説明

電子部品用樹脂組成物、その製造方法および電子部品

【課題】粒径を増大させることなく、不純物質が有効に低減された誘電性セラミックスを含有する電子部品用樹脂組成物、その製造方法および電子部品を提供すること。
【解決手段】アルカリ土類金属の炭酸塩と酸化チタンとの固相反応により誘電性セラミックスを合成する工程;該誘電性セラミックスを酸洗浄する工程;および酸洗浄された誘電性セラミックスを樹脂中に配合させる工程を含む電子部品用樹脂組成物の製造方法、該方法で製造された電子部品用樹脂組成物、および該樹脂組成物を用いて形成された電子部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品用樹脂組成物、その製造方法および電子部品に関する。特に本発明は、高周波用途(特にマイクロ波〜ミリ波(1GHz〜サブTHz))に適した電子部品用樹脂組成物、その製造方法および電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品、特に高周波用途の電子部品には形状を小さくするために高誘電性樹脂組成物が使われている。従来では、高誘電性樹脂組成物を実現する為に、樹脂中に比誘電率の高い誘電性セラミックスをブレンドする方法が採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、熱可塑性樹脂に平均粒径0.5〜30μmのチタン酸バリウムおよび耐熱性繊維を溶融配合することが提案されている。
また例えば、特許文献2では、射出成形可能な合成樹脂および繊維状チタン酸アルカリ土類金属からなる樹脂組成物が提案されている。
また例えば、特許文献3では、合成樹脂中にチタン酸アルカリ土類金属の繊維状物を含有させた樹脂組成物が提案されている。
また例えば、特許文献4では、焼結により得た多孔質の無機誘電体粒子をポリフェニレンオキサイド系組成物に分散させた複合誘電体が提案されている。
【0004】
上記特許文献において、誘電性セラミックスは、所定の原料を焼結、焼成あるいは加熱処理して合成される。
【特許文献1】特許第2602257号
【特許文献2】特許第2814288号
【特許文献3】特許第2873541号
【特許文献4】特許第2802172号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献1〜3で得られた樹脂組成物あるいは成形体は繊維状の誘電体を用いているため誘電特性が不安定になるという問題があった。一方、特許文献4では機械的強度を高めにくいという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の発明者等は誘電性セラミックスに微量で含まれるその原料(特に、炭酸塩)等の不純物質に着目し、合成時の温度、時間等の加熱条件を強めて不純物質をより低減させることを試みた。従来の工業的手法で合成された誘電性セラミックスの不純物質の含有量を示す強熱減量は0.35〜1.00%程度である。これは、出発原料である炭酸塩の未反応分と、炭酸塩を理論量よりも増量して仕込んだ場合の残存分との総和であるものと考えられる。
【0007】
しかしながら、加熱条件を強めると、誘電性セラミック粉体が粒子間で結合し、成長するため、所定の粒度分布が得られないという問題が生じた。粒径が大きくなると、樹脂中への誘電性セラミックスの配合量限界が低くなったり、均一に分散させ難くなったりする。
【0008】
本発明は、粒径を増大させることなく、不純物質が有効に低減された誘電性セラミックスを含有する電子部品用樹脂組成物、その製造方法および電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
アルカリ土類金属の炭酸塩と酸化チタンとの固相反応により誘電性セラミックスを合成する工程;
該誘電性セラミックスを酸洗浄する工程;および
酸洗浄された誘電性セラミックスを樹脂中に配合させる工程
を含む電子部品用樹脂組成物の製造方法、該方法で製造された電子部品用樹脂組成物、および該樹脂組成物を用いて形成された電子部品に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粒径を増大させることなく、不純物質が有効に低減された誘電性セラミックスを含有する電子部品用樹脂組成物、その製造方法および電子部品を提供できる。そのため、得られる樹脂組成物あるいは電子部品は、安定な誘電特性を得ることができ、例えば比誘電率を比較的高く設定でき、かつ誘電正接を比較的低く抑えることができる。しかも、曲げ特性等の機械的特性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の電子部品用樹脂組成物の製造方法は、
アルカリ土類金属の炭酸塩と酸化チタンの固相反応により誘電性セラミックスを合成する工程;
該誘電性セラミックスを酸洗浄する工程;および
酸洗浄された誘電性セラミックスを樹脂中に配合させる工程
を含むことを特徴とする。
【0012】
以下、各工程について詳しく説明する。
(合成工程)
誘電性セラミックスの合成工程では、アルカリ土類金属の炭酸塩と酸化チタンとの固相反応を行う。詳しくは、以下の反応式に基づいて、ABOで表現されるペロブスカイト系の結晶構造を持つ誘電性セラミックスを合成する。本工程で合成される誘電性セラミックスは上記BサイトがTiである、チタン酸系のものである。
A・CO+TiO→A・TiO+CO
式中、Aはアルカリ土類金属であり、例えば、Ca,Sr,Baなどが挙げられる。
【0013】
