説明

電子部品用パッケージのベース、電子部品用パッケージ

【課題】小型化された電子部品における電子部品素子の搭載精度を高めることができる。
【解決手段】電子部品素子3を保持する電子部品用パッケージのベース1において、前記ベースの内部収納部10の一端部上面には前記電子部品素子3を搭載して接続する電極パッド12,13と、当該電極パッド12,13からベース1の内部収納部の他端部に向かってベースの壁部の一辺と平行に外表面に露出した状態で所定幅にて延出された引き回しパターンが形成されており、前記引き回しパターンのうちベースの内部収納部の他端部よりの位置には、前記ベースの壁部の一辺に対して背向する方向に張り出した位置決め用基準点としての引き回しパターンの拡幅部が設けられ、前記拡幅部の最大張り出し寸法は、前記引き回しパターンの所定幅寸法の1/2以上で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器等に用いられる電子部品用パッケージのベース、電子部品用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
気密封止を必要とする電子部品の例として、水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器等の圧電振動デバイスが挙げられる。これら各製品では、いずれも水晶振動板の表面に金属薄膜電極が形成され、この金属薄膜電極を外気から保護するために水晶振動板(具体的には金属薄膜電極が気密封止されている。
【0003】
これら圧電振動デバイスは部品の表面実装化の要求から、セラミック材料からなるパッケージ内に気密的に収納する構成が増加している。例えば、特許文献1には、水晶振動板などの電子部品素子の搭載部を有する断面が凹形のベース(実装基板)と蓋(カバー)とからなり、これらを気密的に封止したセラミック材料からなるパッケージ構成が開示されている。この圧電振動デバイスでは、ベースの内底面に位置決め用のパターンが形成され、画像認識による電子部品素子の搭載精度を高めるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−251839号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、電子部品の小型化に伴ってベースに対して電子部品素子を搭載するための精度向上がより一層求められるようになっている。上述のような画像認識により電子部品素子を搭載するための位置決め用のパターンでは画像認識の基準点として設定するため、この位置決め用のパターンの構成だけでなくその形成状態などにより位置ずれが生じることがあった。そこで位置決め用のパターンを基準点として設定しやすく、かつ形成状態の良し悪しに影響させないことが、画像認識により電子部品素子をベースに搭載精度を高めるうえで重要な課題となっている。
【0006】
上記特許文献1では、位置決めパターンの中心点を割り出す構成としているため、そのパターンの少なくとも2方向の幅寸法と位置を認識し、各方向のパターン端部からの中心幅を算出して中心点の位置を設定する必要がある。この手法では寸法誤差や形成ずれなど位置決めパターンの形成状態の悪影響もより受けやすくなり、小型化とともにより正確な位置決め用基準点の認識が行えないものであった。例えばベースサイズが2.0mm×1.6mm以下のものでは、積層ずれで位置決めパターンの一部がベースの壁部(堤)の内壁面に潜り込み(交差)んだり、ベースの壁部に延出されて形成されることで、パターンずれや寸法誤差を生じやすくなることがあった。またセラミック材料のベースではメタライズにより位置決めパターンを印刷する構成であるため、パターン端部も印刷時の形成不具合(印刷物の塗布過多や塗布過少等)により、パターン端部にボケや形状不良が生じることがあった。