電子顕微鏡用試料ホルダ及び電子顕微鏡
【課題】 走査型電子顕微鏡を用いて試料の略全域を高分解能で観察することができる顕微鏡用試料ホルダ、及びそのような顕微鏡用試料ホルダを具備する電子顕微鏡を提供する。
【解決手段】 電子顕微鏡用試料ホルダ20においては、走査型電子顕微鏡の試料台に本体部21が取り付けられた状態で、グリッド28によって支持された試料Sを透過し且つ絞り部材31を通過した電子線が2次電子発生面32に照射され、それにより、2次電子発生面32から2次電子が発生させられる。このとき、試料Sによる散乱電子が絞り部材31によって遮断されるため、高分解能で試料Sを観察することができる。また、本体部21が試料台によって傾斜及び回転させられるため、試料Sの略全域を観察することができる。
【解決手段】 電子顕微鏡用試料ホルダ20においては、走査型電子顕微鏡の試料台に本体部21が取り付けられた状態で、グリッド28によって支持された試料Sを透過し且つ絞り部材31を通過した電子線が2次電子発生面32に照射され、それにより、2次電子発生面32から2次電子が発生させられる。このとき、試料Sによる散乱電子が絞り部材31によって遮断されるため、高分解能で試料Sを観察することができる。また、本体部21が試料台によって傾斜及び回転させられるため、試料Sの略全域を観察することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子顕微鏡用試料ホルダ及び電子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来一般的な電子顕微鏡として、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)及び透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)が知られている。走査型電子顕微鏡は、バルク状の試料の表面の微細構造を拡大観察するための装置である(例えば、特許文献1参照)。また、透過型電子顕微鏡は、薄膜状の試料の透過像によって微細構造を拡大観察するための装置である(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−54094号公報
【特許文献2】特開2006−127805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、走査型電子顕微鏡は、比較的廉価であり、広く普及している。一方、透過型電子顕微鏡は、高分解能で試料を観察することができるものの、走査型電子顕微鏡に比べて高価であり、その普及率は高くない。また、特に医生物試料においては、試料の略全域を観察する必要がある。
【0004】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、走査型電子顕微鏡を用いて試料の略全域を高分解能で観察することができる顕微鏡用試料ホルダ、及びそのような顕微鏡用試料ホルダを具備する電子顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダは、走査型電子顕微鏡の試料台に取り付けられる本体部と、本体部において試料を支持する支持部と、本体部において試料を透過した電子線を絞る絞り部と、本体部において絞り部を通過した電子線が照射されることで2次電子を発生する2次電子発生部と、を備え、本体部は、試料台によって傾斜及び回転させられることを特徴とする。
【0006】
この電子顕微鏡用試料ホルダでは、走査型電子顕微鏡の試料台に本体部が取り付けられた状態で、支持部によって支持された試料を透過し且つ絞り部を通過した電子線が2次電子発生部に照射され、それにより、2次電子発生部から2次電子が発生させられる。このとき、試料による散乱電子が絞り部によって遮断されるため、高分解能で試料を観察することができる。また、本体部が試料台によって傾斜及び回転させられるため、試料の略全域を観察することができる。従って、この電子顕微鏡用試料ホルダによれば、走査型電子顕微鏡を用いて試料の略全域を高分解能で観察することが可能となる。
【0007】
本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダにおいては、少なくとも支持部の周囲に、試料による散乱電子を減衰させる電子減衰部が設けられていることが好ましい。この場合、試料の透過像のコントラスト及び解像度をより一層向上させることができる。
【0008】
本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダにおいては、少なくとも支持部の周囲に、試料を汚染するガスを吸収するガス吸収部が設けられていることが好ましい。この場合、電子顕微鏡内の残留ガスや試料から生じるガス等による試料の汚染を抑制することができる。
【0009】
