説明

電子鍵盤楽器のハンマー装置

【課題】ハンマーのキャプスタンスクリューを簡単に回すことができ、それにより、ハンマーの調整作業を容易に行うことができる電子鍵盤楽器のハンマー装置を提供する。
【解決手段】ハンマー5は、前後方向に延び、後端部の支点を中心として回動自在のハンマー本体22と、このハンマー本体22の支点よりも前方の所定位置に設けられ、上下方向に貫通した状態に形成された取付孔50と、上下方向に延びる雄ねじ部46と、この雄ねじ部46の下側に設けられた頭部47とを有し、雄ねじ部46が取付孔50に下方から進退自在にねじ込まれるとともに、頭部47が鍵の上面後端部に載置されるキャプスタンスクリュー25と、を有しており、キャプスタンスクリュー25の雄ねじ部46の上端面には、キャプスタンスクリュー25を回転させるための工具を係合可能な係合部49が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ピアノなどの電子鍵盤楽器に適用され、押鍵された鍵に連動して回動するハンマーを備えた電子鍵盤楽器のハンマー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ピアノのハンマー装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このハンマー装置のハンマーは、鍵ごとに設けられ、対応する鍵の押鍵に伴って回動することにより、鍵に動荷重を付与するものである。各ハンマーは、前後方向に延びるアーム状に形成された合成樹脂製のハンマー本体と、その前部に取り付けられた錘と、ハンマー本体の後端部の支点よりも前方の所定位置に、下方から進退自在にねじ込まれたキャプスタンスクリューとを備えている。キャプスタンスクリューは、雄ねじ部と、その端部に設けられた頭部とを有しており、雄ねじ部と頭部の間には、横断面が六角形に形成され、キャプスタンスクリューを工具で回す際に、その工具が係合する係合部が設けられている。以上のように構成されたハンマーは、その後ろ側において左右方向に延びるように形成されたハンマーレールに、後端部が係合することによって回動自在に支持されるとともに、キャプスタンスクリューを介して、対応する鍵の上面後端部に載置されている。
【0003】
上記のような複数のハンマーを備えたハンマー装置では、離鍵状態において、側方から見たときのハンマーの姿勢がすべて同一で揃っていることが求められる。このため、電子ピアノの製造時やメンテナンス時に、適正な姿勢に対してずれているハンマーがある場合、キャプスタンスクリューを回すことによって、ハンマー本体からの突出量、すなわちハンマー本体と鍵との間の距離を調整し、それにより、ハンマーを適正な姿勢になるように調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−169562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のハンマー装置におけるハンマーの調整作業は通常、次のように行われる。まず、鍵を押鍵した状態に保持することにより、ハンマーを上方に回動させ、それにより、キャプスタンスクリューを前方に露出させる。次いで、鍵とハンマーの間に前方から六角レンチなどの工具を挿入し、キャプスタンスクリューの係合部に工具を係合させ、キャプスタンスクリューを適宜回す。その後、工具をキャプスタンスクリューから外して、鍵を離鍵状態に戻し、これに伴い、上方に回動していたハンマーが元に戻る。そして、調整したハンマーの姿勢を確認する。なお、調整したハンマーの姿勢が適正な姿勢に対してまだずれている場合には、そのずれが解消するまで、上記の手順を繰り返す。このように、従来のハンマー装置では、鍵とハンマーの間の非常に狭い隙間に工具を挿入して、キャプスタンスクリューを回さなければならず、ハンマーの調整作業が煩雑で手間がかかってしまう。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、ハンマーのキャプスタンスクリューを簡単に回すことができ、それにより、ハンマーの調整作業を容易に行うことができる電子鍵盤楽器のハンマー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、押鍵された鍵に連動して回動するハンマーを備えた電子鍵盤楽器のハンマー装置であって、ハンマーは、前後方向に延び、後端部の支点を中心として回動自在のハンマー本体と、このハンマー本体の支点よりも前方の所定位置に設けられ、上下方向に貫通した状態に形成された取付孔と、上下方向に延びる雄ねじ部と、この雄ねじ部の下側に設けられた頭部とを有し、雄ねじ部が取付孔に下方から進退自在にねじ込まれるとともに、頭部が鍵の上面後端部に載置されるキャプスタンスクリューと、を有しており、キャプスタンスクリューの雄ねじ部の上端面には、キャプスタンスクリューを回転させるための工具を係合可能な係合部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、キャプスタンスクリューは、上下方向に延びる雄ねじ部と、その下側に設けられた頭部とを有しており、雄ねじ部がハンマー本体の上下方向に貫通した取付孔に下方から進退自在にねじ込まれている。