説明

電子電話帳の管理装置および管理方法

【課題】電話帳データの転送元に特別なアプリケーション等をインストールしなくても、他者に見られたくない所定の登録者を転送先の電話帳データから個別に消去することなく、電話帳データの転送先で所定の登録者を非表示にすることができるようにした「電子電話帳の管理装置および管理方法」を提供する。
【解決手段】携帯電話200の電話帳データを車載装置100に同期させた後、車載装置100にて電話帳の表示が指示されたときに、表示制御部6は、電話帳データ記憶部3に記憶されている電話帳データの個々の登録者ごとに登録内容を確認し、着信拒否設定されている登録者以外の登録者の登録内容を電話帳として一覧表示させることにより、シークレットフラグといった特別なフラグがなくても、携帯電話200で一般的に設定可能な着信拒否設定があれば、着信拒否設定されている登録者を電話帳から除いて一覧表示できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子電話帳の管理装置および管理方法に関し、特に、電子電話帳の登録内容をリスト表示する機能を有する管理装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、USB(Universal Serial Bus)等の有線あるいはブルートゥース等の無線によって携帯電話(スマートフォンも含む)と連携し、携帯電話が備える機能を利用可能になされた車載装置が提供されつつある。例えば、携帯電話に登録してある電子電話帳(電話帳データ)を車載装置に転送し、車載装置が備える電話帳データを携帯電話が備える電話帳データと同一内容に同期させる技術が提供されている。
【0003】
例えば、車載装置の一例としてハンズフリー通話装置を用いる場合、当該ハンズフリー通話装置の電話帳データを携帯電話の電話帳データと同期させれば、ハンズフリー通話装置においても携帯電話の電話帳と同じ登録者を指定して電話をかけることが可能となる。電話をかける場合、メニュー画面において電話帳の表示を指示すると、同期された電話帳データの登録内容(登録者の名前および電話番号)がリストとして一覧表示される。ユーザがその一覧の中から何れかの登録者を選択すると、選択された登録者の電話番号に発信が行われる。
【0004】
ところで、携帯電話は個人の所有物であるため、携帯電話の電話帳は持ち主しか見ないのが普通である。これに対し、車には家族や友達など複数人が同乗することがある関係上、車載装置の画面は不特定多数の人に同時に見られることが普通である。そのため、携帯電話の電話帳データを車載装置に同期させておくと、普段は持ち主しか見ない携帯電話の電話帳の内容が、車載装置の画面を通じて他者に見られてしまう可能性がある。
【0005】
そのため、携帯電話の電話帳データの中に、他者にどうしても見られたくない登録者が含まれている場合には、携帯電話の電話帳データを車載装置に転送して同期をとった後、見られたくない登録者を車載装置の電話帳データから個別に消去しなければならなかった。しかしながら、この消去作業をすることをユーザがうっかり忘れてしまうと、見られたくない登録者が車載装置の画面を通じて他者に見られてしまうという問題があった。
【0006】
なお、相手携帯端末に転送された電話帳データが、相手携帯端末から更に別の端末へと再転送されるのを防ぐことを目的として、転送元の通信端末が備える電話帳データの各レコードに対して、所定の情報を転送先端末で非表示/再転送禁止とするための識別子(シークレットフラグ)を設定可能にした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、この特許文献1に記載の技術では、転送元の通信端末がシークレットフラグという特別なフラグを設定する機能(シークレット機能という)を備えていなければならない。すなわち、上述のように携帯電話から車載装置に電話帳データを転送する場合、携帯電話がシークレット機能を備えていなければならない。そのため、当該シークレット機能を備えたアプリケーション等をインストールしていない携帯電話では、電話帳データを転送した先の車載装置で所定の登録者(レコード)を非表示にすることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−224859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、電話帳データの転送元に特別なアプリケーション等をインストールしなくても、他者に見られたくない所定の登録者を転送先の電話帳データから個別に消去することなく、電話帳データの転送先で所定の登録者を非表示にすることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明では、電話帳データに基づく電話帳の表示が指示されたときに、電話帳データ記憶部に記憶されている電話帳データの個々の登録者ごとに登録内容を確認し、着信拒否設定されている登録者以外の登録者の登録内容を一覧表示させるようにしている。