説明

電子部品装置及びリードフレーム

【課題】部品点数を低減でき、コストを低減することができ、かつ外部端子の配置の設計の自由度を大幅に高め得る電子部品装置を提供する。
【解決手段】上方に開いた開口を有する樹脂モールド体からなるパッケージ本体2内に、金属からなりかつ枠状のシールドケース13が配置されており、該シールドケース13内からシールドケース13外に延びるようにホット側端子14,15及びグラウンド端子16が配置されており、該ホット側端子14,15及びグラウンド端子16がシールドケース13と共にインサート成形により樹脂モールド体に埋設されており、シールドケース13内に配置された電子部品素子がホット側端子14,15及びグラウンド端子16に接続されており、グラウンド端子16とは別に、シールドケース13をグラウンド電位に接続するためのシールド端子13a〜13dがシールドケース13に連ねられている、電子部品装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば赤外線センサ素子などの電子部品素子を収納してなる電子部品装置に関し、より詳細には、金属からなるシールドケース及び外部と接続するための金属端子が樹脂モールド体にインサート成形により設けられているパッケージ本体を備える電子部品装置及び該電子部品装置の製造に用いられるリードフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品素子のパッケージを構成するためにインサート成形技術が広く用いられている。例えば下記の特許文献1には、電子部品素子としての赤外線素子用のパッケージをインサート成形法により形成してなる構造が開示されている。
【0003】
図5は、特許文献1に記載の電子部品装置を下方から見た斜視図である。図6は、特許文献1に記載の電子部品装置の正面断面図である。電子部品装置1001は、樹脂モールド体からなるパッケージ本体1002を有する。パッケージ本体1002には、インサート成形によりシールドケース1003が埋設されている。
【0004】
製造に際しては、図7に示すように、リードフレーム1004上にリードフレーム1005を近づけ、さらに重ねた状態で、インサート成形を行う。それによって、パッケージ本体1002内にシールドケース1003が埋設されている構造を得る。図7において、リードフレーム1004には、深絞り加工により形成されたシールドケース1003が連ねられている。シールドケース1003は、上方に開いた開口を有する略直方体状の形状を有する。図7では、シールドケース1003の下面1003a側が図示されている。シールドケース1003の下面1003aには、図5に示されているように、切り起こしにより形成されたグラウンド端子1006が形成されている。また、下面1003aには、複数の貫通孔が形成されている。該貫通孔に至るようにかつシールドケース1003に接触しないようにホット側端子1007,1007が配置されている。ホット側端子1007,1007は、図7のリードフレーム1005に設けられている。
【0005】
さらに、図5及び図6に示すように、シールドケース1003の下面1003aから内側に切り起こすことにより、グラウンド端子1008が形成されている。
【0006】
インサート成形に際しては、図7に示すように、リードフレーム1004の上方からリードフレーム1005を近接させ、ホット側端子1007,1007を下面1003aの上記貫通孔内に挿入し、位置決めする。その状態でインサート成形を行い、パッケージ本体1002を形成する。
【0007】
図6に示すように、上記樹脂モールド体からなるパッケージ本体1002は、上方に開口1002aを有する。開口1002a内に赤外線センサ素子Sが収納されている。赤外線センサ素子Sを収納した後、シールド機能をもつ光学フィルタ1009により開口1002aが閉成されている。
【0008】
赤外線センサ素子Sのホット側端子電極が、上記ホット側端子1007,1007に電気的に接続され、グラウンド電位側端子電極が上記グラウンド端子1008に電気的に接続されている。従って、赤外線センサ素子Sのグラウンド電位に接続される端子電極は、グラウンド端子1008を介してシールドケース1003に電気的に接続されている。シールドケース1003は、前述したグラウンド端子1006,1006を有する。
【0009】
回路基板等に電子部品装置1001を実装する場合、図5に示す状態から電子部品装置1001を上下反転させる。そして、グラウンド端子1006,1006を、回路基板上のグラウンド電位に接続される電極に電気的に接続する。また、ホット側端子1007,1007を、回路基板上のホット側電位に接続される電極に電気的に接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2006/126441
