説明

電子部材の製造方法、及び、接着材付ICチップ

本発明は、ウエハより接着剤付きICチップを作成し、キャリアに固着する電子部材の製造方法及び接着材付きICチップに関し、ボイドの発生を防ぎICチップと接着材間の接着力を確保しつつ、ダイシングフィルムにウエハを接着する熱硬化型の接着材をキャリアへ電子部材を固着する際の接着材としても利用することで、安価でかつ工程の簡略化を図るものである。
ベースフィルム上に設けられた熱硬化型の接着材に対して、ウエハを貼り付ける接着材貼り付け工程と、ベースフィルムをダイシングフィルムに貼り付けるダイシングフィルム貼り付け工程と、ウエハと熱硬化型の接着材を切断しICチップに分離するICチップ分離工程と、熱硬化型の接着材が貼り付いたICチップをキャリアに貼り付けるマウント工程と、を含み、接着材貼り付け工程の貼り付け温度において、熱硬化型の接着材の粘度が20,000Pa・s以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハより接着付きICチップを作成し,キャリアに固着する電子部材の製造方法、及び、接着材付ICチップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の製造方法には、熱硬化型の接着材とダイシングフィルムとの間に紫外線硬化型の接着剤を配置したウエハ固定部材を使った方法がある。(例えば、特許文献1参照。)
以下、図6により従来の電子部材の製造方法について説明する。図6の(a)に示すウエハ完成工程では、ウエハ1に素子が形成される。
【0003】
図6の(b)に示す紫外線硬化型接着剤付接着材貼り付け工程は,ウエハ1に熱硬化型の接着材8を貼り付ける。その後,ウエハ1と熱硬化型の接着材8の接着力を上げるため,熱硬化型の接着材8を150℃30秒で半硬化させる。熱硬化型の接着材8の反対面は,予め紫外線硬化型接着剤9とダイシングフィルム4が張り付いている。
【0004】
図6の(c)に示す切断工程は、ウエハ1のダイシングラインに沿ってウエハ1と熱硬化型の接着材8をダイシングソーにより切断し、ダイシング溝5によりICチップ6に分離する。
【0005】
図6の(d)に示す紫外線照射工程は,ダイシングフィルム4を透過して、紫外線硬化型接着剤9に紫外線を照射し,熱硬化型の接着材8と紫外線硬化型接着剤9との接着力を低下させる。
【0006】
図6の(e)に示すマウント工程は,熱硬化型の接着材8の付いたICチップ6をピックアップし、キャリア7に150℃1秒程度押し付け仮接着し,その後180℃2時間程度硬化し,ICチップ6とキャリア7を接着する。
【0007】
また、従来の接着材付ICチップには、紫外線硬化型接着剤が塗ってあるダイシングフィルムの紫外線硬化型接着剤上にさらに熱硬化型の接着材が付いている材料を用意し、この熱硬化型の接着材をウエハに貼り付けた後ダイシングすることにより得られる、ダイシングフィルムに紫外線硬化型接着剤が付いた接着材ICチップがある(例えば、特許文献1参照)。また、薄型ICチップでは、ウエハを先ダイシングし、ウエハ裏面をバックグラインドし、紫外線硬化型接着剤が塗ってあるダイシングフィルムの紫外線硬化型接着剤上にさらに熱硬化型の接着材が付いている材料を用意して、この熱硬化型の接着材を先ダイシングしたウエハに貼り付け再度ダイシングすることにより得られる、ダイシングフィルムに紫外線硬化型接着剤が付いた接着材ICチップがある(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
以下、図7、図8により従来の接着材付ICチップを説明する。図7の接着材付ICチップは、半導体素子形成の前工程が完了したウエハの裏面に、熱硬化型の接着材を貼り付け,ダイシングフィルムの表面に紫外線硬化型接着剤が塗られたダイシングフィルムを熱硬化型の接着材付ウエハに貼り付け、ダイシングソーによりウエハと接着材をダイシングして完成する。ダイシングフィルム24上に紫外線硬化型接着剤26が有り、その上に分離溝25によりICサイズに分離された熱硬化型の接着材27とICチップ21が張り付いている。後工程で、ダイシングフィルム面より紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤26の接着力を低下させる。その後、ICチップ面より真空ピンセット等によりICチップ21をピックアップすることで接着力の低下した、熱硬化型の接着材27と紫外線硬化型接着剤26との界面より剥離し熱硬化型の接着材27が付いたICチップ21がピックアップされ、回路基板等のキャリアに移設される。
【0009】
図8の接着材付ICチップは、前述の図7でウエハ厚が薄くなった場合、熱硬化型の接着材をウエハに貼り付けた時、熱硬化型の接着材の応力によりウエハが大きく反り、ダイシングが行えない等の問題を解決するために提案された構造である。半導体素子形成の前工程が完了したウエハにウエハ裏面より要求ウエハ厚の10から80%の深さの分離溝をダイシング法で形成する。その後、ウエハの裏面を要求厚にバックグラインドする。さらに、ウエハの裏面に、ダイシングフィルムの表面に紫外線硬化型接着剤が塗られさらにその上に熱硬化型の接着材が張ってある材料を貼り付け、ダイシングソーによりウエハと熱硬化型の接着材を前記分離溝よりも小さな幅でダイシングして完成する。ダイシングフィルム24上に紫外線硬化型接着剤26が有り、その上に第2分離溝29によりICサイズに分離された熱硬化型の接着材27とICチップ21が張り付いている。ICチップ21は予めダイシングした第1分離溝28と第2分離溝29により分離される。後工程で、ダイシングフィルム面より紫外線が照射し、紫外線硬化型接着剤26の接着力を低下させる。その後、ICチップ面より真空ピンセット等によりICチップ1をピックアップすることで接着力の低下した、熱硬化型の接着材27と紫外線硬化型接着剤26との界面より剥離し、熱硬化型の接着材27が付いたICチップ21がピックアップされ、回路基板等のキャリアに移設される。