また、雄ねじ部の上端面には、キャプスタンスクリューを回転させるための工具を係合可能な係合部が形成されている。したがって、キャプスタンスクリューを回してハンマーを調整する際には、ハンマーの上方から、工具を雄ねじ部の係合部に係合させ、工具を操作することにより、キャプスタンスクリューを簡単に回すことができる。このように、上記構成によれば、鍵とハンマーとの間に工具を挿入してキャプスタンスクリューを回す従来に比べて、ハンマーの調整作業を容易に行うことができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電子鍵盤楽器のハンマー装置において、取付孔の上端部は、上方に向かって径が次第に大きくなるテーパ状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
ハンマー本体の取付孔の内部にキャプスタンスクリューの雄ねじ部の上端面が位置する場合、その上端面の係合部に工具を係合させる際には、工具を取付孔に上方から挿入する必要がある。上記の取付孔の上端部は、上方に向かって径が次第に大きくなるテーパ状に形成されているので、工具を取付孔に容易に挿入することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の電子鍵盤楽器のハンマー装置において、ハンマーの後部を覆うように配置され、ハンマーを回動自在に支持するハンマーサポートを、さらに備え、ハンマーサポートは、上下方向に貫通し、工具がキャプスタンスクリューの係合部に上方からアクセス可能な開口を有していることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、ハンマーを回動自在に支持するハンマーサポートが、ハンマーの後部を覆うように配置されており、また、上下方向に貫通する所定の開口を有している。したがって、ハンマーの後部がハンマーサポートで覆われていても、ハンマーサポートの上記開口を介して、工具をキャプスタンスクリューの係合部に上方から容易にアクセスでき、キャプスタンスクリューを簡単に回すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態によるハンマー装置を適用した電子ピアノの鍵盤装置を、一部を切り欠いた状態で示す側面図である。
【図2】ハンマーサポートを示す斜視図であり、(a)は、1オクターブ分のハンマーサポートの全体を示し、(b)は、一部を切り欠いた状態を示す。
【図3】ハンマーサポートを示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図4】(a)はハンマーを示す側面図であり、(b)はキャプスタンスクリューの周囲を拡大して示す図である。
【図5】キャプスタンスクリューの軸部先端面の係合溝を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態によるハンマー装置を適用した電子ピアノの鍵盤装置を、離鍵状態において示している。
【0015】
同図に示すように、鍵盤装置1は、電子ピアノの左右方向(図1の表裏方向)に並んだ多数の鍵2(白鍵2aおよび黒鍵2bを各1つのみ図示)と、これらの鍵2を支持する鍵盤シャーシ3と、この鍵盤シャーシ3の後端部(図1の右端部)に連結されたハンマーサポート4と、鍵2ごとに設けられ、押鍵された鍵2に連動して回動する多数のハンマー5(1つのみ図示)と、ハンマー5ごとに設けられ、鍵2の押鍵時にレットオフ感を付与するための多数のレットオフ部品6(1つのみ図示)と、鍵2の押鍵情報を検出するための鍵スイッチ7などで構成されている。
【0016】
鍵盤シャーシ3は、左右方向に延びる前レール9a、中レール9bおよび後レール9cから成る3本の支持レール9と、前後方向に延びる5本の補強用のリブ10とを、井桁状に組み立てたものであり、棚板(図示せず)上に固定されている。これらの支持レール9およびリブ10はいずれも、プレスによる打抜きおよび折曲げ加工によって所定の形状に形成された鉄板で構成されている。支持レール9の板厚は、その軽量化のためにより薄く(例えば1.0mm)、リブ10の板厚は、補強のためにより厚く(例えば1.6mm)設定されている。