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記電子部品装置1001では、上方に開口を有する略直方体状のシールドケース1003を深絞り加工により形成しなければならなかった。加えて、シールドケース1003を構成するリードフレーム1004と、ホット側端子1007,1007が設けられているリードフレーム1005とを用意しなければならなかった。そのため、部品点数が多かった。また、リードフレーム1004に対し、リードフレーム1005を位置合わせし、その状態で金型内に配置しなければならなかった。従って、製造工程が複雑であった。
【0012】
加えて、上記赤外線センサ素子Sに接続されているグラウンド端子1008はシールドケース1003に一体に形成されていた。そのため、赤外線センサ素子Sのグラウンド電位に接続されるグラウンド側端子電極の位置に応じて、上記グラウンド端子1008を設けねばならなかった。従って、設計の自由度が低いという問題があった。
【0013】
さらに、電子部品装置では、外部に電気的に接続するための複数の外部端子の対称性に優れていることが望ましい。対称性が損なわれると、小型化の進展にともなって、リフロー半田付け等においてセルフアライメント性が低下するという問題があった。また、はなはだしき場合には、電子部品装置の所望でない起立現象、すなわち、ツームストーン現象が生じることがあった。
【0014】
電子部品装置1001では、上記シールド端子1006,1006と、ホット側端子1007,1007を対称に配置しているが、全体としての対称性を損なわないためにも、上記グラウンド端子1008の位置が制約されるという問題もあった。
【0015】
本発明の目的は、複雑な形状の部品を用意する必要がなく、安価に提供することができ、かつグラウンド電位に接続される端子の配置の設計自由度を高めることができる、電子部品装置及び該電子部品装置の製造に用いられるリードフレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る電子部品装置は、上方に開いた開口を有する樹脂モールド体からなるパッケージ本体を備える。このパッケージ本体の樹脂モールド体と共にインサート成形することにより、金属からなりかつ枠状のシールドケースが設けられている。また、上記パッケージ本体内に電子部品素子が配置されている。電子部品素子は、ホット側端子電極と、グラウンド電位に接続されているグラウンド側端子電極とを有する。さらに、パッケージ本体と共にインサート成形によりホット側端子が配置されている。このホット側端子は、ホット側端子電極に電気的に接続されている。ホット側端子は、上記パッケージ本体の外表面に導出されている。また、パッケージ本体と共にインサート成形によりグラウンド端子が設けられている。グラウンド端子は、電子部品素子のグラウンド側端子電極に電気的に接続されており、かつパッケージ本体の外表面に導出されている。また、本発明に係る電子部品装置は、上記シールドケースに連ねられたシールド端子を備えている。シールド端子は、パッケージ本体の外表面に導出されている。
【0017】
本発明に係るある特定の局面では、前記シールドケースが、第1,第2,第3及び第4の側面部を有する矩形枠状の形状を有し、第1の側面部と第3の側面部とが対向しており、第2の側面部と第4の側面部とが対向している。この場合には、シールドケースが略直方体状の形状を有するため、シールドケースの対称性を高めることができる。
【0018】
本発明に係る電子部品装置の他の特定の局面では、前記ホット側端子及び前記グラウンド端子が、前記シールドケースの第1〜第4の側面部の下端よりも下方においてシールドケース内からシールドケース外に至っている。この場合には、シールドケースとホット側端子及びグラウンド端子との電気的接触をより確実に防止することができる。
【0019】
本発明に係る電子部品装置のさらに他の特定の局面では、前記グラウンド端子及びホット側電極が、前記シールドケースの前記第2または第4の側面部の下方を経由して、前記パッケージ本体の外部に導出されている。この場合には、第1または第2の側面部側にホット側端子及びグラウンド端子を配置することができるので、第2及び第4の側面部側においてシールド効果を高めることができる。
【0020】
本発明に係る電子部品装置のさらに別の特定の局面では、前記シールド端子が、前記グラウンド端子が導出されている側とはパッケージ本体の反対側に延びるように設けられている。この場合には、シールドケースのシールド端子と、電子部品装置素子に接続されるグラウンド端子との配置の対称性を高めることができる。
【0021】
