説明

電子部品

【課題】製造コストの増大が抑制された電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品は、実装基板200と、実装基板200の上面に搭載される弾性表面波素子100と、実装基板200の裏面上に形成され、弾性表面波素子100と電気的に接続される第1電極層310と、第1電極層310の一部を覆うように実装基板の裏面上に形成されたレジストパターン400とを備える。第1電極層310は複数の裏面電極310a〜310iを含み、裏面電極310a〜310hは互いに一部を共有する2つの電極部から構成されている。レジストパターン400は、2つの電極部のいずれか1つの全体を露出させるように窓開けされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関し、特に、実装基板の裏面上に裏面電極を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話のRF段に弾性表面波装置が用いられるようになっている。例えば特許文献1には、弾性表面波素子を実装基板の上面(実装面)にフリップチップ実装してなる弾性表面波装置が記載されている。実装基板の下面(裏面)には、弾性表面波装置の外部端子である複数の裏面電極と、裏面電極の周囲と覆うソルダーレジストとが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−26623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同じ弾性表面波素子を使用する弾性表面波装置であっても、携帯電話のセットメーカや携帯電話のモデルによって要求される裏面電極の配置は異なる場合があり、裏面電極の配置が異なる実装基板を複数用意する必要があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、異なる裏面電極の配置の要求に適用可能である実装基板を備える電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子部品は、実装面と裏面とを有する基板と、基板の実装面に搭載される電気素子と、基板の裏面上に形成され、電気素子と電気的に接続される複数の裏面電極と、複数の裏面電極を覆うように基板の裏面上に形成された被膜とを備えた電子部品であって、複数の裏面電極の少なくとも1つは複数の電極部から構成されており、複数の電極部のうち隣り合う2つの電極部は互いに一部を共有しており、被膜は、複数の電極部のいずれか1つの全体を露出させるように窓開けされている。
【0007】
1つの実施態様では、上記電子部品において、複数の電極部の各々は矩形状である。
1つの実施態様では、上記電子部品は、弾性表面波装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実装基板の共用が可能となり、その結果、電子部品のコストの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1〜3に係る電子部品としての弾性表面波デュプレクサの回路構成を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す弾性表面波デュプレクサの模式的断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る弾性表面波デュプレクサ(電子部品)における裏面電極を示す図である。
【図4】図3に示す裏面電極上にレジストパターンを形成した状態を示す図(その1)である。
【図5】図3に示す裏面電極上にレジストパターンを形成した状態を示す図(その2)である。
【図6】図3に示す裏面電極の変形例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る弾性表面波フィルタ(電子部品)における裏面電極を示す図である。
【図8】図7に示す裏面電極上にレジストパターンを形成した状態を示す図(その1)である。
【図9】図7に示す裏面電極上にレジストパターンを形成した状態を示す図(その2)である。
【図10】本発明の実施の形態3に係るデュアル弾性表面波フィルタ(電子部品)における裏面電極を示す図である。
【図11】図10に示す裏面電極上にレジストパターンを形成した状態を示す図(その1)である。
【図12】図10に示す裏面電極上にレジストパターンを形成した状態を示す図(その2)である。
【図13】図10に示す裏面電極上にレジストパターンを形成した状態を示す図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0011】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。