【0017】
前レール9aの下面および中レール9bの上面にはそれぞれ、筬前11および筬中12が固定されている。筬前11および筬中12は、合成樹脂から成る肉厚の板状のものであり、前レール9aおよび中レール9bの全体にわたって左右方向に延びている。筬中12には、白鍵2aおよび黒鍵2bに対応する前後の位置に、多数のバランスピン13が、左右方向に並んだ状態で立設されている。また、筬前11には、白鍵2aおよび黒鍵2bに対応する前後の位置に、多数のフロントピン14が、左右方向に並んだ状態で立設されている。
【0018】
鍵2は、前後方向に延びるとともに矩形状の横断面を有する木製の鍵本体15と、その前部の上面および前面に接着された合成樹脂製の鍵カバー16で構成されている。鍵本体15の中心よりも後ろ側には、バランスピン孔17が形成されており、鍵2は、このバランスピン孔17を介して、バランスピン13に揺動自在に支持されている。また、鍵本体15の前端部には、フロントピン孔18が形成されており、このフロントピン孔18がフロントピン14に係合することによって、鍵2が回動する際の左右方向のぶれが防止される。
【0019】
ハンマーサポート4は、合成樹脂で構成され、例えば1オクターブ分の複数の成形品を互いに連結したものであり、すべてのハンマー5にわたるように左右方向に延びており、鍵盤シャーシ3の後レール9cにねじ止めされている。ハンマーサポート4は、この後レール9c付近から直立するハンマー支持部19と、その上端部から前方に斜め上がりに延びるスイッチ取付部20などで構成されている。ハンマー支持部19の上端部には、各ハンマー5を支持するための水平なピン状の支点軸部21が形成されている。
【0020】
ハンマー5は、前後方向に延びるアーム状のハンマー本体22と、その左右の側面の前端部に取り付けられた錘板23(1つのみ図示)を有する。ハンマー本体22は合成樹脂で構成され、錘板23は、比重が比較的大きな鉄などの金属材料で構成されている。ハンマー本体22の後端部には、円弧状の軸穴24が形成されており、ハンマー5は、この軸穴24が支点軸部21に係合することによって、ハンマーサポート4に回動自在に支持されている。
【0021】
また、ハンマー本体22の下面には、軸穴24のすぐ前側の位置に、キャプスタンスクリュー25が進退自在にねじ込まれている。ハンマー5は、このキャプスタンスクリュー25を介して、鍵2の後端部に載置されている。また、ハンマー本体22の上面の軸穴24とキャプスタンスクリュー25との間の部分は、押鍵時に鍵スイッチ7を作動させるためのアクチュエータ部26になっている。さらに、ハンマー本体22の上面の前後方向の中央には、押鍵時にレットオフ部品6に係合する板状の係合突起27が設けられている。
【0022】
レットオフ部品6は、所定の弾性材料(例えば、スチレン系の熱可塑性エラストマーなど)の成形品で構成されており、ハンマーサポート4のスイッチ取付部20に取り付けられている。レットオフ部品6は、スイッチ取付部20から後ろ下がりに斜めに延びており、その先端部には、くびれ部を介して頭部28が形成されている。この頭部28は、離鍵状態において、ハンマー5の係合突起27に対向している。
【0023】
また、鍵スイッチ7は、プリント基板から成るスイッチ基板29と、このスイッチ基板29の下面に、鍵2ごとに設けられたゴムスイッチから成るスイッチ本体30で構成されている。スイッチ基板29は、その後端部がスイッチ取付部20に差し込まれるとともに、前端部および中央部がスイッチ取付部20にねじ止めされている。また、スイッチ本体30は、離鍵状態において、ハンマー5のアクチュエータ部26に若干の間隔をもって対向している。さらに、スイッチ取付部20の下面の前端部には、ハンマー5の上方への回動を規制する、発泡ウレタンなどで構成されたハンマーストッパ31が設けられている。
【0024】
次に、上記構成の鍵盤装置1の動作について説明する。図1に示す離鍵状態から鍵2が押鍵されると、鍵2は、バランスピン13を中心として、同図の反時計方向に回動し、それに伴い、ハンマー5は、キャプスタンスクリュー25を介して押し上げられ、支点軸部21を中心として、上方(同図の時計方向)に回動する。
【0025】
