説明

電子重量計

【課題】全体に薄型化が可能な電子重量計を提供する。
【解決手段】被計量物が上面に載置される天板部材20と、天板部材20を下方から支持するロードセルユニット30とを備え、下方に開口部42をもつカップ部材40が内部に装着される装着穴22が天板部材20の厚さ方向に貫通して設けられるとともに、ロードセルユニット30がカップ部材40の内部に装着されていることを特徴とする電子重量計10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板部材の上面に載置された被計量物の質量をロードセルユニットを用いて測定する電子重量計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子重量計では、4式程度のロードセルユニットによって天板部材を下方から支持する構成が一般的である。天板部材に載置された被計量物の自重はこれらのロードセルユニットに分散して負荷され、個々のロードセルユニットでの計測値を合計することで被計量物の質量が測定される。
ロードセルユニットは、いわゆる起歪体の受感部に複数の歪ゲージ(ストレインゲージ)を貼り付けた構造が一般的である。起歪体としてはダイアフラム型や剪断ビーム型などが知られており、荷重が負荷されるとそれに応じた歪が受感部に生じる点で共通する。被計量物の自重が起歪体に負荷されて受感部に歪が生じると、これを歪ゲージで測定して電気信号に置き換えることにより、個々のロードセルユニットに負荷された被計量物の荷重が求められる。
【0003】
この種の発明に関しては、例えば下記特許文献1に記載の計測装置が知られている。図6は、かかる従来の計測装置の外観を示す図である。上記従来の計測装置では、内側載せ台に設けられた貫通孔に重量センサーユニット(ロードセルユニット)を装着し、被計量物が載置される外側載せ台(天板部材)を、ロードセルユニットで下支えする構造としていた。
【0004】
【特許文献1】特開2001−228013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の電子重量計においては薄型化の要請が益々高まっている。
電子重量計を薄型化することにより、縦置きまたは平置きした場合の収納性や輸送性が高まるのみならず、高齢者や子供などが体重を計る場合の乗り降りが容易になるという大きなメリットがある。
これに対し上記特許文献1に例示される従来の電子重量計においては、少なくともロードセルユニットの高さと天板部材の板厚の合計厚さによって全体の高さが規定されていたため薄型化に限界があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、薄型化が可能な電子重量計を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子重量計は、人や物などの被計量物が上面に載置される天板部材と、前記天板部材を下方から支持するロードセルユニットとを備え、前記ロードセルユニットの少なくとも一部分が、前記天板部材に埋め込まれて装着されていることを特徴とする。
【0008】
このようにロードセルユニットを天板部材に埋め込んで装着することにより、天板部材の板厚とロードセルユニットの高さの合計よりも、埋め込みの深さ分だけ電子重量計全体の薄型化が可能である。
【0009】
また本発明の電子重量計においては、天板部材に、前記ロードセルユニットの少なくとも一部分を埋め込んで装着するための装着穴を設けてもよい。
【0010】
また本発明の電子重量計においては、装着穴を、前記天板部材を厚さ方向に貫通する貫通孔としてもよい。
【0011】
また本発明の電子重量計においては、さらに、下方に開口部をもつカップ部材が前記装着穴の内部に取り付けられ、前記ロードセルユニットが前記カップ部材の内部に装着されてもよい。
【0012】
また本発明の電子重量計においては、前記カップ部材が、下方に開口部をもつ有底の筒状部と、前記開口部の周囲に設けられた鍔部とを有し、前記筒状部が前記装着穴に埋め込まれ、前記鍔部が前記天板部材の下面に当接して取り付けられてもよい。
【0013】
また本発明の電子重量計においては、天板部材が強化ガラスからなることとしてもよい。
【0014】
また本発明の電子重量計においては、分散されて配置された6式以上の前記ロードセルユニットを有し、前記ロードセルユニットのそれぞれ少なくとも一部分が前記天板部材に埋め込まれて装着されていることとしてもよい。
