説明

電子部品用パッケージおよび当該電子部品用パッケージを用いた圧電振動デバイス

【課題】 小型化および低背化に対応し、かつ特性の安定した圧電振動デバイスを提供する。
【解決手段】 表面実装型水晶振動デバイスは、上部が開口した凹部を有するベース1と、当該ベースの中に収納される圧電振動板である水晶振動板2と、パッケージの開口部に接合されるリッド3とからなる。ベース1のキャビティは下部キャビティ1bと上部キャビティ1aを有する構成であり、また下部キャビティ1bの一部には段部1cが形成されている。前記下部キャビティ内側壁10bはベースの内底面111から45度の角度(内壁角度θ1)で立ち上がっている。また前記上部キャビティ内側壁10aはベースの内底面と平行な面に対して75度の角度(内壁角度)で立ち上がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる電子部品用パッケージおよび圧電振動デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品用パッケージのキャビティ(内部空間)は、当該キャビティ内に収納した電子部品素子の特性劣化を防止し、安定した特性を得るために気密封止されている。このような構成の例として電子部品素子として水晶振動素子を用いた水晶振動子や水晶発振器をあげることができる。
【0003】
具体的には、底面と側壁を有しかつ開口部を有することによりキャビティを形成したベースと、当該ベースのキャビティ内に収納される水晶振動素子と、当該水晶振動素子を気密封止するリッドからなる構成である。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2002−151994号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の電子部品の小型化および低背化により、キャビティが設けられたベースについて機械的強度低下の問題が顕在化してきた。すなわち、小型化、低背化によりパッケージの底面の厚さすなわちキャビティの内底面とベース外側の外底面の厚さ、および側壁の厚さすなわちキャビティの内壁面とベース外側の外壁面の厚さの一方または両方が薄くなり、ベースにクラック等の破壊モードの故障が生じることがあった。特にパッケージ内底面と内壁面の境界となる屈曲部でこのような破壊モードが生じることがあった。このような場合、気密性低下による電子部品の品質低下および信頼性低下を招くことになる。
【0006】
また、パッケージ強度を向上させるために底面や側壁の厚さを厚くした場合、前記キャビティの容積が限定され、収納できる電子部品素子の外形サイズが限定されてしまうことがあった。例えば水晶振動素子においては要求仕様によって、設計上水晶振動素子の外形サイズを大きくする場合があるが、このような場合、限られた容積では当該水晶振動素子のキャビティへの収納が困難になり素子サイズが限定される等、限られたパッケージサイズでは所望の電子部品としての特性が得られないことがあった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、電子部品用パッケージの強度を向上させ、かつ特性向上に寄与する電子部品用パッケージを提供することを目的としている。
【0008】
また本発明は小型化および低背化に対応し、かつ特性の安定した圧電振動デバイスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載したように、電極の形成された電子部品素子を収納するキャビティを有し、かつ前記電極と電気的に接続される外部接続端子を有するベースと、前記キャビティを気密封止するリッドと、を有する電子部品用パッケージであって、前記キャビティは上部キャビティと当該上部キャビティの下方に位置する下部キャビティを有し、前記下部キャビティの内壁角度が前記上部キャビティの内壁角度より小さいことを特徴としている。
【0010】
前記キャビティは下部キャビティの内壁角度が上部キャビティの内壁角度より小さい構成であればよく、下部キャビティの上部に複数の内壁角度を有する複数の上部キャビティを有する構成であってもよい。なお、内壁角度は、ベースの内底面または当該内底面と平行な面から立ち上がった内壁の角度(θ1およびθ2)を示している。
【0011】
