説明

電子部品用パッケージ及び電子デバイス

【課題】車載用の厳しい温度環境に十分耐えられる電子部品用パッケージと圧電振動子を得る。
【解決手段】上面側に凹部を有し、凹部に電子部品20を搭載する矩形状の積層セラミック製のパッケージ本体6と、電子部品20を含むパッケージ本体6の上面側の開口部空間を気密封止する蓋部材30とからなる。パッケージ本体6の上面の凹部内には、一対の電極パッド15が設けられ、パッケージ本体6の底面の短手方向両側には、実装面に端子ベース10a、11aと、バンプ10b、11bとからなる一対の実装端子(端子電極)10、11が、形成されている。そして、パッケージ本体6の内部に形成した一対の電極パッド15と一対の実装端子10、11はそれぞれ複数の接続電極14により電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品用パッケージと圧電振動子に関し、特に、回路基板との接続強度を高めるように実装端子の構造を改善した電子部品用パッケージと、それを用いた圧電振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電振動子、中でも表面実装型水晶振動子は小型であること、高精度、高安定な周波数が容易に得られ、経年変化が小さいこと等のため、通信用機器から民生用機器の基準周波数源として広く用いられている。近年、機器が小型化、軽量化されると共に表面実装型水晶振動子のさらなる小型化への要求が強くなっている。
周知のように、表面実装型水晶振動子は、水晶板の両主面に、真空蒸着法、あるいはスパッタリング法を用いて金属膜(励振電極)を形成し、パッケージ本体内に収容し、該パッケージ本体の周縁部に蓋をシーム溶接等で気密封止して構成される。
【0003】
水晶振動子が車載用機器に用いられる場合、回路基板との接続強度が特に重要となる。この理由は、車載用機器では低温から高温までの厳しい温度環境にさらされ、圧電振動子のパッケージの線膨張係数と、圧電振動子が実装される回路基板とのそれとに差があると、繰り返しの温度変化によりパッケージと回路基板とを接続する半田に歪みが掛かり、半田の疲労破壊が生じる虞があるためである。更に、近年表面実装型水晶振動子の形状が小型化され、パッケージの実装端子の面積も一段と小さくなっている。実装端子(端子電極)と回路基板との接続強度を強化した表面実装型水晶振動子の一例が特許文献1に開示されている。図9(a)は表面実装型水晶振動子の側面断面図、同図(b)は底面図である。表面実装型水晶振動子70は上部が開口した凹部を有する平面矩形状のパッケージ本体71と、当該パッケージ本体71の中に収容される水晶振動素子75と、パッケージ本体71の上部開口部に接合される蓋72とからなる。表面実装型水晶振動子70は回路基板90の配線パターン91上に半田85を介して接続される。
【0004】
図9(b)の底面図に示すように、パッケージ本体71の底面の対向辺に沿って形成された一対の端子電極82、83は、互いに対向して形成される領域82a、83aと、一方の端子電極のみが形成されない領域82b、83bとを有している。これらの領域は、パッケージ本体71の中心点に対して点対称に配置されている。また、パッケージ本体71の四隅にはキャスタレーションC1〜C4が形成され、キャスタレーションC1、C3は夫々端子電極82、83と接続されている。このようなパッケージ本体71を構成することにより、温度環境が変化し、パッケージ本体71と回路基板90との熱膨張差により端子電極82、83に応力が生じても、一方の端子電極が形成されない角領域82b、83bに向かって相互に応力を逃がすので、パッケージ本体71の中心点で平面的に回転させるように応力が発生し、応力が緩和される。その結果、半田クラック等の発生を飛躍的に抑制することができると開示されている。
また、特許文献2にはパッケージ裏面の四隅に4つの端子電極を形成し、各端子電極の中央部に小さな凸部を形成したパッケージが開示されている。このパッケージを用いた圧電振動子を回路基板上に搭載すると、端子電極と回路基板との間に間隙が得られ、十分な量と厚みの半田がこの間隙に入るため、十分な接合強度が得られると開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−108923公報