このハンマー5の回動の途中で、その係合突起27が、レットオフ部品6の頭部28に係合し、頭部28を介してレットオフ部品6を圧縮させながら押圧することにより、レットオフ部品6からハンマー5に作用する反力が増大する。ハンマー5の回動が進むと、係合突起27が頭部28から外れることで、レットオフ部品6からの反力が急激に消失する。このようなレットオフ部品6の反力の増大と消失によって、アコースティックピアノに近似したレットオフ感が得られる。
【0026】
その後、ハンマー5がハンマーストッパ31に当接することによって、ハンマー5の上方への回動が終了する。また、ハンマー5の上方への回動の間、そのアクチュエータ部26が鍵スイッチ7のスイッチ本体30を押圧し、鍵スイッチ7をONすることによって、ハンマー5の回動量に応じた鍵2の押鍵情報が検出され、発音制御装置(図示せず)に出力される。そして、この発音制御装置により、検出された押鍵情報に基づいて、電子ピアノの発音が制御される。
【0027】
その後、鍵2が離鍵されると、鍵2は押鍵時と反対方向に回動し、図1に示す離鍵状態に復帰し、それに伴い、ハンマー5も、下方に回動し、離鍵状態に復帰する。
【0028】
次に、本発明に係るハンマー装置について、詳細に説明する。図2および図3は、1オクターブ分のハンマーサポート4を示している。前述したように、このハンマーサポート4は、合成樹脂の成形品で構成されており、互いに左右方向に所定間隔を隔てた状態で、隣り合うハンマー5を仕切る複数の仕切壁41を有している。この仕切壁41は、前記ハンマー支持部19に対応し、側面形状が縦長のほぼ長方形状に形成された方形壁42と、前記スイッチ取付部20に対応し、方形壁42の上部前端に連なりかつ側面形状がほぼ三角形状に形成された三角壁43とで構成されている。そして、このハンマーサポート4において、すべての方形壁42は、その下部の前端部および下端部が左右方向に連なるとともに、上部の後端部が、背壁部44を介して、左右方向に連なっている。一方、すべての三角壁43は、その上部の前半部が、上壁部45を介して、左右方向に連なっている。
【0029】
また、隣り合う仕切壁41、41間にはそれぞれ、方形壁42と三角壁43が連なる部分に、左右方向に延びる前記支点軸部21が設けられている。そして、前述したように、この支点軸部21にハンマー5が回動自在に支持されている。
【0030】
図4(a)は、ハンマー5を示し、同図(b)は、キャプスタンスクリュー25およびその周囲を、一部切断した状態で拡大して示している。キャプスタンスクリュー25は、鉄などから成り、同図に示すように、上下方向に延びかつ雄ねじが形成された軸部46(雄ねじ部)と、下端部に設けられた頭部47と、軸部46と頭部47の間に設けられ、横断面が六角形に形成された六角係合部48とで構成されている。また、軸部46の先端面(上端面)には、キャプスタンスクリュー25を回転させるための工具が係合可能な係合溝49(係合部)が形成されている。この係合溝49は、例えば図5(a)〜(c)に示すように、平面形状がプラス形状やマイナス形状、六角形状などに形成される。そして、このように構成されたキャプスタンスクリュー25が、ハンマー本体22の取付孔50に下方からねじ込まれている。
【0031】
この取付孔50は、図4(b)に示すように、上下方向に貫通するように、ハンマー本体22に形成されている。また、取付孔50の上端部50aは、上方に向かって径が次第に大きくなるテーパ状に形成されている。
【0032】
次に、ハンマー5の調整作業について説明する。電子ピアノの製造時においては、ハンマーサポート4のスイッチ取付部20に鍵スイッチ7を取り付ける前に実行され、またメンテナンス時においては、ハンマーサポート4から鍵スイッチ7を取り外した状態で実行される。すなわち、前述した図1の鍵盤装置1において、鍵スイッチ7を省略した状態で行う。この場合、ハンマーサポート4では、隣り合う仕切壁41、41、背壁部44および上壁部45によって画成される開口40が、上下方向に貫通した状態に開放され、この開口40を介して、各ハンマー5の後部が上方に露出する。
【0033】
まず、調整すべきハンマー5に対応する鍵2を押鍵した状態に保持し、ハンマー5を上方に回動させる。これにより、キャプスタンスクリュー25の係合溝49が、ハンマーサポート4の開口40に向いた状態になる。次いで、その係合溝49に対応する工具(例えば、プラスドライバーやマイナスドライバーなど)を、開口40を介して、上方からハンマー5側に挿入し、さらに取付孔50に挿入する。そして、工具を係合溝49に係合させ、キャプスタンスクリュー25を適宜回す。調整終了後、工具をハンマー5の取付孔50およびハンマーサポート4の開口40から上方に引き出して、鍵2を離鍵状態に戻し、これに伴い、上方に回動していたハンマー5が元に戻る。なお、このキャプスタンスクリュー25には、従来と同様、軸部46と頭部47の間に、六角係合部48が設けられているので、この六角係合部48を利用することにより、従来と同様にして、キャプスタンスクリュー25を回し、ハンマー5を調整することも可能である。