【0015】
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が1個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電子重量計では、天板部材にロードセルユニットの少なくとも一部分を埋め込んで装着することから、天板部材の板厚とロードセルユニットの高さの合計よりも電子重量計全体の高さを低減し、その薄型化が図られる。
このため収納性や輸送性に優れ、また老人や子供にとっても乗り降りが容易であって体重測定時につまずくおそれのない電子重量計が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の第一実施形態について、図1から4を参照して以下に説明する。
はじめに本実施形態の電子重量計10の概要について説明する。
電子重量計10は、被計量物(図示せず)が上面に載置される天板部材20と、天板部材20を下方から支持するロードセルユニット30とを備え、ロードセルユニット30の少なくとも一部分が、天板部材20に埋め込まれて装着されている。
【0018】
次に、本実施形態の電子重量計10について詳細に説明する。
図1(a)は電子重量計10の平面模式図、同図(b)はその立面図である。ただし同図(a)ではカバーシート50の一部を切り欠いて装着穴22を露出させるとともに、図中左上に設けられたロードセルユニット30aのうち起歪体32のみを図示し、またカップ部材40は図示を省略している。
図2は、図1(a)のII−II断面矢視図である。図3は電子重量計10の分解構成図である。図4は、本実施形態で用いる起歪体32の一例を示す平面図である。
【0019】
天板部材20は、平面視形状が略矩形状をなし、四隅近傍にそれぞれ装着穴22が設けられている。本実施形態の場合、図3に示すように装着穴22は天板部材20を板厚方向に貫通する貫通孔である。そして装着穴22には、四式のロードセルユニット30の一部分である上部がそれぞれ埋め込まれて装着される。
【0020】
天板部材20の材料は特に限定されるものではなく、ガラス材料、金属材料、樹脂材料、またはこれらを組み合わせたサンドイッチパネルなどからなる。天板部材20は、薄型化の観点から板厚を極力薄くすることが望ましいが、被計量物が載置された場合のロードセルユニット30周囲の撓みを抑制するため、天板部材20は高い曲げ剛性を備えることが好ましい。したがって天板部材20の材料には、比弾性率の高い強化ガラス、またはウレタン樹脂や金属ハニカムコアを金属材料の表面板で挟みこんだサンドイッチパネルなどを用いることが好ましい。
【0021】
装着穴22は、平面視形状が円形または略円形である。これにより、被計量物が天板部材20に載置された場合の応力集中を防ぎ、良好な加工性を確保し、またロードセルユニット30の形状に適合させている。天板部材20を強化ガラスで作製する場合、貫通孔である装着穴22は、研磨加工によって得ることができる。また天板部材20を金属板やサンドイッチパネルで作製する場合、装着穴22は打抜き加工やしぼり加工によって得ることができる。
なお本発明においては装着穴22を止まり穴としてもよく、その場合は天板部材20の下面側から所定深さに装着穴22を形成する。
【0022】
天板部材20の装着穴22には、それぞれカップ部材40を介してロードセルユニット30(30a,30b,30c,30d)が装着される。
カップ部材40は、下方に開口部42をもつ有底の筒状部41と、開口部42の周囲に設けられた鍔部44とからなる。そして筒状部41には、下方よりその内部にロードセルユニット30を装着することができる。したがって筒状部41の外径は装着穴22の内径と対応し、筒状部41(開口部42)の内径はロードセルユニット30の外径と対応している。
カップ部材40は天板部材20に対して、筒状部41が装着穴22に埋め込まれ、鍔部44を天板部材20の下面に当接させることにより取り付けられる。
カップ部材40の材料および製法は特に限定されないが一例として冷間圧延鋼板(SPCC)や電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)などの鉄系の板材料をしぼり加工して得ることができる。板材料の厚みは0.5〜2mm程度とすることができる。
【0023】
ロードセルユニット30は、例えばベース34、起歪体32、押し部材36、およびセンサカバー38を組み合わせてなる。
