説明

電子部品用パッケージおよび圧電振動デバイス

【課題】封止部材の濡れ拡がりが原因となる電子部品素子の動作不良を防止する。
【解決手段】発振器の本体筺体は、封止部材を介して、電子部品素子を搭載するベース5と、導電性材料を含む蓋とが接合されてなり、電極パッド81,82と、接地用のGND端子が含まれた外部端子と、配線パターン9とが形成されている。また、配線パターン9に、壁部7に形成された壁部用GND配線パターン941と、キャビティ53内におけるベース5の一主面51に形成された電子部品素子用GND配線パターン942とが含まれ、壁部用GND配線パターン941と電子部品素子用GND配線パターン942とを連結する連結部943が、ベース5の平面視においてキャビティ53に露出せずに底部6と壁部7との積層間にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品素子を気密封止する電子部品用パッケージ、および電子部品素子である圧電素子を気密封止した圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品は、その内部空間に搭載した電子部品素子の特性が劣化するのを防ぐために内部空間を気密封止する。この気密封止を必要とする電子部品素子として、例えば、半導体素子や圧電素子などが挙げられる。ここでいう電子部品は、例えば、その本体筐体のパッケージがベースと金属蓋とから構成されたものであり、その内部空間に半導体素子や圧電素子などが搭載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の電子部品収納用パッケージでは、電子部品素子が搭載される箱形状の絶縁基体(ベース)に金属蓋を接合して電子部品収納用パッケージが構成される。
【0004】
この特許文献1に示すような従来の技術では、EMI対策として金属蓋を接地させるGND配線パターンがベースに形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−267866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ベースに金属蓋を接合する際、封止部材を加熱溶融接合している。封止部材は、ベースの封止箇所だけでなく、GND配線パターン上にも濡れ拡がる。この封止部材の濡れ拡がりに関して、濡れ拡がった封止部材は、GND配線パターン上を伝って本体筺体内に拡がり、電子部品素子(半導体素子など)に接したり、他の用途の配線パターンに接する場合がある。この場合、電子部品素子が動作不良になる。
【0007】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、封止部材との接触が原因となる電子部品素子の動作不良を防止する電子部品用パッケージ及び圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる電子部品用パッケージは、電子部品用パッケージにおいて、電子部品素子を搭載するベースと、封止部材を介して前記ベースに接合して電子部品素子を気密封止する蓋と、が設けられ、前記蓋は、導電性材料を含み、前記ベースに、底部と前記底部から延出した壁部とが設けられ、前記底部と前記壁部とにより前記ベースの一主面に電子部品素子を搭載するキャビティが形成され、電子部品素子の電極に電気的に接合するための電極パッドと、外部に電気的に接続するための外部端子と、前記電極パッドと前記外部端子とが電気的に接続された配線パターンとが形成され、前記外部端子に、接地用のGND端子が含まれ、前記配線パターンには、前記壁部に形成された、前記蓋を前記GND端子に接続するための壁部用GND配線パターンと、前記キャビティ内における前記ベースの一主面に形成された、電子部品素子を前記GND端子に接続するための電子部品素子用GND配線パターンと、が含まれ、前記電子部品素子用GND配線パターンと前記壁部用GND配線パターンとを連結する連結部が、前記ベースの平面視において前記キャビティに露出せずに前記底部と前記壁部との積層間にあることを特徴とする。また、本発明のより好適な構成として、前記連結部が、前記キャビティに露出せずに前記底部と前記壁部との積層間にあってもよい。
【0009】
本発明によれば、前記ベースと前記蓋とが前記封止部材を介して接合され、前記蓋は導電性材料を含み、前記ベースに前記底部と前記壁部とが設けられ、前記キャビティが形成され、前記電極パッドと前記外部端子と前記配線パターンとが形成され、前記外部端子に前記GND端子が含まれ、前記配線パターンには前記壁部用GND配線パターンと前記電子部品素子用GND配線パターンとが含まれ、前記連結部が、前記ベースの平面視において前記キャビティに露出せずに前記底部と前記壁部との積層間にあるので、前記壁部用GND配線パターン上を濡れ拡がった前記封止部材の進行が、前記壁部用GND配線パターンで止まり、前記壁部用GND配線パターン上を濡れ拡がった前記封止部材が、前記キャビティ内において前記壁部用GND配線パターンから電子部品素子用GND配線パターンに移ることはない。その結果、前記壁部用GND配線パターン上を、ある一定の厚みで濡れ拡がった前記封止部材が、他の用途の配線パターンや、電子部品素子に直に接することを防止することが可能となる。また、前記壁部用GND配線パターン上を、ある一定の厚みで濡れ拡がった前記封止部材と、電子部品素子との内部クリアランスも同時に確保することが可能となり、前記封止部材との接触が原因となる電子部品素子の動作不良を防止することが可能となる。
【0010】
また、前記封止部材の配線パターンへの流れ出しを抑制することが可能になるので、前記ベースと前記蓋との接合部位において、前記ベースと前記蓋との接合に必要な量の封止部材を確保することが可能となる。その結果、前記ベースと前記蓋との接合強度が低下したり、気密不良が生じるのを防止することが可能となる。
【0011】
前記構成において、前記キャビティ内の前記壁部の壁面に凹部が設けられ、前記凹部内に前記壁部用GND配線パターンが形成されてもよい。
【0012】
