説明

電子部品用パッケージのベース、電子部品用パッケージ

【課題】 はんだクラックを防止して電子部品用パッケージと回路基板の搭載接合の信頼性を向上させる電子部品用パッケージのベース、電子部品用パッケージを提供する。
【解決手段】 電子部品素子を保持する電子部品用パッケージのベース1において、ベースの底面は、外部の回路基板4と導電性接合材Dを用いて接合する複数の端子電極がベース底面の外周端部に近接あるいは接して形成されており、前記端子電極には前記電子部品素子と電気的に接続された機能端子電極12,13と、当該機能端子電極より面積が小さくかつ前記電子部品素子と電気的に接続されない無接続端子電極14,15とを有し、前記機能端子電極の端部の一部が無接続端子電極の端部の一部よりベース底面の中心点Oに近接して配置されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器等に用いられる電子部品用パッケージのベース、電子部品用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
気密封止を必要とする電子部品の例として、水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器等の圧電振動デバイスが挙げられる。これら各製品では、いずれも水晶振動板の表面に金属薄膜電極が形成され、この金属薄膜電極を外気から保護するために水晶振動板(具体的には金属薄膜電極)が気密封止されている。
【0003】
これら圧電振動デバイスは部品の表面実装化の要求から、セラミック等の絶縁材料からなるパッケージ内に気密的に収納する構成が増加している。例えば、特許文献1には、水晶振動板の搭載部を有するベース(実装基板)と断面が逆凹形の蓋(カバー)とからなり、これらを気密的に封止したセラミック材料からなるパッケージを回路基板に搭載し、はんだなどの導電性接合材を介して接合する構成が開示されている。
【0004】
この従来の圧電振動デバイスでは、ベースの底面に端子電極が形成され、はんだ(導電性接合材)の這い上がりによる接続状態を確認するために、当該端子電極がベースの側面に形成されたキャスタレーションによりベースの底面から側面に延出している。
【0005】
ところで、この従来の圧電振動デバイスを搭載する回路基板には、加工の容易性とコスト的なメリットから、網目状のガラス繊維にエポキシ樹脂材を含浸させたいわゆるガラスエポキシ基板が広く使用されている。また、この回路基板の電極パターン上部には、スクリーン印刷などの手法により、はんだペーストが塗布されている。そして、この回路基板の電極パターンに、上記圧電振動デバイスのパッケージの端子電極を重ね合わせた状態で搭載して、溶融炉(加熱炉など)にてはんだペーストを溶融させて回路基板上に圧電振動デバイスをはんだ接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−76813号
【特許文献2】特開2009−141455号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、パッケージと回路基板との間で熱膨張係数差により、これらパッケージと回路基板とを接合するはんだに応力が生じ、クラックが発生することがある。特に、パッケージとしてアルミナ等のセラミック材料を用い、回路基板としてガラスエポキシ基板を用いた組み合わせ構成であって、さらに車載用などの過酷な環境下で使用される用途向けに使用した場合、高温および低温環境下で当該パッケージと回路基板とを使用するので、パッケージと回路基板の熱膨張係数差によりはんだから疲労破壊が生じやすくなる。このように、通常の温度環境ではそれほど問題にならなかったはんだクラックの問題点が高温および低温環境では顕著にあらわれ、さらに当該パッケージと回路基板とに衝撃が加わると、はんだクラック部分から剥離が生じるといった問題点があった。
【0008】
これに対して上記特許文献2では、ベースの底面の端子電極について複数に分割し分割端子電極の間をベースの素地が露出させた構成とすることで、接合はんだ内の気泡などを分割端子の間に放出することではんだクラックの発生を抑制するものである。
【0009】