本実施形態で用いる起歪体32は渦巻状の金属材料からなり、その先端側にあたる渦巻きの中央に押し点321、基端側に取付部323が形成され、その間の直線部分に受感部322が設けられている。説明のため、取付部323には斜線を付し、受感部322の境界を二点鎖線で示す。起歪体32はベース34に収容され、取付部323が固定される。そして受感部322から押し点321はベース34とは接触せず、押し点321が押し部材36で上方に押圧されることで受感部322には歪が生じる。
受感部322には、その上面と下面の少なくとも片側に歪ゲージ324(図1においては図示を省略)が貼り付けられている。歪ゲージ324としては、ハーフブリッジを用いてもフルブリッジを用いてもよい。本実施形態の場合、図3,4に示すように受感部322の上面側にハーフブリッジの歪ゲージ324が貼り付けられている。
なお本発明で用いられる起歪体32は上記に限られるものではない。また起歪体32は、本実施形態の場合、図4に示すように押し点321と受感部322との間に段差部325を設けた形態であるが、押し点321と受感部322との間に段差を設けない形態にしてもよい。
【0024】
押し部材36は例えば図示のように円盤状の板部材であり、起歪体32とは押し点321のみと当接する。
センサカバー38は天板部材20より下方に突出しており、床面などの設置面(図示せず)に電子重量計10が置かれる場合の足となる。センサカバー38には、下方に突出形成された脚部382と、これを取り囲むフランジ部384とが設けられている。センサカバー38は樹脂材料からなり、フランジ部384は脚部382よりも薄肉に形成されている。また脚部382には、押し部材36を装着するための凹溝が上方に形成されている。
ベース34は、起歪体32の取付部323を保持するとともに、ロードセルユニット30をカップ部材40に取り付けるための台座となる部材である。
【0025】
また図2に示すように、ロードセルユニット30の上部にあたるベース34と、押し点321近傍を除く起歪体32とが、装着穴22の内部に埋め込まれている。そして起歪体32の押し点321、押し部材36およびセンサカバー38は、天板部材20よりも下面側に突出している。
【0026】
電子重量計10はこのほか、天板部材20、カップ部材40およびセンサカバー38を一体に保持する基台60と、基台60に装着されて天板部材20の上面を覆うカバーシート50とを備えている。
基台60は金属板材料をしぼり加工または曲げ加工してなる。基台60の上面には、カップ部材40の鍔部44を装着する凹溝62と、センサカバー38の脚部382を装着する通孔64が、ロードセルユニット30a〜30dにそれぞれ対応して設けられている。
基台60の肉厚は、センサカバー38の脚部382がフランジ部384より下方に突出する突出量よりも小さい。したがってフランジ部384を基台60の上面に当接させて基台60と起歪体32との間に挟んだ状態で、脚部382は基台60の下面より下方に突出して床面に触れることとなる。
カバーシート50は塩化ビニルなどの樹脂シート材料や、ステンレス材、鉄板などからなり、厚さは0.1〜0.5mm程度とすることができる。
【0027】
被計量物が天板部材20に載置され、その自重の反力をセンサカバー38および押し部材36が床板から受けると、フランジ部384は上方に撓み、押し点321は押し部材36により上方に押し上げられる。一方、起歪体32の取付部323はベース34およびカップ部材40を介して天板部材20に対して剛に固定されている。このため、基端側(取付部323側)が固定されて先端側(押し点321側)が上方に押し上げられた受感部322には、引張力および圧縮力が働いて歪が生じる。歪ゲージ324を構成する抵抗体は、受感部322に引張力が働く領域と、圧縮力が働く領域とにそれぞれ配置されるとよい。
【0028】
かかる歪を感知した歪ゲージからの電気信号は回路ボックス80に収容された回路部(図示せず)にて質量に換算され、これをロードセルユニット30の数量(本実施形態では4式)分だけ合計することで被計量物の質量が算出される。算出された質量は表示部70にデジタル表示される。
【0029】
回路ボックス80は天板部材20に取り付けられる。その取付態様は特に限定されるものではなく、天板部材20の一部に切欠部や通孔を形成してこれに回路ボックス80を装着してもよい。または天板部材20の下面上、または下面に形成した凹溝内に回路ボックス80を取り付けてもよい。いずれの場合も、天板部材20の下面からの回路ボックス80の突出高さは、センサカバー38(38a,38b,38c,38d)の突出高さよりも小さく、したがって回路ボックス80が床面に当接することはない。