誘電性セラミックスはAとしてアルカリ土類金属の1種類または2種類以上を含有するものであってもよい。
誘電性セラミックスの具体例として、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム等が挙げられる。誘電性セラミックスは、温度変化に対する誘電特性の変化を抑制する観点から、常誘電体セラミックスであることが好ましく、そのような常誘電体セラミックスの代表例として、チタン酸ストロンチウムやチタン酸カルシウムが挙げられる。より好ましくはチタン酸ストロンチウムである。
【0014】
本工程において、具体的には、まずアルカリ土類金属の炭酸塩粉末と酸化チタン粉末とを、前者のモル比が後者より少し多くなるように用い、これらの原料粉末を水とともに混合し、混合物を成形する。次いで、成形物を加熱し、高温状態を維持することにより、上記反応式に基づいて固相反応を進行させ、誘電性セラミックスを得る(焼成)。冷却後は通常、解砕および粉砕を行う。
【0015】
加熱温度(焼成温度)およびその保持時間(焼成時間)は、原料が残留しても後述の酸洗浄によって除去されるため、比較的弱い条件に設定されてよい。そのため、誘電性セラミックスは比較的小さい平均粒径で合成される。
加熱温度は通常、900〜1,600℃、特に1,000〜1,300℃である。
加熱温度の保持時間は通常、1〜12時間、特に1〜3時間である。
得られる誘電性セラミックスの平均粒径は、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではなく、通常は0.01〜100μm、特に0.1〜10μmである。本発明においては、不純物質の除去処理を行っても、そのような誘電性セラミックスの平均粒径が、樹脂組成物あるいは成形体中において維持される。
【0016】
本明細書中、平均粒径は、メジアン径であって、粒度分布測定装置LA−700((株)堀場製作所社製)によって測定できる。
【0017】
本発明においては、本工程で合成された誘電性セラミックスとして、市販品を使用することもできる。市販品を使用する場合、本工程は省略することができる。
【0018】
例えば、チタン酸ストロンチウムはST(共立マテリアル(株)社製)、ST−03(堺化学工業(株)社製)として入手可能である。
また例えば、チタン酸バリウムはBT−S(共立マテリアル(株)社製)、BT−03(堺化学工業(株)社製)として入手可能である。
また例えば、チタン酸カルシウムはCT(共立マテリアル(株)社製)、CT−03(堺化学工業(株)社製)として入手可能である。
【0019】
市販品がアルカリ土類金属の炭酸塩と酸化チタンとの固相反応により合成されたものであることは、X線回折装置RINT2500V((株)リガク社製)によって判別できる。
【0020】
(酸洗浄工程)
酸洗浄工程では、酸性洗浄液を用いて誘電性セラミックを洗浄する。これによって、誘電性セラミックスの粒径を増大させることなく、誘電性セラミックスに残留する原料等の不純物質を除去できる。
【0021】
洗浄方法は誘電性セラミックス粒子表面と酸性洗浄液との接触が確保される限り特に制限されず、例えば、酸性洗浄液中に誘電性セラミックスを添加し、撹拌混合する。
洗浄液は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等の酸性物質の水溶液が使用され、そのpHは6以下、好ましくは4.5〜6に調整される。
【0022】
誘電性セラミックスの添加量および撹拌時間は、不純物質の除去が達成される限り特に制限されない。
誘電性セラミックスの添加量は、通常、洗浄液に対して5〜40重量%、好ましくは10〜20重量%である。
撹拌時間は、通常、5分以上、好ましくは5〜30分である。
【0023】
洗浄液温度は特に制限されず、室温であってもよいが、不純物質をより有効に除去する観点から、35℃以上、特に35〜50℃であることが好ましい。
【0024】
本工程の酸洗浄によって誘電性セラミックスの不純物質含量は0.3重量%以下、特に0.10〜0.25重量%となる。不純物質含量が多すぎると、得られる樹脂組成物あるいは成形体の誘電特性が不安定になり、また曲げ特性等の機械的特性が低下する。不純物質は主に原料であるアルカリ土類金属の炭酸塩であり、当該塩が周囲雰囲気の水分と反応して、誘電特性が不安定になるものと考えられる。
【0025】
本明細書中、不純物質含量とは、「分析化学用語(基礎部門)」(JIS K0211:2005)中の強熱減量を意味するものとする。強熱減量は、左記規格では「物質を強熱したときの質量の減少量」と定義されている。強熱減量の測定は、例えば「アルミナ粉末−第3部:化学分析方法−2:強熱減量の定量」(JIS R9301−3−2:1999)などを参考にして実施できる。本検討では、強熱温度は800〜1,200℃とした。
【0026】
不純物質としての上記炭酸塩が強熱により減量する現象は以下の反応式に基づくものと考えられる。
A・CO→A・O+CO
式中、Aは上記式におけるAと同様である。
【0027】
誘電性セラミックスに対しては、酸洗浄後、所望により表面処理してもよい。これによって、高湿環境下での誘電特性をより有効に向上させることができる。
表面処理は、酸洗浄された誘電性セラミックスと表面処理剤とを混合しながら加温することによって行う。表面処理剤は電子部品に含有される無機化合物(誘電フィラー)の分野で公知のものが使用され、例えば、いわゆるシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤、脂肪酸等が挙げられる。好ましくはチタネート系カップリング剤が使用される。表面処理剤の使用量は特に制限されるものではなく、通常は誘電性セラミックスに対して0.1〜2重量%が好適である。