以上により位置決め用基準点としても寸法誤差や位置ずれを生じ、正確な位置決め用基準点の認識が行えず、画像認識による電子部品素子をベースに搭載する際の精度が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、小型化された電子部品における電子部品素子の搭載精度を高めることができ、安価で信頼性の高い電子部品用パッケージのベース、電子部品用パッケージを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、矩形状の電子部品素子を保持する電子部品用パッケージのベースにおいて、前記ベースは平面視矩形状で壁部と開口部と内部収納部を具備しており、当該内部収納部の一端部上面には前記電子部品素子を搭載して接続する電極パッドと、当該電極パッドからベースの内部収納部の他端部に向かってベースの壁部の一辺と平行に外表面に露出した状態で所定幅にて延出された引き回しパターンが形成されており、前記引き回しパターンのうちベースの内部収納部の他端部よりの位置には、前記ベースの壁部の一辺に対して背向する方向に張り出した位置決め用基準点としての引き回しパターンの拡幅部が設けられ、前記引き回しパターンの幅寸法をa、前記拡幅部の最大張り出し寸法をbとした際に、前記拡幅部の最大張り出し寸法bが、前記引き回しパターンの幅寸法aの1/2以上で形成されてなり、かつ前記ベースの内部収納部に収まる寸法で形成されてなることを特徴とする。
【0009】
この構成により、電子部品素子を搭載する電極パッドの辺りと引き回しパターンの拡幅部の辺りを位置決め用基準点として画像認識に利用することで、前記ベースの壁部に沿ってより正確な画像認識が行え、電子部品素子の搭載精度(X方向の位置精度、Y方向の位置精度、θの位置精度等)を高めることができる。そしてパターン形成ずれ影響やベースがセラミックの場合の積層ずれの影響によって、ベースの壁部に対して引き回しパターンとその拡幅部が潜り込み(交差)んだり、延出されることがなく、位置決め用基準点の機能を妨げることが一切ない。また、電子部品の小型化や高密度実装化などにともなって引き回しパターンの形成領域が小さくなったとしても、拡幅部の最大張り出し寸法bが、前記引き回しパターンの幅寸法aの1/2以上でかつ前記ベースの内部収納部に収まる寸法で形成されているので、当該拡幅部は安定した状態で形成することができ、その位置ずれやボケが生じることがなくなる。当該拡幅部は製造ばらつきなどによる形成状態の良し悪しに影響しない、位置決め用基準点として安定した正確なものとすることができる。結果として、小型化あるいは高密度実装化された電子部品に対してもこのような拡幅部の辺りを位置決め用基準点として画像認識することで電子部品素子をベースに搭載する際の精度を高めることができる。
【0010】
また、請求項2記載の発明では上記構成に加えて、前記引き回しパターンの端部の一部と前記拡幅部の端部の一部が交差する角度が45°以上135°以下にて形成されてなり、前記交差した部分を位置決め用の基準点として設定してもよい。
【0011】
このような構成では上述の作用効果に加えて、従来のように特定のパターンの画像データから算出してその特定パターンの中心点を位置決め用基準点とするのではなく、前記引き回しパターンの端部の一部と前記拡幅部の端部の一部が交差した部分を直接位置決め用基準点として設定することができるため、パターンの複数方向からの幅寸法と位置を認識することなく、寸法誤差や形成ずれなど位置決めパターンの形成状態の悪影響も受けにくくできる。加えて引き回しパターンの端部の一部と前記拡幅部の端部の一部が交差する角度が45°以上135°以下に設定されているので、交差部分のパターン形成ボケの悪影響も受けにくくできる。以上により小型化されても正確な基準点の認識が行える。
【0012】
また、請求項3記載の本発明では上記構成に加えて、前記拡幅部に角部を形成し、当該角部の角度が45°以上135°以下にて形成されてなり、前記角部を位置決め用の基準点として設定してもよい。
【0013】
このような構成では上述の作用効果に加えて、従来のように特定のパターンの画像データから算出してその特定パターンの中心点を位置決め用基準点とするのではなく、前記拡幅部に角部を直接位置決め用基準点として設定することができるため、パターンの複数方向からの幅寸法と位置を認識することなく、寸法誤差や形成ずれなど位置決めパターンの形成状態の悪影響も受けにくくできる。加えて角部の角度が45°以上135°以下に設定されているので、角部のパターン形成ボケの悪影響も受けにくくできる。以上により小型化されても正確な基準点の認識が行える。
【0014】