請求項1によれば、キャビティは上部キャビティと当該上部キャビティの下方に位置する下部キャビティを有し、前記下部キャビティの内壁角度が前記上部キャビティの内壁角度より小さい構成であるので、ベースの内底部と下部キャビティの内壁により形成される屈曲部の角度を大きくし、鈍角にすることができる。これにより従来クラック等の破壊モードの起点となっていた屈曲部からの破壊の発生を抑制することができる。
【0012】
また上部キャビティの内壁角度は下部キャビティの内壁角度より大きい構成となっているので、ベース上部の側壁の厚さが薄くなりすぎず、パッケージ強度を確保することができるとともに、上部キャビティの容積を拡大することができ、電子部品素子の収納スペースを十分確保することができる。
【0013】
本発明は請求項2に記載したように、前記下部キャビティの内壁角度は35度から50度の範囲であることを特徴とする電子部品用パッケージであってもよい。
【0014】
下部キャビティの内壁角度を35度から50度の範囲にすることにより、ベースの内底部と下部キャビティの内壁により形成される屈曲部の角度が130度から145度の鈍角とすることができ、屈曲部からの破壊発生を抑制することができる。当該内壁角度が35度以下であると堤部の厚さが薄くなりすぎパッケージの強度低下を招くことがあり、また内壁角度が50度以上になると内底面と下部キャビティ内側壁で形成される第1の屈曲部の角度が小さくなり、ベースにおけるクラック発生の起点となり易く、パッケージの強度低下を招く。
【0015】
また本発明は請求項3に記載したように、前記上部キャビティの内壁角度は60度から85度の範囲であることを特徴とする電子部品用パッケージであってもよい。
【0016】
前記上部キャビティの内壁角度を60度から85度の範囲とすることにより、下部キャビティの内壁に続く上部キャビティの上端部分においても側壁の厚さを十分に確保することができ、またベースの強度を低下させることが無く、かつ実用的なキャビティの容積を確保することができる。以上により、パッケージ容積の制限を極力受けることなく、電子部品素子を収納することができる。当該内壁角度が60度以下であると堤部の厚さが薄くなりすぎパッケージの強度低下を招くことがあり、また内壁角度が85度以上になると下部キャビティ内側壁と上部キャビティ内側壁で形成される第2の屈曲部の角度が小さくなり、ベースにおけるクラック発生の起点となり易く、パッケージの強度低下を招く。また上部キャビティの容積を小さくしてしまうので、電子部品素子のサイズが限定されてしまい、電子部品としての所望の特性が得られない場合がある。
【0017】
さらに上述の各電子部品用パッケージを用い、電子部品素子が励振電極の形成された圧電振動素子であり、当該圧電振動素子は前記上部キャビティに配置されていることを特徴とする圧電振動デバイスであってもよい。
【0018】
上記構成により、圧電振動素子は上部キャビティの広い空間に配置することができるので、パッケージ容積の制限を極力受けることなく、圧電振動素子を収納することができ、特性の安定した信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電子部品用パッケージの強度を向上させ、かつ特性向上に寄与する電子部品用パッケージを得ることができる。
【0020】
また本発明によれば小型化および低背化に対応し、かつ特性の安定した圧電振動デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による第1の実施形態に用いるベースの平面図
【図2】本発明による第1の実施形態を示す圧電振動デバイスの内部構造を示す分解図
【図3】本発明による第1の実施形態を示す圧電振動デバイスの内部構造図
【図4】本発明による圧電振動デバイス製造プロセスを説明する図
【図5】本発明による圧電振動デバイス製造プロセスを説明する図
【図6】本発明による圧電振動デバイス製造プロセスを説明する図
【図7】本発明による圧電振動デバイス製造プロセスを説明する図
【図8】本発明による圧電振動デバイス製造プロセスを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明による好ましい実施の形態について図面に基づいて説明する。
本発明による第1の実施の形態を表面実装型の水晶振動デバイスを例にとり図1乃至図4とともに説明する。図1は本実施の形態に用いるベースの平面図であり、図2は図1のベースを用いた内部構造を示す分解図であり、当該ベースは図1のA−A線の断面を示している。図3は図2に示す構成を組み立てた状態の内部構造図、図4から図8は圧電振動デバイスの製造プロセスを示す図である。