【0034】
以上詳述したように、本実施形態によれば、ハンマー5を調整する場合、ハンマー5の上方から、工具を軸部46の係合溝49に係合させ、工具を操作することにより、キャプスタンスクリュー25を簡単に回すことができる。したがって、鍵とハンマーとの間に工具を挿入してキャプスタンスクリューを回す従来のハンマー装置に比べて、ハンマーの調整作業を容易に行うことができる。また、ハンマー本体22の取付孔50の上端部50aは、テーパ状に形成されているので、工具を取付孔50に容易に挿入することができる。
【0035】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、キャプスタンスクリュー25の係合溝49として、3種類の形状を例示したが、係合溝49の形状はこれらに限定されるものではなく、他の形状(例えば三角形や四角形など)を採用することも可能である。また、係合溝49とこれに係合する工具との凹凸関係を逆にすることも可能である。
【0036】
また、実施形態では、キャプスタンスクリュー25の係合溝49が、ハンマー本体22の取付孔50の内部に位置した状態を示したが、軸部46が取付孔50を貫通し、係合溝49がハンマー本体22の上面よりも上方に位置するよう、軸部46がより長いキャプスタンスクリューを採用してもよい。この場合には、工具を、ハンマー本体22の取付孔50に挿入することなく、係合溝49に係合させることが可能となる。
【0037】
さらに、実施形態では、ハンマーサポート4から鍵スイッチ7を省略した状態で、ハンマー5の調整を行ったが、例えば、鍵スイッチ7のスイッチ基板29に、工具を挿入可能な孔を形成しておくことにより、鍵スイッチ7をハンマーサポート4に取り付けた状態のまま、上記の孔を介して、工具を挿入し、キャプスタンスクリュー25を回すことが可能となる。
【0038】
また、実施形態で示したハンマー5やキャプスタンスクリュー25の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 鍵盤装置
2 鍵
4 ハンマーサポート
5 ハンマー
22 ハンマー本体
25 キャプスタンスクリュー
40 開口
46 軸部(雄ねじ部)
47 頭部
49 係合溝(係合部)
50 取付孔
50a 取付孔の上端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押鍵された鍵に連動して回動するハンマーを備えた電子鍵盤楽器のハンマー装置であって、
前記ハンマーは、
前後方向に延び、後端部の支点を中心として回動自在のハンマー本体と、
このハンマー本体の前記支点よりも前方の所定位置に設けられ、上下方向に貫通した状態に形成された取付孔と、
上下方向に延びる雄ねじ部と、この雄ねじ部の下側に設けられた頭部とを有し、前記雄ねじ部が前記取付孔に下方から進退自在にねじ込まれるとともに、前記頭部が前記鍵の上面後端部に載置されるキャプスタンスクリューと、
を有しており、
前記キャプスタンスクリューの前記雄ねじ部の上端面には、当該キャプスタンスクリューを回転させるための工具を係合可能な係合部が形成されていることを特徴とする電子鍵盤楽器のハンマー装置。
【請求項2】
前記取付孔の上端部は、上方に向かって径が次第に大きくなるテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子鍵盤楽器のハンマー装置。
【請求項3】
前記ハンマーの後部を覆うように配置され、当該ハンマーを回動自在に支持するハンマーサポートを、さらに備え、
当該ハンマーサポートは、上下方向に貫通し、前記工具が前記キャプスタンスクリューの前記係合部に上方からアクセス可能な開口を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の電子鍵盤楽器のハンマー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−73004(P2013−73004A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211816(P2011−211816)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】