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、シークレットフラグといった特別なフラグがなくても、携帯電話で一般的に設定可能な着信拒否設定があれば、着信拒否設定されている登録者を電話帳の一覧表示に含めないようにすることができる。これにより、電話帳データの転送元となる携帯電話に特別なアプリケーション等をインストールしなくても、他者に見られたくない所定の登録者を転送先の電話帳データから個別に消去することなく、電話帳データの転送先で所定の登録者を着信拒否設定に基づき非表示にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態による電子電話帳の管理装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態の表示制御部により表示部に表示される電話帳の例を示す図である。
【図3】本実施形態による車載装置(電子電話帳の管理装置)の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による電子電話帳の管理装置の構成例を示す図である。本実施形態では、電子電話帳の管理装置は車載装置100に備えられている。
【0014】
車載装置100には、操作部10および表示部20が接続されている。操作部10は、ユーザが車載装置100に対して各種の情報を設定したり、各種の操作を行ったりするためのものである。この操作部10は、例えばリモコン、タッチパネルまたは操作スイッチ等により構成される。表示部20は、各種の情報を表示するためのものであり、例えば液晶ディスプレイにより構成される。
【0015】
また、車載装置100は、USB等の有線あるいはブルートゥース等の無線によって携帯電話200(スマートフォンやタブレット端末も含む)と任意に接続可能に構成されている。そして、携帯電話200に登録してある電話帳データを車載装置100に転送し、車載装置100が備える電話帳データを携帯電話200が備える電話帳データと同一内容に同期させることができるようになされている。なお、携帯電話200は、特許請求の範囲に記載の外部機器に相当する。
【0016】
車載装置100において電話帳データを管理するための機能構成として、電話帳データ受信部1、記録部2、電話帳データ記憶部3、操作受付部4、モード設定部5および表示制御部6を備えている。すなわち、本実施形態による電子電話帳の管理装置は、これらの電話帳データ受信部1、記録部2、電話帳データ記憶部3、操作受付部4、モード設定部5および表示制御部6を備えて構成されている。
【0017】
電話帳データ受信部1は、有線または無線で接続された携帯電話200から電話帳データの転送を受ける。ここで転送される電話帳データは、全登録者のデータであり、登録者の名前、電話番号、その他の設定情報を含む。その他の設定情報としては、例えば、着信拒否設定の情報がある。
【0018】
記録部2は、電話帳データ受信部1により受信された電話帳データを電話帳データ記憶部3に記憶させる。電話帳データ記憶部3は、電話帳データ受信部1により受信された電話帳データを記憶して保存するための記録媒体であり、例えばハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリにより構成される。
【0019】
操作受付部4は、ユーザが操作部10を通じて電話帳の表示を指示する操作を受け付ける。操作受付部4は、この電話帳表示指示操作を受け付けた場合、その旨を表示制御部6に通知する。また、操作受付部4は、ユーザが操作部10を通じて後述する表示モードを設定する操作を受け付ける。操作受付部4は、この表示モード設定操作を受け付けた場合、その旨をモード設定部5に通知する。
【0020】
モード設定部5は、操作受付部4が受け付けたユーザ操作に応じて、電話帳データの中で着信拒否設定されている登録者を電話帳の一覧表示の中に含める反映モードと、一覧表示の中に含めない非反映モードとの何れかを表示モードとして設定する。モード設定部5は、設定した表示モードの情報を図示しない内部メモリ(または、電話帳データ記憶部3と同じ記録媒体でもよい)に記憶しておく。
【0021】
表示制御部6は、操作部10に対するユーザ操作を通じて電話帳の表示が指示されたときに、モード設定部5に設定された表示モードを確認する。ここで、モード設定部5において反映モードが設定されている場合、表示制御部6は、電話帳データ記憶部3に記憶されている電話帳データ(携帯電話200の電話帳データと同期されたもの)の全登録者の登録内容を電話帳として表示部20に一覧表示させるように制御する。