【0023】
表面実装型水晶振動デバイスは、上部が開口した凹部を有するベース1と、当該ベースの中に収納される圧電振動板である水晶振動板2と、パッケージの開口部に接合されるリッド3とからなる。
【0024】
ベース1は全体として外形が直方体形状で、上部に開口部を有する箱形であり、底部11と堤部10と段部1cを有し、断面で見て概ね凹形のキャビティを有した構成である。本実施の形態においては、ベースはホウケイ酸ガラスを基体として、内外部に金属膜からなる導通電極が形成された構成である。
【0025】
前記底部11はキャビティ側の内底面111とベース外側の外底面112を有している。前記段部1cは内底部111の一部が一段高くなった構成であり、本実施の形態においてはベース長辺の一端部に偏って形成されている。前記段部1cには一対の電極パッド12、13が設けられ、それぞれの電極パッド12,13は連結電極12a,13aにより段部下方の内底面111に引き出され、ビア14,15に接続されている。ビア14,15は底部11の上下に貫通孔11a,11bが形成され、当該貫通孔11a,11b内に例えば金錫(AuSn)層の錫合金や銅等からなる金属材料が充填された構成であり、外底面112に形成された外部接続端子16,17にそれぞれ導電接合されている。貫通孔11a,11bはその外形が各々円すい形状であり、内底部111から外底部112に向かって漸次開口が拡がる構成である。なお、当該貫通孔は外底部112から内底部111に向かって漸次開口が拡がる構成であってもよいし、底部の両方面から底部の厚さ方向の中央部分に向かうにつれて幅が小さくなる構成でも良いし、断面が矩形の構成や断面が鼓形状の構成(内壁が漸次拡がる領域と内壁がほぼ平行な領域を有する構成)であってもよい。
【0026】
またベース1のキャビティは下部キャビティ1bと上部キャビティ1aを有する構成であり、また下部キャビティ1bの一部には段部1cが形成されている。当該段部1cの上面が前記上部キャビティと下部キャビティを分ける面となっている。段部1cの上面は平坦面であり、前述のとおり電極パッド12,13が所定の間隔をもって設けられている。
【0027】
堤部10は底部11の外周から上方に伸長する状態に形成され、これによりキャビティが形成され、キャビティの内側には内側壁が形成されている。上部キャビティ1aには上部キャビティ内側壁10aが形成され、下部キャビティ1bには下部キャビティ内側壁10bが形成され、内底面111と下部キャビティ内側壁10bとの境界には第1の屈曲部10cが設けられ、前記上部キャビティ内側壁10aと下部キャビティ内側壁10bとは第2の屈曲部10dでつながっている。
【0028】
前記下部キャビティ内側壁10bはベースの内底面111から45度の角度(内壁角度θ1)で立ち上がっている。この内壁角度θ1は35度から50度の範囲にすることが好ましい。このような範囲であるとベースの内底面と下部キャビティ内側壁により形成される第1の屈曲部10cの角度が130度から145度の鈍角とすることができ、第1の屈曲部からのベースの破壊発生を抑制することができる。当該内壁角度θ1が35度以下であると堤部の厚さが薄くなりすぎパッケージの強度低下を招くことがあり、また内壁角度θ1が50度以上になると内底面と下部キャビティ内側壁で形成される第1の屈曲部の角度が小さくなり、ベースにおけるクラック発生の起点となり易く、パッケージの強度低下を招く。
【0029】
また前記上部キャビティ内側壁10aはベースの内底面と平行な面に対して75度の角度(内壁角度)で立ち上がっている。この内壁角度は60度から85度の範囲にすることが好ましい。このような範囲であると上部キャビティ内側壁の側壁厚を十分に確保することができ、またベースの強度を低下させることが無く、かつ実用的なキャビティの容積を確保することができる。当該内壁角度θ2が60度以下であると堤部の厚さが薄くなりすぎパッケージの強度低下を招くことがあり、また内壁角度θ2が85度以上になると下部キャビティ内側壁と上部キャビティ内側壁で形成される第2の屈曲部の角度が小さくなり、ベースにおけるクラック発生の起点となり易く、パッケージの強度低下を招く。また上部キャビティの容積を小さくしてしまうので、電子部品素子のサイズが限定されてしまい、電子部品としての所望の特性が得られない場合がある。
【0030】
またベースに周状に形成された堤部10の上面には金属層101が形成され、当該金属層101は後述のリッドと気密接合される領域となる。
