説明

電子部品

【課題】電子部品素子の発熱に起因する、電子部品の基板内におけるビアホール電極の位置による熱の分布のばらつきを低減し、放熱効果の安定化した電子部品を提供する。
【解決手段】この発明にかかる電子部品は基板12を含む。基板12の第1主面12a上には複数の実装用端子20が形成される。複数の実装用端子20の少なくとも一部は接続電極24により相互に電気的に接続される。基板12の第1主面12aにはバンプ22を介して実装用端子20と接続される電子部品素子14が実装される。基板12において、実装用端子20と基板12の厚み方向に間隔を隔てて対向して、基板12の内部には内部グランド端子32が、基板12の第2主面12b上には外部グランド端子34が配置される。実装用端子20と内部グランド端子32とは第1ビアホール電極42により電気的に接続される。この第1ビアホール電極42の数は実装用端子20の数よりも少ない数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品に関し、特にたとえば、無線通信機器に用いられる電子部品素子の実装された電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の実装用端子が配置されたプリント基板に電子部品素子を実装する電子部品の構造が記載されている。この電子部品の構造では、プリント基板上に配置された実装用端子に電子部品素子がバンプを介して接続され、その実装用端子は、プリント基板内の配線電極やビアホール電極に接続されている。すなわち、このような電子部品素子は、個別にバンプを介してプリント基板上の実装用端子に接続される。そして、各実装用端子は、それぞれの実装用端子毎にビアホール電極を介してプリント基板の内部、または電子部品素子が実装された面とは反対の面に形成されたグランド端子と接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−258149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のビアホール電極は、所定の電子部品をプリント基板内のグランド端子に接地させるとともに、電子部品素子がパワーアンプのような発熱素子である場合、電子部品素子で発生した熱をプリント基板側へ放熱させる機能も有している。その放熱効果については、ビアホール電極のプリント基板内における位置(たとえば、中央部、または縁端部)あるいは、ビアホール電極の配置密度などにより変化するため、そのようなビアホール電極の配置の状態により、必要な放熱効果が十分に得られないという問題があった。たとえば、各実装用端子すべてにビアホール電極が接続されると、ビアホール電極が密集して配置されるので熱が集中し、加えて、プリント基板中央部にビアホール電極が密集して配置されると、基板側面までの距離が遠くなるため、放熱効果が悪くなるという問題があった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、電子部品素子の発熱に起因する、電子部品の基板内におけるビアホール電極の位置による熱の分布のばらつきを低減し、放熱効果の安定化した電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる電子部品は、基板と、基板の第1主面上に配置される複数の実装用端子と、複数の実装用端子の少なくとも一部を相互に接続する接続電極と、バンプを介して複数の実装用端子と接続されて基板に実装される電子部品素子と、基板において複数の実装用端子と間隔を隔てて対向して配置されるグランド端子と、複数の実装用端子の数よりも少ない数であり、実装用端子とグランド端子とを接続するためのビアホール電極と、を含む、電子部品である。
また、この発明にかかる電子部品では、ビアホール電極は、複数の実装用端子により構成される端子群における略中央部に配置されることが好ましい。
さらにまた、この発明にかかる電子部品では、複数の実装用端子から略等しい距離の位置にビアホール電極を配置することが好ましい。
また、この発明にかかる電子部品では、グランド端子と接続するビアホール電極の径は、グランド端子以外の端子と接続するビアホール電極の径よりも大きいことが好ましい。
【0007】
この発明にかかる電子部品によれば、複数の実装用端子の少なくとも一部は、接続電極により相互に接続され、実装用端子の数よりも少ない数のビアホール電極によりグランド端子に接続されるので、電子部品素子の発熱に起因する、ビアホール電極の配置のばらつきや基板内の位置によるばらつきによる影響を低減できるため、放熱効果を安定化することができる電子部品を得ることができる。