【0028】
(配合工程)
配合工程では、上記で得られた誘電性セラミックスを樹脂中に配合させる。
配合方法は、所定の成分を単に混合するブレンド混合法であってもよいし、または所定の成分を溶融混練する溶融法であってもよい。
【0029】
樹脂は、電子部品の分野でマトリックス樹脂として使用されているいかなる樹脂であってよく、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等が使用可能である。
熱可塑性樹脂の具体例として、例えば、ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」という)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、シンジオタクティックポリスチレン(SPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のポリオレフィン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);液晶ポリマー(LCP);変性ポリフェニレンエーテル(m−PPO);ポリエーテルサルフォン(PES);アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS);ポリアセタール(POM);ポリアミド(PA)およびそれらの混合物が挙げられる。
【0030】
熱硬化性樹脂およびUV硬化性樹脂の具体例として、例えば、エポキシ、フェノール、ウレタン、メラミン、シリコーン、イミドおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
上記樹脂の中でも、樹脂組成物の成形性の観点からは、熱可塑性樹脂、特にポリエステル系樹脂、PC、PPS)が好ましく使用される。
熱可塑性樹脂のメルトボリュームフローレート(MVR)は25〜60cm/10min.、特に35〜50cm/10min.が好適である。
MVRはISO1133に従って温度250℃、荷重2.16kgにて測定された値を用いている。
【0032】
PBTは市販品として容易に入手可能である。PBTの市販品の具体例として、ノバデュラン5010N6、ジュラネックス2016、プラナックBT−2200等が挙げられる。
PCは市販品として入手可能である。PCの市販品の具体例として、ユーピロンS3000、パンライトL1225Y等が挙げられる。
PPSは市販品として入手可能である。PPSの市販品の具体例として、DIC−PPSFZ1140、フォートロン1140A等が挙げられる。
【0033】
誘電性セラミックスの配合量は、所望の比誘電率に依存して決定されるため、一概に規定できるものではないが、電子部品を得る場合には通常は、樹脂と誘電性セラミックスとの合計量に対して10〜80重量%、特に40〜75重量%が好ましい。
【0034】
樹脂組成物には、上記した樹脂および誘電性セラミックスの他に、電子部品原料の分野で公知のいわゆる強化剤、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、加水分解抑制剤、滑剤等の添加剤が、本発明の目的が達成される範囲で含有されてもよい。
【0035】
以上の方法で製造された樹脂組成物あるいは当該樹脂組成物を用いて形成された電子部品は、上記した平均粒径および不純物質含量を有する誘電性セラミックスが樹脂中に均一に分散されている。
【0036】
電子部品は上記樹脂組成物用いて各種方法によって製造可能である。
例えば、上記樹脂組成物を溶融混練し、樹脂組成物ペレットを得る。次いで、ペレットを、射出成形法、押出成形法、トランスファ成形法等によって所定の形状に成形し、冷却して、電子部品を得る。
【0037】
本発明の電子部品は高比誘電率6〜20を達成することが好ましい。比誘電率は誘電性セラミックスの配合量を調整することによって制御できる。例えば、誘電性セラミックス配合量を増量すると、比誘電率は増加し、一方で減量すると、比誘電率は低減する。電子部品、特に高周波用途のものでは、誘電率は大きいほど、波長短縮効果によりアンテナ等の電子製品として小型化に有利である。
【実施例】
【0038】
(チタン酸ストロンチウムA(ST−A))
チタン酸ストロンチウム(共立マテリアル(株)製;ST、平均粒径0.5μm)1,000gを、塩酸水溶液(pH5.5、40℃)9,000gに添加し、10分間撹拌混合して、チタン酸ストロンチウムAを得た。乾燥後、チタン酸ストロンチウムAの不純物質含量を測定したところ、0.24重量%であった。平均粒径は0.5μmであった。
【0039】
(チタン酸ストロンチウムB(ST−B))
チタン酸ストロンチウム(共立マテリアル(株)製;ST、平均粒径0.5μm)をそのままチタン酸ストロンチウムBとして用いた。チタン酸ストロンチウムBの不純物質含量を測定したところ、0.40重量%であった。
【0040】
(チタン酸カルシウムA(CT−A))
チタン酸カルシウム(共立マテリアル(株)製;CT、平均粒径0.5μm)1,000gを、塩酸水溶液(pH5.5、40℃)9,000gに添加し、10分間撹拌混合して、チタン酸カルシウムAを得た。乾燥後、チタン酸カルシウムAの不純物質含量を測定したところ、0.24重量%であった。平均粒径は0.5μmであった。
【0041】