【0031】
水晶振動板2はATカット水晶振動板であり、平面視矩形状で長辺と短辺を有している。水晶振動板2の主面中央部には表裏に励振電極21,22が形成されている。当該励振電極21,22も平面視矩形状で水晶振動板と相似しており、長辺と短辺を有している。表裏の各励振電極21,22は一方の励振電極の短辺から一方の水晶振動板の短辺に引出電極21a,22aが引き出されている。なお、ATカット水晶振動板以外に音叉型水晶振動板やその他の圧電振動板を用いてもよい。
【0032】
励振電極および引出電極は金属膜からなり、例えば水晶振動板に接して、下地層としてクロム膜が形成され、当該クロム膜の上部に上層として金膜が形成された2層構成となっている。当該金属膜構成は他の金属材料であってもよく、例えば下地層にチタン膜やニッケル膜を用いてもよい。また上層に銀膜や銅膜等の材料あるいは金合金、銀合金、銅合金の各合金膜を用いてもよい。
【0033】
上記電極形成された水晶振動板は、前記電極パッド12,13に導電接合材Sを用いて短辺が片持ち保持される。導電接合材Sは鉛フリーハンダや導電フィラーを含む樹脂接着剤が用いられる。
【0034】
リッド3は平面視矩形状のガラス板からなる。ガラス板の材料は、例えばホウケイ酸ガラスが用いられ、当該ガラス板は前述のベースの金属膜101に対応する部分に帯状の金属ろう材が周状に形成されている。当該金属ろう材は金錫合金や銅錫合金などの錫合金等が用いられ、めっき等の手法を用いて形成される。
【0035】
ベース1とリッド3とを前記金属ろう材で接合することにより、内部に収納された水晶振動板2が気密収納されるが、内部の雰囲気は窒素ガス等の不活性ガスや真空雰囲気が用いられる。本実施の形態では真空雰囲気を用いている。
【0036】
次に本実施の形態に使用したベースの外形形成方法について、図4乃至図8とともに説明する。図4乃至図8においてはガラスウェハの一部分における製造工程を示している。図4に示すように、まずパイレックス(登録商標)ガラス等のホウケイ酸ガラスを用いたガラスウェハW1を用意し、当該ガラスウェハW1の表面(一主面)にパターニングされた金属膜を形成する。具体的にはガラスウェハW1の表裏面にクロム膜を真空蒸着法あるいはスパッタリング法により形成し、その上面に金膜を同じく真空蒸着法あるいはスパッタリング法により形成する。このような構成の金属膜の上面(表裏両面)にレジスト膜を形成する。当該レジスト膜はスピンコート法等を用いて形成する。次に表面側のレジスト膜に対して所定のフォトマスクを用いて当該レジスト膜に対し露光し、ガラスウェハの表面側にパターニングされたレジスト膜を得る。当該レジスト膜をマスクとして前記金属膜のエッチングを行い、図4に示すようにパターニングされた金属膜Mおよびパターニングされたレジスト膜Rを得る。
【0037】
次に図5に示すように、前記パターニングされたレジスト膜Rおよび金属膜Mを用いて、ガラスウェハのエッチングを行う。当該エッチングはウェットエッチングE1によりガラスウェハの厚み方向にエッチングを行う。具体的にはレジスト膜および金属膜でマスキングされたガラスウェハをエッチング液に浸漬し、厚み方向にエッチングを行う。ただし本実施の形態では等方性材料に対するウェットエッチングになるため、厚み方向以外に横方向にもエッチングが進行する。このため壁面にテーパが形成された状態でエッチングされ約45度の内壁角度を得ている。
【0038】
次に図6に示すようにベースの堤部に対応する部分に金属層101を形成する。具体的には図5に示すレジスト膜Rを除去して、新たなパターニングされたレジスト膜を形成する(図示せず)。この新たなパターニングされたレジスト膜をマスクとして金属膜Mの一部をエッチングし、ベースの堤部上の金属層に対応する金属膜Mを形成する。そして、当該金属膜の上面に金属メッキを行い、ウェハ表面側に金属層101が、ウェハ裏面側に金属層102を形成する。
【0039】
そして図7に示すように上部キャビティと下部キャビティを有するキャビティを形成する。具体的には事前に金属層102に対してはフォトリソグラフィ技術を用いて貫通孔形成領域の金属層を除去しておく。これにより表面側はキャビティ対応領域が開口し、裏面側は貫通孔対応領域が開口した状態の金属層101,102が形成される。この状態で金属層101および金属層102をマスクとしてドライエッチングE2を行い、ガラスウェハの厚さ方向にエッチングを行う。ドライエッチングは反応性ガスを用いたエッチングあるいはイオンミリングであり、ウェットエッチングに較べて、エッチングの指向性が優れているので、これにより形成される内壁角度は大きくなり、角度が立った状態で形成される。具体的には約75度の内壁角度で形成している。