本発明に係る電子顕微鏡は、上述した本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、走査型電子顕微鏡を用いて試料の略全域を高分解能で観察することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明に係る電子顕微鏡の一実施形態を示す概略構成図である。図1に示されるように、走査型電子顕微鏡(電子顕微鏡)1は、電子顕微鏡用試料ホルダ20がボルト3によって固定された円板状の試料台4を備えている。試料ホルダ20は、観察対象となる試料Sを保持している。試料台4は、軸線L回りに回転可能となっていると共に、軸線L方向、及びその方向と直交する方向に移動可能となっている。更に、試料台4は、任意の方向に傾斜可能となっている。
【0013】
軸線L方向において試料台4と対向する位置には、試料台4に向かって電子線EBを出射する電子銃5と、電子銃5から出射された電子線EBを試料台4に向かって加速させるアノード6とが設置されている。アノード6と試料台4との間には、アノード6によって加速された電子線EBを収束する収束レンズ7及び対物レンズ8と、収束レンズ7及び対物レンズ8によって収束された電子線EBを走査する走査コイル9とが設置されている。
【0014】
更に、走査型電子顕微鏡1は、試料Sを透過した電子線EBの照射によって試料ホルダ20から発生させられた2次電子SEを検出する2次電子検出器11と、試料Sの透過像を表示する表示装置12とを備えている。試料ホルダ20、試料台4、電子銃5の電子線出射部、アノード6、収束レンズ7、対物レンズ8、走査コイル9及び2次電子検出器11の2次電子検出部は、真空引きされる筐体13内に配置されている。
【0015】
図2は、図1に示された電子顕微鏡が具備する電子顕微鏡用試料ホルダの縦断面図である。図2に示されるように、電子顕微鏡用試料ホルダ20は、例えばアルミニウム合金からなる円柱状の本体部21を備えている。本体部21の電子線入射側の一端面21aには、断面円形状の凹部22が形成されており、凹部22の底面には、断面円形状の凹部23が形成されている。更に、凹部23の底面には、断面円形状の凹部24が形成されており、凹部24の底面には、本体部21の側面21bに形成された断面V字状の切欠き部25と凹部24とを連通する貫通孔26が形成されている。
【0016】
本体部21の他端面21cには、試料台4を介してボルト3が螺合されるネジ穴27が形成されている。これにより、本体部21は、走査型電子顕微鏡1の試料台4に取り付けられる。なお、試料台4に形成された断面円形状の凹部に、本体部21の他端部を嵌合させることで、試料台4に本体部21を取り付けることもできる。
【0017】
本体部21の凹部22の底面には、薄膜状の試料Sを支持するグリッド(支持部)28が配置されており、グリッド28は、凹部22に嵌合する円環状の押さえ部材29によって固定されている。また、本体部21の凹部24の底面には、試料Sを透過した電子線EBを絞る絞り部材(絞り部)31が固定されている。絞り部材31は、例えばモリブテンからなる箔状の部材であり、アパーチャ31aを有している。
【0018】
本体部21において切欠き部25を画定し且つ絞り部材31と対向する傾斜面は、絞り部31を通過した電子線EBが照射されることで2次電子SEを発生する2次電子発生面(2次電子発生部)32となっている。2次電子発生面32は、例えばアルミニウム合金の研磨面である。
【0019】
図3は、図2に示された電子顕微鏡用試料ホルダの動きを示す図である。図3に示されるように、電子顕微鏡用試料ホルダ20は、試料台4の傾斜及び回転に伴って傾斜及び回転する。すなわち、試料ホルダ20の本体部21は、試料台4によって傾斜及び回転させられる。このとき、試料ホルダ20は、グリッド28及び絞り部31のアパーチャ31aを通り得る全ての電子線EBが2次電子発生面32に照射されるように構成されている。
【0020】
以上のように構成された走査型電子顕微鏡1及び電子顕微鏡用試料ホルダ20においては、試料台4に本体部21が取り付けられた状態で電子銃5から電子線EBが出射されると、グリッド28によって支持された試料Sを透過し且つ絞り部材31を通過した電子線EBが2次電子発生面32に照射され、それにより、2次電子発生面32から2次電子SEが発生させられる。2次電子発生面32から発生させられた2次電子SEは、2次電子検出器11によって検出され、それにより、試料Sの透過像が表示装置12に表示される。
【0021】
このとき、試料Sによる散乱電子が絞り部材31によって遮断されるため、高分解能で試料Sを観察することができる。また、本体部21が試料台4によって傾斜及び回転させられるため、試料Sの略全域を観察することができる。従って、走査型電子顕微鏡1及び電子顕微鏡用試料ホルダ20によれば、走査型電子顕微鏡でありながら、試料Sの略全域を高分解能で観察することが可能となる。
【0022】
ここで、電子顕微鏡用試料ホルダ20の実施例について、図2を参照して詳細に説明する。
(1)絞り部材31
【0023】
絞り部材31は、試料Sの透過像において充分なコントラスト及び解像度を得るために、試料Sによる散乱電子を遮断する部材である。実施例の試料ホルダ20では、試料Sの下側1.5mmの位置に孔径(アパーチャ31aの直径)60μmのモリブデン箔固定絞りを挿入した。孔径としては、小さくするとコントラストが向上するが、S/N比の低下によって画質の劣化を招くため、双方の条件を満たす60μmを採用した。また、試料Sとの間隔としては、近接するとコントラストが向上するが、視野移動距離が小さくなるため、双方の条件を満たす1.5mmを採用した。