(チタン酸カルシウムB(CT−B))
チタン酸カルシウム(共立マテリアル(株)製;CT、平均粒径0.5μm)をそのままチタン酸カルシウムBとして用いた。チタン酸カルシウムBの不純物質含量を測定したところ、0.40重量%であった。
【0042】
(実施例1)
120℃8時間熱風乾燥したポリブチレンテレフタレート(PBT:三菱エンジニアリングプラスチック(株)製;ノバデュラン5010N6、MVR40cm/10min.)を樹脂組成物全量に対し35重量%、およびチタン酸ストロンチウムAを樹脂組成物全量に対し65重量%を混合し、混合物をスクリュー径30mmのベント付き2軸押出し機を用いて真空に引きながらシリンダー温度260℃、回転数200rpm、吐出量25Kg/hにて溶融混練した。熱処理時間は5分であった。ダイスから吐出したストランドを冷却水に通し、切断して樹脂組成物のペレットを作成した。
【0043】
(実施例2〜7および比較例1〜7)
各成分を表1または表2に記載の配合比で用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、樹脂組成物のペレットを作成した。
【0044】
(評価)
実施例/比較例で得られたペレットを用いて評価を行った。
・比誘電率および誘電正接
ペレットから、型締め力40tの成形機を用いて樹脂温度245℃にて約89mm×89mm×厚さ2mmの平板を成形した。この平板を任意の方向で切削加工し、85mm長×1.7mm×1.7mmの試験片を作成した。JIS D 570に定められる吸水率試験に基づいて、恒温恒湿槽内に温度85℃湿度85%の条件で200時間保管した。その後、試験片の3GHz時の比誘電率及び誘電正接を、空洞共振器摂動法誘電率測定装置(関東電子(株)社製)及びネットワークアナライザ(8722ES;アジレント・テクノロジーズ社製)を用いて測定した。
【0045】
・曲げ歪みおよび破断応力
JIS K7171に定められる「プラスチック−曲げ特性の試験方法」に基づいて試験片を作成し、曲げ歪みおよび破断応力を測定した。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
CS;針状フィラー(ガラスファイバー,CS,オーウェンスコーニング社製)
PC;ポリカーボネート(PC,ユーピロン,三菱エンジニアリングプラスチックス社製)
PPS;ポリフェニレンスルフィド(PPS,フォートロン,ポリプラスチックス社製)
曲げ歪みおよび破断応力は大きいほど好ましい。
【0049】
以上の結果から、誘電性セラミックス内の不純物質成分が少ないほど、比誘電率は高く、誘電正接は低いという結果が得られた。一方、曲げ歪み、破断応力に関しては、比較例よりも実施例の方が大きい値を示した。これによって、所望の誘電特性を保持させつつ、曲げ特性を高めるためには、誘電性セラミックス粒子の適切な処理方法が必要であることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の方法により得られた樹脂組成物は、電子部品、特に高周波用途の電子部品への適用が有効である。特に、マイクロ波帯、ミリ波帯で用いられる高周波回路基板、アンテナ、フィルタ、コネクタ、スイッチ、リレーなどの高周波部品への適用が有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ土類金属の炭酸塩と酸化チタンとの固相反応により誘電性セラミックスを合成する工程;
該誘電性セラミックスを酸洗浄する工程;および
酸洗浄された誘電性セラミックスを樹脂中に配合させる工程
を含む電子部品用樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
酸洗浄工程の洗浄条件が以下の通りである請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法;
(1)洗浄液がpH6以下である;
(2)洗浄液に対する誘電性セラミックスの量が10〜20重量%である;
(3)撹拌時間が5分以上である。
【請求項3】
酸洗浄工程の洗浄液温度が35℃以上である請求項1または2に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
酸洗浄された誘電性セラミックスの不純物質含量が0.3重量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
誘電性セラミックスが常誘電体セラミックスである請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
常誘電体セラミックスがチタン酸ストロンチウムである請求項5に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
配合工程で配合される樹脂がポリエステル系樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法で製造された電子部品用樹脂組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の樹脂組成物を用いて形成された電子部品。

【公開番号】特開2009−29866(P2009−29866A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192954(P2007−192954)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】