説明

電子部材の製造方法

【課題】従来の方法では凹版印刷および平板印刷に向かなかったインクであっても、凹版印刷および平板印刷で印刷することの可能な電子部材の製造方法を提供する。
【解決手段】下記の関係式(1)、(2)を満たす電子材料層および粘着材料層を積層してなる積層インクが、凹版を用いて基材の表面に直接転写される。これにより、電子材料層が凹版印刷に向かない性質を有している場合であっても、粘着材料層の性質を活かして、電子材料層を含む積層インクを基材上に滲みなく印刷することができる。
E2<E3<E1またはE1<E3<E2…(1)
|E1−E2|>|E3−E2|…(2)
E1:版面の表面自由エネルギー
E2:電子材料層の表面自由エネルギー
E3:粘着材料層の表面自由エネルギー

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、導電膜を含む電子部材の製造方法に関し、例えば、タッチパネルやディスプレイなどの電子デバイスに含まれる配線や薄膜トランジスタの製造に好適な電子部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種印刷法を使った導電膜の形成は、タッチパネルやディスプレイなどの電子デバイスの低コスト化に有効な手法であり、近年盛んに研究開発されている。印刷方法は、各種デバイスに求められる配線の太さに応じて使い分けられている。電子デバイスによく用いられる数十μm程度の太さの配線をパターン印刷する方法としては、凹版印刷や平板印刷が非常に有効である。
【0003】
従来の凹版印刷および平板印刷では、使用するインクが、版から適度にはがれやすく、転写先の基材上で変形しない特徴を有する必要があった。しかし、導電膜に使用されるインクの中には上記のような印刷に適さないものもある。その場合には、上記のような特徴のインクになるように、インクに高分子を添加したり、インクの濃度を上げたりする工夫が一般になされる。ところが、これらの手法では高導電性の薄膜を得ることは困難である。
【0004】
グラビア印刷法では、インクを乾燥しながら印刷することにより、通常では印刷に不向きなインクもパターニングできるという技術がある。しかし、この手法は、導電膜の印刷には不向きである。なぜなら、不均一な乾燥工程を経て、インクの濃度が変化すると導電性物質が不均一に凝集し、印刷後の導電膜の導電性が劣化するからである。
【0005】
これを回避できる技術として、基材上に親水性部分と撥液性部分を形成しパターニングするという従来技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−76189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の手法では、導電膜上に、導電膜とは異なるパターンの膜を形成することが困難になる場合がある。このように、従来の手法では、タッチパネルやディスプレイなどの電子デバイスの配線や薄膜トランジスタなどの電子部材を印刷で製造することが容易ではないという問題があった。
【0008】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、従来の方法では凹版印刷および平板印刷に向かなかったインクであっても、凹版印刷および平板印刷で印刷することの可能な電子部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術による電子部材の製造方法は、以下の2つの工程を含むものである。
(1)凹部を有する凹版の凹部、または親液部分および撥液部分を有する平版の親液部分に、電子材料層および粘着材料層が凹部または親液部分の底面側からこの順に積層された積層インクを配置する第1工程
(2)積層インクを直接、基材の表面に転写するか、またはブランケットに一旦転写したのち基材の表面に転写する第2工程
【0010】
本技術による電子部材の製造方法において、電子材料層および粘着材料層の表面自由エネルギーは、少なくとも以下の関係式(1)、(2)を満たしており、以下の関係式(1)〜(3)を全て満たしていることが好ましい。
E2<E3<E1またはE1<E3<E2…(1)
|E1−E2|>|E3−E2|…(2)
|E1−E3|>|E3−E2|…(3)
E1:凹部または親液部分の底面の表面自由エネルギー
E2:電子材料層の表面自由エネルギー
E3:粘着材料層の表面自由エネルギー
【0011】
ここで、上記の関係式(1)は、凹部または親液部分の底面の親水疎水の性質(性質A)と、電子材料層の親水疎水の性質(性質B)と、粘着材料層の親水疎水の性質(性質C)とが互いに異なっていることを意味している。また、上記の関係式(2)は、性質Bが性質Aと比べて、性質Cに近いことを意味している。つまり、電子材料層は、粘着材料層との密着性が良く、凹部または親液部分の底面との剥離性が良いという性質を有している。また、上記の関係式(3)は、性質Cが性質Aと比べて、性質Bに近いことを意味している。つまり、粘着材料層は、電子材料層との密着性が良く、凹部または親液部分の底面との剥離性が良いという性質を有している。
【0012】