本実施形態の場合、図1に示すように天板部材20には、ロードセルユニット30aと30bとの間に切欠部が設けられて回路ボックス80がこれに装着され、表示部70は回路ボックス80の上面側に配置されている。
なお、表示部70については回路ボックス80や天板部材20などに固定的に装着されるほか、これらとは分離されていわゆるセパレートタイプとしてもよい。すなわち表示部70と回路ボックス80とを、赤外線や電波などの無線、またはコードなどの有線を介して通信接続し、壁掛けや手持ちした状態の表示部70にて、回路部で算出された被計量物の質量を表示させてもよい。
【0030】
上記本実施形態の電子重量計10の作用効果について説明する。
本実施形態の電子重量計10は、図2に示すように、天板部材20にこれを貫通する装着穴22が設けられ、この装着穴22の内部にロードセルユニット30を埋め込んで装着可能である。このため、ロードセルユニットの上部に天板部材を配置する従来技術に比し、ロードセルユニット30のかかる埋め込み深さの分だけ電子重量計10を薄型化することができる。
【0031】
本実施形態の場合、装着穴22は天板部材20を厚さ方向に貫く貫通孔である。そして下方に開口部42をもつ有底の筒状部41と、開口部42の周囲に設けられた鍔部44とを有するカップ部材40を装着穴22に取り付け、かかるカップ部材40を介してロードセルユニット30は装着穴22に装着されている。具体的には、筒状部41を装着穴22に下方から嵌め込み、鍔部44を天板部材20の下面に当接させることで、カップ部材40は天板部材20に取り付けられている。
【0032】
このように本実施形態の電子重量計10は、天板部材20の全体を薄板で構成するのではなく、天板部材20自体は所定の肉厚を有しつつも、カップ部材40の鍔部44の座面を利用してロードセルユニット30を天板部材20に接続する構成としている。これにより、被計量物の自重が天板部材20を通じてロードセルユニット30(ベース34)に負荷された場合にも、天板部材20に局所的な集中荷重が負荷されてこれが破壊されることがない。これは、ロードセルユニット30のベース34に比べてカップ部材40の鍔部44は大径ゆえに天板部材20との接触面積が大きく形成されており、ロードセルユニット30に負荷される荷重は天板部材20に対して分散して伝達されるためである。
【0033】
なお、天板部材20に載置された被計量物は、一般にロードセルユニット30やカップ部材40の径を包含するより大きな領域に対して自重を負荷するため、天板部材20自体を薄肉化してしまうとロードセルユニット30の近傍において天板部材20の撓みが生じてしまう。天板部材20に撓みが生じると、ロードセルユニット30の起歪体32に対して斜めに荷重が負荷されて計測誤差が生じるほか、最悪の場合は天板部材20が塑性変形することになる。
したがって本実施形態においては、天板部材20自体は所定の板厚を確保して高い曲げ剛性を保有しつつ、被計量物の自重が床面に対して垂直に負荷されるロードセルユニット30の設置領域についてのみ薄型化して上記の問題を回避している。
【0034】
またカップ部材40を高強度の鉄系材料などから作製することにより、被計量物の載置に伴って、ロードセルユニット30により筒状部41の底面が押し上げられ、天板部材20により鍔部44が押し下げられる荷重が負荷されたとしてもカップ部材40が破壊されることはない。
【0035】
一方、装着穴22を天板部材20の下面側から穿設した止まり穴として、カップ部材40を装着穴22に装着しない場合は、被計量物の載置に伴って天板部材20が破壊される恐れがある。装着穴22の底面はその周囲に比べて天板部材20が薄肉になっている上、かかる天板部材20の薄肉部に対してロードセルユニット30(ベース34)の小さなフットプリントにて被計量物の自重が集中的に負荷されるためである。
かかる天板部材20の破壊を回避するために装着穴22にカップ部材40を装着した場合は、装着穴22の底面の肉厚の分だけ電子重量計10は全体に薄型化が阻害されることになる。
【0036】
また本実施形態のように比弾性率の高さから天板部材20に強化ガラスを用いる場合、止まり穴の深さを均一かつ高精度に実現するのは困難である。装着穴22を止まり穴とした場合、その底面をフラットに形成しないとロードセルユニット30が天板部材20に対して斜めに装着されることとなり、被計量物の自重による起歪体32の歪が歪ゲージによって正しく測定されなくなる恐れがある。