【特許文献1】特開平2−248064号公報
【特許文献2】特開2001−156028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述の電子部材の製造方法には次のような問題点がある。即ち、ダイシング後ダイシングフィルムと熱硬化型の接着材を確実に且つ容易に剥離するべく,ダイシングフィルムと熱硬化型の接着材の間に紫外線硬化型接着剤を挟んでいるため,ダイシングフィルムが高価になり、工程が長くなる等の問題があった。
【0011】
また、前述の接着材付ICチップには次のような問題点がある。即ち、ダイシングフィルムに紫外線硬化型接着剤を使っているため,高価になる等の問題があった。さらに、薄型ウエハでは工程が複雑になる等の問題があった。
【0012】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、電子部材の安価でかつ工程を簡略化できる製造方法、及び、安価でかつ工程を簡略化できる接着剤付ICチップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明にかかる第一の電子部材の製造方法は、ベースフィルム上に設けられた熱硬化型の接着材に対して、ウエハを貼り付ける接着材貼り付け工程と、上記ベースフィルムをダイシングフィルムに貼り付けるダイシングフィルム貼り付け工程と、上記ウエハと上記熱硬化型の接着材を切断しICチップに分離するICチップ分離工程と、上記熱硬化型の接着材が貼り付いた上記ICチップをキャリアに貼り付けるマウント工程と、を含み、上記接着材貼り付け工程の貼り付け温度において、上記熱硬化型の接着材の粘度が20,000Pa・s以下である。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本発明にかかる第二の電子部材の製造方法は、少なくともウエハに熱硬化型の接着材を貼り付ける接着材貼り付け工程と、上記熱硬化型の接着材にダイシングフィルムを貼り付けるダイシングフィルム貼り付け工程と、上記ウエハと上記熱硬化型の接着材を切断しICチップに分離するICチップ分離工程と、上記熱硬化型の接着材が貼り付いた上記ICチップをキャリアに貼り付けるマウント工程とを含み、上記接着材貼り付け工程の貼り付け温度において、上記熱硬化型の接着材の粘度が20,000Pa・s以下である。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明にかかる第三の電子部材の製造方法は、少なくともウエハに、熱硬化型の接着材が付いたベースフィルムを貼り付ける接着材貼り付け工程と、前記ベースフィルムをダイシングフィルムとして用いて上記ウエハと上記熱硬化型の接着材を切断しICチップに分離する切断工程と、上記熱硬化型の接着材が張り付いた上記ICチップをキャリアに貼り付けるマウント工程とを含み、上記接着材貼り付け工程の貼り付け温度において、上記熱硬化型の接着材の粘度が20,000Pa・s以下である。
【0016】
これらの電子部材の製造方法によれば、高価な紫外線硬化型接着剤を使わないため,安価な材料で製造でき、さらに工程を短縮することができ安価な工程を提供できる。
【0017】
また、接着材貼り付け工程での貼り付け時の熱硬化型の接着材の粘度を20,000Pa・s以下にすることで,ウエハとの密着性が向上しウエハと熱硬化型の接着材間のボイドの発生を少なくすることができる。
【0018】
また、特に本発明の第三の電子部品の製造方法では、特に、接着材の基材としてのベースフィルムがダイシングフィルムを兼用するので、低コスト化、廃棄物の低減化ができる。
【0019】
ここで、上述の第一〜第三の電子部品の製造方法において、接着材貼り付け工程の貼り付け温度における熱硬化型の接着材の粘度がさらに100Pa・s以上であることが好ましい。この場合は、接着材の取り扱い性が良好である。
【0020】
また、上記熱硬化型の接着材が、上記接着材貼り付け工程の貼り付け温度で熱硬化反応を開始しないことが好ましい。
【0021】
また、上記接着材貼り付け工程での貼り付け温度は、熱硬化型の接着材の熱硬化開始温度未満であることが好ましい。
【0022】
これらの場合には貼り付け時に接着材が硬化しない。したがって、薄型ウエハの場合でも貼り付け後接着材のストレスによるウエハの反りや伸びを防止でき、さらに切断工程時の接着材からのバリの発生を防止できる。特に、パッケージの薄型化等に伴いウエハが薄くなる場合、熱硬化型の接着材の貼り付け時の熱及びその後の熱キュアにより熱硬化型の接着材が半硬化すると、ウエハと熱硬化型の接着材との間の応力によりウエハが反るため、ダイシングがうまくいかない等の問題が発生する場合があるがこれが解決される。さらに、温度によるキャリアの反り、伸びを無視できるため,位置精度が高く信頼性のある工程を提供できる。
【0023】
また、接着材貼り付け工程で接着材が硬化しないので、マウント工程での接着材とキャリアとの密着性を高くでき、ボイドをさらに低減できる。
【0024】
また、マウント工程の貼り付け温度において、熱硬化型の接着材の粘度が20,000Pa・s以下であることが好ましい。
【0025】
これにより、接着材とキャリアとの十分な密着性を確保でき、キャリアと接着材間のボイドの発生を少なくすることができる。
【0026】
また、マウント工程の貼り付け温度における熱硬化型の接着材の粘度がさらに100Pa・s以上であることが好ましい。
