時計回りにC2〜C6を付す。
【0016】
第1配線部15は、隣り合う第1電極パッド13と外部電極12とを1対1に接続している。すなわち、第1配線部15は、外部電極B1と第1電極パッドC1、外部電極B2と第1電極パッドC2、外部電極B3と第1電極パッドC3、外部電極B4と第1電極パッドC4、外部電極B5と第1電極パッドC5、及び外部電極B6と第1電極パッドC6、をそれぞれ接続している。
【0017】
一方、フリップチップ用の第2電極パッド14は、基板11の実装面において実装領域Sの内側に配列されている。第2電極パッド14は、電子部品1の端子電極3(図1参照)に対応して設けられ、実装領域Sの幅方向を行方向とし、長手方向を列方向としたときに、2行×3列のマトリクス状に配列されている。
【0018】
ここで、第2配線部16は、基板11の表裏方向について反転した位置関係にある第1電極パッド13と第2電極パッド14とを接続している。このことを考慮し、図2における左上の第2電極パッド14にD1を付し、この第2電極パッドD1を基準として他の第2電極パッド14に反時計回りにD2〜D6を付す。
【0019】
この符号関係において、第2配線部16は、第1電極パッドC1と第2電極パッドD1、第1電極パッドC2と第2電極パッドD2、第1電極パッドC3と第2電極パッドD3、第1電極パッドC4と第2電極パッドD4、第1電極パッドC5と第2電極パッドD5、及び第1電極パッドC6と第2電極パッドD6、をそれぞれ接続している。
【0020】
図3は、電子部品1がワイヤボンディング接続された状態における実装基板10の平面図である。また、図4は、図3におけるIV−IV線断面図である。図3及び図4に示すように、実装基板10に電子部品1をワイヤボンディング接続する場合、まず、実装基板10の実装領域Sに絶縁性の接着剤17を塗布する。次に、実装面2aの反対面2bが実装基板10の実装面11aと対向するように電子部品1を実装基板10の実装領域Sに設置する。電子部品1と実装基板10とは、絶縁性の接着剤17によって固定される。
【0021】
次に、電子部品1の端子電極3と実装基板10の第1電極パッド13とをボンディングワイヤ18によって電気的に接続する。より具体的には、図3に示すように、端子電極A1と第1電極パッドC1、端子電極A2と第1電極パッドC2、端子電極A3と第1電極パッドC3、端子電極A3と第1電極パッドC3、端子電極A4と第1電極パッドC4、端子電極A5と第1電極パッドC5、及び端子電極A6と第1電極パッドC6、をそれぞれ電気的に接続する。
【0022】
これにより、端子電極A1は、第1電極パッドC1及び第1配線部15を介して外部電極B1に電気的に接続され、端子電極A2は、第1電極パッドC2及び第1配線部15を介して外部電極B2に電気的に接続され、端子電極A3は、第1電極パッドC3及び第1配線部15を介して外部電極B3に電気的に接続される。
【0023】
また、端子電極A4は、第1電極パッドC4及び第1配線部15を介して外部電極B4に電気的に接続され、端子電極A5は、第1電極パッドC5及び第1配線部15を介して外部電極B5に電気的に接続され、端子電極A6は、第1電極パッドC6及び第1配線部15を介して外部電極B6に電気的に接続される。
【0024】
一方、図5は、電子部品1がフリップチップ接続された状態における実装基板10の平面図である。また、図6は、図5におけるVI−VI線断面図である。図5及び図6に示すように、実装基板10に電子部品1をフリップチップ接続する場合、実装面2aが基板11の実装面11aと対向するように電子部品1を実装基板10の実装領域Sに設置する。そして、例えば熱圧着や超音波により、バンプ電極(図示しない)を介して電子部品1の端子電極3と実装基板10の第2電極パッド14とを電気的に接続する。
【0025】
ワイヤボンディング接続の場合と比較して、フリップチップ接続では、実装面11aに対する端子電極3の配列は、基板11の表裏方向について反転する。より具体的には、図5に示すように、端子電極A1と第2電極パッドD1、端子電極A2と第1電極パッドD2、端子電極A3と第1電極パッドD3、端子電極A3と第1電極パッドD3、端子電極A4と第1電極パッドD4、端子電極A5と第1電極パッドD5、及び端子電極A6と第1電極パッドD6、をそれぞれ電気的に接続する。
【0026】
これにより、端子電極A1は、第2電極パッドD1、第1配線部、第1電極パッドC1、及び第2配線部16を介して外部電極B1に電気的に接続され、端子電極A2は、第2電極パッドD2、第1配線部、第1電極パッドC2、及び第2配線部16を介して外部電極B2に電気的に接続され、端子電極A3は、第2電極パッドD3、第1配線部、第1電極パッドC3、及び第2配線部16を介して外部電極B3に電気的に接続される。
【0027】
また、端子電極A4は、第2電極パッドD4、第1配線部、第1電極パッドC4、及び第2配線部16を介して外部電極B4に電気的に接続され、端子電極A5は、第2電極パッドD5、第1配線部、第1電極パッドC5、及び第2配線部16を介して外部電極B5に電気的に接続され、端子電極A6は、第2電極パッドD6、第1配線部、第1電極パッドC6、及び第2配線部16を介して外部電極B6に電気的に接続される。
【0028】
以上説明したように、この電子部品用の実装基板10では、第2配線部16が、基板11の表裏方向について反転した位置関係にある第1電極パッド13と第2電極パッド14とを接続している。このため、ワイヤボンディング接続で接続する場合と、フリップチップ接続で接続する場合とで電子部品1の実装面2aが実装基板10に対して反転しても、電子部品1側の端子電極3の配列や実装基板10側の外部電極12の配列を変えずに、電子部品側の端子電極3と実装基板10側の外部電極12とを同一に対応付けることができる。また、上記の構成は、第2配線部16のパターニングによって実現でき、基板11や外部電極12の構造に変更を加える必要がないので、構成の複雑化も回避できる。