本技術による電子部材の製造方法では、上記の関係式(1),(2)を満たす電子材料層および粘着材料層を積層してなる積層インクが、凹版または平版を用いて、基材の表面に直接転写されか、またはブランケットに一旦転写したのち基材の表面に転写される。これにより、電子材料層が凹版印刷および平板印刷に向かない性質を有している場合であっても、粘着材料層の性質を活かして、電子材料層を含む積層インクを基材上に滲みなく印刷することができる。
【0013】
ところで、ブランケット、電子材料層および粘着材料層の表面自由エネルギーは、以下の関係式(4)を満たしていることが好ましい。
|E1−E2|>|E4−E3|>|E3−E2|…(4)
E4:ブランケットの表面自由エネルギー
【0014】
ここで、上記の関係式(4)は、ブランケットと粘着材料層との密着性が、「電子材料層と凹部または親液部分の底面との密着性」よりも高く、「電子材料層と粘着材料層との密着性」よりも低いことを意味している。なお、ブランケットの硬度、ブランケットの溶媒による膨潤度合い、印刷速度などを適宜制御することで、印刷性を改善することも可能である。
【0015】
本技術における第1工程において、例えば、凹版の凹部、または平版の親液部分に、液状電子材料層を配置し乾燥させて電子材料層を形成したのち、電子材料層の上に粘着材料層を配置することにより、積層インクを形成するようにしてもよい。このようにした場合には、電子材料層による印刷にじみをなくすることができる。
【0016】
また、本技術における第1工程において、例えば、凹版の凹部、または平版の親液部分に、電子材料および粘着材料が複合された複合インクを配置し、液状電子材料層と粘着材料層とに層分離させることにより、積層インクを形成するようにしてもよい。このようにした場合にも、電子材料層による印刷にじみをなくすることができる。
【0017】
また、本技術では、電子材料層の粘度を印刷用に最適化しなくても、粘着材料層で転写性を担保させることができる。これにより、例えば、電子材料層が、酸化物系透明導電性物質、金属、導電性ポリマーおよびナノカーボンの中から選択された少なくとも1種類の材料を含有する溶液、またはその溶液を乾燥させたものとなっている場合であっても、上記材料本来の特性を損なうことなく、電子材料層を基材上に滲みなく印刷することができる。なお、上記の酸化物系透明導電性物質は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、またはZnOなどを含む。また、上記の金属は、例えば、Ag(銀)、またはCu(銅)などを含む。
【0018】
また、本技術において、電子材料層は、例えば、導電層または半導体材料層となっていてもよい。導電層は、透明導電層と非透明導電層に分けることができる。ここで、透明導電層としては、例えば、ITO、GZOまたはZnOなどの酸化物系透明導電性物質が挙げられる。また、非透明導電層は、例えば、Ag、またはCuなどの非透明導電性材料が挙げられる。半導体材料層は、例えば、有機半導体、または酸化物半導体などからなる。電子材料層が酸化物系透明導電性物質からなる場合には、基材上に印刷した電子材料層を、例えば、タッチパネルやディスプレイなどの電子デバイスの配線として用いることができる。また、電子材料層が半導体材料層となっている場合には、基材上に印刷した電子材料層を、例えば、タッチパネルやディスプレイなどの電子デバイスに含まれる薄膜トランジスタとして用いることができる。
【0019】
なお、電子材料層が透明導電層である場合には、粘着材料層も透明となっている必要がある。粘着材料層として適用可能な透明な材料としては、例えば、PVDF、ポリカーボネート、ポリスチレン、EVAなどが挙げられる。
【0020】
また、基材上に印刷した電子材料層を、例えば、タッチパネルやディスプレイなどの電子デバイスに含まれる配線や薄膜トランジスタとして用いる場合には、電子材料層および粘着材料層は、例えば、ナノメーターオーダーの膜厚となっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本技術による電子部材の製造方法によれば、凹版印刷および平板印刷に用いるインクを、電子材料層および粘着材料層を積層してなる積層インクにしたので、粘着材料層を凹版印刷および平板印刷に適した性質にしておくことにより、従来の方法では凹版印刷および平板印刷に向かなかった電子材料層を、凹版印刷および平板印刷で印刷することができる。その結果、凹版印刷または平板印刷で印刷した電子材料層を含む積層インクを、例えば、タッチパネルやディスプレイなどの電子デバイスに含まれる配線や薄膜トランジスタなどの電子部材として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態に係る電子部材の製造方法の一例を表す断面図である。
【図2】図1の製造方法の他の例を表す断面図である。
【図3】第2の実施の形態に係る電子部材の製造方法の一例を表す断面図である。
【図4】図3の製造方法の他の例を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態
凹版印刷で電子部材を製造する例
2.第2の実施の形態
平版印刷で電子部材を製造する例
3.実施例
【0024】
<1.第1の実施の形態>
図1(A)〜(E)は、第1の実施の形態に係る電子部材の製造方法の一例を表すものである。本実施の形態では、凹版100を用いて、電子部材を印刷により製造する。
【0025】