【0027】
この場合は、接着材の取り扱い性が良好である。
【0028】
また、上記熱硬化型の接着材が、上記マウント工程の貼り付け温度で熱硬化反応を開始しないことが好ましい。これによれば、マウント時の接着材とキャリアとの密着性を十分に確保することができる。
【0029】
また、上記熱硬化型の接着材は、フィルム又はペースト状であることが好ましい。
【0030】
この場合、熱硬化型の接着材がフィルム状又はペースト状であるために,接着材を容易に扱うことができる。
【0031】
また、上記切断工程は、ダイシングソーを使うことが好ましい。
【0032】
また、ダイシングソーでICチップを分離することで,安価な製造装置を使うことができる。
【0033】
また、本発明の第二の電子部品の製造方法において、上記熱硬化型の接着材は、予めベースフィルムで覆われていることが好ましい。
【0034】
また、本発明の第二の電子部品の製造方法において、上記ダイシングフィルム貼り付け工程は、上記ベースフィルムを剥がす工程と熱硬化型の接着材にダイシングフィルムを貼り付ける工程とを含むことが好ましい。
【0035】
この場合、予めベースフィルムを剥がすことで、ダイシングフィルムとして接着機能を持たない材料を使うことができる。
【0036】
上記目的を達成するために、本発明にかかる接着剤付ICチップは、ICチップの裏面に接着材が付着された接着材付ICチップにおいて、上記接着材は直接ベースフィルム又はダイシングフィルム上に張り付いており上記接着材は少なくとも熱硬化型樹脂を含んでおり、上記接着材は硬化反応を開始しておらず、上記接着材は、反応を開始する温度以下で粘度が20,000Pa・s以下である。
【0037】
本発明の接着材付ICチップによれば、直接接着材がベースフィルム又はダイシングフィルムに張り付いていることで安価で取り扱いやすく、接着材が熱硬化型樹脂であることでキャリアとの接着力が確保でき、低コストの接着材付ICチップを提供できる。
【0038】
また、接着材が硬化反応を開始していないことでICチップへの応力が少なくダイシング時のバリ発生を防止できる信頼性がある。
【0039】
また、接着材の粘度が反応開始する温度以下で20,000Pa・s以下であることで、反応を開始する前においてICチップとの間のボイドの発生を防ぎICチップと接着材間の接着力を確保できる。また、キャリアとの接着時にもボイドの発生を防ぐことができる。
【0040】
前記接着材は、硬化反応を開始する温度以下で粘度が100Pa・s以上であることが好ましく、これにより十分な接着力を示す。
【0041】
また、上記接着材が硬化反応を開始する温度は、80〜120℃であることが好ましい。
【0042】
硬化反応を開始する温度が80〜120℃である場合、接着材付ICチップを、硬化反応を開始する温度未満、例えば、70〜90℃でキャリアに貼り付けるとキャリアの反り,伸びを無視しやすいため、位置精度が高く信頼性のある工程を提供できる。
【0043】
また、上記接着材は、フィルム状の樹脂であることが好ましい。
【0044】
接着材がフィルム状であることで作成時に扱いやすくなり,ICチップが薄くてもキャリアとの接着時ICチップ表面への這い上がりを容易に防止できる。
【0045】
また、上記ICチップは、厚みが200ミクロン以下であることが好ましい。
【0046】
ICチップの厚みが200ミクロン以下であっても、反りの発生がなく、フィレットコントロールしやすい有効な構造を提供できる。
【0047】
また、接着材の大きさ(平面形状)がICチップとほぼ同じであるとフィレットコントロールがし易い。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、電子部材の安価で工程を簡略化できる製造方法、及び、安価で工程を簡略化できる接着剤付ICチップが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明の第一実施形態に係わる電子部材の製造方法でウエハ完成工程、接着材貼り付け工程、ダイシングフィルム貼り付け工程、ICチップ分離工程、マウント工程を示す説明図である。
【図2】図2は本発明の第二実施形態に係わる電子部材の製造方法でウエハ完成工程、接着材貼り付け工程、ベースフィルム貼り付け工程、ダイシングフィルム貼り付け工程、ICチップ分離工程、マウント工程を示す説明図である。
【図3】図3は本発明の第三実施形態に係わる電子部材の製造方法でウエハ完成工程、接着材貼り付け工程、ICチップ分離工程、マウント工程を示す説明図である。
【図4】図4は本発明の第四実施形態に係わる接着材付ICチップの説明図を示す説明図である。
【図5】図5は本発明の第五実施形態に係わる他の接着材付ICチップの説明図を示す説明図である。
【図6】図6は従来の電子部材の製造方法の説明図である。
【図7】図7は従来の接着材付ICチップの断面図を示す説明図である。
【図8】図8は従来の接着材付ICチップの断面図を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1. ウエハ
2,8. 接着材
3. ベースフィルム
4. ダイシングフィルム
5. ダイシング溝
6. ICチップ
7. キャリア
9. 紫外線硬化型接着剤
21. ICチップ
22,27. 接着材
23. ベースフィルム
24. ダイシングフィルム
25. 分離溝
26. 紫外線硬化型接着剤
28. 第1分離溝
29. 第2分離溝
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
(第一、及び、第二実施形態)