【0029】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態に係る電子部品用の実装基板を示す平面図である。また、図8は、図7におけるVIII−VIII線断面図である。第2実施形態に係る実装基板20は、基板11の表裏方向について反転した位置関係にある第1電極パッド13と第2電極パッド14とを接続する第2配線部16が、基板11における実装面11aの反対面11dに設けられている点で、第2配線部16が実装面11a側に形成されている第1実施形態と相違している。
【0030】
すなわち、実装基板20では、図7及び図8に示すように、基板11において、ワイヤボンディング用の第1電極パッド13の形成位置及びフリップチップ用の第2電極パッド14の形成位置に重なるようにスルーホール21が形成されており、反対面11dに形成された第2配線部16は、スルーホール21を介して第1電極パッド13と第2電極パッド14とを1対1に接続している。
【0031】
なお、第1電極パッド13と第2電極パッド14との接続関係は、第1実施形態と同様であり、第2配線部16は、第1電極パッドC1と第2電極パッドD1、第1電極パッドC2と第2電極パッドD2、第1電極パッドC3と第2電極パッドD3、第1電極パッドC4と第2電極パッドD4、第1電極パッドC5と第2電極パッドD5、及び第1電極パッドC6と第2電極パッドD6、をそれぞれ接続している。
【0032】
このような実装基板20においても、ワイヤボンディング接続で接続する場合と、フリップチップ接続で接続する場合とで電子部品1の実装面2aが実装基板10に対して反転しても、電子部品1側の端子電極3の配列や実装基板20側の外部電極12の配列を変えずに、電子部品側の端子電極3と実装基板20側の外部電極12とを同一に対応付けることができる。また、第2配線部16を基板11の反対面11dに形成することで、第2配線部16の配線ピッチを十分に確保できるので、異なる端子の配線間での信号干渉やブリッジ故障を防止することができる。
【0033】
なお、図7及び図8に示した実施形態では、全ての第2配線部16を基板11の反対面11dに形成しているが、第2配線部16のうちの数本についてのみ基板11の反対面11dに設けるようにしてもよい。この場合、例えば第1電極パッドC2と第2電極パッドD2とを接続する第2配線部16、及び第1電極パッドC6と第2電極パッドD6とを接続する第2配線部16のように、実装領域Sを反対方向に横断する第2配線部16,16のいずれか一方を基板の反対面11dに設けるようにすると、配線ピッチの確保の観点で好適である。
【0034】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば外部電極12の配列は、基板11の4辺にわたって配列されていてもよく、いずれか1辺にのみ配列されていてもよい。外部電極12が基板11の1辺のみに配列されている場合、第1電極パッド13及び第2電極パッド14は、基板11の中心線に対して外部電極12が配列された辺と反対側の領域に偏心配置すればよい。
【0035】
また、基板11の表裏方向について反転した位置関係にある第1電極パッド13と第2電極パッド14とが第2配線部16によって接続される関係が保持されていれば、例えば図9に示す実装基板30のように、外部電極12の配列に対し、第1電極パッド13及び第2電極パッド14の配列を実装面11aの面内で回転(図9では90°回転)させたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る電子部品用の実装基板に実装される電子部品の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電子部品用の実装基板を示す平面図である。
【図3】電子部品がワイヤボンディング接続された状態における実装基板の平面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面図である。
【図5】電子部品がフリップチップ接続された状態における実装基板の平面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電子部品用の実装基板を示す平面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線断面図である。
【図9】変形例に係る電子部品用の実装基板を示す平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1…電子部品、10,20,30…実装基板、11…基板、11a…実装面、11d…反対面、12…外部電極、13…第1電極パッド、14…第2電極パッド、15…第1配線部、16…第2配線部、21…スルーホール、S…実装領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の実装領域が設けられた実装面を有する基板と、
前記基板の縁部に配列された複数の外部電極と、
前記実装面において前記実装領域の外側に配列されたワイヤボンディング用の複数の第1電極パッドと、
前記実装面において前記実装領域の内側に配列されたフリップチップ用の複数の第2電極パッドと、
前記第1電極パッドと前記外部電極とを1対1に接続する第1配線部と、
前記第1電極パッドと前記第2電極パッドとを1対1に接続する第2配線部と、を備え、
前記第2配線部は、前記基板の表裏方向について反転した位置関係にある前記第1電極パッドと前記第2電極パッドとを接続していることを特徴とする電子部品用の実装基板。
【請求項2】
前記第2配線部の少なくとも一部は、スルーホールを介して前記基板の反対面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品用の実装基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−103442(P2010−103442A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276025(P2008−276025)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】