また、この発明にかかる電子部品は、ビアホール電極に接続される実装用端子が、複数の実装用端子により構成される端子群における略中央部に配置されると、ビアホール電極を中心に向かい合う実装用端子が対称に配置できるので、電子部品素子の発熱に起因する各実装用端子の熱を均等に放熱できる電子部品を得ることができる。
さらに、この発明にかかる電子部品は、実装用端子から略等しい距離の位置にビアホール電極を配置すると、電子部品素子から伝わった各実装用端子における熱をより均等に放熱できる電子部品を得ることができる。
また、この発明にかかる電子部品は、グランド端子と接続するビアホール電極の径は、グランド端子以外の端子と接続するビアホール電極の径よりも大きいと、熱の伝導性が向上するので、放熱効果がより向上する電子部品を得ることができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、電子部品素子の発熱に起因する、電子部品の基板内におけるビアホール電極の位置による熱の分布のばらつきを低減し、放熱効果の安定化した電子部品が得られる。
【0009】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明にかかる電子部品の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示す電子部品に用いられる基板の第1主面である平面図である。
【図3】図1に示す電子部品に用いられる基板の第2主面である底面図である。
【図4】図2に示す基板における実装用端子の配置を示す部分拡大図である。
【図5】図1に示す電子部品のA−A断面図である。
【図6】この発明にかかる電子部品に用いられる基板における実装用端子およびビアホール電極の配置の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、この発明にかかる電子部品の一例を示す平面図である。図2は、図1に示す電子部品に用いられる基板の第1主面の平面図である。図3は、図1に示す電子部品に用いられる基板の第2主面である底面図である。また、図4は、図2に示す基板における実装用端子の配置を示す部分拡大図であり、図5は、図1に示す電子部品のA−A断面図である。
【0012】
図1に示す電子部品10は、図2に示す基板12および複数の電子部品素子14を含む。なお、図1に示す電子部品素子14は、そのすべてを記載せず、一部を省略して記載している。
【0013】
基板12は、複数の電子部品素子14を実装するために設けられる。基板12は、矩形板状に形成される。基板12は、第1主面12aおよび第2主面12bを含む。第1主面12a上には、複数の電子部品素子14が実装される。基板12は、プリント配線基板(ガラスエポキシ基板)であり、多層基板として形成されている。
【0014】
図2に示すように、基板12の第1主面12a上には、電子部品素子14を実装するための複数の実装用端子20が形成される。なお、図2において、電子部品素子搭載領域16が二点鎖線により示される。また、基板12の第2主面12b上には、外部グランド端子34および信号用端子50が形成される。なお、図2に示す実装用端子20は、そのすべて記載せず、一部を省略して記載している。また、信号用端子50は、通信用の送受信信号用端子、電子部品素子14への電源供給用の電源用端子および電子部品素子14を制御する制御用端子を含む。
【0015】
また、図2に示す基板12上には、図示していないが、Cu電極をエッチングすることにより、配線がパターニングして形成されている。そして、その配線および実装用端子20上にNiとAuめっきを施して、基板12上に実装される電子部品素子14であるICのAuのバンプ22が接続できるように形成されている。また、基板12の第1主面12a上にICチップコンデンサ等の電子部品素子14を搭載した後、図示していないが、それらを覆うように金属パッケージを載置したり、電子部品素子14をすべて覆うようにエポキシ樹脂等で被覆されている。
【0016】
図1に示すように、電子部品素子14は、基板12の第1主面12a上に実装される。また、図5に示すように、電子部品素子14は、実装用端子20とバンプ22を介して接続される。
【0017】
ここで、この電子部品10において使用される電子部品素子14としては、たとえば、スイッチICあるいはLNA(Low Noise Amp:小信号増幅回路)が用いられる。また、特に、発熱する電子部品素子14としては、パワーアンプ(PA)が用いられる。スイッチICは、携帯電話などのアンテナ直下に配置され、GSM(Global System for Mobile Communications)やUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)等の通信システム毎に信号経路を切り替える機能を有している。また、LNAは、携帯電話あるいは無線LAN等のRF回路において、受信信号の増幅を行う機能を有する。さらに、PAは、送信信号の増幅を行う機能を有する。PAは大電力の送信信号を取り扱うことから、他の電子部品素子14に比べると発熱量が特に大きい電子部品素子である。また、電子部品素子14が実装される基板12は、Bluetooth(登録商標)あるいは無線LAN用のフロントエンドモジュール(FEM)として用いられる電子部品であり、このとき、RF−IC(Radio Frequency Integrated Circuit)がバンプ22を介して接続される。このRF−ICには送受信信号が入出力されるため、特に、送信信号が入力される端子における発熱量が大きくなる。