【0012】
図1は、後述する実施の形態1〜3に係る電子部品としてのデュプレクサ10の回路構成を模式的に示す図である。
【0013】
図1に示すデュプレクサ10は、たとえば、携帯電話機などのRF回路に搭載されるものである。デュプレクサ10は、UMTS−BAND2に対応するデュプレクサである。UMTS−BAND2の送信周波数帯は、1850〜1910MHzであり、受信周波数帯は、1930〜1990MHzである。
【0014】
デュプレクサ10は、送信フィルタ11と、受信フィルタ12と、送信端子13と、第1の受信端子14Aと、第2の受信端子14Bと、アンテナに接続されるアンテナ端子15とを有する。アンテナ端子15と送信端子13との間に、送信フィルタ11が接続されている。また、アンテナ端子15と第1の受信端子14Aおよび第2の受信端子14Bとの間に、受信フィルタ12が接続されている。アンテナ端子15と送信フィルタ11および受信フィルタ12との間の接続点と、グラウンドとの間には、整合回路を構成するインダクタL1が接続されている。
【0015】
送信フィルタ11は、ラダー型弾性表面波フィルタである。送信フィルタ11は、直列腕共振子S1,S2,S3と、並列腕共振子P1,P2,P3とを有する。直列腕共振子S1,S2,S3と、並列腕共振子P1,P2,P3とのそれぞれは、ひとつの共振子として機能する複数の1ポート型弾性表面波共振子により構成されている。1ポート型弾性表面波共振子のそれぞれは、1つのIDT電極と、IDT電極の弾性表面波伝搬方向両側に配置された2つの反射器とを有する。並列腕共振子P1,P2とグラウンドとの間には、インダクタL2が接続されている。並列腕共振子P3とグラウンドとの間には、インダクタL3が接続されている。送信フィルタ11は、キャパシタC1とインダクタL4とからなるLC共振回路を有する。
【0016】
受信フィルタ12は、平衡−不平衡変換機能を有するバランス型の縦結合共振子型弾性表面波フィルタである。縦結合共振子型弾性表面波フィルタは、4つの3IDT型の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部と、8つの1ポート型弾性波表面共振子とを有する。4つの3IDT型の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部のそれぞれは、3つのIDT電極と、IDT電極の弾性表面波伝搬方向両側に配置された2つの反射器とを有する。8つの1ポート型弾性表面波共振子のそれぞれは、1つのIDT電極と、IDT電極の弾性表面波伝搬方向両側に配置された2つの反射器とを有する。
【0017】
図2は、デュプレクサ10の模式的断面図である。図2に示すように、デュプレクサ10は、弾性表面波素子(電気素子)100と、互いに対向する実装面と裏面とを有する実装基板(基板)200と、実装基板200に形成された電極層300と、実装基板200の裏面側に形成されたレジストパターン(被膜)400とを有する。
【0018】
弾性表面波素子100はタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶などの圧電基板からなり、圧電基板の一方主面にはIDT、配線、パッド電極などの図示しない電極が形成されている。弾性表面波素子100は、パッド電極上に設けられたバンプ500により、実装基板200の実装面にフリップチップ実装されている。そして、弾性表面波素子100は、封止樹脂600によって封止されている。すなわち、デュプレクサ10は、CSP(Chip Size Package)型の弾性表面波デュプレクサである。
【0019】
実装基板200は、第1誘電体層210および第2誘電体層220とからなる。電極300は、第1電極層310と、第2電極層320と、第3電極層330とからなる。第1電極層310は実装基板200の裏面に形成されており、弾性表面波デュプレクサの外部端子である複数の裏面電極を含む。第2電極層320は実装基板200の内部に形成されており、複数の内部配線を含む。第3電極層330は実装基板200の実装面に形成されており、弾性表面波素子100のパッド電極にバンプを介して電気的に接続されている複数のランド電極と、ランド電極に接続されている引き回し配線とを含む。誘電体層210,220と、電極層310,320,330とは、交互に積層されている。そして、第1電極層310、第2電極層320、および第3電極層330は、実装基板の内部で図示しないビアホールを介して電気的に接続されている。誘電体層210,220は、たとえば、樹脂や、アルミナなどのセラミックスなどにより構成することができる。