また、上述の電子部品用パッケージのベースを用い、電極パッドに対して電子部品素子が接合されて搭載されており、当該電子部品素子が搭載されたベースの開口部を蓋で気密封止することを特徴とする電子部品用パッケージであってもよい。この構成により上述の作用効果が得られるベースを用いて気密封止された電子部品パッケージが得られるので、小型化された電子部品における電子部品素子の搭載精度を高めることができ、安価で信頼性の高い電子部品用パッケージを提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、小型化された電子部品における電子部品素子の搭載精度を高めることができ、安価で信頼性の高い電子部品用パッケージのベース、電子部品用パッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施例を示す表面実装型水晶振動子用ベースの平面図。
【図2】図1の一部拡大図。
【図3】第1の実施例を示す表面実装型水晶振動子の断面図。
【図4】第2の実施例を示す表面実装型水晶振動子用ベースの平面図。
【図5】第3の実施例を示す表面実装型水晶振動子用ベースの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施例では、電子部品として表面実装型の水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
【実施例1】
【0018】
実施例1にかかる表面実装型の水晶振動子は、図1、図2、図3に示すように、電子部品素子である水晶振動板3と、上部が開口した凹部を有し水晶振動板3を保持する(収納する)ベース1と、ベース1の開口部に接合してベース1に保持した水晶振動板3を気密封止する蓋2とからなる。
【0019】
ベース1は、全体として直方体で、アルミナ等のセラミックとタングステンやモリブデン等の導電材料を適宜積層した構成からなる。このベース1は、図3に示すように、断面視凹形の収納部10(内部収納部)と、収納部10を囲むようにその周囲に設けられた堤部11(壁部)を有する。具体的に、ベース1は、矩形(平面視矩形)の平板形状のセラミックのベース基体1aと、中央部分が大きく穿設されるとともに外形サイズ(平面視外形サイズ)がベース基体1aとほぼ等しいセラミックの枠体1bからなり、ベース基体1aと枠体1bと封止部材11aとが一体的に焼成されている。なお、堤部11(枠体1b)の上面は平坦であり、堤部11上に封止部材11a(封止材料や金属層等)が形成されている。例えば封止部材11aとしてガラス、あるいはタングステンやモリブデン等によるメタライズ層の上面にニッケルメッキ層、金メッキ層の各層が形成された構成としたり、さらにこれら各層の上部に金属リングが形成された構成としてもよい。
【0020】
また、ベース1の外周(平面視外周縁)の4つの角であってベース1の側面には、ベース1の底面から天面(上面)にかけて上下にキャスタレーションが形成されている。また、これらのキャスタレーションの下方には図示しない側面端子電極が形成され、側面端子電極はベースの底面に形成された端子電極18,19と電気的につながっている(接続されている)。
【0021】
ベース1は平面視矩形とされ、このベース1の収納部10の内底面のうち一端部側(堤部11の一辺113側)上面には、後述する水晶振動板3を搭載して接続する一対の電極パッド12,13と、当該電極パッド12,13からベースの内底面の他端部側(堤部11の一辺114側)に向かってベースの堤部11の一辺111,112と平行に外表面に露出した状態で一定の幅にて延出された一対の引き回しパターン14,15が形成されている。またベース1の収納部10の内底面のうち他端部側(堤部11の一辺114側)中央付近の上面には、後述する水晶振動板3を搭載した際の傾きを規制する枕部材Mが形成されている。実施例1では各電極パッド12,13は方形状とし、各引き回しパターン14,15の端部の一部と各電極パッド12,13の端部の一部が交差する部分121,131の角度(交差角)を約90°にて形成している。
【0022】
一対の引き回しパターン14,15のうち、ベース1の内底面の他端部よりの位置には、ベース1の堤部11の一辺111,112に対してそれぞれ背向する方向(離れる方向)に張り出した位置決め用基準点としての一対の引き回しパターンの拡幅部16,17が設けられている。実施例1ではこの一対の拡幅部16,17は方形状とし、各引き回しパターン14,15の端部の一部と各拡幅部16,17の端部の一部が交差する部分161,162,171の角度(交差角)を約90°にて形成しており、かつ拡幅部16,17の角部163,164,173,174の角度についても約90°にて形成している。