【0018】
実装用端子20は、電子部品素子14の複数のバンプ22を基板12上に実装するために形成される。複数の実装用端子20は、基板12の第1主面12a上に形成される。そして、図4に示すように、グランド端子に接続すべき複数の実装用端子20のうちの一部が、接続電極24により相互に電気的に接続される。なお、グランド端子に接続すべき複数の実装用端子20のすべてが、接続電極24により相互に電気的に接続されてもよい。また、実装用端子20は、図5に示すように、バンプ22を介して電子部品素子14と接続される。そして、実装用端子20は、ビアホール電極40を介してグランド端子30と電気的に接続される。
【0019】
グランド端子30は、内部グランド端子32および外部グランド端子34を含む。図5に示すように、内部グランド端子32は、基板12の内部に形成され、実装用端子20と基板12の厚み方向に間隔を隔てて対向して配置される。また、外部グランド端子34は、基板12の第2主面12b上に形成され、実装用端子20と基板12の厚み方向に間隔を隔てて対向して配置される。
【0020】
複数の外部グランド端子34aは、基板12の第2主面12bにおける中央部に形成される。この中央部に形成される外部グランド端子34aは、平板状の矩形に形成される。外部グランド端子34aは、たとえば、信号用端子50と比較して、面積が広く形成されており、高い放熱効果を有する。
【0021】
また、外部グランド端子34bは、基板12の第2主面12bにおける外周部の一部に形成される。特に、発熱量の大きい電子部品素子14の制御に関係する実装用端子20の近傍に配置される外部グランド端子34bのみ、他の複数の外部グランド端子34aと分離し、基板12の第2主面12bに引き出すことで、熱の伝わり方のばらつきを低減することができる。
【0022】
ビアホール電極40は、実装用端子20とグランド端子30とを電気的に接続するために形成される。以下、より詳細に説明する。ビアホール電極40は、第1ビアホール電極42および第2ビアホール電極44を含む。第1ビアホール電極42および第2ビアホール電極44は、基板12の各層を貫通するように形成される。第1ビアホール電極42の一方端は、実装用端子20と接続される。第1ビアホール電極42の他方端は、内部グランド端子32と電気的に接続される。また、第1ビアホール電極42は、少なくとも実装用端子20の数より少ない数により形成される。図4においては、実装用端子20の数は5であり、それに対して、第1ビアホール電極42の数は1とした状態が示される。また、複数の第2ビアホール電極44の一方端は、内部グランド端子32と電気的に接続される。そして、複数の第2ビアホール電極44の他方端は、外部グランド端子34と電気的に接続される。
【0023】
また、内部グランド端子32と接続される第1ビアホール電極42の径は、内部グランド端子32以外の端子と接続されるビアホール電極(図示せず)の径よりも大きいことが好ましい。第1ビアホール電極42の径を大きくすることで、内部グランド端子32への熱の伝導性がより向上し、放熱効果が向上するからである。
【0024】
信号用端子50は、電子部品と他の回路基板等との間における制御信号を入出力するために設けられる。信号用端子50は、基板12の第2主面12bの外周部に形成される。
【0025】
この電子部品10によれば、内部グランド端子32に第1ビアホール電極42を接続する際に、各実装用端子20に対してビアホール電極を接続するのではなく、接続電極24で各実装用端子20の間を相互に接続した上で、実装用端子20の数よりも少ない数の第1ビアホール電極42により内部グランド端子32に接続されているので、電子部品素子14の発熱に起因する、実装用端子20から内部グランド端子32への熱の伝わり方のばらつきを低減することができる。
【0026】
続いて、実装用端子20の配置に対するビアホール電極40の配置された電子部品における他の実施例について説明する。図6は、この発明にかかる電子部品に用いられる基板における実装用端子およびビアホール電極の配置の他の例を示す平面図である。
【0027】