当該電子部品パッケージの小型化に伴い、内部空間が低背化される。この構成によれば、前記凹部内に前記壁部用GND配線パターンが形成されるので、ノイズを低減させることが可能となり、その結果、当該電子部品パッケージの小型化に伴うEMI対策に有効な構成となる。
【0013】
前記構成において、前記底部上に、前記壁部用GND配線パターンの一部となる壁部用GND電極部が形成され、前記壁部用GND電極部の一部が前記キャビティ内に露出し、前記キャビティ内に露出した前記壁部用GND電極部の外端縁は、前記キャビティ内の前記壁部の壁面に沿った形状となり、前記キャビティ内に露出しない前記壁部用GND電極部の外端縁は、円形であってもよい。
【0014】
この場合、前記底部上に前記壁部用GND電極部が形成され、前記壁部用GND電極部の一部が前記キャビティ内に露出し、前記キャビティ内に露出した前記壁部用GND電極部の外端縁は、前記キャビティ内の前記壁部の壁面に沿った形状となり、前記キャビティ内に露出しない前記壁部用GND電極部の外端縁は、円形であるので、前記壁部用GND電極部の中心点と前記凹部の中心点とを平面視同一位置にし、前記壁部用GND電極部の外形が正円形となっている形態に比べて、前記壁部用GND電極部の前記キャビティ内に露出した部分を抑えることが可能となる。その結果、前記壁部用GND電極部上を、ある一定の厚みで濡れ拡がった前記封止部材と、電子部品素子との内部クリアランスも同時に確保することが可能となり、電子部品素子との接触に接することも防止することが可能となる。また、前記壁部用GND電極部上を濡れ拡がって溜まる前記封止部材の溜まり量を抑制することが可能となる。その結果、前記ベースと前記蓋との接合部位に、前記ベースと前記蓋との接合に必要な量の封止部材を確保することが可能となり、前記ベースと前記蓋との接合強度が低下したり、気密不良が生じるのを防止することが可能となる。
【0015】
前記構成において、前記底部上に、前記壁部用GND配線パターンの一部となる壁部用GND電極部が形成され、前記壁部用GND電極部の外端縁は楕円であり、前記楕円の一つの短軸の一部が前記キャビティ内に露出してもよい。
【0016】
この場合、前記底部上に前記壁部用GND電極部が形成され、前記壁部用GND電極部の外端縁は楕円であり、前記楕円の一つの短軸の一部が前記キャビティ内に露出するので、前記壁部用GND電極部の中心点と前記凹部の中心点とを平面視同一位置にし、前記壁部用GND電極部の外形が正円形となっている形態に比べて、前記壁部用GND電極部の前記キャビティ内に露出した部分を抑えることが可能となる。その結果、前記壁部用GND電極部上をある一定の厚みで濡れ拡がった前記封止部材と、電子部品素子との内部クリアランスも同時に確保することが可能となり、電子部品素子との接触に接することも防止することが可能となる。また、前記壁部用GND電極部上を濡れ拡がって溜まる前記封止部材の溜まり量を抑制することが可能となり、前記ベースと前記蓋との接合部位に、前記ベースと前記蓋との接合に必要な量の封止部材を確保することが可能となる。その結果、前記ベースと前記蓋との接合強度が低下したり、気密不良が生じるのを防止することが可能となる。
【0017】
前記構成において、前記底部上に、前記壁部用GND配線パターンの一部となる壁部用GND電極部が形成され、前記壁部用GND電極部の一部が前記キャビティ内に露出し、前記キャビティ内に露出した前記壁部用GND電極部の外端縁は、直線であり、前記キャビティ内に露出しない前記壁部用GND電極部の外端縁は、円形であってもよい。
【0018】
この場合、前記底部上に前記壁部用GND電極部が形成され、前記壁部用GND電極部の一部が前記キャビティ内に露出し、前記キャビティ内に露出した前記壁部用GND電極部の外端縁は、直線であり、前記キャビティ内に露出しない前記壁部用GND電極部の外端縁は、円形であるので、前記壁部用GND電極部の中心点と前記凹部の中心点とを平面視同一位置にし、前記壁部用GND電極部の外形が正円形となっている形態に比べて、前記壁部用GND電極部の前記キャビティ内に露出した部分を抑えることが可能となる。その結果、前記壁部用GND電極部上をある一定の厚みで濡れ拡がった前記封止部材と、電子部品素子との内部クリアランスも同時に確保することが可能となり、電子部品素子との接触に接することも防止することが可能となる。また、前記壁部用GND電極部上を濡れ拡がって溜まる前記封止部材の溜まり量を抑制することが可能となり、前記ベースと前記蓋との接合部位に、前記ベースと前記蓋との接合に必要な量の封止部材を確保することが可能となる。その結果、前記ベースと前記蓋との接合強度が低下したり、気密不良が生じるのを防止することが可能となる。
【0019】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、本発明にかかる電子部品用パッケージに、電子部品素子である圧電素子が気密封止されたことを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、本発明にかかる電子部品用パッケージに前記圧電素子が気密封止されるので、本発明にかかる電子部品用パッケージの作用効果を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、封止部材との接触が原因となる電子部品素子の動作不良を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本実施の形態1にかかる、内部空間を公開した発振器の概略断面図である。
【図2】図2は、本実施の形態1にかかる、水晶振動片とICチップを搭載した状態のベースの概略平面図である。
【図3】図3は、本実施の形態1にかかるベースの概略平面図である。
【図4】図4は、本実施の形態2にかかる、キャビティを公開した発振器の概略断面図である。
【図5】図5は、本実施の形態2にかかる、水晶振動片とICチップを搭載した状態のベースの概略平面図である。
【図6】図6は、本実施の形態2にかかるベースの概略裏面図である。
【図7】図7は、本実施の形態2の他の形態にかかる、水晶振動片とICチップを搭載した状態のベースの概略平面図である。
【図8】図8は、本実施の形態2の他の形態にかかる、水晶振動片とICチップを搭載した状態のベースの概略平面図である。