しかしながら、上述のようなパッケージと回路基板との間で熱膨張係数差によるパッケージと回路基板とを接合するはんだに対して応力が生じた場合、最大応力発生点であるベースの外周端部に近接する領域からはんだクラックが発生することが多く、継続して同様の応力による影響を受けることで発生したはんだクラックがベースの中心点に向かって拡大していく。そして最終的に端子電極全体にはんだクラックが進行してパッケージと回路基板のはんだによる接合点が剥離することで、電子部品素子との電気的な接続状態も端子電極が回路基板から完全に剥離した状態(以下オープン状態と称する)となる。
【0010】
このような状態となるまでに、上記特許文献2の端子電極の構成では、電子部品素子と電気的に接続された一つの機能端子電極そのものの領域を分割しているため、はんだクラックの拡大を助長することがある。さらに上記特許文献2の端子電極の構成では、一つの端子電極に電子部品素子と電気的に接続されない領域も存在しており、電子部品素子と電気的に接続される領域ほど最大応力発生点であるベースの外周端部に近接する領域に形成されているため、オープン状態なるまでの寿命も短くなる。つまり特許文献2の端子電極の構成では、はんだクラックの問題を依然として解決できないものであった。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、はんだクラックを防止して電子部品用パッケージと回路基板の搭載接合の信頼性を向上させる電子部品用パッケージのベース、電子部品用パッケージを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、電子部品素子を保持する電子部品用パッケージのベースにおいて、前記ベースの底面は、外部の回路基板と導電性接合材を用いて接合する複数の端子電極がベース底面の外周端部に近接あるいは接して形成されており、前記端子電極には前記電子部品素子と電気的に接続された機能端子電極と、当該機能端子電極より面積が小さくかつ前記電子部品素子と電気的に接続されない無接続端子電極とを有し、前記機能端子電極の端部の一部が無接続端子電極の端部の一部よりベース底面の中心点に近接して配置されてなることを特徴とする。
【0013】
上記構成により、端子電極がベース底面の外周端部に近接あるいは接して形成されているので、端子電極の形成面積を最大限に形成することができ、ベースが小型化されても回路基板の電極パターンに対応して接合面積を低下させることがない。
【0014】
前記端子電極には前記電子部品素子と電気的に接続された機能端子電極と、当該機能端子電極より面積が小さくかつ前記電子部品素子と電気的に接続されない無接続端子電極とを有し、前記機能端子電極の端部の一部が無接続端子電極の端部の一部よりベース底面の中心点に近接して配置されているので、導電性接合材による接合面積が大きく接合力の大きな機能端子電極に対して、面積の小さく導電性接合材による接合力も小さな無接続端子電極をベースと回路基板との機械的な接合強度を向上させるために利用することで、電子部品用パッケージを構成するベースと回路基板との間で熱膨張係数差が生じても、無接続端子電極の形成領域の周辺では機能端子電極の形成領域の周辺に比べて、ベースと回路基板とを接合する導電性接合材による結合強度(拘束力?)も弱く、当該周辺領域に対して電子部品用パッケージ(ベース)の接合時に発生する応力の一部を逃がすことができる。結果として、機能端子電極の形成領域のみに応力が集中することを抑制し、機能端子電極を接合する導電性接合材から疲労破壊が生じにくくすることができる。
【0015】
また万が一、最大応力発生点であるベースの外周端部に近接する領域から導電性接合材のクラックが発生しても、無接続端子電極が完全にオープン状態となるまで、お互いに独立して形成され、ベース底面の中心点よりに端部のある機能端子電極に生じる応力を分散して軽減させることができる。以上により、電子部品として電気的に機能するより重要な機能端子電極では前記応力の悪影響の小さなベース底面の中心点に近接する領域で導電性接合材の接合点を確保することができ、機能端子電極の電気的機械的接続性を低下させることがない。機能端子電極が回路基板からオープン状態となって電子部品として機能しなくなるのを抑制することができる。
【0016】
さらに面積のより大きな機能端子電極に対して検査用の測定プローブ等が接触不良を起こす危険性がなくなるので、より確実かつ信頼性の高い検査が実現でき、電子部品の電気的性能の向上や歩留まり向上に寄与する構成が実現できる。
【0017】
また機能端子電極と無接続端子電極の区別が容易となり、回路基板へ搭載する際の向きを決める目印とすることもできる。
【0018】
