説明

電子部品

【課題】機械的強度が高く、粉塵を発生し難い電子部品を提供する。
【解決手段】(A)(A-1)ガラス転移温度が140℃以上の非晶性樹脂と(A-2)ガラス転移温度が140℃以下の結晶性樹脂を含む熱可塑性樹脂と、(B)繊維状充填剤を含有する樹脂組成物からなる電子部品。(A-1)成分の非晶性樹脂は、マレイミド樹脂、環状オレフィン樹脂及びポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれるものが好ましい。携帯電話のカメラやデジタルカメラなどのレンズホルダーとして利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などに使用されるカメラレンズのホルダーなどとして適した電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子部品は、機械的強度が高いことと共に、使用時における電子機器の誤作動を防止する観点から、部品の実装時や使用時に自身から粉塵が脱落しないこと、接触する部品を切削し同様に粉塵を脱落させないことが要求されている。
【0003】
特許文献1には、液晶性高分子と繊維状フィラーを含む樹脂成形体をカメラモジュール用部品として使用できることが記載されている(段落0048〜0050,図4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−239950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、機械的強度が高く、粉塵を発生し難い電子部品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、課題の解決手段として下記の各発明を提供する。
(1)(A)(A-1)ガラス転移温度が140℃以上の非晶性樹脂と(A-2)ガラス転移温度が140℃以下の結晶性樹脂を含む熱可塑性樹脂と、(B)繊維状充填剤を含有する樹脂組成物からなる電子部品。
(2)(A-1)成分の非晶性樹脂が、マレイミド樹脂、環状オレフィン樹脂及びポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれるものである、請求項1記載の電子部品。
(3)カメラレンズのホルダ用である、請求項1又は2記載の電子部品。
(4)電子基板に対して、鉛フリーはんだ、異方性導電膜、又は異方性導電ペーストを使用して実装されるものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の電子部品。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子部品は、機械的強度が高く、表面は平滑であり、粉塵を発生もし難い。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<樹脂組成物>
〔(A)成分〕
(A-1)成分は、ガラス転移温度が140℃以上の非晶性樹脂であり、マレイミド樹脂、環状オレフィン樹脂及びポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれるものが好ましい。
【0009】
マレイミド樹脂は、マレイミド系単量体を含むホモポリマー又はコポリマーである。
【0010】
マレイミド系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−トルイルマレイミド、N−キシリールマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−オルトクロルフェニルマレイミド、N−オルトメトキシフェニルマレイミドから選ばれるものを挙げることができる。
【0011】
マレイミド系単量体と共重合できる他の単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル系化合物、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、無水1,2−ジメチルマレイン酸、無水エチルマレイン酸、無水フェニルマレインなどの不飽和ジカルボン酸無水物などを挙げることができる。
【0012】
マレイミド樹脂中のマレイミド系単量体単位の含有量は、40質量%以上であり、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
【0013】
環状オレフィン樹脂は、環内にエチレン性二重結合を有する重合性の環状オレフィンを少なくとも重合成分とする樹脂であればよい。環状オレフィンは、単環式オレフィンであってもよく、多環式オレフィンであってもよい。
【0014】
代表的な環状オレフィンとしては、例えば、ノルボルネン類、シクロペンタジエン類又はジシクロペンタジエン類、ノルボルネン類とシクロペンタジエンとの縮合により得られる1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン類、ヘキサシクロ[6.6.1.1.1.0.0]ヘプタデセン−4類、1−ブテンとシクロペンタジエンとから合成される6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどの多環式オレフィンが例示できる。
【0015】
また、環状オレフィンは、置換基{例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基などのC1−10アルキル基、好ましくはC1−5アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基)、アルケニル基(例えば、プロペニル基などのC2−10アルケニル基など)、シクロアルケニル基(例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などのC5−10シクロアルケニル基など)、アルキリデン基(例えば、エチリデン基などのC2−10アルキリデン基、好ましくはC2−5アルキリデン基など)など]、アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1−10アルコキシ基、好ましくはC1−6アルコキシ基)、アシル基(例えば、アセチル基などのC2−5アシル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−10アルコキシ−カルボニル基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基(=O)、複素環基(ピリジル基などの窒素原子含有複素環基など)など}を有していてもよい。環状オレフィンは、単独で又は2種以上組みあわせて置換基を有していてもよい。