【図9】図9は、本実施の形態1,2の他の形態にかかる、壁部用GND電極パッドと凹部との関係を示したベースの一部を拡大した概略平面図である。
【図10】図10は、本実施の形態1,2の他の形態にかかる、壁部用GND電極パッドと凹部との関係を示したベースの一部を拡大した概略平面図である。
【図11】図11は、本実施の形態1,2の他の形態にかかる、壁部用GND電極パッドと凹部との関係を示したベースの一部を拡大した概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、電子部品として圧電振動デバイスである発振器に本発明を適用し、さらに電子部品素子としてATカット水晶振動片とICチップに本発明を適用した場合を示す。
【0024】
<実施の形態1>
本実施の形態1にかかる発振器1には、図1〜3に示すように、電子部品素子である圧電素子のATカット水晶振動片2(以下、水晶振動片という)と、水晶振動片2とともに発振回路を構成する1チップ集積回路素子(集積回路素子)であるICチップ3(本発明でいう電子部品素子)と、これら水晶振動片2およびICチップ3を搭載し保持するベース5と、ベース5の一主面51に保持した水晶振動片2およびICチップ3を気密封止するための金属蓋4(本発明でいう蓋であり、以下、蓋という)と、が設けられている。
【0025】
この発振器1では、ベース5と蓋4とが封止部材11により加熱溶融接合されて本体筐体12(本発明でいう電子部品用パッケージ)が構成され、この接合により、気密封止された本体筐体12の内部空間13が形成される。
【0026】
この本体筐体12の内部空間13のベース5の一主面51(ベース5の平面視側の面)に、図1に示すように、導電性接合材14(導電性樹脂接着剤、金属バンプ、めっきバンプ等)により水晶振動片2が接合されるとともに電気的に接続されている(電気機械的に接合されている)。また、図1に示すように、内部空間13のベース5の一主面51上に、ICチップ3が導電性接合材14(金属バンプ、めっきバンプ等)により接合されるとともに電気的に接続されている(電気機械的に接合されている)。なお、本実施の形態1では、導電性接合材14に、シリコーン樹脂などの導電性樹脂接着剤や、Auバンプ等の金属バンプやメッキバンプが用いられている。また、封止部材11に、Agろう、Niメッキ、AuとSn等の合金等が用いられている。
【0027】
次に、この発振器1の本体筐体12の各構成について説明する。
【0028】
ベース5は、セラミック材料を積層して構成される。具体的に、ベース5は、図1〜3に示すように、底部6と、ベース5の一主面51の主面外周に沿って底部6から上方に延出した壁部7とから構成される箱状体に成形され、底部6と壁部7とによって囲まれ、ベース5の一主面51にICチップ3や水晶振動片2を搭載するキャビティ53が形成されている。底部6には、段部62が含まれ、底部6は、底面部61と段部62との2段の積層体からなる。このベース5は、セラミックの一枚板(底面部61に対応)上に、複数のセラミックの環状板(段部62と壁部7に対応)と、電極8の導電材料とを積層して凹状(断面視形状)に一体焼成してなる。
【0029】
このベース5のキャビティ53内において、底面部61上にICチップ3が6点の導電性接合材14により底面部61の配線パターン9(下記参照)に電気機械的に接合され、段部62上に水晶振動片2が片保持して電気機械的に接合される。なお、当該ベース5の長手方向の両端に段部62が設けられ、一方の段部62には水晶振動片2を接合する電極パッド81,82が形成され、他方の段部62は水晶振動片2が傾いて保持されるのを防ぐための枕部として機能する。
【0030】
このように、本実施の形態1では、水晶振動片2とICチップ3とが積層した状態でキャビティ53内に配されている。
【0031】
ベース5の壁部7の天面は、蓋4との接合面であり、この接合面には、蓋4と接合するための第1接合層(図示省略)が設けられている。第1接合層は、複数の層の積層構造からなり、ベース5の壁部7の天面に、WやMoからなるメタライズ層(図示省略)と、NiからなるNi膜と、AuからなるAu膜とが順に積層されてなる。メタライズ層は、メタライズ材料を印刷した後、セラミック焼成時に一体的に形成され、Ni膜とAu膜はメッキ技術により形成される。
【0032】
ベース5の筺体裏面(他主面52)には、その四隅および長辺の中間点に、図2に示すように、キャスタレーション54がそれぞれ形成されている。これらキャスタレーション54は、円弧状(半円弧の凹形状)の切り欠きであり、筐体側面55にX方向(図1に示すベース5の高さ方向)に延びている。
【0033】
また、キャビティ53内の壁部7の壁面71に凹部72が設けられている。凹部72は、円弧状(半円弧の凹形状)の切り欠きであり、壁部7の天面から底部6(具体的には段部62)に接する面に至るまでX方向に延びて形成されている。そして、この凹部72内に、壁部用GND配線パターン941(下記参照)が形成されている。
【0034】
また、ベース5の電極8には、図1〜3に示すように、水晶振動片2の励振電極24,24それぞれに電気的に接続する水晶振動片2用の一対の電極パッド81,82と、ICチップ3の端子(図示省略)に電気的に接続するICチップ3用の電極パッド(図示省略)と、外部の回路基板(図示省略)などの外部機器に半田などの導電性接合材(図示省略)を用いて電気的に接続する外部端子83と、水晶振動片2の特性を測定・検査する検査端子84,85とが形成されている。なお、本実施の形態1では、外部端子83に、ICチップ3の交流出力端子831と、ICチップ3の直流電源端子832と、ICチップ3の直流制御端子833と、接地用のGND端子834(グランド端子)とが含まれる。
【0035】
水晶振動片2用の一対の電極パッド81,82は、ベース5の一主面51であって、キャビティ53内の段部62上に形成されている。ICチップ3用の電極パッドは、ベース5の一主面51であって、キャビティ53内の底面部61上に、マトリックス状に形成され、本実施の形態1では、2×3行列(m×n行列)に形成されている。また、外部端子83(交流出力端子831、直流電源端子832、直流制御端子833、GND端子834)は、他主面52の壁部対応領域(他主面52の外周)の各キャスタレーション54に形成されている。また、検査端子84,85は、本体筺体12の側面(キャスタレーション54の側面)の一部に形成されている。