本発明に係る電子部品装置のさらに他の特定の局面では、前記ホット側端子、前記グラウンド端子及び前記シールド端子のパッケージ本体外に導出されている部分が、前記パッケージ本体の下面側に位置している。この場合には、電子部品装置をパッケージ本体の下面側から、回路基板等に容易に表面実装することができる。
【0022】
本発明に係る電子部品装置のさらに他の特定の局面では、前記ホット側端子及び前記グラウンド端子が、シールドケース内の中間高さ位置に位置している電子部品素子接続部と、電子部品素子接続部のシールドケース内における外側方向端部から下方に延びる接続部と、接続部の下端に連ねられており、かつ前記シールドケース外に至っている端子部とを備える。この場合には、金属板の折り曲げ加工により、上記ホット側端子及びグラウンド端子を容易に形成することができる。
【0023】
本発明に係る電子部品装置において、上記において電子部品素子としては、特に限定されないが、赤外線センサが好適に用いられる。
【0024】
本発明に係るリードフレームは、本発明の電子部品装置の製造に用いられるリードフレームであって、リードフレーム枠体と、前記リードフレーム枠体に連ねられており、前記シールドケースを形成するためのシールドケース部と、前記リードフレーム枠体に連ねられた前記ホット側端子及びグラウンド端子と、前記シールドケース部に連ねられた前記シールド端子とを備える。
【0025】
本発明に係るリードフレームのある特定の局面では、前記シールドケース部が、矩形の底面部と、底面部の対向し合う一対の辺に連ねられており、該辺に沿って折り曲げることにより形成された第2,第4の側面部と、第2,第4の側面部の両側から第4,第2の側面側に折り曲げられた側面部分を備え、第2,第4の側面部の一方側で折り曲げられた一対の側面部分により第3の側面部が形成されており、第2,第4の側面部の他方側において折り曲げられた前記側面部分により第3の側面部が形成されている。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る電子部品装置では、シールドケースが、金属からなりかつ枠状の形状を有し、シールド端子が、シールドケースに連ねられた形状を有し、電子部品素子のグラウンド端子電極に電気的に接続されるグラウンド端子がシールドケースとは別に設けられているので、シールドケースの構造を簡略化することができる。従って、シールドケースの製造工程の簡略化及びコストの低減を図ることができる。
【0027】
加えて、上記グラウンド端子と、シールドケースに連ねられたシールド端子とが、別に設けられているため、グラウンド端子の配置の自由度が高められる。よった、電子部品素子のグラウンド側端子電極の位置の制約が少なく、言い換えれば、様々な電子部品素子に容易に対応することができ、電子部品装置の設計の自由度を大幅に高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態で用意されるシールドケース、ホット側端子及びグラウンド端子を示す斜視図であり、(b)はその側面断面図であり、(c)は折り曲げ加工前のリードフレームを示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態の電子部品装置の略図的分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態で用意されるパッケージ本体の平面図である。
【図4】本発明の一実施形態で用意されるパッケージ本体の断面図である。
【図5】従来の電子部品装置の一例を示し、電子部品装置の下面側から見た斜視図である。
【図6】従来の電子部品装置の正面断面図である。
【図7】従来の電子部品装置の製造に際して用意される複数のリードフレームを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態に係る電子部品装置の分解斜視図である。
【0031】
電子部品装置1は、パッケージ本体2を有する。パッケージ本体2は、上方に開いた開口2aを有する。パッケージ本体2は、樹脂モールド体からなる。
【0032】
上記開口2aは矩形の形状を有し、従って、パッケージ本体2は、有底の略直方体状の形状を有する。
【0033】
パッケージ本体2は、矩形の平面形状を有する底板部3と、底板部3の四辺から上方に延びる第1〜第4の側面部4〜7を有する。
【0034】
第1〜第4の側面部4〜7と底板部3とで囲まれた収納空間が形成されている。この収納空間に、電子部品素子としてのFET8が収納されている。電子部品素子としては、FET以外の赤外線センサ素子などの他の電子部品素子であってもよい。また、開口2aを閉成するように、セラミック板9が取り付けられる。セラミック板9は、平板状であり、その上面に黒化膜10,10が設けられている。それによって赤外線検出部が構成されている。黒化膜10,10は、例えば黒色インクにより形成されている。