以下図面1及び2に基づいて本発明におけるICチップの実装方法の一例について説明する。図1は本発明の第一実施形態に係わる電子部材の製造方法でウエハ完成工程、接着材貼り付け工程、ダイシングフィルム貼り付け工程、ICチップ分離工程、マウント工程を示す説明図である。
【0052】
先ず、図1(a)のウエハ完成工程は、従来技術と同じであるため説明は省略する。
【0053】
図1(b)に示す接着材貼り付け工程は、ベースフィルム3上に形成されたフィルム状の接着材2を、ラミネータにより、ウエハ1に貼り付ける。貼り付け完了後、仮硬化は実施しない。
【0054】
ベースフィルムとしては、例えば、PETフィルム等を利用できる。
【0055】
接着材としては、接着剤を貼り付ける温度での粘度が20,000Pa・s以下の接着材を用いる。また、取り扱い性の観点からは、接着剤を貼り付ける温度での粘度が100Pa・s以上の接着材を用いることが好ましい。
【0056】
貼り付け温度は、接着材が貼り付けやすい粘度まで下がり、且つ、貼り付け後ウエハに応力を与えないために、接着材が熱硬化反応を開始しない温度であることが望ましい。
【0057】
例えば、具体的な貼り付け温度は、例えば、接着剤の硬化反応を開始する温度が80〜120℃程度であれば、その硬化開始温度未満の温度、例えば、70〜90℃であることが好ましい。このような比較的低温では、ウエハに対して応力が生じにくいので好ましい。
【0058】
また、接着材はフィルム状だけでなく、ペースト状の接着材を直接ウエハに印刷法等の手段で形成しても問題ない。
【0059】
接着材の具体的材料は、熱硬化型の接着材であれば良く、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とするものや熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物であってもかまわない。また、接着材は樹脂成分のみだけでなく、シリカ、銀、金属粒子等を必要に応じて加え絶縁性、導電性、異方導電性を持つことができる。また、概接着材の貼り付け面はウエハの裏面に限らず、表面であっても、又予め表面のパット面にバンプが形成されていても問題はない。
【0060】
具体的には、上述の性質を満足する接着材の材料として、エポキシ樹脂、硬化剤、無機フィラー、及び、ポリエーテルスルホンを含み、エポキシ樹脂及び硬化剤及びポリエーテルスルホンの合計量100重量部あたり無機フィラーが5〜900重量部、エポキシ樹脂及び硬化剤の合計量100重量部あたりポリエーテルスルホンの含有量が5〜100重量部であるフィルム状の材料が好ましい。
【0061】
エポキシ樹脂としては、常温で液状又は固体状を示す従来公知の各種のものが用いられ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ジアリールスルホン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂及びそれらの変性物等が包含される。特に、その溶融粘度が低い点から、常温で固体の結晶性エポキシ樹脂の使用が好ましい。
【0062】
硬化剤は、加熱されるとエポキシ樹脂を硬化させるものであり、例えば、その活性化温度、すなわち、硬化反応開始温度が60〜180℃、好ましくは、80〜120℃の従来公知の各種のものが用いられる。このようなものには、例えば、ジシアンジアミド及びその誘導体、有機酸ヒドラジッド、アミンイミド、ポリアミンの塩、マイクロカプセル型硬化剤、イミダゾール型潜在性硬化剤、酸無水物、フェノールノボラック等が包含される。本実施形態ではカプセル型硬化剤の使用が好ましい。
【0063】
無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、チタニア、水酸化アルミニウム等の従来公知の各種のものが用いられるが、特に流動性及び低線膨張係数の点から、球状溶融シリカの使用が好ましい。
【0064】
このような材料を用いると、80〜120℃程度で熱硬化し未硬化状態での粘度が20,000Pa・s以下である接着剤が好適に得られる。
【0065】
ベースフィルム3上にフィルム状の接着材2を作成する方法としては、接着材2に溶媒を加えたものをベースフィルム3上に塗布し、乾燥させればよい。
【0066】
なお、ベースフィルム3の接着材2と接する面にシリコーン等の離型剤を設けても良い。
【0067】
図1(c)に示すダイシングフィルム貼り付け工程は、ベースフィルム3面にダイシングフィルム4を貼り付ける。
【0068】
ダイシングフィルム4は、ダイシング基材4a上に接着剤4bを設けたものであり、ベースフィルム3が接着剤4bに接着される。接着剤4bは紫外線硬化型のものである必要はない。
【0069】
図1(d)に示すICチップ分離工程は、ダイシングソーを使いウエハ1のダイシングラインに沿って少なくともウエハ1及び接着材2を分離し、且つ少なくともベースフィルム3の一部を残す様にダイシング溝5を形成することでICチップ6を形成する。すなわち、接着剤2はICチップの形状に対応して完全に切断される。
【0070】
図1(e)に示すマウント工程は、接着材2の付いたICチップ6をピックアップし、キャリア7の規定の位置に貼り付ける。このとき、ベースフィルム3から接着材2を剥がすことにより、接着材2の付いたICチップ6を、ダイシングフィルム4からピックアップする。キャリア7は、セラミック基板、リジッド基板、フレキ基板等の回路基板に限らず、ICチップであっても問題はない。
【0071】
これによれば、上述の範囲の粘度の接着剤を用いているので、接着材貼り付け工程において接着材に十分な流動性があり、ウエハ1と接着材2との密着が良くなり、接着材にボイドが発生しにくい。また、この接着材貼り付け工程における温度で接着材が熱硬化しないので、硬化、半硬化させる場合に比してこの工程でウエハに応力がかかりにくく、ウエハが反ることを低減できる。