【特許文献2】特開2006−186667公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたパッケージ本体71では、端子電極82、83が夫々パッケージ本体の角部に形成した1つのキャスタレーションC1、C3を経由してパッケージ内部に収容した圧電振動素子と導通するように構成されているため、端子電極82、83とキャスタレーションC1、C3との接続部にクラックが発生すると、水晶振動子が機能しない虞があるという問題があった。
特許文献2の手法では、パッケージの端子電極面と回路基板のランド電極面との間の半田量は多くなるものの、歪みが集中する箇所の半田量が必ずしも多くないという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、パッケージの実装端子と回路基板のランド電極との接続強度を高めた電子部品用パッケージと、それを用いた圧電振動子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]矩形状のパッケージ本体と、前記パッケージ本体を気密封止する蓋部材と、からなる電子部品用パッケージであって、前記パッケージ本体の内部に形成された電極パッドと、前記パッケージ本体の底面のうち少なくとも四隅の近傍に形成され、かつ実装面に段差部を有する実装端子と、前記パッドと前記実装端子とを電気的に接続する複数の接続電極と、を備えた電子部品用パッケージを特徴とする。
【0009】
このように電子部品用パッケージを構成すると、実装面に設けた段差部により、歪みが大きくかかる領域の半田の厚さを厚くできるので、実装端子と回路基板のランド電極との接続強度を強化できるという効果がある。
【0010】
[適用例2]前記パッケージ本体の前記四隅にキャスタレーションを形成し、該キャスタレーションにそれぞれ前記接続電極を形成した適用例1に記載の電子部品用パッケージを特徴とする。
【0011】
このように電子部品用パッケージを構成すると、キャスタレーションによるパッケージ内部の圧電振動素子と実装端子との導通のみならず、パッケージと回路基板との接続強度を高めることができるという効果がある。
【0012】
[適用例3]前記段差部は、前記実装端子を半田により回路基板に接合したときに、前記実装端子上において前記四隅の周辺に形成された半田が厚くなるような形状である適用例1又は2に記載の電子部品用パッケージを特徴とする。
【0013】
このように電子部品用パッケージを構成すると、実装面に設けた段差部により、歪みが大きくかかるパッケージの中心から最も離れた位置と、パッケージの中央部寄りを除く実装端子の周縁部の半田を厚くすることができるので、実装端子と回路基板のランド電極との接続強度の強化に大きく貢献するという効果がある。
【0014】
[適用例4]前記パッケージに一対のダミー電極を形成した適用例1乃至3の何れか一項に記載の電子部品用パッケージを特徴とする。
【0015】
このように電子部品用パッケージを構成すると、実装端子による接続に加え、ダミー電極によるパッケージと回路基板との接続が加わり、実装端子に掛かる歪みが分散されるので、実装端子と回路基板との接続強度が一段と大きくなるという効果がある。
【0016】
[適用例5]前記一対のダミー電極を複数形成した適用例4に記載の電子部品用パッケージを特徴とする。
【0017】
このように電子部品用パッケージを構成すると、複数のダミー電極によるパッケージと回路基板との接続が強化され、実装端子に掛かる歪みが分散されるので、実装端子と回路基板との接続が一段と強められるという効果がある。
【0018】
[適用例6]適用例1乃至5の何れか一項に記載の電子部品用パッケージを備え、前記パッケージ本体の前記電極パッド上に圧電振動片が搭載された圧電振動子を特徴とする。
【0019】