また上記構成に加えて、前記ベースの底面は平面視矩形とされ、四つの角のうちの一方の対角位置に少なくとも一対の機能端子電極を有し、四つの角のうちの他方の対角位置に少なくとも一対の無接続端子電極を有しているとともに、これらの各端子電極がベース底面の中心点に対して点対称に形成してもよい。この構成では上述の作用効果に加えて、導電性接合材によって回路基板と電気的機械的に接合する際に、電子部品用パッケージを構成するベースと回路基板との間で熱膨張係数差によるベースと回路基板とを接合する導電性接合材に対して応力が生じても、一方の対角位置に存在する少なくとも一対の機能端子電極の形成領域から、他方の対角位置に存在する少なくとも一対の無接続端子電極の形成領域に向かって電子部品用パッケージを構成するベースが平面的に回転するように均等に逃がすことができ、かつ当該ベースが過度に回転するのも抑制することができる。結果として、機能端子電極の形成領域のみに応力が集中することを抑制し、機能端子電極を接合する導電性接合材から疲労破壊が生じにくくすることができる。またリフローはんだ付けによる手法を採用しても電子部品用パッケージを構成するベースの接合時に平面的に不要な回転をして搭載実装されることもない。
【0019】
また上記構成に加えて、前記機能端子電極の上面のみに、当該機能端子電極より小さな金属膜からなるバンプが積層一体形成されていてもよい。発明者は導電性接合材のクラック発生事例のほとんどについて、導電性接合材のクラックの起点は端子電極の底面端部に発生し、間に障害物がなければその起点から端子電極の底面とほぼ平行に進行することに知見している。この知見から、本構成では上述の作用効果に加えて、機能端子電極のみにバンプを形成して無接続端子電極の底面とは平面位置の異なる段差を有する底面を設けることで、導電性接合材のクラックが最初に発生する無接続端子電極のクラックの進行する底面位置と、後から影響を受ける機能端子電極のクラックの進行する底面位置をずらし、機能端子電極で発生するクラックの進行を格段に抑えることができる。結果として機能端子電極の電気的機械的接続性をより一層向上させながら、機能端子電極がオープン状態となって電子部品として機能しなくなるのを抑制することができる。
【0020】
また、上述の電子部品用パッケージのベースに対して、当該電子部品素子を気密封止する蓋を有することを特徴とする電子部品用パッケージであってもよい。この構成により上述の作用効果が得られるベースを用いて気密封止された電子部品パッケージが得られるので、安価で回路基板の搭載接合の信頼性を向上させる電子部品用パッケージを提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、導電性接合材のクラック(例えば、はんだクラック)の悪影響をより一層軽減し防止する事ができ、安価で回路基板の搭載接合の信頼性を向上させる電子部品用パッケージのベースと電子部品用パッケージとを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態を示す表面実装型水晶振動子の底面図。
【図2】図1の表面実装型水晶振動子を回路基板に搭載した状態の断面図であり、(a)はA1−A1線に沿った断面図を示し、(b)はA2−A2線に沿った断面図を示す。
【図3】本発明の実施形態の変形例1を示す表面実装型水晶振動子の底面図。
【図4】本発明の実施形態の変形例2を示す表面実装型水晶振動子の底面図。
【図5】本発明の実施形態の変形例3を示す表面実装型水晶振動子の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施例では、電子部品として表面実装型の水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
【0024】
本発明の実施形態にかかる表面実装型の水晶振動子は、図1、図2に示すように、電子部品素子である水晶振動板3と、上部が開口した凹部を有し水晶振動板3を保持する(収納する)ベース1と、ベース1の開口部に接合してベース1に保持した水晶振動板3を気密封止する蓋2とからなる。
【0025】