これに対し、装着穴22を貫通孔とし、またカップ部材40を金属板材料から構成することにより、ロードセルユニット30を直立させて天板部材20を容易に水平支持することができる。
【0037】
また本実施形態のように装着穴22にカップ部材40を装着することにより、電子重量計10に対するロードセルユニット30の取付作業が容易となる。天板部材20に対して個々にロードセルユニット30を取り付けてゆく従来技術に比して、ロードセルユニット30を予めカップ部材40に装着しておき、かかるカップ部材40を装着穴22に下面より嵌め込むだけでロードセルユニット30が天板部材20に取付可能となるからである。
したがってロードセルユニット30の故障時にも、カップ部材40ごとこれを交換することにより、天板部材20への脱着作業が容易に行われる。
【0038】
また、カップ部材40を介してロードセルユニット30を天板部材20に装着可能であることから、ロードセルユニット30の寸法やインタフェース位置によらず、天板部材20を共通部材とすることができる。すなわち、例えば秤量の異なる複数種類のロードセルユニット30より適宜選定してこれを装着穴22に装着する場合であっても、各ロードセルユニット30に適合するインタフェースをカップ部材40に設けておき、カップ部材40と天板部材20との取付態様を共通化することにより、天板部材20および装着穴22は汎用化することができる。
【0039】
また本実施形態のようにロードセルユニット30を装着穴22の内部に埋め込んで取り付けることにより、被計量物の自重が負荷される天板部材20の上面から起歪体32までの高さ方向の距離が、従来の電子重量計に比して近くなる。
これにより、被計量物の載置により天板部材20に微小な撓みが生じてセンサカバー38の脚部382に斜め方向の荷重が負荷されたとしても、本実施形態の場合は起歪体32に作用するモーメント荷重が低減されることから、受感部322における測定誤差が抑えられる。
【0040】
また本実施形態の起歪体32は、測定荷重を負荷する領域を、面ではなく点(押し点321)で構成している。そして押し点321は受感部322や取付部323より下方に突出する半球状の突起により形成され、被計量物の載置時には、かかる突起が押し部材36により押し上げられる。これにより、被計量物の載置時に押し点321と押し部材36とは確実に当接し、受感部322には確実に歪が発生する。また本実施形態の起歪体32は渦巻状であり、押し部材36は平面視において受感部322とは重なり合っていない。このため押し部材36によって押し点321を押圧していった場合に、押し部材36は受感部322と干渉することなく渦巻状の内部に収容される。したがって本実施形態の起歪体32によれば、押し点321に所定のストロークを確保して、受感部322に貼り付けられた歪ゲージ324に十分な変形量を与えつつも、起歪体32を全体に薄型に構成することができる。これにより本発明による電子重量計10の薄型化が更に図られる。
【0041】
なお本実施形態については、上記本発明の目的が達成される限りにおいて種々の変形を許容する。
例えば、電子重量計10に体脂肪計や体組成計の機能を持たせる場合、被計量物である人体に微弱な電流を流すための電極を天板部材20の上面に設ける。このとき、カップ部材40をかかる電極に用いてもよい。カップ部材40に電極としての機能と、ロードセルユニット30を装着するためのブラケットとしての機能を兼用させることにより部材点数の削減と、電子重量計10の薄型化が図られる。なおこの場合は、カバーシート50を用いないか、またはカバーシート50のうちカップ部材40に対応する領域に孔を設けるなどして、カップ部材40の上面を露出させる。
【0042】
本実施形態では、ロードセルユニット30のうち、ベース34と、押し点321を除く起歪体32のみが天板部材20の装着穴22の内部に埋め込まれている態様としているが、これに限られるものではない。例えばベース34のみを装着穴22の内部に装着し、起歪体32は天板部材20よりも下面側に突出していてもよい。逆に、センサカバー38の脚部382を除いてロードセルユニット30の全体が装着穴22の内部に埋め込まれていてもよい。
【0043】
また本実施形態の電子重量計10では、天板部材20の四隅に設けられた装着穴22にそれぞれロードセルユニット30を装着する態様としているが、ロードセルユニット30の数は3式以上であれば上記に限られるものではない。