【0023】
また実施例1では、図2に示すように、各引き回しパターン14,15のうち拡幅部16,17に近接する部分の幅寸法をa、各拡幅部16,17の最大張り出し寸法をb、各拡幅部16,17の最大張り出し幅寸法をcとした際に、ベース1の内底面に収まる寸法で形成され、拡幅部16,17の最大張り出し寸法bと拡幅部16,17の最大張り出し幅寸法cの両方が、引き回しパターン14,15の幅寸法a以上の寸法で形成している。また実施例1では、電極パッド12と電極パッド13の間隔に対して拡幅部16と拡幅部17の間隔を広く寸法設計し、かつベース1の堤部11の一辺111と一辺112の中心線に対して線対称に拡幅部16と拡幅部17を形成している。なお、これらの電極パッド12,13、引き回しパターン14,15、拡幅部16,17は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料をペースト状にしたものを印刷して形成しており、ベース1と一体的に焼成してメタライズを形成し、その上部にニッケルメッキを形成し、その上部に金メッキを形成して構成されている。特に、前記拡幅部16,17の形成に関して基礎となる引き回しパターン14,15の幅寸法aは0.05mm以上で構成している。実施例1ではメタライズを印刷で形成する際の安定性を考慮して例えば0.1mm程度で構成している。このため拡幅部の形成状態もより一層安定し、位置決め用基準としての正確さも高まる。
【0024】
電極パッド12,13間には、水晶振動板3(本発明でいう電子部品素子)が搭載されている。水晶振動板3の表裏面には図示しない一対の励振電極と引出電極が形成されている。一対の励振電極と引出電極は、例えば水晶振動板3に接して(水晶振動板3上から)クロム,金の順に、クロム,金,クロムの順に、クロム,銀,クロムの順に、あるいはクロム,銀の順に積層して形成されている。これら各電極(一対の励振電極と引出電極)は真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段により形成することができる。そして、電極パッド122,132に対して水晶振動板3の引出電極が導電性接合材(図示せず)により導電接合され、ベース1の一端部側に水晶振動板3が片側保持されている。例えば、水晶振動板3の励振電極と、ベース1の電極パッド122,123との導電接合には、導電性樹脂接着剤や金属バンプ・金属めっきバンプ・ろう材などの導電性接合材を用いることができる。
【0025】
ベース1を気密封止する蓋2には、板状のアルミナ等のセラミック材料にガラス封止材等の封止部材11aが形成されたもの、あるいは金属母材に金属ろう材等の封止材11aが形成された金属部材が用いられる。蓋2の平面視外形はベース1の当該外形とほぼ同じであるか、若干小さい構成となっている。
【0026】
このようなベース1の収納部10に水晶振動板3を格納し、蓋2にて被覆して加熱炉による溶融接合、あるいはシーム溶接やビーム照射による溶接などの手法により気密封止を行うことで表面実装型の水晶振動子(電子部品用パッケージ)の完成となる。
【0027】
以下、本発明の実施例1の水晶振動子による水晶振動板の搭載手順について説明する。上述のように、内底面のうち一端部側上面に一対の電極パッド12,13と、当該電極パッド12,13からベースの内底面の他端部側に向かってベースの堤部11の一辺111,112と平行に外表面に露出した状態で一定の幅にて延出された一対の引き回しパターン14,15と、当該一対の引き回しパターン14,15の他端部で、ベース1の堤部11の一辺111,112に対してそれぞれ背向する方向(離れる方向)に張り出した拡幅部16,17が形成されたベース1を用意する。
【0028】
そして図1の矢印部分に示すように、事前にベース1の各引き回しパターン14,15の端部の一部と各電極パッド12,13の端部の一部が交差する部分121,131と、ベース1の各引き回しパターン14,15の端部の一部と各拡幅部16,17の端部の一部が交差する部分161,171とを、画像認識用の位置決め用基準点として設定し、例えばこの各交差する部分121,131,161,171から各電極パッド12,13の中心付近までの相対的な位置情報や距離情報などを画像認識装置に記憶させる。同様に水晶振動板3の外周端部から図示しない引出電極の中心付近までの相対的な位置情報や距離情報などを水晶振動板搭載装置(電子部品搭載装置)の画像認識システムに記憶させる。なお、拡幅部16に関連する位置決め用の基準点の設定場所として、図2に示すように、交差部分161だけでなく、他の交差部分162、あるいは角部163や164に設定してもよい。拡幅部17に関連する位置決め用の基準点の設定場所としても、図1に示すように、交差部分171だけでなく、角部173や174に設定してもよい。