【0022】
一方、モード設定部5において非反映モードが設定されている場合、表示制御部6は、電話帳データ記憶部3に記憶されている電話帳データの個々の登録者ごとに登録内容を確認し、着信拒否設定されている登録者以外の登録者の登録内容を電話帳として表示部20に一覧表示させるように制御する。
【0023】
図2は、本実施形態の表示制御部6により表示部20に表示される電話帳の例を示す図である。図2(a)は反映モードの設定時に表示される電話帳の例、図2(b)は非反映モードの設定時に表示される電話帳の例を示している。図2(a)において、登録者Cには着信拒否設定がされているものとする。反映モードが設定されている場合、着信拒否設定されている登録者Cも電話帳の一覧表示の中に反映される。
【0024】
これに対して、非反映モードが設定されている場合は、図2(b)に示すように、着信拒否設定されている登録者Cを除いて電話帳が一覧表示される。しかも、着信拒否設定されている登録者Cの表示が単に消されるだけでなく、それ以降の登録者が1段ずつ上にシフトされて表示されるため、いわゆる歯抜けの状態ではなく自然な形で電話帳が表示される。
【0025】
図3は、上記のように構成した本実施形態による車載装置100(電子電話帳の管理装置)の動作例を示すフローチャートである。なお、図3に示すフローチャートの処理を行う時点で、携帯電話200から車載装置100に対して電話帳データが転送されて電話帳データ記憶部3に記憶され、電話帳データの同期がとられているものとする。図3に示すフローチャートは、操作部10に対するユーザ操作を通じて車載装置100にて電話帳の表示が指示されたときに開始する。
【0026】
図3において、表示制御部6は、モード設定部5の内部メモリに設定されている表示モード情報を確認し(ステップS1)、着信拒否設定されている登録者を電話帳の一覧表示の中に含めない非反映モードが設定されているか否かを判定する(ステップS2)。
【0027】
ここで、非反映モードが設定されていると判断した場合、表示制御部6は、電話帳データ記憶部3に記憶されている電話帳データの個々の登録者ごとに登録内容を確認し、着信拒否設定されている登録者以外の登録者の登録内容を表示部20に一覧表示させるように制御する(ステップS3)。この電話帳の表示により図3に示すフローチャートの処理は終了する。
【0028】
一方、非反映モードが設定されていない、つまり、着信拒否設定されている登録者を電話帳の一覧表示の中に含める反映モードが設定されていると判断した場合、表示制御部6は、電話帳データ記憶部3に記憶されている電話帳データの全登録者の登録内容を表示部20に一覧表示させるように制御する(ステップS4)。この電話帳の表示により図3に示すフローチャートの処理は終了する。
【0029】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、携帯電話200の電話帳データを車載装置100に同期させた後、車載装置100にて電話帳の表示が指示されたときに、電話帳データ記憶部3に記憶されている電話帳データの個々の登録者ごとに登録内容を確認し、着信拒否設定されている登録者以外の登録者の登録内容を電話帳として一覧表示させるようにしている。
【0030】
このように構成した本実施形態によれば、シークレットフラグといった特別なフラグがなくても、携帯電話200で一般的に設定可能な着信拒否設定があれば、着信拒否設定されている登録者を電話帳の一覧表示に含めないようにすることができる。これにより、電話帳データの転送元となる携帯電話200に特別なアプリケーション等をインストールしなくても、他者に見られたくない所定の登録者を転送先の車載装置100の電話帳データから個別に消去することなく、車載装置100で所定の登録者を着信拒否設定に基づき非表示にすることができる。
【0031】
また、本実施形態では、着信拒否設定されている登録者を電話帳の一覧表示に含めるか否かを表示モードの設定によりユーザが自由に選択できるようにしている。これにより、例えば電話帳データの同期をとった携帯電話200の持ち主のみが車に乗って車載装置100を利用するときは、表示モードを反映モードに設定することにより、着信拒否設定されている登録者も含めて電話帳を一覧表示させることができる。ユーザは、必要に応じて、着信拒否設定されている登録者を一覧の中から選択して発信することができる。
【0032】