【0016】
具体的な環状オレフィンとしては、単環式オレフィン類[例えば、シクロアルケン(例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロC3−10アルケンなど)、シクロアルカジエン(例えば、シクロペンタジエンなどのシクロC3−10アルカジエン)など];二環式オレフィン類{例えば、ビシクロアルケン[例えば、ノルボルネン類(例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5又は5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,6−ジメトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)−2−ノルボルネン、7−オキソ−2−ノルボルネンなど)などのC4−20ビシクロアルケンなど]、ビシクロアルカジエン[例えば、ノルボルナジエン類(例えば、2,5−ノルボルナジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−シアノ−2,5−ノルボルナジエン、5−メトキシカルボニル−2,5−ノルボルナジエン、5−フェニル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジメチル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)−2,5−ノルボルナジエン、7−オキソ−2−ノルボルナジエンなど)など]など}、三環式オレフィン類{例えば、トリシクロアルケン[例えば、ジヒドロジシクロペンタジエン類(ジヒドロジシクロペンタジエンなど)などのC6−25トリシクロアルケンなど]、トリシクロアルカジエン[例えば、ジシクロペンタジエン類(ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなど)、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエンなどのC6−25トリシクロアルカジエンなど]など}、四環以上の多環式オレフィン類{例えば、四環式オレフィン[例えば、テトラシクロアルケン(例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどのC8−30テトラシクロアルケンなど)など]、五環式オレフィン[例えば、ペンタシクロアルカジエン(例えば、トリシクロペンタジエンなどのC10−35ペンタシクロアルカジエン)など]、六環式オレフィン[例えば、ヘキサシクロアルケン(例えば、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘプタデセンなどのC12−40ヘキサシクロアルケン)など]など}などの多環式オレフィン類などが挙げられる。
【0017】
これらの環状オレフィンは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの環状オレフィンのうち、ノルボルネン類などの多環式オレフィンが好ましい。
【0018】
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンの単独又は共重合体(例えば、単環式オレフィンと多環式オレフィンとの共重合体など)であってもよく、環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体であってもよい。
【0019】
共重合性単量体としては、共重合可能な限り特に限定されないが、鎖状オレフィン[アルケン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどのC2−20アルケン)、アルカジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役C5−20アルカジエン)など]などが例示できる。これらの共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。共重合性単量体は、α−オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのC2−10α−オレフィン類、特にC2−6α−オレフィン類)であってもよい。
【0020】
(A-1)成分は、マレイミド樹脂を用いるときスチレン−Nフェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体(スチレン47質量%、Nフェニルマレイミド51質量%、無水マレイン酸が2質量%で重量平均分子量が80,000から170,000が好ましく、より好ましくは100,000〜150,000である。
環状オレフィン樹脂を用いるときは、ノルボルネンとエチレンの共重合体でガラス転移温度が140℃以上、より好ましくは160℃以上である。
ポリフェニレンエーテルは2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル単位からなるもので、クロロホルム30℃中での固有粘度が0.2〜0.8dl/g、より好ましくは0.25〜0.6dl/gである。
【0021】
(A-2)成分は、ガラス転移温度が140℃以下、より好ましくは100℃以下の結晶性樹脂であり、ポリアミド樹脂(ポリアミド12、ポリアミド6、ポリアミド6−6、ポリアミド6T、ポリアミド9Tなど)、ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)などが挙げられる。
【0022】
(A-1)成分と(A-2)成分の割合は、
(A-1)成分は20〜95質量%が好ましく、より好ましくは30〜85質量%、さらに好ましくは35〜80質量%であり、
(A-2)成分は5〜80質量%が好ましく、より好ましくは15〜70質量%、さらに好ましくは20〜65質量%である。
【0023】
なお、(A-1)成分の樹脂に応じて、(A-2)成分の割合を増減することが好ましい。