【0029】
次に、上記画像認識システムで記憶した情報に基づいて、水晶振動板搭載装置の作業領域に対して所定の位置や向きにあわせてベース1を配置する。具体的には前記交差する部分121と131からベース1の位置(X方向の位置、Y方向の位置)とベースの向き(各電極パッド12,13の位置)を認識し、前記交差する部分121と161、あるいは前記交差する部分131と171からベースの配置される角度(θ)を認識する。
【0030】
次に、上記画像認識システムで記憶した情報に基づいて、上記作業領域の所定位置に配置されたベース1の電極パッド12,13の所定位置に対して導電性接合材を配置形成する。具体的には前記交差する部分121と131から電極パッド12,13の中央付近の位置(X方向の位置、Y方向の位置)を認識する。
【0031】
次に、上記画像認識システムで記憶した情報に基づいて、上記作業領域の所定位置に配置され、かつ電極パッド12,13の所定位置に導電性接合材が配置形成されたベース1に対して水晶振動板3を搭載接合する。具体的には水晶振動板3の4角や4辺などから水晶振動板の外周端部の位置(X方向の端部位置、Y方向の端部位置)と水晶振動板の配置される角度(θ)を認識し、水晶振動板3の4角と引出電極の位置から水晶振動板の向きと水晶振動板の外周端部から引出電極の中心付近までの相対的な位置を認識する。また前記交差する部分121と131から電極パッド12,13の中央付近の位置(X方向の位置、Y方向の位置)を認識する。さらにベースの収納部10と水晶振動板3の外周端部の相対位置や角度、ベースの電極パッド12,13と水晶振動板の引出電極との相対位置など認識している。
【実施例2】
【0032】
以下、本発明の実施例2について、図4を参照して説明する。なお、上記実施例1と同様の部分については同番号を付すとともに、説明の一部を省略して説明する。
【0033】
ベース1は平面視矩形とされ、このベース1の収納部10の内底面のうち一端部側(堤部11の一辺113側)上面には、後述する水晶振動板3を搭載して接続する一対の電極パッド12,13と、当該電極パッド12,13からベースの内底面の他端部側(堤部11の一辺114側)に向かってベースの堤部11の一辺111,112と平行に外表面に露出した状態で一定の幅にて延出された一対の引き回しパターン141,15と、前記引き回しパターン141から段違いの状態でベースの内底面の他端部側(堤部11の一辺114側)に向かってベースの堤部11の一辺111と平行に外表面に露出した状態で一定の幅にて延出された引き回しパターン142とが形成されている。またベース1の収納部10の内底面のうち他端部側(堤部11の一辺114側)中央付近の上面には、後述する水晶振動板3を搭載した際の傾きを規制する枕部材Mが形成されている。実施例2では各電極パッド12,13は方形状とし、各引き回しパターン14,15の端部の一部と各電極パッド12,13の端部の一部が交差する部分121,122,131の角度(交差角)を約90°にて形成している。
【0034】
引き回しパターン141と142の接続部分には、ベース1の堤部11の一辺111に対して背向する方向(離れる方向)に張り出した位置決め用基準点としての引き回しパターンの拡幅部16が設けられている。また引き回しパターン15のうち、ベース1の内底面の他端部よりの位置には、ベース1の堤部11の一辺112に対して背向する方向(離れる方向)に張り出した位置決め用基準点としての引き回しパターンの拡幅部17が設けられている。実施例2では拡幅部16は三角形状、拡幅部17は五角形状としている。引き回しパターン141および142の端部の一部と拡幅部16の端部の一部が交差する部分161と162の角度(交差角)をそれぞれ約135°と約90°にて形成しており、かつ拡幅部16の角部163の角度については約45°にて形成している。引き回しパターン15の端部の一部と拡幅部17の端部の一部が交差する部分171の角度(交差角)をそれぞれ約90°にて形成しており、かつ拡幅部17の角部173と174と175の角度については約112.5°と約112.5°と約135°にて形成している。