このように圧電振動子を構成すると、圧電振動子を車載用の電子機器に実装した場合、圧電振動子のパッケージと電子機器の回路基板との接続強度が大きいので、大きな温度変化と振動、衝撃に耐えられる電子機器が構成できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る第1実施例のパッケージの構造を示す概略図で、(a)は断面図、(b)は底面図、(c)は底面図。
【図2】回路基板のパッケージを実装した際の要部拡大側面図。
【図3】(a)〜(d)はパッケージの底面図、(e)は実装端子の形状と相対半田歪みとの関係を示す図。
【図4】(a)は導通抵抗測定用パターンの平面図、(b)は基板上に配した測定用パターンの平面図。
【図5】ヒートサイクル回数と導通抵抗との関係を示す図。
【図6】第2実施例のパッケージの底面図。
【図7】第3実施例のパッケージの底面図。
【図8】第4実施例のパッケージの底面図。
【図9】従来のパッケージの、(a)は断面図、(b)は底面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)、(b)は、本発明に係る第1実施の形態の電子部品用パッケージと、これを用いた圧電振動子の構造を示す概略図であり、同図(a)は断面図、同図(b)は底面図である。電子部品用のパッケージ1は、図1(a)に示すように、上面側に凹部を有し、該凹部に電子部品20を搭載する矩形状の積層セラミック製のパッケージ本体6と、電子部品20を含むパッケージ本体6の上面側の開口部空間を気密封止する蓋部材30と、からなる。パッケージ本体6の上面の凹部内には、収容した電子部品20、例えば圧電振動素子の一対のリード電極と、接続する一対の電極パッド15が設けられ、パッケージ本体6の底面の短手方向両側には、実装面に実装端子ベース10a、11aと、段差部(バンプ)10b、11bとからなる一対の実装端子(端子電極)10、11が、形成されている。そして、パッケージ本体6の内部に形成した一対の電極パッド15と一対の実装端子10、11はそれぞれ複数の接続電極14により電気的に接続されている。
【0022】
図1(a)に示した例は、電子部品20として音叉型水晶振動素子を用いた場合で、音叉型水晶振動素子20の図示しない一対のリード電極は、パッケージ本体6の一対の電極パッド15に導電性接着剤を用いて接着、固定される。そして、蓋部材30として金属製の蓋を用いる場合、蓋部材30はパッケージ本体6の上部周縁部に形成したシールリング部に抵抗溶接(シーム溶接)等の手段を用いて溶接され、パッケージ本体6は気密封止される。また、図1(b)に示すように、パッケージ本体6の四隅にキャスタレーションC1、C2、C3、C4を形成し、該キャスタレーションC1、C2、C3、C4はそれぞれ実装端子10、11に接続されると共に、接続電極14として機能する。一方、キャスタレーションC1〜C4はパッケージ1を回路基板に搭載する際、半田の這い上がり(フィレット)により回路基板とパッケージ1との接続強度を大きくする効果がある。
また、図1(c)の底面図に示すように、キャスタレーションC’はパッケージ本体6底面の短手方向両側の中央部にそれぞれ1カ所ずつ設けた構成であってもよい。
【0023】
パッケージ本体6の底面に設ける実装端子10、11は、図1(b)に示すように、短手方向両側の中央部にそれぞれ1カ所ずつ設ける。そして、これらの実装端子10、11は、始めに実装端子ベース10a、11aをスクリーン印刷等の手法を用いてパッケージ本体6に塗布し、実装端子ベース10a、11aの面上にそれぞれ段差部(バンプ)10b、11bをスクリーン印刷等の手法を用いて塗布し、パッケージ本体6と同時に焼成して形成する。スクリーン印刷の一回の塗布で焼成後の段差部の厚さは10μm〜15μm程度となるので、適切な厚さの段差部(バンプ)10b、11bを形成する。本発明の特徴は、実装端子10、11の実装端子ベース10a、11aと、段差部(バンプ)10b、11bとの位置関係にある。実装端子11を例にして説明する。実装端子ベース11aの長さ、幅をそれぞれL1、w1、段差部11bの長さ、幅をそれぞれL2、w2とし、L1>L2、w1>w2を満たすように実装端子ベース11a、段差部11bの長さ、幅をそれぞれ設定する。且つ、図1(b)の底面図に示すように、実装端子ベース11aの図中右端と、段差部11bの右端をほぼ一致させ、図中上下方向(短辺方向)では実装端子ベース11aのほぼ中央に段差部11bを位置させる。つまり、段差部11bは、実装端子11を半田により回路基板側のランド電極に接合したときに、少なくとも、電子部品用パッケージ1の中心から最も離れた位置と、パッケージ本体6の中央部寄りを除く実装端子11の周縁部との半田が厚くなるような形状とする。