【0036】
上記構成からなるベース5の電極8では、電極パッド(81,82)、外部端子83、検査端子84,85が、配線パターン9により電気的に接続されている。
【0037】
配線パターン9には、図1〜3に示すように、ICチップ3の交流出力用の電極パッドをICチップ3の交流出力端子831に導通させる出力配線パターン91と、ICチップ3の直流電源用の電極パッドを直流電源端子832に導通させる電源配線パターン92と、ICチップ3の直流制御用の電極パッドを直流制御端子833に導通させる制御配線パターン93と、ICチップ3の接地用の電極パッドをGND端子834に導通させるGND配線パターン94と、検査用の電極パッドを検査端子84および電極パッド81に導通させる水晶配線パターン95と、検査用の電極パッドを検査端子85および電極パッド82に導通させる水晶配線パターン96と、が含まれている。
【0038】
また、GND配線パターン94には、図3に示すように、壁部7に形成された、蓋4をGND端子834に接続するための壁部用GND配線パターン941と、キャビティ53の一主面51に形成された、ICチップ3をGND端子834に接続するための電子部品素子用GND配線パターン942と、が含まれている。これら電子部品素子用GND配線パターン942と壁部用GND配線パターン941とを連結する連結部943が、キャビティ53に露出せずに、底部6と壁部7との積層間にある。なお、本実施の形態1では、電子部品素子用GND配線パターン942は、底面部61に形成され、壁部用GND配線パターン941は底面部61と段部62と壁部7とに形成されている。
【0039】
また、段部62上(ベース5の一主面51)に、壁部用GND配線パターン941の一部となる壁部用GND電極部944が形成され、壁部用GND電極部944の一部は、キャビティ53内に露出する。このキャビティ53内に露出した壁部用GND電極部944は、扇形状からなり、その外端縁945は、図2,3に示すように、キャビティ53内の壁部7の壁面71に沿った曲線となる。一方、キャビティ53内に露出しない壁部用GND電極部944の外端縁946の形状は、正円形となる。また、凹部72の中心点P1と、壁部用GND電極部944の中心点P2とは、平面視同一位置にある。また、図1〜3に示すように、壁部用GND配線パターン941が形成された凹部72には、CuやW、Mo等から構成される導通部材15が充填され、この導通部材15は壁部用GND配線パターン941に含まれる。
【0040】
ベース5の電極8は、W,Mo等のメタライズ材料を印刷した後にベース5と一体的に焼成して形成される。このうち、電極パッド(81,82)と、外部端子83と、検査端子84,85とは、メタライズ上部にNiメッキが形成され、その上部にAuメッキが形成されて構成される。なお、ここでいうメッキ形成の工法として、電解メッキ法や無電解メッキ法が挙げられる。
【0041】
蓋4は、図1に示すように、一枚板のコバール母材(導電性材料)からなり、このコバール母材の両主面に図示しないニッケル層が形成され、その一方の主面にさらにAuSn合金層が形成されている。また、本実施の形態1にかかるベース5と蓋4との接合に用いる封止部材11は、蓋4のAuSn合金層から構成される。蓋4の外形寸法は、ベース5の外形寸法よりも小さい。なお、必要に応じて、蓋4のニッケル層とコバール母材の間に銅を主成分とする熱緩衝層を形成してもよい。
【0042】
上記構成からなる発振器1では、図1〜3に示すように、ベース5のキャビティ53の底面部61上にICチップ3が配され、ICチップ3が導電性接合材14を介してFCB法によりICチップ3用の電極パッドに電気機械的に超音波接合される。その後、ベース5のキャビティ53の段部62上に水晶振動片2が配され、水晶振動片2が導電性接合材14を介して電気機械的に電極パッド81,82に接合される。
【0043】
そして、キャビティ53にICチップ3と水晶振動片2とが搭載されたベース5に蓋4が配され、その後、加熱溶融接合により、蓋4に形成された封止部材11とベース5の第1接合層とが接合されて、図1に示すように、水晶振動片2およびICチップ3を気密封止した発振器1が製造される。そして、ここで製造された発振器1を、外部の回路基板に半田などの導電性接合材により実装する。なお、本明細書では、便宜上、符号11を封止部材として示しているが、実際は、符号11の部材には第1接合層も含まれており、図1では、ベース5と蓋4とを接合した後の第1接合層と封止部材とを符号11として示す。
【0044】
水晶振動片2はATカット水晶片の基板21からなり、水晶振動片2の基板21は、図2に示すように、一枚板の直方体形状からなる。
また、この基板21の両主面22,22には一対の励振電極23,23が対向して形成されている。そして、励振電極23,23を外部電極(本実施例では、ベース5の電極パッド81,82)と電気機械的に接合するために励振電極23,23から引出電極24,24が引き出し形成されている。そして、励振電極23,23が、引出電極24,24から導電性接合材14(図1参照)を介してベース5の電極パッド81,82と電気機械的に接合されている。なお、励振電極23,23及び引出電極24,24は、真空蒸着法やスパッタリング法などにより形成され、例えば、基板21に、少なくとも、クロムなどの下地電極と、金や銀などの電極とを順に積層して形成されている。
【0045】