電子部材の印刷について説明する前に、まず、凹版100について説明する。凹版100は、例えば、図1(A)に示したように、版面100A上に凹部110を備えている。凹版100は、図1(A)に示したような平板状の版であってもよいし、図示しないがドラム状の版であってもよい。凹部110は、電子部材の用途に応じたパターン形状となっている。例えば、電子部材を、配線として用いる場合には、凹部110は、その配線形状に対応した形状となっている。また、例えば、電子部材を、TFT(Thin Film Transistor)のチャネル層として用いる場合には、凹部110は、そのチャネル層の形状に対応した形状となっている。
【0026】
凹部110の深さDは、以下に説明するように、場合によって様々である。例えば、電子部材を、タッチパネルやディスプレイなどの電子デバイスに含まれる配線として用いる場合に、その電子部材を、配線として機能する配線層を含む積層物で構成するときには、凹部110の深さDは、その積層物の厚さと等しくなっている。ここで、電子デバイスで許容される配線としての厚さの上限が、1μm未満(つまりナノメーターオーダー)となっている場合には、凹部110の深さDも、1μm未満となっていることが必要である。
【0027】
同様のことは、電子部材を、TFTのチャネル層として用いる場合にもいえる。例えば、電子部材を、TFTのチャネル層として用いる場合に、その電子部材を、チャネル層を含む積層物で構成するときには、凹部110の深さDは、その積層物の厚さと等しくなっている。ここで、電子デバイスで許容されるチャネル層としての厚さの上限が、数百nm以下となっている場合には、凹部110の深さDも、数百nm以下となっていることが必要である。
【0028】
凹版100の版面100Aは、例えば、ガラスやステンレスなどの硬度の高い材料で構成されている。版面100Aに塗布されるインクの材料は、版面100Aの表面自由エネルギーを勘案して選択される。場合によっては、版面100Aに塗布されるインクの表面自由エネルギーを勘案して、版面100Aの材料が選択される。版面100Aに塗布されるインクとしては、例えば、電子材料を含有する液状インクや、粘着材料を含有するインクが挙げられる。
【0029】
電子材料とは、導電性材料や半導体材料などの、電子デバイスに使用される材料を指している。導電性材料は、例えば、酸化物系透明導電性物質、金属、導電性ポリマーおよびナノカーボンの中から選択された少なくとも1種類の材料である。上記の酸化物系透明導電性物質は、例えば、ITO、GZO、またはZnOなどを含む。また、上記の金属は、例えば、Ag、またはCuなどを含む。導電性材料の光透過性は、用途に応じて異なる。導電性材料が、例えば、タッチパネルの検出電極や、透過型ディスプレイパネルの電極として用いられる場合には、導電性材料は、光透過性の高い材料(例えばITOや導電性ポリマー)であることが好ましい。導電性材料が、例えば、反射型または半透過型のディスプレイパネルの反射電極として用いられる場合には、導電性材料は、光透過性の低い金属材料(例えばAg)であることが好ましい。半導体材料は、例えば、有機半導体、または酸化物半導体などである。
【0030】
粘着材料は、上記の電子材料との密着性が高く、しかも版面100Aとの剥離性が高い材料である。ここで、本技術の効果を実現するにあたり、粘着材料層は表面自由エネルギーの関係式を満たすものであれば特に限定されない。しかしながら、目的とするデバイスに透明性が必要であるならば、電子材料層および粘着材料層は透光性を有する必要がある。粘着材料層として適用可能な透明な材料としては、例えば、PVDF、ポリカーボネート、ポリスチレン、EVAなどが挙げられる。また、粘着材料層を、導電層、または、半導体材料層である電子材料層の絶縁層として利用する場合には、絶縁性の材料である必要がある。このように、粘着材料は最終形態の目的に合わせて適宜選定される。
【0031】
ここで、版面100Aと、電子材料を含有する液状インク(液状電子材料層)を乾燥させたもの(電子材料層)と、粘着材料を含有するインク(粘着材料層)との表面自由エネルギーは、少なくとも以下の関係式(1)、(2)を満たしており、以下の関係式(1)〜(3)を全て満たしていることが好ましい。
E2<E3<E1またはE1<E3<E2…(1)
|E1−E2|>|E3−E2|…(2)
|E1−E3|>|E3−E2|…(3)
E1:版面100Aの表面自由エネルギー
E2:電子材料層の表面自由エネルギー
E3:粘着材料層の表面自由エネルギー
【0032】
ここで、上記の関係式(1)は、版面100Aの親水疎水の性質(性質A)と、電子材料層の親水疎水の性質(性質B)と、粘着材料層の親水疎水の性質(性質C)とが互いに異なっていることを意味している。また、上記の関係式(2)は、性質Bが性質Aと比べて、性質Cに近いことを意味している。つまり、電子材料層は、粘着材料層との密着性が良く、版面100Aとの剥離性が良いという性質を有している。また、上記の関係式(3)は、性質Cが性質Aと比べて、性質Bに近いことを意味している。つまり、粘着材料層は、電子材料層との密着性が良く、版面100Aとの剥離性が良いという性質を有している。
【0033】