【0035】
また、セラミック板9の上面には、略図的に破線の枠で示すカーボンペースト層Cが形成されている。さらに、セラミック板9の上方に、シリコンからなる光学フィルタ板11が積層されている。上記セラミック板9、及び光学フィルタ板11の積層体により、開口2aを閉成する蓋材が構成されている。
【0036】
本実施形態の電子部品装置1の特徴は、上記FET8が収納されるパッケージ本体2にある。パッケージ本体2には、インサート成形により、シールドケース13がその一部を露出させて埋設されている。
【0037】
図3は、上記パッケージ本体2の平面図である。図3から明らかなように、パッケージ本体2の上記収納部を囲む第1〜第4の側面部4〜7内に、シールドケース13がその一部を露出させて埋設されている。シールドケース13は金属からなり、電磁シールド機能を果たす。また、上記収納空間内においては、底板部3の上面に、ホット側端子14,15が露出している。なお、ホット側端子14,15が設けられている側とは距離を隔てて、浮き端子17が設けられている。
【0038】
図2に示したFET8は、ホット側端子電極8a,8bと、グラウンド側端子電極8cとを有する。図2では、ホット側端子電極8a,8b及びグラウンド側端子電極8cはセンサ本体から側方に延びるように形成されているが、金属板からなり、容易に折り曲げ得るように形成されている。
【0039】
図2に示すように、上記ホット側端子電極8a,8bが、パッケージ本体2側のホット側端子14,15に半田等の導電性接合材Xにより電気的に接続されている。また、グラウンド側端子電極8cが同様に導電性接合材Xによりグラウンド端子16に接合されている。
【0040】
図1(a)は、上記シールドケース13と、ホット側端子14,15、グラウンド端子16及び浮き端子17とが形成されているリードフレームの要部を示す部分切欠斜視図であり、(b)はその側面断面図である。
【0041】
リードフレーム21は、1枚の金属板からなり、リードフレーム枠体22を有する。このリードフレーム枠体22に開口部22a,22b,22cが形成されている。ランナーを介してリードフレーム枠体22に接続されるように、シールドケース13が設けられている。同様に、ホット側端子14,15及びグラウンド端子16がそれぞれランナーを介してリードフレーム枠体22に連ねられている。ホット側端子14,15及びグラウンド端子16を挟んで対向するように、浮き端子17がランナーを介してリードフレーム枠体22に連ねられている。
【0042】
従って、本実施形態では、1つのリードフレーム枠体22を用いて、上記シールドケース13、ホット側端子14,15、グラウンド端子16及び浮き端子17を構成することができる。よって、製造に際しての部品点数を低減することができる。
【0043】
シールドケース13は、底板部23と、底板部23に連ねられた、第1〜第4の側面部24〜27を有する。第1の側面部24と、第3の側面部26とが対向しており、第2の側面部25と第4の側面部27とが対向している。第1〜第4の側面部24〜27により、矩形枠状の形状が形成されており、上方に矩形の開口が形成されている。また、底板部23は、第1,第2の底板部23a,23bを有する。第1の底板部23aと、第2の底板部23bとは、底板部23の面方向において隔てられて形成されている。第1の底板部23aの外側端線から金属板を上方に折り曲げることにより、第4の側面部27が形成されている。
【0044】
同様に、第2の底板部23bの外側端線から金属板を上方に折り曲げることにより、第2の側面部25が形成されている。さらに、図1(b)に示すように、第1の側面部24は、第4の側面部27と連なるように設けられた側面部分24aと、第2の側面部25に連なるように設けられた側面部分24bとを有する。側面部分24aと側面部分24bとは、第1の側面部24の中央においてギャップGを隔てて配置されている。
【0045】
同様に第3の側面部26もまた、ギャップを隔てて配置された側面部分26a,26bを有する。側面部分26aは第4の側面部27に連ねられている。側面部分26bは、第2の側面部25に連ねられている。
【0046】
実際の製造に際しては、図1(c)に示す平板状のリードフレーム21を用意する。リードフレーム21では、リードフレーム枠体22に、シールドケース13を構成するためのシールドケース部13Aが連ねられている。シールドケース部13Aは、矩形の底板部23を有する。また、底板部23に連ねられて、第2,第4の側面部25,27が設けられている。第2,第4の側面部25,27の両側には、それぞれ、側面部分24b,26b及び24a,26aが設けられている。