実装端子10の実装端子ベース10aと段差部10bについても同様で、パッケージ本体6の中心に対して実装端子11と対称に形成される。
【0024】
図2は、パッケージ1を回路基板25のランド電極26に実装した場合の実装端子11、つまり実装端子ベース11aと段差部11bとの要部拡大側面図である。図2から分かるように、半田28の厚さは、h2(段差部11bの下の半田の厚み)に比べ、h1(実装端子ベース11aの下の半田の厚み)が大きくなるようにパッケージの実装端子11を構成する。これは後で説明するように、回路基板25とパッケージ1との線膨張係数の違いにより生じる応力が、一番大きく掛かる領域の半田の量を多くするように、実装端子11に段差部11bを形成する。
【0025】
パッケージを回路基板に実装した場合、周囲の温度変化によりパッケージと回路基板との線膨張係数の差に起因して、半田接合部に歪みが生じる。パッケージの実装端子の形状と発生する歪みとの関係を調べるべく、パッケージの実装端子10、11の種類として、図3(a)〜(d)の底面図に示すような4種類を選んだ。図3(a)は、実装端子10、11が標準の面積を有するパッケージ、同図(b)は、(a)より大きな実装端子面積を有するパッケージ、同図(c)は、(a)のパッケージにそれぞれ2カ所の段差部(バンプ)10b、11bを設けたパッケージ、同図(d)は短手方向両側の中央部にそれぞれ1カ所のキャスタレーションC’を設けたパッケージである。図3(a)〜(d)に示すパッケージを回路基板に半田を介して実装する場合に、接合材の半田に生じる歪みの大きさとその領域をシミュレーションにより求めた。図3(a)、(b)、(d)に示すパッケージの場合、接合部の半田の厚さh1を70μmとし、同3(c)のように段差部10b、11bを設けた場合の接合部の半田の厚さh1を100μmとした。また、シミュレーションの条件は、半田の凝固点(+218℃)を応力の出発点(応力フリー)と仮定し、温度サイクルの温度条件(−40℃⇔+125℃)において、温度変化が最も大きい+218℃から−40℃を荷重条件として、半田にかかる歪みの大きさと歪みの大きな領域とをシミュレーションにより求めた。つまり、半田の凝固点(+218℃)ではパッケージと回路基板とには歪みは生じないが、温度が常温に戻ると歪みは発生し、−40℃では歪みは最大となる。なお、温度変動についてはモデル内で一様に起きるものとし、パッケージを構成する材料の残留応力は考慮しなかった。
【0026】
図3(a)の右側の実装端子上に重ね書きした図は、パッケージを回路基板に実装し、−40℃〜+125℃の温度サイクル試験を加えた場合に生じる歪みの大きな領域を示したもので、A、B、C、D、Eで示す領域、特にD、Eで示す領域に大きな歪みが生じることがシミュレーションの結果分かった。図3(a)の左側の実装端子にも右側の歪みと対称な歪みが生じることは説明するまでもない。また、図3(b)〜(d)のパッケージについても大きな歪みの生じる領域は、図3(a)の右側の図とほぼ同様の領域であった。
また、−40℃〜+125℃の温度サイクルを加えた場合に実装端子のキャスタレーションC1〜C4に生じる最大歪みを、図3(a)〜(d)のそれぞれの実装端子の形状について求めた。図3(e)は、同図(a)に示す実装端子の形状のキャスタレーションに生じる最大歪みを100とした場合の、同図(b)〜(d)の実装端子のキャスタレーションに生じる最大歪みを相対値で示した図で、横軸に実装端子の形状を示す図番(a)〜(d)を、縦軸は相対半田歪みを示す図である。図3(e)より同図(c)のパッケージのように実装端子10、11に段差部10b、11bを設けた場合が、キャスタレーションに生じる最大歪みが一番小さくなることを見出した。