上記構成の本実施の形態1にかかる発振器1およびその本体筐体12によれば、ベース5と蓋4とが封止部材11を介して接合され、蓋4は導電性材料を含み、ベース5に底部6と壁部7とが設けられ、キャビティ53が形成され、電極8(外部端子83を含む)と配線パターン9とが形成され、外部端子83にGND端子834が含まれ、配線パターン9には壁部用GND配線パターン941と電子部品素子用GND配線パターン942とが含まれ、連結部943が、底部6と壁部7との積層間にあり、キャビティ53に露出しないので、壁部用GND配線パターン941上を濡れ拡がった封止部材11の進行が、壁部用GND配線パターン941で止まり、壁部用GND配線パターン941上を濡れ拡がった封止部材11が、キャビティ53内において壁部用GND配線パターン941から電子部品素子用GND配線パターン942に移ることはない。その結果、前記壁部用GND配線パターン上を、ある一定の厚みで濡れ拡がった封止部材11が、他の用途の配線パターン(出力配線パターン91、電源配線パターン92、制御配線パターン93、水晶配線パターン95,96)や、電子部品素子(水晶振動片2、ICチップ3)に直に接することを防止することができる。また、壁部用GND配線パターン941上を、ある一定の厚みで濡れ拡がった封止部材11と、水晶振動片2やICチップ3などの電子部品素子との内部クリアランスも同時に確保することができ、封止部材11との接触が原因となる電子部品素子の動作不良を防止することができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、封止部材11の電子部品素子用GND配線パターン942への流れ出しを抑制することができるので、ベース5と蓋4との接合部位において、ベース5と蓋4との接合に必要な量の封止部材11を確保することができる。その結果、ベース5と蓋4との接合強度が低下したり、気密不良が生じるのを防止することができる。
【0047】
また、発振器1では、小型化に伴い、内部空間13が低背化される。本実施の形態によれば、キャビティ53内の壁部7の壁面71に凹部72が設けられ、凹部72内に壁部用GND配線パターン941が形成されるので、ノイズを低減させることができ、その結果、発振器1の小型化に伴うEMI対策に有効な構成となる。
【0048】
また、底部6上に壁部用GND電極部944が形成され、壁部用GND電極部944の一部がキャビティ53内に露出し、キャビティ53内に露出した壁部用GND電極部944の外端縁945は、キャビティ53内の壁部7の壁面71に沿った形状となり、キャビティ53内に露出しない壁部用GND電極部944の外端縁946の形状は、円形であるので、壁部用GND電極部944の中心点と凹部の中心点とを平面視同一位置にし、壁部用GND電極部944の外形が正円形となっている形態に比べて、壁部用GND電極部944のキャビティ53内に露出した部分を抑えることができる。その結果、壁部用GND電極部944上を、ある一定の厚みで濡れ拡がった封止部材11と、水晶振動片2やICチップ3などの電子部品素子との内部クリアランスも同時に確保することができ、これらの電子部品素子との接触に接することも防止することができる。また、壁部用GND電極部944上を濡れ拡がって溜まる封止部材11の溜まり量を抑制することができる。その結果、ベース5と蓋4との接合部位に、ベース5と蓋4との接合に必要な量の封止部材11を確保することができ、ベース5と蓋4との接合強度が低下したり、気密不良が生じるのを防止することができる。
【0049】
なお、本実施の形態1では、圧電振動デバイスとして水晶発振器を適用しているが、材料は水晶に限定されるものではなく、圧電材料であればよい。また、本実施の形態にかかる水晶発振器に限定されるものではなく、例えば弾性表面波素子を用いた発振器等であってもよい。
【0050】
また、本実施の形態1では、外部端子83としてICチップ3の交流出力端子831と、直流電源端子832と、直流制御端子833と、GND端子834とが含まれた4端子構成のものとしているが、これに限定されるものではなく、直流制御端子833に代えて、電圧制御用端子を形成した4端子構成のものであってもよい。また、直流制御端子833に代えて、外部への接続を行う端子として機能しないダミー端子を形成した4端子構成のものであってもよい。また、直流制御端子833と電圧制御用端子とダミー端子とのうち少なくとも2つ以上形成した5端子以上の構成のものであってもよい。また、外部端子83に、他の書き込み端子等を追加端子として含む6端子以上の構成のものであってもよい。
【0051】
また、本実施の形態1,2では、ベース5と蓋4とを接合する前の蓋4に封止部材11を形成しているが、これに限定されるものではなく、ベース5に封止部材11を形成してもよい。
【0052】
<実施の形態2>
次に、本実施の形態2にかかる発振器1を図面を用いて説明する。なお、本実施の形態2にかかる発振器1は、上記した実施の形態1に対して、ベース5の形状が異なる。そのため、実施の形態1にかかる発振器1と同一構成による作用効果及び変形例は、実施の形態1にかかる発振器1と同様の作用効果及び変形例を有する。そこで、本実施の形態2では、上記の実施の形態2と異なるベース5の構成について説明し、同一の構成についての説明を省略する。
【0053】
本実施の形態2にかかる発振器1では、図4〜6に示すように、水晶振動片2とICチップ3とベース5と蓋4とが設けられている。ベース5と蓋4から構成される電子部品用パッケージである本体筐体12内に、水晶振動片2が気密封止されている。
【0054】
次に、本実施の形態2の特徴的な構成であるベース5について、図4〜6を用いて説明する。
【0055】
ベース5は、アルミナ等のセラミック材料の基材からなり、図4,5に示すように、底部6と、ベース5の一主面51の主面外周に沿って底部6から上方に延出した壁部7と、から構成された箱状体に成形されている。このベース5は、セラミックの一枚板(底部6に対応)上に、複数のセラミックの環状板(壁部7に対応)と、電極8の導電材料とを積層し、凹状(断面視形状)に一体焼成されている。
【0056】
ベース5の一主面51には、底部6と壁部7とによって囲まれ、水晶振動片2やICチップ3を搭載するキャビティ53が形成され、キャビティ53の底部6上(ベース5の一主面51)に、水晶振動片2とICチップ3とが長辺方向を同一方向にして並んで搭載される。
【0057】
ベース5の壁部7の天面は、蓋4との接合面であり、この接合面には、蓋4と接合するための第1接合層(図示省略)が設けられている。第1接合層は、複数の層の積層構造からなり、ベース5の壁部7の天面に、WやMoからなるメタライズ層(図示省略)と、NiからなるNi膜と、AuからなるAu膜とが順に積層されてなる。メタライズ層は、メタライズ材料を印刷した後、セラミック焼成時に一体的に形成され、Ni膜とAu膜はメッキ技術により形成される。