ベース1は、全体として直方体で、アルミナ等のセラミックとタングステンやモリブデン等の導電材料を適宜積層した構成からなる。このベース1は、図2に示すように、断面視凹形の収納部10と、収納部10を囲むようにその周囲に設けられた堤部11を有する。具体的に、ベース1は、矩形(平面視矩形)の平板形状のセラミックのベース基体1aと、中央部分が大きく穿設されるとともに外形サイズ(平面視外形サイズ)がベース基体1aとほぼ等しいセラミックの枠体1bからなり、ベース基体1aと枠体1bと封止部材11aとが一体的に焼成されている。なお、堤部11(枠体1b)の上面は平坦であり、堤部11上に封止部材11a(封止材料や金属層等)が形成されている。本実施例1では、例えば封止部材11aとしてガラスが形成された構成を示しているが、後述する蓋2が金属蓋である場合、封止部材11aとしてタングステンやモリブデン等によるメタライズ層の上面にニッケルメッキ層、金メッキ層の各層が形成された構成としたり、さらにこれら各層の上部に金属リングが形成された構成としてもよい。
【0026】
また、ベース1の外周(平面視外周縁)の4つの角K1,K2,K3,K4あってベース1の側面には、ベース1の底面から天面(上面)にかけて上下にキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成され、ベース1の短辺の中央付近の側面には、ベース1の底面から天面(上面)にかけて上下にキャスタレーションC5,C6が形成されている。また、キャスタレーションC1,C3の下方に(ベース1の底面から側面の下方一部にかけて)連結電極である側面端子電極121,131が形成され、側面端子電極121,131は後述の端子電極12,13と電気的につながっている(接続されている)。
【0027】
ベース1の底面は平面視矩形とされ、このベース1の底面の四つの角には、外部の回路基板4(図2参照)に導電性接合材Dを用いて接合する平面視矩形の4つの端子電極12,13,14,15がベース1の底面の外周端部に近接して形成されている。つまり端子電極12,13,14,15は、図1に示すように、側面端子電極121,131,141,151を介して角K1,K2,K3,K4からほぼ同間隔で少し離間した状態で形成されている。
【0028】
ベース1の底面の四つの角うち一方の対角位置に形成された端子電極12,13は、後述する水晶振動板3の入出力外部接続端子として機能する機能端子電極であり、キャスタレーションC1,C3を介して側面端子電極121,131(側面端子電極131は図示省略)によりベース1の内部の底面に形成された電極パッド122,132(電極パッド132は図示省略)へと延出して電気的に接続されている。
【0029】
ベース1の底面の四つの角うち他方の対角位置に形成された端子電極14,15は、後述する水晶振動板(電子部品素子)や蓋などとは電気的に接続されない無接続端子としての無接続端子電極であり、端子電極12,13より面積が小さく形成されている。
【0030】
このような端子電極構成とすることで、端子電極12,13の端部の一部である角部12a,13aが端子電極14,15の端部の一部である角部14a,15aよりベース底面の中心点Oに近接して配置されている。また各端子電極12,13,14,15がベース底面の中心点Oに対して点対称に形成されている。なお、これらの端子電極12,13,14,15、側面端子電極121,131,141,151、電極パッド122,132は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料をベース1と一体的に焼成してメタライズを形成し、その上部にニッケルメッキを形成し、その上部に金メッキを形成して構成されている。
【0031】
また、機能端子電極である端子電極12,13の上部には、各端子電極12,13より若干小さくほぼ同形状(平面視同形状)のバンプ12B,13Bがそれぞれ形成されている。これらバンプ12B,13Bは、端子電極12,13のメタライズ上部に同材質のメタライズ(タングステン、モリブデン等)を所望の形状で積層して一体形成されている。これら端子電極12,13とバンプ12B,13Bは、これらのメタライズ材料がベース1と一体的に焼成され、当該メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成されている。なお、機能端子電極である端子電極12,13のうちバンプ12B,13Bが形成されていない一部の底面領域と、無接続端子である端子電極14,15の底面とはほぼ同一平面となる厚みに形成されており、機能端子電極である端子電極12,13のうちバンプ12B,13Bが形成された底面領域のみが突出して段差を有するように構成されている。
【0032】