【0020】
後述する実施の形態1〜3において、弾性表面波素子100は、上記送信フィルタ11のインダクタL2,L3,L4を除いた部分と、受信フィルタ12とが一体に形成されたものである。ただし、本発明においては、送信フィルタ11のインダクタL2,L3,L4を除いた部分が設けられた送信側弾性表面波素子と、受信フィルタ12が設けられた受信側弾性表面波素子とが、それぞれ別体に設けられていてもよい。
【0021】
実施の形態1〜3に係る電子部品は、第1電極層310とレジストパターン400とにその特徴を有するものである。詳細については、後述する。
【0022】
(実施の形態1)
次に、実施の形態1に係る電子部品について図3〜図6を用いて説明する。本実施の形態に係る電子部品は、弾性表面波素子をアルミナから成る実装基板にバンプによりフリップチップ実装した、CSPタイプの弾性表面波デュプレクサである。
【0023】
本実施の形態に係る弾性表面波デュプレクサは、外形寸法が2.5×2.0mmである矩形状の実装基板200を備え、図3に示すように、実装基板200の裏面に形成されている第1電極層310は、複数の裏面電極310a〜310iを含んでいる。このうち、裏面の中央に位置する裏面電極310iを除く、裏面の周縁側に位置する裏面電極310a〜310hのそれぞれは、互いに一部を共有する2つの矩形状電極部から構成されている。すなわち、2つの矩形状電極部のうち、一方の矩形状電極部は他方の矩形状電極部より実装基板200の裏面の中心側に位置しており、一方の矩形状電極部の一角が他方の矩形状電極部と重なるように配置されている。また、本実施の形態では、一方の矩形状電極部の面積は他方の矩形状電極部の面積よりも小さくなっている。
【0024】
さらに、本実施の形態に係る弾性表面波デュプレクサでは、実装基板200の裏面を覆うように絶縁性のレジストパターン400が形成されており、レジストパターン400は裏面電極310a〜310iの一部が露出するように窓開けされている。そして、レジストパターン400は、図4に示すように裏面電極310a〜310hの一方の矩形状電極部の全体が露出するように窓開けされている場合と、図5に示すように裏面電極310a〜310hの他方の矩形状電極部の全体が露出するように窓開けされている場合がある。より具体的には、レジストパターン400はフォトリソグラフィ法を用いて窓開けされており、パターンが異なる2種類のフォトマスクを使い分けることにより、露出領域を異ならせている。ここでは、図4に示す露出領域の配置が2.0×1.6mmの外形寸法である従来の弾性表面波デュプレクサの裏面電極の配置とほぼ一致しており、図5に示す露出領域の配置が2.5×2.0mmの外形寸法である他の従来の弾性表面波デュプレクサの裏面電極の配置とほぼ一致している。
【0025】
このように、本実施の形態に係る弾性表面波デュプレクサでは、レジストパターン400の形状を上記のように使い分けることで、同じ実装基板を用いながら、2種類(2.5×2.0mmおよび2.0×1.6mm)の裏面電極の配置に対応することが可能である。したがって、実装基板の共用が可能となるため、電子部品の製造コストの増大を抑制することができる。
【0026】
また、裏面電極310a〜310hの露出していない部分はレジストパターン400で被覆されているので、弾性表面波デュプレクサを搭載する回路基板における意図しない部分との電気的接触を回避することができる。
【0027】
さらに、本実施の形態に係る弾性表面波デュプレクサは、2.0×1.6mmの外形寸法である従来の弾性表面波デュプレクサより実装基板が大きいため、実装基板における配線の設計自由度も高い。そのため、本実施の形態に係る弾性表面波デュプレクサは、従来の弾性表面波デュプレクサに比べて、良好なアイソレーション特性や減衰特性などを得ることが可能となる。
【0028】
なお、本実施の形態では、裏面電極310dにおける一方の矩形状電極部の一角が切り欠かれているが、これは弾性表面波デュプレクサを実装する方向性を識別するためである。このように、裏面電極310a〜310hを構成する2つの電極部は必ずしも矩形状である必要はない。裏面電極310a〜310hを構成する2つの電極部の形状は、弾性表面波デュプレクサを搭載する回路基板側の電極形状や用途に応じて適宜変更可能である。
【0029】
また、図6に示すように、裏面電極310a〜310iの形状を変形してもよい。図6において、実線で示す部分が変形例の裏面電極310a〜310iである。点線で示す部分は、比較するために、図3の裏面電極310a〜310hを重ね合わせたものである。変形例の裏面電極310a〜310hは、図3の裏面電極310a〜310hの角部(凹んだ部分)を埋める電極が追加されている。このように、裏面電極310a〜310hを構成する2つの電極部は、明確に区分されていなくともよい。