【0058】
ベース5の筺体裏面(他主面52)には、その四隅に、図4〜6に示すように、キャスタレーション54がそれぞれ形成されている。これらキャスタレーション54は、円弧状(半円弧の凹形状)の切り欠きであり、筐体側面55にX方向(図4に示すベース5の高さ方向)に延びている。
【0059】
また、ベース5には、図5,6に示すように、水晶振動片2の励振電極23,23をキャビティ53内からキャビティ53外に導出させるためのビア56が2つ形成されている。すなわち、ベース5の一主面51から他主面52にかけて両主面51,52を貫通したビア56が2つ形成されている。
【0060】
これらビア56は、ベース5のいずれの辺に対しても傾斜し、ベースの短辺方向(図6に示す線L1参照)に対して角度θ(5°〜30°)傾いた方向(図6に示す線L2参照)に並んで配されている。また、2つのビア56は、他主面52の、一主面51に成形された壁部7に対応する対応領域(以下、この対応領域を壁部対応領域とする)以外の領域に形成されている。すなわち、2つのビア56は、一主面51に形成されたキャビティ53の底部6上に対応する他主面52の領域(以下、この対応領域をキャビティ対応領域とする)に形成されている。なお、これらビア56の内部には、CuやW、Mo等から構成される導通部材(図示省略)が充填されている。
【0061】
また、前記キャビティ53内の壁部7の壁面71に凹部72が設けられている。凹部72は、円弧状(半円弧の凹形状)の切り欠きであり、壁部7の天面から底部6と接する面に至るまでX方向に延びて形成されている。そして、この凹部72内には、WやMoなどのペーストからなる導通部材15が充填され、凹部72に充填された導通部材15のキャビティ53に面する表面に壁部用GND配線パターン941(下記参照)が形成されている。
【0062】
また、ベース5の電極8には、図5に示すように、水晶振動片2の励振電極23,23それぞれに電気的に接続する水晶振動片2用の一対の電極パッド81,82と、ICチップ3の端子(図示省略)に電気的に接続するICチップ3用の電極パッド(図示省略)と、外部の回路基板(図示省略)などの外部機器に半田などの導電性接合材(図示省略)を用いて電気的に接続する外部端子83と、水晶振動片2の特性を測定・検査する検査端子84,85とが形成されている。なお、本実施の形態では、外部端子83には、ICチップ3の交流出力端子831と、直流電源端子832と、直流制御端子833と、接地用のGND端子834(グランド端子)とが含まれる。
【0063】
水晶振動片2用の電極パッド81,82は、図4,5に示すように、ベース5の一主面51(具体的にはキャビティ53の底部6上)に形成され、キャビティ53の底部6上の、出力配線パターン91(下記参照)およびGND配線パターン94(下記参照)よりも、電源配線パターン92(下記参照)および制御配線パターン93(下記参照)の近くに配されている。すなわち、電極パッド81,82は、出力配線パターン91およびGND配線パターン94と離れ、かつ、電源配線パターン92および制御配線パターン93の近くに配されている。
【0064】
また、ICチップ3用の電極パッドは、ベース5の一主面51のキャビティ53の底部6上に、マトリックス状に形成され、本実施の形態では、2×3行列(m×n行列)に形成されている。
【0065】
また、外部端子83(交流出力端子831、直流電源端子832、直流制御端子833、GND端子834)は、他主面52の壁部対応領域(他主面52の外周)に形成されている。具体的には、図6に示すように、交流出力端子831と、直流電源端子832と、直流制御端子833と、GND端子834とは、他主面52の各隅部およびキャスタレーション54に形成されている。
【0066】
また、検査端子84,85は、他主面52のキャビティ対向位置(他主面52の外周を除く中央位置)に形成されている。具体的には、検査端子84,85は、図6に示すように、他主面52のキャビティ対応領域(他主面52の外周を除く中央領域)のみに形成されている。具体的には、検査端子84,85は、他主面52の長辺の中間位置上に、他主面52の短辺方向に沿って並んで形成されている。また、検査端子84,85下にビア56がそれぞれ形成されている。
【0067】
上記構成からなるベース5の電極8では、電極パッド(81,82)、外部端子83、検査端子84,85が、配線パターン9により電気的に接続されている。
【0068】
配線パターン9には、図5に示すように、ICチップ3の交流出力用の電極パッドをICチップ3の交流出力端子831に導通させる出力配線パターン91と、ICチップ3の直流電源用の電極パッドを直流電源端子832に導通させる電源配線パターン92と、ICチップ3の直流制御用の電極パッドを直流制御端子833に導通させる制御配線パターン93と、ICチップ3の接地用の電極パッドをGND端子834に導通させるGND配線パターン94と、検査用の電極パッドを検査端子84および電極パッド81に導通させる水晶配線パターン95と、検査用の電極パッドを検査端子85および電極パッド82に導通させる水晶配線パターン96と、が含まれている。
【0069】
また、GND配線パターン94には、図4,5に示すように、壁部7に形成された、蓋4をGND端子834に接続するための壁部用GND配線パターン941と、キャビティ53の一主面51に形成された、ICチップ3をGND端子834に接続するための電子部品素子用GND配線パターン942と、が含まれている。これら電子部品素子用GND配線パターン942と壁部用GND配線パターン941とを連結する連結部943が、キャビティ53に露出せずに、底部6と壁部7との積層間にある。本実施の形態2では、電子部品素子用GND配線パターン942と壁部用GND配線パターン941とはキャビティ53内において近接した位置に配されているが、943が底部6と壁部7との積層間にあるため、電子部品素子用GND配線パターン942と壁部用GND配線パターン941とはキャビティ53では連結しない。
【0070】