【0072】
また、ダイシングフィルムにおいて、紫外線硬化型接着剤を使わなくてよいので、低コスト化が図られる。また、UV照射の必要もない。
【0073】
また、ICチップ分離工程でも、この接着材の流動性により、個片化される接着材にバリが生じにくい。
【0074】
また、接着材が所定の流動性を有しするので、マウント工程においても、熱硬化前に接着材とキャリアとの密着が良くなり接着材にボイドが発生しにくい。
【0075】
続いて、第二実施形態について説明する。
【0076】
図2は本発明の第二実施形態に係わる他の電子部材の製造方法でウエハ完成工程、接着材貼り付け工程、ベースフィルム剥離工程、ダイシングフィルム貼り付け工程、ICチップ分離工程、マウント工程を示す説明図である。従来技術と同一部材は同一符号で示す。
【0077】
図2(a)のウエハ完成工程は、従来技術と同じであるため説明は省略する。また、図2(b)の接着材貼り付け工程は、図1(b)の工程と同じであるため説明は省略する。
【0078】
図2(c)のベースフィルム剥離工程は、接着材2よりベースフィルムを剥離する。
【0079】
図2(d)のダイシングフィルム貼り付け工程は、接着材2面に直接ダイシングフィルム4を貼り付ける。接着材2面及びダイシングフィルム4面には他の接着剤は塗られていない。
【0080】
図2(e)に示すICチップ分離工程は、ダイシングソーを使いウエハ1のダイシングラインに沿って少なくともウエハ1と接着材2を分離し、且つ少なくともダイシングフィルム4の一部を残す様にダイシング溝5を形成することでICチップ6を形成する。すなわち、接着剤2はICチップの形状に対応して完全に切断される。
【0081】
図2(f)に示すマウント工程は、接着材2の付いたICチップ6をピックアップし、キャリア7の規定の位置に貼り付ける。このとき、ダイシングフィルム4から接着材2を剥がすことにより、接着材2の付いたICチップ6をピックアップする。キャリア7は、セラミック基板、リジッド基板、フレキ基板等の回路基板に限らず、ICチップであっても問題はない。
【0082】
本実施形態でも第一実施形態と同様の作用効果を奏する。また、接着材2がダイシングフィルム4に直接接着するのでダイシングフィルム4の表面を接着性とする必要がない。
【0083】
また、第二実施形態では、接着材貼り付け工程において、ベースフィルムのない接着材シートを用いても実施は可能である。
【0084】
なお、ベースフィルム3の接着材2と接する面にシリコーン等の離型剤を設けても良い。また、ダイシングフィルム4の接着材2と接する面にシリコーン等の離型剤を介在させても良い。
【0085】
以下に、具体的実施例を示し、本実施形態をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0086】
80℃での粘度が20,000Pa・sで反応開始温度が100℃の25ミクロン厚の接着材がPETフィルム上に貼り付いた材料を、80℃4kgf(4×10Pa)の圧力で200ミクロン厚の8インチウエハにラミネートした。この時点でウエハの反りとウエハと接着材間のボイド(50倍の顕微鏡)を検査した。その後の工程で問題となるようなウエハの反り及びボイドの発生はなかった。その後、ダイシングフィルムにラミネートし、ウエハと接着材を10ミリ角のチップサイズにダイシングした。この時点で接着材のバリ発生とチップ飛びを検査した。共に問題はなかった。その後、ICチップを表面よりピックアップし、80℃でリジッド基板にマウントした。ピックアップも問題なく接着材とPETフィルム間で剥離し、作業上の問題は発生しなかった。また、リジッド基板とICチップ間にボイドの発生はなく、位置精度も問題なかった。
【0087】
<比較例1>
80℃での粘度が25,000Pa・sで他の物性は同じ接着材を実施例1と同じ条件でウエハにラミネートし、ダイシング及びマウントを行った。ウエハに接着後、反りの発生はなかったが、ボイド(50倍の顕微鏡)が若干発生した。ダイシング後の検査ではバリの発生とチップ飛びの問題は発生しなった。その後のピックアップで、一部チップと接着材の間より剥離する問題が発生した。
【0088】
<比較例2>
80℃での粘度が30,000Pa・sで他の物性は同じ接着材を実施例1と同じ条件でウエハにラミネートし、ダイシング及びマウントを行った。ウエハに接着後、反りの発生はなかったが、ボイド(50倍の顕微鏡)が多数発生した。ダイシング後の検査ではバリの発生は無かったが、一部ダイシング時のチップ飛びの問題は発生した。その後のピックアップで、多数のチップと接着材の間より剥離する問題が発生した。
【0089】
<比較例3>
80℃での粘度が100,000Pa・sで反応開始温度が70℃の25ミクロン厚の接着材を紫外線硬化型接着剤付のダイシングフィルムに80℃4kgf(4×10Pa)の圧力で200ミクロン厚の8インチウエハにラミネートし、150℃30秒で1次硬化させた。その後、ウエハと接着材を10ミリ角のチップサイズにダイシングした。その後、ダイシングフィルム面より10秒間紫外線を照射後、ICチップを表面よりピックアップし、150℃でリジッド基板にマウントした。ウエハに接着後、1次硬化後、反りが発生した。ボイド(50倍の顕微鏡)は発生しなった。ダイシング後の検査では接着材に多数のバリの発生があった。ダイシング時のチップ飛びの問題は発生しなかった。その後のピックアップで問題は発生しなかった。
【0090】
(第三実施形態)