【0035】
また実施例2では、図4に示すように、各引き回しパターン141,15のうち拡幅部16,17に近接する部分の幅寸法をa、各拡幅部16,17の最大張り出し寸法をb1,b2、各拡幅部16,17の最大張り出し幅寸法をc1、c2とした際に、ベース1の内底面に収まる寸法で形成され、拡幅部16の最大張り出し寸法b1と最大張り出し幅寸法c1の両方が、引き回しパターン14の幅寸法a以上の寸法で形成され、拡幅部17の最大張り出し寸法b2のみが、引き回しパターン15の幅寸法a以上の寸法で形成している。なお、これらの電極パッド12,13、引き回しパターン14,15、拡幅部16,17は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料をペースト状にしたものを印刷して形成しており、ベース1と一体的に焼成してメタライズを形成し、その上部にニッケルメッキを形成し、その上部に金メッキを形成して構成されている。
【0036】
本発明の実施例2の水晶振動子では、例えば、各引き回しパターン141,15の端部の一部と各電極パッド12,13の端部の一部が交差する部分121,131と、ベース1の引き回しパターン141の端部の一部と拡幅部16の端部の一部が交差する部分161、拡幅部16の角部163、拡幅部17の角部175とを、画像認識用の位置決め用基準点として設定している。なお、拡幅部16に関連する位置決め用の基準点の設定場所として、図4に示すように、交差部分161や角部163だけでなく、他の交差部分162などを含みこれらのいずれか一つ以上適宜選択して設定してもよい。拡幅部17に関連する位置決め用の基準点の設定場所としても、図4に示すように、角部175だけでなく、交差部分171や角部173や角部174などを含みこれらのいずれか一つ以上を適宜選択して設定してもよい。
【実施例3】
【0037】
以下、本発明の実施例3について、図5を参照して説明する。なお、上記実施例1,2と同様の部分については同番号を付すとともに、説明の一部を省略して説明する。
【0038】
ベース1は平面視矩形とされ、このベース1の収納部10の内底面のうち一端部側の一端(堤部11の一辺113側で堤部11の一辺111に近接した一端側)上面には、後述する水晶振動板3の一端側を搭載して接続する電極パッド12と、当該電極パッド12からベースの内底面の他端部側の一端(堤部11の一辺114側で堤部11の一辺111に近接した一端側)に向かってベースの堤部11の一辺111と平行に外表面に露出した状態で一定の幅にて延出された引き回しパターン14が形成されている。またベース1の収納部10の内底面のうち他端部側の他端(堤部11の一辺114側で堤部11の一辺112に近接した他端側)上面には、後述する水晶振動板3の一端側を搭載して接続する電極パッド13と、当該電極パッド13からベースの内底面の一端部側の他端(堤部11の一辺113側で堤部11の一辺112に近接した他端側)に向かってベースの堤部11の一辺112と平行に外表面に露出した状態で一定の幅にて延出された引き回しパターン15が形成されている。実施例3では各電極パッド12,13は方形状とし、各引き回しパターン14,15の端部の一部と各電極パッド12,13の端部の一部が交差する部分121,131の角度(交差角)を約90°にて形成している。
【0039】
引き回しパターン14のうち、ベース1の内底面の他端部よりの位置には、少なくとも一部がベース1の堤部11の一辺111に対して背向する方向(離れる方向)に張り出した位置決め用基準点としての引き回しパターンの拡幅部16が設けられている。また引き回しパターン15のうち、ベース1の内底面の一端部よりの位置には、少なくとも一部がベース1の堤部11の一辺112に対して背向する方向(離れる方向)に張り出した位置決め用基準点としての引き回しパターンの拡幅部17が設けられている。実施例3では拡幅部16は円形状、拡幅部17は六角形状としている。引き回しパターン14の端部の一部と拡幅部16の円周の一部が交差する部分161の角度(交差角)を約120°にて形成している。引き回しパターン15の端部の一部と各拡幅部17の端部の一部が交差する部分171の角度(交差角)をそれぞれ約45°にて形成しており、かつ拡幅部17の角部173と174と175の角度については約90°と約135°と約90°にて形成している。なお、本発明における引き回しパターンの拡幅部は、ベースの上下面へ電極を引き回すためのビア形成領域として活用してもよい。例えば、実施例3では拡幅部17に対してビアVを形成しており、引き回しパターンの形成領域を拡大することなく、電極パッド13をベース1裏面の端子電極の一部に対して引き出すことができる。