【0040】
このようなエッチングにより、内底面11、下部キャビティ内壁10b、段部1c、上部キャビティ内壁10aを有するキャビティが形成されるとともに、外底面112側からのドライエッチングにより、貫通孔11a,11bが形成され、当該貫通孔11a,11bは前記キャビティと連通した状態となっている。
【0041】
なおウェットエッチングにおいてはエッチング液や液温、液流等のエッチング条件を選ぶことによりエッチング状態を一定程度制御することができ、内壁角度45度以上あるいは45度以下に調整して形成することができる。また、ドライエッチングにおいてもエッチングガスや温度、電圧等のエッチング条件を選ぶことによりエッチング状態を一定程度制御することができ、内壁角度75度以上あるいは75度以下に調整して形成することができる。
【0042】
その後、図8に示すように、貫通孔11a,11bに金属材料を充填することによりビア13,14を形成する。なお、金属材料の充填においては事前にシード層(下地金属膜)を真空蒸着法やスパッタリング等の成膜手法により形成しておき、当該シード層を基点として金属材料をメッキ等の手法により形成すればよい。さらに内底部と下部キャビティ内壁と段部の上面の各々には金属膜がパターニングされた電極が形成されている。なお、上記ビアおよび電極の形成後、図7に示す点線Bで切断することにより、ガラスウェハから個別のベースを得る。
【0043】
そして当該ベースを用いて図2、図3に示すように水晶振動板2を電極パッド12,13に導電接合材Sを用いて導電接合し、周波数調整や熱安定化処理を経た後、ベースの開口部にリッドを搭載し、前記金属ろう材を溶融させて気密封止を行い、圧電振動デバイスを得る。なお、ウェハ一体型のベースを用い、前記水晶振動板の搭載やリッドによる気密封止を行った後、ガラスウェハから個別の圧電振動デバイスに切り離しても良い。
【0044】
さらに上記実施の形態では、電子部品素子として水晶振動板を収納した構成の圧電振動デバイスを例示したが、水晶振動板と発振回路を構成する集積回路素子(ICチップ)とを一体的に収納した水晶発振器に適用してもよい。
【0045】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
水晶振動子等の圧電振動デバイスの量産に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 ベース
10 堤部
11 底部
1a 上部キャビティ
1b 下部キャビティ
2 水晶振動板(圧電振動板)
3 リッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極の形成された電子部品素子を収納するキャビティを有し、かつ前記電極と電気的に接続される外部接続端子を有するベースと、前記キャビティを気密封止するリッドと、を有する電子部品用パッケージであって、
前記キャビティは上部キャビティと当該上部キャビティの下方に位置する下部キャビティを有し、前記下部キャビティの内壁角度が前記上部キャビティの内壁角度より小さいことを特徴とする電子部品用パッケージ。
【請求項2】
前記下部キャビティの内壁角度は35度から50度の範囲であることを特徴とする請求項1記載の電子部品用パッケージ。
【請求項3】
前記上部キャビティの内壁角度は60度から85度の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の電子部品用パッケージ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電子部品用パッケージを用い、電子部品素子が励振電極の形成された圧電振動素子であり、当該圧電振動素子は前記上部キャビティに配置されていることを特徴とする圧電振動デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−205391(P2011−205391A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70522(P2010−70522)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】