(A-1)成分としてマレイミド樹脂を使用した場合には、(A-1)成分は30〜85質量%が好ましく、より好ましくは35〜80質量%、さらに好ましくは40〜70質量%であり、
(A-2)成分は15〜70質量%が好ましく、より好ましくは20〜65質量%、さらに好ましくは30〜60質量%である。
【0024】
(A-1)成分として環状オレフィン樹脂を使用した場合には、(A-1)成分は30〜95質量%が好ましく、より好ましくは40〜90質量%、さらに好ましくは60〜90質量%であり、
(A-2)成分は5〜70質量%が好ましく、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは10〜40質量%である。
【0025】
(A-1)成分としてポリフェニレンエーテル樹脂を使用した場合には、(A-1)成分は20〜85質量%が好ましく、より好ましくは30〜80質量%、さらに好ましくは40〜70質量%であり、
(A-2)成分は15〜80質量%が好ましく、より好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは30〜60質量%である。
【0026】
〔(B)成分〕
(B)成分は繊維状充填剤であり、E−ガラス、D−ガラスからなるガラス繊維;ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系などからなるカーボン繊維;ボロン繊維、鉱物繊維などの無機繊維;ステンレス、黄銅などからなる金属繊維;超高分子ポリエチレン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、液晶性芳香族ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アラミド繊維(ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミドなど)、綿、ジュートなどのセルロース繊維などを挙げることができる。
【0027】
平均繊維径は0.1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは3〜30μmである。
【0028】
平均繊維長は0.01〜3mmが好ましく、より好ましくは0.1〜2mm、さらに好ましくは0.3〜1.5mmである。
【0029】
平均繊維径と平均繊維長は、電子部品成型品中のものであり、次の測定方法により、求めることができる。
【0030】
成形品中の樹脂を溶剤による溶解又は焼却により除去し(樹脂の種類と繊維状充填剤の種類により除去方法は選択する)、繊維状充填剤を取り出す。次に、光学又は電子顕微鏡観察を実施し、繊維状充填剤の繊維長と繊維径をn=1000個測定し、その測定結果から、数平均繊維径を平均繊維径とし、重量平均繊維長を平均繊維長として評価する。
【0031】
組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して5質量部以上が好ましく、より好ましくは5〜60質量部、さらに好ましくは10〜40質量部である。(B)成分の含有量が5質量部以上であると、十分な曲げ弾性率が得られるため好ましく、60質量部以下にすることで、表面に繊維が多数浮き出てしまい外観が悪くなる問題がないので特に好ましい。
【0032】
また、ACFによる加工は100〜140℃加熱したのち圧着するため、100〜140℃の範囲の曲げ弾性率は、好ましくは4000MPa以上、より好ましくは6000MPa以上である。
【0033】
〔その他の成分〕
その他、必要に応じて、電子部品の材料として使用できる公知の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、結晶核剤、難燃剤、滑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、(B)成分以外の充填剤などが挙げられる。高温で成形加工を行うことを考慮すると、酸化防止剤は融点が高いものが望ましく、好ましくは100℃以上、より好ましくは140℃以上のものである。金型離型時の抵抗や成形品同士の摩擦抵抗を下げるために滑剤を添加するのが望ましく、好ましくは(A)成分100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.2〜5質量部である。滑剤の種類としては、高級脂肪酸や、オレフィン系滑剤が望ましい。電子部品の加工工程ではイオンの混入を嫌うため、好ましくはアルカリ金属原子やハロゲゲン原子を含まない高級脂肪酸エステル、ポリエチレンである。
【0034】
本発明で用いる樹脂組成物は、成形性の観点から、ISO1133に準拠したメルトインデックス(270℃,5kg,単位g/10min)が2〜100の範囲が好ましく、4〜40の範囲がより好ましい。
【0035】
<電子部品>
本発明の電子部品は、上記の樹脂組成物から得られるものである。本発明の電子部品は、デジタルカメラ部品、携帯電話部品、コンピューター部品、それらに収容されているプリント配線板、回路基板、半導体パッケージなどとして使用できるが、特にデジタルカメラや携帯電話で使用されるカメラレンズのホルダー(例えば、特開2008−239950号公報の図4で示されるホルダー120)として適している。
【0036】
また、本発明の電子部品は、電子基板に対して、鉛フリーのはんだ(鉛を含まないはんだ)、異方性導電膜又は異方性導電ペーストを使用して実装されるものが特に適している。
【0037】
鉛フリーのはんだは公知のものであり、特にSnAgCu系が一般的に用いられており、融点が220°C程度のものである。240℃以上に加熱し加工をおこなう。
【0038】
異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film;ACF)は公知のものであり、熱硬化性樹脂に導電性を有する微小な金属粒子を混ぜ合わせたものを膜状に成形したものである。
【0039】
異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste;ACP)は公知のものであり、熱硬化性樹脂に導電性を有する微小な金属粒子を混ぜ合わせたペースト状のものである。
【実施例】
【0040】
実施例及び比較例