また、底部6上(ベース5の一主面51)に、壁部用GND配線パターン941の一部となる壁部用GND電極部944が形成され、壁部用GND電極部944の一部は、キャビティ53内に露出する。このキャビティ53内に露出した壁部用GND電極部944は、扇形状からなり、その外端縁945は、図5に示すように、キャビティ53内の壁部7の壁面71に沿った曲線となる。一方、キャビティ53内に露出しない壁部用GND電極部944の外端縁946の形状は、正円形となる。また、凹部72の中心点P1と、壁部用GND電極部944の中心点P2とは、平面視同一位置にある。
【0071】
本実施の形態2では、水晶振動片2に形成された一対の励振電極23,23と、交流出力端子831、直流電源端子832、直流制御端子833、GND端子834、出力配線パターン91、電源配線パターン92、制御配線パターン93、およびGND配線パターン94は、対応関係になく対向していない非対向状態として配されている。
【0072】
ベース5の電極8は、W,Mo等のメタライズ材料を印刷した後にベース5と一体的に焼成して形成される。このうち、電極パッド(81,82)と、外部端子83と、検査端子84,85とは、メタライズ上部にNiメッキが形成され、その上部にAuメッキが形成されて構成される。なお、ここでいうメッキ形成の工法として、電解メッキ法や無電解メッキ法が挙げられる。
【0073】
上記構成からなる発振器1では、図5に示すように、ベース5のキャビティ53の底部6上にICチップ3が配され、ICチップ3が導電性接合材14を介してFCB法によりICチップ3用の電極パッドに電気機械的に超音波接合される。また、ベース5のキャビティ53の底部6上にICチップ3に並べた状態で水晶振動片2が配され、水晶振動片2が導電性接合材14を介して電気機械的に電極パッド81,82に接合される。
【0074】
そして、同一平面のキャビティ53の底部6上にICチップ3と水晶振動片2とが搭載されたベース5に蓋4が配され、その後、加熱溶融接合により、蓋4に形成された封止部材11とベース5の第1接合層とが接合されて、図4に示すように、水晶振動片2およびICチップ3を気密封止した発振器1が製造される。ここで製造された発振器1を、外部の回路基板に半田などの導電性接合材により実装する。
【0075】
なお、上記の実施の形態2では、電子部品素子用GND配線パターン942と壁部用GND配線パターン941とはキャビティ53内において近接した位置に配されているが、これに限定されるものではなく、図7に示すように、電子部品素子用GND配線パターン942と壁部用GND配線パターン941とはキャビティ53内において離間した位置に配されてもよい。この図7に示す配線パターン9であっても、943が底部6と壁部7との積層間にある。このため、電子部品素子用GND配線パターン942と壁部用GND配線パターン941とはキャビティ53内では連結しない。
【0076】
また、図7に示す形態、電子部品素子用GND配線パターン942と壁部用GND配線パターン941とを連結する連結部943が、ベース5の平面視(図7参照)においてキャビティ53に露出せずに底部6と壁部7との積層間にある。なお、この連結部943は、キャビティ53の壁面の一部として表れているが、キャビティ53の底部6上(ベース5の一主面51)には形成されていない。しかしながら、製造誤差によって、若干ではあるが、壁部7だけではなく、キャビティ53の底部6上(ベース5の一主面51)にも形成される場合もある。この場合であっても、壁部用GND配線パターン941上を濡れ拡がった封止部材11の進行を、壁部用GND配線部944で止める効果がある。
【0077】
また、上記の実施の形態2では、キャビティ53の底部6上(ベース5の一主面51)に、水晶振動片2とICチップ3とが長手方向を同一方向にして並んで搭載されているが、これに限定されるものではなく、図8に示すように、水晶振動片2の長辺方向とICチップ3の短辺方向とを同一方向にして、水晶振動片2とICチップ3とが並んで搭載されてもよい。
【0078】
また、上記の実施の形態1,2では、このキャビティ53内に露出した壁部用GND電極部944は、扇形状からなり、その外端縁の形状がキャビティ53内の壁部7の壁面71に沿った曲線となっているが、これに限定されるものではなく好適な例であり、キャビティ53内に露出した壁部用GND電極部944の外端縁の形状が、キャビティ53内の壁部7の壁面71に沿っていれば他の形態であってもよい。具体的には、図9に示すように、キャビティ53内に露出した壁部用GND電極部944は、L字形状からなり、その外端縁945がキャビティ53内の壁部7の壁面71に沿った屈曲点を有する2つの直線からなってもよい。
【0079】
また、上記の実施の形態1,2では、キャビティ53内に露出した壁部用GND電極部944の外端縁945は、キャビティ53内の壁部7の壁面71に沿った曲線となり、キャビティ53内に露出しない壁部用GND電極部944の外端縁946の形状は、正円形となっているが、これに限定されるものではなく、図10に示す楕円形や、図11に示す正円形であってもよい。
【0080】
なお、図10に示す壁部用GND電極部944は、凹部72の中心点P1と壁部用GND電極部944の中心点P2とを平面視同一位置にあり、楕円の長軸が壁部7内にあり、楕円の一つの短軸の一部がキャビティ53内に露出する。そのため、楕円の一つの短軸の一部がキャビティ53に露出することになり、壁部用GND電極部944の外端縁945,946が楕円の長軸を半径とする正円のものに比べて、壁部用GND電極部944のキャビティ53内に露出した部分を抑えることができる。
【0081】
また、図11に示す形態では、凹部72の中心点P1と、壁部用GND電極部944の中心点P2とは平面視同一位置になく、壁部用GND電極部944の中心点P2が凹部72の中心点P1に対して、キャビティ53の外方に位置する。この図11に示す形態では、キャビティ53内に露出した壁部用GND電極部944の外端縁945は、直線であり、キャビティ53内に露出しない壁部用GND電極部944の外端縁946は、円形である。
【0082】