【0040】
また実施例3では、図5に示すように、各引き回しパターン14,15のうち拡幅部16,17に近接する部分の幅寸法をa、各拡幅部16,17の最大張り出し寸法をb1,b2、各拡幅部16,17の最大張り出し幅寸法をc1,c2とした際に、ベース1の内底面に収まる寸法で形成され、拡幅部16の最大張り出し寸法b1が、引き回しパターン14の幅寸法aの1/2の寸法で形成され、拡幅部16の最大張り出し幅寸法c1のみが、引き回しパターン14の幅寸法a以上の寸法で形成されている。また拡幅部17の最大張り出し寸法b2と最大張り出し幅寸法c2の両方が、引き回しパターン14の幅寸法a以上の寸法で形成している。なお、これらの電極パッド12,13、引き回しパターン14,15、拡幅部16,17は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料をペースト状にしたものを印刷して形成しており、ベース1と一体的に焼成してメタライズを形成し、その上部にニッケルメッキを形成し、その上部に金メッキを形成して構成されている。
【0041】
本発明の実施例3の水晶振動子では、例えば、各引き回しパターン14,15の端部の一部と各電極パッド12,13の端部の一部が交差する部分121,131と、ベース1の引き回しパターン14の端部の一部と拡幅部16の端部の一部が交差する部分161、引き回しパターン15の端部の一部と拡幅部17の端部の一部が交差する部分171とを、画像認識用の位置決め用基準点として設定している。なお、拡幅部17に関連する位置決め用の基準点の設定場所としても、図5に示すように、交差部分171だけでなく、角部173や角部174や角部175などを含みこれらのいずれか一つ以上を適宜選択して設定してもよい。
【0042】
本発明の実施例による構成により、水晶振動板3を搭載する電極パッド12,13の辺りと引き回しパターンの拡幅部16,17の辺りを位置決め用基準点として画像認識に利用することで、前記ベースの堤部の辺11,112に沿ってより正確な画像認識が行え、水晶振動板3の搭載精度(X方向の位置精度、Y方向の位置精度、θの位置精度等)を高めることができる。そして、引き回しパターンの拡幅部16,17は、ベース1の堤部11の一辺に対してそれぞれ背向する方向(離れる方向)に張り出して形成されているので、パターン形成ずれ影響やベースがセラミックの場合の積層ずれの影響によって、ベースの堤部11に対して引き回しパターン14,15とその拡幅部16,17が潜り込み(交差)んだり、延出されることがなく、位置決め用基準点の機能を妨げることが一切ない。また、表面実装型の水晶振動子の小型化や高密度実装化などにともなって引き回しパターン14,15の形成領域が小さくなったとしても、拡幅部16,17の最大張り出し寸法b,b1,b2が、引き回しパターン14,15の幅寸法aの1/2以上でかつベースの収納部10に収まる寸法で形成されているので、拡幅部16,17はその位置ずれやボケが生じることがなくなる。加えて、拡幅部16,17の最大張り出し幅寸法c,c1,c2が、引き回しパターン14,15の幅寸法aの1/2以上でかつベースの収納部10に収まる寸法で形成されていれば、拡幅部16,17はより安定した状態で形成することができさらに好ましい形態となる。つまり拡幅部16,17は製造ばらつきなどによる形成状態の良し悪しに影響しない、位置決め用基準点として安定した正確なものとすることができる。結果として、小型化あるいは高密度実装化された電子部品に対してもこのような拡幅部16,17の辺りを位置決め用基準点として画像認識することで水晶振動板をベース1に搭載する際の精度を高めることができる。
【0043】