電極パッド122,132間には、水晶振動板3(本発明でいう電子部品素子)が搭載されている。水晶振動板3の表裏面には図示しない一対の励振電極と引出電極が形成されている。一対の励振電極と引出電極は、例えば水晶振動板3に接して(水晶振動板3上から)クロム,金の順に、クロム,金,クロムの順に、クロム,銀,クロムの順に、あるいはクロム,銀の順に積層して形成されている。これら各電極(一対の励振電極と引出電極)は真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段により形成することができる。そして、電極パッド122,132に対して水晶振動板3の引出電極が導電性接合材(図示せず)により導電接合され、ベース1に水晶振動板3が保持されている。例えば、水晶振動板3の励振電極と、ベース1の電極パッド122,132との導電接合には、導電性樹脂接着剤や金属バンプ・金属めっきバンプ・ろう材などの導電性接合材を用いることができる。
【0033】
ベース1を気密封止する蓋2には、板状のアルミナ等のセラミック材料にガラス封止材等の封止部材11aが形成されたものが用いられている。蓋2の平面視外形はベース1の当該外形とほぼ同じであるか、若干小さい構成となっている。なお蓋2としてセラミック材料に限らず、ガラス材料や金属材料であってもよい。
【0034】
このようなベース1の収納部10に水晶振動板3を格納し、蓋2にて被覆して加熱炉による溶融接合などの手法により気密封止を行うことで表面実装型の水晶振動子(電子部品用パッケージ)の完成となる。なおベース1と蓋2との気密封止の手法としては、溶融接合に限らず、各種材料(ベースや蓋、封止部材等)に応じて、溶接接合、ろう接などの他の手法を用いることができる。また、水晶振動子の完成品は、図2に示すように、ガラスエポキシ材からなる回路基板4の電極パターン41,42,43,44の上部に、例えばはんだ等の導電性接合材Dを介して接合される。
【0035】
また図3に示す本発明の実施形態の変形例1(上記実施形態と同様の部分については同番号を付し説明の一部を割愛している)では、無接続端子電極である他方の対角位置に形成された端子電極14,15が、角K2,K4に離間することなく接した状態でさらに面積を小さく形成されている。つまり機能端子電極である一方の対角に形成された端子電極12,13の端部12a,13aよりも端子電極14,15の端部14a,15aがベース底面の中心点Oからより一層隔離した状態で形成される。また、機能端子電極である一方の対角位置に形成された端子電極12,13がベース底面の長辺に沿って対向する各角K2,K4に延出した状態でさらに面積を大きく形成され、端子電極12,13がベース底面の短辺方向でお互いに対向する領域を形成している。つまり機能端子電極である一方の対角に形成された端子電極12,13の端部12a,13aがベース底面の中心点Oにより一層近接した状態で形成される。この変形例では端子電極12,13がベース底面の中心点Oに近接する領域での応力の悪影響をより軽減することができ、この領域での導電性接合材Dのより強固で安定した接合点を確保することができる。また万が一クラックが発生してもオープン状態となるまでの時間を延長することができる。またこの変形例によれば、一対の機能端子電極12,13の面積の総和に対して、一対の無接続端子電極14,15の面積の総和を50%以下に形成することで、機能端子電極12,13によって接合される導電性接合材Dの接合面の応力に対して、無接続端子電極14,15によって接合される導電性接合材Dの接合面の応力差を生じさせることが容易となる。このような構成であれば機能端子電極12,13から無接続端子電極14,15へ応力緩和させる作用が働きやすくなり、導電性接合材Dのクラック等の発生を抑制するに好ましい。
【0036】
また図4に示す本発明の実施形態の変形例2(上記実施形態と同様の部分については同番号を付し説明の一部を割愛している)では、無接続端子電極である他方の対角位置に形成された端子電極14,15のみに面取り部142,152が形成されている。つまり機能端子電極である一方の対角に形成された端子電極12,13の端部12a,13aよりも端子電極14,15の端部14a,15aがベース底面の中心点Oからに隔離した状態で形成されている。この変形例では端子電極12,13と端子電極14,15の形状や面積を類似させながら、極めて容易な構成により本発明を適用することができる。
【0037】