続いて、図3に基づいて本発明の第三の実施形態におけるICチップの実装方法について説明する。図3は本発明の第三実施形態に係わる電子部材の製造方法でウエハ完成、接着材貼り付け工程、ICチップ分離工程、マウント工程を示す説明図である。従来技術と同一部材は同一符号で示す。
【0091】
先ず、図3の(a)のウエハ完成工程は、従来技術と同じであるため説明は省略する。
【0092】
図3の(b)に示す接着材貼り付け工程は、ダイシングフィルムを兼用するベースフィルム3上に予め形成されたフィルム状の接着材2をラミネータにより、ウエハ1に貼り付ける。貼り付け完了後、仮硬化は実施しない。貼り付け温度は、接着材が貼り付けやすい粘度まで下がり、且つ貼り付け後ウエハに応力を与えないために、接着材が熱硬化反応を開始しない温度であることが望ましい。例えば、ウエハにストレスを与えにくい好適な貼り付け温度は、接着剤の熱硬化開始温度が80〜120℃程度であればその熱硬化開始温度未満の温度、具体的には,例えば、70〜90℃程度である。ここでは貼り付け温度での粘度が20,000Pa・s以下の接着材を用いる。また、接着材はフィルム状だけでなく、ペースト状の接着材を予めベースフィルム上に印刷法等の手段で形成しても問題ない。
【0093】
接着材の材料は、熱硬化型の接着材であればよく、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とするものや熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物であってもかまわない。また、接着材は樹脂成分のみだけでなく、シリカ、銀、金属粒子等を必要に応じて加え絶縁性、導電性、異方導電性を持つことができる。また、概接着材の貼り付け面はウエハの裏面に限らず、表面であっても、又予め表面のパット面にバンプが形成されていても問題はない。言い換えると、接着材2については、第一実施形態と同様であり、貼り付け温度についても第一実施形態と同様である。
【0094】
図3の(c)に示すICチップ分離工程は、ダイシングソーを使いウエハ1のダイシングラインに沿って少なくともウエハ1と接着材2を分離し、且つ少なくともベースフィルム3の一部を残す様にダイシング溝5を形成することでICチップ6を形成する。すなわち、ベースフィルム3がダイシングフィルムとして機能する。このとき、接着剤2はICチップの形状に対応して完全に切断される。
【0095】
図3の(d)に示すマウント工程は、接着材2の付いたICチップ6をピックアップし、キャリア7の規定の位置に貼り付ける。このとき、ベースフィルム3から接着材2を剥がすことにより、接着材2の付いたICチップ6をピックアップする。キャリア7は、セラミック基板、リジッド基板、フレキ基板等の回路基板に限らず、ICチップであっても問題はない。
【0096】
本実施形態によれば、第一実施形態と同様の作用効果を示すのに加えて、接着材2の支持基材であるベースフィルム3がダイシングフィルム、すなわち、切断工程においてそれ自身が完全に切断されずに各ICチップを固定するフィルムとして機能するので、低コスト化、廃棄物の低減の効果がある。
【0097】
なお、ベースフィルム3の接着材2と接する面にシリコーン等の離型剤を設けても良い。
【0098】
以下に、具体的実施例を示し、本実施形態をさらに詳細に説明する。
【0099】
<実施例1>
80℃での粘度が20,000Pa・sで反応開始温度が100℃の25ミクロン厚の接着材がダイシングフィルム上に貼り付いた材料を、80℃4kgf(4×10Pa)の圧力で200ミクロン厚の8インチウエハにラミネートした。この時点でウエハの反りとウエハと接着材間のボイド(50倍の顕微鏡)を検査した。その後の工程で問題となるようなウエハの反り及びボイドの発生はなかった。その後、ウエハと接着材を10ミリ角のチップサイズにダイシングした。この時点で接着材のバリ発生とチップ飛びを検査した。共に問題はなかった。その後、ICチップを表面よりピックアップし、80℃でリジッド基板にマウントした。ピックアップも問題なく接着材とダイシングフィルム間で剥離し、作業上の問題は発生しなかった。また、リジッド基板とICチップ間にボイドの発生はなく、位置精度も問題なった。
【0100】
<比較例1>
80℃での粘度が25,000Pa・sで他の物性は同じ接着材を実施例1と同じ条件でウエハにラミネートし、ダイシング及びマウントを行った。ウエハに接着後、反りの発生はなかったが、ボイド(50倍の顕微鏡)が若干発生した。ダイシング後の検査ではバリの発生とチップ飛びの問題は発生しなった。その後のピックアップで、一部チップと接着材の間より剥離する問題が発生した。
【0101】
<比較例2>
80℃での粘度が30,000Pa・sで他の物性は同じ接着材を実施例1と同じ条件でウエハにラミネートし、ダイシング及びマウントを行った。ウエハに接着後、反りの発生はなかったが、ボイド(50倍の顕微鏡)が多数発生した。ダイシング後の検査ではバリの発生は無かったが、一部ダイシング時のチップ飛びの問題は発生した。その後のピックアップで、多数のチップと接着材の間より剥離する問題が発生した。
【0102】
<比較例3>
80℃での粘度が100,000Pa・sで反応開始温度が70℃の25ミクロン厚の接着材を紫外線硬化型接着剤付のダイシングフィルムに80℃4kgf(4×10Pa)の圧力で200ミクロン厚の8インチウエハにラミネートし、150℃30秒で1次硬化させた。その後、ウエハと接着材を10ミリ角のチップサイズにダイシングした。その後、ダイシングフィルム面より10秒間紫外線を照射後、ICチップを表面よりピックアップし、150℃でリジッド基板にマウントした。ウエハに接着後、1次硬化後、反りが発生した。ボイド(50倍の顕微鏡)は発生しなった。ダイシング後の検査では接着材に多数のバリの発生があった。ダイシング時のチップ飛びの問題は発生しなかった。その後のピックアップで問題は発生しなかった。