版面100Aに塗布されるインクの粘度は、凹版100の物性や電子部材の用途などを勘案して調整される。凹版印刷に適したインク粘度は、通常、0.5Pa・S以上50Pa・S以下となっている。液状電子材料層の粘度は、ポリマーを添加したり、電子材料の添加量を調整したりすることによって調整可能である。しかし、そのような調整を行うと、液状電子材料層を乾燥させたときに電子材料層の特性が劣化する虞がある。そこで、液状電子材料層の粘度は、液状電子材料層を乾燥させたときに電子材料層として必要とされる特性が得られる粘度にしておくことが好ましい。液状電子材料層の粘度をそのような観点から設定した場合に、液状電子材料層の粘度が、凹版印刷に適したインク粘度よりも極端に低い粘度となってしまう場合もある。しかし、本実施の形態では、後述する印刷方法を採ることにより、液状電子材料層の粘度が問題となることはない。一方、粘着材料層の粘度は、凹版印刷に適したインク粘度となっていることが好ましい。なお、粘着材料層に溶剤が用いられている場合には、その溶剤が電子材料層を溶解させにくい材料であることが好ましい。
【0034】
次に、図1(A)〜(E)を参照しつつ、本実施の形態の電子部材の製造方法の一例について説明する。
【0035】
まず、版面100Aに凹部110を備えた凹版100を用意する(図1(A))。次に、版面100Aに、上述の電子材料を含有する液状インクを滴下したのち、例えばスキージ(図示せず)を版面100Aで滑らせる。これにより、液体電子材料層10Aが凹部110内に形成(例えば充填)される(図1(B))。このとき、互いに隣接する凹部110内の液体電子材料層10A同士は、空間分離されている。なお、スキージの種類は、特に限定されるものではない。スキージは、インクの溶媒、濡れ性、酸性度によって適宜適したものであればよい。
【0036】
次に、凹部110内の液体電子材料層10Aを乾燥させ、凹部110内に、乾燥した電子材料層10を形成する(図1(C))。このとき、電子材料層10が、例えば、図1(C)に示したように、凹部110の内壁全体を覆うように形成されている。なお、凹部110の内壁の濡れ性によっては、電子材料層10が、凹部110の底にだけ形成されることもある。
【0037】
電子材料層10の厚さは、電子材料層10の用途に応じて異なる。電子材料層10が、例えば、タッチパネルの検出電極や、透過型ディスプレイパネルの電極として用いられる場合には、電子材料層10の厚さは、ナノメートルオーダーの厚さ(典型的には数十nm以上、数百nm以下の厚さ)となっている。また、電子材料層10が、例えば、TFTのチャネル層として用いられる場合には、電子材料層10の厚さは、ナノメートルオーダーの厚さ(典型的には数nm以上、数百nm以下の厚さ)となっている。
【0038】
なお、液体電子材料層10Aを1回塗布、乾燥させただけでは、電子材料層10として必要な厚さが得られない場合には、電子材料層10として必要な厚さが得られるまで、液体電子材料層10Aの塗布、乾燥を、繰り返し行えばよい。
【0039】
次に、版面100Aに、上述の粘着材料を含有する液状インクを滴下したのち、例えばスキージ(図示せず)を版面100Aで滑らせる。これにより、粘着材料層20が凹部110内に形成(例えば充填)され、電子材料層10および粘着材料層20からなる積層インク1が形成される(図1(D))。このとき、互いに隣接する凹部110内の積層インク1同士は、空間分離されている。
【0040】
粘着材料層20の厚さは、凹部110の深さDと電子材料層10の厚さに依るが、積層インク1が電子デバイスに用いられる場合には、例えば、数100nm以上、数μm以下程度となっている。
【0041】
積層インク1は、例えば、図1(D)に示したように、粘着材料層20のうち上面以外の表面(つまり側面および底面)が電子材料層10で覆われた構造となっている。なお、積層インク1は、凹部110の内壁の濡れ性によっては、単純に、電子材料層10および粘着材料層20を積層した2層構造となっている場合もある。
【0042】
次に、版面100Aを、基材30の表面に押圧する。これにより、図1(E)に示したように、基材30の表面に、積層インク1が転写(印刷)される。ここで、基材30は、例えば、ガラス基板、シリコン基板、PET基板などである。基材30は、単層であってもよいし、積層体となっていてもよい。凹版100が柔軟性の無いものからなる場合には、基板30は、柔軟性のあるものであることが好ましい。
【0043】
積層インク1は、粘着材料層20のうち基材30に接触している表面以外の表面(つまり側面および上面)が電子材料層10で覆われた構造となっている。なお、積層インク1が、凹部110の内壁の濡れ性によっては、粘着材料層20および電子材料層10を基材30側からこの順に積層した構造となっている場合もある。このようにして、積層インク1からなる電子部材が製造される。
【0044】
なお、積層インク1を直接、基材30の表面に転写するダイレクトプリントの代わりに、ブランケットに一旦転写したのち基材30の表面に転写するオフセットプリントを行ってもよい。例えば、版面100Aを、ブランケット200の表面に押圧する。これにより、図2(A)に示したように、ブランケット200の表面に、積層インク1が転写(印刷)される。
【0045】
なお、ブランケット200、版面100A、電子材料層10および粘着材料層20の表面自由エネルギーは、以下の関係式(4)を満たしていることが好ましい。
|E1−E2|>|E4−E3|>|E3−E2|…(4)
E4:ブランケット200の表面自由エネルギー