【0047】
次に、上記第4の側面部27及び側面部分24a,26aが連ねられた金属片をまず底板部23aから上方に折り曲げ、しかる後、側面部分24a,26aを第4の側面部27の各端部から折り曲げる。第2の側面部25及び側面部分24b,26bも同様にして加工する。それによって、側面部分24a,24bにより第1の側面部24を形成し、側面部分26a,26bにより第3の側面部26を形成する。
【0048】
第1,第3の側面部24,26は、上記側面部分24a,24b,26a,26bに分離されていたため、上記のように1枚のリードフレームを用いて、第1〜第4の側面部24〜27を構成することが可能とされている。
【0049】
従って、1枚の金属板からなるリードフレーム用金属板を用意し、上記のような折り曲げ加工を施すだけで、シールドケース13を容易に形成することができる。
【0050】
図1(c)に示すように、折り曲げ加工前のリードフレーム21においては、リードフレーム枠体22に連ねられて、上記ホット側端子14,15、グラウンド端子16及び浮き端子17を構成する金属板部分も設けられている。もっとも、例えば、ホット側端子14は、図1(c)に示す状態から、図1(a)及び図1(b)に示すように折り曲げ加工される。すなわち、折り曲げ加工後に、以下の形状を有するように加工が施される。
【0051】
ホット側端子14は、シールドケース13の底板部23よりも上方、すなわち中間高さ位置に位置している電子部品素子接続部14aを有する。この電子部品素子接続部14aが、図2及び図4において図示されている部分である。電子部品素子接続部14aのシールドケース13内における外側方向端部から下方に延びるように接続部14bが連ねられている。接続部14bの下端に連ねられ、かつシールドケース13外に至るように端子部14cが設けられている。ホット側端子15もホット側端子14と同様に構成されている。
【0052】
図2〜図4に示されているように、インサート成形後のパッケージ本体2では、上記電子部品素子接続部14aがパッケージ本体2の底板部3の上面に露出している。また、図示はしないが、上記端子部14cは、パッケージ本体2の第3の側面部の下方すなわちパッケージ本体2の下面側に露出している。この端子部14cの露出している部分と、電子部品素子接続部14a以外の部分は、樹脂モールド体からなるパッケージ本体2内に埋設されている。
【0053】
同様に、グラウンド端子16もまた、電子部品素子接続部16a、接続部16b及び端子部16cを有する。
【0054】
なお、浮き端子17は、設けられずともよいが、パッケージ本体2の底板部3の上面に露出している露出部17aと、接続部17b及び端子部17cとを有する。
【0055】
製造に際しては、図1に示すシールドケース13と、ホット側端子14,15と、グラウンド端子16と浮き端子17とがリードフレーム22に一体に構成されている構造を金型内に配置し、樹脂を注入してインサート成形を行う。このようにして、上記パッケージ本体2が得られる。
【0056】
インサート成形後に、図1(c)の一点鎖線A,Bで示す位置で複数のランナーから切断する。それによって、上記電子部品装置1を得ることができる。
【0057】
パッケージ本体2では、図3に示されているように、ホット側端子14の電子部品素子接続部14aが底板部3の上面に露出している。ホット側端子15においても、同様である。グラウンド端子16においても、電子部品素子接続部16aが露出している。従って、前述したように、FET8のホット側端子電極8a,8bを、上記ホット側端子14,15に電気的に接続し、グラウンド側端子電極8cをグラウンド端子16に電気的に接続し、底板部3上にFET8を実装することができる。
【0058】
なお、上記ホット側端子14の端子部14cは、シールドケース13内からシールドケース13外に、より具体的には、第3の側面部26の下方を経由してシールドケース13外に延ばされていることになる。この端子部14cが、パッケージ本体2の底板部3の下面すなわちパッケージ本体2の下面に露出している。ホット側端子15もホット側端子14と同様に構成されている。
【0059】
さらに、グラウンド端子16もまた、端子部16cがシールドケース13内から第3の側面部26の下方を通りシールドケース13外に延ばされている。端子部16cが、パッケージ本体2の下面に露出している。
【0060】
浮き端子17の端子部17cも同様にシールドケース13内からシールドケース13外に、ただし第1の側面部24の下方を通りシールドケース13外に引き出されている。
【0061】
従って、ホット側端子14,15、グラウンド端子16及び浮き端子17は、シールドケース13には、電気的に接続されていない。