【0027】
これは、実装端子の一部に段差部10b、11bを設けることにより、回路基板と実装端子の底面との間に介在する半田が厚くなり、歪みが緩和されるのも一因とされる。また、半田の厚みと接続強度との関係は特開平5−308179号公報に開示されており、半田厚みに対し接続強度には極大値があり、適切な厚さがある。以上のシミュレーションの結果を踏まえ、歪みが大きい領域、つまりパッケージの中心から最も離れた位置と、パッケージの中央部寄りを除く実装端子の周縁部の半田厚を厚くするような実装端子を有するパッケージを種々製作した。そして、それらのクラック率(ある断面における、はんだ全長に対するクラック長さの割合)を調査した。その結果、図3(c)に示すパッケージよりも、図1に示すパッケージの方が、断面はんだクラック率が低く、すなわち、よりクラックの発生を低減できることがわかった。
【0028】
図1に示した本発明に係るパッケージを実装基板に実装した場合、つまりパッケージの実装端子を実装基板のランド電極に半田を介して接合した場合に、ランド電極と実装端子間の導通抵抗が−40℃〜+125℃の温度サイクル(ヒートサイクル)の回数により、どのように変化するか実験した。図4(a)はパッケージを搭載する基板上の測定用パターン40であり、41a、41bはランド電極、42a、42bは配線導体、43a、43bは導通抵抗測定用の端子電極である。図4(b)は、複数の測定用パターン40を格子状に配した、導通抵抗測定に実際に用いた基板45の平面図である。
導通抵抗の実験に用いたパッケージは、図1に示した段差部付実装端子を有するパッケージと、比較のために図3(a)〜(d)に示した一般的な実装端子を有するパッケージとを用いた。なお、実装端子とランド電極とを接合する半田の導通抵抗を測定するためであるので、パッケージ本体内部の電極パッド同士、例えば図1(a)の2個の電極パッド15は短絡したパッケージを用いた。測定点は、ヒートサイクル前、500回、1000回、1500回、2000回、2500回、3000回のヒートサイクル試験後の導通抵抗を測定した。
【0029】
図5は、各ヒートサイクル試験後の導通抵抗を示した折れ線グラフである。折れ線イ、ロ、ハは、それぞれ図3(a)、図3(d)、図1(c)に示した実装端子を有するパッケージの、ヒートサイクル回数と導通抵抗との関係を示す図である。
図5より本発明の段差部付実装端子を有するパッケージが、導通抵抗のヒートサイクル試験でも良好な結果を示すことが判明した。
【0030】
図6は、第2の実施例のパッケージ2の構成を示す底面図で、4つの実装端子10、11、12、13を備えている。各実装端子10〜13はそれぞれ実装端子ベース10a〜13aと、段差部10b〜13bとからなり、各実装端子ベース10a〜13aはパッケージ底面の四隅に配置され、各角部にはキャスタレーションC1〜C4が形成される。各段差部10b〜13bは各実装端子ベース10a〜13aの面上で、パッケージの中心寄りの角部に配置される。このような各実装端子ベース10a〜13aと各段差部10b〜13bとの位置関係により、歪みが最も大きく掛かる領域の半田の厚さを厚くすることができる。
【0031】
図7は、第3の実施例のパッケージ3の構成を示す底面図で、2つの実装端子10、11と2つのダミー電極16、17とを備えている。実装端子10、11は、それぞれ実装端子ベース10a、11aと、段差部10b、11bとからなり、段差部10b、11bは実装端子ベース10a、11aに対し、図1(b)の例と同様に配置される。ダミー電極16、17はパッケージ3の長手方向両側で、短辺方向の端部寄りに形成され、ダミー電極ベース16a、17aと段差部16b、17bとより構成される。段差部16b、17bはダミー電極ベース16a、17aの面上でパッケージ3の中央部寄りに形成する。段差部16b、17bを付加したダミー電極16、17を設けることによりパッケージ3と回路基板との接続強度が強化される。
【0032】