(2)2次電子発生面32
【0024】
一般的な走査型電子顕微鏡を用いて試料Sの透過像を得るためには、超薄切片である試料Sを透過した電子線EBの強弱を2次電子量に変換する機能が必要である。実施例の試料ホルダ20では、水平角60°(電子線EBの入射方向に対して30°)のアルミニウム合金の研磨面に透過電子を衝突させ、2次電子SEを発生させる仕組みとした。2次電子SEが多く発生するほど画質が向上し、その発生効率は電子線EBの入射角度に依存する。従って、水平角としては、視野移動距離を確保することができ且つ最大の効率を得ることができる条件を満たす60°(電子線EBの入射方向に対して30°)を採用した。
(3)視野移動
【0025】
グリッド28の有効直径2mmの範囲を視野移動可能であることは、特に試料Sが医生物試料である場合には必須である。実施例の試料ホルダ20では、全ての走査型電子顕微鏡が備える試料台4の傾斜及び回転機能を利用して、試料Sの視野移動を行うことができるようにしている。上記(1),(2)は、グリッド28の周縁部を観察する際の試料ホルダ20の傾斜角が最大20°以下となるように設定されている。
(4)あらゆる汎用の走査型電子顕微鏡で使用することができる形状
【0026】
実施例の試料ホルダ20は、各種の走査型電子顕微鏡の試料台4に装着することができ且つ2次電子情報を得ることができるような形状(外形:直径10mm、高さ14mmの円柱形状)とした。
(5)観察例
【0027】
図4は、電界放射型の走査型電子顕微鏡による第1の観察例を示す図である。試料はラット肝臓であり、その試料に対して、グルタルアルデヒド・オスミウム二重固定、エポキシ樹脂包埋、0.1μm超薄切片のウラン・鉛染色の処理を施し、その試料を日立製作所製S?4800で撮影した。直接倍率15,000倍〜200,000倍の各倍率において、透過型電子顕微鏡の透過像に匹敵する画像が得られている。
【0028】
図5は、電界放射型の走査型電子顕微鏡による第2の観察例を示す図である。試料はラット延髄であり、その試料に対して、図4のものと同様の処理を施し、その試料を日立製作所製S?4800で撮影した。透過電子顕微鏡の解像度を吟味するに際しては、神経のミエリンがよく用いられる。直接倍200,000倍、400,000倍の各倍率において、高解像度の透過像が得られている。
【0029】
図6は、同一視野による同一切片についての透過型電子顕微鏡像(a)と走査透過2次電子像(実施例の試料ホルダ20を用いたもの)(b)との比較を示す図である。切片(試料)はラット肝臓の超薄切片であり、その切片を電界放射型の走査型電子顕微鏡で撮影した。直接倍率10,000倍、50,000倍、100,000倍の各倍率において、同等の品質の透過像が得られている。
【0030】
図7は、タングステン型の汎用走査型電子顕微鏡による観察例を示す図である。試料であるラット腎臓糸球体切片を、設置後20年を経たタングステンフィラメント電子銃搭載の汎用走査型電子顕微鏡を用いて撮影した。ラット腎臓糸球体の低倍率像は、広範囲に均一なコントラストで描画されている(直接倍率2,000倍)。また、血管壁の拡大像は、ノイズを押さえてS/N比を保持する限界で描画されている(直接倍率20,000倍)。これにより、あらゆる走査型電子顕微鏡で走査透過2次電子像(実施例の試料ホルダ20を用いたもの)が得られることが検証された。
【0031】
図8は、小型卓上型の走査型電子顕微鏡による観察例を示す図である。ヒトの腎炎の腎臓糸球体の超薄切片を小型卓上型の走査電子顕微鏡(JEOL CarrySEM(加速電圧20kV))で撮影して得た走査透過2次電子像(実施例の試料ホルダ20を用いたもの)である。左の写真は、腎炎の診断に用いる腎臓糸球体超薄切片の走査透過2次電子像(直接倍率3,000倍)である。一方、右の写真は、血管の走査透過2次電子像(直接倍率8,000倍)であり、本例では、診断に不可欠な基底膜の構造に免疫複合体が多数認められる。これらの画像では、基底膜内に顆粒が多く存在することが認められることから、膜性腎炎の電子顕微鏡による臨床診断に充分使用できる解像度が得られていることが分かる。
【0032】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0033】
図9は、本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダの他の実施形態を示す縦断面図である。図9に示されるように、本体部21において凹部22,23が形成される部分を別体の筒状部材(電子減衰部、ガス吸収部)33とし、試料Sによる散乱電子を減衰させる機能及び試料Sを汚染するガスを吸収する機能の少なくとも一方の機能を有する材料(例えば、カーボン等)により筒状部材33を形成してもよい。
【0034】
グリッド28の周囲に設けられる筒状部材33が、試料Sによる散乱電子を減衰させる機能を有する場合、試料Sの透過像のコントラスト及び解像度をより一層向上させることができる。更に、グリッド28の周囲に設けられる筒状部材33が、試料Sを汚染するガスを吸収する機能を有する場合、電子顕微鏡内の残留ガスや試料Sから生じるガス等による試料Sの汚染を抑制することができる。なお、筒状部材33が本体部21に対して着脱自在であれば、ガスを吸収した筒状部材33を取り外して、筒状部材33を新たなものに交換したり、或いは筒状部材33からガスを取り除いたりすることができる。