【0062】
また、シールドケース13においては、第1の底板部分23aのリードフレーム枠体22の本体に連なるランナー部が上記一点鎖線A,Bで切断されることによって、シールド端子13a,13bが形成されている。第2の底板部23bにおいても、同様にシールド端子13c,13dが形成されている。このシールド端子13a〜13dは、シールドケース13をグラウンド電位に接続するために設けられている。
【0063】
従って、本実施形態では、FET8を外部と電気的に接続するためのグラウンド側端子電極8cと、シールドケース13を外部のグラウンド電位に接続するためのシールド端子13a〜13dとが別に設けられている。
【0064】
なお、シールド端子は、いずれの側面部に設けられてもよいが、本実施形態のように、対向し合う第1の側面部24側及び第3の側面部26側において、同様にシールド端子が構成されていることが望ましい。それによって、端子構造の対称性を高めることができる。
【0065】
上記シールド端子13a〜13dは、図2及び図4に示すように、パッケージ本体2の下面に位置している。
【0066】
従って、上記ホット側端子14,15及びグラウンド端子16と同様に、シールド端子13a〜13dもまた、パッケージ本体2の下面に露出している。よって、回路基板上に電子部品装置1を表面実装することができる。この場合、回路基板側で、特に図示はしないが、上記シールド端子13a〜13dに接合されている配線パターンと、グラウンド端子16に接続されている配線パターンと共通接続すればよい。それによって、回路基板側のグラウンド電位に接続される部分を1つの部分とすることができる。もっとも、回路基板側において、シールド端子13a〜13dに接続される配線パターンと、グラウンド端子16に接続される配線パターンを別々に設け、別々にアース電位に接続してもよい。
【0067】
本実施形態の電子部品装置1では、上記のように、1枚のリードフレーム枠体22を用意し、単純な折り曲げ加工を施すだけで、シールドケース13と、ホット側端子14,15及びグラウンド端子16を形成することができる。従って、部品点数を低減でき、かつ加工工程を簡略化することができる。よって、コストを低減することができる。加えて、本実施形態では、上記グラウンド端子16が、シールド端子13a〜13dと別に設けられている。従って、グラウンド端子16の配置の自由度が高められている。よって、FET8とは異なる位置にグラウンド端子電極を有する電子部品素子を搭載する場合においても、グラウンド端子16の電子部品素子接続部16aの位置を変更するだけで容易に対応することができる。従って、設計の自由度を高めることができ、かつ様々な電子部品素子に対応することができる。
【0068】
本実施形態では、第3の側面部26において、グラウンド端子16を介して、一方のホット側端子14と他方のホット側端子15とが対称に配置されていた。このように、ホット側端子14,15とグラウンド端子16とが配置されている構造の対称性を高めることが好ましい。それによって、電子部品装置1のプリント回路基板へのリフロー半田付け等におけるセルフアライメント効果を高めることができる。
【0069】
もっとも、複数本のホット側端子及びグラウンド端子の配置は、このような形態に限定されるものではない。また、ホット側端子の数についても特に限定されず、1本のホット側端子あるいは3本以上のホット側端子か用いられてもよい。
【0070】
また、上記底板部23が設けられているため、電子部品装置1では、FET8及びセラミック板9は、第1〜第4の側面部24〜27だけでなく、下方からも電磁シールドすることができる。また、上記実施形態では、第3の側面部26の下方において、ホット側端子14,15及びグラウンド端子16がシールドケース13外に至っていたが、他の側面部、例えば第1の側面部24、第2の側面部25または第4の側面部27の下方を経由してシールドケース13外に至っていてもよい。
【0071】
また、第1の側面部24及び第3の側面部26が、上記側面部分24a,24b及び側面部分26a,26bを有するように分割されているので、第1の側面部24及び第3の側面部26の下方を通る外部端子、例えばホット側端子14,15やグラウンド端子16などの形状、数、及び配置の自由度を大幅に高めることが可能とされている。
【符号の説明】
【0072】
1…電子部品装置
2…パッケージ本体
2a…開口
3…底板部
4〜7…第1〜第4の側面部
8…FET
8a,8b…ホット側端子電極
8c…グラウンド側端子電極
9…セラミック板
10…黒化膜
11…光学フィルタ板
13…シールドケース
13A…シールドケース部
13a〜13d…シールド端子
14,15…ホット側端子
14a…電子部品素子接続部