【0046】
ここで、上記の関係式(4)は、ブランケット200と粘着材料層20との密着性が、「電子材料層10と版面100Aとの密着性」よりも高く、「電子材料層10と粘着材料層20との密着性」よりも低いことを意味している。なお、ブランケット200の硬度、ブランケット200の溶媒による膨潤度合い、印刷速度などを適宜制御することで、印刷性を改善することも可能である。
【0047】
続いて、ブランケット200を、積層インク1が配置されている面を基材30に向けた状態で、基材30の表面に押圧する。これにより、図2(B)に示したように、基材30の表面に、積層インク1が転写(印刷)される。
【0048】
積層インク1は、図2(B)に示したように、図1(E)に示した構造とは上下が反転した構造となる。つまり、積層インク1は、例えば、粘着材料層20の上面以外の表面(つまり側面および底面)が電子材料層10で覆われた構造となる。なお、凹部110の内壁の濡れ性によっては、積層インク1は、電子材料層10および粘着材料層20を基材30側からこの順に積層した構造となる場合もある。
【0049】
このとき、粘着材料層20の粘度がある程度高くなっている場合には、積層インク1の構造は、上述したような構造となる。しかし、粘着材料層20の粘度があまり高くない場合には、図2(C)に示したように、粘着材料層20が電子材料層10の側壁を壊して、電子材料層10を覆うようになる。積層インク1がそのような構造となった場合には、電子材料層10が粘着材料層20によって外部から絶縁分離され、粘着材料層20がパッシベーション層として機能する。
【0050】
次に、本実施の形態の電子部材の製造方法の効果について説明する。
【0051】
本実施の形態では、上記の関係式(1),(2)を満たす電子材料層10および粘着材料層20を積層してなる積層インク1が、凹版100を用いて、基材30の表面に直接転写されか、またはブランケット200に一旦転写したのち基材30の表面に転写される。これにより、電子材料層10が凹版印刷に向かない性質を有している場合であっても、粘着材料層20の性質を活かして、電子材料層10を含む積層インク1を基材30上に滲みなく印刷することができる。その結果、凹版印刷で印刷した電子材料層10を含む積層インク1を、例えば、タッチパネルやディスプレイなどの電子デバイスに含まれる配線や薄膜トランジスタなどの電子部材として用いることができる。
【0052】
<2.第2の実施の形態>
図3(A)〜(E)は、第2の実施の形態に係る電子部材の製造方法の一例を表すものである。本実施の形態では、平版300を用いて、電子部材を印刷により製造する。
【0053】
電子部材の印刷について説明する前に、まず、平版300について説明する。平版300は、例えば、図3(A)に示したように、版面300A上に、親液部分320および撥液部分33を備えている。平版300は、図3(A)に示したような平板状の版であってもよいし、図示しないがドラム状の版であってもよい。親液部分320は、インクを載せる部位であり、電子部材の用途に応じたパターン形状となっている。例えば、電子部材を、配線として用いる場合には、親液部分320は、その配線形状に対応した形状となっている。また、例えば、電子部材を、TFTのチャネル層として用いる場合には、親液部分320は、そのチャネル層の形状に対応した形状となっている。撥液部分33は、インクを載せない(インクの載らない)部位である。
【0054】
版面300Aに塗布されるインクの材料は、親液部分320の表面自由エネルギーを勘案して選択される。場合によっては、版面300Aに塗布されるインクの表面自由エネルギーを勘案して、親液部分320の材料が選択される。版面300Aに塗布されるインクとしては、例えば、上記実施の形態で述べた電子材料を含有する液状インクや、上記実施の形態で述べた粘着材料を含有するインクが挙げられる。なお、電子材料および粘着材料は、上記の実施の形態で例示した材料と同一の材料である。
【0055】
ここで、親液部分320、電子材料層および粘着材料層の表面自由エネルギーは、少なくとも以下の関係式(1)、(2)を満たしており、以下の関係式(1)〜(3)を全て満たしていることが好ましい。
E2<E3<E1またはE1<E3<E2…(1)
|E1−E2|>|E3−E2|…(2)
|E1−E3|>|E3−E2|…(3)
E1:親液部分320の表面自由エネルギー
E2:電子材料層の表面自由エネルギー
E3:粘着材料層の表面自由エネルギー
【0056】
ここで、上記の関係式(1),(2)は、親液部分320の親水疎水の性質(性質A)と、粘着材料層の親水疎水の性質(性質B)とが互いに異なっていることを意味している。上記の関係式(1),(2)は、さらに、電子材料層の親水疎水の性質が性質Aと比べて、性質Bに近いことも意味している。つまり、粘着材料層は、電子材料層との密着性が良く、親液部分320との剥離性が良いという性質を有している。
【0057】