【0035】
更に、少なくとも本体部21におけるグリッド28の周囲部分がカーボンからなる場合には、走査型電子顕微鏡1によって試料SのX線元素分析を実施することができる。つまり、図10に示されるように、電子顕微鏡用試料ホルダ20において電子線EBや試料Sによる散乱電子が照射され得る被照射部分(本体部21において一端面21aが形成される部分や凹部22,23が形成される部分を含む部材34、及び押さえ部材29)をカーボン製にすれば、被照射部分に電子線EBや試料Sによる散乱電子が照射されても、カーボン製の被照射部分からは特殊X線の発生が抑制されるため、コンタミネーションを防止して試料S由来のX線のみを分析対象とすることができる。
【0036】
図11は、被照射部分がカーボン製である電子顕微鏡用試料ホルダを具備する走査型電子顕微鏡によるエネルギ分散型X線元素分析(EDX:Energy Dispersive X-ray Spectrometry)の結果を示す図である。図11(a)は、試料として、ラット幹細胞のオスミウム酸固定、ウラン鉛二重染色超薄切片を示す図であり、図11(b)は、図11(a)の黒点位置(核膜付近)に含まれる元素から発生した特殊X線のエネルギスペクトルを示す図である。オスミウム固定のOs、エポキシ樹脂のCl、ウラン染色のU、鉛染色のPb、グリッドのCuから発生した特殊X線のピークが検出されていることが分かる。
【0037】
このように、少なくとも本体部21におけるグリッド28の周囲部分がカーボンからなる電子顕微鏡用試料ホルダを用いれば、高価なX線元素分析装置を透過電子顕微鏡及び走査電子顕微鏡の双方に別途付加しなくても、走査電子顕微鏡にのみ付加すれば、薄膜試料もX線元素分析を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る電子顕微鏡の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダの一実施形態を示す縦断面図である。
【図3】図2に示された電子顕微鏡用試料ホルダの動きを示す図である。
【図4】電界放射型の走査型電子顕微鏡による第1の観察例を示す図である。
【図5】電界放射型の走査型電子顕微鏡による第2の観察例を示す図である。
【図6】同一視野による同一切片についての透過型電子顕微鏡像と走査透過2次電子像との比較を示す図である。
【図7】タングステン型の汎用走査型電子顕微鏡による観察例を示す図である。
【図8】小型卓上型の走査型電子顕微鏡による観察例を示す図である。
【図9】本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図10】本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図11】図10に示された電子顕微鏡用試料ホルダを具備する走査型電子顕微鏡によるエネルギ分散型X線元素分析の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1…走査型電子顕微鏡(電子顕微鏡)、4…試料台、20…電子顕微鏡用試料ホルダ、21…本体部、28…グリッド(支持部)、31…絞り部材(絞り部)、32…2次電子発生面(2次電子発生部)、33…筒状部材(電子減衰部、ガス吸収部)、S…試料、EB…電子線、SE…2次電子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子顕微鏡用試料ホルダ及び電子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来一般的な電子顕微鏡として、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)及び透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)が知られている。走査型電子顕微鏡は、バルク状の試料の表面の微細構造を拡大観察するための装置である(例えば、特許文献1参照)。また、透過型電子顕微鏡は、薄膜状の試料の透過像によって微細構造を拡大観察するための装置である(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−54094号公報
【特許文献2】特開2006−127805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、走査型電子顕微鏡は、比較的廉価であり、広く普及している。一方、透過型電子顕微鏡は、高分解能で試料を観察することができるものの、走査型電子顕微鏡に比べて高価であり、その普及率は高くない。また、特に医生物試料においては、試料の略全域を観察する必要がある。
