説明

電子部品素子の接続構造

【課題】その目的は、電子部品素子の接続強度を維持すると共に、端子間における短絡を防止することができる。
【解決手段】本発明の圧電デバイスは、圧電振動素子と、該圧電振動素子と接続して発振回路を構成する集積回路素子並びに電子部品素子と、前記圧電振動素子及び前記集積回路素子並びに前記電子部品素子を搭載する為の容器体とからなる圧電デバイスにおいて、前記電子部品素子を搭載するために、前記容器体に設けられた搭載パターンが、該電子部品素子の側面とのみ接続されていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用通信機器等の電子機器に用いられる圧電デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる従来の圧電デバイスとしては、水晶基板の両主面に振動電極が形成された水晶振動素子22と、該水晶振動素子22と接続して発振回路を構成する集積回路素子23及び電子部品素子24と、前記水晶振動素子22及び前記集積回路素子23、電子部品素子24を収容する容器体21を封止するための蓋体25から成る。
このとき、図6に示すように、電子部品素子24の接続構造は、前記電子部品素子24を搭載するための搭載パターンが、前記電子部品素子24の外部電極面に対応する箇所に設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−075120号公報 なお出願人は前記した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を、本件出願時までに発見するに至らなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子部品素子の接続構造において、鉛フリー半田の使用により客先でのリフロー実装温度が高くなる傾向がみられ、従来の圧電デバイスにおいては、前記電子部品素子は前記容器体の搭載パターンと導電性接着剤により機械的及び電気的に接続されている場合、前記電子部品素子の外部電極材が溶融し、前記搭載パターンに接触している箇所から溶融した前記外部電極材が流れ、すでに硬化されている導電性接着剤と前記搭載パターンの間に流れ出た前記外部電極材分の間隙ができるので、接続強度が劣化してしまうといった欠点があった。
【0005】
また、前記電子部品素子の接続構造において、外部電極材が溶融し、流れ出した外部電極材が外部電極間で接触し、短絡を起こしてしまうといった欠点があった。
【0006】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、前記電子部品素子の接続強度を維持すると共に、外部電極間における短絡を防止することができる電子部品素子の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品素子の接続構造において、配線基板は、電子部品素子を搭載するための搭載パターンが形成されており、前記電子部品素子を前記搭載パターンと接続されてなる電子部品素子の接続構造において、前記電子部品素子を搭載するために、前記配線基板に設けられた搭載パターンが、該電子部品素子の側面とのみ接続されており、前記搭載パターン間に凸部が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の電子部品素子の接続構造において、前記搭載パターン間に設けられている凸部が絶縁体膜で形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の圧電デバイスによれば、前記電子部品素子を搭載するために、前記配線基板に設けられた搭載パターンが、前記電子部品素子の接続電極面の対向する箇所には設けられておらず、該電子部品素子の側面とのみ接続されており、前記搭載パターン間に凸部が設けられていることによって、母基板に実装する際に鉛フリー半田を用いることにより、客先の使用温度が高くなり、前記電子部品素子の外部電極材が溶融しても、前記搭載パターンに接触している箇所がないので、溶融した前記外部電極材が流れ、硬化した導電性接着剤との間に間隙ができることを防止し、接続強度を維持することが可能となる。
【0010】
また、電子部品素子の外部電極材に用いられた外部電極材が溶融し、外部電極材が流れ出したとしても、前記搭載パターン間に凸部が設けられていることによって、前記凸部で前記電子部品素子から流れ出た外部電極材が塞き止められることになるので、外部電極間に外部電極材が付着することを防止し、外部電極間の短絡を防ぐことが可能となる。
【0011】
更に本発明の圧電デバイスによれば、前記搭載パターン間に絶縁体膜を形成することによって、前記絶縁体膜で前記電子部品素子から流れ出た外部電極材が塞き止められることになるので、端子間に外部電極材が付着することを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る圧電デバイスの斜視図、図2は図1の圧電デバイスの断面図であり、これらの図に示す圧電デバイスは、大略的に、容器体1と、圧電振動素子としての水晶振動素子5と、発振回路および周波数調整用回路としての集積回路素子6と電子部品素子7で構成されている。
【0013】
圧電デバイスの1つとして、電圧制御水晶発振器(VCXO)が挙げられる。電圧制御水晶発振器は、外部制御電圧により、出力周波数を可変する機能を付加したものであり、水晶振動素子5に直列に可変容量ダイオードを接続し、容量を変化させることによって周波数を可変させる。
【0014】
容器体1は、例えば、ガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料から成る容器体1と、42アロイやコバール,リン青銅等の金属から成る蓋体4とから成り、容器体1の外周壁の上面に、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等のメタライズ層を形成し、メタライズ層の上面には、ニッケル(Ni)、金(Au)をメッキした封止用導体パターン3が設けられ、封止用導体パターン3の上面に蓋体4を載置・固定させることによって容器体1が構成されており、容器体1の内側に形成された第1のキャビティ8に水晶振動素子5及び集積回路素子6が実装され、第2のキャビティ9には、電子部品素子7が実装されている。
【0015】
一方、容器体1の内部に収容される水晶振動素子5は、所定の結晶軸でカットした水晶片の両主面に一対の振動電極を被着・形成してなり、外部からの変動電圧が一対の励振用電極を介して水晶片に印加されると、所定の周波数で厚みすべり振動を起こす。
また、水晶片には、凹部が形成されており、凹部には、励振用電極が形成されている逆メサ型の水晶振動素子5と言うものがあり、高周波用として使用されている。