【0103】
(第四及び第五実施形態)
以下図面に基づいて本発明におけるICチップの実装方法の実施形態について説明する。図4は本発明の第四実施形態に係わる接着材付ICチップの断面図である。図5は本発明の第五実施形態に係わる他の接着材付ICチップの断面図である。従来技術と同一部材は同一符号で示す。
【0104】
図4は、ベースフィルム上に直接接着材の付いた材料をウエハに貼り付け、さらにベースフィルムをダイシングフィルムに貼り付けダイシングし、接着材付ICチップを作成したものである。ダイシングフィルム24上にベースフィルム23が張り付き,ベースフィルム23上に直接、接着材22が接着され、その上にICチップ21が接着されている。ICチップ21と接着材22は分離溝25により隣のICチップと接着材と分離している。接着材22の大きさはほぼICチップ21の大きさであり、接着材が硬化していないため,ICチップには反りは発生していない。
【0105】
接着材22は第一実施形態の接着材2と同じである。
【0106】
ダイシングフィルム24は、ダイシング基材24a上に接着剤24bが設けられたものであり、ベースフィルム23を接着剤24bに接着する。接着剤24bは紫外線硬化型のものである必要はない。
【0107】
この接着剤付ICチップの態様は、第一実施形態の図1の(d)の状態の接着剤付ICチップと同じである。
【0108】
図5は、ベースフィルムとダイシングフィルムを共用した構造である。ダイシングフィルム(ベースフィルム)上に直接接着材の付いた材料をウエハに貼り付け、ダイシングし、接着材付ICチップを作成する。ダイシングフィルム24上に直接接着材22が接着され、その上にICチップ21が接着されている。ICチップ21と接着材22は分離溝25により隣のICチップと接着材と分離している。接着材22の大きさはほぼICチップ21の大きさであり、接着材が硬化していないため,ICチップには反りは発生していない。
【0109】
この接着剤付ICチップの態様は、第二実施形態の図2の(e)の状態の接着剤付ICチップ及び第三実施形態の図3の(c)の状態の接着剤付ICチップと同じである。
【0110】
本実施形態の接着材付ICチップによれば、直接接着材がベースフィルム又はダイシングフィルムに張り付いていることで安価で取り扱いやすく、接着材の大きさがICチップとほぼ同じことでフィレットコントロールがし易く、接着材が熱硬化型樹脂であることでキャリアとの接着力が確保でき、低コストの接着材付ICチップを提供できる。また、接着材が硬化反応を開始していないことでICチップへの応力が少なくダイシング時のバリ発生を防止できる信頼性がある。
【0111】
また、接着材の粘度が、反応開始する温度以下で20,000Pa・s以下であることで、熱反応を開始する前においてICチップとの間のボイドの発生を防ぎICチップと接着材間の接着力を確保できる。また、キャリアとの接着時にもボイドの発生を防ぐことができる。ここで、接着材の粘度が100Pa・s以上であることが好ましい。
【0112】
ここで、接着材が熱硬化反応を開始する温度は、80〜120℃であることが好ましい。
【0113】
熱硬化反応を開始する温度が80〜120℃である場合、接着材付ICチップを、熱硬化反応を開始する温度未満でキャリアに貼り付けると、貼り付け温度を例えば、70℃〜90℃程度とすることができ、,温度によるキャリアの反り,伸びを無視できるため、位置精度が高く信頼性のある工程を提供できる。
【0114】
また、接着材がフィルム状の樹脂であると、作成時に扱いやすくなり,ICチップが薄くてもキャリアとの接着時ICチップ表面への這い上がりを容易に防止できる。
【0115】
また、本実施形態では、ICチップの厚みが200ミクロン以下であっても、反りの発生がなく、フィレットコントロールしやすい。
【0116】
以下に、具体的実施例を示し、本実施形態をさらに詳細に説明する。
【0117】
<実施例1>
80℃での粘度が20,000Pa・sで反応開始温度が100℃の25ミクロ厚の接着材がPETフィルム上に貼り付いた材料を、80℃4kgf(4×10Pa)の圧力で200ミクロン厚の8インチウエハにラミネートした。この時点でウエハの反りとウエハと接着材間のボイド(50倍の顕微鏡)を検査した。その後の工程で問題となるようなウエハの反り及びボイドの発生はなかった。その後、ダイシングフィルムにラミネートし、ウエハと接着材を10ミリ角のチップサイズにダイシングした。この時点で接着材のバリ発生とチップ飛びを検査した。共に問題はなかった。その後、ICチップを表面よりピックアップし、80℃でリジッド基板にマウントした。ピックアップも問題なく接着材とPETフィルム間で剥離し、作業上の問題は発生しなかった。リジッド基板との間にもボイドの発生は無かった。さらに、接着材を150℃1時間の条件で硬化した。
【0118】
<比較例1>
80℃での粘度が25,000Pa・sで他の物性は同じ接着材を実施例1と同じ条件でウエハにラミネートし、ダイシング及びマウントを行った。ウエハに接着後、反りの発生はなかったが、ボイド(50倍の顕微鏡)が多数発生した。ダイシング後の検査ではバリの発生は無かったが、一部ダイシング時のチップ飛びの問題は発生した。その後のピックアップで、多数のチップと接着材の間より剥離する問題が発生した。
【0119】
<比較例2>