【0004】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、走査型電子顕微鏡を用いて試料の略全域を高分解能で観察することができる顕微鏡用試料ホルダ、及びそのような顕微鏡用試料ホルダを具備する電子顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダは、走査型電子顕微鏡の試料台に取り付けられる本体部と、本体部において試料を支持する支持部と、本体部において試料を透過した電子線を絞る絞り部と、本体部において絞り部を通過した電子線が照射されることで2次電子を発生する2次電子発生部と、を備え、本体部は、試料台によって傾斜及び回転させられることを特徴とする。
【0006】
この電子顕微鏡用試料ホルダでは、走査型電子顕微鏡の試料台に本体部が取り付けられた状態で、支持部によって支持された試料を透過し且つ絞り部を通過した電子線が2次電子発生部に照射され、それにより、2次電子発生部から2次電子が発生させられる。このとき、試料による散乱電子が絞り部によって遮断されるため、高分解能で試料を観察することができる。また、本体部が試料台によって傾斜及び回転させられるため、試料の略全域を観察することができる。従って、この電子顕微鏡用試料ホルダによれば、走査型電子顕微鏡を用いて試料の略全域を高分解能で観察することが可能となる。
【0007】
本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダにおいては、少なくとも支持部の周囲に、試料による散乱電子を減衰させる電子減衰部が設けられていることが好ましい。この場合、試料の透過像のコントラスト及び解像度をより一層向上させることができる。
【0008】
本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダにおいては、少なくとも支持部の周囲に、試料を汚染するガスを吸収するガス吸収部が設けられていることが好ましい。この場合、電子顕微鏡内の残留ガスや試料から生じるガス等による試料の汚染を抑制することができる。
【0009】
本発明に係る電子顕微鏡は、上述した本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、走査型電子顕微鏡を用いて試料の略全域を高分解能で観察することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明に係る電子顕微鏡の一実施形態を示す概略構成図である。図1に示されるように、走査型電子顕微鏡(電子顕微鏡)1は、電子顕微鏡用試料ホルダ20がボルト3によって固定された円板状の試料台4を備えている。試料ホルダ20は、観察対象となる試料Sを保持している。試料台4は、軸線L回りに回転可能となっていると共に、軸線L方向、及びその方向と直交する方向に移動可能となっている。更に、試料台4は、任意の方向に傾斜可能となっている。
【0013】
軸線L方向において試料台4と対向する位置には、試料台4に向かって電子線EBを出射する電子銃5と、電子銃5から出射された電子線EBを試料台4に向かって加速させるアノード6とが設置されている。アノード6と試料台4との間には、アノード6によって加速された電子線EBを収束する収束レンズ7及び対物レンズ8と、収束レンズ7及び対物レンズ8によって収束された電子線EBを走査する走査コイル9とが設置されている。
【0014】
更に、走査型電子顕微鏡1は、試料Sを透過した電子線EBの照射によって試料ホルダ20から発生させられた2次電子SEを検出する2次電子検出器11と、試料Sの透過像を表示する表示装置12とを備えている。試料ホルダ20、試料台4、電子銃5の電子線出射部、アノード6、収束レンズ7、対物レンズ8、走査コイル9及び2次電子検出器11の2次電子検出部は、真空引きされる筐体13内に配置されている。
【0015】
図2は、図1に示された電子顕微鏡が具備する電子顕微鏡用試料ホルダの縦断面図である。図2に示されるように、電子顕微鏡用試料ホルダ20は、例えばアルミニウム合金からなる円柱状の本体部21を備えている。本体部21の電子線入射側の一端面21aには、断面円形状の凹部22が形成されており、凹部22の底面には、断面円形状の凹部23が形成されている。更に、凹部23の底面には、断面円形状の凹部24が形成されており、凹部24の底面には、本体部21の側面21bに形成された断面V字状の切欠き部25と凹部24とを連通する貫通孔26が形成されている。
【0016】
本体部21の他端面21cには、試料台4を介してボルト3が螺合されるネジ穴27が形成されている。これにより、本体部21は、走査型電子顕微鏡1の試料台4に取り付けられる。なお、試料台4に形成された断面円形状の凹部に、本体部21の他端部を嵌合させることで、試料台4に本体部21を取り付けることもできる。
【0017】
本体部21の凹部22の底面には、薄膜状の試料Sを支持するグリッド(支持部)28が配置されており、グリッド28は、凹部22に嵌合する円環状の押さえ部材29によって固定されている。また、本体部21の凹部24の底面には、試料Sを透過した電子線EBを絞る絞り部材(絞り部)31が固定されている。絞り部材31は、例えばモリブテンからなる箔状の部材であり、アパーチャ31aを有している。
【0018】
本体部21において切欠き部25を画定し且つ絞り部材31と対向する傾斜面は、絞り部31を通過した電子線EBが照射されることで2次電子SEを発生する2次電子発生面(2次電子発生部)32となっている。2次電子発生面32は、例えばアルミニウム合金の研磨面である。