図8は、第4実施例のパッケージ4の構成を示す底面図で、図6に示した第2実施例のパッケージ2の長手方向両側に4つのダミー電極16、17、18、19を付加したパッケージである。各ダミー電極16、17、18、19はダミー電極ベース16a、17a、18a、19aと、段差部16b、17b、18b、19bとからなり、段差部16b〜19bはダミー電極ベース16a〜19aの面上でパッケージ4の中央部寄りに形成される。パッケージに複数のダミー電極16〜19を設けることにより、パッケージと回路基板との接続強度がさらに大きくなる。
【0033】
図1に示した第1実施例では、パッケージ1の凹部に形成した電極パッド15上に音叉型水晶振動素子を搭載した例を示したが、図6、7、8に示した第2〜4実施例のパッケージ2、3、4の凹部に圧電振動素子を搭載し、表面実装型の圧電振動子を構成してもよい。
端子電極に凸部を有するパッケージが特許文献2に開示されているが、本発明に係るパッケージの実装端子の構成は大きな歪みが加わる、パッケージの中心から遠い領域と、パッケージの中央部寄りを除く実装端子の周縁部の領域の半田の厚さを厚くするような実装端子の構造とする点が異なる。
【符号の説明】
【0034】
1、2、3、4…パッケージ、6…パッケージ本体、10、11…実装端子、10a、11a、12a、13a…実装端子ベース、10b、11b、12b、13b、16b、17b、18b、19b…段差部(バンプ)、16、17、18、19…ダミー電極、16a、17a、18a、19a…ダミー電極ベース、14…接続電極、15…電極パッド、20…電子部品、25…回路基板、26…ランド電極、28…半田、30…蓋部材、C’、C1、C2、C3、C4…キャスタレーション、A、B、C、D、E…歪みの大きな領域、40…測定用パターン、41a、41b…ランド電極、42a、42b…配線導体、43a、43b…測定用の端子電極、45…基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のパッケージ本体と、前記パッケージ本体を気密封止する蓋部材と、からなる電子部品用パッケージであって、
前記パッケージ本体の内部に形成された電極パッドと、
前記パッケージ本体の底面のうち少なくとも四隅の近傍に形成され、かつ実装面に段差部を有する実装端子と、
前記パッドと前記実装端子とを電気的に接続する複数の接続電極と、を備えたことを特徴とする電子部品用パッケージ。
【請求項2】
前記パッケージ本体の前記四隅にキャスタレーションを形成し、該キャスタレーションにそれぞれ前記接続電極を形成したことを特徴とする請求項1に記載の電子部品用パッケージ。
【請求項3】
前記段差部は、前記実装端子を半田により回路基板に接合したときに、前記実装端子上において前記四隅の周辺に形成された半田が厚くなるような形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品用パッケージ。
【請求項4】
前記パッケージに一対のダミー電極を形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子部品用パッケージ。
【請求項5】
前記一対のダミー電極を複数形成したことを特徴とする請求項4に記載の電子部品用パッケージ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の電子部品用パッケージを備え、前記パッケージ本体の前記電極パッド上に圧電振動片が搭載されたことを特徴とする圧電振動子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−65875(P2013−65875A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−252153(P2012−252153)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【分割の表示】特願2008−252604(P2008−252604)の分割
【原出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】