表1に示す各成分を用い、日本製鋼社製の二軸押出機TEX30α(スクリュー径32mm)にて、280℃で溶融混練し、ストランド状に押し出した後に冷却し、切断してペレットを得た。(スクリュー回転数:400rpm、投入量:50kg/時間)ガラス繊維は、サイドフィードを用いて、途中から投入した。各例の組成物について、下記の各試験をした。結果を表1に示す。
【0041】
(1)HDT
ISO75に準拠し測定した。室温での測定は、恒温恒湿の空調室内にての測定で、90〜150℃の測定は、温度制御可能な恒温槽内にて測定した。恒温槽内での測定は、テストピースを所定の温度に設定した槽内に少なくとも2時間以上放置した後、測定を実施した。
【0042】
(2)曲げ弾性率
ISO178に準拠して測定した。
【0043】
(3)240℃加熱試験
240℃のオーブン中でISO規格のダンベル試験片を加熱し変形するかどうかを確認した。
○:目視で変形なし
×:変形あり
【0044】
(4)成形品バリ発生評価
ISO規格のダンベル試験片から目視で、金型からはみ出した樹脂分(バリ)が存在するかどうかを評価した。
○:バリなし
×:バリ発生
【0045】
(5)成形品外観
目視及び、手の指による成形品表面の触感で評価した。
○:目視では、成形品表面は滑らかで、充填剤由来による凹凸が認められず、手の指による触感も滑らかであった。
×:目視にて、成形品表面に充填剤由来による凹凸が認められ、手の指による触感もざらつきが感じられた。
【0046】
(6)粉塵発生量
試験機:往復動摩擦摩耗試験機 AFT−15M(株式会社 エー・アンド・ディー 製)で、固定側に作成したISO規格のダンベル試験片と可動側にポリカーボネート製(三菱エンジニアリングプラスチック社製 ユーピロンS3000F)の直径10mmの円柱との往復摺動試験(条件:荷重2000g, 往復回数10000, ストローク25mm, 速度50mm/秒)を行い、ISO規格のダンベル試験片から発生した粉塵量、ポリカーボネート製の円柱から発生した粉塵量を測定した。
【表1】

マレイミド樹脂A:ガラス転移温度196℃,スチレン−Nフェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体(スチレン47質量%、Nフェニルマレイミド51質量%、無水マレイン酸が2質量%,重量平均分子量が14万5千,265℃10kgでのメルトフローレート:2
マレイミド樹脂B:ガラス転移温度196℃,スチレン−Nフェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体(スチレン47質量%、Nフェニルマレイミド51質量%、無水マレイン酸が2質量%,重量平均分子量が12万,265℃10kgでのメルトフローレート:4
環状オレフィン樹脂A:ガラス転移温度170℃:ポリプラスチックス株式会社のTOPAS(6017S-04)
環状オレフィン樹脂B:ガラス転移温度150℃:ポリプラスチックス株式会社のTOPAS(6015S-04)
環状オレフィン樹脂C:ガラス転移温度130℃:ポリプラスチックス株式会社のTOPAS(6013S-04)
PPEA:ポリフェニレンエーテル:ガラス転移温度210℃:30℃クロロホルム中での固有粘度が0.4dl/g
PA66A:ポリアミド66,融点265℃,ガラス転移温度50℃,95%硫酸中での相対粘度2.50:宇部興産(株)のUBEナイロン66 2015B
PA66B:ポリアミド66,融点265℃,ガラス転移温度50℃95%硫酸中での相対粘度2.90:宇部興産(株)のUBEナイロン66 2020B
PETA:ポリエチレンテレフタレート,融点250℃,ガラス転移温度70℃:日本ユニペット(株) RT543−C
PEA:高密度ポリエチレン,融点134℃,ガラス転移温度−120℃:プライムポリマー(株)のHI−ZEX(HDPE)1300J
GFA:ガラス繊維,日本電気硝子(株)製のECS-03-T-120
GFB:ガラス繊維,日本電気硝子(株)製のECS-03-T-480
CFA:炭素繊維:東邦テナックス(株)社製のHTA−C6UEL1
変性SEBSA:酸変性SEBS,旭化成ケミカルズ(株)製のタフテックM1943
結晶核剤A:タルク,林化成(株)製のミクロンホワイト5000S
酸化防止剤A:フェノール系酸化防止剤 融点120℃,チバジャパン(株)製のIRGANOX1010
酸化防止剤B:フェノール系酸化防止剤 融点160℃,チバジャパン(株)製のIRGANOX1098
酸化防止剤C:リン系酸化防止剤 融点180℃,チバジャパン(株)製のIRGAFOS168
滑剤A:ステアリン酸カルシウム,堺化学工業(株)製のSC-PG
滑剤B:モンタン酸エステル,クラリアントジャパン(株)製のLicowax−OP パウダー
滑剤C:ポリエチレン,ハネウェル社(株)製のACポリエチレン9A
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の電子部品は、携帯電話のカメラやデジタルカメラなどのレンズホルダーとして利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(A-1)ガラス転移温度が140℃以上の非晶性樹脂と(A-2)ガラス転移温度が140℃以下の結晶性樹脂を含む熱可塑性樹脂と、(B)繊維状充填剤を含有する樹脂組成物からなる電子部品。
【請求項2】
(A-1)成分の非晶性樹脂が、マレイミド樹脂、環状オレフィン樹脂及びポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれるものである、請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
カメラレンズのホルダー用である、請求項1又は2記載の電子部品。
【請求項4】
電子基板に対して、鉛フリーはんだ、異方性導電膜、又は異方性導電ペーストを使用して実装されるものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の電子部品。

【公開番号】特開2010−184950(P2010−184950A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27990(P2009−27990)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(501041528)ダイセルポリマー株式会社 (144)
【Fターム(参考)】