版面300Aに塗布されるインクの粘度は、平版300の物性や電子部材の用途などを勘案して調整される。平版印刷に適したインク粘度は、通常、200Pa・S以上1000Pa・S以下となっている。液状電子材料層の粘度は、ポリマーを添加したり、電子材料の添加量を調整したりすることによって調整可能である。しかし、そのような調整を行うと、液状電子材料層を乾燥させたときに電子材料層の特性が劣化する虞がある。そこで、液状電子材料層の粘度は、液状電子材料層を乾燥させたときに電子材料層として必要とされる特性が得られる粘度にしておくことが好ましい。液状電子材料層の粘度をそのような観点から設定した場合に、液状電子材料層の粘度が、平版印刷に適したインク粘度よりも極端に低い粘度となってしまう場合もある。しかし、本実施の形態では、後述する印刷方法を採ることにより、液状電子材料層の粘度が問題となることはない。一方、粘着材料層の粘度は、凹版印刷に適したインク粘度となっていることが好ましい。なお、粘着材料層に溶剤が用いられている場合には、その溶剤が電子材料層を溶解させにくい材料であることが好ましい。
【0058】
次に、図3(A)〜(E)を参照しつつ、本実施の形態の電子部材の製造方法の一例について説明する。
【0059】
まず、版面300Aに親液部分320および撥液部分330を備えた平版300を用意する(図3(A))。次に、版面300Aに、上述の電子材料を含有する液状インクを滴下する。これにより、液体電子材料層40Aが親液部分320に選択的に配置される(図3(B))。このとき、互いに隣接する親液部分320上の液体電子材料層40A同士は、撥液部分330によって空間分離されている。
【0060】
次に、親液部分320上の液体電子材料層40Aを乾燥させ、親液部分320上に、乾燥した電子材料層40を形成する(図3(C))。このとき、電子材料層40が、例えば、図3(C)に示したように、親液部分320の表面全体を覆うように形成されている。
【0061】
電子材料層40の厚さは、電子材料層40の用途に応じて異なる。電子材料層40が、例えば、タッチパネルの検出電極や、透過型ディスプレイパネルの電極として用いられる場合には、電子材料層40の厚さは、ナノメートルオーダーの厚さ(典型的には数十nm以上、数百nm以下の厚さ)となっている。また、電子材料層40が、例えば、TFTのチャネル層として用いられる場合には、電子材料層40の厚さは、ナノメートルオーダーの厚さ(典型的には数nm以上、数百nm以下の厚さ)となっている。
【0062】
次に、電子材料層40および撥液部分330を含む表面に、上述の粘着材料を含有する液状インクを滴下する。これにより、粘着材料層50が表面全体または表面の所定の領域に形成され、電子材料層40および粘着材料層50からなる積層インク2が形成される(図3(D))。粘着材料層50の厚さは、積層インク2が電子デバイスに用いられる場合には、例えば、数100nm以上、数μm以下程度となっている。積層インク2は、例えば、図3(D)に示したように、電子材料層40のうち下面以外の表面(つまり側面および上面)が電子材料層10で覆われた構造となっている。
【0063】
次に、版面300Aを、基材60の表面に押圧する。これにより、図3(E)に示したように、基材60の表面に、積層インク2が転写(印刷)される。ここで、基材60は、例えば、ガラス基板、シリコン基板、PET基板などである。基材60は、単層であってもよいし、積層体となっていてもよい。平版300が柔軟性の無いものからなる場合には、基板60は、柔軟性のあるものであることが好ましい。
【0064】
積層インク2は、電子材料層40のうち上面以外の表面(つまり側面および底面)が粘着材料層50で覆われた構造となっている。このようにして、積層インク2からなる電子部材が製造される。
【0065】
なお、積層インク2を直接、基材60の表面に転写するダイレクトプリントの代わりに、ブランケットに一旦転写したのち基材60の表面に転写するオフセットプリントを行ってもよい。例えば、版面300Aを、ブランケット400の表面に押圧する。これにより、図4(A)に示したように、ブランケット400の表面に、積層インク2が転写(印刷)される。続いて、ブランケット400を、積層インク2が配置されている面を基材60に向けた状態で、基材60の表面に押圧する。これにより、図4(B)に示したように、基材60の表面に、積層インク2が転写(印刷)される。
【0066】
積層インク2は、図4(B)に示したように、図3(E)に示した構造とは上下が反転した構造となる。つまり、積層インク2は、例えば、電子材料層10の底面以外の表面(つまり側面および上面)が粘着材料層50で覆われた構造となる。
【0067】
次に、本実施の形態の電子部材の製造方法の効果について説明する。
【0068】
本実施の形態では、上記の関係式(1),(2)を満たす電子材料層40および粘着材料層50を積層してなる積層インク2が、平版300を用いて、基材60の表面に直接転写されか、またはブランケット400に一旦転写したのち基材60の表面に転写される。これにより、電子材料層40が平版印刷に向かない性質を有している場合であっても、粘着材料層50の性質を活かして、電子材料層40を含む積層インク2を基材60上に滲みなく印刷することができる。その結果、平版印刷で印刷した電子材料層40を含む積層インク2を、例えば、タッチパネルやディスプレイなどの電子デバイスに含まれる配線や薄膜トランジスタなどの電子部材として用いることができる。
【0069】
<3.実施例>
次に、上記の第1の実施の形態の電子部材の製造方法の一実施例について説明する。
【0070】
液状電子材料層10に使用するインク(インクA)と、粘着材料層20に使用するインク(インクB)を下記のように調製した。
(インクA)