図5は本発明の第二実施形態にかかる電子重量計10の模式図である。同図(a)はその平面図、同図(b)は立面図である。
本実施形態の電子重量計10は、天板部材20の四隅に加え、前後方向(同図(a)の上下方向)の中間部の四箇所にロードセルユニット30(30e〜30h)が装着されている。これにより、各ロードセルユニット30(30a〜30h)に負荷される荷重は第一実施形態の場合の約半分に低減されるため、天板部材20やカップ部材40をより薄型に構成してもその破壊が抑制される。
なお、ロードセルユニット30a,30d,30e,30fは、被計量物が人体である場合の左足の足型領域内に配置され、ロードセルユニット30b,30c,30g,30hは、右足の足型領域内に配置されている。
上記本実施形態の電子重量計10のように、分散されて配置された6式以上のロードセルユニット30のそれぞれ少なくとも一部分を天板部材20に埋め込んで装着することにより、上記第一実施形態にかかる電子重量計10よりも被計量物の質量を分散してロードセルユニット30に負荷することができる。これにより起歪体32をより小型化し、また天板部材20をより薄型化することができるため、電子重量計10のさらなる薄型化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)は本発明の第一実施形態の電子重量計の平面模式図であり、(b)はその立面図である。
【図2】図1(a)のII−II断面矢視図である。
【図3】電子重量計の分解構成図である。
【図4】本実施形態で用いる起歪体の一例を示す平面図である。
【図5】(a)は本発明の第二実施形態の電子重量計の平面模式図であり、(b)はその立面図である。
【図6】従来の計測装置の外観を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
10 電子重量計
20 天板部材
22 装着穴
30 ロードセルユニット
32 起歪体
321 押し点
322 受感部
323 取付部
324 歪ゲージ
325 段差部
34 ベース
36 押し部材
38 センサカバー
382 脚部
384 フランジ部
40 カップ部材
41 筒状部
42 開口部
44 鍔部
50 カバーシート
60 基台
62 凹溝
64 通孔
70 表示部
80 回路ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に被計量物が載置される天板部材と、前記天板部材を下方から支持するロードセルユニットとを備え、
前記ロードセルユニットの少なくとも一部分が、前記天板部材に埋め込まれて装着されていることを特徴とする電子重量計。
【請求項2】
前記天板部材に、前記ロードセルユニットの少なくとも一部分を埋め込んで装着するための装着穴が設けられている請求項1に記載の電子重量計。
【請求項3】
前記装着穴が、前記天板部材を厚さ方向に貫通する貫通孔である請求項2に記載の電子重量計。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電子重量計において、さらに、下方に開口部をもつカップ部材が前記装着穴の内部に取り付けられ、
前記ロードセルユニットが前記カップ部材の内部に装着されていることを特徴とする電子重量計。
【請求項5】
前記カップ部材が、下方に開口部をもつ有底の筒状部と、前記開口部の周囲に設けられた鍔部とを有し、
前記筒状部が前記装着穴に埋め込まれ、前記鍔部が前記天板部材の下面に当接して取り付けられている請求項4に記載の電子重量計。
【請求項6】
前記天板部材が強化ガラスからなる請求項1から5のいずれかに記載の電子重量計。
【請求項7】
分散されて配置された6式以上の前記ロードセルユニットを有し、前記ロードセルユニットのそれぞれ少なくとも一部分が前記天板部材に埋め込まれて装着されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子重量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−168690(P2009−168690A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8540(P2008−8540)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)