【0019】
図3は、図2に示された電子顕微鏡用試料ホルダの動きを示す図である。図3に示されるように、電子顕微鏡用試料ホルダ20は、試料台4の傾斜及び回転に伴って傾斜及び回転する。すなわち、試料ホルダ20の本体部21は、試料台4によって傾斜及び回転させられる。このとき、試料ホルダ20は、グリッド28及び絞り部31のアパーチャ31aを通り得る全ての電子線EBが2次電子発生面32に照射されるように構成されている。
【0020】
以上のように構成された走査型電子顕微鏡1及び電子顕微鏡用試料ホルダ20においては、試料台4に本体部21が取り付けられた状態で電子銃5から電子線EBが出射されると、グリッド28によって支持された試料Sを透過し且つ絞り部材31を通過した電子線EBが2次電子発生面32に照射され、それにより、2次電子発生面32から2次電子SEが発生させられる。2次電子発生面32から発生させられた2次電子SEは、2次電子検出器11によって検出され、それにより、試料Sの透過像が表示装置12に表示される。
【0021】
このとき、試料Sによる散乱電子が絞り部材31によって遮断されるため、高分解能で試料Sを観察することができる。また、本体部21が試料台4によって傾斜及び回転させられるため、試料Sの略全域を観察することができる。従って、走査型電子顕微鏡1及び電子顕微鏡用試料ホルダ20によれば、走査型電子顕微鏡でありながら、試料Sの略全域を高分解能で観察することが可能となる。
【0022】
ここで、電子顕微鏡用試料ホルダ20の実施例について、図2を参照して詳細に説明する。
(1)絞り部材31
【0023】
絞り部材31は、試料Sの透過像において充分なコントラスト及び解像度を得るために、試料Sによる散乱電子を遮断する部材である。実施例の試料ホルダ20では、試料Sの下側1.5mmの位置に孔径(アパーチャ31aの直径)60μmのモリブデン箔固定絞りを挿入した。孔径としては、小さくするとコントラストが向上するが、S/N比の低下によって画質の劣化を招くため、双方の条件を満たす60μmを採用した。また、試料Sとの間隔としては、近接するとコントラストが向上するが、視野移動距離が小さくなるため、双方の条件を満たす1.5mmを採用した。
(2)2次電子発生面32
【0024】
一般的な走査型電子顕微鏡を用いて試料Sの透過像を得るためには、超薄切片である試料Sを透過した電子線EBの強弱を2次電子量に変換する機能が必要である。実施例の試料ホルダ20では、水平角60°(電子線EBの入射方向に対して30°)のアルミニウム合金の研磨面に透過電子を衝突させ、2次電子SEを発生させる仕組みとした。2次電子SEが多く発生するほど画質が向上し、その発生効率は電子線EBの入射角度に依存する。従って、水平角としては、視野移動距離を確保することができ且つ最大の効率を得ることができる条件を満たす60°(電子線EBの入射方向に対して30°)を採用した。
(3)視野移動
【0025】
グリッド28の有効直径2mmの範囲を視野移動可能であることは、特に試料Sが医生物試料である場合には必須である。実施例の試料ホルダ20では、全ての走査型電子顕微鏡が備える試料台4の傾斜及び回転機能を利用して、試料Sの視野移動を行うことができるようにしている。上記(1),(2)は、グリッド28の周縁部を観察する際の試料ホルダ20の傾斜角が最大20°以下となるように設定されている。
(4)あらゆる汎用の走査型電子顕微鏡で使用することができる形状
【0026】
実施例の試料ホルダ20は、各種の走査型電子顕微鏡の試料台4に装着することができ且つ2次電子情報を得ることができるような形状(外形:直径10mm、高さ14mmの円柱形状)とした。
(5)観察例
【0027】
図4は、電界放射型の走査型電子顕微鏡による第1の観察例を示す図である。試料はラット肝臓であり、その試料に対して、グルタルアルデヒド・オスミウム二重固定、エポキシ樹脂包埋、0.1μm超薄切片のウラン・鉛染色の処理を施し、その試料を日立製作所製S?4800で撮影した。直接倍率15,000倍〜200,000倍の各倍率において、透過型電子顕微鏡の透過像に匹敵する画像が得られている。
【0028】
図5は、電界放射型の走査型電子顕微鏡による第2の観察例を示す図である。試料はラット延髄であり、その試料に対して、図4のものと同様の処理を施し、その試料を日立製作所製S?4800で撮影した。透過電子顕微鏡の解像度を吟味するに際しては、神経のミエリンがよく用いられる。直接倍200,000倍、400,000倍の各倍率において、高解像度の透過像が得られている。
【0029】
図6は、同一視野による同一切片についての透過型電子顕微鏡像(a)と走査透過2次電子像(実施例の試料ホルダ20を用いたもの)(b)との比較を示す図である。切片(試料)はラット肝臓の超薄切片であり、その切片を電界放射型の走査型電子顕微鏡で撮影した。直接倍率10,000倍、50,000倍、100,000倍の各倍率において、同等の品質の透過像が得られている。
【0030】