また図5に示す本発明の実施形態の変形例3(上記実施形態と同様の部分については同番号を付し説明の一部を割愛している)では機能端子電極である一方の対角位置に形成された端子電極12,13のみにベース底面の中心点Oに近接する方向に伸びる突出端部123,133が形成されている。つまり機能端子電極である一方の対角に形成された端子電極12,13の端部12a,13aほうが無接続端子電極である端子電極14,15の端部14a,15aよりベース底面の中心点Oに近接した状態で形成されている。なお変形例3では端子電極12,13の上部にはバンプを形成していない。この変形例では端子電極12,13に形成された突出端部123,133により、機能端子電極の接合強度を向上させながらベース底面の中心点に近接する領域で導電性接合材の接合点の残部をより一層確保することができる。
【0038】
上記実施例の構成により、端子電極12,13,14,15がベース底面の外周端部に近接あるいは接して形成されているので、端子電極12,13,14,15の形成面積を最大限に形成することができる。特に平面視矩形のベース1に対して少なくとも機能端子電極である平面視矩形状の端子電極12,13を形成した場合、端子電極12,13の形成面積を必要最大限に形成することができるので、ベース1が小型化されても回路基板の電極パターン41,42に対応して接合面積を低下させることがない。
【0039】
導電性接合材Dによる接合面積が大きく接合力の大きな機能端子電極12,13に対して、面積の小さく導電性接合材Dによる接合力も小さな無接続端子電極14,15をベース1と回路基板4との機械的な接合強度を向上させるために利用することで、電子部品用パッケージを構成するベース1と回路基板4との間で熱膨張係数差が生じても、無接続端子電極14,15の形成領域の周辺では機能端子電極12,13の形成領域の周辺に比べて、ベース1と回路基板4とを接合する導電性接合材Dによる結合強度(拘束力?)も弱く、当該周辺領域に対して電子部品用パッケージ(ベース)の接合時に発生する応力の一部を逃がすことができる。結果として、機能端子電極12,13の形成領域のみに応力が集中することを抑制し、機能端子電極12,13を接合する導電性接合材Dから疲労破壊が生じにくくすることができる。
【0040】
また万が一、最大応力発生点であるベース1の外周端部に近接する領域から導電性接合材Dのクラックが発生しても、無接続端子電極14,15が完全にオープン状態となるまで、お互いに独立して形成され、ベース底面の中心点Oよりに端部のある機能端子電極12,13に生じる応力を分散して軽減させることができる。
【0041】
以上により、電子部品として電気的に機能するより重要な機能端子電極12,13では前記応力の悪影響の小さなベース底面の中心点Oに近接する領域で導電性接合材Dの接合点を確保することができ、機能端子電極12,13の電気的機械的接続性を低下させることがない。機能端子電極12,13が回路基板4からオープン状態となって電子部品として機能しなくなるのを抑制することができる。
【0042】
また面積のより大きな機能端子電極12,13に対して検査用の測定プローブ等が接触不良を起こす危険性がなくなるので、より確実かつ信頼性の高い検査が実現でき、電子部品の電気的性能の向上や歩留まり向上に寄与する構成が実現できる。
【0043】
また機能端子電極12,13と無接続端子電極14,15の区別が容易となり、回路基板4へ電子部品用パッケージを搭載する際の向きを決める目印とすることもできる。
【0044】
また上記実施例では、ベース1の四つの角のうちの一方の対角位置に一対の機能端子電極12,13を有し、四つの角のうちの他方の対角位置に一対の無接続端子電極14,15を有しているとともに、これらの各端子電極がベース底面の中心点Oに対して点対称に形成されている。このため導電性接合材Dによって回路基板4と電気的機械的に接合する際に、電子部品用パッケージを構成するベース1と回路基板4との間で熱膨張係数差によるベースと回路基板とを接合する導電性接合材Dに対して応力が生じても、一方の対角位置に存在する一対の機能端子電極12,13の形成領域から、他方の対角位置に存在する一対の無接続端子電極14,15の形成領域に向かって電子部品用パッケージを構成するベース1が平面的に回転するように均等に逃がすことができ、かつ当該ベースが過度に回転するのも抑制することができる。結果として、機能端子電極12,13の形成領域のみに応力が集中することを抑制し、機能端子電極12,13を接合する導電性接合材Dから疲労破壊が生じにくくすることができる。またリフローはんだ付けによる手法を採用しても電子部品用パッケージを構成するベース1の接合時に平面的に不要な回転をして搭載実装されることもない。
【0045】