なお、上記実施形態では、携帯電話200の電話帳データの転送先が車載装置100である場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。携帯電話200の持ち主以外に不特定多数の人が同時に画面を見る可能性のある電子機器であれば、本実施形態による電子電話帳の管理装置を適用することが可能である。
【0033】
また、上記実施形態では、着信拒否設定されている登録者を電話帳の一覧表示に含めるか否かを表示モードの設定によりユーザが自由に選択できるようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、電話帳データの同期がとられた携帯電話200の持ち主が車に乗ったか否かを判定し、持ち主が乗ったことを検出したときに表示モードを非反映モードに自動設定するようにしてもよい。
【0034】
持ち主が車に乗ったか否かの判定は、例えば、ブルートゥースに備えられている一般的な自動接続機能を利用して行うことが可能である。携帯電話200と車載装置100とをブルートゥースにより無線接続する場合、携帯電話200の識別情報を車載装置100に一度登録して認証を済ませておくと、その後は、携帯電話200が車載装置100に近づくだけで、認証済みの識別情報に基づいて相互に接続され、通信可能な状態となる。
【0035】
一方、携帯電話200から車載装置100に電話帳データを転送して同期をとる際に、電話帳データに加えて携帯電話200の識別情報を転送して車載装置100に記憶させる。そして、ユーザが携帯電話200を持って車に乗ったときに、ブルートゥースの自動接続の際に確認される携帯電話200の識別情報と、電話帳データの同期がとられた携帯電話200の識別情報とが一致するか否かを判定し、一致すると判断したときに、表示モードを非反映モードに自動設定する。
【0036】
このようにすれば、電話帳データの同期をとった携帯電話200の持ち主が表示モードを非反映モードに設定することを忘れていても、当該持ち主が携帯電話200を持って車に乗れば、表示モードは非反映モードに自動設定される。よって、他者に見られたくない登録者が誤って見られてしまう不都合をなくすことができる。着信拒否設定されている登録者も表示させたい場合は、ユーザが操作部10を操作して表示モードを反映モードに変更すればよい。
【0037】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 電話帳データ受信部
3 電話帳データ記憶部
5 モード設定部
6 表示制御部
100 車載装置
200 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有線または無線で接続された外部機器から電話帳データの転送を受ける電話帳データ受信部と、
上記電話帳データ受信部により受信された上記電話帳データを記憶する電話帳データ記憶部と、
上記電話帳データに基づく電話帳の表示が指示されたときに、上記電話帳データ記憶部に記憶されている上記電話帳データの個々の登録者ごとに登録内容を確認し、着信拒否設定されている登録者以外の登録者の登録内容を一覧表示させる表示制御部とを備えたことを特徴とする電子電話帳の管理装置。
【請求項2】
上記着信拒否設定されている登録者を一覧表示の中に含める反映モードと、一覧表示の中に含めない非反映モードとの何れかをユーザ操作に応じて設定するモード設定部を更に備え、
上記表示制御部は、上記モード設定部により上記反映モードが設定されているときには、上記電話帳データの全登録者の登録内容を一覧表示させる一方、上記モード設定部により上記非反映モードが設定されているときには、上記着信拒否設定されている登録者以外の登録者の登録内容を一覧表示させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子電話帳の管理装置。
【請求項3】
車載装置にて電話帳の表示が指示されたときに、上記車載装置の表示制御部が、着信拒否設定されている登録者を上記電話帳の一覧表示の中に含める反映モードと、一覧表示の中に含めない非反映モードとの何れかが設定されているかを判定する第1のステップと、
上記非反映モードが設定されていると判断したときに、上記表示制御部が、上記車載装置の電話帳データ記憶部に記憶されている電話帳データの個々の登録者ごとに登録内容を確認し、着信拒否設定されている登録者以外の登録者の登録内容を一覧表示させる第2のステップとを有することを特徴とする電子電話帳の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−30866(P2013−30866A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163927(P2011−163927)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】