図7は、タングステン型の汎用走査型電子顕微鏡による観察例を示す図である。試料であるラット腎臓糸球体切片を、設置後20年を経たタングステンフィラメント電子銃搭載の汎用走査型電子顕微鏡を用いて撮影した。ラット腎臓糸球体の低倍率像は、広範囲に均一なコントラストで描画されている(直接倍率2,000倍)。また、血管壁の拡大像は、ノイズを押さえてS/N比を保持する限界で描画されている(直接倍率20,000倍)。これにより、あらゆる走査型電子顕微鏡で走査透過2次電子像(実施例の試料ホルダ20を用いたもの)が得られることが検証された。
【0031】
図8は、小型卓上型の走査型電子顕微鏡による観察例を示す図である。ヒトの腎炎の腎臓糸球体の超薄切片を小型卓上型の走査電子顕微鏡(JEOL CarrySEM(加速電圧20kV))で撮影して得た走査透過2次電子像(実施例の試料ホルダ20を用いたもの)である。左の写真は、腎炎の診断に用いる腎臓糸球体超薄切片の走査透過2次電子像(直接倍率3,000倍)である。一方、右の写真は、血管の走査透過2次電子像(直接倍率8,000倍)であり、本例では、診断に不可欠な基底膜の構造に免疫複合体が多数認められる。これらの画像では、基底膜内に顆粒が多く存在することが認められることから、膜性腎炎の電子顕微鏡による臨床診断に充分使用できる解像度が得られていることが分かる。
【0032】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0033】
図9は、本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダの他の実施形態を示す縦断面図である。図9に示されるように、本体部21において凹部22,23が形成される部分を別体の筒状部材(電子減衰部、ガス吸収部)33とし、試料Sによる散乱電子を減衰させる機能及び試料Sを汚染するガスを吸収する機能の少なくとも一方の機能を有する材料(例えば、カーボン等)により筒状部材33を形成してもよい。
【0034】
グリッド28の周囲に設けられる筒状部材33が、試料Sによる散乱電子を減衰させる機能を有する場合、試料Sの透過像のコントラスト及び解像度をより一層向上させることができる。更に、グリッド28の周囲に設けられる筒状部材33が、試料Sを汚染するガスを吸収する機能を有する場合、電子顕微鏡内の残留ガスや試料Sから生じるガス等による試料Sの汚染を抑制することができる。なお、筒状部材33が本体部21に対して着脱自在であれば、ガスを吸収した筒状部材33を取り外して、筒状部材33を新たなものに交換したり、或いは筒状部材33からガスを取り除いたりすることができる。
【0035】
更に、少なくとも本体部21におけるグリッド28の周囲部分がカーボンからなる場合には、走査型電子顕微鏡1によって試料SのX線元素分析を実施することができる。つまり、図10に示されるように、電子顕微鏡用試料ホルダ20において電子線EBや試料Sによる散乱電子が照射され得る被照射部分(本体部21において一端面21aが形成される部分や凹部22,23が形成される部分を含む部材34、及び押さえ部材29)をカーボン製にすれば、被照射部分に電子線EBや試料Sによる散乱電子が照射されても、カーボン製の被照射部分からは特殊X線の発生が抑制されるため、コンタミネーションを防止して試料S由来のX線のみを分析対象とすることができる。
【0036】
図11は、被照射部分がカーボン製である電子顕微鏡用試料ホルダを具備する走査型電子顕微鏡によるエネルギ分散型X線元素分析(EDX:Energy Dispersive X-ray Spectrometry)の結果を示す図である。図11(a)は、試料として、ラット幹細胞のオスミウム酸固定、ウラン鉛二重染色超薄切片を示す図であり、図11(b)は、図11(a)の黒点位置(核膜付近)に含まれる元素から発生した特殊X線のエネルギスペクトルを示す図である。オスミウム固定のOs、エポキシ樹脂のCl、ウラン染色のU、鉛染色のPb、グリッドのCuから発生した特殊X線のピークが検出されていることが分かる。
【0037】
このように、少なくとも本体部21におけるグリッド28の周囲部分がカーボンからなる電子顕微鏡用試料ホルダを用いれば、高価なX線元素分析装置を透過電子顕微鏡及び走査電子顕微鏡の双方に別途付加しなくても、走査電子顕微鏡にのみ付加すれば、薄膜試料もX線元素分析を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る電子顕微鏡の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダの一実施形態を示す縦断面図である。
【図3】図2に示された電子顕微鏡用試料ホルダの動きを示す図である。
【図4】電界放射型の走査型電子顕微鏡による第1の観察例を示す図である。
【図5】電界放射型の走査型電子顕微鏡による第2の観察例を示す図である。
【図6】同一視野による同一切片についての透過型電子顕微鏡像と走査透過2次電子像との比較を示す図である。
【図7】タングステン型の汎用走査型電子顕微鏡による観察例を示す図である。
【図8】小型卓上型の走査型電子顕微鏡による観察例を示す図である。