また上記実施例では、バンプ12B,13Bで浮き上がった端子電極12,13と回路基板4の電極パターン41,42の隙間部分に導電性接合材Dがたまり、この隙間部分での導電性接合材Dの厚さを厚くできるため、端子電極12,13と回路基板の電極パターン41,42との接合強度をさらに高めることができる。さらに機能端子電極12,13のみにバンプ12B,13Bを形成して無接続端子電極14,15の底面とは平面位置の異なる段差を有する底面を設けることで、導電性接合材Dのクラックが最初に発生する無接続端子電極14,15のクラックの進行する底面位置と、後から影響を受ける機能端子電極12,13のクラックの進行する底面位置をずらし、機能端子電極12,13で発生するクラックの進行を格段に抑えることができる。結果として機能端子電極12,13の電気的機械的接続性をより一層向上させながら、機能端子電極12,13がオープン状態となって電子部品として機能しなくなるのを抑制することができる。
【0046】
また、機能端子電極12,13と無接続端子電極14,15とは同材質のメタライズにより同工程で構成することができ、バンプ12B,13Bを端子電極と同材質のメタライズを積層一体化することで極めて容易かつ安価に前記バンプを形成できる。
【0047】
上記実施形態では、機能端子電極と無接続端子電極について、一対のもののみ開示しているが、一対に限らず複数個に分けて形成してもよい。表面実装型水晶振動子を例にしているが、水晶フィルタ、水晶発振器など電子機器等に用いられる他の表面実装型の電子部品用パッケージにも適用できる。また絶縁性のパッケージ(ベース)として、セラミック材料を開示しているがガラス材料であってもよい。端子電極の金属膜としてメタライズを開示しているが、めっき材料であってもよい。
【0048】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施できるので、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求範囲によって示すものであって、明細書本文に拘束されるものではない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、水晶振動子等の電子部品用パッケージ、電子部品用パッケージのベースに適用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 ベース
2 蓋
3 水晶振動板(電子部品素子)
4 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品素子を保持する電子部品用パッケージのベースにおいて、
前記ベースの底面は、外部の回路基板と導電性接合材を用いて接合する複数の端子電極がベース底面の外周端部に近接あるいは接して形成されており、
前記端子電極には前記電子部品素子と電気的に接続された少なくとも一対の機能端子電極と、当該機能端子電極より面積が小さくかつ前記電子部品素子と電気的に接続されない少なくとも一対の無接続端子電極とを有し、
前記少なくとも一対の機能端子電極の端部の一部が少なくとも一対の無接続端子電極の端部の一部よりベース底面の中心点に近接して配置されてなることを特徴とする電子部品用パッケージのベース。
【請求項2】
前記ベースの底面は平面視矩形とされ、四つの角のうちの一方の対角位置に少なくとも一対の機能端子電極を有し、四つの角のうちの他方の対角位置に少なくとも一対の無接続端子電極を有しているとともに、これらの各端子電極がベース底面の中心点に対して点対称に形成されてなることを特徴とする特許請求項1記載の電子部品用パッケージのベース。
【請求項3】
前記機能端子電極の上面のみに、当該機能端子電極より小さな金属膜からなるバンプが積層一体形成されてなることを特徴とする特許請求項1,2に記載の電子部品用パッケージのベース。
【請求項4】
特許請求項1乃至3のうちいずれか1つに記載の電子部品用パッケージのベースと、当該電子部品素子を気密封止する蓋とを有することを特徴とする電子部品用パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−176388(P2011−176388A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36822(P2010−36822)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】