このように、図10,11に示す壁部用GND電極部944によれば、凹部72の中心点P1と壁部用GND電極部944の中心点P2とを平面視同一位置にし、壁部用GND電極部944の外形が正円形となっている形態に比べて、壁部用GND電極部944のキャビティ53内に露出した部分を抑えることができる。その結果、壁部用GND電極部944上を、ある一定の厚みで濡れ拡がった封止部材11と、水晶振動片2やICチップ3との内部クリアランスを確保し、壁部用GND電極部944と他の用途の配線パターン(出力配線パターン91、電源配線パターン92、制御配線パターン93、水晶配線パターン95,96)や電子部品素子(水晶振動片2やICチップ3)とを離すことができ、その結果、封止部材11が水晶振動片2やICチップ3に接触することも防止することができる。
【0083】
また、上記の実施の形態1,2では、1つのキャビティ53内に、水晶振動片2とICチップ3とを配しているが、これに限定されるものではなく、2つのキャビティを形成して、水晶振動片2とICチップ3とをそれぞれ別のキャビティに配してもよい。
【0084】
また、上記の実施の形態1,2では、キャビティ53内の壁部7の壁面71に凹部72が設けられ、凹部72内に、導通部材15を含む壁部用GND配線パターン941が形成されているが、これに限定されるものではなく、壁部7に凹部72を設けずに壁面71に壁部用GND配線パターン941が形成されてもよい。
【0085】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、蓋に金属材料などを用いた水晶発振器などの圧電振動デバイスに好適である。
【符号の説明】
【0087】
1 発振器
11 封止部材
12 本体筐体
13 内部空間
14 導電性接合材
15 導通部材
2 ATカット水晶振動片
21 基板
22 両主面
23 励振電極
24 引出電極
3 ICチップ
4 金属蓋
5 ベース
51 一主面
52 他主面
53 キャビティ
54 キャスタレーション
55 筐体側面
56 ビア
6 底部
61 底面部
62 段部
7 壁部
71 壁面
72 凹部
8 電極
81,82電極パッド
83 外部端子
831 交流出力端子
832 直流電源端子
833 直流制御端子
834 GND端子
84,85 検査端子
9 配線パターン
91 出力配線パターン
92 電源配線パターン
93 制御配線パターン
94 GND配線パターン
941 壁部用GND配線パターン
942 電子部品素子用GND配線パターン
943 連結部
944 壁部用GND電極部
945,946 壁部用GND電極部の外端縁
95,96 検査配線パターン
P1 凹部の中心点
P2 壁部用GND電極部の中心点
P3 ベースの他主面の中心点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品用パッケージにおいて、
電子部品素子を搭載するベースと、封止部材を介して前記ベースに接合し電子部品素子を気密封止する蓋と、が設けられ、
前記蓋は、導電性材料を含み、
前記ベースに、底部と前記底部から延出した壁部とが設けられ、前記底部と前記壁部とにより前記ベースの一主面に電子部品素子を搭載するキャビティが形成され、電子部品素子の電極に電気的に接合するための電極パッドと、外部に電気的に接続するための外部端子と、前記電極パッドと前記外部端子とが電気的に接続された配線パターンとが形成され、
前記外部端子に、接地用のGND端子が含まれ、
前記配線パターンには、前記壁部に形成された、前記蓋を前記GND端子に接続するための壁部用GND配線パターンと、前記キャビティ内における前記ベースの一主面に形成された、電子部品素子を前記GND端子に接続するための電子部品素子用GND配線パターンと、が含まれ、
前記電子部品素子用GND配線パターンと前記壁部用GND配線パターンとを連結する連結部が、前記ベースの平面視において前記キャビティに露出せずに前記底部と前記壁部との積層間にあることを特徴とする電子部品用パッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品用パッケージにおいて、
前記連結部が、前記キャビティに露出せずに前記底部と前記壁部との積層間にあることを特徴とする電子部品用パッケージ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子部品用パッケージにおいて、
前記キャビティ内の前記壁部の壁面に凹部が設けられ、前記凹部内に前記壁部用GND配線パターンが形成されたことを特徴とする電子部品用パッケージ。
【請求項4】
請求項3に記載の電子部品用パッケージにおいて、
前記底部上に、前記壁部用GND配線パターンの一部となる壁部用GND電極部が形成され、
前記壁部用GND電極部の一部が前記キャビティ内に露出し、前記キャビティ内に露出した前記壁部用GND電極部の外端縁は、前記キャビティ内の前記壁部の壁面に沿った形状となり、前記キャビティ内に露出しない前記壁部用GND電極部の外端縁は、円形であることを特徴とする電子部品用パッケージ。
【請求項5】
請求項3に記載の電子部品用パッケージにおいて、
前記底部上に、前記壁部用GND配線パターンの一部となる壁部用GND電極部が形成され、
前記壁部用GND電極部の外端縁は楕円であり、前記楕円の一つの短軸の一部が前記キャビティ内に露出することを特徴とする電子部品用パッケージ。
【請求項6】
請求項3に記載の電子部品用パッケージにおいて、
前記底部上に、前記壁部用GND配線パターンの一部となる壁部用GND電極部が形成され、
前記壁部用GND電極部の一部が前記キャビティ内に露出し、前記キャビティ内に露出した前記壁部用GND電極部の外端縁は、直線であり、前記キャビティ内に露出しない前記壁部用GND電極部の外端縁は、円形であることを特徴とする電子部品用パッケージ。
【請求項7】
圧電振動デバイスにおいて、
請求項1乃至6のうちいずれか1つに記載の電子部品用パッケージに、電子部品素子である圧電素子が気密封止されたことを特徴とする圧電振動デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−4693(P2013−4693A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133602(P2011−133602)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】