SWCNT(名城ナノカーボン社製 FH−P)30mgに、蒸留水5gと、市販のPEDOT/PSS水溶液(H.C.Starck社製 BaytronPHCV4)6gを加え、ホモジナイザーを用いて5分間処理した。さらに、これに、エタノールを50ml加えてホモジナイザーで20分間処理した。このようにして得られた溶液を遠心分離機で処理した後に(5000rpm、1時間)、上澄みだけを取り出し、インクを得た。
(インクB)
PVdF(アルドリッチ社製 Mw.534000)0.4gに、NMP(N−methylpirroridone)20mlを加え、溶解させることにより、20wt.%の溶液を得た。
【0071】
次に、ガラス製の凹版(パターンの深さは20μm、幅はテストパターンなので種々)上に、インクAを滴下し、金属製スキージを用いてインクAを凹部に充填し、乾燥させた。インクBを、スキージを用いて凹部内に充填させた。次に、グラビア印刷機を用いて、ガラス製の凹版と、ロール上に貼り付けたPET基板とを移動させながら圧着することにより、PET基板上に、インクAおよびインクBからなる積層インクを転写した。印刷後、パターン部分の透過率および抵抗値を計測したところ、透過率は92%Tとなっており、抵抗値は650ohm/sq.であった。
【0072】
以上、実施の形態および適用例を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。
【0073】
(変形例1)
例えば、凹版100の凹部110、または平版300の親液部分320に、上述の電子材料および上述の粘着材料が複合された複合インクを配置し、液状電子材料層と粘着材料層とに層分離させて電子材料層を形成することにより、積層インクを形成するようにしてもよい。このようにした場合にも、電子材料層による印刷にじみをなくすることができる。なお、この場合には、上記実施の形態等とは異なり、電子材料層および粘着材料層を積層してなる積層インクが、複合インクを版の表面に配置した後に形成される。
【0074】
以下に、複合インクを用いた印刷法の一例について説明する。
【0075】
[その1]
例えば、まず、有機半導体材料と、高分子材料とを溶剤に溶解させるとともに、溶剤c中に微粒子材料を分散させた複合インクを調整する。ここで、有機半導体材料は、低分子系の有機半導体材料または高分子系の有機半導体材料である。高分子材料は、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどの絶縁性材料である。溶剤cは、有機半導体材料と、高分子材料とを十分に溶解し、上記の微粒子材料の分散性の高い溶媒である。微粒子材料は、複合インクにおける粘度およびチクソトロピー性のコントロールのために加えるものであり、無機微粒子または有機微粒子である。無機微粒子は、例えば、シリカ、アルミナなどである。有機微粒子は、例えば、ポリスチレン、ポリエチレンなどである。
【0076】
次に、上記の複合インクを、凹版100の版面100Aに滴下し、基材30に印刷する。または、上記の複合インクを、平版300の版面300Aに滴下し、基材60に印刷する。または、上記の複合インクを、ブランケット200または400に一旦転写したのち、基材30または基材60に印刷する。その後、複合インク中の溶剤を、加熱などにより除去する。この際、溶剤の除去によって複合インクを固化させるとともに、複合インク中の有機半導体材料と、高分子材料とを層分離させる。このようにして、有機半導体材料層と高分子材料層とを積層した半導体複合層を印刷することができる。
【0077】
[その2]
例えば、まず、2種類の半導体材料と、これらの半導体材料よりも導電性の低い絶縁性材料とを溶剤に溶解させた複合インクを調整する。ここで、2種類の半導体材料は、例えば、アセン化合物などの有機半導体材料や、シリコンなどの無機半導体材料である。絶縁性材料は、例えば、有機絶縁性材料や、酸化シリコンなどである。
【0078】
次に、上記の複合インクを、凹版100の版面100Aに滴下し、基材30に印刷する。または、上記の複合インクを、平版300の版面300Aに滴下し、基材60に印刷する。または、上記の複合インクを、ブランケット200または400に一旦転写したのち、基材30または基材60に印刷する。その後、複合インク中の溶剤を、加熱などにより除去する。この際、溶剤の除去によって複合インクを固化させるとともに、複合インク中の2種類の半導体材料および絶縁性材料を層分離させる。このようにして、2種類の半導体材料層の間に絶縁性材料層が挟まれた半導体複合層を印刷することができる。
【0079】
(変形例2)
また、例えば、上記実施の形態および適用例において、版の表面の濡れ性を制御することによりパターン印刷の精度を向上させてもよい。例えば、実施例で用いたインクAでは、版が親水性であるほうが、版の凹部の中で均一にインクAが乾燥し、印刷後の電子材料層のばらつきが低減される。
【0080】
(変形例3)
また、例えば、上記実施の形態および適用例において、液状電子材料層に使用するインクを版に塗布し乾燥してから粘着材料層に使用するインクを充填するまでの時間と、粘着材料層に使用するインクを充填してから印刷するまでの時間は重要である。これらの時間は、選択した導電性材料、樹脂、溶媒、印刷版、印刷法などにより適宜選択される。これらの時間を正確に制御するだけでなく、基材の温度や雰囲気も制御することが好ましい。