14b…接続部
14c…端子部
16…グラウンド端子
16a…電子部品素子接続部
16b…接続部
16c…端子部
17…浮き端子
17a…露出部
17b…接続部
17c…端子部
18…回路基板
21…リードフレーム
22…リードフレーム枠体
22a〜22c…開口部
23…底板部
23a,23b…第1,第2の底板部
24〜27…第1〜第4の側面部
24a,24b,26a,26b…側面部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開いた開口を有する樹脂モールド体からなるパッケージ本体と、
前記パッケージ本体の樹脂モールド体にインサート成形により設けられており、金属からなりかつ枠状のシールドケースと、
前記パッケージ本体に収納されており、ホット側端子電極と、グラウンド電位に接続されているグラウンド側端子電極とを有する電子部品素子と、
前記パッケージ本体にインサート成形により設けられており、前記電子部品素子の前記ホット側端子電極に電気的に接続されており、かつパッケージ本体の外表面に導出されているホット側端子と、
前記パッケージ本体にインサート成形により設けられており、前記電子部品素子の前記グラウンド側端子電極に電気的に接続されており、かつパッケージ本体の外表面に導出されているグラウンド端子と、
前記シールドケースに連ねられており、かつ前記パッケージ本体の外表面に導出されているシールド端子とを備える、電子部品装置。
【請求項2】
前記シールドケースが、第1,第2,第3及び第4の側面部を有する矩形枠状の形状を有し、第1の側面部と第3の側面部とが対向しており、第2の側面部と第4の側面部とが対向している、請求項1に記載の電子部品装置。
【請求項3】
前記ホット側端子及び前記グラウンド端子が、前記シールドケースの第1〜第4の側面部の下端よりも下方においてシールドケース内からシールドケース外に至っている、請求項1または2に記載の電子部品装置。
【請求項4】
前記グラウンド端子が、前記シールドケースの前記第2または第4の側面部の下方を経由して、前記パッケージ本体の外部に導出されている、請求項3に記載の電子部品装置。
【請求項5】
前記シールド端子が、前記グラウンド端子が導出されている側とはパッケージ本体の反対側に延びるように設けられている、請求項4に記載の電子部品装置。
【請求項6】
前記ホット側端子、前記グラウンド端子及び前記シールド端子のパッケージ本体外に導出されている部分が、前記パッケージ本体の下面側に位置している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子部品装置。
【請求項7】
前記ホット側端子及び前記グラウンド端子が、シールドケース内の中間高さ位置に位置している電子部品素子接続部と、電子部品素子接続部のシールドケース内における外側方向端部から下方に延びる接続部と、接続部の下端に連ねられており、かつ前記シールドケース外に至っている端子部とを備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子部品装置。
【請求項8】
前記電子部品素子が赤外線センサ素子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子部品装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子部品装置の製造に用いられるリードフレームであって、
リードフレーム枠体と、
前記リードフレーム枠体に連ねられており、前記シールドケースを形成するためのシールドケース部と、
前記リードフレーム枠体に連ねられたホット側端子及びグラウンド端子と、
前記シールドケース部に連ねられたシールド端子とを備える、リードフレーム。
【請求項10】
前記シールドケース部が、矩形の底面部と、底面部の対向し合う一対の辺に連ねられており、該辺に沿って折り曲げることにより形成された前記第2,第4の側面部と、前記第2,第4の側面部の両側から第4,第2の側面側に折り曲げられた側面部分を備え、第2,第4の側面部の一方側で折り曲げられた一対の側面部分により第3の側面部が形成されており、前記第2,第4の側面部の他方側において折り曲げられた前記側面部分により第3の側面部が形成されている、請求項9に記載のリードフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−138921(P2011−138921A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297830(P2009−297830)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)