【図9】本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図10】本発明に係る電子顕微鏡用試料ホルダの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図11】図10に示された電子顕微鏡用試料ホルダを具備する走査型電子顕微鏡によるエネルギ分散型X線元素分析の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1…走査型電子顕微鏡(電子顕微鏡)、4…試料台、20…電子顕微鏡用試料ホルダ、21…本体部、28…グリッド(支持部)、31…絞り部材(絞り部)、32…2次電子発生面(2次電子発生部)、33…筒状部材(電子減衰部、ガス吸収部)、S…試料、EB…電子線、SE…2次電子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査型電子顕微鏡の試料台に取り付けられる本体部と、
前記本体部において試料を支持する支持部と、
前記本体部において前記試料を透過した電子線を絞る絞り部と、
前記本体部において前記絞り部を通過した電子線が照射されることで2次電子を発生する2次電子発生部と、を備え、
前記本体部は、前記試料台によって傾斜及び回転させられることを特徴とする電子顕微鏡用試料ホルダ。
【請求項2】
少なくとも前記支持部の周囲には、前記試料による散乱電子を減衰させる電子減衰部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡用試料ホルダ。
【請求項3】
少なくとも前記支持部の周囲には、前記試料を汚染するガスを吸収するガス吸収部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子顕微鏡用試料ホルダ。
【請求項4】
少なくとも前記本体部における前記支持部の周囲部分は、カーボンからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の電子顕微鏡用試料ホルダ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の電子顕微鏡用試料ホルダを具備することを特徴とする電子顕微鏡。
【請求項1】
走査型電子顕微鏡の試料台に取り付けられる本体部と、
前記本体部において試料を支持する支持部と、
前記本体部において前記試料を透過した電子線を絞る絞り部と、
前記本体部において前記絞り部を通過した電子線が照射されることで2次電子を発生する2次電子発生部と、を備え、
前記本体部は、前記試料台によって傾斜及び回転させられることを特徴とする電子顕微鏡用試料ホルダ。
【請求項2】
少なくとも前記支持部の周囲には、前記試料による散乱電子を減衰させる電子減衰部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡用試料ホルダ。
【請求項3】
少なくとも前記支持部の周囲には、前記試料を汚染するガスを吸収するガス吸収部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子顕微鏡用試料ホルダ。
【請求項4】
少なくとも前記本体部における前記支持部の周囲部分は、カーボンからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の電子顕微鏡用試料ホルダ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の電子顕微鏡用試料ホルダを具備することを特徴とする電子顕微鏡。
【図1】
【図2】
【図3】
【図9】
【図10】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図2】
【図3】
【図9】
【図10】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【公開番号】特開2008−311214(P2008−311214A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46652(P2008−46652)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年2月6日 インターネットアドレス「http://www.nips.ac.jp/giken/2007/ab2007w04.pdf」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年3月1日 名古屋大学全学技術センター発行の「平成18年度 名古屋大学総合技術研究会 生物科学技術研究会報告集」に発表
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年2月6日 インターネットアドレス「http://www.nips.ac.jp/giken/2007/ab2007w04.pdf」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年3月1日 名古屋大学全学技術センター発行の「平成18年度 名古屋大学総合技術研究会 生物科学技術研究会報告集」に発表
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【Fターム(参考)】
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