【0030】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る電子部品について図7〜図9を用いて説明する。本実施の形態に係る電子部品は、弾性表面波フィルタである。本発明において、「電子部品」は、上述した弾性表面波デュプレクサに限らず、任意の表面実装品(SMD品)に適用可能である。また、上述した誘電体層210,220は、樹脂プリント基板であってもよい。また、レジストパターン400に代えて、セラミックスのコーティング材を用いて「被膜」を形成してもよい。
【0031】
図7に示すように、本実施の形態に係る弾性表面波フィルタにおいても、実施の形態1と同様に、実装基板200の裏面に形成されている第1電極層310が、複数の裏面電極を含んでいる。ここでは、裏面の周縁側に位置する5つの裏面電極のうち、3つの裏面電極が互いに一部を共有する2つの矩形状電極部から構成されている。このように、裏面の周縁側に位置する裏面電極のすべてが、2つの矩形状電極部から構成されていなくともよい。
【0032】
また、本実施の形態においても、実装基板200の裏面を覆うように絶縁性のレジストパターン400が形成されており、レジストパターン400は、図8に示すように、一方の矩形状電極部の全体を露出させるように窓開けする場合と、図9に示すように、他方の矩形状電極部の全体を露出させるように窓開けする場合がある。このように、レジストパターン400の形状を使い分けることで、同じ実装基板を用いながら、2種類の裏面電極の配置に対応することが可能である。
【0033】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る電子部品について図10〜図13を用いて説明する。本実施の形態に係る電子部品は、デュアル弾性表面波フィルタである。
【0034】
図10に示すように、本実施の形態に係るデュアル弾性表面波フィルタにおいても、実施の形態1、2と同様に、実装基板200の裏面に形成されている第1電極層310が、複数の裏面電極を含んでいる。ここでは、複数の裏面電極が3つの矩形状電極部から構成されており、隣り合う2つの矩形状電極部は互いに一部を共有している。したがって、実装基板200の裏面を覆うレジストパターン400は、図11〜図13に示すように、3つの矩形状電極部の全体がそれぞれ露出するように、窓開けする場合がある。このように、レジストパターン400の形状を使い分けることで、同じ実装基板を用いながら、3種類の裏面電極の配置に対応することが可能である。
【0035】
なお、裏面電極を構成する電極を4つ以上にすることによっては、4種類以上の裏面電極の配置に対応することも、当然可能である。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
10 デュプレクサ、100 弾性表面波素子、200 実装基板、210 第1誘電体層、220 第2誘電体層、300 電極、310 第1電極層、310a〜310i 裏面電極、320 第2電極層、330 第3電極層、400 レジストパターン、500 バンプ、600 封止樹脂。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面と裏面とを有する基板と、
前記基板の前記実装面に搭載される電気素子と、
前記基板の前記裏面上に形成され、前記電気素子と電気的に接続される複数の裏面電極と、
前記複数の裏面電極を覆うように前記基板の前記裏面上に形成された被膜とを備えた電子部品であって、
前記複数の裏面電極の少なくとも1つは複数の電極部から構成されており、
前記複数の電極部のうち隣り合う2つの電極部は互いに一部を共有しており、
前記被膜は、前記複数の電極部のいずれか1つの全体を露出させるように窓開けされている、電子部品。
【請求項2】
前記複数の電極部の各々は矩形状である、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記電子部品は、弾性表面波装置である、請求項1または請求項2に記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−9158(P2013−9158A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140550(P2011−140550)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】