図6に示す実装用端子20は、電子部品10の基板12上において、格子状に形成されている。中央に配置している実装用端子20には、第1ビアホール電極42が電気的に接続される。本実施例において、中央に配置している実装用端子20には、第1ビアホール電極42の一方端が電気的に接続される。また、図示していないが、第1ビアホール電極42の他方端は、内部グランド端子32または外部グランド端子34と電気的に接続されている。そして、中央に配置している実装用端子20と、その実装用端子20の周りに配置される8つの実装用端子20とが、接続電極24により電気的に接続される。なお、ビアホール電極42が接続される実装用端子20は、他の実装用端子20に対して、概ね中央部に配置されているのが好ましい。
【0028】
この電子部品10によれば、実装用端子20に接続される第1ビアホール電極42が、基板12上において格子状に配置された複数の実装用端子20により構成される端子群における略中央部に配置されると、第1ビアホール電極42を中心に向かい合う実装用端子20が対称に配置できるので、電子部品素子14による発熱に起因する各実装用端子20の熱を均等に放熱できる電子部品10を得ることができる。
【0029】
上述の実施例では、実装用端子20が、基板12上において直線状に配置されている場合あるいは格子状に配置されている場合を示しているが、これに限るものではなく、第1ビアホール電極42が接続される実装用端子20の位置を中心に、他の実装用端子20が等しい距離に配置されていてもよい。このように第1ビアホール電極42が接続される実装用端子20と他の実装用端子20とが等しい距離に配置されることで、電子部品素子14の発熱に起因する、各実装用端子20からの熱をより均等に放熱することができる。なお、第1ビアホール電極42が接続される実装用端子20と他の実装用端子20との距離は、多少短くともあるいは長く配置されてもよい。
【0030】
なお、上述の電子部品10では、基板12が多層基板で形成されているが、これに限られるものではなく、単層基板が用いられてもよい。基板12として単層基板が用いられる場合は、基板12の内部において内部グランド端子32は形成されず、そのため、第2ビアホール電極44も形成されない。
【0031】
また、上述の電子部品10では、基板12としてプリント配線基板が用いられているが、これに限られるものではなく、この発明では、基板12として、セラミック多層基板が用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明にかかる電子部品は、特に、たとえば携帯電話や無線LAN等の無線通信機器に用いられる電子部品素子が実装された電子部品に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0033】
10 電子部品
12 基板
12a 第1主面
12b 第2主面
14 電子部品素子
16 電子部品素子搭載領域
20 実装用端子
22 バンプ
24 接続電極
30 グランド端子
32 内部グランド端子
34、34a、34b 外部グランド端子
40 ビアホール電極
42 第1ビアホール電極
44 第2ビアホール電極
50 信号用端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1主面上に配置される複数の実装用端子と、
前記複数の実装用端子の少なくとも一部を相互に接続する接続電極と、
バンプを介して前記複数の実装用端子と接続されて前記基板に実装される電子部品素子と、
前記基板において前記複数の実装用端子と間隔を隔てて対向して配置されるグランド端子と、
前記複数の実装用端子の数よりも少ない数であり、前記実装用端子と前記グランド端子とを接続するためのビアホール電極と、
を含む、電子部品。
【請求項2】
前記ビアホール電極は、前記複数の実装用端子により構成される端子群における略中央部に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記複数の実装用端子から略等しい距離の位置に前記ビアホール電極を配置することを特徴とする、請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記グランド端子と接続する前記ビアホール電極の径は、前記グランド端子以外の端子と接続するビアホール電極の径よりも大きいことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−84749(P2013−84749A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223409(P2011−223409)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)