また、上記各実施例では、引き回しパターン14,15,141,142の端部の一部と前記拡幅部16,17の端部の一部が交差する部分121,122,131,161,162,171について、角度が45°以上135°以下にて形成され、前記交差した部分を位置決め用の基準点として設定しているので、パターンの複数方向からの幅寸法と位置を認識することなく、寸法誤差や形成ずれなど位置決めパターンの形成状態の悪影響も受けにくくできる。加えて交差部分のパターン形成ボケの悪影響も受けにくくできる。また、上記各実施例では、拡幅部16,17に角部163,164,173,174,175を形成し、当該角部の角度が45°以上135°以下にて形成され、前記角部を位置決め用の基準点として設定しているので、パターンの複数方向からの幅寸法と位置を認識することなく、寸法誤差や形成ずれなど位置決めパターンの形成状態の悪影響も受けにくくできる。加えて角部のパターン形成ボケの悪影響も受けにくくできる。以上により小型化されても正確な基準点の認識が行える。
【0044】
上記実施形態では、表面実装型水晶振動子を例にしているが、水晶フィルタ、水晶発振器など電子機器等に用いられる他の表面実装型の電子部品用パッケージにも適用できる。例えば水晶発振器については電子部品素子として水晶振動板だけに限らず、集積回路素子や他の電子部品の搭載に適用してもよい。また絶縁性のパッケージ(ベース)として、セラミック材料を開示しているが、ガラス材料など他の絶縁材料を用いたものであってもよい。端子電極の金属膜としてメタライズを開示しているが、めっき材料など他の構成であってもよい。
【0045】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施できるので、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求範囲によって示すものであって、明細書本文に拘束されるものではない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、水晶振動子等の電子部品用パッケージ、電子部品用パッケージのベースに適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 ベース
2 蓋
3 水晶振動板(電子部品素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の電子部品素子を保持する電子部品用パッケージのベースにおいて、
前記ベースは平面視矩形状で壁部と開口部と内部収納部を具備しており、当該内部収納部の一端部上面には前記電子部品素子を搭載して接続する電極パッドと、当該電極パッドからベースの内部収納部の他端部に向かってベースの壁部の一辺と平行に外表面に露出した状態で所定幅にて延出された引き回しパターンが形成されており、
前記引き回しパターンのうちベースの内部収納部の他端部よりの位置には、前記ベースの壁部の一辺に対して背向する方向に張り出した位置決め用基準点としての引き回しパターンの拡幅部が設けられ、
前記引き回しパターンの幅寸法をa、前記拡幅部の最大張り出し寸法をbとした際に、
前記拡幅部の最大張り出し寸法bが、前記引き回しパターンの幅寸法aの1/2以上で形成されてなり、かつ前記ベースの内部収納部に収まる寸法で形成されてなることを特徴とする電子部品用パッケージのベース。
【請求項2】
前記引き回しパターンの端部の一部と前記拡幅部の端部の一部が交差する角度が45°以上135°以下にて形成されてなり、前記交差した部分を位置決め用の基準点として設定してなることを特徴とする特許請求項1、または特許請求項2記載の電子部品用パッケージのベース。
【請求項3】
前記拡幅部に角部を形成し、当該角部の角度が45°以上135°以下にて形成されてなり、前記角部を位置決め用の基準点として設定してなることを特徴とする特許請求項1、2記載の電子部品用パッケージのベース。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1つに記載の電子部品用パッケージのベースを用い、電極パッドに対して電子部品素子が接合されて搭載されており、当該電子部品素子が搭載されたベースの開口部を蓋で気密封止することを特徴とする電子部品用パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−139338(P2011−139338A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298567(P2009−298567)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】