【0081】
(変形例4)
また、例えば、上記実施の形態および適用例において、印刷時の圧力も特に限定されない。パターンの太さ、膜厚、導電層と版のはがれやすさ(表面エネルギー差)、粘着材料層と基材の密着性(表面エネルギー差)をかんがみて、適した条件を選択することが好ましい。また、インクを乾燥する工程、版からブランケットに転写する工程、版から基材に転写する工程、ブランケットから基材に転写する工程の各種で従来の印刷技術の工夫を用いてもよい。例えば、版を暖めることにより、版から粘着材料層の剥離を促進することや、ブランケットへインクが吸収される度合いを調製する方法や、マイクロ波を使ってブランケットの膨潤を抑えることなどが考えられる。
【0082】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(A)
凹部を有する凹版の凹部、または親液部分および撥液部分を有する平版の親液部分に、電子材料層および粘着材料層が前記凹部または親液部分の底面側からこの順に積層された積層インクを配置する第1工程と、
前記積層インクを直接、基材の表面に転写するか、またはブランケットに一旦転写したのち前記基材の表面に転写する第2工程と
を含み、
前記電子材料層および前記粘着材料層の表面自由エネルギーは、以下の関係式(1)、(2)を満たしている
電子部材の製造方法。
E2<E3<E1またはE1<E3<E2…(1)
|E1−E2|>|E3−E2|…(2)
E1:前記凹部または親液部分の底面の表面自由エネルギー
E2:前記電子材料層の表面自由エネルギー
E3:前記粘着材料層の表面自由エネルギー
(B)
前記第1工程において、前記凹版の凹部、または前記平版の親液部分に、液状電子材料層を配置し乾燥させて前記電子材料層を形成したのち、前記電子材料層の上に前記粘着材料層を配置することにより、前記積層インクを形成する
(A)に記載の電子部材の製造方法。
(C)
前記液状電子材料層は、酸化物系透明導電性物質、金属、導電性ポリマーおよびナノカーボンの中から選択された少なくとも1種類の材料を含有する溶液からなる
(B)に記載の電子部材の製造方法。
(D)
前記電子材料層は、導電層、または、半導体材料層である
(A)ないし(C)のいずれか1つに記載の電子部材の製造方法。
(E)
前記粘着材料層は、絶縁性の材料からなる
(D)に記載の電子部材の製造方法。
(F)
前記電子材料層および前記粘着材料層は透光性を有する
(D)に記載の電子部材の製造方法。
(G)
前記電子材料層および前記粘着材料層は、ナノメーターオーダーの膜厚を有する
(A)ないし(F)のいずれか1つに記載の電子部材の製造方法。
【符号の説明】
【0083】
1,2…積層インク、10,40…電子材料層、10A,40A…液体電子材料層、20,50…粘着材料層、30,60,310…基材、100…凹版、100A,300A…版面、110…凹部、200,400…ブランケット、300…平版、320…親液部分、330…撥液部分、D…深さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有する凹版の凹部、または親液部分および撥液部分を有する平版の親液部分に、電子材料層および粘着材料層が前記凹部または親液部分の底面側からこの順に積層された積層インクを配置する第1工程と、
前記積層インクを直接、基材の表面に転写するか、またはブランケットに一旦転写したのち前記基材の表面に転写する第2工程と
を含み、
前記電子材料層および前記粘着材料層の表面自由エネルギーは、以下の関係式(1)、(2)を満たしている
電子部材の製造方法。
E2<E3<E1またはE1<E3<E2…(1)
|E1−E2|>|E3−E2|…(2)
E1:前記凹部または親液部分の底面の表面自由エネルギー
E2:前記電子材料層の表面自由エネルギー
E3:前記粘着材料層の表面自由エネルギー
【請求項2】
前記第1工程において、前記凹版の凹部、または前記平版の親液部分に、液状電子材料層を配置し乾燥させて前記電子材料層を形成したのち、前記電子材料層の上に前記粘着材料層を配置することにより、前記積層インクを形成する
請求項1に記載の電子部材の製造方法。
【請求項3】
前記液状電子材料層は、酸化物系透明導電性物質、金属、導電性ポリマーおよびナノカーボンの中から選択された少なくとも1種類の材料を含有する溶液からなる
請求項2に記載の電子部材の製造方法。
【請求項4】
前記電子材料層は、導電層、または、半導体材料層である
請求項1に記載の電子部材の製造方法。
【請求項5】
前記粘着材料層は、絶縁性の材料からなる
請求項4に記載の電子部材の製造方法。
【請求項6】
前記電子材料層および前記粘着材料層は透光性を有する
請求項4に記載の電子部材の製造方法。
【請求項7】
前記電子材料層および前記粘着材料層は、ナノメーターオーダーの膜厚を有する
請求項1に記載の電子部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−248802(P2012−248802A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121735(P2011−121735)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】