このような形状に加工した水晶片に、圧電振動領域部の凹部に励振用電極と、この励振用電極から接続部を介して引き出した引出電極と、接続部の外周辺のうち一辺の表裏縁部近傍に形成した引出電極と電気的に接続した容器接続用電極とを形成することで水晶振動素子5を形成している。
【0016】
水晶振動素子5は、一対の振動電極に対し導電性接着剤10を介して基板上面の対応する搭載パッドに電気的に接続させることによって容器体1の上面に搭載され、これによって水晶振動素子5と容器体1との電気的接続及び機械的接続が同時になされる。
【0017】
導電性接着剤10は、シリコーン樹脂の中に導電性フィラーが含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケル鉄(NiFe)、またはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。
【0018】
また蓋体4は従来周知の金属加工法を採用し、42アロイ等の金属を所定形状に成形することによって製作され、蓋体4の上面には、ニッケル(Ni)層が形成され、更にニッケル(Ni)層の上面の封止用導体パターン3に対応する箇所に封止部材2である金錫(Au−Sn)層が形成される。金錫(Au−Sn)層の厚みは、10μm〜40μmである。例えば、成分比率が、金が80%、錫が20%のものが使用されている。
また、このような封止部材2は、封止用導体パターン3の凹凸を緩和し、気密性の低下を防ぐことが可能となる。また、封止部材2が薄すぎると当該機能を充分に発揮しない。
【0019】
集積回路素子6は、容器体1の上面に形成されている電極と上面に形成された電極とをワイヤーボンディング法等で接続しているものであり、その回路形成面に、発振出力を生成する発振回路等が設けられており、発振回路で生成された発振出力は、例えば、クロック信号等の基準信号として利用される。
【0020】
電子部品素子7は、可変容量ダイオード及びチップ部品等であり、発振周波数を調整するものである。可変容量ダイオードは、外部制御電圧を印加することによって発振周波数を調整する役割を担うほか、インダクタ素子は水晶振動素子5と直列に接続すると周波数の調整範囲を広げる役割があり、他にコンデンサ素子、抵抗素子等も付加することが考えられる。
【0021】
このような電子部品素子7を容器体1の第2のキャビティ9に搭載するために、搭載パターン12を形成し、導電性接着剤10にて、電子部品素子7を搭載パターン12上に接続する。
この際、図3に示すように、電子部品素子7を搭載するために、容器体1に設けられた搭載パターン12が、電子部品素子7の外部電極材14の対向面には設けられておらず、電子部品素子7の側面とのみ接続されていることによって、母基板に実装する際に鉛フリー半田を用いることにより、客先の使用温度が高くなり、電子部品素子7の外部電極材14が溶融しても、搭載パターン12に接触している箇所がないので、溶融した外部電極材14が流れ、硬化した導電性接着剤10との間に間隙ができることを防止し、接続強度を維持することが可能となる。
【0022】
また、図4と図5に示すように、搭載パターン間に凸部13が設けられていることによって、電子部品素子7の外部電極材に用いられた外部電極材14が溶融し、外部電極材14が流れ出したとしても、凸部13で電子部品素子7から流れ出た外部電極材14が塞き止められることになるので、外部電極間に外部電極材14が付着することを防止し、外部電極間の短絡を防ぐことが可能となる。ここで、図4(a)は搭載パターンの一例であり、図4(b)は搭載パターンに電子部品素子7を実装したときの概念図である。
【0023】
更に図5に示すように、搭載パターン間に絶縁体膜15を形成することによって、絶縁体膜15で電子部品素子7から流れ出た外部電極材14が塞き止められることになるので、外部電極間に外部電極材14が付着することを防止することが可能となる。
絶縁体膜15は、アルミナコート等を導体パターン間に塗布または、印刷することによって形成するものである。
【0024】
ここで容器体1の蓋体4を、容器体1の配線導体を介して容器体下面に配されるグランド端子用の外部端子11に接続させておけば、その使用時、蓋体4がアースされることによりシールド機能が付与されることとなるため、水晶振動素子5や後述する集積回路素子6を外部からの不要な電気的作用より良好に保護することができる。
従って、容器体1の蓋体4は、グランド端子用の外部端子11に接続させておくことが好ましい。
【0025】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
上述した実施形態においては、圧電振動素子として水晶振動素子5を用いるようにしたが、他の圧電振動素子、例えばSAW(弾性表面波)素子等を用いて圧電発振器を構成する場合にも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における一実施形態である圧電デバイスの分解斜視図である。
【図2】本発明における一実施形態である圧電デバイスの断面図である。
【図3】本発明における一実施形態である圧電デバイスの搭載パターンを表す上面図である。
【図4】本発明における他の実施形態である圧電デバイスの搭載パターンを表す上面図である。
【図5】本発明における他の実施形態である圧電デバイスの搭載パターンを表す断面図である。
【図6】従来における圧電デバイスの第2のキャビティに形成されている搭載パターンを表す上面図である。
【符号の説明】
【0027】
1・・・・容器体
2・・・・封止部材
3・・・・封止用導体パターン
4・・・・蓋体
5・・・・水晶振動素子(圧電振動素子)
6・・・・集積回路素子
7・・・・電子部品素子
8・・・・第1のキャビティ
9・・・・第2のキャビティ
10・・・導電性接着剤
11・・・外部端子
12・・・搭載パターン
13・・・凸部
14・・・外部電極材
15・・・絶縁性膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板は、電子部品素子を搭載するための搭載パターンが形成されており、前記電子部品素子を前記搭載パターンと接続されてなる電子部品素子の接続構造において、
前記電子部品素子を搭載するために、前記配線基板に設けられた搭載パターンが、該電子部品素子の側面とのみ接続されており、前記搭載パターン間に凸部が設けられていることを特徴とする電子部品素子の接続構造。
【請求項2】
前記搭載パターン間に設けられている凸部が絶縁体膜で形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品素子の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−299946(P2007−299946A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126941(P2006−126941)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】