80℃での粘度が100,000Pa・sで反応開始温度が70℃の25ミクロン厚の接着材を紫外線硬化型接着剤付のダイシングフィルムに80℃4kgf(4×10Pa)の圧力で200ミクロン厚の8インチウエハにラミネートし、150℃30秒で1次硬化させた。その後、ウエハと接着材を10ミリ角のチップサイズにダイシングした。その後、ダイシングフィルム面より10秒間紫外線を照射後、ICチップを表面よりピックアップし、150℃でリジッド基板にマウントした。ウエハに接着後、1次硬化後、反りが発生した。ボイド(50倍の顕微鏡)は発生しなった。ダイシング後の検査では接着材に多数のバリの発生があった。ダイシング時のチップ飛びの問題は発生しなかった。その後のピックアップで問題は発生しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルム上に設けられた熱硬化型の接着材に対して、ウエハを貼り付ける接着材貼り付け工程と、
前記ベースフィルムをダイシングフィルムに貼り付けるダイシングフィルム貼り付け工程と、
前記ウエハと前記熱硬化型の接着材を切断しICチップに分離するICチップ分離工程と、
前記熱硬化型の接着材が貼り付いた前記ICチップをキャリアに貼り付けるマウント工程と、
を含み、
前記接着材貼り付け工程の貼り付け温度において、前記熱硬化型の接着材の粘度が20,000Pa・s以下である電子部材の製造方法。
【請求項2】
少なくともウエハに熱硬化型の接着材を貼り付ける接着材貼り付け工程と、
前記熱硬化型の接着材にダイシングフィルムを貼り付けるダイシングフィルム貼り付け工程と、
前記ウエハと前記熱硬化型の接着材を切断しICチップに分離するICチップ分離工程と、
前記熱硬化型の接着材が貼り付いた前記ICチップをキャリアに貼り付けるマウント工程と、
を含み、
前記接着材貼り付け工程の貼り付け温度におにおいて、前記熱硬化型の接着材の粘度が20,000Pa・s以下である電子部材の製造方法。
【請求項3】
前記熱硬化型の接着材は、予めベースフィルムで覆われていることを特徴とする請求項2記載の電子部材の製造方法。
【請求項4】
前記ダイシングフィルム貼り付け工程は、前記ベースフィルムを剥がす工程と前記熱硬化型の接着材にダイシングフィルムを貼り付ける工程を含む請求項3記載の電子部材の製造方法。
【請求項5】
少なくともウエハに、熱硬化型の接着材が付いたベースフィルムを貼り付ける接着材貼り付け工程と、
前記ベースフィルムをダイシングフィルムとして用いて前記ウエハと前記熱硬化型の接着材を切断しICチップに分離する切断工程と、
前記熱硬化型の接着材が貼り付いた前記ICチップをキャリアに貼り付けるマウント工程と、
を含み、
前記接着材貼り付け工程の貼り付け温度において、前記熱硬化型の接着材の粘度が20,000Pa・s以下である電子部材の製造方法。
【請求項6】
前記接着材貼り付け工程の貼り付け温度における前記熱硬化型の接着材の粘度がさらに100Pa・s以上である請求項1〜5記載の電子部材の製造方法。
【請求項7】
前記接着材貼り付け工程の貼り付け温度において、前記熱硬化型の接着材は熱硬化反応を開始しない請求項1〜6のいずれかに記載の電子部材の製造方法。
【請求項8】
前記接着材貼り付け工程の貼り付け温度は、前記熱硬化型の接着材の熱硬化開始温度未満である請求項1〜6記載の電子部材の製造方法。
【請求項9】
前記マウント工程の貼り付け温度において、前記熱硬化型の接着材の粘度が20,000Pa・s以下である請求項1〜8記載の電子部材の製造方法。
【請求項10】
前記マウント工程の貼り付け温度において、前記熱硬化型の接着材の粘度が100Pa・s以上である請求項9記載の電子部材の製造方法。
【請求項11】
前記マウント工程の貼り付け温度において、前記熱硬化型の接着材は熱硬化反応を開始しない請求項1〜10のいずれかに記載の電子部材の製造方法。
【請求項12】
前記マウント工程の後に、前記熱硬化型の接着材を加熱して熱硬化反応を開始させる工程をさらに含む請求項1〜11に記載の電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記熱硬化型の接着材は、フィルム又はペースト状である請求項1〜12記載の電子部材の製造方法。
【請求項14】
前記切断工程は、ダイシングソーを使う請求項1〜13記載の電子部材の製造方法。
【請求項15】
ICチップの裏面に接着材が付着された接着材付ICチップにおいて、前記接着材は直接ベースフィルム又はダイシングフィルムに張り付いており、前記接着材は少なくとも熱硬化型樹脂を含んでおり、前記接着材は硬化反応を開始しておらず、前記接着材は、硬化反応を開始する温度以下で粘度が20,000Pa・s以下である接着材付ICチップ。
【請求項16】
前記接着材は、硬化反応を開始する温度以下で粘度が100Pa・s以上である請求項15記載の電子部材の製造方法。
【請求項17】
前記接着材が前記硬化反応を開始する温度は、80〜120℃である請求項15〜16記載の接着材付ICチップ。
【請求項18】
前記接着材は、フィルム状の樹脂である請求項15〜17記載の接着材付ICチップ。
【請求項19】
前記ICチップは、厚みが200ミクロン以下である請求項15〜18記載の接着材付ICチップ。
【請求項20】
前記接着材の大きさは前記ICチップとほぼ同じである請求項15〜19記載の接着材付ICチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【国際公開番号】WO2005/036633
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514605(P2005−514605)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014865
【国際出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】